特許第5934503号(P5934503)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5934503
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月15日
(54)【発明の名称】チュービングポンプ装置
(51)【国際特許分類】
   F04C 5/00 20060101AFI20160602BHJP
【FI】
   F04C5/00 341C
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-282538(P2011-282538)
(22)【出願日】2011年12月24日
(65)【公開番号】特開2013-133707(P2013-133707A)
(43)【公開日】2013年7月8日
【審査請求日】2014年10月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000137823
【氏名又は名称】株式会社ミマキエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(74)【代理人】
【識別番号】100110560
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 恵三
(72)【発明者】
【氏名】中村 透
【審査官】 柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−238479(JP,A)
【文献】 特開2003−21081(JP,A)
【文献】 特開2004−92602(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 5/00
F04B 43/02
F04B 43/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面と、
当該壁面に沿って配置され且つ内部が流路とされる弾性チューブと、
前記壁面との間に前記弾性チューブを挟むように配置された圧潰部材と、
当該圧潰部材を支持すると共に片側の第1軸およびその反対側の第2軸からなる回転軸を有する圧潰部材支持体と、
前記圧潰部材支持体の第1軸を軸支する第1軸受部と、前記第1軸と前記第2軸とが互いに平行となるように当該圧潰部材支持体の隣に設けられる他の圧潰部材支持体の第2軸を軸支する第2軸受部とを一体形成した軸受部材と、を有し、
一の前記軸受部材の第1軸受部により圧潰部材支持体の第1軸を軸支し、当該一の軸受部材に並設した他の前記軸受部材の第2軸受部により前記圧潰部材支持体の第2軸を軸支すると共に、
前記圧潰部材が前記弾性チューブを圧潰しながら前記壁面に沿って移動するように前記圧潰部材支持体を回転させることで前記弾性チューブ内の液体を移送するものであり、
前記一の軸受部材は、前記他の軸受部材とは同一形状であり、当該他の軸受部材と同軸方向に係合一体化するための係合部を有することを特徴とするチュービングポンプ装置。
【請求項2】
前記一の軸受部材の前記第1軸受部と、当該一の軸受部材と並設される前記他の軸受部材の前記第2軸受部と同軸上に配設されていることを特徴とする請求項1に記載のチュービングポンプ装置。
【請求項3】
前記軸受部材には前記壁面が一体形成されていることを特徴とする請求項1に記載のチュービングポンプ装置。
【請求項4】
前記圧潰部材支持体の第1軸と、当該圧潰部材支持体の隣に設けられる他の圧潰部材支持体の第2軸との間には、回転伝達可能に連結する連結構造が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のチュービングポンプ装置。
【請求項5】
前記軸受部材は、
一の軸受部材と他の軸受部材とを軸方向に並設する際に互いに対向することになる凹部および凸部を有し、
前記凹部には前記弾性チューブを配設し得、前記凸部は前記凹部の開口近傍で前記弾性チューブに対向するように配設されることを特徴とする請求項1に記載のチュービングポンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性チューブをローラで圧潰して内部の液体を送出するチュービングポンプ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図10は、特許文献1に記載のチュービングポンプを示す模式図である。このチュービングポンプ500は、ポンプフレーム501内にポンプホイル502が設けられ、このポンプホイル502に一対のローラ503が回転可能に設けられている。ローラ503の周囲には、チューブ504が環状に配置されている。モータ(図示省略)の回転は歯車505を介して伝達され、ラチェットホイル507及び中間伝達ホイル506からなる回転遅延機構により回転が調整されてポンプホイル502に伝達される。ラチェットホイル507及び中間伝達ホイル506はスプリング509でポンプホイル502に付勢されている。ポンプホイル502の回転により前記ローラ503がチューブ504を圧潰しながら移動することで、チューブ504内の液体が送出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許4062865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のチュービングポンプ500では、ポンプフレーム501内にポンプ作用を生じさせるポンプホイル502やローラ503等を内設しているため、同形のチュービングポンプ500を複数並設する場合、嵩張ってしまいチュービングポンプを搭載した装置全体が大型化するという問題があった。
【0005】
そこで、本発明では、複数のチュービングポンプを並設する場合であっても、嵩張ることなく全体を小型化できるチュービングポンプ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明に係るチュービングポンプ装置は、壁面と、当該壁面に沿って配置され且つ内部が流路とされる弾性チューブと、前記壁面との間に前記弾性チューブを挟むように配置された圧潰部材と、当該圧潰部材を支持する圧潰部材支持体とを有し、当該圧潰部材が前記弾性チューブを圧潰しながら前記壁面に沿って移動するように前記圧潰部材支持体を回転することにより前記弾性チューブ内の液体を移送するチュービングポンプ装置において、前記圧潰部材支持体を回転可能に軸支する一対の軸受部を有し、その一方を備えた一の軸受部材と、他方を備えた他の軸受部材とを備え、前記一の軸受部材または他の軸受部材には、前記圧潰部材支持体とは異なる他の圧潰部材支持体を軸方向に軸支する第2軸受部が連続一体形成されていることを特徴とする。
【0007】
即ち、前記一の軸受部材または他の軸受部材には、圧潰部材支持体を軸支する軸受部と、軸方向に隣接するようにして前記圧潰部材支持体とは異なる他の圧潰部材支持体が軸支される第2軸受部とが一体形成されている。このため、第2軸受部を形成するための専用の軸受部材が不要になるので、その分だけ軸方向に短縮することができる。ひいては、軸方向に嵩張らないチュービングポンプ装置を実現できる。なお、前記軸受部と第2軸受部とは同軸上に一体形成しても良いし、軸をずらして一体形成しても良い。
【0008】
第2の発明に係るチュービングポンプ装置は、壁面と、当該壁面に沿って配置され且つ内部が流路とされる弾性チューブと、前記壁面との間に前記弾性チューブを挟むように配置された圧潰部材と、当該圧潰部材を支持すると共に片側の第1軸およびその反対側の第2軸からなる回転軸を有する圧潰部材支持体と、前記圧潰部材支持体の第1軸を軸支する第1軸受部と、当該圧潰部材支持体の隣に設けられる他の圧潰部材支持体の第2軸を軸支する第2軸受部とを一体形成した軸受部材と、を有し、一の前記軸受部材の第1軸受部により圧潰部材支持体の第1軸を軸支し、当該一の軸受部材に並設した他の前記軸受部材の第2軸受部により前記圧潰部材支持体の第2軸を軸支すると共に、前記圧潰部材が前記弾性チューブを圧潰しながら前記壁面に沿って移動するように前記圧潰部材支持体を回転させることで前記弾性チューブ内の液体を移送することを特徴とする。
【0009】
軸受部材は、圧潰部材支持体の第1軸を軸支する第1軸受部と、隣に設けられる他の圧潰部材支持体の第2軸を軸支する第2軸受部とを一体に形成した構造であるため、当該軸受部材を並設することで、一の軸受部材の第1軸受部により圧潰部材支持体の第1軸を軸支し、他の軸受部材の第2軸受部により前記圧潰部材支持体の第2軸を軸支することになる。即ち、必要により軸受部材を並設追加しながら次の圧潰部材支持体を軸支していくことができるので、第2軸受部を形成するための専用の軸受部材が不要であり、チュービングポンプを増やしても嵩張らないチュービングポンプ装置を実現できる。
【0010】
第3の発明に係るチュービングポンプ装置は、上記第1又は第2の発明において、 前記軸受部材の軸受部は同軸上に配設されていることを特徴とする。
【0011】
このように、軸受部を同軸配置すれば、チュービングポンプ装置全体を径方向において小型化できる。
【0012】
第4の発明に係るチュービングポンプ装置は、上記第1〜第3の発明のいずれか一つにおいて、前記一の軸受部材は、他の軸受部材と係合一体化するための係合部を有することを特徴とする。
【0013】
軸受部材を係合一体化できるようにすれば、簡単に軸受部材を追加してチュービングポンプの数を増やすことができる。
【0014】
第5の発明に係るチュービングポンプ装置は、上記第1〜第4の発明のいずれか一つにおいて、前記軸受部材には前記壁面が一体形成されていることを特徴とする。
【0015】
このように、軸受部材に壁面を一体形成することで、部品点数を削減できる。
【0016】
第6の発明に係るチュービングポンプ装置は、上記第1〜第5の発明のいずれか一つにおいて、前記一の軸受部材と他の軸受部材とは同一形状であることを特徴とする。
【0017】
即ち、並設する軸受部材を同一形状とすることで、部品の種類が減るので、生産効率が高まる。
【0018】
第7の発明に係るチュービングポンプ装置は、上記第1〜第6の発明のいずれか一つにおいて、圧潰部材支持体の第1軸と隣に設けられる他の圧潰部材支持体の第2軸との間には、回転伝達可能に連結する連結構造が設けられていることを特徴とする。
【0019】
このようにすれば、一つの圧潰部材支持体に回転力を与えることで全ての圧潰部材支持体を回転できるので、チュービングポンプ装置の構造を簡略化できる。
【0020】
第8の発明に係るチュービングポンプ装置は、上記第1〜第7の発明のいずれか一つにおいて、前記軸受部材は、一の軸受部材と他の軸受部材とを軸方向に並設する際に互いに対向することになる凹部および凸部を有し、前記凹部には前記弾性チューブを配設し得、前記凸部は前記凹部の開口近傍で前記弾性チューブに対向するように配設されることを特徴とする。
【0021】
このようにすれば、軸受部材を並設する際、凹部に弾性チューブを配設し、凸部により弾性チューブが凹部から出ないように或いは出たとしても凹部に再挿入できるようになる。
【発明の効果】
【0022】
この発明のチュービングポンプ装置によれば、チュービングポンプを並設しても嵩張らず、装置全体を小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】この発明の実施の形態1に係るチュービングポンプを示す構成図である。
図2図1に示したチュービングポンプの軸受部材を示す断面図である。
図3】この発明の実施の形態2にかかるチュービングポンプを示す構成図である。
図4】実施の形態1のチュービングポンプの変形例を示す構成図である。
図5】この発明のチュービングポンプ装置を示す斜視図である。
図6】この発明のチュービングポンプ装置を示す斜視図である。
図7】チュービングポンプ装置を示す組立図である。
図8図7に示した部品の一部の組立図である。
図9】弾性チューブ、凹部および凸部である押え部との関係を示す説明図である。
図10】従来のチュービングポンプを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1に係るチュービングポンプ装置を示す構成図である。図2は、図1に示したチュービングポンプ装置の軸受部材を示す断面図である。このチュービングポンプ装置100は、弾性チューブ4を圧潰する圧潰部材である一対のローラ1と、ローラ1を回転自在に軸支する圧潰部材支持体である円盤状の支持板2と、支持板2の回転軸を軸支する第1軸受部31及び第2軸受部32を有する軸受部材3とを有し、この軸受部材3を複数並設し、軸受部材3同士で形成する空間に前記支持板2を配置した構成である。なお、一つの支持板2を支持する前記第1軸受部31及び第2軸受部32は、隣り合う軸受部材3にそれぞれ設けられる。
【0025】
支持板2の片側には第1軸21が設けられ、反対側には第2軸22が設けられている。この第1軸21及び第2軸22が支持板2の前記回転軸となる。前記軸受部材3は、図2に示すように、支持板2の第1軸21を受ける第1軸受部31と、隣りの他の支持板2の第2軸22を受ける第2軸受部32とを軸方向に一体形成される。即ち、支持板2の第1軸部21と第2軸部22とは、互いに隣り合う異なる軸受部材3に設けられた軸受によって支持されている。また、軸受部材3は、円筒状部材からなり、前記第一軸受部31及び第二軸受部32とは同軸上に連続形成している。
【0026】
軸受部材3は、隣の他の軸受部材3と係合部33において係合し一体化できる。これにより、図1に示すように、支持板2の回転軸の第1軸21が第1軸受部31で軸支され、第2軸22が隣の軸受部材3の第2軸受部32で軸支される。
【0027】
軸受部材3同士を係合して一体化することで、一の軸受部材3の第1軸受部31により支持板2の第1軸を軸支し、この軸受部材3に並設した他の軸受部材3の第2軸受部32により前記支持板2の第2軸を軸支することになる。また、図1に示すように、軸受部材3を更に追加することで、隣に設ける支持板2の第1軸を軸受部材3の第1軸受部31により軸支し、第2軸を他の軸受部材3の第2軸受部32により軸支することになる。即ち、支持板2及び軸受部材3を次々に追加することができる。
【0028】
第1軸受部31と第2軸受部32とは同軸上に形成されているため、支持板2と隣の支持板2とが同軸に軸支されることになる。このようにすれば、支持板2を軸方向に連設できるので、チュービングポンプ装置100を支持板2の径方向に小型化できる。
【0029】
支持板2の第2軸22と隣の支持板2の第1軸21とは、連結構造23により互いに回転方向に連結可能となる。この連結構造23は回転が伝達できればどのようなものでも良い。例えば、第1軸21の一端に十字状の突起を形成すると共に第2軸22に当該十字状に形成された突起が嵌合して回転方向に供回りする溝部を形成することで、連結構造23を構成するものとする。
【0030】
壁面5は、軸受部材3の内側に一体形成される。弾性チューブ4は、この内側の壁面5に沿って配置される。弾性チューブ4は、図示しないが、当該壁面5の筒状或いはリング状の接線方向から導入され、当該壁面5を略半周から3/4周して再び接線方向に導出される。前記ローラ1は、支持板2を軸支した状態で前記壁面5との間に弾性チューブ4を挟むように位置する。
【0031】
上記のようにして、軸受部材3及び係合一体化した軸受部材3との間に支持板2が配置され、この支持板2に軸支したローラ1と前記壁面5との間に弾性チューブ4を配置したチュービングポンプ101が構成される。そして、このチュービングポンプ101は、軸受部材3を係合一体化することで、所望の数だけ軸方向に複数並設できる。
【0032】
モータ(図示省略)により前記支持板2を回転させると、支持板2同士は連結構造23で連結しているため、一つの支持板2を回転させることで全ての支持板2が回転する。支持板2の回転により、弾性チューブ4がローラ1と壁面5との間で圧潰され、当該ローラ1の移動と共に弾性チューブ4の圧潰部分が移動する。これにより、弾性チューブ4内の液体が押し出されるようにして移送される。
【0033】
このチュービングポンプ装置100では、軸受部材3を前記係合部33にて係合一体化することにより、支持板2の軸方向に複数のチュービングポンプ101を空間効率的に並設できるので、嵩張ることがなく、全体を小型化できる。また、軸受部材3が一種類で済むので部品点数が少なくなり、生産効率が向上する。
【0034】
(実施の形態2)
図3は、この発明の実施の形態2にかかるチュービングポンプ装置を示す構成図である。図4は、図3に示したチュービングポンプ装置の軸方向の部品の配置を示す説明図である。このチュービングポンプ装置200は、上記実施の形態1に係るチュービングポンプ装置100の第1軸受部31及び第2軸受部32の軸位置をずらして設けた点に特徴がある。
【0035】
このチュービングポンプ装置200は、弾性チューブ4を圧潰する圧潰部材である一対のローラ1と、ローラ1を回転自在に支持する圧潰部材支持体である円盤状の支持板2と、支持板2の回転軸を軸支する第1軸受部231及び第2軸受部232を有する軸受部材203とを有し、この軸受部材203を複数並設し、軸受部材203同士の間に前記支持板2を配置した構成である。
【0036】
軸受部材203A〜203Cを挙げて説明する。軸受部材203Bは、支持板2の第1軸21を受ける第1軸受部231と、隣の軸受部材203Aとの間に配置した他の支持板2の第2軸22を受ける第2軸受部232とを有する。この第1軸受部231と第2軸受部232とは、軸方向で異なる位置に設けられている。
【0037】
また、軸受部材203Aは他の軸受部材203Bと係合部233において係合し一体化されている。また、軸受部材203Bは他の軸受部材203Cと係合部233において係合し一体化できる。前記軸受部材203の図中下側の第一端部234は周囲にフック状の突起236が内側に突出形成され、図中上側の第二端部235は周囲に溝237が形成されている。軸受部材203同士は、前記フック状の突起236を前記溝237に嵌め込んで係合し一体化する。従って、軸受部材203Bと軸受部材203Cとはフック状の突起236を溝237に嵌合して一体化されている。なお、他の軸受部材に関しても隣接する軸受部材同士が互いに嵌合して一体化されている。
【0038】
これにより、図3に示すように、軸受部材203A及び軸受部材203Bとの間において、支持板2の回転軸の第1軸21が軸受部材203Aの第2軸受部232で軸支され、第2軸22が他の軸受部材203Bの第2軸受部232で軸支される。また、軸受部材203B及び軸受部材203Cとの間において、支持板2の回転軸の第1軸21が軸受部材203Bの第1軸受部231で軸支され、第2軸22が他の軸受部材203Cの第1軸受部231で軸支される。これは、図3に示すように、軸受部材203C〜203Eにおいても同様である。
【0039】
また、軸受部材203の第一端部234側には、第1軸受部231の軸を中心として筒状又はリング状に第一壁面251が突出形成され、第二端部235側には、第2軸受部232の軸を中心として筒状又はリング状に第二壁面252が突出形成されている。弾性チューブ4は、この壁面251,252に沿って配置される。弾性チューブ4は、図示しないが、当該壁面251,252の筒状或いはリング状の接線方向から導入され、壁面251,252を略半周から3/4周して再び接線方向に導出される。前記ローラ1は、前記壁面251,252との間に弾性チューブ4を挟むように配置される。
【0040】
上記のようにして、隣接した軸受部材203の間に支持板2が配置され、この支持板2に軸支したローラ1と前記壁面251,252との間に弾性チューブ4を配置したチュービングポンプ201が構成される。そして、このチュービングポンプ201は、軸受部材203を係合一体化することで、所望の数だけ軸方向に複数並設できる。
【0041】
また、各支持板2の外周には歯が設けられており、当該外周の歯には、図4に示すように、モータ291の回転を減速歯車292により減速したピニオンギア293が噛み合っている(図3では当該ピニオンギア293の回転軸294を一点鎖線で示す)。このピニオンギア293の回転が各支持板2に伝達され、当該支持板2が回転駆動される。
【0042】
モータ291により前記支持板2が回転することで、弾性チューブ4がローラ1と壁面251,252との間で圧潰され、当該ローラ1の移動と共に弾性チューブ4の圧潰部分が移動する。これにより、弾性チューブ4内の液体が押し出されるようにして移送される。
【0043】
上記チュービングポンプ装置200によっても、実施の形態1と同様、支持板2の軸方向に複数のチュービングポンプ201を多数連設しても、嵩張ることがなく、全体を小型化できる。また、軸受部材203が一種類で済むので部品点数が少なくなる。
【実施例】
【0044】
図5及び図6は、この発明のチュービングポンプ装置を示す斜視図である。図7は、チュービングポンプ装置を示す組立図である。図8は、図7に示した部品の一部の組立図である。このチュービングポンプ装置300は、金属プレートにより形成された軸受部材303Aと、樹脂成形体である2つの軸受部材303B,303Cとを軸方向に並設した構造である。金属プレートで形成された軸受部材303Aは、中央に第1軸受部331と、モータ351を取り付ける取付穴355と、減速ギア354の軸353とを有する。モータ351は、取付穴355にモータ軸を通した状態で取り付けられる。モータ軸には、ピニオンギア352が設けられる。また、前記軸353には、前記ピニオンギア352と噛み合う減速ギア354が軸支される。
【0045】
樹脂成形体の軸受部材303B,303Cは、図8に示すように、内部に環状の壁面305が形成され、この壁面305は約半円分の環形状となる。弾性チューブ4は、この壁面305に沿って且つ当接した状態で配置される。また、壁面305の端から接線方向に延出した部分は、弾性チューブ4を挿入して固定する凹部360が形成されている。また、凹部360を形成した面と反対面には、弾性チューブ4を押さえる凸部である押え部361が形成される。弾性チューブ4、凹部360及び押え部361の関係については、後述する。
【0046】
軸受部材303B,303Cの周囲3箇所には、フック336及び当該フック336が係止する溝337が形成されている。軸受部材303同士を係合一体化する場合、軸受部材303Bのフック336を並設する軸受部材303Cの溝337に嵌め込んで係合する。
【0047】
軸受部材303B,303Cの第1軸受部331と第2軸受部332は、同軸上に一体連続形成され全体でスリーブ形状となる。
【0048】
支持板302は、ローラ1を回転自在に軸支する。ローラ1は、円柱部材の両端から回転軸が突出した構造である。支持板302には、ローラ1が所望の軌跡で動くように規制した円弧状の長穴363と、ガイド板364の端部364aとにより回転軸の軸受を構成する。ガイド板364と支持板302との間隔はローラ1の幅より若干大きい。なお、ガイド板364の端部364aは、前記支持板302の壁面5に隣接するガイド面365と対向して実質的に前記長穴363と同じ円弧状の軸受を形成する。
【0049】
支持板302の周囲には歯が形成されている。この歯は、前記減速ギア354の小径ギア354aと噛み合う。また、支持板302の第1軸321に設けた連結凸部367はプラス形状であり、隣の支持板302の第2軸322に設けた連結凹部368は前記プラス形状に対応したプラス穴となる。
【0050】
チュービングポンプ装置300の組立は、次のように行う。金属プレートからなる軸受部材303Aの軸353に減速ギア354を挿入し、続いて第1軸受部331に支持板302の第1軸321を通す。次に、支持板302の軸受に一対のローラ1を軸支する。また、樹脂成形体の軸受部材303Bの壁面305に沿って弾性チューブ4を配置すると共に、弾性チューブ4を凹部360に嵌め入れる。
【0051】
そして、支持板302の第2軸322を軸受部材303の第2軸受部332に挿入して軸支し、軸受部材303Bを軸受部材303Aに取り付ける。金属プレートからなる軸受部材303Aへの取り付けはネジ等により行う。この状態で軸受部材303同士の間の空間に支持板302が回転自在に軸支され、ローラ1が弾性チューブ4を壁面305との間に挟んだ状態となる。
【0052】
同様に、隣に配置されることになる支持板302に上記同様に一対のローラ1を軸支する。次に、樹脂成形体の軸受部材303Bの壁面305に沿って弾性チューブ4を配置すると共に、弾性チューブ4を凹部360に嵌め入れる。また、支持板302の第2軸322を軸受部材303Bの第2軸受部332に挿入して軸支し、軸受部材303Bを軸受部材303Cに取り付ける。軸受部材303同士は、係合部333により一体となる。この状態で軸受部材303同士の間の空間に支持板302が回転自在に軸支され、ローラ1が弾性チューブ4を壁面305との間に挟んだ状態となる。
【0053】
支持板302の第1軸321に設けた連結凸部367は、隣に配置される支持板302の第2軸322の連結凹部368に嵌り込んで、両支持板302の回転軸が相互に連結する。支持板302の回転がこの連結構造を介して支持板302に伝わる。このため、モータ351により一つの支持板302を回転させれば、全ての支持板302が回転することになる。
【0054】
支持板302が回転すると、ローラ1が弾性チューブ4を圧潰しながら前記壁面305に沿って移動するので、弾性チューブ4内の液体が押し出されるようにして移送される。
【0055】
また、図示しないが、更に支持板302及び軸受部材303を軸方向に追加並設できる。その場合、上記同様の手順で組み立てればよく、支持板302、ローラ1、軸受部材303等の部品は上記と同じものを使用できる。
【0056】
このチュービングポンプ装置300によれば、軸受部材303を軸方向に並設することでチュービングポンプ301を増やすことができるので、嵩張ることがなく全体を小型化できる。
【0057】
図9は、弾性チューブ、凹部および凸部である押え部との関係を示す説明図である。図9(a)に示すように、弾性チューブ4の直径が凹部360の幅より大きい場合、弾性チューブ4が凹部360に自然に入ることはないため、組立作業者は弾性チューブ4が凹部360に収納されていないことが目視できる。このため、組立作業者は、積極的に弾性チューブ4を凹部360に押し込んだ上で軸受部材303を係合一体化することになる。また、軸受部材303同士を係合することで押え部361が凹部360に蓋をするように位置し、押し込んだ弾性チューブ4を押さえるので、弾性チューブ4が使用中の振動等により凹部360から外れることがない。このため、弾性チューブ4が外れて支持板302の歯車部分等で損傷することがない。
【0058】
また、図9(b)に示すように、弾性チューブ4の直径が凹部360の幅以下である場合、弾性チューブ4が組立時に外れても、押え部361により弾性チューブ4を押して凹部360に再挿入させることができる。また、軸受部材303同士を係合することで押え部361が凹部360に蓋をするように位置し、押し込んだ弾性チューブ4を押さえるので、弾性チューブ4が使用中の振動等により凹部360から外れることがない。このため、弾性チューブ4が外れて支持板302の歯車部分等で損傷することがない。
【符号の説明】
【0059】
100 チュービングポンプ装置
1 ローラ
2 支持板
21 第1軸
22 第2軸
3 軸受部材
31 第1軸受部
32 第2軸受部
4 弾性チューブ
5 壁面
101 チュービングポンプ
図1
図2
図3
図4
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図8
図9
図10