(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1ロック機構は、前記両側カバーの一方にU字状弾性片を備え、前記両側カバーの他方に前記U字状弾性片が入り込む開口部を備え、前記両側カバーが前記中央カバーの上に折り畳まれたとき、前記U字状弾性片が前記開口部の中に嵌合することで両側カバーのロック状態が維持され、前記U字状弾性片の先端部を指で移動させることで容易に前記ロック状態を解除できることを特徴とする請求項1記載の絶縁カバー。
前記両側カバーがそれぞれヒンジを介して前記ケースの前記バスバー収容部の上に展開されるとき、前記両側カバーのそれぞれと前記ケースとが第2ロック機構により互いにロックされることを特徴とする請求項2記載の絶縁カバー。
【背景技術】
【0002】
〈特許文献1に係る電源装置のカバー構造〉
電池セルを直列に繋ぐバスバーの通電部を覆う絶縁カバーと、電池セルの電圧検出を行う電圧検出端子の電線を保護する電線保護カバーと、を備えたカバー構造としては、特許文献1記載のものがある。
図9は特許文献1に係る電源装置のカバー構造の一実施形態を示す全体斜視図、
図10は
図9のカバー構造の要部を示すケースの平面図で、(A)はケースからカバーを外した状態、(B)はケースにカバーを閉止した状態を示している。
〈電源装置1〉
図9および
図10において、電源装置1は、バッテリ2をなす複数の並列した板状の電池3と、バッテリ2の上部に装着されたバスバーモジュール4とで構成される。
〈電池3〉
各電池3は上端に+極と−極の各電極を有している。各電極は、一つの電池3の前側に+極、後側に−極が配置されると、隣接の電池3の前側に−極、後側に+極が配置されて、
図10(A)の長方形板状のバスバー5で一つの電池3の前側の+極と隣接の電池3の前側の−極とが直列に接続されている。右端の電極はバスバー5と端子13との各孔部5a,13aを貫通して上向きにバスバー収容部16内に突出し、ナット締めで相互に接続される。隣接の電極はバスバー5の左半の孔部5aを貫通して同様にナット締めで接続される。
〈バスバーモジュール4〉
バスバーモジュール4は、導電金属製のバスバー5と温度検出用のサーミスタ6とを装着した絶縁樹脂製のケース7と、ケース7の上側に装着された絶縁樹脂製のカバー8とで構成されている。
〈ケース7〉
ケース7は、
図10(A)の如く、長方形枠状の複数のバスバー収容部16と、バスバー収容部16の前側に細い可撓性の壁部17で連結された電圧検出用電線収容部14と、バスバー収容部16の後側に一体に続くサーミスタ収容部18と、サーミスタ収容部18の後側に一体に続く横長帯状のサーミスタ電線収容部19とを備えている。
〈カバー8〉
各カバー8は、
図9の前側の電極とバスバー5とに対向して前側の略L字状ないし略コの字状のものが配置されている。
各カバー8は独立して開閉自在であり、一つのカバー8ごとに一つのサーミスタ6とその導出電線10がケース7に配置されている。本例では四つの電池3に一つの割合でサーミスタ6が配置され、各カバー8は各サーミスタ6とその導出電線10と共に、四つの電極とそれに対応する二つのバスバー5とを同時に覆って保護する。
各カバー8は左右各一つの係止部11でケース7の係合部12に係止される。
図9で符号13は係止部11に対する型抜き孔である。
〈電圧検出用電線収容部カバー14〉
カバー8の前側には、バスバー5(
図10(A))に接続された電圧検出用の端子13に続く電線を収容する電圧検出用電線収容部カバー14が横長樋状に設けられ、電圧検出用の各電線は温度検出用の各導出電線10と共にケース7の左右の端部からまとめて外部に導出されている。
〈バスバー収容部16〉
各バスバー収容部16は、前後左右の枠状の垂直な周壁16と、電極挿通孔を有する水平な底壁16aとで構成され、一つのバスバー収容部16の周壁の左端は隣接のバスバー収容部16の周壁の右端に可撓性のヒンジ20で連結されている。バスバー5は周壁内の爪16bで係止され、バスバー5の右半の上面に電圧検出用の端子13が接触して、同様の爪16bで係止されている。
〈サーミスタ収容部18〉
サーミスタ収容部18は、所定のバスバー収容部16と後側のサーミスタ電線収容部19との間において、幅狭に(サーミスタ6の厚みの二倍程度の前後方向の幅で)、且つサーミスタ6の左右方向の全長よりも少し長い左右方向長さで、バスバー収容部16の底部側とサーミスタ電線収容部19の底部側とを連結して、バスバー収容部16とサーミスタ電線収容部19とよりも低く配設されている。サーミスタ6の導出電線10は垂直な左右のリブ28の間を通ってサーミスタ電線収容部19の水平な左右のリブ31の間に案内され、左右のリブ31の終端から湾曲部32に沿って
図10(A)で左側に屈曲案内されて、一対の爪部33の間に保持されて、水平な壁部(基壁)30に沿ってケース7の端部まで配索され、
図9の如くケース7の端部から他の電圧検出用の電線と共に外部に導出される。その状態で、
図10(B)の如く、カバー8がケース7上に装着されて、
図10(A)のバスバー5と電圧検出用端子13とサーミスタ6とその導出電線10とが覆われて外部との干渉等から安全に絶縁保護される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
〈特許文献1記載のカバー構造は別体〉
一般に、バスバーモジュールでは電池セルを直列につなぐバスバーの通電部と、各セルの電圧検出を行う電圧検出端子の電線を保護しなければならない。従来装置では特許文献1で示すようにそれらの保護を別々のカバーで行っていた。これは、電線配策と電池への締結が別々の工場で行われるためである。工場Aで電線を配策し、工場Bでバスバーを孔部5a(以降、締結部5aと記述する。)にて電池に締結する場合、工場Aから工場Bへの輸送時に電線が飛び出したり傷付いたりしないように電線を保護する必要がある。
したがって、
図10(A)の電圧検出用電線収容部カバー14で電線を保護し、
図10(B)のカバー8で通電部を保護している。
図10(A)の電圧検出用電線収容部カバー14はケース7と一体に成型されており、ヒンジで開閉する構造になっている。
一方、
図10(B)のカバー8はケース7とは別体であり、工場Bにて
図10(A)の締結部5aにてバスバー5を電池に締結した後、カバー8がケース7に組付けられる。
【0005】
〈特許文献1記載のカバー構造の問題点〉
工場Aから工場Bに対してはケース7とカバー8を別々に出荷するため、2品番での管理が必要となる。
本発明はこれらの問題点を解決するためになされたもので、電圧検出用電線収容部カバーと、通電部を覆うカバーとを一体化することで1品番で管理でき、管理費削減に寄与することができる絶縁カバーを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本願発明(1)〜(4)に係る絶縁カバーは次のことを特徴としている。
(1) ケースの電圧検出用電線収容部を覆う中央カバーと、前記ケースのバスバー収容部を覆うため前記中央カバーの両端にそれぞれヒンジを介して形成される両側カバーとを備えた絶縁カバーにおいて、
前記中央カバーの上に両側カバーがそれぞれヒンジを介して折り畳まれるとき、前記両側カバーの一方と他方とがそれぞれ第1ロック機構により互いにロックされること。
(2) 上記(1)において、前記第1ロック機構は、前記両側カバーの一方にU字状弾性片を備え、前記両側カバーの他方に前記U字状弾性片が入り込む開口部を備え、前記両側カバーが前記中央カバーの上に折り畳まれたとき、前記U字状弾性片が前記開口部の中に嵌合することで両側カバーのロック状態が維持され、前記U字状弾性片の先端部を指で移動させることで容易に前記ロック状態を解除できること。
(3) 上記(2)において、前記両側カバーがそれぞれヒンジを介して前記ケースの前記バスバー収容部の上に展開されるとき、前記両側カバーのそれぞれと前記ケースとが第2ロック機構により互いにロックされること。
(4) 上記(3)において、前記中央カバーが前記ケースの上に装着されるとき、前記
中央カバーと前記ケースとが第3ロック機構により互いにロックされること。
【0007】
上記構成により、バスバープレートの電線保護カバーと通電部位を覆う絶縁カバーとがヒンジを介して一体化されたので、1品番で管理でき、管理費削減に寄与することができる。
【発明の効果】
【0008】
上記発明(1)によれば、中央カバーの上に両側カバーがそれぞれヒンジを介して折り畳まれるとき、両側カバーの一方と他方とがそれぞれ第1ロック機構により互いにロックされるので、運搬中に両側カバーが衝撃を受けても両側カバーが展開することがない。
上記発明(2)によれば、U字状弾性片の先端部を指で移動させることで容易にロック状態を解除できるので、工場内での作業性が向上する。
上記発明(3)によれば、両側カバーがそれぞれヒンジを介してバスバー収容部の上に展開されるとき、両側カバーのそれぞれとケースとが第2ロック機構により互いにロックされるので、使用中に両側カバーが衝撃を受けても両側カバーは展開状態を維持することができる。
上記発明(4)によれば、
中央カバーがケースの上に装着されるとき、
中央カバーとケースとが第3ロック機構により互いにロックされるので、その後の両側カバーの折り畳み・展開作業をスムーズに行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〈バスバーモジュール100〉
図1〜
図3は本発明に係るカバーとケースを示す斜視図で、
図1はカバーをケースに組み付ける前、
図2はカバーを
図1の状態(すなわち、未展開状態)のままケースに組み付けた状態(輸送時)、
図3は
図2の状態からカバーの両側カバーを展開して、通電部位を覆った状態(使用時)である。
図4と
図5は本発明に係るカバーを説明する斜視図で、
図4(A)は両側カバーが展開した状態、
図4(B)は両側カバーが折り畳まれた状態である。
図5は
図4(A)のカバーを裏返しにした状態である。
図1において、バスバーモジュール100は、導電金属製のバスバーと温度検出用のサーミスタとを装着する絶縁樹脂製のケース110と、ケース110の上側に装着された本発明に係る絶縁樹脂製のカバー120とで構成されている。
以下、ケース110と本発明に係る絶縁樹脂製のカバー120とについて詳述する。
【0011】
〈ケース110〉
ケース110(
図1)は樹脂成型されて成り、下部に設置された図示のない電池セルを直列につなぐためのバスバーBを収容する長方形枠状のバスバー収容部110Bを左右の両端に沿ってそれぞれ複数個備え、かつ、各電池セルの電圧検出を行う電圧検出端子の電線を収容する電圧検出用電線収容部110Cを左右のバスバー収容部110Bの間の中間部に備えている。
なお、以下の図面では、同じ部材が複数個存在する場合、すべての部材に同じ符号を付すると符号が多くなって図面が見にくくなるので、符号は原則として代表して1つの部材についてのみ付することとし、後の部材については符号を付することを省略する。
図1のケース110の上側に
図1のカバー120が装着されると、
図2のようになり、この状態で輸送される。そして、使用時には、さらに
図2の両側カバー122(
図2で、右側カバー122Rと左側カバー122L)が展開されて、
図3のようになり、ケース110の左右のバスバー収容部110Bはカバー120の両側カバー122(右側カバー122Rと左側カバー122L)で覆われる。
もちろん、ケース110の中央部の電圧検出用電線収容部110Cは、カバー120の中央カバー121で覆われている。
ケース110へカバー120を装着した状態を維持するために、本発明ではロック機構Aを設けている。ロック機構Aは、以下で詳述するように、ケース110の係止突起110K(
図1)とカバー120の係止枠120K(
図1)とから成る。
【0012】
〈ケース110へカバー120を装着した状態を維持するためのロック機構A〉
カバー120を裏返しにした斜視図である
図5において、中央カバー121の裏側のそれぞれ右側カバー122Rと左側カバー122Lの近傍に複数個(
図5では右側に3個、左側に3個)の係止枠120Kが上向きに(
図1の吹き出し部では裏側から下向きに)形成されている。
一方、
図1において、ケース110の電圧検出用電線収容部110Cを形成する側壁110Sに係止突起110K(
図1の吹き出し部参照)が形成されている。
図1におけるケース110の係止突起110Kと係止枠120Kのロック機構Aについて、
図6を用いて説明する。
【0013】
〈装着した状態を維持するためのロック機構Aの動作〉
図6(A)はロック直前、(B)はロック完了状態である。
図6(A)において、係止突起110Kはケース110と一体に樹脂成型されてなるもので、上側に向けて突起が小さくなる方向のテーパKtと、テーパKtの最大突起の端部側から側壁110Sに向かって形成される垂直部Ksで成り、縦断面で略直角三角形に形成されている。
係止枠120Kは、カバー120と一体に樹脂成型されてなるもので、中央カバー121の裏側から下向きに2本の脚部120F、120F(
図1の吹き出し部参照)が係止突起110Kの横幅の間隔をあけて立設し、二本の脚部120F、120Fのそれぞれ先端が連結部120Nで連結されて成る。2本の脚部120F、120Fは樹脂材料自身の持つ弾性により弾性変形可能となっている。係止突起110Kを連結部120Nの間に取り込み易くするため連結部120Nの先端のケース側にテーパT1が形成され、連結部120Nの反テーパ側には係止用の垂直部T2が形成されている。
そこで、
図6(A)の状態(すなわち、
図1の状態)から中央カバー121を降下させて、ケース110の上に押しつけると、中央カバー121の係止枠120Kの連結部120Nがケース110の係止突起110KのテーパT1に当接する。
さらに押しつけると、係止枠120Kの脚部120F、120Fはその樹脂材料の持つ弾性と係止突起110KのテーパT1とにより弾性変形しながらて下方へ進んでいく。
そして最終的に、係止枠120Kの連結部120Nが係止突起110Kを乗り越えて、脚部120F、120Fが弾性復帰して、
図6(B)のように係止枠120Kの連結部120Nの垂直部T2が係止突起110Kの下辺の垂直部Ksに対向して、ロックが完了する。なお、中央カバー121の裏側に、係止枠120K側端部から側壁110Sの厚み分を隔てて形成されたリブ121Tは、ロック完了後に側壁110Sが倒れるのを防止する倒れ防止リブである。
図2は、このようにロック機構A(第3ロック機構)によってケース110の上にカバー120が装着された状態を示している。これ以後は、ロック機構Aによってケース110とカバー120が装着されているので、外力がケース110やカバー120に加わっても、カバー120がケース110から外れることはなくなる。
【0014】
〈カバー120〉
以上は、ケース110の説明と、ケース110とカバー120の装着の説明であった。
次に、本発明に係るカバー120について説明する。
カバー120(
図4(A))は、中央部の長尺状で幅広の中央カバー121とその両側にある長尺状で幅狭の両側カバー122(
図2で見て、右側カバー122Rと左側カバー122Lとから成る。)とを備え、中央カバー121と右側カバー122R、中央カバー121と左側カバー122Lはそれぞれ薄肉部によるヒンジHで開閉するようになっている。幅狭の右側カバー122Rと左側カバー122LとがそれぞれヒンジHで折り畳まれることができるので、
図4(B)のように幅広の中央カバー121の上をまず、右側カバー122Rが覆い、次に左側カバー122Lが右側カバー122Rを覆うことで、次に説明するロック機構Bで右側カバー122Rと左側カバー122Lは互いに外れなくなる。
【0015】
〈両側カバー122を折り畳んだ状態を維持するためのロック機構B〉
ロック機構B(第1ロック機構)には、右側カバー122Rの開口部Lh(
図4)と左側カバー122LのU字状弾性片Rh(
図4)とが用いられる。
右側カバー122Rはヒンジ側Bh(
図4(A))と反ヒンジ側Ah(
図4(A))とで、ヒンジ側Bhよりも反ヒンジ側Ahが若干低くなるように段差が形成されており、その反ヒンジ側Ahに開口部Lhが複数個(
図4では4個)形成されている。
一方、左側カバー122Lもヒンジ側Bh(
図4(A))と反ヒンジ側Ah(
図4(A))とで、ヒンジ側Bhよりも反ヒンジ側Ahが若干低くなるように段差が形成されており、その反ヒンジ側AhにU字状弾性片Rhが複数個(
図4では4個)形成されている。
そこで、右側カバー122RがヒンジHを介して中央カバー121の上に折り畳まれたときに右側カバー122Rを中央カバー121から所定の高さに浮かして受け止めるためのストッパSt(
図4(A))が中央カバー121の上に複数箇所(
図4では8箇所)に形成されている。
したがって右側カバー122RがヒンジHを介して中央カバー121の上に折り畳まれると、右側カバー122Rのヒンジ側BhはストッパStで支持されるので、ヒンジ側Bhは中央カバー121から浮いた状態に維持され、右側カバー122Rに形成された4箇所の開口部Lhも浮いた状態になるので、左側カバー122Lに形成された4箇所のU字状弾性片Rhが開口部Lhに嵌合可能となる。
この状態で、次に、左側カバー122LがヒンジHを介して中央カバー121の上に折り畳まれた右側カバー122Rの上に畳まれると、左側カバー122Lに形成された4箇所のU字状弾性片Rhが、右側カバー122Rの反ヒンジ側Ahに形成された4箇所の開口部Lhにそれぞれ嵌合するため、両側カバー122の折り畳み状態が維持される。
図4における
図4における右側カバー122Rの開口部Lhと左側カバー122LのU字状弾性片Rhのロック機構Bについて、
図7を用いて説明する。
【0016】
〈折り畳んだ状態を維持するためのロック機構Bの動作〉
図7は左側カバー122Lに形成されたU字状弾性片Rhが右側カバー122Rの反ヒンジ側Ahに形成された開口部Lhに嵌合して、両側カバー122が折り畳まれた状態を保つためのロック機構Bの1例を説明する断面図で、(A)はロック直前、(B)はロック完了状態である。
図7(A)において、右側カバー122Rの反ヒンジ側Ahに開口部Lhが形成されており、一方、左側カバー122LにはU字状弾性片Rhが形成されている。U字状弾性片Rhには、その先端近傍に外側に向けて突起Tが形成されており、突起Tの曲部側にはテーパT1(
図7(B))が形成され、突起Tの曲部と反対側には垂直部T2が(
図7(A))形成されている。
そこで、先に畳まれた右側カバー122Rの上に左側カバー122Lを押しつけていくと、U字状の曲部側から右側カバー122Rの開口部Lhに入り込み、やがて開口部Lhの縁に突起TのテーパT1が当接し、U字状弾性片Rhの樹脂材料自身の持つ弾性とテーパT1とにより弾性変形しながら前進していく。
さらに、右側カバー122Rに左側カバー122Lを押しつけていくと、U字状弾性片Rhの突起Tが開口部Lhの縁を乗り越えて、U字状弾性片Rhが弾性復帰して、最終的に、
図7(B)のように右側カバー122Rの開口部LhにU字状弾性片Rhの突起Tの垂直部T2が係止して、ロックが完了する。
図4(B)は、
図1のように中央カバー121の上に右側カバー122Rと左側カバー122Lが折り畳まれて、右側カバー122Rの開口部Lhに、左側カバー122LのU字状弾性片Rhが嵌合して、両側カバー122の折り畳み状態が維持された状態を示している。
工場Aで電線を配策し、工場Bでバスバープレートを締結部にて電池に締結する場合、工場Aから工場Bへの輸送時に電線が飛び出したり傷付いたりしないように電線を保護する必要がある。そこで電圧検出用電線収容部110C(
図1)は
図2のように中央カバー121で覆って電線を保護し、一方、バスバー収容部110Bは次の工場Bで作業に着手し易くするため、中央カバー121の上に両側カバー122がそれぞれ折り畳まれて、バスバー収容部110Bが露出した状態で輸送される。以上説明したロック機構Bによってこの折り畳み状態が維持されることとなる。
なお、工場Bでは作業者が指で容易に両側カバー122の折り畳み状態を解除できるようにU字状弾性片Rhは撓みやすい形状としてあり、さらに、先端部X(
図7(B))が反ヒンジ側Ahの開口部Lhから上方に突出した状態に形成されているため、作業者が先端部Xに指を引っ掛けて矢印方向Fに撓ませることで容易に両側カバー122の折り畳み状態を解除できる。
両側カバー122の折り畳み状態を解除した後は、両側カバー122を展開してバスバー収容部110Bを覆うこととなる。両側カバー122を展開した状態を維持するために、本発明ではロック機構Cを設けている。
【0017】
〈両側カバーを展開した状態を維持するためのロック機構C〉
工場Bでバスバープレートを締結部にて電池に締結した後は、両側カバー122を展開してケース110のバスバー収容部110B(
図1)を覆うことになる。その両側カバーを展開した状態を維持するためのロック機構Cがある。
ロック機構Cは、ケース110側の係止突起110F(
図2)とカバー120の両側カバー122側の係止枠122F(
図2)で構成される。
【0018】
〈ケース110側の係止突起110F〉
カバーを未展開状態でケースに組み付けた斜視図である
図2において、左右両側のカバー122R、122Lで覆われる長方形枠状の複数個のバスバー収容部110Bの短辺側の側面Sに係止突起110Fが形成されている。
図2では、右側カバー122Rのバスバー収容部110Bに3個、左側カバー122Lのバスバー収容部110Bに4個形成されているが、
図2では1個しか見えない。係止突起110Fの形状はロック機構Aの係止突起110K(
図1)と同じで、ケース110と一体に樹脂成型されてなり、上側に向けて突起が小さくなる方向のテーパと、このテーパの最大突起の端部側から側面Sに向かって直角に向かう垂直部とで成る縦断面で略直角三角形(
図8参照)に形成されている。
【0019】
〈両側カバー122側の係止枠122F〉
一方、カバーを未展開状態でケースに組み付けた斜視図である
図2において、左右両側のカバー122R、122Lの裏側に長さ方向に直角にそれぞれ複数個(
図2では、右側カバー122Rに3個、左側カバー122Lに4個)の係止枠122Fが上向きに形成されている。
係止枠120Fの形状はロック機構Aの係止枠120K(
図1)と同じで、カバー120と一体に樹脂成型されてなり、2本の脚部122H、122Hが係止突起110Fの横幅の間隔をあけて立設し、2本の脚部122H、122Hのそれぞれ先端が連結部122Nで連結されて成る。2本の脚部122H、122Hは樹脂材料自身の持つ弾性により弾性変形可能となっている。係止突起110Fを連結部122Nの間に取り込み易くするため連結部122Nの先端のケース側にテーパが形成され、連結部122Nの反テーパ側には係止用の垂直部が形成されている。
以上のケース110側の係止突起110Fとカバー120側の係止枠122Fとで構成されるロック機構Cについて、
図8を用いて説明する。
【0020】
〈展開した状態を維持するためのロック機構Cの動作〉
図8(A)はロック直前、(B)はロック完了状態である。
図8(A)の状態から例えば左側カバー122Lを降下させて、ケース110の上に押しつけると、左側カバー122Lの係止枠122Fの連結部122Nがケース110側の係止突起110Fのテーパに当接する。
さらに押しつけると、係止枠122Fの脚部122H、122Hはその樹脂材料の持つ弾性と係止突起110Fのテーパとによりスムーズに弾性変形しながらて下方へ進んでいく。
そして最終的に、係止枠122Fの連結部122Nが係止突起110Fを乗り越えて、脚部122H、122Hが弾性復帰して、
図8(B)のように係止枠122Fの連結部122Nの垂直部が係止突起110Fの下辺の垂直部に対向して、ロックが完了する。
なお、左右両側カバー122R、122Lの裏側に、係止枠122F側端部から壁面Sの厚み分を隔てて形成されたリブ122Tは、ロック完了後に壁面Sが倒れるのを防止する倒れ防止リブである。
図3は、このようにロック機構C(第2ロック機構)によって両側カバー122の係止枠122Fが係止突起110Fに係止して、ロックが完了し、ケース110のバスバー収容部110Bの上に両端カバー122が展開した状態を示している。
【0021】
〈まとめ〉
工場Aから工場Bに対してはカバーの中央カバーでケースの電圧検出用電線収容部を覆い、左右のバスバー収容部は露出したままの状態で出荷し、工場Bで左右のバスバー収容部にバスバー等を締結した後は両端カバーを展開して左右のバスバー収容部を覆って保護するが、本発明によれば、ケースとカバーがロック機構Aで一体となった状態で出荷されるため、1品番で管理でき、管理費削減に寄与することができ、しかも、ロック機構Bで両端カバー同士を折り畳んだ状態に維持されて輸送されるので、工場Bでは従来と変わらない状態で作業をすることができ、作業終了後の両端カバー同士を折り畳んだ状態の解除も容易に行えるので作業性がよい。さらに、ロック機構Cによって、両端カバー同士をケースの上に展開した状態に維持することができるので、ケースの電圧検出用電線収容部とバスバー収容部とが確実に保護されることができる。