【文献】
David C. CALVERLEY,CLIN. TRANS. SCI.,2010年,Vol.3, Issue 5,Pages 227-232
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法であり、前記疾患が、自己免疫疾患、皮膚疾患、眼疾患、内分泌疾患、神経疾患、及び心血管疾患からなる群から選択される、方法。
請求項請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法であり、前記疾患が、癌、心血管疾患、全身性エリテマトーデス、鎌状赤血球症、アルツハイマー病、病理的血小板機能に関連する疾患及び/又は病理的巨核球機能に関連する疾患からなる群から選択される疾患を含まない、方法。
疾患診断のための装置であり、前記装置は支持体を含み、前記支持体に付された、前記被験者の無核血液細胞中の少なくとも1つの核酸変異の濃度及び/又は活性を特異的に決定するための少なくとも1つの試薬を含み、及び請求項1乃至13のいずれか一項に記載の方法を実施するためのコンピュータ実行可能な命令を含むコンピュータ読取可能媒体を含む、装置。
【背景技術】
【0002】
臨床診療において、疾患の進行を予測するために、患者に合わせた治療を実現するために、その初期段階において疾患を検出できることが強く求められている。特に腫瘍性疾患(癌)の早期発見が病気の適切な治療を保証するために重要である。医学研究で数多くの進歩にもかかわらず、癌は世界で死亡の主要な原因のままである。患者が治療を求める場合、一般的に遠隔転移の症状を示しており、しばしば癌の検出があまりにも遅すぎたことを意味する。
【0003】
肺癌、前立腺癌、乳癌、及び大腸癌は最も一般的な腫瘍であり、そして外科的切除、放射線療法、化学療法、又は他の知られた治療方法によって適切な是正措置を容易にするために、癌の早期の診断のための迅速かつ簡単な方法が必要である。癌のための優れた診断法の利用可能性はまた、治療に対する患者の応答を評価し、又は源巣や転移で再成長による再発を評価することが重要である。
【0004】
例えば、癌遺伝子産物、成長因子及び成長因子受容体、血管新生因子、プロテアーゼ、接着因子および腫瘍抑制遺伝子産物癌などのいくつかのタイプの癌マーカーが
が現在知られており、初期診断だけでなく、悪性と良性異常とを識別すること;確立された悪性を持つ具体的な患者の、選択された治療処置に対する応答を予期すること;及び、ヒト又は動物被験者の悪性腫瘍の、リスク、存在、状態又は将来挙動に関する情報を提供することなどの、不確かな臨床異常を持つ患者の異なる診断のために本質的であると考えられている。現在腫瘍又は癌マーカーの検出による癌検出及び診断の可能性は広い範囲のわたり、それにより、患者の組織の新たな及びより有用なマーカーを識別するための再現性のある信頼性の高い方法に対する要求が存在する。
【0005】
膠芽腫はヒトの主要な脳腫瘍のなかでの最も一般的で積極的なタイプである。前記疾患は診断が難しく、その治療はより困難であり、この原因は部分的には血液脳関門によるものであって、治療薬の送達及び潜在的に重要な診断マーカーの検出を妨害するからである。膠芽腫の診断マーカーは利用可能であるが、前記主要組織の対し特異的であり、腫瘍サンプルを必要とする。
【0006】
改良されたスクリーニング方法及び検出方法は、疾患の初期段階及び続く進展段階で癌を検出するために必要とされる。癌の場合、我々は、前記腫瘍を検出することを必要とするだけでなく、それが戻せない点すなわち前記処置が治療ではなく一時しのぎとなる前に検出することが必要とする。リスクを持つ人々は、再発癌の患者同様に、広範囲にモニターすることが必要である。さらに、腫瘍は異なる治療薬に応用が異なるものでありから、患者を層別化(区別、分類)することが重要となる。
【0007】
腫瘍生検を用いる遺伝子分析は、多くの突然変異を同定することを可能にし、これは、患者層別化のためだけではなく癌の診断に有用である。しかし、現在のス用の遺伝子分析の欠点は、腫瘍生検が必要であるということであり、これはしばしば患者から切除することが不可能である。さらに、生検の使用は静的なものであり、時間をかけた腫瘍の進展又は再発を遺伝子的にモニターすることができない。さらに、多くの腫瘍が不均一であり、その結果かかる腫瘍の生検について擬陽性又は議員性の遺伝子的特徴付けがなされる結果となり得る。
【0008】
最近、腫瘍進展また再発の診断及びモニターのために循環腫瘍細胞の使用が、腫瘍由来物質、特に細胞形での組織断片のソースとして血液を使用することが示された。しかし循環腫瘍細胞の使用はほとんどの癌には不十分である。Calverleyら(Clinical and Translational Science vol3,issue5,2010)は、転移性肺がんでの血小板の遺伝子発現のダウンレギュレーションを開示する。著者らは、200の遺伝子を同定し、これらは健康人及び患者では異なって発現されるように見える。著者らによると、前記血小板プロテオームは前記血小板のトランスクリプトームにミラー化される。測定された前記遺伝子発現は、巨核球からの遺伝子に相関していた。巨核球以外の他の細胞由来のRNA/DNAが、前記血小板を試験する再測定された、ということは開示されてなく、他の細胞由来の循環RNA/DNAが血小板に取り込まれ得るということも示されていない。
【0009】
一般的に、疾患マーカーは、その濃度が、正常な健康被験者と比較して疾患患者からの生体液中で、変化、好ましくは増加する化合物として定められ、これは次に疾患を示すマーカー化合物として使用される。なお、癌などの疾患マーカーとして、種々の生体液中の、例えばタンパク質などの特定の化合物の識別は、好適な技術の不足により妨げられてきた。
【0010】
癌以外の疾患の場合にも、マーカーが利用され得るが検出が難しい。このことは前記疾患の早期診断を阻害する。
【0011】
Loodらは(Blood vol116,no11,2010)は、SLEを持つ患者、の血小板中のIFN−I制御遺伝子の遺伝子発現が増加することを開示する。著者らは、IFNアルファが巨核球の遺伝子発現に影響を与え、その結果、血小板中のIFN−I制御タンパク質の濃度を増加させたと仮定する。巨核球からの遺伝子発現が、従って、SLE又は血管疾患に関連する。疾患細胞かたRNADNAが血小板に取り込まれることについては開示はない。
【0012】
本発明は、全ての疾患組織又は疾患タイプ(例えば腫瘍)が縦貫疾患細胞(例えば循環腫瘍細胞)とはならない、という従来技術の持つ問題点を解消することを目的とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明はまた、癌などの疾患検出のためのタンパク質マーカーが検出困難である、という従来技術の問題点を解消することを目的とする。さらに、本発明は、生検の必要がなく、広い範囲の患者のモニターを可能にする方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
第1の側面で本発明は、疾患マーカーの存在を被験者の血液サンプルを分析する方法を提供し、前記方法は次のステップ、
(a)無核血液細胞、好ましく血小板から核酸を抽出するステップを含み、無核血液細胞−抽出核酸画分を前記血液サンプル中に提供し、及び
(b)疾患マーカーについて前記無核血液細胞−抽出核酸画分を分析するステップを含み、
ここで、前記疾患マーカーが、前記被験者の有核細胞の遺伝子での疾患特定的突然変異であるか、又は前記疾患マーカーが、前記被験者の有核細胞の遺伝子の疾患の特異的発現プロフィール、である。
【0015】
驚くbべきことに、有核細胞からの核酸は、血小板などの無核血液細胞中に存在する、ということが見出された。あり得ることは、有核細胞が核酸を血流中に分泌し、これらの分泌核酸が、血小板などの無核細胞により前記血流から取り込まれる、ということか、又は有核細胞から核酸のなんらかの移動方法で、核酸が無核血液細胞へ移送される、ということである。本発明者は初めて、疾患マーカーが、有核細胞から疾患を識別するために無核血液細胞から抽出された核酸について使用され得る、ということを認識した。
【0016】
本発明の好ましい実施態様では、前記無核血液細胞−抽出核酸画分は、有核細胞から由来する核酸を含む。本発明の好ましい実施態様では、無核血液細胞−抽出核酸画分は、巨核球由来核酸又は巨核球由来RNAではない、即ち試験されるべき核酸画分は、巨核球系統又は巨核球遺伝子起源ではない。
【0017】
ここで用語「無核血液細胞」とは、核を持たない細胞を意味する。前記用語は、赤血球及び血小板を共に意味する。本発明の側面で無核細胞の好ましい実施態様は、血小板である。用語「無核血小板細胞」は好ましくは、障害性細胞分裂の結果として核を持たない細胞は意味しない。
【0018】
ここで用語「有核細胞」とは、核を持つ細胞を意味する。前記用語は、体細胞、生殖細胞及び幹細胞を含み、大腸、膵臓、脳、膀胱、乳房、前立腺、肺、乳房、卵巣、子宮、肝臓、腎臓、脾臓、胸腺、甲状腺、神経組織、結合組織、血液、上皮組織、リンパ節、骨髄、筋肉及び皮膚組織からの細胞を含むことを意味する。前記有核細胞は好ましくは、疾患細胞組織からの細胞である。好ましい実施態様では、前記有核細胞は巨核球ではない。
【0019】
従って、本発明は一般的には、核を持たない細胞内に、核を持つ細胞から取り込まれる核酸を分析することを目的とし、前記核を持たない細胞が容易に血流から分離され、かつ前記有核からの核酸を含む。
【0020】
用語「核」は、真核細胞で見られる膜で囲まれた細胞小器官であり、黒もソームの形で前記細胞の遺伝子物質のほとんどを含むものである。これらのクロモソーム内の遺伝子は、前記細胞核遺伝子である。前記核の内部はいくつかの小核体を含み、これにはRNA含有核が含まれ、主にRNA含有リボソームの構造内に含まれる。前記核内で製造された後、リボソームは細胞質に出で、そこでmRNAに翻訳される。
【0021】
無核血液細胞−抽出核酸画分は、好ましくは、クロモソームDNA、リボソームRNA、核RNA及び/又はメッセンジャーRNAを含む画分を意味する。
【0022】
ここで使用され、特に「有核細胞の遺伝子の突然変異」なる句で使用される用語「遺伝子」は、有核(体細胞)細胞のクロモソーム及び外部クロモソーム全ての核酸配列であって、及びリボソームRNA配列同様に転写及び非転写配列を含み、最も好ましくはRNAに転写されるクロモソーム配列である。
【0023】
本発明の方法の好ましい実施態様では、前記疾患特異的突然変異はクロモソーム遺伝子においてである。他の好ましい実施態様では、前記遺伝子は、有核血液細胞からの遺伝子ではない。他の好ましい実施態様では、前記遺伝子は巨核球からの遺伝子である。さらに他の好ましい実施態様では、前記遺伝子はCD109ではない。
【0024】
本発明の方法の好ましい実施では、前記疾患特異的発現プロフィールがクロモソーム遺伝子の発現プロフィールである。特に、血小板中に存在する有核細胞からクロモソーム遺伝子であるmRNAである。
【0025】
本発明の方法の他の好ましい実施では、前記核酸(RNA)であり、より好ましくはメッセンジャーリボ核酸(mRNA)である。
【0026】
本発明の方法の好ましい実施態様では、前記核酸はmtDNAではない。従って、ミトコンドリア核酸は、好ましくは本発明の側面ではない。
【0027】
本発明の方法による血液サンプルを分析する方法の他の好ましい実施態様では、疾患マーカーの存在について前記無核血液細胞−抽出核酸を分析するステップ(b)が次の選択的増幅ステップ:
(i)前記突然変異を、少なくとも1つの核酸突然変異−特異的増幅プライマー又はプローブを用いて、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応増幅により増幅する、又は
(ii)複数のmRNAを、前記mRNAをコードする前記クロモソーム遺伝子の発現レベルを決定し、それにより前記遺伝子の発現プロフィールを与え前記発現プロフィールを標準プロフィールと比較するために、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応増幅により増幅する。
【0028】
前記血液サンプルは好ましくは前記身体外である。
【0029】
本発明の方法の好ましい実施態様では、前記疾患は、癌、自己免疫疾患、皮膚疾患、眼疾患、内分泌疾患、神経疾患、及び臓血管疾患からなる群から選択される。
【0030】
本発明の方法の他の好ましい実施態様では、前記疾患は、自己免疫疾患、皮膚疾患、眼疾患、内分泌疾患、神経疾患、および心臓血管疾患からなる群から選択される。
【0031】
本発明の方法の他の好ましい実施態様では、前記疾患は癌である。
【0032】
本発明の方法の他の好ましい実施態様では、前記癌は固形腫瘍癌、好ましく大腸、膵臓、脳、膀胱、乳房、前立腺、肺、乳房、卵巣、子宮、肝臓、腎臓、脾臓、胸腺、甲状腺、神経組織、上皮組織、リンパ節、骨、筋肉および皮膚から選択される。
【0033】
本発明の方法の他の好ましい実施態様では前記疾患は癌ではない。
【0034】
本発明の方法の他の好ましい実施態様では前記疾患は血管疾患ではない。
【0035】
本発明の方法の他の好ましい実施態様では前記疾患は全身性エリテマトーデスではない。
【0036】
本発明の方法の他の好ましい実施態様では前記疾患は鎌状赤血球症ではない。
【0037】
本発明の方法の他の好ましい実施態様では前記疾患はアルツハイマー症ではない。
【0038】
本発明の方法の他の好ましい実施態様では前記疾患は、病的な巨核球機能に関連する疾患ではない。
【0039】
本発明の方法の他の好ましい実施態様では前記疾患は、病的な血小板機能に関連する疾患ではない。
【0040】
好ましい実施態様で説明された前記実施態様は、任意に組み合わせることができる。
【0041】
本発明の方法に他の好ましい実施態様では、前記疾患は、自己免疫疾患、皮膚疾患、眼疾患、内分泌疾患、および神経疾患からなる群から選択される。
【0042】
本発明の側面の好ましい実施態様では、前記自己免疫疾患は、無酸症自己免疫活動性慢性肝炎;急性散在性脳脊髄炎;急性出血性の白質脳炎;アジソン病;無ガンマグロブリン血症;円形脱毛症;筋萎縮性側索硬化症;強直性脊椎炎;抗i−GBM/TBM腎炎;抗リン脂質抗体症候群;アンチシンセターゼ症候群;多関節リウマチ;アトピー;アレルギー;アトピー性皮膚炎;自己免疫性再生不良性貧血;自己免疫性心筋症;自己免疫性腸疾患;自己免疫性溶血性貧血;自己免疫性肝炎;自己免疫性内耳疾患;自己免疫性リンパ増殖症候群;自己免疫性末梢神経障害;自己免疫性膵炎;自己免疫ポリエンドクリン症候群;自己免疫性プロゲステロン皮膚炎;自己免疫性血小板減少性紫斑病;自己免疫性ブドウ膜炎;バロ病気/バロ同心円硬化症;ベーチェット症候群;バージャー病;ビッカースタフの脳炎;ブラウ症候群;水疱性類天疱瘡;キャッスルマン病;セリアック病;シャーガス病;慢性疲労免疫機能障害症候群;慢性炎症性脱髄性多発神経障害;慢性再発性多発性骨髄炎;慢性ライム病;慢性閉塞性肺疾患;チャーグ・ストラウス症候群;瘢痕性類天疱瘡;セリアック病;コーガン症候群;寒冷凝集素症;補体成分2欠乏症;頭蓋動脈炎;CREST症候群;クローン病;クッシング症候群;皮膚白血球破砕性血管炎;DEGO病;有痛脂肪症;疱疹状皮膚炎;皮膚筋炎;糖尿病1型;びまん性皮膚全身性硬化症;ドレスラー症候群;円板状エリテマトーデス;アトピー性皮膚炎;子宮内膜症;腱付着部炎関連関節炎;好酸球性筋膜炎;好酸球性胃腸炎;表皮水疱水疱;結節性紅斑;必須混合クリオグロブリン血症;エヴァン症候群;進行性骨化性線維形成異常症;線維筋痛症/線維筋炎;線維肺胞炎;胃炎;消化性類天疱瘡;巨細胞性動脈炎;糸球体腎炎;グッドパスチャー症候群;グレーブス病;ギラン・バレー症候群;橋本脳炎;橋本甲状腺炎;溶血性貧血;ヘノッホ・シェーンライン紫斑病;ヘルペス妊娠性疱疹;汗腺膿瘍;ヒューズ症候群;低ガンマグロブリン血症;特発性炎症性脱髄疾患;特発性肺線維症;特発性血小板減少性紫斑病;IgA腎症;封入体筋炎;多発性神経障害炎症性脱髄;間質性膀胱炎;過敏性腸症候群(IBS);若年性特発性関節炎;若年性関節リウマチ関節炎;川崎病;ランバート・イートン筋無力症候群;白血球破砕性血管炎;扁平苔癬;硬化性苔癬;リニア型IgA病;ルー・ゲーリック病;ルポイド肝炎;エリテマトーデス;マジェード症候群;メニエール病;顕微鏡的多発;ミラーフィッシャー症候群;混合性結合組織病;限局性強皮症;ミュシャ−ハーバーマン病;マックル・ウェルズ症候群;多発性骨髄腫;多発性硬化症;重症筋無力症;筋炎;ナルコレプシー;視神経脊髄炎;神経ミオトニー;な眼瘢痕性類天疱瘡;眼球クローヌスミオクローヌス症候群;オード甲状腺炎;回文リウマチ;パンダ;腫瘍随伴小脳変性;発作性夜間血色素尿症は;パルソナージターナー症候群;ロンバーグ症候群パリー扁平部炎;天疱瘡;尋常性天疱瘡;悪性貧血;静脈周囲脳脊髄炎;POEMS症候群;結節性多発動脈炎;リウマチ性多発筋痛;多発性筋炎;原発性胆汁性肝硬変;原発性硬化性胆管炎;プログレッシブ炎症性神経障害;乾癬;乾癬性関節炎;壊疽性膿皮症;赤芽球癆;ラスムッセンの脳炎;レイノー現象;再発性多発性軟骨炎;ライター症候群;むずむず脚症候群;後腹膜線維症;関節リウマチ;リウマチ熱;サルコイドーシス;統合失調症;シュミット症候群;シュニッツラー症候群;強膜炎;強皮症;シェーグレン症候群;脊椎;スティッキー血症候群;スティル病;スティッフ人症候群;亜急性細菌性心内膜炎(SBE);スシャツ島症候群;スウィート症候群;シデナム舞踏病;交感性眼炎;高安動脈炎;側頭動脈炎;トロサ・ハント症候群;横断性脊髄炎;潰瘍性大腸炎;未分化結合組織病;未分化脊椎関節症;血管炎;白斑;ウェゲナー肉芽腫症;ウィルソン症候群;およびウィスコット・アルドリッチ症候群からなる群から選択される。
【0043】
本発明の側面の好ましい実施態様では、前記皮膚疾患は、ざ瘡様疹;自己炎症症候群;慢性膨れ;粘膜の状態;皮膚付属器の条件;先天異常;皮下脂肪の条件結合組織疾患(例えば真皮線維と弾性組織の異常など);皮膚および皮下成長;皮膚炎(アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、湿疹、膿疱性皮膚炎、および脂漏性皮膚炎を含む);色素沈着の妨害;薬疹;内分泌関連の皮膚病;好酸球;表皮母斑;腫瘍;嚢胞;紅斑;遺伝性皮膚症;感染関連皮膚疾患;苔噴火;リンパ関連の皮膚病;メラノサイト母斑や腫瘍(黒色腫を含む);単球やマクロファージ関連皮膚疾患;ムチン症;神経皮膚;非感染性免疫不全に関連する皮膚病;栄養関連の皮膚疾患;丘疹落屑性発信性過角化(掌角皮症含む);妊娠に関連した皮膚病;掻痒;乾癬;好中球反応;反抗掌蹠噴火;代謝におけるエラーに起因する;物理的要因(電離放射線誘発を含む)に起因する;蕁麻疹や血管浮腫、血管に関連する皮膚病からなる群から選択される。
【0044】
本発明の側面の好ましい実施態様では、前記内分泌疾患は、副腎障害;グルコース恒常性障害;甲状腺障害;カルシウム恒常性障害と代謝性骨疾患;下垂体障害;及び性ホルモン障害からなる群から選択される。
【0045】
本発明の側面で好ましい実施態様では、前記眼疾患は、まぶた;涙システムと軌道のH00−H06障害;結膜のH10−H13障害;強膜;角膜;虹彩や毛様体のH15−H22障害;レンズのH25−H28障害;脈絡膜と網膜のH30−H36障害(H30脈絡膜炎症を含む;脈絡のH31その他の障害;他のグループに分類されて病気にH32脈絡膜疾患;H33網膜剥離や休憩;H34網膜血管閉塞;H35その他の網膜疾患;および他のグループに分類されて病気にH36網膜疾患);H40−H42緑内障;硝子体と地球のH43−H45障害;視神経や視覚経路のH46−H48障害;眼の筋肉;双眼動き;宿泊施設と屈折のH49−H52障害;H53−H54.9視覚障害や失明;及び目及び付属器のH55−H59その他の疾患からなる群から選択される。
【0046】
本発明の側面で好ましい実施態様では、前記神経性疾患は、圧覚喪失;てんかん失語症;急性散在性脳脊髄炎、副腎;脳梁の形成不全;失認;アイカルディ症候群;アレキサンダー病;エイリアンハンド症候群;感覚体側逆転;アルパース病;交互片麻痺;アルツハイマー病;筋萎縮性側索硬化症(運動ニューロン疾患を参照);無脳症、アンジェルマン症候群;血管腫症;無酸素;失語症;失行;くも膜嚢胞;くも膜炎;アーノルド・キアリ奇形;動静脈奇形;毛細血管拡張性運動失調;注意欠陥多動性障害;聴覚処理障害;自律神経障害;背み;バッテン病;ベーチェット病;ベル麻痺;良性エッセンシャル眼瞼痙攣;良性頭蓋内圧亢進症;双方前頭頭頂多小脳回;ビンスワンガー病;眼瞼けいれん;ブロッホ−サルズバーガー症候群;腕神経叢損傷;脳膿瘍;脳損傷;脳損傷;脳腫瘍;ブラウンセカール症候群;カナバン病;手根管症候群;カウザルギー;中枢性疼痛症候群;中央橋のミエリン溶解;中心核ミオパシー;頭部障害;脳動脈瘤;脳動脈硬化症;脳萎縮;脳性巨人症;脳性麻痺;脳血管炎;頚椎脊柱管狭窄;シャルコー・マリー・トゥース病;キアリ奇形;舞踏病;慢性疲労症候群;慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP);慢性疼痛;コフィンローリー症候群;昏睡、複合性局所疼痛症候群、圧縮神経障害;先天性顔面両側麻痺、大脳皮質基底核変性症;頭蓋動脈炎、頭蓋骨癒合症、クロイツフェルト・ヤコブ病;累積外傷障害;クッシング症候群;巨細胞性封入体病(CIBD);サイトメガロウイルス感染、ダンディ・ウォーカー症候群;ドーソン病;デモルシエ症候群;デジェリネ−クルンプケ麻痺;デジェリネ−ソタス病;延期睡眠相症候群;認知症;皮膚筋炎;発達統合運動障害;糖尿病性神経障害、びまん性硬化症;ドラベット症候群;自律神経障害;計算力障害;書字障害;ディスレクシア;ジストニア;エンプティセラ症候群;脳炎;脳ヘルニア;脳三叉神経領域血管腫症;遺糞;てんかん;エルブ麻痺;紅;本態性振戦;ファブリー病;華氏症候群;失神;家族性痙性麻痺;熱性けいれん;フィッシャー症候群;フリードライヒ失調症;線維筋痛;ゴーシェ病;ゲルストマン症候群;巨細胞性動脈炎;巨細胞性封入病;グロボイド細胞白質ジストロフィー;灰白質の異所;ギラン バレー症候群;HTLV−1関連脊髄症;ハレル・スパッツ病;頭部外傷、頭痛;片側顔面けいれん;遺伝性痙性対麻痺;遺伝性多発神経炎性失調;耳帯状疱疹;帯状疱疹;平山症候群;全前脳症;ハンチントン病;水無脳症;水頭症;高コルチゾール症;低酸素症;免疫介在性脳脊髄炎;封入体筋炎;色素失調症;乳児フィタン酸蓄積症;乳児レフサム病;乳児けいれん、炎症性ミオパシー;頭蓋内嚢胞;頭蓋内圧亢進;ジュベール症候群;カラック症候群;カーンズ・セイヤー症候群;ケネディ病;キンスボルン症候群;クリッペルフェイル症候群;クラッベ病;クーゲル−ベーランダ病;クールー;ラホラ病;ランバート・イートン筋無力症候群;ランダウ−クレフナ症候群;横髄(ウォレンバーグ)症候群;学習障害;リー病;レノックス・ガストー症候群;レッシュナイハン症候群;染性白質ジストロフィー、レビー小体型認知症、滑脳症;症候群ロックイン;ルー・ゲーリック病(運動ニューロン疾患を参照);腰椎椎間板疾患、腰部脊柱管狭窄症;ライム病−神経学的後遺症;マシャド・ジョセフ病(脊髄小脳失調症3型);大脳症;大視症;巨大脳髄症;メルカーソン−ローゼンタール症候群;メニエール病;髄膜炎;メンケス病;異染性白質ジストロフィー;小頭症;小視症;片頭痛;ミラーフィッシャー症候群;ミニ脳卒中(一過性脳虚血発作);ミトコンドリアミオパチー;メビウス症候群;モノマー筋萎縮症;運動ニューロン疾患;運動技能障害;もやもや病;ムコ多糖症;多発脳梗塞性痴呆;多巣性運動ニューロパチー;多発性硬化症、多系統萎縮症;筋ジストロフィー;筋痛性脳脊髄炎;重症筋無力症;ミエリン砕屑性びまん性硬化症;乳児ミオクロニー脳症;ミオクローヌス;ミオパシー;筋細管ミオパシー;先天性ミオトニー;ナルコレプシー;神経線維腫症;悪性症候群;エイズの神経学的症状;ループスの神経学的後遺症、神経ミオトニー;神経セロイドリポフスチン症;ニューロン移動障害;病気をニーマン・ピック;非24時間睡眠覚醒症候群;ノンバーバル学習障害;オサリバン・マクラウド症候群;後頭部神経痛;オカルト脊椎癒合不全配列;大田原症候群;オリーブ橋小脳萎縮症;オプソクローヌスミオクローヌス症候群;視神経炎;起立性低血圧;酷使症候群;反復視;感覚異常;パーキンソン病;先天性パラミオトニア;腫瘍随伴疾患;発作性の攻撃;パリー・ロンバーグ症候群;ペリツェウス−メルツバッヒャー病;定期的麻痺;末梢神経障害;遷延性植物状態;広汎性発達障害;透光くしゃみ反射;フィタン酸蓄積症;病ピック;挟ま神経、下垂体腫瘍;PMG;ポリオ;多小脳回;多発性筋炎;孔脳;ポストポリオ症候群;帯状疱疹後神経痛(PHN);感染後脳脊髄炎;起立性低血圧;プラダー・ウィリー症候群;原発性側索硬化症;プリオン病;プログレッシブ片側顔面萎縮;進行性多巣性白質脳症;進行性核上性麻痺;偽脳腫瘍;狂犬病;ラムゼイ・ハント症候群(タイプIとタイプII);ラスムッセンの脳炎;反射神経血管ジストロフィー;レフサム病;反復運動障害;反復ストレス傷害;むずむず脚症候群;レトロウイルス関連脊髄症;レット症候群;ライ症候群;リズミカルな運動障害;ロンバーグ症候群;聖ヴィートダンス;サンドホフ病;統合失調症;シルダー病;裂脳症;感覚統合障害;セプト光異形成;揺さぶられっ子症候群;帯状疱疹;シャイ・ドレーガー症候群;シェーグレン症候群;睡眠時無呼吸;睡眠病;スナチエーションソトス症候群;痙性;二分脊椎;脊髄損傷;脊髄腫瘍;脊髄性筋萎縮症;脊髄小脳失調症;スティール−リチャード・オルシェフスキー症候群;硬い人症候群;ストローク;スタージ・ウェーバー症候群;亜急性硬化性全脳炎;皮質下動脈硬化性脳症;表面的な鉄沈着症;シデナム舞踏病;失神;共感覚;脊髄空洞症;足根管症候群;遅発性ジスキネジア;タルロフ嚢胞、テイサックス病;側頭動脈炎;破傷風;繋留脊髄症候群;トムセン病;胸郭出症候群;疼痛性チック;トッドの麻痺;トゥレット症候群;毒性脳症;一過性脳虚血発作;伝達性海綿状脳症;横断性脊髄炎;外傷性脳損傷;振戦;三叉神経痛;熱帯性痙性対麻痺;トリパノソーマ症;結節性硬化症;フォン・ヒッペル・リンドウ病;ビリウイスク脳脊髄炎;ウォレンバーグ症候群;ウェルドニッヒ・ホフマン病;ウエスト症候群;むち打ち症;ウィリアムズ症候群、ウィルソン病、及びゼルウィガー症候群からなる群から選択される。
【0047】
本発明の側面の好ましい実施態様では、血管疾患は、狭心症;アテローム性動脈硬化症;脳卒中(脳卒中);脳血管疾患;心不全;冠動脈疾患;心筋梗塞(心臓発作);動脈瘤及び末梢血管疾患からなる群から選択される。
【0048】
頬側面の他の好ましい実施態様では、心血管疾患は全身性エリテマトーデスではない。
【0049】
他の側面で、本発明は被験者の疾患を診断する方法であり、本発明の血液サンプルを分析する方法を用いる。ここで、本発明の好ましい実施態様では、本発明の血液サンプルを分析する方法は、被験者の疾患を診断するための方法の一部分であり、及び前記無核血液細胞−抽出核酸画分中に前記疾患マーカーが存在することが前記被験者の前記疾患の罹患を示す。
【0050】
他の側面では、本発明は、被験者の疾患治療の効果を決定する方法であり、前記方法は次のステップ:
・疾患マーカーの存在について被験者の血液サンプルを、第1の時点で本発明による血液サンプルを分析する方法を用いて分析し、それにより前記方法の疾患マーカーの濃度について初期値を得るステップ;
・疾患マーカーの存在について被験者の血液サンプルを、第2の時点、第1の時点より早いかより遅い時点、好ましくはよりも遅い時点で本発明による血液サンプルを分析する方法を用いて分析し、それにより前記方法の疾患マーカーの濃度について第2の値を得るステップを含み、ここで前記被験者は前記第1の時点と前記第2の時点の間で疾患治療の対象となり;
・前記第1及び第2も値を比較して、前記被験者の前記治療の効果を決定するステプを含む。
【0051】
当業者には、前記第1の時点及び遅れて続く第2の時点での測定の前の治療(これらの時点間で、なんら疾患治療がされることがない)は、疾患治療の効果を決定するための本発明の側面に含まれる、ということが理解されるであろう。
【0052】
他の側面で、本発明は疾患の段階を決定するための方法を提供する。疾患の段階を決定するために、本発明方法で決定された疾患マーカー値と疾患段階とを関連付けることが有益である。前記疾患の一回の測定は、前記疾患の段階の指標を得るために1又は複数の標準値と比較され得る。
【0053】
他の側面では、本発明は、被験者の疾患の段階を決定するための方法を提供するものであり、前記方法は次のステップ:
・本発明の疾患マーカーの疾患マーカーの存在について被験者の血液サンプルを分析する方法を用いて、疾患マーカーの存在について被験者の血液サンプルを分析するステップを含み、それにより、前記被験者の前記疾患マーカーの濃度について試験値を与え、
・前記疾患マーカーの濃度について標準値を与えるステップを含み、前記標準値が疾患の特定に段階に関連付けられ、及び
・前記試験値と標準値を標準値とを比較して前記被験者の前記疾患段階を決定するステップを含む。
【0054】
他の側面で、本発明は、前記の本発明の方法を実施するために適合される部品のキットを提供するものであり、前記キットは少なくとも:
・無核血液細胞、好ましくは血小板を血液サンプルから離れて保持するための容器;
・前記無核血液細胞から核酸を抽出するための試薬;
・前記無核血液細胞から抽出された核酸から、
被験者の有核細胞の遺伝子での疾患特異的突然変異などの前記疾患特異的マーカー、又は前記被験者の有核細胞からの核酸の疾患特異的発現プロフィールを、例えば逆転者ポリメラーゼ連鎖反応増幅により選択的に増幅するための試薬を含み、及び
・前記本発明の方法を実施するための印刷物又は電子的指示書を含み、
前記キットはさらに:
・前記疾患マーカーの標準を含み、前記標準は、前記無核血液細胞抽出核酸画分に前記疾患マーカーの存在の有無を示す。
【0055】
本発明によりキットの好ましい実施態様では、前記標準が、健康なコントロール被験者又は疾患を罹患しているコントロール被験者の無核血液細胞の前記疾患特異的突然変異を含む核酸の濃度のついての標準値であり、又は前記標準は、健康コントロール被験者又は疾患を罹患するコントロール被験者からの無核血液細胞の例えば複数のmRNAについての標準発現プロフィールである。
【0056】
本発明によるキットの好ましい実施態様では、前記試薬又は指示書は、粒子又は蛍光マーカーラベル化抗無核血液細胞抗体(好ましくは、蛍光マーカーラベル化抗血小板抗体)、ビーズ系無核血液細胞分離(好ましくは血小板分離)のための指示書、無核血液細胞(好ましくは血小板)のFACSソートのための指示書、無核血液細胞(好ましくは血小板)の遠心分離による回収のための指示書、又は非−無核血液細胞成分(好ましくは、非−血小板成分)の排除選択のための指示書、から選択される。
【0057】
他の側面では、本発明は、疾患診断のための装置を提供するものであり、前記装置は、支持体、及び前記被験者の無核血液細胞中の少なくとも1つの核酸突然変異の濃度及び/又は活性を特異的に決定するための少なくとも1つの試薬を含み、前記試薬が前記支持体に結合され、コンピュータ読み取り可能な媒体が、前記本発明の実施のためのコンピュータ実行可能な命令を持つ。
【0058】
本発明の装置の好ましい実施態様では、前記少なくとも1つの試薬は、オリゴヌクレオチドプローブ又は配列決定プライマーである。
【0059】
本発明の装置の好ましい実施態様では、前記装置は、ラテラルフロー装置、ディップスティック又はカートリッジを含み、無核血液細胞抽出核酸及び少なくとも1つの核酸突然変異特異的増幅プライマー又はオリゴヌクレオチドプローブとの間又は無核血液細胞抽出核酸と、疾患特異的遺伝子発現プロフィールを与えるための複数の遺伝子特異的増幅プライマー又はオリゴヌクレオチドプローブとの間の核酸ハイブリダイゼーション反応を実施することを可能にする。
【発明を実施するための形態】
【0061】
ここで用語「癌」は、発癌形質転換細胞の増殖に起因する疾患又は障害を意味する。「癌」は、例えばリンパ系システム及び/又は血流により、ヒト又は動物の身体またその部分に侵襲成長及び転移し得る、広い範囲の良性から悪性腫瘍を含む。ここで使用される「腫瘍」は、本発明が特に悪性腫瘍及び固体癌の向けられているけれども、良性及び悪性の腫瘍又は固体成長を含む。癌はさらに限定されるものではないが、
例えば、卵巣癌、結腸癌、乳癌、膵臓癌、肺癌、前立腺癌、尿道癌、子宮癌、急性リンパ性白血病、ホジキン病、肺の小細胞癌、メラノーマ、神経芽細胞腫は、神経膠腫(例えば神経膠芽腫)などの癌腫、リンパ腫、または肉腫、および、軟部肉腫、リンパ腫、黒色腫、肉腫、腺癌などを含む。
本発明の側面の好ましい実施形態では、血小板癌は除外される。
【0062】
用語「癌由来」とは、癌又は癌細胞から由来することを意味する。
【0063】
用語「癌由来核酸」とは、次の全ての核酸を意味する、即ち、前記被験者の癌を示すものであり、特に及び最も好ましい実施態様では、突然変異DNA又はRNAであって前記癌に突然変異遺伝子の存在を示し、前記突然変異遺伝子が前記被験者の癌細胞で発現され又は存在し、その突然変異遺伝子の核酸配列が健康なコントロール被験者の正常遺伝子の比べて変更されている。用語「癌由来核酸」はまた、次の核酸を含む、即ち、(i)癌細胞で生成され、発現し又は存在するが、正常な健康(非癌性)細胞内にはなく、又はその生成又は発現が、正常細胞に比較して癌細胞により、又はその中で変更されてる核酸、又は(ii)正常細胞で生成され、発現され、又は存在するが、癌細胞ではそうではない核酸である。従って、前記核酸は突然変異配列を持つ突然変異核酸であることが必要ではなく、野生型(非癌)配列を持つ核酸であり得るが、そのプロフィール又を発現濃度が、正常細胞に比べて癌細胞で変化している。ひとつの好ましい実施態様では、前記癌由来核酸は、前記癌に特異的な突然変異核酸(DNA、cDNA又はRNA)、好ましくはRNA転写物である。非常に好ましい他の実施態様では、ここで詳細に説明するように、前記癌由来核酸は、癌由来又を癌特異的核酸を示す発現プロフィールである。
【0064】
用語「癌マーカー」とは、癌マーカー遺伝子又を癌マーカー遺伝子発現プロフィールを意味する。ここで使用される用語「癌マーカー遺伝子」とは、単独で、又は他の遺伝子との組み合わせで、癌又は癌の予後と関連付けられる遺伝子を意味する。前記関連付けは、血小板から得られる核酸画分の前記遺伝子のRNA発現産物の増加又は減少を反映して遺伝子の発現の増加又は減少のいずれかに関連する。例えば、前記遺伝子の発現は癌を示しているか、又は遺伝子発現の欠如は、癌患者の不十分な予後と関連させ得る。前立腺癌の場合には、AMACR、PAC3及びPSAが好適な癌マーカーである。大腸癌の場合にはKRAS変異が好適な癌マーカーである。肺癌の場合には、EGFR突然変異が好適な癌マーカーである。黒色腫の場合には、BRAF突然変異が好適な癌マーカーである。神経膠腫の場合には、EGFRvIII突然変異が好適な癌マーカーである。実施例又は図面からここで提供される他の好適な癌マーカーは表1及び2から見出される。当業者は、多くの他の癌マーカーが、本発明の側面及び実施態様で適用され得ることを理解するであろう。
【0065】
ここで使用される用語「癌の段階(ステージ)」とは、癌の進行の程度を定性的に又は定量的に示す評価を意味する。癌の段階を決定するために使用される基準は、限定されるものではないが、腫瘍のサイズを含む、前記腫瘍が身体の他の部分に広がり、及び前記癌が拡大する(例えば、身体の同じ器官又は領域又は他の器官へ)。
【0066】
用語「癌由来」、「癌マーカー」、「癌マーカー遺伝子」及び/又は「癌の段階」での「癌」は、癌の定義として一般的にここで意味する全ての疾患に適用可能であることから、用語「疾患」と一般化され得る。
【0067】
用語「疾患由来」とは、疾患又は疾患細胞からの由来を意味する。
【0068】
用語「疾患由来核酸」とは、被験者の疾患を示し得る核酸であり、特に最も好ましく実施態様では、突然変異DNA又はRNAであり、これは突然変異遺伝子の疾患に存在することを示し、これは前記被験者により発現されるか存在し、突然変異遺伝子の核酸配列が、健康なコントロール被験者の正常遺伝子に比較して変化している、核酸全てを意味する。用語「疾患由来核酸」とは、(i)疾患細胞で生産され、発現され又は存在するが、健康な細胞(非疾患)ではそうではない核酸、又はその生産又は発現が、正常細胞に比較して疾患細胞により又は疾患細胞で変化している核酸;又は(ii)正常細胞で生産され、発現され、又は存在するが、疾患細胞ではそうではない核酸、を意味する。従って、前記核酸は、変異配列を持つ突然変異核酸であることは必要ではなく、野生型(非疾患)を持つ正常核酸でありってよく、しかしそのプロフィール又は発現濃度が正常細胞に比べて疾患細胞で変化している核酸である。ひとつの好ましい実施態様では、疾患由来核酸は、前記疾患に特異的な突然変異核酸(DNA、cDNA又はRNA)、好ましくはRNAは転写物である。他の非常に好ましい実施態様では、前記疾患由来核酸は、ここで詳細に説明される、疾患由来又は疾患特異的であることを示す核酸発現プロフィールである。好ましい実施態様では、疾患由来核酸は癌由来核酸を含まない。他の好ましい実施態様では、前記疾患由来核酸は、血管疾患由来核酸及び/又は全身性エリテマトーデス由来核酸は含まれない。好ましい実施態様では、疾患由来核酸は、鎌状赤血球由来核酸を含まない。好ましい実施態様では、疾患由来核酸は、アルツハイマー疾患由来核酸を含まない。好ましい実施態様では、疾患由来核酸は、CD109核酸を含まない。本発明の他の好ましい実施態様では、前記疾患由来核酸は、巨核球由来核酸を含まない。本発明の他の好ましい実施態様では、前記疾患由来核酸は、病理的巨核球及び/又は血小板機能に伴う疾患由来核酸を含まない。
【0069】
ここで「疾患マーカー」とは、特に、疾患マーカー遺伝子又を疾患マーカー遺伝子発現プロフィールを意味する。ここで使用される用語「疾患マーカー遺伝子」とは、その配列又は発現が、単独又は他の遺伝子との組み合わせで、前記疾患の疾患又は予後と関連付けされる遺伝子を意味する。前記関連付けは、血小板から得られ得る前記核酸画分の前記遺伝子のRNA発現産物の増加又は減少する存在を反映する遺伝子の増加又は減少される発現のいずれかに関連する。例えば、前記遺伝子の発現が、ある疾患を示し、又は前記遺伝子の発現の欠如が、患者の不十分な予後に関連し得る。好ましい実施態様では、前記疾患マーカー遺伝子はCD109遺伝子ではない。
【0070】
ここで使用される用語「疾患の段階」とは、疾患の進行の程度を定性的に又は定量的に示す評価を意味する。疾患の段階を決定するために使用される基準は、限定されるものではないが、前記疾患が身体の他の部分に広がり、及び前記疾患が拡大する(例えば、身体の同じ器官又は領域又は他の器官へ)かどうかである。
【0071】
ここで用語「疾患」とは、癌、自己免疫疾患、皮膚疾患、眼疾患、内分泌疾患、神経疾患及び心臓血管疾患を意味する。
【0072】
ここで使用される用語「疾患」とは、自己免疫疾患、皮膚疾患、眼疾患、内分泌疾患、神経疾患及び心臓血管疾患を意味する。
【0073】
ここで使用される用語「疾患」とは、自己免疫疾患、皮膚疾患、眼疾患、内分泌疾患及び/又は神経疾患を意味する。
【0074】
ここで使用される用語「疾患」とは、好ましい実施態様では、癌、心血管疾患、全身性ループスエリテマトーデス、鎌状赤血球疾患、アルツハイマー疾患、病理的血小板機能に関連する疾患及び/又は病理的巨核球機能に関連する疾患は含まない。
【0075】
従って、癌に加えて又は癌に代えて、本発明の手段及び方法を用いて検出され得る疾患は例えば次の事故免疫疾患を含む:即ち、無酸症自己免疫活動性慢性肝炎;急性散在性脳脊髄炎;急性出血性の白質脳炎;アジソン病;無ガンマグロブリン血症;円形脱毛症;筋萎縮性側索硬化症;強直性脊椎炎;抗i−GBM/TBM腎炎;抗リン脂質抗体症候群;アンチシンセターゼ症候群;多関節リウマチ;アトピー;アレルギー;アトピー性皮膚炎;自己免疫性再生不良性貧血;自己免疫性心筋症;自己免疫性腸疾患;自己免疫性溶血性貧血;自己免疫性肝炎;自己免疫性内耳疾患;自己免疫性リンパ増殖症候群;自己免疫性末梢神経障害;自己免疫性膵炎;自己免疫ポリエンドクリン症候群;自己免疫性プロゲステロン皮膚炎;自己免疫性血小板減少性紫斑病;自己免疫性ブドウ膜炎;バロ病気/バロ同心円硬化症;ベーチェット症候群;バージャー病;ビッカースタフの脳炎;ブラウ症候群;水疱性類天疱瘡;キャッスルマン病;セリアック病;シャーガス病;慢性疲労免疫機能障害症候群;慢性炎症性脱髄性多発神経障害;慢性再発性多発性骨髄炎;慢性ライム病;慢性閉塞性肺疾患;チャーグ・ストラウス症候群;瘢痕性類天疱瘡;セリアック病;コーガン症候群;寒冷凝集素症;補体成分2欠乏症;頭蓋動脈炎;CREST症候群;クローン病;クッシング症候群;皮膚白血球破砕性血管炎;DEGO病;有痛脂肪症;疱疹状皮膚炎;皮膚筋炎;糖尿病1型;びまん性皮膚全身性硬化症;ドレスラー症候群;円板状エリテマトーデス;アトピー性皮膚炎;子宮内膜症;腱付着部炎関連関節炎;好酸球性筋膜炎;好酸球性胃腸炎;表皮水疱水疱;結節性紅斑;必須混合クリオグロブリン血症;エヴァン症候群;進行性骨化性線維形成異常症;線維筋痛症/線維筋炎;線維肺胞炎;胃炎;消化性類天疱瘡;巨細胞性動脈炎;糸球体腎炎;グッドパスチャー症候群;グレーブス病;ギラン・バレー症候群;橋本脳炎;橋本甲状腺炎;溶血性貧血;ヘノッホ・シェーンライン紫斑病;ヘルペス妊娠性疱疹;汗腺膿瘍;ヒューズ症候群;低ガンマグロブリン血症;特発性炎症性脱髄疾患;特発性肺線維症;特発性血小板減少性紫斑病;IgA腎症;封入体筋炎;多発性神経障害炎症性脱髄;間質性膀胱炎;過敏性腸症候群(IBS);若年性特発性関節炎;若年性関節リウマチ関節炎;川崎病;ランバート・イートン筋無力症候群;白血球破砕性血管炎;扁平苔癬;硬化性苔癬;リニア型IgA病;ルー・ゲーリック病;ルポイド肝炎;エリテマトーデス;マジェード症候群;メニエール病;顕微鏡的多発;ミラーフィッシャー症候群;混合性結合組織病;限局性強皮症;ミュシャ−ハーバーマン病;マックル・ウェルズ症候群;多発性骨髄腫;多発性硬化症;重症筋無力症;筋炎;ナルコレプシー;視神経脊髄炎;神経ミオトニー;な眼瘢痕性類天疱瘡;眼球クローヌスミオクローヌス症候群;オード甲状腺炎;回文リウマチ;パンダ;腫瘍随伴小脳変性;発作性夜間血色素尿症は;パルソナージターナー症候群;ロンバーグ症候群パリー扁平部炎;天疱瘡;尋常性天疱瘡;悪性貧血;静脈周囲脳脊髄炎;POEMS症候群;結節性多発動脈炎;リウマチ性多発筋痛;多発性筋炎;原発性胆汁性肝硬変;原発性硬化性胆管炎;プログレッシブ炎症性神経障害;乾癬;乾癬性関節炎;壊疽性膿皮症;赤芽球癆;ラスムッセンの脳炎;レイノー現象;再発性多発性軟骨炎;ライター症候群;むずむず脚症候群;後腹膜線維症;関節リウマチ;リウマチ熱;サルコイドーシス;統合失調症;シュミット症候群;シュニッツラー症候群;強膜炎;強皮症;シェーグレン症候群;脊椎;スティッキー血症候群;スティル病;スティッフ人症候群;亜急性細菌性心内膜炎(SBE);スシャツ島症候群;スウィート症候群;シデナム舞踏病;交感性眼炎;高安動脈炎;側頭動脈炎;トロサ・ハント症候群;横断性脊髄炎;潰瘍性大腸炎;未分化結合組織病;未分化脊椎関節症;血管炎;白斑;ウェゲナー肉芽腫症;ウィルソン症候群;およびウィスコット・アルドリッチ症候群などである。
【0076】
前記疾患とは別に、本発明の側面では以下の皮膚疾患の予後及び診断へ適用可能である:即ち、ざ瘡様疹;自己炎症症候群;慢性膨れ;粘膜の状態;皮膚付属器の条件;先天異常;皮下脂肪の条件結合組織疾患(例えば真皮線維と弾性組織の異常など);皮膚および皮下成長;皮膚炎(アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、湿疹、膿疱性皮膚炎、および脂漏性皮膚炎を含む);色素沈着の妨害;薬疹;内分泌関連の皮膚病;好酸球;表皮母斑;腫瘍;嚢胞;紅斑;遺伝性皮膚症;感染関連皮膚疾患;苔噴火;リンパ関連の皮膚病;メラノサイト母斑や腫瘍(黒色腫を含む);単球やマクロファージ関連皮膚疾患;ムチン症;神経皮膚;非感染性免疫不全に関連する皮膚病;栄養関連の皮膚疾患;丘疹落屑性発信性過角化(掌角皮症含む);妊娠に関連した皮膚病;掻痒;乾癬;好中球反応;反抗掌蹠噴火;代謝におけるエラーに起因する;物理的要因(電離放射線誘発を含む)に起因する;蕁麻疹や血管浮腫、血管に関連する皮膚病などである。
【0077】
前記疾患とは別に、本発明の側面は次の内分泌疾患に適用可能である:即ち副腎障害;グルコース恒常性障害;甲状腺障害;カルシウム恒常性障害と代謝性骨疾患;下垂体障害;及び性ホルモン障害などである。
【0078】
前記疾患とは別に、本発明の側面は次の眼疾患に適用可能である:即ち、まぶた;涙システムと軌道のH00−H06障害;結膜のH10−H13障害;強膜;角膜;虹彩や毛様体のH15−H22障害;レンズのH25−H28障害;脈絡膜と網膜のH30−H36障害(H30脈絡膜炎症を含む;脈絡のH31その他の障害;他のグループに分類されて病気にH32脈絡膜疾患;H33網膜剥離や休憩;H34網膜血管閉塞;H35その他の網膜疾患;および他のグループに分類されて病気にH36網膜疾患);H40−H42緑内障;硝子体と地球のH43−H45障害;視神経や視覚経路のH46−H48障害;眼の筋肉;双眼動き;宿泊施設と屈折のH49−H52障害;H53−H54.9視覚障害や失明;及び目及び付属器のH55−H59その他の疾患からなる群から選択される。
【0079】
前記疾患とは別に、本発明の側面は次の神経性疾患に適用可能である:即ち、圧覚喪失;てんかん失語症;急性散在性脳脊髄炎、副腎;脳梁の形成不全;失認;アイカルディ症候群;アレキサンダー病;エイリアンハンド症候群;感覚体側逆転;アルパース病;交互片麻痺;アルツハイマー病;筋萎縮性側索硬化症(運動ニューロン疾患を参照);無脳症、アンジェルマン症候群;血管腫症;無酸素;失語症;失行;くも膜嚢胞;くも膜炎;アーノルド・キアリ奇形;動静脈奇形;毛細血管拡張性運動失調;注意欠陥多動性障害;聴覚処理障害;自律神経障害;背み;バッテン病;ベーチェット病;ベル麻痺;良性エッセンシャル眼瞼痙攣;良性頭蓋内圧亢進症;双方前頭頭頂多小脳回;ビンスワンガー病;眼瞼けいれん;ブロッホ−サルズバーガー症候群;腕神経叢損傷;脳膿瘍;脳損傷;脳損傷;脳腫瘍;ブラウンセカール症候群;カナバン病;手根管症候群;カウザルギー;中枢性疼痛症候群;中央橋のミエリン溶解;中心核ミオパシー;頭部障害;脳動脈瘤;脳動脈硬化症;脳萎縮;脳性巨人症;脳性麻痺;脳血管炎;頚椎脊柱管狭窄;シャルコー・マリー・トゥース病;キアリ奇形;舞踏病;慢性疲労症候群;慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP);慢性疼痛;コフィンローリー症候群;昏睡、複合性局所疼痛症候群、圧縮神経障害;先天性顔面両側麻痺、大脳皮質基底核変性症;頭蓋動脈炎、頭蓋骨癒合症、クロイツフェルト・ヤコブ病;累積外傷障害;クッシング症候群;巨細胞性封入体病(CIBD);サイトメガロウイルス感染、ダンディ・ウォーカー症候群;ドーソン病;デモルシエ症候群;デジェリネ−クルンプケ麻痺;デジェリネ−ソタス病;延期睡眠相症候群;認知症;皮膚筋炎;発達統合運動障害;糖尿病性神経障害、びまん性硬化症;ドラベット症候群;自律神経障害;計算力障害;書字障害;ディスレクシア;ジストニア;エンプティセラ症候群;脳炎;脳ヘルニア;脳三叉神経領域血管腫症;遺糞;てんかん;エルブ麻痺;紅;本態性振戦;ファブリー病;華氏症候群;失神;家族性痙性麻痺;熱性けいれん;フィッシャー症候群;フリードライヒ失調症;線維筋痛;ゴーシェ病;ゲルストマン症候群;巨細胞性動脈炎;巨細胞性封入病;グロボイド細胞白質ジストロフィー;灰白質の異所;ギラン・バレー症候群;HTLV−1関連脊髄症;ハレル・スパッツ病;頭部外傷、頭痛;片側顔面けいれん;遺伝性痙性対麻痺;遺伝性多発神経炎性失調;耳帯状疱疹;帯状疱疹;平山症候群;全前脳症;ハンチントン病;水無脳症;水頭症;高コルチゾール症;低酸素症;免疫介在性脳脊髄炎;封入体筋炎;色素失調症;乳児フィタン酸蓄積症;乳児レフサム病;乳児けいれん、炎症性ミオパシー;頭蓋内嚢胞;頭蓋内圧亢進;ジュベール症候群;カラック症候群;カーンズ・セイヤー症候群;ケネディ病;キンスボルン症候群;クリッペルフェイル症候群;クラッベ病;クーゲル−ベーランダ病;クールー;ラホラ病;ランバート・イートン筋無力症候群;ランダウ−クレフナ症候群;横髄(ウォレンバーグ)症候群;学習障害;リー病;レノックス・ガストー症候群;レッシュナイハン症候群;染性白質ジストロフィー、レビー小体型認知症、滑脳症;症候群ロックイン;ルー・ゲーリック病(運動ニューロン疾患を参照);腰椎椎間板疾患、腰部脊柱管狭窄症;ライム病−神経学的後遺症;マシャド・ジョセフ病(脊髄小脳失調症3型);大脳症;大視症;巨大脳髄症;メルカーソン−ローゼンタール症候群;メニエール病;髄膜炎;メンケス病;異染性白質ジストロフィー;小頭症;小視症;片頭痛;ミラーフィッシャー症候群;ミニ脳卒中(一過性脳虚血発作);ミトコンドリアミオパチー;メビウス症候群;モノマー筋萎縮症;運動ニューロン疾患;運動技能障害;もやもや病;ムコ多糖症;多発脳梗塞性痴呆;多巣性運動ニューロパチー;多発性硬化症、多系統萎縮症;筋ジストロフィー;筋痛性脳脊髄炎;重症筋無力症;ミエリン砕屑性びまん性硬化症;乳児ミオクロニー脳症;ミオクローヌス;ミオパシー;筋細管ミオパシー;先天性ミオトニー;ナルコレプシー;神経線維腫症;悪性症候群;エイズの神経学的症状;ループスの神経学的後遺症、神経ミオトニー;神経セロイドリポフスチン症;ニューロン移動障害;病気をニーマン・ピック;非24時間睡眠覚醒症候群;ノンバーバル学習障害;オサリバン・マクラウド症候群;後頭部神経痛;オカルト脊椎癒合不全配列;大田原症候群;オリーブ橋小脳萎縮症;オプソクローヌスミオクローヌス症候群;視神経炎;起立性低血圧;酷使症候群;反復視;感覚異常;パーキンソン病;先天性パラミオトニア;腫瘍随伴疾患;発作性の攻撃;パリー・ロンバーグ症候群;ペリツェウス−メルツバッヒャー病;定期的麻痺;末梢神経障害;遷延性植物状態;広汎性発達障害;透光くしゃみ反射;フィタン酸蓄積症;病ピック;挟ま神経、下垂体腫瘍;PMG;ポリオ;多小脳回;多発性筋炎;孔脳;ポストポリオ症候群;帯状疱疹後神経痛(PHN);感染後脳脊髄炎;起立性低血圧;プラダー・ウィリー症候群;原発性側索硬化症;プリオン病;プログレッシブ片側顔面萎縮;進行性多巣性白質脳症;進行性核上性麻痺;偽脳腫瘍;狂犬病;ラムゼイ・ハント症候群(タイプIとタイプII);ラスムッセンの脳炎;反射神経血管ジストロフィー;レフサム病;反復運動障害;反復ストレス傷害;むずむず脚症候群;レトロウイルス関連脊髄症;レット症候群;ライ症候群;リズミカルな運動障害;ロンバーグ症候群;聖ヴィートダンス;サンドホフ病;統合失調症;シルダー病;裂脳症;感覚統合障害;セプト光異形成;揺さぶられっ子症候群;帯状疱疹;シャイ・ドレーガー症候群;シェーグレン症候群;睡眠時無呼吸;睡眠病;スナチエーションソトス症候群;痙性;二分脊椎;脊髄損傷;脊髄腫瘍;脊髄性筋萎縮症;脊髄小脳失調症;スティール−リチャード・オルシェフスキー症候群;硬い人症候群;ストローク;スタージ・ウェーバー症候群;亜急性硬化性全脳炎;皮質下動脈硬化性脳症;表面的な鉄沈着症;シデナム舞踏病;失神;共感覚;脊髄空洞症;足根管症候群;遅発性ジスキネジア;タルロフ嚢胞、テイサックス病;側頭動脈炎;破傷風;繋留脊髄症候群;トムセン病;胸郭出口症候群;疼痛性チック;トッドの麻痺;トゥレット症候群;毒性脳症;一過性脳虚血発作;伝達性海綿状脳症;横断性脊髄炎;外傷性脳損傷;振戦;三叉神経痛;熱帯性痙性対麻痺;トリパノソーマ症;結節性硬化症;フォン・ヒッペル・リンドウ病;ビリウイスク脳脊髄炎;ウォレンバーグ症候群;ウェルドニッヒ・ホフマン病;ウエスト症候群;むち打ち症;ウィリアムズ症候群、ウィルソン病、及びゼルウィガー症候群などである。
【0080】
前記疾患とは別に本発明の側面はまた次の血管疾患に提供可能である:即ち、狭心症;アテローム性動脈硬化症;脳卒中(脳卒中);脳血管疾患;心不全;冠動脈疾患;心筋梗塞(心臓発作);動脈瘤及び末梢血管疾患などである。本発明の方法の好ましい実施態様では、及び本発明の他の側面の好ましい実施態様では、前記疾患又は前記心血管疾患は全身性ループスエリテマトーデスではない。
【0081】
本発明の方法の好ましい実施態様では、及び本発明の他の側面の好ましい実施態様では、前記疾患は、癌、心血管疾患、全身性エリテマトーデス、鎌状赤血球症、アルツハイマー病、病理的血小板機能に関連する疾患及び/又は病理的巨核球機能に関連する疾患からなる群から選択される疾患は含まれない。
【0082】
ここで使用される「核酸」は、一本鎖又は二本鎖のいずれかのデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドポリマーを意味することを含み、特に制限されない限り、本質的に天然ヌクレオチドの性質を持ち、天然のヌクレオチドで天然に生じる類似の方法で一本鎖核酸とハイブリダイゼーションする知られる核酸類似体を含む。
【0083】
用語「RNA」はリボ核酸を意味し、RNA分子はタンパク質産物をコードし、又はタンパク質産物をコードせず(例えばmiRNAなどであるが、他の非コードRNAへは拡大されない)。RNAはDNAテンプレートから転写される。
【0084】
ここで使用される用語「突然変異体、変異体」とは、天然の野生型コードされた配列又はそのサブユニットの突然変異から生じる、核酸化合物、タンパク質、分子、ベクター又は細胞を意味する。
【0085】
ここで使用される「突然変異、変異」とは、前記天然コード配列の1又は数個の塩基が置換、負荷、欠如、挿入、架橋又はその他の破壊や置換により天然コード配列を変化させる全ての変化を意味する。特に、前記突然変異は、前記細胞が癌細胞にする遺伝子を与える。かかる突然変異には、腫瘍抑制遺伝子及び/又は癌遺伝子の継承及び取得変異を含む。
【0086】
「増幅」とは、テンプレート(鋳型)として少なくとも1つの核酸を用いてその核酸配列の複数を構成すること、又はその核酸配列の相補的配列を複数構成することを意味する。増幅システムは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)システム、核酸配列系増幅(NASBA、Cangene,Mississauga,Ontario)、Q−Beta Replicaseシステム,転写系増幅システム(TAS)及び鎖置換増幅(SDA)を含む。例えば、「Diagnostic Molecular Microbiology.Principles and Applications,D. H.Persing et al.,Ed.,American Society for Microbiology,Washington,D.C.(1993))を参照のこと。増幅産物は、用語「単位複製配列(アンプリコン)」とされる。
【0087】
用語「ハイブリッド」とは二本鎖核酸分子、又は二重鎖を意味し、相補的核酸と水素結合で形成される。用語「ハイブリダイズ」、又は「アニール」とは、核酸配列の一本鎖が、相補的ヌクレオチド間で水素結合を通じて二重らせん部分を形成する工程(プロセス)を意味する。
【0088】
用語「オリゴヌクレオチド」とは、リン結合(例えば、リン酸ジエステル、アルキル及びアリールリン酸エステル、ホスホロチオエート)又は非リン結合結合(例えばペプチド、スルファメートなど)で結合される塩基モノマーの短い配列を意味する。オリゴヌクレオチドは、変性塩基(例えば、5−メチルシトシン)及び変性糖基(例えば2’−O−メチルリボシル、2’−O−メトキシエチルリボシル、2’−フルオロリボシル、2’−アミノリボシルなど)を含み得る。オリゴヌクレオチドは、天然又は合成分子の、二本鎖又は一本鎖DNA、及び二本鎖又は一本鎖RNAの環状、分岐又は直鎖形状であり、場合により安定な二次構造(例えばステプ−ループ及びループ−ステム−ループ構造)を形成し得る領域(ドメイン)を含み得る。
【0089】
用語「プライマー」とは次のオリゴヌクレオチドを意味し、前記増幅ターゲットにアニーリング可能であり、これにより、核酸鎖の相補的なプライマー伸長生成物の合成が誘導される条件下に、例えばヌクレオチドとDNAポリメラーゼなどの重合試薬及び好適な温度とpHに置かれた場合に、DNAポリメラーゼが結合されてDNA合成の開始点として作用することを可能にする。前記(増幅)プライマーは好ましくは、増幅の最大効率のために一本鎖である。好ましくは、前記プライマーはオリゴデオキシリボヌクレオチドである。前記プライマーは、重合化試薬の存在下で伸長生成物の合成を開始させる十分な長さを持つべきである。前記プライマーの正確な長さは多くの因子に依存し、温度及びプライマーソースによる。「一対の二方向プライマー」とは、1つの前方向プライマーと1つの逆(後)方向プライマーを意味し、PCR増幅などのDNA増幅技術で共通して使用される。
【0090】
用語「プローブ」とは、一本鎖オリゴヌクレオチド配列であり、ターゲット核酸配列分析物の相補的配列、又はそのcDNA誘導体を認識し、水素結合二重鎖を形成するものを意味する。
【0091】
用語「ストリンジェント」又は「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」とは、ハイブリッドの安定性に影響するハイブリダイゼーション条件、例えば温度、塩濃度、pH、ホルムアミド濃度などを意味する。これらの条件は経験的に、そのターゲット核酸配列に対するプライマー又はプローブの特異的結合を最適化、かつ非特異的結合を最小化される。ここで使用される用語は、プローブ又はプライマーがそのターゲット配列に、他の配列よりもよりおきな検出可能な程度でハイブリダイズし得る条件を意味する。ストリンジェント条件は、配列に依存し、異なる状況で異なるものである。より長い配列は特により高い温度でハイブリダイズする。一般的に、ストリンジェントな条件は、既定のイオン強度及びpHで、前記特定の配列について熱融点(Tm)よりも約5℃低く選択される。前記Tmは、相補的ターゲット配列の50%が完全にマッチするプローブ又はプライマーにハイブリダイズする温度(既定のイオン強度とpHで)である。通常ストリンジェントな条件は、pHが7.0から8.3で、前記塩濃度が約1.0MのNa+イオン未満であり、通常約0.01から1.0MのNa
+イオン濃度(又は他の塩)である場合、短いプローブ又はプライマー(例えば10から50塩基)の場合には温度が少なくとも30℃であり、長いプローブ又はプライマー(例えば50塩基を超える)の場合には少なくとも約60℃である。ストリンジェントな条件はまた、ホルムアミドなどの追加される不安定化剤を用いて達成され得る。例示的な低ストリンジェント条件又は「低減されたストリンジェント性の条件」には、37℃で、30%ホルムアミド、1MのNaCl、1%SDSの緩衝液を用いるハイブリダイゼーション及び40℃での2xSSC洗浄を含む。例示的な高ストリンジェント条件は、37℃で、50%ホルムアミド、1MのNaCl、1%SDSの緩衝液を用いるハイブリダイゼーション及び60℃での0.1xSSC洗浄を含む。ハイブリダイゼーション手順か当該技術分野ではよく知られており、例えばAusubelらの「Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley&Sons Inc.,1994)に記載されている。
【0092】
ここで使用される「被験者」とは、限定されるものではないが、例えば、ヒト、非ヒト霊長類、マウス、ブタ、ウシ、ヤギ、ネコ、ウサギ、ラット、モルモット、ハムスター、デグー、ウマ、サル、ヒツジ、又は他の非ヒト哺乳動物を含む哺乳動物;及び例えば、鳥類(例えば、ニワトリやアヒル)や魚や無脊椎動物などの非哺乳類の脊椎動物を含む非哺乳類動物を含む。前記被験者は、定期的な健康診断を受けている健康な動物又はヒト被験者であり得る。又は、前記被験者は、疾患のリスクを持つ被験者(例えば、遺伝的素因を持つ被験者、癌の医療履歴及び/又は家族履歴を持つ被験者、発癌性物質、職業上危険、環境的危険に暴露される被験者など)及び/又は疾患が疑われる臨床的兆候を示す被験者(例えば、糞便中血液や下血、説明できない痛み、発汗、説明できない発熱、説明できない体重減少食欲不振、排便習慣の変化(便秘又は下痢)、しぶり(特に直腸癌による不完全排便感)、貧血及び/又は全身疲労など)である。他の実施態様により、前記被験者は、前記疾患と診断された被験者であって、定期的健康診断を実施しているか、治療を受けている被験者であり得る。
【0093】
ここで使用される「血小板」とは、血液血小板を意味し、即ち小さい、不規則形状の細胞断片であり、DNAを含む核を持たず、哺乳類の血液中を循環する。血小板は、2から3mm直径で、前駆巨核球の断片から由来する。血小板は核DNAを欠如しているが、その直接の起源の一部分としていくらかの巨核球由来mRANを保持している。血小板の平均寿命は5から9日である。血小板は、血栓の形成につながる止血の重要な役割を果たしている。本発明の好ましい実施態様では、無核血液細胞−抽出核酸画分は、巨核球由来核酸又は巨核球由来RNAではない。
【0094】
ここで使用される用語「血液」とは、全血液(血清及び細胞を含む)を意味し、動脈、毛細血管及び静脈血液を含む。
【0095】
ここで使用される用語「有核細胞」とは、バルトリン腺細胞;唾液腺粘液細胞;唾液腺漿液細胞;フォン・エブナーの腺細胞;乳腺細胞;涙腺細胞;細胞ミノウス腺細胞;エクリン汗腺細胞;アポクリン汗腺細胞;情婦細胞腺;皮脂腺細胞;ボーマン腺細胞;ブルンナー腺細胞;精嚢細胞;前立腺細胞;尿道球腺細胞;リトレ腺細胞;子宮内膜細胞;隔離杯細胞;胃粘膜粘液細胞;胃腺発酵性の細胞;胃腺酸分泌細胞;膵臓腺房細胞;パネート細胞;II型肺細胞;クララ細胞;下垂体前葉細胞;中間下垂体細胞;大細胞神経分泌細胞;甲状腺細胞;副甲状腺の細胞;副腎細胞;ライディッヒ細胞;卵胞細胞;黄体細胞;傍糸球体細胞;緻密斑細胞;極周囲細胞;メサンギウム細胞;血管とリンパ血管内皮有窓細胞;血管とリンパ血管内皮連続細胞;血管とリンパ血管内皮脾細胞;滑膜細胞;漿膜細胞;扁平上皮;円柱細胞;ダーク細胞;前庭膜細胞;血管条基底細胞;血管条辺縁細胞;クラウディウス細胞;ベッチャー細胞;脈絡叢細胞;PIA−くも膜扁平上皮;ピグメント毛様体上皮細胞;非色素毛様体上皮細胞;角膜内皮細胞;ペグ細胞;気道繊毛細胞;卵管繊毛細胞;子宮内膜繊毛細胞;網は、精巣繊毛細胞;小管繊毛細胞;繊毛上衣細胞;ケラチノサイト表皮;表皮基底細胞;ケラチノサイト;爪床基底細胞;骨髄毛幹細胞;皮質毛幹細胞;クチクラ毛幹細胞;クチクラ毛根鞘細胞;外部毛根鞘細胞;毛母細胞;表面上皮細胞;基底細胞;尿上皮細胞;聴覚内有毛細胞;聴覚外有毛細胞;一次感覚ニューロン;メルケル細胞;嗅覚受容ニューロン;光受容細胞;頸動脈体細胞(血液pHセンサ);有毛細胞;味蕾細胞;コリン作動性神経細胞;アドレナリン神経細胞;ペプチド性神経細胞;内側柱細胞;外側柱細胞;内側指節細胞;外側指節細胞;ボーダー細胞;変遷細胞;支持前庭装置細胞;味蕾支持細胞;嗅支持上皮細胞;シュワン細胞;衛星細胞;腸グリア細胞;アストロサイト;ニューロン細胞;オリゴデンドロサイト;スピンドルニューロン;前方レンズ上皮細胞;クリスタリン含有レンズ繊維細胞;肝細胞;脂肪細胞:肝臓脂肪細胞;腎糸球体壁細胞;腎臓糸球体足細胞;腎臓近位尿細管刷子縁細胞;ヘンレ薄セグメントループ細胞;腎臓遠位尿細管細胞;腎臓ダクト収集細胞;肺細胞;膵管細胞;無筋ダクト細胞;ダクト細胞;腸刷子縁細胞;外分泌腺紋ダクト細胞;胆嚢上皮細胞;非線毛性小管細胞;精巣上体校長細胞;精巣上体基底細胞;エナメル芽細胞上皮細胞;半月面上皮細胞;コルティ歯間上皮器官細胞;緩い合組織線維芽細胞;角膜線維芽細胞;腱線維芽細胞;骨髄網状組織線維芽細胞;その他の非上皮性線維芽細胞;周皮細胞;髄核細胞;セメント芽/セメント芽細胞;象牙芽細胞/オドント細胞;軟骨硝子軟骨;軟骨線維軟骨;軟骨弾性軟骨;骨芽細胞/骨細胞;骨前駆細胞;ヒアロサイト;星状細胞;肝星細胞;ステラ膵細胞;骨格筋細胞;衛星細胞;心筋細胞;平滑筋細胞;筋上皮細胞;単球;結合組織マクロファージ;表皮ランゲルハンス細胞;破骨細胞;樹状細胞;ミクログリア細胞;好中球顆粒球;好酸球顆粒球;好塩基性顆粒球;マスト細胞;ヘルパーT細胞;サプレッサーT細胞;細胞傷害性T細胞;ナチュラルキラーT細胞;B細胞;ナチュラルキラー細胞;網状赤血球;メラノサイト;網膜色素上皮細胞;卵原/卵母細胞;精子細胞;精母細胞;精原細胞;精子;卵胞細胞;細胞トリ細胞;胸腺上皮細胞、及び間質性腎細胞などを含む。
【0096】
ターゲット治療及び個別化医療は、疾患プロフィールと付随する診断の進歩に大きく依存する。疾患由来核酸の変異は、ターゲット治療に対応するために高く予測され得る。しかし、容易にアクセスできる高品質核酸を得るためには、いまだに大きな開発障害がある。血液は一般的に、1マイクロリットル中に150000から350000血小板を含み、研究及び臨床使用に高利用可能なバイオマーカーソースを提供する。さらに血小板分離は比較的単純であり、血液バンク/血液学研究所では標準手順である。血小板は核を持たないの、そのRNA転写物−機能維持のために必要な−は、血小板形成の際に骨髄巨核球から由来する。血小板は、種々の移動メカニズムにより循環の際に巨核球以外の細胞からRNA及び/又はDNAを取り込むことが可能である。例えば、腫瘍細胞は遺伝子物質の豊富な集まりを放出し、そのいくらかは変異RNAの形でミクロベシクルにより分泌される。血液循環の際に、血小板は、癌細胞及びその他の疾患細胞により分泌された遺伝子物質を取り込み、このことは、例えば個別化医薬において上で示された癌又はその他の疾患に付随する診断のための魅力的なプラットフォームを提供するものである。
【0097】
以下の実施例では、健康なコントロール被験者から分離された血小板が、ヒト脳腫瘍細胞(神経膠腫)から由来するRNA含有ミクロベシクルからRNAを取り込むことができること、さらにそれらが腫瘍関連RNAを含み、例えば神経膠腫の患者の場合には変異EGFRvIIImRNAを含みことが示される。従って、神経膠腫患者から分離された循環血小板はRNAバイオマーカーを含むことが決定された。RT−PCRは、前記血小板で見出された変異EGFRvIIImENAが、神経膠腫組織の存在を反映することを確認するために使用された。
【0098】
ス用及び/又は疾患マーカーメッセージの存在は神経膠腫患者からの血小板に特有ではなく、より一般的に、ここで識別される広い範囲の疾患に適用され得る。前立腺癌マーカーPCA3及びPSAをコードするメッセンジャーRNAは、前立腺癌患者からの血小板に現れ、一方でこれらのマーカーは健康被験者からの血小板では見られない。
【0099】
癌又はその他の疾患に伴う遺伝子変異を検出することとは別に、本発明者はまた、遺伝子発現アレイが、血小板核酸サンプルを、特定のタイプの(固体腫瘍)癌又はその他の疾患に罹患する被験者のものとして分類するために使用され得ることを見出した。健康なコントロール被験者から分離された血小板から抽出された核酸で得られmRNA発現プロフィールと、神経膠腫患者から分離された血小板から抽出された核酸で得られmRNA発現プロフィールとは特異的異なる、ということが確立された。
図3Cで上部30ヒットとして示されるように、異なるmRNA発現プロフィールが得られ、最小神経膠腫バイオマーカーシグネチャが検出された。
図3Cで示されるように前記異なるプロフィールは、次の遺伝子発現の大きお増加を含む:即ち、WFDC1,Kremen1,DEF4A,ARG1,FKBP5,ACRC,ENST0328043,A_32_P167111,MAP2,ECTL8,UNC13B,TP53I3,FDXR,BX119718,SORT1,PFN4,C1QTNF5,A_24_P237896,PGLYRP1,SEC14L2,BC018626,MAOB,TCN1,AMOTL1,TSP50,A_24_P927015,THC2325987,C18orf1,及びLIN28(これらの遺伝子の名前のいくつかは、マイクロアレイアクセッション番号、例えばAgilentChipのオリゴヌクレオチドプローブを意味する)。理解されるべきことは、このプロフィールは、本発明を限定するものではないということであり、当業者であれば、他の癌及び他の疾患一般について、本発明の方法を用いて他の好適な遺伝子発現プロフィールを得る方法を知ることができる、ということである。
【0100】
本発明者は、血液血小板が癌マーカー及び疾患マーカーを、腫瘍由来又は腫瘍関連又は疾患由来核酸又は核酸発現の形で含み、これらの血小板が、ここで識別された癌及びその他の疾患のぶんしプロフィールのために診断プラットフォームとして用いることができる、ということを見出した。これは、個別化医療において非常に有用である。
【0101】
本発明は、循環する疾患由来物質(例えばここで使用される疾患マーカー)を分離するための新規かつ使用の容易な方法を提供する。本発明者は、腫瘍由来RNAを循環血小板から分離し、純粋なRNAを得て、それにより少量の血液かた高品質RNAを抽出する容易な方法を提供する。血小板核酸(NA)分離及び続く分析は、血液中の循環NAの診断精度の大きな増加を与える。
【0102】
本発明者は、疾患患者では、循環血小板が相当量の疾患由来RNA及び/又はDNAを含むことを見出した。この疾患由来RNA及び/又はDNAは、前記疾患についてのユニークな遺伝子情報を表すものであり、これは疾患タイプ、疾患の程度及び前記疾患の治療処置への可能な有効性につき決定するために使用され得る。本発明の方法又は実施例の好ましい実施態様では、前記疾患が癌である。
【0103】
本発明の方法又は実施例の他の好ましい実施態様では、前記疾患は血管疾患ではない。
【0104】
本発明の方法又は実施例の他の好ましい実施態様では、全身性エリテマトーデスではない。
【0105】
本発明の方法又は実施例の他の好ましい実施態様では、前記疾患は鎌状赤血球症ではない。
【0106】
本発明の方法又は実施例の他の好ましい実施態様では、前記疾患はアルツハイマー症ではない。
【0107】
本発明の方法又は実施例の他の好ましい実施態様では、病的な巨核球機能に関連する疾患ではない。
【0108】
本発明の方法又は実施例の他の好ましい実施態様では、病的な血小板機能に関連する疾患ではない。
【0109】
ある疾患が除外される前記参照される実施態様は、本発明では任意に組み合わっせることができる。
【0110】
本発明の方法及び実施態様の好ましい実施態様では、前記疾患は、癌、心血管疾患、全身性エリテマトーデス、鎌状赤血球症、アルツハイマー病、病理的血小板機能に関連する疾患及び/又は病理的巨核球機能に関連する疾患からなる群から選択される疾患は含まれない。
【0111】
異常な血小板を含む疾患は、輸血後紫斑病(PTP)、輸血後血小板非溶解性(PTPR)、新生同種免疫性血小板減少症(NATP)、血小板減少症及び/又は血小板サイセミア(thrombocythaemia)を含む。
【0112】
本発明の方法又は実施態様の好ましい実施態様では、前記疾患由来核酸は巨核球由来ではない。本発明の前記核酸対象物は、細胞外部(血清)環境から前記血小板に取り込まれるものであり、巨核球系由来ではないことが明示的に示される。前記血小板RNA及び/又はDNAは、ここで神経膠腫由来のEGRFvIII変異RNAについて示されるように、特定の疾患由来RNA及び/又はDNAの存在について分析され得る。
【0113】
本発明は、血液から抽出された血小板などの無核血液細胞内の疾患由来の有核細胞から由来する特定の核酸転写物を見出す方法を記載する。この方法は、耐久性があり容易である。この方法は迅速な、直接的抽出手順及び抽出NAの品質による。前記臨床設定内で、血小板抽出(血液サンプルから)は、一般的な生物学的サンプル取得において実施されており、従って、臨床内での実施は比較的容易であることが予想できる。
【0114】
本発明は、疾患由来核酸の存在について被験者の血液を分析する方法、及び前記一般的方法を用いて被験者の疾患を診断する方法を提供する。本発明の方法について参照される場合は、実施態様についても参照される。
【0115】
本発明の方法は、無核血液細胞を含む任意の好適な身体サンプル、例えば血液を含む組織サンプル、好ましくは前記サンプルは全血液で実施され得る。
【0116】
被験者の血液サンプルは、例えば静脈抽出などの標準方法で得られる。
【0117】
必要な血液量は特に限定されるものではない。適用される方法に依存して、当業者は、本発明の種々のステップを実施するために必要なサンプル量を確定し、遺伝子分析のために十分なNAを得ることができる。一般的には、かかる量は,0.01μlから100mlの範囲の容積である。
【0118】
身体サンプルは、サンプル取得して直に分析され得る。又は、本発明の方法による分析は、保存身体サンプルで、又は無核血液細胞、好ましくは血小板の保存サンプルで実施され得る。試験のための前記身体サンプル又は無核血液細胞の画分は、当該技術分野で知られつ方法及び装置を用いて保存され得る。取得された無核血液細胞画分において、前記血小板は好ましくは不活性状態で維持される(即ち、非活性化状態)。これにより、前記細胞の完全性及び疾患由来核酸が最善保存される。
【0119】
無核血液細胞の画分が血小板画分の場合、この血小板分離画分は、好ましくは、貧血小板血漿又は多血小板血漿(PRP)を含まない。さらに前記血小板の分離は、最適分解能であることが好ましい。
【0120】
前記身体サンプルは、好適には処理され、例えば、精製、又は消化され、又は特定の化合物をそれかた抽出され得る。前記サンプル中に存在する無核血液細胞の前記NAの存在を特徴付ける前記方法(好ましくはRT−PCRを含む)に依存して、前記無核血液細胞が前記サンプルから、当業者に知られる方法で抽出され、かつ分析方法が必要とする好適な媒体中に移してNAを抽出する。レシピエント被験者の身体サンプルは、核酸の早期破壊を防止するための、そこから多数の核酸分解酵素(RNアーゼ、DNアーゼなど)が除去される。
【0121】
被験者からの身体サンプルから血小板抽出は、任意の利用可能な方法を含む。
輸血医療では、血小板はしばしば血漿交換により集められる、これは医療技術のひとつであって、ドナー又は患者の血液が装置を通過し、その装置で特定の成分を分離し、残りの成分をもとに戻す。個々の血液成分の分離は、専用遠心分離装置で実施される。血小板交換(又は血小板フェレシスといわれる)は。血小板回収のアフェレーシスプロセスである。現代的自動血小板交換装置は、血液ドナーがその血小板の一部分を与える一方でその赤血球と血漿の一部を保持することを可能にする。アフェレーシスでここで含まれる血小板を含む身体サンプルを与えることが可能であるが、全血液を集めて遠心分離で血小板画分を分離することがしばしばより簡単となる。一般的にかかる手順では、他の血液細胞よりも最初に血小板が、約120xg、約20分間、室温での遠心分離により、多血小板血漿(PRP)画分として分離される。前記血小板は次に洗浄され(例えばPBS−EDTA)、血漿タンパク質を除去し、血小板を濃縮する。洗浄ステップは一般的に、850から1000xgで約10分間室温で行う。さらなる濃縮が実施されより純粋な血小板画分を得る。
【0122】
血小板分離は一般的には、抗凝集剤クエン酸デキストロースを含むバキュテイナー管への血液収集を含む(例えば、36mlのクエン酸、5mmol/lのKCl、90mmol/lのNaCl、5mmol/lのグルコース、10mmol/lのEDTA、pH6.8)。血小板分離の好適な手順は、Ferrettiらの「J Clin Endocrinol Metab 2002;87:2180−2184)に記載されている。この方法は、多血小板血漿(PRP)を得るために予備的遠心分離ステップ(1300rpm、10分間)を含む。血小板は次に3回、抗凝集剤緩衝液(Tris−HCl、10mmol/l;150mmol/lNaCl;1mmol/lのEDTA、5mmol/lのグルコース;pH7.4)で洗浄し、前記の通り遠心分離し、血漿タンパク質の混入を防止し、かつ全ての赤血球残渣を除去した。最終的に4000rpm、20分間の遠心分離を行い血小板が分離され得る。前記血小板ペレットを洗浄された(例えば、リン酸緩衝液生理食塩水)。疾患マーカー濃度の決定のために、血小板膜のタンパク質濃度は内部標準として使用され得る。かかるタンパク質濃度は、標準として血清を用いて、Bradfordの方法「Anal Biochem 1976;72:248−254)により決定された。
【0123】
前記被験者の身体サンプルの準備及びそれから前記無核血液細胞の抽出に続いて、前記被験者の無核血液細胞が、疾患特異的核酸の存在についてスクリーニングされる。疾患特異的核酸が前記被験者の無核血液細胞に見出される場合、又は疾患特異的核酸が、被験者の無核血液細胞に、コントロール被験者の影響されていない血液サンプル中の無核血液細胞中よりも高い濃度で見出される場合、疾患特異的核酸は、被験者の疾患細胞又は組織から生じるものと考えられ、前記被験者はここで定める疾患と診断される。
【0124】
疾患特異的核酸(RNA及び/又はDNA疾患マーカー)は、疾患細胞から由来するとして定められるものであり、前記細胞は前記疾患に関連するから特異的である前記核酸内に変異を含むか含まなくてもよく、又は、健康なドナーからの無核血液細胞の核酸と比較してアップレギュレート又はダウンレギュレーションされる疾患由来無核血液細胞核酸を含む。従って、用語「疾患特異的核酸」及び「疾患由来核酸」は交換可能に使用される。理解されるべきことは、非変異遺伝子が識別され、疾患診断に使用され得る、ということである。ある遺伝子がある疾患で過剰発現する場合、これらの核酸は無核血液細胞に移され得る。しかし、これらの核酸が、健康な被験者の無核血液細胞に既に存在する場合には、かかる疾患患者の無核血液細胞の核酸の複製数が増加することが予期され得る。従って、無核血液細胞は中のある遺伝子の複数数の定量(例えば定量化PCR又はマイクロアレイ)は、かかる遺伝子を過剰発現する疾患の存在を検出するための本発明の側面の実施態様では有利であり得る。好ましくは前記疾患マーカー又は疾患特異的核酸は巨核球由来ではない。本発明の好ましい実施態様では、前記疾患マーカー又は疾患特異的核酸は、ミトコンドリアDNAの12027位での変異ではない。本発明の好ましい実施態様では、前記疾患マーカー又は疾患特異的核酸は、ミトコンドリアDNAの11778位での変異ではない。本発明の好ましい実施態様では、前記疾患マーカー又は疾患特異的核酸は、CD109遺伝子での変異ではない。本発明の好ましい実施態様では、前記疾患マーカー又は疾患特異的核酸は、CD109遺伝子のコード領域の2108位及び/又は954位での変異ではない。前記除外実施態様の全てはここで任意の組み合わせで除外され得る。
【0125】
本発明の方法のさらなるステップは、無核血液細胞抽出核酸画分を与えることである。かかる核酸画分は続いて、疾患マーカーの検出のために使用される。無核血液細胞抽出核酸画分は、利用可能な任意の抽出方法で得られる。通常はRNA抽出はカオトロピック試薬で実施される。細胞又は組織から全RNAを分離する第1ステップは、変性条件下で前記細胞を破壊することである。1979年、Chirgwinらは「Biochemistry,18[24]:5294−9,1979)は、ジスルフィド結合を切るための0.1Mの2−メルカプトエタノールを含む前記強力なタンパク質変性剤グアニジニウムチオシアネートの4M溶液中でホモジナイズすることで全RNAの効率的に分離する方法を開発した。RNAは、エタノール抽出で、又は塩化セシウムを通る超遠心分離により分離された。1987年、Chomczynski及びSacchiは、「Analytical Biochemistry,162[1]:156−9,1987」で、この方法を改良して、迅速1ステップ抽出手順を開発し、これは、グアニジニウムチオシアネート及びフェノール−クロロホルムの混合物を用いる方法であり、この方法は大量のサンプルを処理するため、又は少量の細胞又は組織からRNAを分離するために特に有用である。全ての市販キットがまた、RNA抽出に使用でき、非限定的例としては、AmbionのRNAqueous(登録商標)システム,Bio101のRNaid Plusキット,Bioline社のRNAceキット,CLONTECHのNucleoSpin(登録商標)RNA II及びNucleoTrap mRNAキット,Invitrogen社の S.N.A.P.Total RNA Isolationキット及びQIAGEN社のRNeasyキットが挙げられる。
【0126】
抽出核酸サンプル中の疾患由来ッカう酸の検出は、前記疾患について特異的な核酸の核酸配列変異の検出又は発現プロフィールの検出のために好適な全ての遺伝子分析技術が利用できる。通常は、かかる配列変異は、選択的核酸ハイブリダイゼーションで容易に検出され、これは2つの一本鎖核酸配列のお互いの選択的ハイブリダイゼーションにより形成される二本鎖核酸の形成を含む。選択的ハイブリダイゼーションは、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下での、核酸配列の特異的な核酸ターゲット配列へのハイブリダイゼーションを意味し、これは、非ターゲット核酸配列へのハイブリダイゼーションよりも検出可能により大きい程度(例えば少なくともバックグラウンドの2倍)ハイブリダイゼーションすることを意味し、及び前記非ターゲット核酸の実質的排除を意味する。選択的にハイブリダイゼーションする配列は通常はお互いに、約80%配列同一性を、好ましくは90%の同一性を、及び最も好ましくは100%の配列同一性(即ち相補的)を持つ。
【0127】
又は、疾患由来核酸の検出は、DNA又はRNA配列決定の配列決定技術を用いて行われる。
【0128】
RNAの配列変異、又はRNA発現プロフィールを検出する場合、好ましくは、配列変異検出又は発現量の定量化の前に前記RNAがcDNAへ転写されることである。
【0129】
RNAは、RNA依存性DNAポリメラーゼ、例えばウイルス、レトロトランスポゾン、バクテリアなどから逆転写され得る。これらはRNアーゼH活性を持つことができ、又は逆トランスクリプターゼの前記RNアーゼH活性が制限されるか又は存在しない(例えばMMLV−RT RNアーゼH−)ように変異される逆トランスクリプターゼが使用され得る。RNA依存DNA合成(逆転写)はまた、酵素により行われ、この酵素は突然変異又は変性反応条件により核酸依存性が変更されてRNA依存性DNAポリメラーゼの機能を得たものである。市販キットが、RNAをcDNAへ逆転写するために利用可能である。
【0130】
前記RNAがcDNAへ逆転写されると、前記DNA配列は、癌特異的変異又は発現プロフィールの存在について、例えばここで説明された選択的核酸ハイブリダイゼーションを用いて分析される。かかる技術は当該技術分野でよく知られており、検出される変異について特異的な増幅プライマーを用いて選択的増幅を含み、又はmRNA特異的プローブを用いて核酸アレイへ選択的ハイブリダイゼーションを含み得る。又は一般的プライマーが、疑われる変異を含むDNAを増幅するために使用され、前記変異が次に前記アンプリコンから、前記変異の特異的なプローブを用いて選択的核酸ハイブリダイゼーションにより検出され得る。発現プロフィールが一般的に、当該技術分野でよく記載される定量的ハイブリダイゼーションを用いて得られるが、これは実施例で説明される。
【0131】
本発明の方法は、原理的に任意の核酸増幅方法を用いることで実施可能であり、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR;Mullis 1987,U.S.Pat.No.4,683,195,4,683,202,en4,800,159)又は増幅反応を用いることで可能であり、例えば、リガーゼ連鎖反応(LCR;Barany 1991,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:189−193;EP Appl.No.,320,308),自己持続性配列複製(3SR;Guatelli et al.,1990,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:1874−1878),鎖変位増幅(SDA;U.S.Pat.Nos.5,270,184,en 5,455,166),転写増幅システム(TAS;Kwoh et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:1173−1177),Q−ベータレプリカーゼ(Lizardi et al.,1988,Bio/Technology 6:1197),ローリングサークル増幅(RCA;U.S.Pat.No.5,871,921),核酸配列系増幅(NASBA),開裂断片長多型(U.S.Pat.No.5,719,028),等温キメラプライマー開始核酸増幅(ICAN),分岐伸長増幅方法(RAM;U.S.Pat.Nos.5,719,028及び5,942,391)又は他のDNA増幅の好適な方法である。
【0132】
前記増幅プライマーの1又は複数の少数のミスマッチを持ちDNAを増幅するためには、増幅反応は、低減されたストリンジェント条件下(例えば、38℃でのアニーリング、又は3.5mMのMgCl
2の存在下でのPCR増幅)で実施され得る。当業者は、好適なストリンジェント条件を選択することができる。
【0133】
前記プライマーは、増幅されるそれぞれの特異的配列の異なる鎖に存在するターゲット領域に対して「実質的に」相補的(即ち、少なくとも65%、より好ましくは少なくとも80%完全相補的)である。例えばイノシトールや明瞭でない塩基を含むプライマー配列を用いること、又は前記ターゲットと比較して1又は複数のミスマッチを含むプライマーもまた使用され得る。一般的に、前記ターゲットDNAオリゴヌクレオチド配列と少なくとも65%、より好ましくは少なくとも80%の同一性示す配列は、本発明の方法で使用されるために好適である考えられる。配列ミスマッチはまた、低いストリンジェントハイブリダイゼーション条件を用いる際には重要ではない。
【0134】
像増幅産物の検出は、原理的に、当該技術分野で知られる任意の好適な方法で実施され得る。検出断片は直接染色されるか、又は放射性ラベル化、抗体、リン光色素、蛍光色素又は酵素試薬でラベル化される。直接DNA染色は、例えばインターカレーション色素、例えばアクリジンオレンジ、エチジウムブロミド、エチジウムモノアジド又はヘキスト色素である。
【0135】
又は、前記DNA断片は、前記合成DNA断片内のラベル化dNTP塩基の挿入により検出され得る。核酸塩基に関連する検出ラベル化剤は、例えばフルオロセイン、シアニン色素又はBrdUrdである。
【0136】
プローブ系システムを用いる場合、本発明で使用される好適な検出手順は、例えば酵素免疫アッセイ(EIA)手順である(Jacobsら,1997,J.Clin.Microbiol.35,791795)。EIA手順の方法により検出を実施するために、増幅反応で使用される前方向又は逆方向プライマーのいずれかが捕捉基、例えばターゲットDNAアンプリコン(以下参照)の続くEIA検出のために例えばストレプトアビジンコートマイクロタイタープレートウェル上のターゲットDNAPCRアンプリコンを固定化するために、ビオチン基を含む。当業者は、EIA手順でターゲットDNAPCRアンプリコンを固定化するための他の基が使用され得ることを理解するであろう。
【0137】
ここで開示される前記ターゲットDNAの検出のための有用なプローブは、好ましくは、前記DNA増幅手順で増幅される前記DNA配列領域の少なくとも一部分に結合される。当業者は、ここで説明されるように過度の実施を行うことなく、前記ターゲットDNAのヌクレオチド配列に基き検出用の好適なプローブを作製することができる。また前記ターゲットDNAの相補的配列は、かかる相互鎖が前記使用される増幅反応で増幅される場合には本発明の方法で検出プローブとして好適に使用され得る。
【0138】
ここで使用するための好適な検出手順は、例えば前記アンプリコンの固定及び、例えばサザンブロットによる前記DNA配列のプロービングを含み得る。他の手順は、上で記載したEIA手順を含み得る。結合の検出を容易にするために、前記特異的アンプリコン検出プローブは、例えば発光基、発色基、酵素又は放射性ラベルなどのラベル基を持ち、前記プローブが、前記増幅反応の反応生成物へ結合することをモニターすることを容易にする。かかるラベルは、当業者によく知られており、例えばフルオロセインイソチオシアネート(FITC)、β−ガラクトシダーゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、ストレプトアビジン、ジゴキシゲニン、
35S又は
125Iである。他の例は当業者に明らかである。
【0139】
検出はまた、いわゆる逆ラインブロット(RLB)アッセイで実施され、例えばVan den Bruleらの「2002,J.Clin.Microbiol.40,779−787)に記載されている。この目的でRLBプローブは好ましくは、タオ手羽カルボキシルコーティングナイロン膜上に続いて固定化するために5’アミノ基を持つように合成される。RLB手順の利点は、容易なシステムとその速度であり、ハイスループットサンプル処理を可能にする。
【0140】
DNA断片の検出用核酸プローブの使用は当該技術分野でよく知られている。ほとんどはこれらの手順は、前記ターゲットDNAを前記プローブとハイブリダイゼーションさせ、その後洗浄することを含む。特異性は通常、ハイブリダイゼーション後の洗浄の機能であり、重要な因子は、最終洗浄液のイオン強度及び温度である。DNA−DNAハイブリダイゼーションについては、Tm(熱融点、即ち、所定のイオン強度及びpHで、相補ターゲット配列の50%が完全にマッチングするプローブへハイブリダイズする温度)は、Meinkoth及びWahlの「Anal.Biochem.,138:267−284(1984)」の式、
Tm=81.5℃+16.6(logM)+0.41(%GC)−0.61(%ホルム)−500/Lから近似することが可能であり、ここでMは一価カチオンのモル数、%GCは前記DNA中のグアノシンとシトシンのパーセント、%ホルムは前記ハイブリダイゼーション液中にホルムアミドのパーセント、及びLは前記ハイブリッドの塩基対での長さを表す。前記Tmは、1%のミスマッチで約1℃低くなり;従って、前記ハイブリダイゼーション及び/又は洗浄条件は望ましい同一性の配列をハイブリッドさせるために調節可能である。例えば、90%を超える同一性を持つ配列が検索される場合には、前記Tmは10℃下げられる。一般的に、ストリンジェント条件は、前記特異的配列及びその相補配列について、既定のイオン強度とpHで、Tmよりも5℃下げらる。しかし、非常にストリンジェントな条件では、Tmより1、2、3又は4℃低いハイブリダイゼーション及び/又は洗浄を使用でき;中程度のストリンジェント条件では、Tmより6、7、8、9又は10℃低いハイブリダイゼーション及び/又は洗浄を使用でき;低いストリンジェント条件では、Tmより11、12、13、14、15又は20℃低いハイブリダイゼーション及び/又は洗浄を使用できる。前記式、ハイブリダイゼーション及び洗浄組成物、及び望ましいTmを用いて、当業者は、ハイブリダイゼーション及び/又は洗浄駅の種々のストリンジェント性が本質的に記載されていることを理解する。望ましい程度のミスマッチがTmを45℃(水溶液)又は32℃(ホルムアミド溶液)より低くなる場合、好ましくはSSCを増加させてより高い温度を使用可能にする。核酸のハイブリダイゼーションの幅広いガイドは、Tijssenの「Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology−Hybridization with Nucleic Acid Probes,Part I,Chapter 2、Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid probe assays,Elsevier.New York(1993)」及び「Current Protocols in Molecular Biology,Chapter 2,Ausubelら、Eds.,Greene Publishing and Wiley−Interscience,New York(1995)」に記載されている。
【0141】
検出プローブは、好ましくは、本発明の方法で増幅反応により生成された二本鎖DNAアンプリコンの鎖の一つに「実質的に」相補的であるように線選択される。好ましくは前記プローブは、ターゲットDNAから生成されたアンプリコンの固定化(例えばビオチンラベル化)アンチセンス鎖の実質的に相補的である。
【0142】
検出プローブがこれらのターゲット配列へ1又は複数のミスマッチを含むことは許される。一般的に、ターゲットDNAオリゴヌクレオチド配列と少なくとも65%、より好ましくは少なくとも80%の同一性を示す配列は、本発明の方法の使用のために好適であると考えられる。
【0143】
疾患マーカーの存在について無核血液細胞抽出核酸画分を分析するステップは、標準核酸文戦記技術で実施され得る。影響を受けていない血液サンプルと比較して前記核酸画分中の前記核酸マーカーの濃度に変化があるかどうかを決定するステップは、前記無核血液細胞中の疾患マーカーの量を(半)定量的に測定することを含む。無核血液細胞から分離された核酸中の疾患特異的マーカーの検出のためのさらに好ましい手順は、従って、逆転写PCR(qRT−PCR)(Freemanら、BioTechniques 26:112−125(1999))である。
【0144】
前記の「影響を受けない血液サンプル」とは、健康なコントロール被験者又は前記疾患の発症の前の同じ被験者の無核血液細胞中の前記疾患マーカーの濃度を意味する。無核血液細胞特性及び無核血液細胞成分の量は、特に種及び年齢に依存することから、非疾患コントロール無核血液細胞は同じ種、年齢から、及び同じサブ集団(例えば喫煙者/非喫煙者)からのものが好ましい。又は、コントロールデータあが、データベース又は文献から取得されてもよい。理解されるべきことは、前記コントロールサンプルはまた、疾患の進展を分析するために前記疾患被験者から特定時点で取得してもよい、ということである。
【0145】
疾患マーカーは、癌/特定変位を含み、及び癌特異的変位は、癌に伴い知られている多くの種類の変位を含み得る。種々の癌の変位の例の非限定的リストは、http://www.sanger.ac.uk/genetics/CGP/Census/及びその中の表に示される。
【0146】
本発明はさらに、被験者の疾患を診断するキットを提供し、前記キットは包装物を含み、これは少なくとも1つの試薬を含み、この試薬は、前記被験者の無核血液細胞の少なくとも1つの核酸変位及び/又は核酸プロフィールの濃度及び/又は活性を特異的に決定するためである。ここで使用される用語「診断する」とは、疾患の存在を決定すること、疾患を分類すること、疾患の重症度(程度又は段階)を決定すること、疾患進展をモニターすること、疾患発症の予想及び/又は回復予想を意味する。
【0147】
理解されるべきことは、疾患由来核酸の検出のための必要な機器は、キットして提供され得るものであり、例えばFDA−認可キットであり、これは本発明の方法による無核血液細胞中の前記疾患由来核酸の検出のための活性成分を含む1又は複数の単位投与形を含み得る。
【0148】
又は前記キットは、別々に包装された、サンプル取得のスダン及び特定の増幅及び/又は決定用プライマーを含み得る。
【0149】
前記キットは、本発明の方法を実施するための指示書を含み得る。
【0150】
例えば、前記キットは、ディップスティック又はカートリッジなどの装置に含まれてよく(場合によりハウジング内に含まれる)、それに血液サンプル又は分離及び/又は増幅無核血液細胞核酸サンプルが適用用され、及び疾患由来又は疾患特異的核酸又は前記サンプル中の核酸プロフィールを検出する。前記装置は、疾患由来核酸を特異的に検出可能な任意の試薬を含む。例えば、前記装置は、前記疾患由来核酸に結合する1又は複数の固定化された変位特異的ハイブリダイゼーションプローブの1つ又はその組み合わせ、及び結合検出のインジケータを含み得る。本発明に実施態様では、支持体が前記装置内に設けられ、前記ハイブリダイゼーションプローブが可動に又は固定的に結合されている。
【0151】
ひとつの実施態様によると、前記装置はラテラルフロー装置であり、血液サンプル、又は分離された及び/又は増幅された無核血液細胞サンプルを、前記疾患由来核酸を検出することができる試薬と接触させるために流すための入口手段を含む。前期試験装置はまた、前記試験が適切に操作されていることを保証するためにフローコントロール手段を含む。かかるフローコントロール手段は、核酸を支持体に結合させることを制御し、これが前記試験装置を通るサンプル流の適切なフローを確認するする手段として前記サンプルに添加された検出プローブを捕捉する。又は、前記フローコントロール手段は、前記制御領域で捕捉プローブを含み、前記サンプルに自然に存在するコントロール核酸又はコントロールとして添加された核酸を捕捉し、適切な流れが前記装置内で起こっていることを示す。
【0152】
他の側面では本発明は、本発明の装置の、ここで記載された方法のいずれかを用いて被験者の疾患を診断するための使用を提供する。ここで記載された方法のいずれかを用いて被験者の疾患を診断する使用のための非常に好適な装置は、例えば、Nagalla及びBrayらの「(2010)Blood 115(1):2−3」及びGnatenkらの「Blood 115(1):7−14」に記載されている。
【0153】
本発明は以下、非限定的な実施例により例示される。
【実施例】
【0154】
実施例1
血小板は、4人の神経膠腫患者と、4人の健康ドナーの血液サンプルから遠心分離ステップで分離された。前記血小板は次に、TrizolRNA分離を用いてRNA抽出処理を行った。精製血小板RNAサンプルを次にcDNAに変換し、標準ミクロアレイ手順を用いてAgilent4x44K発現ミクロアレイにより分析した。これにより、この異なる血小板作製で前記mRNAのプロフィールを可能にした。
【0155】
約8500RNA転写物は、健康ドナーからの血小板の発現ミクロアレイで検出されなかった。これらの転写物は、健康ドナーからの血小板で、Agilent4x44Kチップの検出限界以下の濃度で存在した。従って、かかるRNAは全て癌診断の潜在的バイオマーカーであり得る。健康ドナーからに血小板中の発現ミクロアレイで検出されなかったRNAの中で、想到なRNAのセットが神経膠腫患者からの血小板内で検出された。表1は、発現ミクロアレイで、神経膠腫患者からの血小板中に検出されたが、健康ドナーからの血小板中には検出されなかった、ユニークな血小板RNA転写物をまとめた。4/4患者サンプル又は3/4患者サンプルで検出されたが、4つのコントロールサンプルのいずれでも検出されなかった、ユニークなRNA転写物が表1にまとめられる。表1:発現ミクロアレイにより、神経膠腫患者からの血小板で検出されるが、健康ドナーからの血小板中には検出されない、ユニークなRNA転写物。
【0156】
【表1A】
【0157】
【表1B】
【0158】
【表2】
イントロダクション
癌患者を診断、モニター及び階層化するための高く予想される診断プラットフォームは、個別化医療の発展に重要な装置である。この例では、インビトロで血液血小板内への腫瘍細胞(変異)RNAの移動が示されており、膠芽細胞腫及び前立腺癌から分離された血液血小板は、前記癌関連RNAバイオマーカーEGFRvIII、及びPCA3とPSA、それぞれを含む。さらに、遺伝子発現アレイは、正常コントロール被験者に比べて膠芽細胞腫からの血小板中の区別されるmRNAシグネチャを明らかとした。血小板は容易に入手でき分離できるので、癌の関連診断の興味惹かれるプラットフォームを形成し得る。
【0159】
方法
血小板分離及び組織切除
血小板は、EDTA抗凝集剤含有の紫キャップのBDバキュティナー中に収集された全血から、標準遠心分離により分離され、純度は顕微鏡で評価され、0.1%未満の赤血球及び白血球細胞が含まれることが分かった。次に分離された血小板ペレットが将来の使用のためにスナップ凍結された。神経膠腫及び前立腺癌患者から採取する神経膠腫組織切開は、VU大学医学センター及びUmea大学で行われた(J.Skogた、Nat Cell Biol.10(12),1470−6(2008))。
【0160】
ミクロベシクル分離、ラベル化及び移動
ミクロベシクルは、U78−EGFRvIII神経膠腫細胞から分離され、かつ次のようにラベル化された(J.Skogら、Nat Cell Biol.10(12),1470−6(2008))。U78−dEFGFRミクロベシクルインキュベーションの後、前記血小板を洗浄し、ENアーゼ酵素で処理して、前記EGFRvIIIRNAが前記血小板内に移送され、従ってRNアーゼ媒介分解から保護されることを保証した。共焦点顕微鏡分析のために、血小板構造を示すために前記血小板をテキサスレッド共役コムギ胚芽凝集素で染色され、緑PKH67の存在により取得されたミクロベシクルについて分析された。
【0161】
RNA精製
RNAは、製造者の指示書に従い、miRvana(Ambion)又はmiRNeasy(Quiagen)の手順を用いて分離された。RNA濃度及び品質は、全RNAPicoチップ(Agilent)とBioanalyzer2100を用いて決定された。
【0162】
RT−PCR
EGFRvIII、PCA3、PSA及びGAPDHのRT−PCRは、以下のプライマーを用いて記載の通りに行った(J.Skogら、Nat Cell Biol.10(12),1470−6(2008))。
GAPDHプライマー:
前方:5’−GAAGGTGAAGGTCGGAGTC−3’,
逆方: 5’−TCAGAAGATGGTGATGGGATTTC−3’;
PSAプライマー:
前方:5’−ATGTGGGTCCCGGTTGTCTT−3’、
逆方:5’−TCCCACAATCCGAGACAGGA−3’;
ネスト化PCA3プライマー:
PCR1:
前方:5’−AGTCCGCTGTGAGTCT−3’、
逆方:5’−−CCATTTCAGCAGATGTGTGG−3’;
PCR2:
前方:5’−ATCGACGGCACTTTCTGAGT−3’、
逆方:5’−TGTGTGGCCTCAGATGGTAA−3’;
ネスト化EGFRvIIIプライマー:
PCR1:
前方:5’−CCAGTATTGATCGGGAGAGC−3’,
逆方:5’−TGTGGATCCAGAGGAGGAGT−3’;
PCR2:
前方:5’−GAGCTCTTCGGGGAGCAG−3’,
逆方:5’−GCCCTTCGCACTTCTTACAC−3’;
遺伝子発現アレイ
前記mRNAアレイは、Agilent4x44遺伝子発現アレイを用いて、VU大学医学センターマイクロアレイコア施設で行われた。血小板RNAの完全性は、Agilent2100Bioanalyzer(AgilentTechnologie社)を用いて評価された。RNAサンプルは、Agilent Low Input Linear増幅キットプラス(5188−5340)を製造者手順に従って使用してラベル化された。
【0163】
即ち、全ENAの15ngを増幅し、T7−ポリメラーゼを用いてcDNAに逆転写し、続いてCy3又はCy5を用いてラベル化された。色素導入は、NanodropND−1000分光測定装置を用いて測定された。続いて、 cDNAをAgilent Gene Exression ハイブリダイゼーションキット(5188−5242)を用いて、製造者の手順書に従ってハイブリダイゼーションさせた。Cy3ラベル化cRNAの825ngを825ngのCy5ラベル化cRNAと混合し、暗所で60℃で30分間断片化し、65℃で17時間回転加熱炉でAgilent ハイブリダイゼーションチャンバガスケットスライド(G2534−60011)上でハイブリダイゼーションした。スライドは、Agilentミクロアレイスキャナー(G2565BA)を用いてスキャンされた。イメージ分析及びアレイ標準化が、特徴抽出ソフトウェア9.5版(Agilent Technologies、Inc)を用いて実施された。前記AgilentGE−v5_95手順が、デフォルト設定を用いて適用された。
【0164】
統計分析
遺伝子発現データのヒートマップ(
図3C)が、Excel(Microsoft Office 2007パッケージ)を、S.A.M分析プラグインと共に用いて生成された(設定偽発見率<0.5%)。上位30の重要な異なって発現遺伝子が、Heatmap Builder v1.1ソフトウェア(Kingら、Physiol Genomics.Sep21 2005;23(1):103−118)を用いて選択された。
【0165】
結果
この実施例では、健康なヒトコントロール被験者から分離された血小板が、ヒト脳腫瘍細胞(神経膠腫)から由来のRNA−含有、及び変異EGFRvIIIを含む腫瘍関連RNAを含むミクロベシクルを取り込む可能性を持つことが示される。PKH67ラベル化神経膠腫由来ミクロベシクルの取り込みが、FACS分析及び共焦点顕微鏡で血液血小板で示される。加えて、RT−PCRにより、健康被験者からの血小板内への変異EGFRvIIIRNAをミクロベシクル媒介移動が生じる、ことが示された。さらに、神経膠腫患者から分離された循環血小板はRNAバイオマーカーを含むことが示された(
図3B)。RT−PCRが、変異EGFRvIIImRNAが、切開高程度の神経膠腫(n=18)で見出されるかどうかを決定するために使用され、結果が、同じ患者からの血小板及び健康コントロール被験者からの血小板と比較された。前記サンプルはコードされ、RT−PCRがブラインドアッセイで実施された。18の神経膠腫サンプルのうちの4(22.5%)が、前に観察されたようにEGFRvIII転写物を含んでいた。注意すべきことは、EGFRvIIIは、これらEGFRvIII陽性患者の4人のうちの3人(75%)の血小板から増幅され得るということであり、健康ドナー(n=12)の血小板のどれからも増幅されないということであり、一方GAPDHmRNAは全ての血小板サンプルから検出された、ということである。可能性のある偽陽性シグナルは、ひとりのみの患者の血小板で検出され、このことは前記血液サンプルの不適切な処理によるものと考えられる。逆に、EGFRvIII陰性組織サンプルのひとりの被験者は、血小板サンプルでEGFRvIII陽性であったが、これは最もあり得ることとして、高程度神経膠腫中のEGFRvIII陽性病巣の不均一分布によるものと思われる。
【0166】
腫瘍関連メッセージの存在は神経膠腫患者からの血小板にユニークではないことを示すために、我々は、前立腺癌患者(n=12)からの血小板で前記前立腺癌マーカーPCA3及びPSAをコードするmRNAの存在を、及び健康被験者(n=10)からの血小板には存在しないことを報告した(
図4)。最後に、遺伝子発現アレイを用いて、健康な被験者(n=12)及び神経膠腫患者から分離された血小板の前記mRNA発現プロフィールが決定された。個別のmRNA発現プロフィールが得られ、最小の神経膠腫バイオマーカーシグネチャが検出された(
図3C、左側)。興味のあることに、いくつかの潜在的バイオマーカーはコントロールサンプルではほとんど検出できず、一方神経膠腫サンプルでは非常に強く発現された(
図3C、右側)。
【0167】
結論として、本発明者の知見は、血液血小板は腫瘍由来の形で癌マーカー又は腫瘍RNAを含み、それにより、個別化医療において癌の分子プロフィールのための診断プラットフォームとして有用である、ということを示す。