(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1に記載された第2従来技術では、クラッシャ等の大流量が要求されるアタッチメントと、ブレーカ等の小流量が要求されるアタッチメントの双方に対応可能となっている。ところが、建設機械に備えられる既設の油圧駆動装置が第1従来技術におけるように、大流量が要求されるアタッチメントのみに対応できるものから成る場合には、大流量が要求されるアタッチメントに代えて小流量のアタッチメントを取り付けたいときに問題がある。
【0006】
このような場合には、従来は、コントロールバルブの交換や改造、アタッチメント用方向切換弁を切り換え操作するパイロット圧の制限などによって対応している。しかし、コントロールバルブの交換は多大な費用と作業量を要する問題がある。また、コントロールバルブの改造は、改造後の性能の確保や品質保証が難しくなる問題がある。また、アタッチメント用方向切換弁を切り換えるパイロット圧の制限は、アタッチメントの負荷圧の影響により、アタッチメント用アクチュエータへの供給流量が安定せず、信頼性が低下しやすくなる問題がある。
【0007】
本発明は、上述した従来技術における実情からなされたもので、その目的は、コントロールバルブの交換や改造、及びアタッチメント用方向切換弁を切り換えるパイロット圧の制限を要することなく、要求流量が大流量となるアタッチメント、及び要求流量が小流量となるアタッチメントの双方に対応できる建設機械の油圧駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本発明は、車体と、上記車体に取り付けられる作業装置とを有する建設機械に設けられ、エンジンと、上記エンジンによって駆動される複数の油圧ポンプと、これらの油圧ポンプから吐出される圧油により駆動され、アタッチメント用アクチュエータを含む複数のアクチュエータと、上記複数のアクチュエータに供給される圧油の流れを制御し、上記アタッチメント用アクチュエータを制御するアタッチメント用方向切換弁を含む複数の方向切換弁を内蔵するコントロールバルブと、上記複数の方向切換弁のそれぞれを切り換え操作し、上記アタッチメント用方向切換弁を切り換え操作するアタッチメント用操作装置を含む複数の操作装置とを備えた建設機械の油圧駆動装置において、上記アタッチメント用方向切換弁に供給される流量を、上記複数の油圧ポンプの圧油を合流させた大流量、及び上記複数の油圧ポンプのうちの単一の油圧ポンプのみの圧油に応じた小流量のいずれかに切り換える切換弁装置を備え、上記切換弁装置は、上記コントロールバルブの外部に配置され、上記アタッチメント用方向切換弁に上記大流量を供給する上記複数の油圧ポンプのうちの上記単一の油圧ポンプとは異なる油圧ポンプの圧油の上記コントロールバルブへの供給、及びタンクへの排出のいずれかを選択的に可能とするものから成
り、上記切換弁装置が上記大流量及び上記小流量のいずれかの流量を供給可能とするように指示する信号を出力する指示装置を備え、上記アタッチメント用操作装置は、操作量に応じた制御パイロット圧を出力する操作ペダルから成り、上記操作ペダルから出力される上記制御パイロット圧を検出する圧力検出部を備え、上記切換弁装置は、上記指示装置から出力される信号に応じて切り換えられる電磁切換弁と、この電磁切換弁の下流に設けられ、上記電磁切換弁を介して供給される上記圧力検出部で検出された上記制御パイロット圧に応じて切り換えられる油圧パイロット切換弁とを含むことを特徴としている。
【0009】
このように構成した本発明は、要求流量が大流量となるアタッチメントが装着される場合には、切換弁装置が、複数の油圧ポンプのうちの単一の油圧ポンプとは異なる油圧ポンプの圧油をコントロールバルブに供給するように切り換えられる。これにより、単一の油圧ポンプの圧油と、単一の油圧ポンプとは異なる油圧ポンプの圧油とが合流された大流量がコントロールバルブに内蔵されるアタッチメント用方向切換弁に供給され、このアタッチメント用方向切換弁を介してアタッチメント用アクチュエータに供給される。したがってアタッチメント用アクチュエータが駆動し、要求流量が大きな該当するアタッチメントによる所望の作業を実現できる。
【0010】
また、要求流量が小流量となるアタッチメントが装着される場合には、切換弁装置が、複数の油圧ポンプのうちの単一の油圧ポンプとは異なる油圧ポンプの圧油をタンクに排出させるように切り換えられる。これにより、単一の油圧ポンプの圧油のみがコントロールバルブに内蔵されるアタッチメント用方向切換弁に供給され、このアタッチメント用切換弁を介してアタッチメント用アクチュエータに供給される。したがってアタッチメント用アクチュエータが駆動し、要求流量が小さな該当するアタッチメントによる所望の作業を実現できる。
【0011】
このようにアタッチメント用方向切換弁に供給される流量を大流量及び小流量のいずれかに切り換える本発明に備えられる切換弁装置は、コントロールバルブの外部に配置してあるので、コントロールバルブの交換や改造を要することなく、またアタッチメント用方向切換弁を切り換えるパイロット圧の制限を要することなく、設けることができる。
【0012】
また本発明は、上記発明において、上記複数の油圧ポンプは、第1油圧ポンプと、第2油圧ポンプと、第3油圧ポンプとから成り、上記切換弁装置は、上記アタッチメント用方向切換弁に供給される流量を、第2油圧ポンプの圧油と上記第3油圧ポンプの圧油とを合流させた大流量、及び第2油圧ポンプのみの圧油に応じた小流量のいずれかに切り換える切換弁装置から成ることを特徴としている。
【0015】
また本発明
は、車体と、上記車体に取り付けられる作業装置とを有する建設機械に設けられ、エンジンと、上記エンジンによって駆動される複数の油圧ポンプと、これらの油圧ポンプから吐出される圧油により駆動され、アタッチメント用アクチュエータを含む複数のアクチュエータと、上記複数のアクチュエータに供給される圧油の流れを制御し、上記アタッチメント用アクチュエータを制御するアタッチメント用方向切換弁を含む複数の方向切換弁を内蔵するコントロールバルブと、上記複数の方向切換弁のそれぞれを切り換え操作し、上記アタッチメント用方向切換弁を切り換え操作するアタッチメント用操作装置を含む複数の操作装置とを備えた建設機械の油圧駆動装置において、上記アタッチメント用方向切換弁に供給される流量を、上記複数の油圧ポンプの圧油を合流させた大流量、及び上記複数の油圧ポンプのうちの単一の油圧ポンプのみの圧油に応じた小流量のいずれかに切り換える切換弁装置を備え、上記切換弁装置は、上記コントロールバルブの外部に配置され、上記アタッチメント用方向切換弁に上記大流量を供給する上記複数の油圧ポンプのうちの上記単一の油圧ポンプとは異なる油圧ポンプの圧油の上記コントロールバルブへの供給、及びタンクへの排出のいずれかを選択的に可能とするものから成り、上記切換弁装置が上記大流量及び上記小流量のいずれかの流量を供給可能とするように指示する信号を出力する指示装置を備え、上記アタッチメント用操作装置は、操作量に応じた制御パイロット圧を出力する操作ペダルから成り、上記操作ペダルから出力される上記制御パイロット圧を検出する圧力検出部と、この圧力検出部で検出された上記制御パイロット圧に応じた信号を出力する圧力センサと、上記指示装置から出力される信号、及び上記圧力センサから出力される信号に基づく制御信号を出力するコントローラとを備え、上記切換弁装置は、上記コントローラから出力される上記制御信号に応じて切り換えられる電磁切換弁から成ることを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、切換弁装置をコントロールバルブの外部に配置してあるので、コントロールバルブの交換や改造、及びアタッチメント用方向切換弁を切り換えるパイロット圧の制限を要することなく、要求流量が大流量となるアタッチメント、及び要求流量が小流量となるアタッチメントの双方に対応できる。これにより本発明は、既設の油圧駆動装置にあっても、容易に適用させることができる。このように既設の油圧駆動装置に適用させる場合には、本発明は、従来に比べて設置コストを抑えることができ、また設置作業の能率を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る建設機械の油圧駆動装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
はじめに、本発明に係る油圧駆動装置が備えられる建設機械の一例として挙げたミニショベルについて、
図1に基づいて説明するとともに、このミニショベルに備えられる既設の油圧駆動装置について、
図2に基づいて説明する。
【0020】
図1に示すように、ミニショベルは、車体を構成する旋回体300と走行体301とを備えている。また、土砂の掘削作業等を行う作業装置、すなわちフロント作業機302を備えている。フロント作業機302は、ブーム306、アーム307、及びバケット308を含んでいる。旋回体300は、旋回モータ13の駆動によって走行体301上を旋回する。この旋回体300にスイングポスト303が取り付けられ、このスイングポスト303に上述のフロント作業機302が上下方向の回動可能に取り付けられている。フロント作業機302は、操作レバー装置20,21を操作することで、ブーム306を駆動するブームシリンダ18、アーム307を駆動するアームシリンダ15、バケット308を駆動するバケットシリンダ19を伸縮させて回動する。走行体301には、ブレードシリンダ12の伸縮により上下動するブレード304が取り付けられ、右走行モータ16,左走行モータ17の駆動によって走行する。
【0021】
図1に示したミニショベルに備えられる既設の油圧駆動装置は、
図2に示すように、エンジン1と、このエンジン1によって駆動される複数の油圧ポンプ、例えば第1油圧ポンプP1と、第2油圧ポンプP2と、第3油圧ポンプP3とを備えている。また、これらの油圧ポンプP1,P2,P3と連動して、エンジン1によって駆動されるパイロットポンプP4を備えている。
【0022】
また、第1油圧ポンプP1から吐出された圧油により駆動される複数のアクチュエータと、第2油圧ポンプP2から吐出された圧油により駆動される複数のアクチュエータと、第3油圧ポンプから吐出された圧油により駆動される複数のアクチュエータとを備えている。
【0023】
第1油圧ポンプP1から吐出される圧油により駆動される複数のアクチュエータは、例えば上述した左走行モータ17、ブームシリンダ18、バケットシリンダ19から成っている。
【0024】
第2油圧ポンプP2から吐出される圧油により駆動される複数のアクチュエータは、例えば上述した右走行モータ16、アームシリンダ15から成っている。
【0025】
第3油圧ポンプP3から吐出される圧油により駆動される複数のアクチュエータは、例えば上述したブレードシリンダ12、旋回モータ13、スイングシリンダ14から成っている。
【0026】
第1,第2,第3油圧ポンプP1,P2,P3と、上述した複数のアクチュエータの間には、コントロールバルブ2が配置されている。このコントロールバルブ2内には、アタッチメント用アクチュエータを制御するアタッチメント用方向切換弁である方向切換弁6を含む複数の方向切換弁が内蔵されている。
【0027】
すなわち、コントロールバルブ2には、それぞれ第1油圧ポンプP1に接続され、左走行モータ17に供給される圧油の流れを制御する方向切換弁9と、ブームシリンダ18に供給される圧油の流れを制御する方向切換弁10と、バケットシリンダ19に供給される圧油の流れを制御する方向切換弁11とが内蔵されている。
【0028】
また、コントロールバルブ2には、それぞれ第2油圧ポンプ12に接続され、右走行モータ16に供給される圧油の流れを制御する方向切換弁8と、アームシリンダ15に供給される圧油の流れを制御する方向切換弁7と、図示しないアタッチメント用アクチュエータに供給される圧油の流れを制御するアタッチメント用方向切換弁である方向切換弁6とが内蔵されている。アタッチメント用方向切換弁である方向切換弁6は、第3油圧ポンプP3にも接続されている。
【0029】
また、コントロールバルブ2には、それぞれ第3油圧ポンプP3に接続され、ブレードシリンダ12に供給される圧油の流れを制御する方向切換弁3と、旋回モータ13に供給される圧油の流れを制御する方向切換弁4と、スイングシリンダ14に供給される圧油の流れを制御する方向切換弁5も内蔵されている。
【0030】
また
図2に示す既設の油圧駆動装置は、パイロット圧a,bを出力することにより、ブームシリンダ18を制御する方向切換弁10を切り換え操作する操作装置、及びパイロット圧c,dを出力することにより、バケットシリンダ19を制御する方向切換弁11を切り換え操作する操作装置を含む操作レバー装置20を備えている。
【0031】
また、パイロット圧e,fを出力することにより、アームシリンダ15を制御する方向切換弁7を切り換え操作する操作装置、及びパイロット圧g,hを出力することにより、旋回モータ13を制御する方向切換弁4を切り換え操作する操作レバー装置21を備えている。
【0032】
また、パイロット圧o,pを出力することにより、ブレードシリンダ12を制御する方向切換弁3を切り換え操作する操作レバー装置22を備えている。
【0033】
また、パイロット圧i,jを出力することにより、右走行モータ16を制御する方向切換弁8を切り換え操作するとともに、パイロット圧k,lを出力することにより、左走行モータ17を制御する方向切換弁9を切り換え操作する操作装置、例えば操作ペダル23を備えている。
【0034】
また、パイロット圧m,nを出力することにより、スイングシリンダ14を制御する方向切換弁5を切り換え操作する操作装置、例えば操作ペダル24を備えている。
【0035】
また、パイロット圧q,rを出力することにより、図示しないアタッチメントを制御するアタッチメント用方向切換弁である方向切換弁6を切り換え操作する操作装置、例えば操作ペダル25を備えている。この操作ペダル25は、アタッチメント用操作装置を構成している。
【0036】
また、
図2に示す既設の油圧駆動装置は、第1油圧ポンプP1の吐出圧を規定するメインリリーフ弁26と、第2油圧ポンプP2の吐出圧を規定するメインリリーフ弁27と、第3油圧ポンプP3の吐出圧を規定するメインリリーフ弁28とを備えている。これらのメインリリーフ弁26,27,28の出側は、コントロールバルブ2内で油路31に接続され、タンクTに接続されている。
【0037】
また、上述したパイロット圧a,b,c,d,e,f,g,h,i,j,k,l,m,n,o,p,q,rを生成する圧油を供給するパイロットポンプP4の吐出圧を規定するパイロットリリーフ弁29を備えている。
【0038】
このように構成される既設の油圧駆動装置にあっては、操作レバー装置20−22、及び操作ペダル23−25を操作することにより、パイロットポンプP4から吐出された圧油に基づくパイロット圧a−rがコントロールバルブ2に含まれる各方向切換弁3−11の該当するものに導かれ、該当する方向切換弁が切り換えられる。
【0039】
第1油圧ポンプP1の吐出油は、操作レバー装置20及び操作ペダルのうちの該当するものの中立時には、方向切換弁9−11を介してタンクTに流れ込むが、操作レバー装置20及び操作ペダル23のうちの該当するものが操作されると、方向切換弁9−11の該当するものが切り換えられ、左走行モータ17、ブームシリンダ18、バケットシリンダ19のうちの該当するアクチュエータを作動させることができる。
【0040】
第2油圧ポンプP2の吐出油は、操作レバー装置21、操作ペダル23の該当するもの、及びアタッチメント用操作装置である操作ペダル25の中立時には、方向切換弁8,7、及びアタッチメント用方向切換弁である方向切換弁6を介してタンクTに流れ込むが、操作レバー装置21、操作ペダル23の該当するもの、及び操作ペダル25のいずれかが操作されると方向切換弁6−8のうちの該当するものが切り換えられ、右走行モータ16、アームシリンダ15、及び図示しないアタッチメント用アクチュエータのうちの該当するアクチュエータを作動させる。
【0041】
第3油圧ポンプP3の吐出油は、操作レバー装置21の該当するもの、操作レバー装置22、操作ペダル24、及びアタッチメント用操作装置である操作ペダル25の中立時には、方向切換弁3−5、及びアタッチメント用方向切換弁である方向切換弁6を介してタンクTに流れ込むが、操作レバー装置22、操作ペダル24、及び操作ペダル25のいずれかが操作されると、方向切換弁3−6のうちの該当するものが切り換えられ、ブームシリンダ12、旋回モータ13、スイングシリンダ14、及び図示しないアタッチメント用アクチュエータのうちの該当するアクチュエータを作動させる。
【0042】
すなわち、この
図2に示す既設の油圧駆動装置にあっては、上述したフロント作業機302に含まれるバケット308に代えて、例えばアタッチメントとして要求流量が大流量となるクラッシャを取り付けた場合、操作ペダル25を操作することにより、第2油圧ポンプP2の圧油と第3油圧ポンプP3の圧油とが合流して方向切換弁6に供給され、クラッシャを駆動することができる。
【0043】
次に本発明の第1実施形態に係る建設機械の油圧駆動装置を
図3に基づいて説明する。この第1実施形態は、例えば上述した
図2に示す既設の油圧駆動装置を備えた
図1に示すミニショベルに適用させたものである。したがって、本実施形態の基本構成は、
図2に示した既設の油圧駆動装置と同様の構成となっている。
【0044】
すなわち、
図2に示した既設の油圧駆動装置と同様に本実施形態も、エンジン1と、このエンジン1によって駆動される複数の油圧ポンプ、例えば第1油圧ポンプP1、第2油圧ポンプP2、及び第3油圧ポンプP3とを備えている。また、図示しないアタッチメント用アクチュエータを含む複数のアクチュエータ、すなわちブレードシリンダ12、旋回モータ13、スイングシリンダ14、アームシリンダ15、右走行モータ16、左走行モータ17、ブームシリンダ18、及びバケットシリンダ19を備えている。
【0045】
また、上述の複数のアクチュエータに供給される圧油の流れを制御し、図示しないアタッチメント用アクチュエータを制御するアタッチメント用方向切換弁である方向切換弁6を含む複数の方向切換弁3−5,7−11を内蔵するコントロールバルブ2を備えている。
【0046】
また、複数の方向切換弁3−11のうちの該当する方向切換弁をそれぞれ切り換え操作し、アタッチメント用方向切換弁である方向切換弁6を切り換え操作するアタッチメント用操作装置、すなわち操作ペダル25を含む複数の操作装置を備えている。この複数の操作装置には、操作ペダル25の他に、操作レバー装置20−22,及び操作ペダル23,24が含まれている。
【0047】
また本実施形態は、アタッチメント用方向切換弁である方向切換弁6に供給される流量を、複数の油圧ポンプの圧油を合流させた大流量、例えば第2油圧ポンプP2の圧油と第3油圧ポンプP3の圧油を合流させた大流量、及び複数の油圧ポンプP1−P3のうちの単一の油圧ポンプ、すなわち第2油圧ポンプP2のみの圧油に応じた小流量のいずれかに切り換える切換弁装置34を備えている。
【0048】
この切換弁装置34は、コントロールバルブ2の外部に配置され、アタッチメント用方向切換弁である方向切換弁6に大流量を供給する第2油圧ポンプP2と第3油圧ポンプP3のうちの上述した単一の油圧ポンプ、すなわち第2油圧ポンプP2とは異なる第3油圧ポンプP3の圧油のコントロールバルブ2への供給、及びタンクTへの排出のいずれかを選択的に可能とするものから成っている。
【0049】
この切換弁装置34は、例えば同
図3に示すように、第3油圧ポンプP3の圧油をコントロールバルブ2に供給する油路31Aから分岐され、タンクTに連通する油路31B中に配置してある。
【0050】
また本実施形態は、切換弁装置34が、第2油圧ポンプP2の圧油と第3油圧ポンプP3の圧油を合流させた大流量、及び第2油圧ポンプP2の圧油のみの小流量のいずれかの流量を供給可能とする信号を出力する指示装置を備えている。この指示装置は、大流量とする指示位置Hと、小流量とする指示位置Lとを有する流量切換スイッチ33から成っている。
【0051】
また本実施形態は、操作ペダル25から出力される制御パイロット圧Sを出力、すなわち検出する圧力検出部を備えている。この圧力検出部は、例えばシャトル弁37から成っている。
【0052】
切換弁装置34は、流量切換スイッチ33から出力される信号に応じて切り換えられる電磁切換弁34aと、この電磁切換弁34aの下流に配置され、電磁切換弁34aを介して供給されるシャトル弁37で検出された制御パイロット圧Sに応じて切り換えられる油圧パイロット切換弁34bとを含んでいる。
【0053】
電磁切換弁34aは、流量切換スイッチ33が指示位置Lに切替えられると切換位置II
に切替えられ、制御パイロット圧Sを下流の油圧パイロット切換弁34bの制御部に供給する。また、指示位置Hに切替えられると切換位置Iに切り換えられ、制御パイロット圧Sの油圧パイロット切換弁34bの制御部への供給を阻止する。
【0054】
油圧パイロット切換弁34bは、電磁切換弁34aを介して制御パイロット圧Sが与えられると、切換位置III に切り換えられ、油路31Aと油路31Bとを接続する。これにより、油路31Aは油路31Bを介してタンクTに連通し、第3油圧ポンプP3の圧油のコントロールバルブ2への供給が阻止される。また、この油圧パイロット切換弁34bは、制御パイロット圧Sが与えられないときには切換位置IVに切り換えられ、油路31Aと油路31Bとの接続を遮断する。これにより、第3油圧ポンプP3の圧油のコントロールバルブ2への供給が許容される。
【0055】
このように構成した第1実施形態に係る油圧駆動装置にあっては、要求流量が大流量となるアタッチメント、例えばクラッシャが
図1に示すバケット308に代えて装着される場合には、指示装置33が指示位置Hに切り換えられ、この状態で操作ペダル25が操作されると、切換弁装置34の電磁切換弁34aが切換位置Iに保持され、これに応じて油圧パイロット切換弁34bが切換位置IVに保持される。これにより、上述のように油路31Aと油路31Bとの接続が遮断され、コントロールバルブ2に内蔵されたアタッチメント用方向切換弁である方向切換弁6には、第2油圧ポンプP2の圧油と第3油圧ポンプP3の圧油との合流された大流量が供給される。したがって、この大流量によって図示しないアタッチメント用アクチュエータが駆動し、要求流量が大きな該当するクラッシャによる所望の作業を実現できる。
【0056】
また、要求流量が小流量となるアタッチメント、例えばブレーカが
図1に示すバケット308に代えて装着される場合には、指示装置33が指示位置Lに切り換えられ、この状態で操作ペダル25が操作されると、切換弁装置34の電磁切換弁34aが切換位置IIに切り換えられ、これに応じて供給される制御パイロット圧Sによって油圧パイロット切換弁34bが切換位置III に切り換えられる。これにより上述のように、油路31Aと油路31Bとが接続され、油路31Aは油路31Bを介してタンクTに連通し、第3油圧ポンプP3の圧油のコントロールバルブ2への供給、すなわち方向切換弁6への供給が阻止される。したがって、方向切換弁6には第2油圧ポンプP2の圧油のみの小流量が供給され、この小流量によって図示しないアタッチメント用アクチュエータが駆動する。これによって要求流量が小さな該当するブレーカによる所望の作業を実現できる。
【0057】
このようにアタッチメント用方向切換弁である方向切換弁6に供給される流量を、大流量及び小流量のいずれかに切り換える本実施形態に係る切換弁装置34は、コントロールバルブ2の外部に配置してあるので、コントロールバルブ2の交換や改造を要することなく、また方向切換弁6を切り換えるパイロット圧の制限を要することなく設けることができ、
図2に示す既設の油圧駆動装置にあっても、容易に適用させることができる。また、
図2に示す既設の油圧駆動装置への適用に際して、コントロールバルブ2の交換や改造を要することなく、またパイロット圧の制限を要することがないことから、設置コストを抑えることができ、また設置作業の能率を向上させることができる。
【0058】
図4は本発明の第2実施形態を示す油圧回路図である。
【0059】
この
図2に示す第2実施形態に係る油圧駆動装置は、圧力検出部であるシャトル弁37で検出された制御パイロット圧Sに応じた信号を出力する圧力センサ36と、指示装置である流量切換スイッチ33から出力される信号、及び圧力センサ36から出力される信号に基づく制御信号を出力するコントローラ38とを備えている。また、切換弁装置34は、コントローラ38から出力される制御信号に応じて切り換えられる電磁切換弁35から成っている。
【0060】
電磁切換弁35は、油路31Aと油路31Bとの接続を遮断する切換位置VIと、油路31aと油路31Bとを接続する切換位置Vとを有する。
【0061】
コントローラ38は、流量切換スイッチ33から指示位置Hに応じた信号が出力され、併せて操作ペダル25が操作され、シャトル弁37から制御パイロット圧Sが出力されたことが圧力センサ36で検出されたときに、切換弁装置34の電磁切換弁35を切換位置VI に保つように電磁切換弁35を制御する。このとき、油路31Aと油路31Bとの接続が遮断される。また、コントローラ38は、流路切換スイッチ33から指示位置Lに応じた信号が出力され、併せて操作ペダル25が操作され、シャトル弁37から制御パイロット圧Sが出力されたことが圧力センサ36で検出されたときに、切換弁装置34の電磁切換弁35を切換位置Vに保つように電磁切換弁35を制御する。このとき、油路31Aと油路31Bとが接続され、油路31Aが油路31Bを介してタンクTに連通する。
【0062】
また、コントローラ38は、操作ペダル25が操作されず、シャトル弁37から出力される制御パイロット圧Sが圧力センサ36で検出されないときには、切換弁装置34の電磁切換弁35を切換位置VIに保つように電磁切換弁35を制御する。したがってこのときは、上述したように油路31Aと油路31Bとの接続が遮断される。
【0063】
以上の構成の他の構成については、上述した第1実施形態と同等である。
【0064】
このように構成した第2実施形態に係る油圧駆動装置にあっては、要求流量が大流量となるアタッチメント、例えばクラッシャが
図1に示すバケット308に代えて装着される場合には、指示装置33が指示位置Hに切り換えられ、この状態で操作ペダル25が操作されると、コントローラ38によって切換弁装置34の電磁切換弁35が切換位置VI に保持される。これにより油路31Aと油路31Bとの接続が遮断され、コントロールバルブ2に内蔵されたアタッチメント用方向切換弁である方向切換弁6には、第2油圧ポンプP2の圧油と第3油圧ポンプP3の圧油の合流された大流量が供給される。したがって、この大流量によって図示しないアタッチメント用アクチュエータが駆動し、要求流量が大きな該当するクラッシャによる所望の作業を実現できる。
【0065】
また、要求流量が小流量となるアタッチメント、例えばブレーカが
図1に示すバケット308に代えて装着される場合、指示装置33が指示位置Lに切り換えられ、この状態で操作ペダル25が操作されると、コントローラ38から出力される制御信号によって、切換弁装置34の電磁切換弁35が切換位置Vに切り換えられる。これにより、上述のように油路31Aと油路31Bとが接続され、油路31Aは油路31Bを介してタンクTに連通し、第3油圧ポンプ3の圧油のコントロールバルブ2への供給、すなわち方向切換弁6への供給が阻止される。したがって、方向切換弁6には第2油圧ポンプP2の圧油のみの小流量が供給され、この小流量によって図示しないアタッチメント用アクチュエータが駆動する。これによって要求流量が小さな該当するブレーカによる所望の作業を実現できる。
【0066】
なお、電磁切換弁35は操作ペダル25が操作されたときのみ切り換り、操作ペダル35が操作されないときには切り換らないので、第3油圧ポンプP3によって駆動するスイング、旋回、ブレードの操作を通常通り行うことができる。
【0067】
このように構成した第2実施形態も、切換弁装置34をコントロールバルブ2の外部に配置してあるので、コントロールバルブ2の交換や改造を要することなく、また方向切換弁6を切り換えるパイロット圧の制御を要することなく設けることができ、第1実施形態と同等の効果を得ることができる。