(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の粘着テープは、支持基材の少なくとも一方の面側にアクリル系粘着剤層を有する。本発明の粘着テープは、支持基材の一方の面側にアクリル系粘着剤層を有する片面粘着テープであってもよいし、支持基材の両方の面側にアクリル系粘着剤層を有する両面粘着テープであってもよい。本発明の粘着テープは、ロール状に巻き取った巻回体の形態を有していてもよい。なお、粘着テープは、粘着シートを含む概念である。
【0017】
また、本発明の粘着テープは、必要に応じて中間層などを有していてもよい。
【0018】
(支持基材)
本発明の粘着テープは、「低密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンを含有し、低密度ポリエチレンの含有量及び高密度ポリエチレンの含有量の合計量が80重量%以上であり、且つ、少なくとも一方の面に幅方向に溝状の凹部を有する支持基材」を有する。上記支持基材は、テープ状やシート状の形状を有する。また、上記「幅方向」は、支持基材の幅方向であり、本発明の粘着テープの幅方向と同一の方向である。なお、本明細書では、「溝状の凹部」を単に「凹部」と称する場合がある。
【0019】
以下に、上記支持基材の形態を、必要に応じて図面を参照しつつ詳細に説明する。上記支持基材の形態としては、特に限定されないが、一例として、
図1及び
図2に示す支持基材が挙げられる。
図1は本発明の粘着テープにおける支持基材の一例を部分的に示す概略上面図であり、
図2は本発明の粘着テープにおける支持基材の一例を部分的に示す長さ方向の概略断面図である。
図1及び
図2において、1は支持基材であり、2は凹部である。また、wは凹部の幅であり、Lは凹部のピッチ間隔であり、Dは凹部の深さ(最大深さ)であり、hは支持基材の厚み(最大厚み)である。さらに、Xは支持基材の長さ方向であり、Yは支持基材の幅方向である。
【0020】
図1及び
図2の支持基材は、一方の面に凹部を有する面を有し、他方の面に平滑な面を有する。また、凹部を有する面では、幅方向の直線状に溝状の凹部を有する。さらに、凹部を有する面では、凹部の幅は一定であり、また凹部のピッチ間隔も一定である。凹部の底面は、曲面状である。なお、
図1及び
図2の支持基材における幅方向に溝状の凹部(凹部)の個数は、4である。
【0021】
また、支持基材は、凹部にリブを有していてもよい。
図3は本発明の粘着テープにおける支持基材の一例を部分的に示す概略外観図であり、凹部にリブを有する態様を示す。
図3において、1は支持基材であり、2は凹部であり、3はリブである。また、Xは支持基材の長さ方向であり、Yは支持基材の幅方向である。なお、
図3に示された支持基材における幅方向に溝状の凹部(凹部)の個数は、4である。
【0022】
図1〜3の凹部の底面は、曲面である。つまり、
図1〜3の凹部は、幅方向に溝状の凹部であり、その底面はまるみを帯びており、湾曲している。
【0023】
上記支持基材の凹部における凹部底面の形状は、良好な手切れ性を得つつ、長さ方向での強度を得る点から、曲面状が好ましい。なお、凹部底面の形状が鋭い場合、例えば鋭角状(V字状)である場合、長さ方向に力がかかると、その鋭利な部分に力が集中し、破断や切断が生じやすくなることがある。例えば、粘着テープ巻回体より粘着テープを巻き戻す際に頻繁に「切れ」が生じ、巻き戻し時の作業性が低下する場合がある。また、粘着テープを使用後被着体より剥がす際に「切れ」が生じると、粘着テープ切断片の被着体上への残存や作業性の低下を生じる場合がある。なお、「切れ」とは、粘着テープが切れることをいう。
【0024】
上記支持基材の凹部の深さ(最大深さ)は、特に限定されないが、手切れ性を得つつ、長さ方向で十分な強度を得る点から、10〜160μmが好ましく、より好ましくは20〜100μmである。
【0025】
さらに、上記支持基材の凹部の深さは、特に限定されないが、支持基材の厚み(最大厚み)(100%)に対して、20〜80%が好ましく、より好ましくは20〜50%である。凹部の深さが支持基材の厚みに対して20%以上であると、粘着テープで良好な手切れ性を得られるので、好ましい。一方、凹部の深さが支持基材の厚みに対して80%以下であると、粘着テープの長さ方向の強度を十分に得ることができ、粘着テープを巻き戻す際や粘着テープを使用後被着体より剥がす際の「切れ」の発生を効果的に抑制できる。
【0026】
上記支持基材の凹部の最大幅は、特に限定されないが、50〜500μmが好ましく、より好ましくは50〜300μm、さらに好ましくは50〜200μmである。凹部の最大幅は、支持基材の凹部を有する面での1の凹部の長手方向の最大幅を意味する。凹部の最大幅が500μm以下であると、粘着テープを手で切断するために力がかかっても、その力が分散しにくくなり、良好な手切れ性が得やすい。なお、凹部の最大幅が500μmを超えると、支持基材の機械的強度が低下する場合がある。また、凹部の最大幅が50μm未満であると、凹部を形成する加工をする際に、凹部の深さを確保することが難しくなる場合がある。
【0027】
また、上記支持基材の凹部は、リブを有していてもよい。該リブは、支持基材の長手方向に、凹部の一部分を埋める形態で設けられた支柱状の構造部である。凹部がリブを有していると、支持基材に力が作用した際に、凹部の変形を防止して、凹部の変形に起因する支持基材の手切れ性の低下を防ぐことができる。また、支持基材の手切れ性の維持しつつ、支持基材の長手方向の強度を高めることができ、粘着テープの巻戻しの際や使用後被着体より剥がす際の「切れ」の発生を抑制することができる。
【0028】
リブの幅は、特に限定されないが、手切れ性の点から、50〜500μmが好ましく、より好ましくは50〜200μmである。また、1(1つ)の上記凹部におけるリブの個数は、特に限定されないが、手切れ性の点から、20〜100個/cmが好ましく、より好ましくは20〜50個/cmである。さらに、リブ間の距離(支持基材の幅方向におけるリブ間の最短距離)は、特に限定されないが、手切れ性の点から、100〜500μmが好ましく、より好ましくは200〜500μmである。
【0029】
本発明の粘着テープにおける支持基材は、少なくとも一方の面が上記凹部を有する。つまり、本発明の粘着テープにおける支持基材は、一方の面のみが凹部を有する面であってもよいし、両方の面が凹部を有する面であってもよい。特に、本発明の粘着テープにおける支持基材は、長手方向の強度を高めて、巻戻しの際や粘着テープを使用後被着体より剥がす際の「切れ」の発生を抑制する点から、一方の面のみに上記凹部を有することが好ましい。つまり、本発明の粘着テープにおける支持基材は、一方の面が上記凹部を有する面であり、他方の面が、上記凹部を有することなく、平滑な面であることがより好ましい。
【0030】
また、上記支持基材上にアクリル系粘着剤層を形成する場合、上記支持基材におけるアクリル系粘着剤層を形成する面が凹部を有する面であると、アクリル系粘着剤層と支持基材との間で十分な接触面積が得られず、アクリル系粘着剤層と支持基材との間で十分な密着性が得られないおそれがある。このことからも、上記支持基材は、一方の面が凹部を有する面であり、他方の面が平滑な面であることが好ましい。
【0031】
上記支持基材の凹部を有する面での1(1つ)の凹部の形状は、幅方向(長さ方向に対して垂直方向)に伸びた形状であり、手切れ性の点から、幅方向の一方の端部から他方の端部まで幅方向に伸びた形状であることが好ましい。
【0032】
このような凹部の形状としては、特に限定されないが、例えば、直線状、ジグザグ線状、波状、曲線状などが挙げられる。中でも、手切れ性の点から、直線状が好ましい。
【0033】
また、上記支持基材の凹部を有する面における凹部のピッチ間隔は、特に限定されないが、100〜4000μmであることが好ましく、より好ましくは500〜3000μm、さらに好ましくは500〜2000μmである。上記凹部のピッチ間隔が4000μmを超えると、切断する位置が広くなり、意図したところで切断ができないことがあり、結果として、手切れ性が低下する場合がある。なお、凹部のピッチ間隔が100μm未満となるように、凹部を設けることは、加工性の点から難しい。
【0034】
また、上記支持基材の凹部を有する面(片面)において、上記凹部の個数は、特に限定されないが、200〜2000個/mであり、好ましくは200〜1500個/mであり、さらに好ましくは500〜1500個/mである。なお、上記凹部の具体的な個数は支持基材の凹部の有する面において、支持基材の幅方向に伸びる凹部の、支持基材の長さ方向1m当たりの個数である。
【0035】
上記支持基材の厚み(全体厚み、最大厚み)は、特に限定されないが、50〜200μmが好ましく、より好ましくは70〜200μm、さらに好ましくは70〜180μmである。上記厚みが50μm以上であると、十分な機械的強度が得やすく、粘着テープを巻き戻す際や粘着テープを使用後被着体より剥がす際の「切れ」を効果的に抑制できる。一方、上記厚みが200μm以下であると、機械的強度が高くなりすぎて、反発性が強くなりすぎることを効果的に抑制できる。なお、支持基材の反発性が強くなると「浮き」や「剥がれ」が発生しやすくなる場合がある。
【0036】
本発明の粘着テープにおける支持基材は、低密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンを含有する。つまり、本発明の粘着テープにおける支持基材は、低密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンを主成分として含有するポリエチレン系樹脂フィルムにより構成されることが好ましい。低密度ポリエチレンを含有することにより、硬くもなく、軟らかくもなく、適度な機械的強度と適度な柔軟性が得られる。
【0037】
上記低密度ポリエチレンとは、密度が0.880g/cm
3以上0.940g/cm
3未満のポリエチレンをいう。上記低密度ポリエチレンの密度は、0.910g/cm
3以上0.930g/cm
3以下であることが特に好ましい。上記低密度ポリエチレンとは、エチレンモノマーを高圧法により重合して得られる、長鎖分岐(分岐鎖長は特に限定されない)を有するもの、いわゆる「低密度ポリエチレン」や「超低密度ポリエチレン」と称するもの、及びエチレンと炭素数が3〜8のα−オレフィンモノマーとを低圧法により重合して得られる「直鎖状低密度ポリエチレン」(この場合の短鎖分岐の長さは炭素数1〜6)と称するもの、さらには上記密度範囲に包含される「エチレン−α−オレフィン共重合体エラストマー」の総称として定義される。なお、低密度ポリエチレンの密度は、JIS K 7112に準拠して測定し得る。
【0038】
上記高密度ポリエチレンは、密度が0.940g/cm
3以上0.970g/cm
3未満のポリエチレンをいう。上記高密度ポリエチレンの密度は、0.950g/cm
3以上0.965g/cm
3以下であることが特に好ましい。なお、高密度ポリエチレンの密度は、JIS K 7112に準拠して測定し得る。
【0039】
本発明の粘着テープにおける支持基材中の低密度ポリエチレンの含有量及び高密度ポリエチレンの含有量の合計量は、支持基材の全重量(100重量%)に対して、80重量%以上であり、より好ましくは90重量%以上である。
【0040】
上記支持基材において、低密度ポリエチレンと高密度ポリエチレンとの割合[HDPE:LDPE](重量比)は、特に限定されないが、10:90〜90:10が好ましく、より好ましくは20:80〜50:50である。高密度ポリエチレンの割合が大きすぎると、機械的強度が高くなり段差などに対する反発力が大きくなって、浮きが発生しやすくなる場合があり、一方、低密度ポリエチレンの割合が大きすぎると、機械的強度が低くなって、手切れ性が低下する場合がある。
【0041】
また、上記支持基材には、添加剤が含まれていてもよい。なお、支持基材には、添加剤が、単独で又は2種以上組み合わせて含まれていてもよい。
【0042】
例えば、上記支持基材には、手切れ性の向上の点から、充填剤が含まれていてもよい。また、難燃性、耐光性、耐熱性、加熱変形性、剛性などの付与を目的として、充填剤が含まれていてもよい。上記支持基材中の充填剤の含有量は、特に限定されないが、充填剤を添加することによる効果を得つつ、低温での脆性破壊を抑制する点から、支持基材の全重量(100重量%)に対して、5重量%以下が好ましく、より好ましくは1〜3重量%である。
【0043】
また、上記充填剤以外の添加剤としては、例えば、顔料や染料などの着色剤、老化防止剤、可塑剤などが挙げられる。
【0044】
本発明の粘着テープにおける支持基材の作製方法としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン系樹脂フィルム(ポリエチレン系樹脂シート)の少なくとも一方の面に、幅方向に溝状の凹部を形成することが挙げられる。ポリエチレン系樹脂フィルム(ポリエチレン系樹脂シート)の作製方法としては、特に限定されないが、溶融製膜法(Tダイ法、インフレーション法)、溶液製膜法などの公知乃至慣用の方法が挙げられる。また、凹部の形成方法としては、特に限定されないが、例えば、溶融状態のポリエチレン系樹脂フィルムに凹凸彫刻を施した成形ロールなどを押し当てて凹部の形状を転写する方法や、製膜されたポリエチレン系樹脂フィルム表面に凹凸形状を有するロールなどを押し当てて凹部を形成する方法など挙げられる。
【0045】
具体的には、上記支持基材は、所望の凹部の得やすさの点から、Tダイ(T型ダイ)より押し出されたポリエチレン系樹脂フィルム(ポリエチレン系樹脂シート)を、凹凸彫刻を施した冷却ロール(凹凸彫刻を施した成形ロール、凹凸彫刻を施したエンボスロール)で引き取り、凹部を形成することにより作製されることが好ましい。
【0046】
なお、上記作製方法では、一度形成された凹部の変形を防ぐ点から、延伸処理は施されないことが好ましい。すなわち、上記支持基材は、未延伸のプラスチックフィルムから構成されることが好ましい。
【0047】
なお、上記支持基材は、透明性を有していてもよく、また、不透明であってもよい。
【0048】
また、上記支持基材には、必要に応じて、表面処理が施されていてもよい。上記表面処理としては、特に限定されないが、例えば、本発明の粘着テープのアクリル系粘着剤層との投錨性の低下を目的とした背面処理層(剥離処理層)の形成のための、背面処理剤(剥離剤)による背面処理(剥離処理);本発明の粘着テープのアクリル系粘着剤層への密着力向上を目的とした物理的処理(例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理など)や化学的処理(例えば、下塗り処理など)などが好ましく挙げられる。
【0049】
上記背面処理に用いられる背面処理剤としては、特に限定されないが、例えば、シリコーン系背面処理剤、長鎖アルキル系背面処理剤などが挙げられる。なお、背面処理剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0050】
特に、上記支持基材は、アクリル系粘着剤層への投錨性の点から、コロナ放電処理、プラズマ処理などの上記物理的処理や下塗り処理などの上記化学的処理が施されていることが好ましい。本発明の粘着テープにおいて、凹部付き基材とアクリル系粘着剤層との密着性が優れていると、「糊残り」の発生を有効に防止できる。
【0051】
また、上記支持基材表面に背面処理が施されていると、上記支持基材表面における背面処理が施された面がアクリル系粘着剤層を保護する形態で粘着テープがロール状に巻き取られた粘着テープ巻回体において、巻き戻し時の力(巻き戻しに要する力、巻戻し力)を軽くすることができる。このような粘着テープ巻回体は、粘着テープを容易に繰り出すことができ、巻き戻し時の作業性に優れる。
【0052】
例えば、上記支持基材は、一方の面にコロナ放電処理が施されていてもよい。具体的には、上記支持基材が、一方の面が平滑な面であり、他方の面が凹部を有する面である支持基材である場合、粘着剤層と支持基材との密着性の点から、平滑な面にコロナ処理が施されることが好ましい。
【0053】
また、例えば、上記支持基材は、一方の面にコロナ放電処理が施され、他方の面に背面処理が施されていてもよい。具体的には、上記支持基材が、一方の面が平滑な面であり、他方の面が凹部を有する面である支持基材である場合、粘着剤層と支持基材の密着性、及び、巻き戻し作業性の点から、平滑な面にコロナ処理が施され、凹部を有する面に背面処理が施されることが好ましい。
【0054】
(アクリル系粘着剤層)
本発明の粘着テープは、上記支持基材の少なくとも一方の面側に、アクリル系粘着剤層を有する。アクリル系粘着剤層は、耐熱性、耐候性及びポリマーの設計の容易さの点で好ましい。
【0055】
上記アクリル系粘着剤層は、ベースポリマーとしてアクリル系重合体を含有する。上記アクリル系粘着剤層は、アクリル系重合体の他に、必要に応じて、添加剤(例えば、架橋剤や粘着付与剤など)を含んでいてもよい。なお、上記成分(アクリル系重合体や添加剤)は、それぞれ、単独で又は2種以上組み合わされて含まれていてもよい。
【0056】
なお、上記アクリル系粘着剤層中の上記アクリル系重合体の含有量は、特に限定されないが、アクリル系粘着剤層の全重量(100重量%)に対して、60重量%以上が好ましく、より好ましくは80重量%以上である。
【0057】
上記アクリル系粘着剤層における粘着剤は、いずれの形態を有している粘着剤であってもよく、例えば、エマルジョン型粘着剤、溶剤型粘着剤、熱溶融型粘着剤(ホットメルト型粘着剤)、活性エネルギー線硬化型粘着剤などが挙げられる。
【0058】
上記アクリル系粘着剤層は、アクリル系粘着剤組成物より形成されたアクリル系粘着剤層であることが好ましい。上記アクリル系粘着剤組成物は、粘着剤層の形成方法によっても異なり、特に限定されないが、例えば、アクリル系重合体を必須成分とするアクリル系粘着剤組成物、アクリル系重合体を形成するモノマー(単量体)成分の混合物(「モノマー混合物」と称する場合がある)又はその部分重合物を必須成分とするアクリル系粘着剤組成物などが挙げられる。特に限定されないが、前者としては、例えば、いわゆる溶剤型の粘着剤組成物などが挙げられ、後者としては、例えば、いわゆる活性エネルギー線硬化型の粘着剤組成物などが挙げられる。上記アクリル系粘着剤組成物は、必須成分(アクリル系重合体、あるいは、モノマー混合物又はその部分重合物)の他に、必要に応じて、その他の添加剤を含んでいてもよい。
【0059】
上記「アクリル系粘着剤組成物」には「アクリル系粘着剤層を形成するための組成物」という意味も含むものとする。また、上記「モノマー混合物」とは、アクリル系重合体を形成するモノマー成分のみからなる混合物を意味する。また、上記「部分重合物」とは、上記モノマー混合物の構成成分のうち1又は2以上の成分が部分的に重合している組成物を意味する。
【0060】
上記アクリル系粘着剤組成物は、アクリル系重合体を必須成分とするアクリル系粘着剤組成物が好ましい。
【0061】
上記アクリル系重合体は、直鎖又は分岐のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを必須のモノマー成分として構成される。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」及び/又は「メタクリル酸」を意味し、他も同様である。
【0062】
上記直鎖又は分岐のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、特に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、アミル基、イソアミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ラウリル基、トリデシル基、テトラデシル基、ステアリル基、オクタデシル基、ドデシル基のような炭素数が1〜20の直鎖又は分岐のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。なお、直鎖又は分岐のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0063】
中でも、上記直鎖又は分岐のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、後述の定荷重剥離速度及び後述の粘着力(対ステンレス板、引張速度300mm/min、剥離角度180°)を調整して、良好な接着信頼性を得つつ、「浮き」や「剥がれ」を抑制し、さらに「糊残り」を抑制する点より、炭素数が1〜12の直鎖又は分岐のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、より好ましくアクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、さらに好ましくはアクリル酸ブチルである。
【0064】
上記アクリル系重合体では、上記アクリル系重合体を構成するモノマー成分全量(100重量%)に対する上記直鎖又は分岐のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの割合は、特に限定されないが、50重量%以上であることが好ましく、より好ましくは70重量%以上である。例えば、上記直鎖又は分岐のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルがアクリル酸ブチルである場合、上記アクリル系重合体を構成するモノマー成分全量(100重量%)に対するアクリル酸ブチルの割合は、50重量%以上であることが好ましく、より好ましくは70重量%以上である。
【0065】
特に、上記アクリル系重合体では、後述の定荷重剥離速度及び後述の粘着力(対ステンレス板、引張速度300mm/min、剥離角度180°)を調整して、良好な接着信頼性を得つつ、「浮き」や「剥がれ」を抑制し、「糊残り」を抑制する点より、必須のモノマー成分としての上記直鎖又は分岐のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの全量(全重量、100重量%)における、アクリル酸ブチルの割合を、50重量%以上、より好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは100重量%とすることが好ましい。
【0066】
また、上記アクリル系重合体は、必須のモノマー成分としての上記直鎖又は分岐のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共に、共重合性モノマーがモノマー成分として用いられていてもよい。なお、共重合性モノマーは、単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0067】
上記共重合性モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸などのカルボキシル基含有モノマー、あるいは無水マレイン酸や無水イタコン酸などの酸無水物モノマー;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)−メチルアクリレートなどのヒドロキシル基含有モノマー;スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸などのスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなどのリン酸基含有モノマーなどが挙げられる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び/又は「メタクリレート」を意味し、他も同様である。
【0068】
さらに、上記共重合性モノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミドなどの(N−置換)アミド系モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルなどの(メタ)アクリル酸アルキルアミノアルキル系モノマー;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;N−シクロヘキシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどのマレイミド系モノマー;N−メチルイタコンイミド、N−エチルイタコンイミド、N−ブチルイタコンイミド、N−オクチルイタコンイミド、N−2−エチルヘキシルイタコンイミド、N−シクロヘキシルイタコンイミド、N−ラウリルイタコンイミドなどのイタコンイミド系モノマー;N−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオクタメチレンスクシンイミドなどのスクシンイミド系モノマー等も挙げられる。
【0069】
さらにまた、上記共重合性モノマーとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、N−ビニルピロリドン、メチルビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルピペリドン、ビニルピリミジン、ビニルピペラジン、ビニルピラジン、ビニルピロール、ビニルイミダゾール、ビニルオキサゾール、ビニルモルホリン、N−ビニルカルボン酸アミド類、スチレン、α−メチルスチレン、N−ビニルカプロラクタムなどのビニル系モノマー;(メタ)アクリロニトリルなどのシアノアクリレート系モノマー;(メタ)アクリル酸グリシジルなどのエポキシ基含有アクリル系モノマー;(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコールなどのグリコール系アクリルエステルモノマー;(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、フッ素(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレートなどのアクリル酸エステル系モノマーなどが挙げられる。
【0070】
上記アクリル系重合体では、上記アクリル系重合体を構成するモノマー成分全量(100重量%)に対する上記共重合性モノマーの割合は、特に限定されないが、アクリル系重合体の重合時における安定性等の点から、50重量%以下であることが好ましく、より好ましくは30重量%以下である。
【0071】
加えて、上記アクリル系重合体では、アクリル系重合体の架橋処理等を目的に、多官能性モノマーも共重合性モノマー成分として用いられていてもよい。上記多官能性モノマーとしては、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレートなどが挙げられる。なお、多官能性モノマーは、単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0072】
上記アクリル系重合体を構成するモノマー成分全量(100重量%)に対する、上記多官能性モノマーの割合は、特に限定されないが、アクリル系重合体の重合時における安定性の点から、30重量%以下が好ましい。
【0073】
特に、上記アクリル系重合体は、後述の定荷重剥離試験により求められる定荷重剥離速度を小さくして「浮き」や「剥がれ」を抑制できる点より、アクリル酸ブチル、分子内にイソシアネート基と反応する官能基を有するモノマー、ホモポリマーを形成した際のガラス転移温度が0℃以上であるモノマーを必須のモノマー成分として構成されたアクリル系重合体であることが好ましい。なお、本明細書において、「分子内にイソシアネート基と反応する官能基を有するモノマー」を「イソシアネート反応性基含有モノマー」と称する場合がある。また、「ホモポリマーを形成した際のガラス転移温度が0℃以上であるモノマー」を「ホモポリマーのTgが0℃以上のモノマー」と称する場合がある。
【0074】
上記イソシアネート反応性基含有モノマーは、分子内に、イソシアネート基と反応し得る官能基を少なくとも一つ有するモノマーであり、ポリマーの架橋点となる官能基を提供する。なお、上記イソシアネート反応性基含有モノマーは、単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0075】
上記イソシアネート反応性基含有モノマーのイソシアネート基と反応する官能基は、特に限定されないが、ヒドロキシル基又はカルボキシル基であることが好ましい。
【0076】
上記イソシアネート反応性基含有モノマーとしては、例えば、上記共重合性モノマーとして例示されたカルボキシル基含有モノマーあるいは酸無水物モノマー;上記共重合性モノマーとして例示されたヒドロキシル基含有モノマーが好ましく挙げられる。中でも、上記イソシアネート反応性基含有モノマーとしては、アクリル酸、アクリル酸2−ヒドロキシエチルがより好ましい。
【0077】
また、上記ホモポリマーのTgが0℃以上のモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、酢酸ビニル、メチルメタクリレート、アクリロニトリル、スチレンなどが好ましく挙げられる。なお、上記ホモポリマーのTgが0℃以上のモノマーにおいて、上記イソシアネート反応性基含有モノマーは除かれる。また、ホモポリマーのTgが0℃以上のモノマーは、単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0078】
「ホモポリマーを形成した際のガラス転移温度(Tg)」とは、「当該モノマーの単独重合体のガラス転移温度(Tg)」を意味し、あるモノマー(「モノマーX」と称する場合がある)のみをモノマー成分として形成される重合体のガラス転移温度(Tg)を意味する。具体的には、「Polymer Handbook」(第3版、John Wiley & Sons,Inc,1989年)に記載の数値が挙げられている。なお、上記文献に記載されていない単独重合体のガラス転移温度(Tg)は、例えば、以下の測定方法により得られる値をいう。すなわち、温度計、撹拌機、窒素導入管及び還流冷却管を備えた反応器に、モノマーX100重量部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2重量部及び重合溶媒として酢酸エチル200重量部を投入し、窒素ガスを導入しながら1時間撹拌する。このようにして重合系内の酸素を除去した後、63℃に昇温し10時間反応させる。次いで、室温まで冷却し、固形分濃度33重量%のホモポリマー溶液を得る。次いで、このホモポリマー溶液を剥離ライナー上に流延塗布し、乾燥して厚み約2mmの試験サンプル(シート状のホモポリマー)を作製する。そして、この試験サンプルをアルミニウム製のオープンセルに約1〜2mg秤量し、温度変調DSC(商品名「Q−2000」 ティー・エイ・インスツルメント社製)を用いて、50ml/minの窒素雰囲気下で昇温速度5℃/minにて、ホモポリマーのReversing Heat Flow(比熱成分)挙動を得る。JIS−K−7121を参考にして、得られたReversing Heat Flowの低温側のベースラインと高温側のベースラインを延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線とが交わる点の温度をホモポリマーとした時のガラス転移温度(Tg)とする。
【0079】
上記アクリル系重合体を構成する全モノマー成分(100重量%)に対する、アクリル酸ブチル、イソシアネート反応性基含有モノマー及びホモポリマーのTgが0℃以上のモノマーの割合としては、特に限定されないが、アクリル酸ブチルが50〜98重量%(好ましくは70〜97重量%)、イソシアネート反応性基含有モノマーが1〜20重量%(好ましくは1〜10重量%)、ホモポリマーのTgが0℃以上のモノマーが1〜30重量%(好ましくは2〜20重量%)であることが好ましい。なお、ホモポリマーのTgが0℃以上のモノマーの割合が大きすぎると、アクリル系重合体のTgが高くなりすぎて、粘着剤層の常温(23℃)での接着力(常態接着力)に悪影響を及ぼす場合がある。
【0080】
上記アクリル系重合体は、特に限定されないが、例えば、1種又は2種以上の成分モノマーの混合物に、溶液重合方式、乳化重合方式、塊状重合方式、懸濁重合方式等の適宜な重合方式を適用することにより形成される。
【0081】
また、上記重合方式による重合の際には、重合開始剤が用いられていてもよい。例えば、溶液重合方式を適用する場合、2,2´−アゾビスイソブチロニトリルなどの熱重合開始剤が用いられていてもよい。
【0082】
上記アクリル系重合体の重量平均分子量は、特に限定されないが、アクリル系粘着剤層の接着性の点から、30万〜200万が好ましく、より好ましくは40万〜150万である。
【0083】
上記のように、本発明の粘着テープにおけるアクリル系粘着剤層は、アクリル系粘着剤組成物により形成されることが好ましい。例えば、アクリル系粘着剤組成物は、上記アクリル系重合体に、必要に応じて添加剤を配合することにより形成されてもよい。
【0084】
上記アクリル系粘着剤層は、後述の定荷重剥離速度を調整して「浮き」や「剥がれ」を抑制することと接着性とのバランスの点より、内部架橋方式や外部架橋方式等による適宜な架橋タイプとすることもできる。例えば、内部架橋したアクリル系重合体は、上記多官能モノマーを用いて共重合処理する方式や、紫外線や電子線などの活性エネルギー線の照射による重合方式などにより得られる。一方、外部架橋したアクリル系重合体は、粘着剤に分子間架橋剤を配合する方式などにより得られる。
【0085】
このため、上記アクリル系粘着剤組成物は、架橋剤(分子間架橋剤)を含有することが好ましい。上記架橋剤としては、特に限定されないが、例えば、イソシアネート系架橋剤(多官能イソシアネート系架橋剤)、エポキシ系架橋剤、メラミン樹脂系架橋剤、金属系架橋剤、金属キレート系架橋剤、アミノ樹脂系架橋剤、過酸化物系架橋剤などが挙げられる。中でも、イソシアネート系架橋剤が好ましい。なお、架橋剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0086】
上記アクリル系粘着剤組成物における、上記架橋剤(特にイソシアネート系架橋剤)の含有量は、特に限定されないが、アクリル系重合体100重量部に対して、1〜10重量部であることが好ましく、より好ましくは1〜7重量部、さらに好ましくは1〜5重量部である。含有量が1重量以上であると、支持基材とアクリル系粘着剤層との投錨力を十分に得ることができ、またアクリル系粘着剤層のゲル分率を高くすることができる。このため、「糊残り」をより効果的に抑制でき、好ましい。また、含有量が10重量以下であると、アクリル系粘着剤層のゲル分率が高くなりすぎることによるアクリル系粘着剤層の粘着力の低下が生じないため、好ましい。
【0087】
また、上記アクリル系粘着剤組成物は、後述の定荷重剥離試験により求められる定荷重剥離速度を調整して「浮き」や「剥がれ」を抑制できる点、後述の粘着力(対ステンレス板、引張速度300mm/min、剥離角度180°)を調整して「糊残り」を抑制できる点、良好な接着信頼性を得る点より、粘着付与剤を含有することが好ましい。なお、粘着付与剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0088】
上記粘着付与剤としては、例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、水添石油樹脂、クマロン・インデン樹脂、スチレン系樹脂、アルキルフェノール樹脂、キシレン樹脂などが挙げられる。上記ロジン系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ロジン、水添ロジン、ロジンエステル、水添ロジンエステル、ロジンフェノール樹脂、重合ロジンなどが挙げられる。また、上記テルペン系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂などが挙げられる。さらに、上記水添石油樹脂としては、特に限定されないが、例えば、芳香族系、ジシクロペンタジエン系、脂肪族系などが挙げられる。
【0089】
上記アクリル系粘着剤組成物における、上記粘着付与剤の含有量は、特に限定されないが、アクリル系重合体100重量部に対して、3〜10重量部であることが好ましく、より好ましくは3〜7重量部である。つまり、上記アクリル系粘着剤組成物は、さらに粘着付与剤を含有し、上記粘着付与剤の含有量がアクリル系重合体100重量部に対して、3〜10重量部(より好ましくは3〜7重量部)であることが好ましい。
【0090】
さらに、添加剤としては、例えば、軟化剤、顔料、充填剤、レベリング剤、分散剤、可塑剤、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、老化防止剤、防腐剤などが挙げられる。なお、添加剤の含有量は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜選択される。また、添加剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0091】
特に、本発明の粘着テープにおいては、アクリル系粘着剤層は、アクリル酸ブチル、上記イソシアネート反応性基含有モノマー、上記Tgが0℃以上のモノマーを必須のモノマー成分として構成されたアクリル系ポリマー、並びに、イソシアネート系架橋剤を含有するアクリル系粘着剤組成物により形成されることが好ましい。
【0092】
上記アクリル粘着剤層のゲル分率は、特に限定されないが、後述の定荷重剥離試験により求められる定荷重剥離速度を調整して「浮き」や「剥がれ」を抑制できる点、後述の粘着力(対ステンレス板、引張速度300mm/min、剥離角度180°)を調整して「糊残り」を抑制できる点、良好な接着信頼性を得る点より、20〜70重量%であることが好ましく、より好ましくは30〜60重量%である。
【0093】
なお、上記アクリル系粘着剤層のゲル分率は、酢酸エチルに対するアクリル系粘着剤層の不溶分として定義される。上記アクリル系粘着剤層のゲル分率は、アクリル系粘着剤層の一部分(5g程度)を採取して重量(W1)を測定した後、その採集したアクリル系粘着剤層を酢酸エチル(十分な量の酢酸エチル、例えば、100ml)中に室温(23℃)で1週間浸漬し、浸漬後の不溶解分を分取乾燥させて、その重量(W2)を測定し、下記式より算出される。
粘着剤層のゲル分率(重量%)=(W2)/(W1)×100
【0094】
上記アクリル系粘着剤層の厚みは、特に限定されないが、5〜200μmが好ましく、より好ましくは5〜100μmである。
【0095】
上記アクリル系粘着剤層の形成は、特に限定されないが、上記アクリル系粘着剤組成物を上記凹部付き基材などの適当な支持体上に塗布して塗布層を形成させて、該塗布層を加熱乾燥することによりなされることが好ましい。なお、塗布の際には、慣用のコーターが用いられていてもよい。上記コーターとしては、例えば、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーターなどが挙げられる。
【0096】
(粘着テープ)
本発明の粘着テープは、上記支持基材の少なくとも一方の面側に上記アクリル系粘着剤層を有する。なお、本発明の粘着テープは、アクリル系粘着剤層の保護の点より、アクリル系粘着剤層上に剥離ライナー(セパレーター)が積層されていてもよい。
【0097】
また、本発明の粘着テープは、ロール状に巻き取られた粘着テープ巻回体の形態を有していてもよい。例えば、上記支持基材の一方の面がアクリル系粘着剤層を保護する形態でロール状に巻き取られた粘着テープ巻回体の形態を有していてもよい。
【0098】
本発明の粘着テープは、下記の定荷重剥離試験により求められる定荷重剥離速度が20mm/hr以下であり、好ましくは10mm/hr以下である。この定荷重剥離速度は、曲げ、ねじれ、ひねりの応力が粘着テープにかかった場合の剥離しやすさを示す。本発明の粘着テープは定荷重剥離速度が20mm/hr以下であるので、被着体への接着信頼性に優れ、「浮き」や「剥がれ」の抑制性に優れる。特に、貼付部分に段差があっても、被着体への接着信頼性に優れ、「浮き」や「剥がれ」の抑止性に優れる。なお、定荷重剥離速度が20mm/hrを超えると、十分な接着信頼性を得ることができず、例えば床養生シートの接着固定時などの被着体への固定時に、「浮き」や「剥がれ」が生じ易くなる。
【0099】
定荷重剥離試験は、下記の通りである。
温度23℃の雰囲気下、ステンレス板の片面に、粘着テープ(幅25mm、長さ150mm)を、アクリル系粘着剤層表面がステンレス板と接するように、500gローラー、1往復の条件で貼付し、30分後、温度23℃の雰囲気下、粘着テープの長さ方向の末端に、
ステンレス板の表面と垂直方向に30gfの荷重をかけ、1時間経過後の粘着テープの剥離距離を測定し、1時間当たりの粘着テープの剥離距離を求めて、定荷重剥離速度(mm/hr)とする。
【0100】
また、本発明の粘着テープは、粘着力(対ステンレス板、引張速度300mm/min、剥離角度180°)が15N/25mm以下(例えば、3〜15N/25mm)であり、より好ましくは13N/25mm以下(例えば、3〜13N/25mm)である。粘着テープの粘着力(対ステンレス板、引張速度300mm/min、剥離角度180°)が15N/25mmであると、「糊残り」の抑止性に優れ、好ましい。なお、粘着テープの粘着力(対ステンレス板、引張速度300mm/min、剥離角度180°)が15N/25mmを超えると、被着体への接着力が高くなりすぎて、使用後粘着テープを被着体から剥がす際に、「糊残り」や「切れ」が生じやすくなる場合があり、また被着体を傷める場合がある。
【0101】
本発明の粘着テープの粘着力(対ステンレス板、引張速度300mm/min、剥離角度180°)は、被着体への接着性を確保する点から、3N/25mm以上であることが好ましい。
【0102】
上記の粘着力(対ステンレス板、引張速度300mm/min、剥離角度180°)は、例えば、JIS Z 0237に準拠し、ステンレス板に本発明の粘着テープを貼付し、引張速度300mm/minの条件で180°剥離することにより測定し得る。
【0103】
本発明の粘着テープの厚みは、特に限定されないが、50〜200μmが好ましく、より好ましくは70〜200μmである。また、本発明の粘着テープの長さ(テープ長)は、特に限定されないが、10〜500mが好ましい。
【0104】
本発明の粘着テープは、上記支持基材を有するので、手切れ性に優れ、粘着テープ使用時の貼り付け作業性に優れる。さらに、本発明の粘着テープは、被着体への接着信頼性に優れ、「浮き」や「剥がれ」の抑止性に優れ、さらに「糊残り」の抑止性に優れる。このため、本発明の粘着テープは、極めて良好な作業性を有する。
【0105】
例えば、本発明の粘着テープを、床材を保護する床養生シートの接着固定に用いた場合、本発明の粘着シートは上記の特性を有するので、床養生シートの床材への接着固定に際して、手で簡単に粘着テープを切断することができ、且つ、十分な接着性を得ることができるので、良好な作業性で、床養生シートを床材へ固定することができる。また、固定時には粘着テープの「浮き」や「剥がれ」が生じにくく、さらに、保護目的終了後に粘着テープを除去する際には、「切れ」や「糊残り」を生じたり、床材を傷つけることはない。なお、貼付部分に段差があっても、固定時に粘着テープの「浮き」や「剥がれ」が生じにくい。また、接着固定が長期間(例えば1〜14日程度)に及んでも、保護目的終了後に粘着テープを除去する際に、「切れ」や「糊残り」を生じたり、床材を傷つけることはない。このため、本発明の粘着テープは、床養生シートの接着固定において、極めて良好な作業性を有する。
【0106】
本発明の粘着テープは、手切れ性を求められる用途に好適に用いられる。例えば、運搬、加工、養生等の目的で用いられる表面保護テープ用途が挙げられる。特に、床養生シートの接着固定に好適に用いられる。
【実施例】
【0107】
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0108】
[実施例1]
(粘着テープ用基材)
低密度ポリエチレン(商品名「スミカセンG−401」、住友化学株式会社製)(LDPE)50重量部、高密度ポリエチレン(商品名「ハイゼックス2200J」、株式会社プライムポリマー製)(HDPE))50重量部及び白色顔料(商品名「HCM1030ホワイト」、大日精化工業株式会社製)8重量部を混合(ドライブレンド)して基材組成物を得た。
上記基材組成物を、押出し温度240℃でT型ダイスによる押出し成形により製膜し、製膜フィルムを得て、この押出し直後の製膜フィルムの片面にエンボスロールを接触させて、フィルムの幅方向(長さ方向と直行する方向)へ伸びる溝状の凹部を、連続的に形成した。なお、形成された凹部の底面の形状は、曲面状である。また、形成された凹部は、リブを有する。
なお、上記エンボスロールには、表1に示すような凹部の最大幅、凹部の深さ、凹部の個数、凹部のピッチ間隔が転写により形成できるように凹凸彫刻が施されている。
凹部を形成した後、冷却して、巻き取り、片面に凹部を有するフィルムを得た。なお、該フィルムの凹部を有する面と反対側の面は平滑である。
次に、上記フィルムの平滑面に粘着剤層との投錨性を向上させるためにコロナ処理を行った。
このようにして、粘着テープ用基材を得た。
【0109】
(粘着テープ及び粘着テープ巻回体)
温度計、攪拌機、窒素導入管などを備えた反応容器に、アクリル酸ブチル(BA)100重量部、アクリル酸(AA)3重量部、酢酸ビニル(VAc)5重量部、重合開始剤としての2,2´−アゾビスイソブチロニトリル0.2重量部及び重合溶媒としてのトルエン100重量部投入して、窒素ガス気流下60℃で反応を行い、重量平均分子量が50万であるアクリル系重合体を含有する溶液を得た。
上記溶液に、粘着付与剤(商品名「スーパーエステル A−100」、荒川化学工業株式会社製)を上記アクリル系重合体(上記溶液の固形分)100重量部に対して5重量部となるように添加し、さらに、イソシアネート系架橋剤(商品名「コロネートL」、日本ポリウレタン工業株式会社製)を上記アクリル系重合体100重量部に対して2重量部(固形分換算)となるように添加することにより、アクリル系粘着剤組成物を得た。
上記粘着テープ用基材のコロナ処理を施した平滑面に上記アクリル系粘着剤組成物をリバースロールコーターにより塗布し、100℃で2分間乾燥させて、厚みが30μmのアクリル系粘着剤層を有する粘着テープ(長さ20m)を得た。
そして、粘着テープを巻芯にロール状に巻き取り、粘着テープ巻回体を得た。
【0110】
[実施例2〜4]
(粘着テープ用基材)
表1に示すように材料を混合(ドライブレンド)して基材組成物を得たこと、及び、表1に示すような凹部の最大幅、凹部の深さ、凹部の個数、凹部のピッチ間隔が転写により形成できるように凹凸彫刻が施されているエンボスロールを使用したこと以外は、実施例1と同様にして、片面に凹部を有するフィルムを得た。
次に、実施例1と同様にして、上記フィルムの平滑面にコロナ処理を行った。
このようにして、粘着テープ用基材を得た。
【0111】
(粘着テープ及び粘着テープ巻回体)
温度計、攪拌機、窒素導入管などを備えた反応容器に、モノマー成分(アクリル酸ブチル(BA)、アクリル酸2−エチルヘキシル(2−EHA)、酢酸ビニル(VAc)、アクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEA)、アクリル酸(AA))を表1に示す量投入し、実施例1と同様にして、重量平均分子量が50万であるアクリル系重合体を含有する溶液を得た。
上記アクリル系重合体を含有する溶液に、イソシアネート系架橋剤(商品名「コロネートL」、日本ポリウレタン工業株式会社製)及び粘着付与剤(商品名「スーパーエステル A−100」、荒川化学工業株式会社製)を、上記アクリル系重合体(上記溶液の固形分)100重量部に対して、表1の量となるように添加し、実施例1と同様にして、アクリル系粘着剤組成物を得た。
上記粘着テープ用基材を用いて、実施例1と同様にして、粘着テープを得た。
そして、実施例1と同様にして、粘着テープを巻芯にロール状に巻き取り、粘着テープ巻回体を得た。
【0112】
[比較例1〜4]
(粘着テープ用基材)
表1に示すように材料を混合(ドライブレンド)して基材組成物を得たこと、及び、表1に示すような凹部の最大幅、凹部の深さ、凹部の個数、凹部のピッチ間隔が転写により形成できるように凹凸彫刻が施されているエンボスロールを使用したこと以外は、実施例1と同様にして、片面に凹部を有するフィルムを得た。
次に、実施例1と同様にして、上記フィルムの平滑面にコロナ処理を行った。
このようにして、粘着テープ用基材を得た。
【0113】
(粘着テープ及び粘着テープ巻回体)
温度計、攪拌機、窒素導入管などを備えた反応容器に、モノマー成分(アクリル酸ブチル(BA)、アクリル酸2−エチルヘキシル(2−EHA)、酢酸ビニル(VAc)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、アクリル酸(AA))を表1に示す量投入し、実施例1と同様にして、重量平均分子量が50万であるアクリル系重合体を含有する溶液を得た。
上記アクリル系重合体を含有する溶液に、イソシアネート系架橋剤(商品名「コロネートL」、日本ポリウレタン工業株式会社製)及び粘着付与剤(商品名「スーパーエステル A−100」、荒川化学工業株式会社製)を、上記アクリル系重合体(上記溶液の固形分)100重量部に対して、表1の量となるように添加し、実施例1と同様にして、アクリル系粘着剤組成物を得た。
上記粘着テープ用基材を用いて、実施例1と同様にして、粘着テープを得た。
そして、実施例1と同様にして、粘着テープを巻芯にロール状に巻き取り、粘着テープ巻回体を得た。
【0114】
【表1】
【0115】
表1の「凹部の深さ(%)」は、支持基材の厚み(100%)に対する割合である。
【0116】
表1において、「HDPE」は「高密度ポリエチレン(商品名「ハイゼックス2200J」、株式会社プライムポリマー製)」であり、「LDPE」は「低密度ポリエチレン(商品名「スミカセンG−401」、住友化学株式会社製)」であり、「白色顔料」は「白色顔料(商品名「HCM1030ホワイト」、大日精化工業株式会社製)」である。
また、「BA」は「アクリル酸ブチル」であり、「2−EHA」は「アクリル酸2−エチルヘキシル」であり、「VAc」は「酢酸ビニル」であり、「HEA」は「2−ヒドロキシエチルアクリレート」であり、「AA」は「アクリル酸」である。
【0117】
(評価)
実施例および比較例で得られた粘着テープについて、下記の定荷重剥離試験により定荷重剥離速度を求め、下記の粘着力の測定方法により粘着力を求めた。また、糊残り性を下記の糊残り性の評価試験により評価し、手切れ性を下記の手切れ性の評価試験により評価した。その結果は、表1に併記した。
【0118】
(定荷重剥離試験)(
図4、5、6参照)
粘着テープ巻回体より粘着テープを巻き戻して、巻き戻した粘着テープを切断することにより、幅25mm、長さ150mmのシート状の測定用サンプル(測定用サンプル12)を得た。
次に、温度23℃の雰囲気下、上記測定用サンプルを、ステンレス板(ステンレス304BA板)(ステンレス板11)に、500gローラー、一往復の条件で圧着して貼付し、測定用サンプルが貼付されているステンレス板を得た。そして、この測定用サンプルが貼付されているステンレス板を、温度40℃の雰囲気下、30分間放置した。
30分後、クランプを用いて、測定用サンプルが貼付されているステンレス板を、測定用サンプルが貼付されている面が下側となるように水平に設置した。次いで、ステンレス板から、測定用サンプルを、長さ方向の一方の末端から長さ方向に5mm剥離させた。測定用サンプルにおける剥離させた部分側の一方の端部から、30gの錘(錘13)をひもで吊し、
ステンレス板表面に対して垂直方向(90°剥離方向)に、30g重の荷重をかけた。そして、試験を開始した。試験は、温度23℃の雰囲気下で行った。なお、錘は、測定用サンプルの幅方向の中央、長さ方向の末端から5mmの部分に穴をあけて通したひもの先に取り付けた。
なお、
図4は、定荷重剥離試験における、ステンレス板、測定用サンプル、錘の位置関係を示し、また、
図5は、定荷重剥離試験における、試験開始時の、
ステンレス板、測定用サンプル、錘の位置関係を示す。
試験開始から1時間後、試験を終了した。そして、試験中に測定用サンプルがステンレス板から剥離した距離(剥離距離16)を測定し、この剥離した距離より1時間当たりの剥離距離を求めて、定荷重剥離速度(mm/hr)とした。
なお、
図6は、定荷重剥離試験における、試験終了時の、測定用サンプルの剥離状態、及び、剥離距離を示す。
【0119】
(粘着力(対ステンレス板、引張速度300mm/min、剥離角度180°))
粘着テープ巻回体より粘着テープを巻き戻して、巻き戻した粘着テープを切断することにより、幅25mm、長さ150)mmのシート状の測定用サンプルを得た。
次に、上記測定用サンプルを、ステンレス板(ステンレス304BA板)に、2kgローラー、一往復の条件で圧着して貼付した。貼付後、温度23℃で30分間放置した。30分後、引張試験機を用いて、JIS Z 0237に準拠して、180°剥離試験を行い、ステンレス板に対する粘着力(引き剥がし強度)(N/25mm)を測定した。測定は、温度23℃、相対湿度50%RHの雰囲気下、剥離角度180°、引張速度300mm/minの条件で行った。
【0120】
(糊残り性(糊残り抑止性)の評価試験)
粘着テープ巻回体より粘着テープを巻き戻して、巻き戻した粘着テープを切断することにより、幅50mm、長さ150mmのシート状の評価用サンプルを得た。
評価用サンプルを、フローリング材(表面コート、UV硬化タイプ、大建工業株式会社製)に、2kgローラー、一往復の条件で圧着して貼付し、評価用サンプルが貼付されたフローリング材を得た。
その後、得られた評価用サンプルが貼付されたフローリング材を、室内の日当たりのよい窓際に3月間放置した。3月後、手で測定用サンプルをフローリング材から剥がして、フローリング材表面を目視観察し下記評価基準で評価した。
糊残り性評価基準
糊残り抑止性が良好(○):糊残りが生じることなく、剥離後のフローリング材表面に変化がない場合
糊残り抑止性が不良(×):糊残りが生じてフローリング材表面が汚染されている場合
【0121】
(浮き及び剥がれ(浮き及び剥がれの抑止性)の評価試験)(
図7参照)
粘着テープ巻回体より粘着テープを巻き戻して、巻き戻した粘着テープを切断することにより、シート状の評価用粘着シート(評価用粘着シート73)を4つ得た。
床養生シート(商品名「養生シートN」、エムエフ株式会社製、ポリエチレンラミネート)を切断し、幅100cm、長さ100cmの試験用床養生シート(床養生シート72)を得た。
次に、試験用床養生シートを、4つのシート状の評価用粘着シートにより、フローリング材(表面コート、UV硬化タイプ、大建工業株式会社製)(フローリング材71)に固定した。
具体的には、フローリング材表面に試験用床養生シートを静置した後、一つの評価用粘着シートが試験用床養生シートの周縁部の一辺を覆い、且つ、評価用粘着シートの粘着面が試験用床養生シートの周縁部及びフリーリング材表面(フローリング面)の両方に接するように、4つの評価用粘着シートを貼り付けて、試験用床養生シートを評価用粘着シートによりフローリング材表面に固定した。固定後、温度23℃の雰囲気下、48時間放置した。
なお、浮き及び剥がれの評価試験における、フローリング材、床養生シート、測定用粘着シートの位置関係を示す説明図(上面図)を
図7に示す。
放置後、評価用粘着シートにおける床養生シート及びフローリング材からの「浮き」及び「剥がれ」の発生の有無を目視で観察し、下記評価基準で評価した。
浮き及び剥がれ評価基準
浮き及び剥がれの抑止性が良好(○):評価用粘着シートに「浮き」及び「剥がれ」の何れもが発生していない場合
浮き及び剥がれの抑止性が不良(×):評価用粘着シートに「浮き」及び「剥がれ」のうち少なくとも1の現象が発生している場合
【0122】
(手切れ性の評価試験)
粘着テープ巻回体より粘着テープを巻き戻して、巻き戻した粘着テープを切断することにより、幅50mm、長さ50mmのシート状の評価用サンプルを得た。そして、評価用サンプルを、温度23℃、相対湿度50%の環境下で2時間放置した。
次に、温度23℃、相対湿度50%の環境下、評価用サンプルの幅方向の一方の端部を、指先間の間隔が5〜10mmとなるように両手の指先でつまむ。その後、評価用サンプルを手で幅方向に引き裂き、その時の評価用サンプルの切断しやすさにより、手切れ性を、下記評価基準で、官能的に評価した。
手切れ性評価基準
良好(○):容易に切断することができる
不良(×):容易に切断することができない
【0123】
なお、実施例の粘着テープについて、荷重剥離試験の際、粘着力を測定する際及び糊残り性を評価する際、粘着テープの「切れ」(粘着テープの破損、破断等)や、貼付部分や被着体の破壊が生じることはなかった。
さらに、実施例の粘着テープについて、定荷重剥離試験の際、粘着力を測定する際、糊残り性を評価する際、浮き及び剥がれを評価する際及び手切れ性を評価する際に、粘着テープ巻回体から粘着テープを巻き戻しているが、巻き戻し時に粘着テープの「切れ」が生じることはなかった。