特許第5934661号(P5934661)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5934661
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月15日
(54)【発明の名称】乾燥システム
(51)【国際特許分類】
   F26B 25/22 20060101AFI20160602BHJP
   F26B 3/02 20060101ALI20160602BHJP
   F26B 23/00 20060101ALI20160602BHJP
   F26B 9/02 20060101ALI20160602BHJP
   D06F 58/10 20060101ALI20160602BHJP
   D06F 58/28 20060101ALI20160602BHJP
【FI】
   F26B25/22 Z
   F26B3/02
   F26B23/00 B
   F26B9/02 Z
   D06F58/10 Z
   D06F58/28 B
【請求項の数】8
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-19851(P2013-19851)
(22)【出願日】2013年2月4日
(65)【公開番号】特開2014-152935(P2014-152935A)
(43)【公開日】2014年8月25日
【審査請求日】2015年2月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】特許業務法人青海特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 真貴子
(72)【発明者】
【氏名】相墨 智
(72)【発明者】
【氏名】漣 洋平
【審査官】 土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−261614(JP,A)
【文献】 特開平10−057698(JP,A)
【文献】 特開平05−321534(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 25/22
D06F 58/10
D06F 58/28
F26B 3/02
F26B 9/02
F26B 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクチュエータの動力によって開閉する開閉体を有し、該開閉体が閉じられると閉鎖空間が形成される乾燥室と、
前記乾燥室内に暖気を送出する乾燥手段と、
前記乾燥室内に設けられた乾燥物の乾燥終了時間を設定するための操作部と、
少なくとも、前記操作部によって設定された乾燥終了時間よりも第1の時間前になると、前記乾燥室内に設けられた乾燥物の乾燥度合を検出する乾燥度合検出手段と、
前記アクチュエータおよび前記乾燥手段の駆動を制御する駆動制御手段と、
を備え、
前記駆動制御手段は、前記操作部によって設定された乾燥終了時間よりも第1の時間前になったときに、前記乾燥度合検出手段によって検出された乾燥度合が、予め設定された第1閾値未満である場合に、前記開閉体を閉じるとともに、前記乾燥手段を駆動して前記乾燥室内に暖気を送出することを特徴とする乾燥システム。
【請求項2】
前記駆動制御手段は、
前記操作部によって設定された乾燥終了時間よりも第1の時間前になると、前記開閉体を閉じて前記乾燥室を閉鎖し、
前記乾燥度合検出手段は、
前記乾燥度合として、閉鎖された前記乾燥室内の湿度を検出することを特徴とする請求項1記載の乾燥システム。
【請求項3】
前記開閉体を開放するための条件として予め設定された開放条件の成立可否を判定する開放判定手段をさらに備え、
前記開放判定手段は、
前記乾燥度合が前記第1閾値以上である場合に、前記開放条件の成立可否を判定し、
前記駆動制御手段は、
前記開放判定手段によって前記開放条件が成立していると判定された場合に、前記開閉体を開放することを特徴とする請求項1または2記載の乾燥システム。
【請求項4】
前記乾燥手段は、
前記乾燥室内に暖気を送出する乾燥運転、および、該乾燥室内に空気流れを生成する空気流れ生成運転が可能に構成され、
前記駆動制御手段は、
前記開放判定手段によって前記開放条件が成立していないと判定された場合に、前記開閉体を閉じるとともに、前記乾燥手段を駆動して前記空気流れ生成運転を開始することを特徴とする請求項3記載の乾燥システム。
【請求項5】
降雨の有無を検出する降雨検出手段をさらに備え、
前記開放判定手段は、
少なくとも前記降雨検出手段によって降雨が検出されていない場合に、前記開放条件が成立していると判定することを特徴とする請求項3または4記載の乾燥システム。
【請求項6】
前記乾燥度合検出手段は、
検出した乾燥度合が、前記第1閾値以上であって、かつ、該第1閾値よりも乾燥度合の高い第2閾値未満であった場合に、該検出時点から第2の時間経過後に、再度、乾燥度合を検出することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の乾燥システム。
【請求項7】
太陽熱を集熱する太陽熱集熱ユニットをさらに備え、
前記乾燥手段は、
前記太陽熱集熱ユニットによって集熱された熱を、前記乾燥室に送出する暖気の熱源として用いることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の乾燥システム。
【請求項8】
太陽光によって発電する太陽光発電モジュールをさらに備え、
前記駆動制御装置は、
前記太陽光発電モジュールによって発電された電力を、前記アクチュエータの駆動に用いることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の乾燥システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥物を乾燥する乾燥システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗濯物等の乾燥物は、ベランダやテラス、庭等の屋外で自然乾燥するのが一般的であるが、近年のライフスタイルの変化に伴い、時間帯や降雨等の自然環境に影響を受けずに、乾燥物を乾燥させることが可能といった理由から、浴室乾燥機等、屋内型の乾燥機が普及している。しかしながら、こうした屋内型の乾燥機は、熱源で加熱された暖気を乾燥室に送風することから、当然のこととして、電気やガス等のエネルギーが必要となり、降雨等の心配がない場合には、極力、屋外で自然乾燥を行いたいという要望が根強くある。
【0003】
そこで、特許文献1に示されるように、屋外に開閉パネルを設置するとともに、降雨がない場合には、開閉パネルを開放して乾燥物を自然乾燥し、降雨が検知されると、自動で開閉パネルを閉鎖して、乾燥機による強制乾燥運転を開始する乾燥システムが提案されている。この特許文献1に示される乾燥システムによれば、乾燥物を自然乾燥している途中で降雨が検知された場合に、自然乾燥を行った時間や、日照時間等から、乾燥物を確実に乾燥させるのに必要な強制乾燥運転時間を演算し、その時間分だけ強制乾燥運転を行うこととしている。これにより、電気やガス等のエネルギーを最小限に抑制しつつ、乾燥物の確実な乾燥を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−261614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の乾燥システムによれば、エネルギー消費の抑制は可能であるものの、天候等の自然環境の影響により、乾燥物の乾燥を完了するまでに要する時間が異なってしまう。そのため、いつまでに乾燥物の乾燥を完了したいという要望に必ずしも応えることができないという課題がある。
【0006】
本発明は、エネルギー消費を抑制しつつも、所望の時間までに乾燥物を確実に乾燥させることができる乾燥システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の乾燥システムは、アクチュエータの動力によって開閉する開閉体を有し、該開閉体が閉じられると閉鎖空間が形成される乾燥室と、前記乾燥室内に暖気を送出する乾燥手段と、前記乾燥室内に設けられた乾燥物の乾燥終了時間を設定するための操作部と、少なくとも、前記操作部によって設定された乾燥終了時間よりも第1の時間前になると、前記乾燥室内に設けられた乾燥物の乾燥度合を検出する乾燥度合検出手段と、前記アクチュエータおよび前記乾燥手段の駆動を制御する駆動制御手段と、を備え、前記駆動制御手段は、前記操作部によって設定された乾燥終了時間よりも第1の時間前になったときに、前記乾燥度合検出手段によって検出された乾燥度合が、予め設定された第1閾値未満である場合に、前記開閉体を閉じるとともに、前記乾燥手段を駆動して前記乾燥室内に暖気を送出することを特徴とする。
【0008】
また、前記駆動制御手段は、前記操作部によって設定された乾燥終了時間よりも第1の時間前になると、前記開閉体を閉じて前記乾燥室を閉鎖し、前記乾燥度合検出手段は、前記乾燥度合として、閉鎖された前記乾燥室内の湿度を検出するとよい。
【0009】
また、前記開閉体を開放するための条件として予め設定された開放条件の成立可否を判定する開放判定手段をさらに備え、前記開放判定手段は、前記乾燥度合が前記第1閾値以上である場合に、前記開放条件の成立可否を判定し、前記駆動制御手段は、前記開放判定手段によって前記開放条件が成立していると判定された場合に、前記開閉体を開放するとよい。
【0010】
また、前記乾燥手段は、前記乾燥室内に暖気を送出する乾燥運転、および、該乾燥室内に空気流れを生成する空気流れ生成運転が可能に構成され、前記駆動制御手段は、前記開放判定手段によって前記開放条件が成立していないと判定された場合に、前記開閉体を閉じるとともに、前記乾燥手段を駆動して前記空気流れ生成運転を開始するとよい。
【0011】
また、降雨の有無を検出する降雨検出手段をさらに備え、前記開放判定手段は、少なくとも前記降雨検出手段によって降雨が検出されていない場合に、前記開放条件が成立していると判定するとよい。
【0012】
また、前記乾燥度合検出手段は、検出した乾燥度合が、前記第1閾値以上であって、かつ、該第1閾値よりも乾燥度合の高い第2閾値未満であった場合に、該検出時点から第2の時間経過後に、再度、乾燥度合を検出するとよい。
【0013】
また、太陽熱を集熱する太陽熱集熱ユニットをさらに備え、前記乾燥手段は、前記太陽熱集熱ユニットによって集熱された熱を、前記乾燥室に送出する暖気の熱源として用いるとよい。
【0014】
また、太陽光によって発電する太陽光発電モジュールをさらに備え、前記駆動制御装置は、前記太陽光発電モジュールによって発電された電力を、前記アクチュエータの駆動に用いるとよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、エネルギー消費を抑制しつつも、所望の時間までに乾燥物を確実に乾燥させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態の乾燥システムを示す斜視図である。
図2】(a)は本実施形態の乾燥システムを示す概念図であり、(b)は乾燥手段を示す概念図である。
図3】本実施形態の太陽光発電モジュール、太陽熱集熱ユニット、乾燥手段を説明する図である。
図4】乾燥運転、換気運転、送風運転を説明する図である。
図5】本実施形態の乾燥システムの制御ブロック図である。
図6】蓄熱処理を説明するフローチャートである。
図7】乾燥終了時間入力処理を説明するフローチャートである。
図8】乾燥運転制御処理を説明するフローチャートである。
図9】開閉制御処理を説明するフローチャートである。
図10】乾燥度合判定処理を説明するフローチャートである。
図11】(a)は、乾燥度合と乾燥時間との関係を説明する図であり、(b)は、湿度と乾燥時間との関係を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0018】
図1は、本実施形態の乾燥システムを示す斜視図である。本実施形態の乾燥システム1は、家屋のベランダやテラス、庭等に設置され、壁やガラス戸等によって囲繞された乾燥室3を備えている。乾燥室3の前面には、引き戸で構成される2つの開閉体5a、5bが開閉自在に設けられており、これら開閉体5a、5bが図示のように閉じられた状態では、乾燥室3が閉鎖空間となる。一方、図示の状態から開閉体5a、5bが互いに離間する方向にスライドして開放されると、乾燥室3が屋外に開放され、乾燥室3に設けられた乾燥物Wが外気に曝されることとなる。
【0019】
図2(a)は、本実施形態の乾燥システム1を示す概念図であり、図2(b)は、乾燥手段を示す概念図である。図2(a)に示すように、本実施形態の乾燥システム1は、アクチュエータとしての電動モータ7を備えており、この電動モータ7の動力によって、開閉体5a、5bが開閉するように構成されている。例えば、電動モータ7は、乾燥室3の床面に収容されており、電動モータ7の出力軸に固定されたピニオンが、開閉体5a、5bに形成されたラックに噛合されている。したがって、電動モータ7を駆動すると、その動力がピニオンおよびラックを介して開閉体5a、5bに伝達され、これによって開閉体5a、5bが開閉されることとなる。
【0020】
なお、本実施形態における開閉体5a、5bの構成や、これら開閉体5a、5bを開閉するための構成は一例に過ぎない。いずれにしても、アクチュエータの動力で乾燥室3を開閉する構成を備えていれば、開閉体やアクチュエータの具体的な構成や配置等は特に限定されるものではない。
【0021】
また、乾燥室3を囲繞する天井面には、太陽光によって発電する太陽光発電モジュール、および、太陽熱を集熱する太陽熱集熱ユニットが一体化された太陽光発電集熱装置9が載置されている。この太陽光発電集熱装置9によって発電された電力は、電力系統(発電所と需要家とを結ぶ送電線)に送電されたり、自家消費されたりするように構成されており、太陽光発電集熱装置9によって発電された電力が、電動モータ7の駆動にも用いられるようにしている。
【0022】
さらに、乾燥システム1は、暖気を生成して乾燥室3に送出する乾燥運転、外気を取り込んで乾燥室3内を換気する換気運転、さらには、乾燥室3内の空気を取り込んで再び乾燥室3内に送出する送風運転を行う乾燥手段11を備えている。なお、詳しくは後述するが、換気運転および送風運転は、いずれも乾燥室3内に空気流れを生成する点で共通する。したがって、以下では、換気運転および送風運転を総称して空気流れ生成運転と称する。
【0023】
図2(b)に示すように、乾燥手段11は、乾燥室3内に設置された室内ユニット13と、乾燥室3の外部に設置された換気ユニット15と、を備えており、壁面に設けられた配管17を介して、これら室内ユニット13および換気ユニット15間で空気の流通が可能となっている。室内ユニット13には、乾燥室3内の空気を室内ユニット13内に取り込む取り込み口13aと、乾燥室3内に暖気や空気を送出する送出口13bと、が設けられ、換気ユニット15には排気口15aが設けられている。また、室内ユニット13および換気ユニット15にはそれぞれファンが設けられており、これらのファンを駆動することで、取り込み口13aから取り込んだ空気を排気口15aから乾燥室3の外部に排気したり、送出口13bから暖気や空気を送出したりすることとなる。
【0024】
また、乾燥システム1は、図2(a)に示すように、利用者の操作によって空気流れ生成運転や乾燥運転を行うが、乾燥室3内には、利用者が空気流れ生成運転や乾燥運転を開始または終了させるための操作や、空気流れ生成運転や乾燥運転の開始または終了時間を設定するための操作を行う操作部19が設けられている。また、乾燥手段11は、利用者が乾燥物Wの乾燥終了時間を設定すると、設定された乾燥終了時間までに、確実に乾燥物Wの乾燥を完了させるための制御がなされる。こうした自動制御を行うために、乾燥システム1には、降雨の有無を検出する降雨検出センサS1と、乾燥室3内の湿度に基づいて乾燥物Wの乾燥度合を検出する湿度センサS2と、が設けられている。
【0025】
図3は、本実施形態の太陽光発電モジュール、太陽熱集熱ユニット、乾燥手段11を説明する図である。なお、図3においては、熱媒の流れを実線矢印で示し、空気の流れを破線矢印で示す。図3に示すように、本実施形態の乾燥システム1は、太陽光発電モジュールおよび太陽熱集熱ユニットが一体化された太陽光発電集熱装置9を備えている。この太陽光発電集熱装置9は、所謂、太陽光太陽熱ハイブリッドパネルを複数連接して構成されており、発電機能を有する太陽光発電モジュールの背面に、集熱機能を有する太陽熱集熱ユニットが配設されている。
【0026】
太陽光発電集熱装置9は周知の構成であるため詳細な説明は省略するが、太陽光発電モジュールには、不図示のパワーコンディショナー(インバータ)が設けられた送電部が接続されており、太陽光発電モジュールにおいて発電された直流の電気が、パワーコンディショナーにおいて交流に変換されて、電力系統(発電所と需要家とを結ぶ送電線)に送電される構成となっている。
【0027】
また、太陽熱集熱ユニットは、熱媒が内部を循環するパイプを備えており、太陽熱集熱ユニット内部に熱媒を循環させることで、熱媒による太陽熱の回収および有効利用を可能とする。また、一方では、太陽光発電モジュールの表面温度よりも低温の熱媒を太陽熱集熱ユニット内部に循環させることで、太陽光発電モジュールを冷却し、発電効率を向上させることも可能である。なお、熱媒の種類は特に限定されるものではないが、冬季等の凍結を考慮した場合には、プロピレングリコール水溶液やエチレングリコール水溶液等の不凍液を利用することが望ましい。
【0028】
このように、太陽熱集熱ユニットに熱媒を循環させるべく、太陽光発電集熱装置9には、第1の熱媒が流通する配管で構成された第1熱媒循環路21が接続されている。この第1熱媒循環路21には、第1ポンプP1が接続されており、この第1ポンプP1を駆動することにより、第1熱媒循環路21および太陽光発電集熱装置9(太陽熱集熱ユニット)を第1の熱媒が循環することとなる。
【0029】
さらに、第1熱媒循環路21には、集熱用熱交換器23が接続されている。この集熱用熱交換器23には、内部を第2の熱媒(水)が流通可能な配管によって構成された第2熱媒循環路25が接続されており、集熱用熱交換器23によって、第1熱媒循環路21内を流通する第1の熱媒と、第2熱媒循環路25内を流通する第2の熱媒との間で熱交換がなされるように構成されている。
【0030】
第2熱媒循環路25には、第2ポンプP2が接続されており、この第2ポンプP2が駆動されると、第2の熱媒は、第2熱媒循環路25内を循環するとともに、その循環過程で集熱用熱交換器23内を通過する。したがって、第2ポンプP2が駆動されて第2の熱媒が第2熱媒循環路25内を循環しているときに、第1ポンプP1が駆動されると、第1熱媒循環路21内を循環する第1の熱媒は、太陽光発電集熱装置9における太陽熱集熱ユニットの集熱作用によって加温された後に集熱用熱交換器23に導かれ、集熱用熱交換器23において、第2熱媒循環路25内を流通する第2の熱媒との間で熱交換を行う。そして、第2の熱媒との間の熱交換によって温度が低下した第1の熱媒は、再び太陽光発電集熱装置9の太陽熱集熱ユニットにおいて加温され、以後、上記の循環を繰り返すこととなる。
【0031】
一方、第2熱媒循環路25には、集熱用熱交換器23よりも下流側に蓄熱槽27が接続されており、上記のようにして集熱用熱交換器23で加温された第2の熱媒が、蓄熱槽27に貯留されることとなる。また、第2熱媒循環路25であって、蓄熱槽27の下流側には、乾燥用熱交換器29が接続されている。この乾燥用熱交換器29には、内部を第3の熱媒(水)が流通可能な配管によって構成された第3熱媒循環路31が接続されており、乾燥用熱交換器29によって、第2熱媒循環路25内を流通する第2の熱媒と、第3熱媒循環路31内を流通する第3の熱媒との間で熱交換がなされるように構成されている。
【0032】
第3熱媒循環路31には、第3ポンプP3が接続されており、この第3ポンプP3が駆動されると、第3の熱媒は、第3熱媒循環路31内を循環するとともに、その循環過程で乾燥用熱交換器29内を通過する。したがって、第3ポンプP3が駆動されて第3の熱媒が第3熱媒循環路31内を循環しているときに、第2ポンプP2が駆動されると、乾燥用熱交換器29において、第2熱媒循環路25内を循環する第2の熱媒を介して、蓄熱槽27に蓄熱された熱が第3熱媒循環路31内を循環する第3の熱媒に伝わることとなる。
【0033】
そして、第3熱媒循環路31には、上記の乾燥手段11が接続されており、乾燥手段11において、蓄熱槽27に蓄熱された熱、すなわち、太陽熱集熱ユニットによって集熱された熱が、乾燥室3に送出する暖気を生成するための熱源として利用される。具体的には、乾燥手段11は、室内ユニット13内に設けられ、取り込み口13aから取り込んだ空気を送出口13bから乾燥室3内に送出するためのファン13cと、ファン13cによって取り込まれた空気と、第3熱媒循環路31を循環する第3の熱媒との間で熱交換を行う熱交換部13dと、を備えている。
【0034】
したがって、第3ポンプP3を駆動しながらファン13cを駆動すると、ファン13cによって取り込まれた空気が、第3熱媒循環路31を循環する第3の熱媒によって昇温され、この昇温された空気(暖気)が、送出口13bから乾燥室3に送出されることとなる。なお、このとき、第2ポンプP2を同時に駆動することで、取り込み口13aから取り込んだ空気との間の熱交換によって温度が低下した第3の熱媒が、再び乾燥用熱交換器29において加温されて、再び熱交換部13dに導かれることとなる。
【0035】
また、乾燥手段11は、熱源機11aと、この熱源機11aと熱交換部13dとの間で第4の熱媒(水)を循環させる第4熱媒循環路11bを備えている。この第4熱媒循環路11bには第4ポンプP4が接続されており、この第4ポンプP4を駆動すると、第4の熱媒が、第4熱媒循環路11bを介して熱源機11aおよび熱交換部13dを循環する。熱源機11aは、例えばガスの燃焼作用で第4の熱媒を加熱する機能を有しており、熱源機11aで燃焼作用を生じさせつつ、第4ポンプP4およびファン13cを駆動することによっても、空気を加熱して暖気を生成するとともに、この暖気を送出口13bから乾燥室3に送出することが可能となっている。これにより、蓄熱槽27に十分に蓄熱されていない場合であっても、乾燥室3に確実に暖気を送出することが可能となる。
【0036】
なお、上記したように、第3ポンプP3または第4ポンプP4とともにファン13cを駆動すると、乾燥室3に暖気が送出される乾燥運転が行われるが、第3ポンプP3および第4ポンプP4を駆動せずに、ファン13cや、換気ユニット15内に設けられたファン15cを駆動すれば、上記した空気流れ生成運転が行われることとなる。以下に、図3および図4を用いて、乾燥運転および空気流れ生成運転について説明する。
【0037】
図4は、乾燥運転、換気運転、送風運転を説明する図である。図3および図4(a)に示すように、本実施形態の乾燥運転では、熱交換部13dに高温の熱媒体を循環させながら、ファン13c、15cが駆動される。これにより、乾燥室3に設けられた通気口3aから乾燥室3内に外気が取り込まれるとともに、乾燥室3内の空気が取り込み口13aから室内ユニット13内に取り込まれる。室内ユニット13に取り込まれた空気は、その一部が排気口15aから外部に排気されるとともに、残りの一部が再び送出口13bから乾燥室3内に送出される。このとき、送出口13bから乾燥室3内に送出される空気が、熱交換部13dによって昇温され、これによって送出口13bから高温の暖気が送出されることとなる。
【0038】
また、図3および図4(b)に示すように、本実施形態の換気運転では、第3ポンプP3、第4ポンプP4、熱源機11aの駆動が停止されたまま、ファン15cが駆動される。これにより、乾燥室3に設けられた通気口3aから乾燥室3内に外気が取り込まれるとともに、乾燥室3内の空気が取り込み口13aから室内ユニット13内に取り込まれ、室内ユニット13内に取り込まれた空気が、そのまま排気口15aから外部に排気される。また、図3および図4(c)に示すように、本実施形態の送風運転では、第3ポンプP3、第4ポンプP4、熱源機11aの駆動が停止されたまま、ファン13cが駆動される。これにより、乾燥室3内で空気が循環することとなる。
【0039】
図5は、本実施形態の乾燥システム1の制御ブロック図である。乾燥システム1は、種々のプログラムが格納されたROM、ROMからプログラムを読み出して各種の演算処理を実行するCPU、CPUの処理領域として機能するRAMを有する制御部Cを備えている。この制御部Cは、上記の乾燥運転や空気流れ生成運転を制御するコントローラとして機能する。
【0040】
制御部Cの入力側には、上記の降雨検出センサS1、湿度センサS2、太陽光発電集熱装置9における太陽熱集熱ユニット内の第1の熱媒の温度T1を検出する集熱器温度センサS3、蓄熱槽27に貯留された第2の熱媒の温度T2を検出する蓄熱槽温度センサS4、開閉体5a、5bの位置を検出し、開閉体5a、5bの開閉状態を検出する位置検出センサS5、上記の操作部19が接続され、各種検出信号や操作信号が制御部Cに入力されるように構成されている。
【0041】
また、制御部Cの出力側には、第1ポンプP1、第2ポンプP2、第3ポンプP3、第4ポンプP4、ファン13c、15c、熱源機11a、電動モータ7が接続されており、制御部Cは、各センサS1〜S5や操作部19から入力される検出信号や操作信号に基づいて、各装置を駆動、制御する。以下に、制御部Cの制御のうち、本実施形態の特徴部分についてフローチャートを用いて説明する。
【0042】
図6は、蓄熱処理を説明するフローチャートである。なお、制御部Cは、計時手段としてのタイマ装置を備えており、タイマ装置によって、例えば数ミリ秒〜数秒が計時されるたびに、図6に示す処理を繰り返し遂行する。
【0043】
(S101)
まず、制御部Cは、蓄熱槽27内における第2の熱媒の温度T2が、所定温度(例えば50℃)未満であるか否かを判定する。その結果、温度T2が所定温度未満であると判定した場合にはステップS102に処理を移し、温度T2は所定温度未満ではない(温度T2が所定温度以上である)と判定した場合にはステップS105に処理を移す。
【0044】
(S102)
上記ステップS101において、蓄熱槽27内における第2の熱媒の温度T2が、所定温度未満であると判定した場合には、制御部Cは、(温度T1−温度T2)≧3℃を満たすか否か、すなわち、太陽光発電集熱装置9における太陽熱集熱ユニット内の第1の熱媒の温度T1が、蓄熱槽27内の温度T2よりも3℃以上高いか否かを判定する。その結果、温度T1が温度T2よりも3℃以上高いと判定した場合にはステップS103に処理を移し、温度T1は、温度T2よりも3℃以上高くないと判定した場合には、ステップS105に処理を移す。
【0045】
(S103)
上記ステップS102において、(温度T1−温度T2)≧3℃と判定した場合には、制御部Cは、第1ポンプP1を駆動する。なお、既に第1ポンプP1が駆動中である場合には、そのままステップS104に処理を移す。
【0046】
(S104)
次に、制御部Cは、第2ポンプP2を駆動する。なお、既に第2ポンプP2が駆動中である場合には、そのまま当該蓄熱処理を終了する。
【0047】
(S105)
一方、上記ステップS101において、温度T2は所定温度未満ではないと判定した場合、および、上記ステップS102において、(温度T1−温度T2)≧3℃ではないと判定した場合には、制御部Cは、第1ポンプP1の駆動を停止する。なお、第1ポンプP1が駆動していない場合には、そのままステップS106に処理を移す。
【0048】
(S106)
次に、制御部Cは、第2ポンプP2の駆動を停止する。なお、第2ポンプP2が駆動していない場合には、そのまま当該蓄熱処理を終了する。
【0049】
上記の蓄熱処理により、太陽光発電集熱装置9の太陽熱集熱ユニットにおいて集熱された熱が、蓄熱槽27に蓄熱されることとなる。
【0050】
図7は、乾燥終了時間入力処理を説明するフローチャートである。この処理は、乾燥終了時間にかかる情報を示す操作信号が制御部Cに入力されると開始される。なお、制御部Cと操作部19とは、無線もしくは有線で情報伝達可能に接続されており、利用者が操作部19に対して、乾燥室3内に設けられた乾燥物Wの乾燥終了時間を設定する操作を行うと、操作部19から制御部Cに対して、乾燥終了時間にかかる情報が送信される。ここで、乾燥終了時間は、現在時刻から何時間後といった具合に、乾燥を終了するまでに要する時間情報であってもよいし、何時に乾燥を終了させるといった時刻情報であってもよいが、本実施形態においては、理解を容易にするため、乾燥終了時間とは、現在時刻から何時間後という時間情報を示すものとして説明する。
【0051】
(S201)
乾燥終了時間にかかる情報(例えば5時間等)を示す操作信号が入力されると、まず、制御部Cは、受信した操作信号に基づいて、乾燥終了時間を記憶する。
【0052】
(S202)
次に、制御部Cは、上記ステップS201で記憶した乾燥終了時間に対応するカウンタ値をタイマにセットする。なお、カウンタ値がタイマにセットされると、カウンタ値を所定時間おきに減算する計時処理が行われ、カウンタ値が0になると計時処理が終了する。
【0053】
(S203)
次に、制御部Cは、上記の計時処理を開始するために必要な処理を実行し、当該乾燥終了時間入力処理を終了する。
【0054】
図8は、乾燥運転制御処理を説明するフローチャートである。この処理は、上記の図7で説明した乾燥終了時間入力処理によって、計時処理が開始されたことに基づいて実行される。つまり、利用者が、乾燥物Wの乾燥終了時間を設定すると、制御部Cは、空気流れ生成運転や乾燥運転を自動制御すべく、乾燥運転制御処理を開始する。なお、ここでは、空気流れ生成運転として上述の換気運転を行う場合について説明するが、空気流れ生成運転として上述の送風運転を行うように制御してもよい。
【0055】
(S301)
まず、制御部Cは、降雨検出センサS1から入力される検出信号に基づいて、開閉体5a、5bを開閉する開閉制御処理を実行する。この開閉制御処理について、図9を用いて説明する。
【0056】
図9は、開閉制御処理を説明するフローチャートである。
【0057】
(S301−1)
制御部Cは、降雨検出センサS1から入力される検出信号に基づき、現在、降雨があるか否かを判定する。その結果、降雨があると判定した場合にはステップS301−2に処理を移し、降雨はないと判定した場合にはステップS301−5に処理を移す。
【0058】
(S301−2)
上記ステップS301−1において、現在、降雨があると判定した場合には、制御部Cは、位置検出センサS5からの検出信号に基づき、開閉体5a、5bが開放されているか否かを判定する。その結果、開閉体5a、5bが開放されていると判定した場合にはステップS301−3に処理を移し、開閉体5a、5bは開放されていない(閉じられている)と判定した場合には当該開閉制御処理を終了する。
【0059】
(S301−3)
上記ステップS301−2において、開閉体5a、5bが開放されていると判定した場合には、制御部Cは、電動モータ7を駆動して開閉体5a、5bを閉じる。
【0060】
(S301−4)
次に、制御部Cは、ファン15cを駆動して換気運転を開始し、当該開閉制御処理を終了する。これにより、制御部Cの自動制御中において、開閉体5a、5bを開放して乾燥物Wを自然乾燥しているときに降雨が検出されると、開閉体5a、5bが自動的に閉じられ、換気運転が開始されることとなる。
【0061】
(S301−5)
上記ステップS301−1において、現在、降雨はないと判定した場合には、制御部Cは、位置検出センサS5からの検出信号に基づき、開閉体5a、5bが閉じられているか否かを判定する。その結果、開閉体5a、5bが閉じられていると判定した場合にはステップS301−6に処理を移し、開閉体5a、5bは閉じられていない(開放されている)と判定した場合には当該開閉制御処理を終了する。
【0062】
(S301−6)
上記ステップS301−5において、開閉体5a、5bが閉じられていると判定した場合には、制御部Cは、電動モータ7を駆動して開閉体5a、5bを開放する。
【0063】
(S301−7)
次に、制御部Cは、ファン15cの駆動を停止して換気運転を停止、当該開閉制御処理を終了する。これにより、換気運転中に降雨がなくなった場合には、開閉体5a、5bが自動的に開放されることとなる。
【0064】
(S302)
図8に戻り、制御部Cは、計時されているタイマのカウンタ値を確認し、設定された乾燥終了時間の残り時間が、180分未満(第1の時間前)であるかを判定する。その結果、残り時間が180分未満であると判定した場合にはステップS400に処理を移し、残り時間は180分未満ではないと判定した場合には、上記ステップS301から処理を繰り返す。なお、ここでは残り時間が180分未満であるか否かを判定することとしたが、この判定処理に適用する判定時間は180分に限定されるものではなく、適宜設定可能である。ただし、ここで設定する時間は、乾燥運転を行った際に、乾燥物Wの乾燥度合に拘わらず、確実に乾燥物Wの乾燥を完了することが可能な時間に設定することが望ましい。
【0065】
(S400)
上記ステップS302において、残り時間が180分未満であると判定した場合には、制御部Cは、乾燥物Wの乾燥度合を判定する乾燥度合判定処理を実行する。この乾燥度合判定処理について、図10を用いて説明する。
【0066】
図10は、乾燥度合判定処理(S400)を説明するフローチャートである。
【0067】
(S401)
まず、制御部Cは、開閉体5a、5bが開放されているかを判定する。その結果、開閉体5a、5bが開放されていると判定した場合にはステップS402に処理を移し、開閉体5a、5bは開放されていない(閉じられている)と判定した場合にはステップS403に処理を移す。
【0068】
(S402)
上記ステップS401において、開閉体5a、5bが開放されていると判定した場合には、制御部Cは、電動モータ7を駆動して開閉体5a、5bを閉じる。
【0069】
(S403)
当該ステップS403において、制御部Cは、湿度センサS2から入力される検出信号に基づき、閉鎖された乾燥室3内の湿度から、乾燥物Wの乾燥度合を検出する。ここで、乾燥度合と乾燥時間との関係は次のとおりとなる。
【0070】
図11(a)は、乾燥度合と乾燥時間との関係を説明する図であり、図11(b)は、湿度と乾燥時間との関係を説明する図である。図11(a)においては、乾燥物Wの乾燥度合を縦軸に示し、乾燥時間を横軸に示しており、図11(b)においては、湿度を縦軸に示し、乾燥時間を横軸に示している。なお、本実施形態では、乾燥物Wの乾燥度合を示すパラメータとして、閉鎖された乾燥室3内の湿度を用いている。一般的に、乾燥室3内の湿度が低いほど、乾燥物Wの乾燥度合は高いと判断され、乾燥室3内の湿度が高いほど、乾燥物Wの乾燥度合は低いと判断される。したがって、図11(a)においては、縦軸の上方ほど乾燥度合が高く、下方ほど乾燥度合が低いこととしており、図11(b)においては、縦軸の上方ほど湿度が高く、下方ほど湿度が低くなることとしている。
【0071】
例えば、乾燥室3内の湿度が想定される最大湿度(想定最大値)、すなわち、乾燥物Wの乾燥度合が、想定される最低値(想定最低値)であったとする。このとき、乾燥物Wを自然乾燥させると、乾燥物Wが十分に乾燥したと判定できる乾燥完了値まで乾燥度合が上がる(湿度が下がる)のにtf時間を要する(線分F1)。これに対して、乾燥物Wの量等が同一条件であり、上記と同様に、乾燥物Wの乾燥度合が想定最低値(湿度が想定最大値)であった場合に、乾燥手段11を駆動して乾燥運転を行うと、乾燥完了値まで乾燥度合が上がる(湿度が下がる)のにtf−t1時間を要する(線分F2)。
【0072】
つまり、自然環境や乾燥物Wの乾燥度合に拘わらず、乾燥運転をtf−t1時間行えば、確実に乾燥物Wの乾燥を完了することができることとなる。本実施形態では、最初に設定された乾燥終了時間をtf時間とした場合に、乾燥運転によって確実に乾燥物Wを乾燥することができるtf−t1時間を、乾燥手段11の能力や乾燥室3の容積から180分であると推定し、上記ステップS302(図8参照)の判定時間として設定している。
【0073】
このことからも明らかなように、設定された乾燥終了時間の残り時間が、乾燥運転によって確実に乾燥物Wを乾燥することができるtf−t1時間未満になると(ステップS302のYes)、乾燥物Wの乾燥度合を判定する1回目の乾燥度合判定処理(ステップS400)が行われることとなる。そして、乾燥度合判定処理では、乾燥物Wの乾燥度合を判定するために、降雨の有無に拘わらず、まず、開閉体5a、5bを閉じて乾燥室3を閉鎖し(ステップS401〜ステップS402)、その後、乾燥室3内の湿度を判定することとなる(ステップS403)。
【0074】
また、図11(a)に示すように、検出された乾燥物Wの乾燥度合が、線分F1よりも上方に位置する場合、つまり、図11(b)において、検出された湿度が、線分F1よりも下方に位置する場合には、乾燥運転を行わなくとも、自然乾燥のみで、乾燥終了時間(tf)までに乾燥物Wの乾燥を完了することが可能となる。例えば、設定された乾燥終了時間の残り時間がtf−t1時間となったときに、乾燥物Wの乾燥度合が線分F1よりも上方に位置していれば(乾燥室3内の湿度が線分F1よりも下方に位置していれば)、乾燥運転を行う必要がない。一方で、設定された乾燥終了時間の残り時間がtf−t1時間となったときに、乾燥物Wの乾燥度合が線分F1よりも下方に位置していると(乾燥室3内の湿度が線分F1よりも上方に位置していると)、このまま自然乾燥を継続しているだけでは、設定された乾燥終了時間までに乾燥を完了することができないおそれがある。
【0075】
そこで、本実施形態では、線分F1上の乾燥度合(湿度)を第2閾値として設定し、乾燥終了時間の残り時間が(tf−t1)時間となったときに、乾燥物Wの乾燥度合が第2閾値以上であれば(乾燥室3内の湿度が第2閾値以下であれば)、乾燥運転を開始することなく自然乾燥を継続する。
【0076】
一方で、乾燥物Wの乾燥度合が第2閾値未満であったとしても(乾燥室3内の湿度が第2閾値以上であったとしても)、乾燥物Wの乾燥度合によっては、乾燥運転を行わずに、自然乾燥のみで乾燥終了時間までに乾燥を完了することができる可能性もある。したがって、乾燥物Wの乾燥度合が第2閾値未満であった場合に(乾燥室3内の湿度が第2閾値以上であったとしても)、即座に乾燥運転を開始してしまうと、無駄にエネルギーを消費してしまうおそれがある。
【0077】
そこで、本実施形態では、図11に示すように、線分F1から線分F2の間に収まる線分F3を規定し、乾燥度合(湿度)が、図中ハッチングで示す、線分F3と線分F1との範囲内に収まる場合には、乾燥運転を開始せずに自然乾燥を継続し、乾燥度合が線分F3よりも低い場合(湿度が線分F3よりも高い場合)には、即座に乾燥運転を開始する。
【0078】
つまり、本実施形態では、線分F3上の乾燥度合(湿度)を第1閾値として設定し、乾燥終了時間の残り時間が(tf−t1)時間となったときに、乾燥物Wの乾燥度合が第1閾値以上であれば(乾燥室3内の湿度が第1閾値以下であれば)、乾燥運転を開始することなく自然乾燥を継続する。一方、乾燥終了時間の残り時間が(tf−t1)時間となったときに、乾燥物Wの乾燥度合が第1閾値未満であれば(乾燥室3内の湿度が第1閾値よりも高ければ)、即座に乾燥運転を開始する。
【0079】
なお、乾燥度合が第1閾値以上であって第2閾値未満である場合(湿度が第1閾値以下であって第2閾値よりも高い場合)には、所定時間後(例えば数分〜数十分後)に、再度、乾燥度合を検出する。このとき、例えば、(t2−t1)時間後に乾燥度合を検出したとすると、この時点における乾燥終了時間の残り時間は(tf−t2)時間となり、乾燥運転の開始可否を判定するための第1閾値はa点となる。したがって、(t2−t1)時間後において、a点に相当する乾燥度合以上(a点に相当する湿度以下)であれば、引き続き乾燥運転の開始を見送り、a点に相当する乾燥度合未満であれば(a点に相当する湿度よりも高ければ)、その時点で乾燥運転を開始することとなる。
【0080】
また、(t2−t1)時間後における第2閾値はb点となる。そして、(t2−t1)時間後において、a点に相当する乾燥度合以上(a点に相当する湿度以下)であって、かつ、b点に相当する乾燥度合未満である場合には(b点に相当する湿度よりも高ければ)、引き続き乾燥運転の開始を見送りつつ、さらに、所定時間後に、再度、乾燥度合を検出することとなる。
【0081】
このように、本実施形態では、乾燥度合について、自然乾燥を継続するか否かを判断するための第1閾値と、この第1閾値よりも乾燥度合の高い(湿度の低い)第2閾値とが設定されている。そして、設定された乾燥終了時間よりも所定時間(第1の時間)前になると、乾燥室3内に設けられた乾燥物Wの乾燥度合が検出され、このとき検出された乾燥度合が、第1閾値未満である場合に、開閉体5a、5bが閉じられるとともに、乾燥手段11が駆動されて乾燥室3内に暖気が送出される。
【0082】
また、検出された乾燥度合が第1閾値未満であって(湿度が第1閾値よりも高く)乾燥運転が開始された場合や、第1閾値以上(湿度が第1閾値以下)であって、かつ、第1閾値よりも乾燥度合の高い第2閾値未満であった場合(第1閾値よりも湿度の低い第2閾値よりも高かった場合)に、当該検出時点からさらに所定時間(第2の時間)経過後に、再度、乾燥度合(湿度)が検出される。そして、再度、検出された乾燥度合(湿度)に応じて、乾燥運転を開始するか否かが決定される。
【0083】
このようにして乾燥運転の開始可否を判定することで、エネルギー消費を最低限に抑えつつも、乾燥終了時間までに確実に乾燥物Wを乾燥することが可能となる。また、乾燥運転中も定期的に乾燥度合を確認し、以後、自然乾燥によっても、乾燥終了時間までに乾燥物Wを乾燥することができると判断した場合には、乾燥運転が停止されるので、よりエネルギー消費を低減することができる。
【0084】
(ステップS404)
上記の乾燥度合判定処理について、図10に戻って説明すると、制御部Cは、上記ステップS403において検出された乾燥度合が、第2閾値以上であるかを判定する。その結果、乾燥度合が第2閾値以上であると判定した場合にはステップS405に処理を移し、乾燥度合は第2閾値以上ではない(第2閾値未満である)と判定した場合にはステップS407に処理を移す。
【0085】
(ステップS405)
上記ステップS404において、乾燥度合が第2閾値以上であると判定した場合には、制御部Cは、現在、乾燥運転中であるかを判定する。その結果、乾燥運転中であると判定した場合にはステップS406に処理を移し、乾燥運転中ではないと判定した場合には当該乾燥度合判定処理を終了し、図8のステップS303に処理を移す。
【0086】
(ステップS406)
上記ステップS405において、現在、乾燥運転中であると判定した場合には、制御部Cは、ファン13c、15cの駆動を停止するとともに、第2ポンプP2および第3ポンプP3、または、第4ポンプP4および熱源機11aの駆動を停止し、乾燥運転を停止する。
【0087】
(ステップS407)
また、上記ステップS404において、乾燥度合は第2閾値以上ではない(乾燥度合は第2閾値未満である)と判定した場合には、制御部Cは、再判定時間(t2−t1時間、例えば30分)に相当するカウンタ値をタイマカウンタにセットする。なお、ここでセットされたカウンタ値は、計時処理によって0になるまで減算される。
【0088】
(ステップS408)
次に、制御部Cは、乾燥度合が第1閾値以上であるかを判定する。その結果、乾燥度合が第1閾値以上であると判定した場合にはステップS405に処理を移し、乾燥度合は第1閾値以上ではない(第1閾値未満である)と判定した場合にはステップS409に処理を移す。
【0089】
(ステップS409)
上記ステップS408において、乾燥度合は第1閾値以上ではない(第1閾値未満である)と判定した場合には、制御部Cは、現在、乾燥運転中であるかを判定する。その結果、乾燥運転中であると判定した場合には、当該乾燥度合判定処理を終了して、図8のステップS303に処理を移し、乾燥運転中ではないと判定した場合には、ステップS410に処理を移す。
【0090】
(ステップS410)
上記ステップS409において、現在、乾燥運転中ではないと判定した場合には、制御部Cは、ファン13c、15cを駆動する。
【0091】
(ステップS411)
次に、制御部Cは、蓄熱槽27内の第2の熱媒の温度T2が所定温度以上であるかを判定する。その結果、蓄熱槽27内の第2の熱媒の温度T2が所定温度以上であると判定した場合にはステップS412に処理を移し、蓄熱槽27内の第2の熱媒の温度T2は所定温度以上ではないと判定した場合にはステップS413に処理を移す。なお、ここで判定基準とする所定温度は、図6のステップS101の判定基準とする温度と同じであってもよいが、ステップS101の判定基準温度よりも、当該ステップS411の判定基準温度を低く設定することが望ましい。
【0092】
(ステップS412)
上記ステップS411において、蓄熱槽27内の第2の熱媒の温度T2が所定温度以上であると判定した場合には、制御部Cは、第2ポンプP2および第3ポンプP3を駆動し、上記ステップS303に処理を移す。これにより、太陽熱集熱ユニットによって集熱された熱を熱源として生成された暖気が、乾燥室3内に送出され、乾燥運転が開始することとなる。
【0093】
(ステップS413)
一方、上記ステップS411において、蓄熱槽27内の第2の熱媒の温度T2は所定温度以上ではないと判定した場合には、制御部Cは、第4ポンプP4および熱源機11aを駆動し、上記ステップS303に処理を移す。これにより、熱源機11aを熱源として生成された暖気が、乾燥室3内に送出され、乾燥運転が開始することとなる。
【0094】
なお、詳しい説明は省略するが、太陽熱集熱ユニットによって集熱された熱を熱源とする乾燥運転が行われた場合には、蓄熱槽27内の第2の熱媒の温度T2を常時監視し、温度T2が所定温度未満になると、第2ポンプP2、第3ポンプP3の駆動を停止し、第4ポンプP4および熱源機11aを駆動して、熱源機11aを熱源とする乾燥運転に切り換えるようにしている。また、ここでは、太陽熱を熱源とするか、熱源機11aを熱源とするかを、択一的に切り換えることとしたが、第2の熱媒の温度T2によっては、太陽熱と熱源機11aとの双方を熱源として乾燥運転を行うようにしても構わない。
【0095】
(ステップS303)
図8に戻り、上記のように乾燥度合判定処理が行われると、制御部Cは、現在、乾燥運転中であるかを判定する。その結果、乾燥運転中であると判定した場合にはステップS308に処理を移し、乾燥運転中ではないと判定した場合にはステップS304に処理を移す。
【0096】
(ステップS304)
上記ステップS303において、乾燥運転中であると判定した場合には、制御部Cは、降雨の有無を判定する。その結果、降雨があると判定した場合にはステップS305に処理を移し、降雨はないと判定した場合にはステップS306に処理を移す。
【0097】
(ステップS305)
上記ステップS304において、降雨があると判定した場合には、制御部Cは、ファン15cを駆動して換気運転を開始する。なお、既に換気運転が行われている場合には、そのままステップS308に処理を移す。
【0098】
(ステップS306)
一方、上記ステップS304において、降雨はないと判定した場合には、制御部Cは、ファン15cの駆動を停止して、換気運転を停止する。なお、換気運転中でなかった場合には、そのまま次のステップS307に処理を移す。
【0099】
(ステップS307)
次に、制御部Cは、電動モータ7を駆動して開閉体5a、5bを開放する。
【0100】
(ステップS308)
当該ステップS308において、制御部Cは、上記ステップS407でセットされた再判定時間が計時され、かつ、その再判定時間が経過したかを判定する。その結果、再判定時間が経過したと判定した場合にはステップS400から処理を繰り返し、再判定時間は経過していないと判定した場合にはステップS301に処理を移す。
【0101】
(ステップS301)
上記ステップS308において、再判定時間はセットされていない、もしくは、再判定時間は経過していないと判定した場合には、制御部Cは、上記の開閉制御処理を行い、降雨の有無に応じて、開閉体5a、5bを開閉制御する。
【0102】
(ステップS309)
次に、制御部Cは、乾燥終了時間の残り時間が0になったかを判定する。その結果、残り時間が0になったと判定した場合には、当該乾燥運転制御処理を終了し、残り時間は0になっていないと判定した場合には、ステップS308から処理を繰り返す。
【0103】
以上説明したように、本実施形態の乾燥システム1によれば、エネルギー消費を抑制しつつも、所望の時間までに乾燥物Wを確実に乾燥させることができる。しかも、太陽光発電モジュールによって発電された電力によって電動モータ7を駆動したり、太陽熱集熱ユニットによって集熱した太陽熱を、乾燥運転を行う際の熱源に利用したりするので、さらなるエネルギー消費の低減を実現することができる。
【0104】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0105】
例えば、上記実施形態では、太陽光発電集熱装置9を設け、発電と集熱を行う場合について説明したが、太陽光発電集熱装置9は必須の構成ではない。また、上記実施形態では、太陽光発電モジュールと太陽熱集熱ユニットとが一体化された太陽光発電集熱装置9を設け、発電および集熱の双方を行うこととしたが、太陽光発電モジュールと太陽熱集熱ユニットとを、それぞれ別々の装置で構成しても構わない。さらには、太陽光発電モジュールのみを設けて発電のみを行うこととしてもよいし、太陽熱集熱ユニットのみを設けて集熱のみを行うこととしてもよい。
【0106】
また、上記実施形態では、乾燥物Wの乾燥度合を判定するパラメータとして、湿度を用いることとしたが、乾燥物Wの乾燥度合を検出する乾燥度合検出手段の構成は特に限定されるものではなく、どのようなパラメータを用いて乾燥度合を判定してもよい。
【0107】
また、上記実施形態では、開閉体5a、5bを開放するための条件である開放条件として、降雨の有無を判定することとしたが、降雨の有無に代えて、もしくは、降雨の有無とともに、他の開放条件を設定してもよい。他の開放条件としては、例えば、空気中の花粉量や、時刻情報、さらには、降雨予測情報等が考えられる。いずれにしても、開閉体5a、5bを開放するための開放条件を設定しておき、この開放条件が成立していると判定した場合に、開閉体5a、5bを開放し、開放条件が成立していないと判定した場合に、開閉体5a、5bを閉じて空気流れ生成運転を行えばよい。ただし、乾燥手段11における空気流れ生成運転は必須の構成ではなく、開閉体5a、5bが閉じられた状態において、空気流れ生成運転を行わなくともよい。
【0108】
また、乾燥室3は、開閉体5a、5bが閉じられることで閉鎖空間が形成されるが、ここでいう閉鎖空間とは、外部から完全に遮断、密閉された状態を言うものではなく、例えば、外部と乾燥室3との間に多少の温度差が生じる程度に閉じられた空間を広く含むものである。
【0109】
なお、上記実施形態において、湿度センサS2、および、図10のステップS403の処理を実行する制御部Cが、本発明の乾燥度合検出手段に相当する。
また、上記実施形態において、図8のステップS301、ステップS305〜ステップS307、図10のステップS406、ステップS410、ステップS412、ステップS413の処理を実行する制御部Cが、本発明の駆動制御手段に相当する。
また、上記実施形態において、図8のステップS304の処理、図9のステップS301−1の処理を実行する制御部Cが、本発明の開放判定手段に相当する。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明は、乾燥物を乾燥する乾燥システムに利用することができる。
【符号の説明】
【0111】
1 …乾燥システム
3 …乾燥室
5a、5b …開閉体
7 …電動モータ(アクチュエータ)
9 …太陽光発電集熱装置(太陽光発電モジュール、太陽熱集熱ユニット)
11 …乾燥手段
19 …操作部
C …制御部
S1 …降雨検出センサ(降雨検出手段)
S2 …湿度センサ(乾燥度合検出手段)
W …乾燥物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11