特許第5934734号(P5934734)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5934734
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月15日
(54)【発明の名称】洗浄組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   C11D 1/58 20060101AFI20160602BHJP
   C11D 3/24 20060101ALI20160602BHJP
   C11D 3/43 20060101ALI20160602BHJP
   C23G 5/028 20060101ALI20160602BHJP
   C23G 5/036 20060101ALI20160602BHJP
   D06L 1/04 20060101ALI20160602BHJP
   D06M 13/08 20060101ALI20160602BHJP
   D06M 13/292 20060101ALI20160602BHJP
   D06M 13/322 20060101ALI20160602BHJP
【FI】
   C11D1/58
   C11D3/24
   C11D3/43
   C23G5/028
   C23G5/036
   D06L1/04
   D06M13/08
   D06M13/292
   D06M13/322
【請求項の数】25
【外国語出願】
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2014-50151(P2014-50151)
(22)【出願日】2014年3月13日
(62)【分割の表示】特願2011-542454(P2011-542454)の分割
【原出願日】2009年12月17日
(65)【公開番号】特開2014-139320(P2014-139320A)
(43)【公開日】2014年7月31日
【審査請求日】2014年4月10日
(31)【優先権主張番号】61/138,164
(32)【優先日】2008年12月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】バス,ラジャト
(72)【発明者】
【氏名】ザイホウスキ,ゲイリー
(72)【発明者】
【氏名】クック,ケーン
(72)【発明者】
【氏名】ナレワジェク,デーヴィッド
【審査官】 古妻 泰一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−140499(JP,A)
【文献】 特開平02−255900(JP,A)
【文献】 特開平11−310789(JP,A)
【文献】 特開平02−222497(JP,A)
【文献】 特開平02−222469(JP,A)
【文献】 特開平02−221388(JP,A)
【文献】 特開昭53−074506(JP,A)
【文献】 特開2000−355677(JP,A)
【文献】 特表2003−535678(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/053672(WO,A1)
【文献】 国際公開第2007/053673(WO,A1)
【文献】 米国特許第05610128(US,A)
【文献】 米国特許第05856286(US,A)
【文献】 米国特許第05868799(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/58
C11D 3/24
C11D 3/43
C23G 5/028
C23G 5/036
D06L 1/04
D06M 13/08
D06M 13/292
D06M 13/322
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材を1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HFCO−1233zd)及びHFCO−1233zd中に可溶の少なくとも1種類のフッ素含有界面活性剤を含む組成物と接触させる工程を含む、基材の表面を乾燥する方法であって、前記フッ素含有界面活性剤がカチオン性部分及びアニオン性部分を有するイオン性界面活性剤であり、前記カチオン性部分が環式又は芳香族基のヘテロ原子に結合しているペルフルオロアルキル鎖を含む、方法。
【請求項2】
物品を1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HFCO−1233zd)及びHFCO−1233zd中に可溶の少なくとも1種類のフッ素含有界面活性剤を含む組成物と接触させる工程を含む、物品をドライクリーニングする方法であって、前記フッ素含有界面活性剤がカチオン性部分及びアニオン性部分を有するイオン性界面活性剤であり、前記カチオン性部分が環式又は芳香族基のヘテロ原子に結合しているペルフルオロアルキル鎖を含む、方法。
【請求項3】
布帛を界面活性剤及び1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HFCO−1233zd)及びHFCO−1233zd中に可溶の少なくとも1種類のフッ素含有界面活性剤を含む組成物に接触させるか又は曝露し、次に組成物を除去して布帛の表面上に界面活性剤を残留させる工程を含む、布帛に撥汚性を与える方法であって、前記フッ素含有界面活性剤がカチオン性部分及びアニオン性部分を有するイオン性界面活性剤であり、前記カチオン性部分が環式又は芳香族基のヘテロ原子に結合しているペルフルオロアルキル鎖を含む、方法。
【請求項4】
前記少なくとも1種類のフッ素含有界面活性剤が、式I又は式II:
【化1】
【化2】
(式中、Rは、水素、C〜Cアルキル、アリール、アルキルアリール、C〜Cフルオロアルキル、フルオロアリール、又はフルオロアルキルアリールであり、R、R、及びRは、同一であっても異なっていてもよく、水素、線状又は分岐のC〜C16アルキル、フルオロアルキル、アリール、又はアルキルアリール、或いは
【化3】
(式中、Rは線状又は分岐のC〜C16アルキル又はフルオロアルキル基である)
であり、但しR、R、及びR基の1以下は水素であり、nは1〜16であり、RfはC2m+1(ここで、mは2、4、6、8、10、又は12である)
である)
を有する請求項1〜3のいずれかに記載の方法
【請求項5】
nが2、3、又は4である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
n=2であり、Rfが6〜8の平均m値を有するα−フルオロポリジフルオロメチレンである、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記界面活性剤が4−tert−オクチルフェニル一酸ホスフェートのオリゴマーペルフルオロアルキルピリジニウム塩、4−tert−オクチルフェニル二酸ホスフェートのオリゴマーペルフルオロアルキルピリジニウム塩、或いはこれらの混合物である、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HFCO−1233zd)が、シスHFCO−1233zd、トランスHFCO−1233zd、またはこれらの混合物を含む、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HFCO−1233zd)が、トランスHFCO−1233zdを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HFCO−1233zd)が、トランスHFCO−1233zdからなる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HFCO−1233zd)が、シスHFCO−1233zdを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HFCO−1233zd)が、シスHFCO−1233zdからなる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
乾燥される基材又はドライクリーニングされる物品が、金属の基材若しくは物品、ガラス若しくはセラミクスの表面、シリカの基材若しくは物品、又は焼成アルミナの基材若しくは物品である、請求項1、2及び4〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記金属が、ステンレススチール、アルミニウム合金及び真鍮から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記シリカの基材若しくは物品が、シリコンウエハである、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
乾燥される基材又はドライクリーニングされる物品が、非吸収性の基材若しくは物品である、請求項1、2及び4〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記基材、物品または布帛を前記組成物と10分間以下で接触させる、請求項1〜16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記基材、物品または布帛を前記組成物と前記組成物の沸点以下の温度で接触させる、請求項1〜17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記基材、物品または布帛に前記組成物を噴霧する、請求項1〜18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記基材、物品または布帛を前記組成物に浸漬する、請求項1〜19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記基材、物品または布帛を前記組成物に完全に浸漬する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
蒸発によって前記基材、物品または布帛の曝露表面に付着している組成物を除去する、請求項1〜21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
蒸発により前記組成物が30秒間未満で除去される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記蒸発が大気圧又は大気圧より低い圧力で行われる、請求項22または23に記載の方法。
【請求項25】
前記1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HFCO−1233zd)が、組成物中の溶媒の全重量を基準として少なくとも50重量%の量で存在する、請求項1〜24のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[01]本発明は、2008年12月12日出願の米国仮出願61/138,164(その
全部を参照として本明細書中に包含する)に関連し、その優先権の利益を主張する。
[02]本発明は、洗浄及び/又は脱水組成物並びに方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[03]金属、セラミクス、ガラス、及びプラスチック物品の表面処理のために水性組成物
を用いることは周知である。更に、物品の表面の洗浄、被覆、及びその上へのコーティン
グの堆積を水性媒体中で行うことは公知である。いずれの場合においても、水で濡れた表
面から水を置換するためにハロカーボン溶媒及び疎水性界面活性剤を用いることができる
【0003】
[04]水置換のために種々の溶媒−界面活性剤乾燥組成物が用いられている。例えば、1
,1,2−トリクロロトリフルオロエタン(CFC−113)をベースとする溶媒−界面
活性剤組成物が公知である。しかしながら、環境上の問題のためにかかるCFCベースの
系の使用は減退している。
【0004】
[05]本出願人は、特定の界面活性剤又は複数の界面活性剤の群が、CFC溶媒に置き換
えるのに好適なヒドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、ヒドロフルオロカーボン(
HFC)、ヒドロクロロフルオロ−オレフィン(HCFO)、及びヒドロフルオロ−オレ
フィン(HFO)、並びにヒドロフルオロエーテル(HFE)溶媒などの所定の溶媒又は
複数の溶媒の群と共に用いることが完全に許容できるかどうかを予測するのは一般的に不
可能であると認識するに至った。更に、多くの公知の界面活性剤はかかる溶媒中に溶解さ
せることができない。更に、ドライクリーニング、乾燥、及び水置換は、選択された溶媒
と一緒に別個の達成するのが困難な特性の組を洗浄組成物に与える界面活性剤を必要とす
る。機械加工した部品から油を除去するためには、好ましくは界面活性剤によって、界面
活性剤を用いなければかかる溶媒中に僅かしか可溶でない汚れの除去を促進させる。更に
、水置換は、水と安定なエマルジョンを形成しない界面活性剤と必要とする。
【0005】
本出願人は、オレフィンは特に多くの従来用いられている溶媒と比較して反応性である
と一般に理解されているので、一般にハロゲン化オレフィン溶媒、特にクロロ−フルオロ
−オレフィンに関しては、所望の溶解力及び他の特性を有するだけでなく、許容できるレ
ベルの安定性も示すかかる溶媒及び界面活性剤の組合せを確認することが困難であること
が更に示されることを認めるに至った。
【0006】
したがって、選択されるHCFC、HFC、HCFO、HFO、又はHFE溶媒中に可
溶の界面活性剤だけでなく、溶媒中において所望の活性も有し、許容できるレベルの安定
性を示す界面活性剤も確認しなければならない。
【発明の概要】
【0007】
[06]本発明の幾つかの形態は、ヒドロハロオレフィンを含む組成物、任意の好ましい態
様は、ヒドロクロロフルオロ−オレフィン(HCFO)及び/又はヒドロフルオロ−オレ
フィン(HFO)、及び選択されたヒドロハロオレフィンと組み合わせて用いた場合に優
れていて及び/又は驚くべき予期しなかった結果を示す特定のフッ素含有界面活性剤を含
む組成物に関する。例えば、本発明の好ましい組成物は、ヒドロハロオレフィン、特にH
FO及び/又はHCFO中に可溶である界面活性剤を含み、同時に比較的高いレベルの安
定性を示す組合せを形成するという好ましい性質を有する。好ましい態様においては、選
択された1種類又は複数のHHOと選択された1種類又は複数の界面活性剤との組み合わ
せは、望ましいレベルの表面活性を示し、好ましくは水の置換において有用である組成物
を形成する。
【0008】
[07]本発明の更なる形態は、ヒドロクロロフルオロ−オレフィン(HCFO)及び/又
はヒドロフルオロ−オレフィン(HFO)を、少なくとも1種類のアルコール、特にメタ
ノール、エタノール、又はイソプロパノールと共に含む組成物に関する。
【0009】
[08]更なる形態は、乾燥、ドライクリーニング、及び撥汚のためのここに開示する組成
物の使用に関する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[09]本発明は、ヒドロクロロフルオロ−オレフィン(HCFO)及びヒドロフルオロ−
オレフィン(HFO)などのハロオレフィン溶媒と共に用いることができる界面活性剤に
関する。本発明において有用な界面活性剤は、HFO及び/又はHCFO中に可溶の疎水
性フッ素含有界面活性剤である。
【0011】
本発明の好ましい態様においては、界面活性剤は、カチオン性部分及びアニオン性部分
を有するイオン性界面活性剤を含むか、好ましくは主成分として含むか、より好ましくは
幾つかの態様においてはこれから実質的に構成される。好ましい態様においては、界面活
性剤のカチオン性部分は、フルオロカーボン基、更により好ましくはフルオロアルキル基
を含む。勿論、かかる好ましい態様においては、界面活性剤のアニオン性部分もフルオロ
カーボン基を含んでいてよいことが理解されるであろう。ここで用いるフルオロカーボン
基という用語は、その広い意味においては、少なくとも1つの炭素−炭素結合、及び基中
の炭素原子に結合している少なくとも1つのフッ素を含む共有結合している原子の群を意
味するように意図される。
【0012】
幾つかの非常に好ましい態様においては、界面活性剤のカチオン性部分中に含まれる好
ましいフルオロカーボン基はヘテロ原子を含み、好ましくは、界面活性剤のカチオン性部
分は、環式又は芳香族基中の環構造の一部であるヘテロ原子に共有結合しているフルオロ
カーボン基を含み、ヘテロ原子は好ましくは酸素、窒素、又はイオウからなる群から選択
され、幾つかの態様においては窒素が好ましい。更に、特に界面活性剤のカチオン性部分
がフルオロカーボン基に共有結合しているヘテロ原子を含む好ましい態様においては、界
面活性剤のアニオン性部分は好ましくはホスフェートである。幾つかの非常に好ましい態
様においては、界面活性剤のカチオン性部分のフルオロカーボン基は、環式又は芳香族基
のヘテロ原子に結合しているペルフルオロアルキル鎖を含む。フルオロカーボン基の炭素
鎖の長さは本発明の範囲内で広範囲に変化してよいと意図されるが、幾つかの好ましい態
様、特にフルオロカーボン基が環式又は芳香族基のヘテロ原子に結合しているペルフルオ
ロアルキル鎖である態様においては、鎖、好ましくはペルフルオロアルキル鎖中の炭素原
子の数は、好ましくは約2〜30、より好ましくは約2〜約20、更により好ましくは約
2〜約15である。
【0013】
[10]本発明にしたがって有用な界面活性剤としては、米国特許5,856,286(そ
の全部を参照として本明細書中に包含する)に記載の界面活性剤が挙げられる。好ましい
態様においては、本組成物において用いる界面活性剤は、式I又は式II:
【0014】
【化1】
【0015】
【化2】
【0016】
(式中、Rは、水素、C〜Cアルキル、アリール、アルキルアリール、C〜C
フルオロアルキル、フルオロアリール、又はフルオロアルキルアリールであり、R、R
、及びRは、同一であっても異なっていてもよく、水素、線状又は分岐のC〜C
アルキル、フルオロアルキル、アリール、又はアルキルアリール、或いは
【0017】
【化3】
【0018】
(式中、Rは線状又は分岐のC〜C16アルキル又はフルオロアルキル基である)
であり、但しR、R、及びR基の1以下は水素であり、nは1〜16であり、Rf
はフルオロカーボン基、好ましくはC2m+1(ここで、mは2、4、6、8、10
、又は12である)
である)
による界面活性剤、又は複数のかかる界面活性剤の混合物から選択される。好ましくは、
nは2、3、又は4である。より好ましくは、nは2であり、Rfは6〜8の平均m値を
有するα−フルオロポリジフルオロメチレンである。Rf=F(CF。好適な分布
は以下のものを含んでいてよい:Rf−C−最大で4%;C13−50±3%
;C17−29±2%;C1021−11±2%;及びC1429−最大で2%
。例えば、Rfの平均は7.3%であり、平均分子量は553であり、平均F含量%は5
6%である。
【0019】
[13]特に好ましいヘテロ芳香族界面活性剤は、4−tert−オクチルフェニル−一酸
及び二酸ホスフェートのオリゴマーペルフルオロアルキルピリジニウム塩である。フッ素
化成分の配置がヘテロ原子、即ちピリジン環の窒素の上である界面活性剤は、一般に乾燥
活性を示す傾向がある。
【0020】
[14]他の界面活性剤は、米国特許5,610,128(その全部を参照として本明細書
中に包含する)に開示されている。かかる界面活性剤は、式III又は式IV:
【0021】
【化4】
【0022】
【化5】
【0023】
(式中、R、R、Rは、同一であっても異なっていてもよく、線状又は分岐のC
〜C16アルキル、フルオロアルキル、アルキルアリール、又は
【0024】
【化6】
【0025】
(式中、Rは、水素、或いは線状又は分岐のC〜C16アルキル又はフルオロアルキ
ル基である)
であり;RはC〜C18ペルフルオロアルキルであり;nは1〜4であり;R、R
、及びRは、同一であっても異なっていてもよく、H、線状又は分岐のC〜C16
アルキル、フルオロアルキル、又はアルキルアリール基、又は
【0026】
【化7】
【0027】
(式中、Rは、線状又は分岐のC〜C16アルキル又はフルオロアルキル基である)
であり、但しR、R、及びRの1以下はHである)
から選択されるか又はかかる複数の界面活性剤の混合物から選択される。
【0028】
[18]幾つかの特に好ましい態様においては、界面活性剤は、芳香族基、好ましくは環中
にヘテロ原子、好ましくは窒素を有する少なくとも1つの芳香環を有する基を含む部分、
好ましくはカチオン性部分を含む。本発明の実施において用いるためのかかる芳香族含有
界面活性剤の例としては、4−tert−オクチルフェニル(一及び二)酸ホスフェート
のジメチルベンジル1,1,2,2−テトラヒドロペルフルオロデシルアミン塩;及び4
−tert−オクチル(一及び二)酸ホスフェートのジエチルメチル1,1,2,2−テ
トラヒドロペルフルオロデシルアミン塩;が挙げられる。
【0029】
[19]好ましい態様においては、本発明は、好ましくはHFO、HCFO、及びこれらの
組合せから選択されるハロゲン化オレフィン、少なくとも1種類のイオン性界面活性剤、
好ましくはHFO及び/又はHCFO中に容易に溶解する少なくとも1種類の疎水性フッ
素含有界面活性剤を含む組成物に関する。好ましい態様においては、HFO又はHCFO
及び界面活性剤は、有効な乾燥、ドライクリーニング、又は撥汚組成物を与える相対割合
で存在する。
【0030】
[20]一態様においては、本発明は、ヒドロクロロフルオロ−オレフィン、ヒドロフルオ
ロ−オレフィン、又はこれらの混合物を含む溶媒、及び上記式の界面活性剤を含み、成分
が有効な乾燥又はドライクリーニングを与えるのに十分な量で存在する組成物を提供する
。本発明の好ましい溶媒−界面活性剤組成物は、限定なしにステンレススチール、アルミ
ニウム合金、及び真鍮のような金属;ガラス、ホウケイ酸ガラス、及び素焼きアルミナの
ようなガラス及びセラミック表面;シリコンウエハのようなシリカ;焼成アルミナ;など
の広範囲の基材から水を有効に置換する。更に、本発明の組成物は、置換された水と顕著
なエマルジョンを形成しないか、或いは有意でない量のかかるエマルジョンしか形成しな
い。
【0031】
[21]幾つかの態様においては、本発明は、布帛を処理して撥汚性を与えるための方法に
おいて有用な溶媒/界面活性剤組成物、及びかかる方法におけるそれらの使用を提供する
。本組成物は、ヒドロクロロフルオロオレフィン、ヒドロフルオロオレフィン、又はこれ
らの混合物を含む溶媒、並びに上記式の界面活性剤を含み、成分は有効な撥汚性を与える
のに十分な量で存在する。これらの組成物は汚れの除去を促進し、すすぎ段階において存
在させると撥汚性を与える。
【0032】
[22]本発明のフッ素含有界面活性剤は、例えばUS−5,856,286及びUS−5
,610,128(既に参照として包含している)において示されているスキームにした
がって製造することができる。界面活性剤のクラスの範囲内の他の化合物を同様に製造す
ることができる。具体的に示していない界面活性剤に関しては、それらを製造するための
このスキームに対する修正は当業者に容易に明らかとなるであろう。
【0033】
[23]ヒドロクロロフルオロ−オレフィンとは、炭素のいずれかに結合している塩素及び
フッ素原子を有し、炭素−炭素結合のいずれか1つが二重結合である任意のヒドロハロカ
ーボンを意味する。ヒドロフルオロ−オレフィンとは、炭素のいずれかに結合しているフ
ッ素原子を有し、炭素−炭素結合のいずれか1つが二重結合である任意のヒドロハロカー
ボンを意味する。
【0034】
[24]好適なヒドロクロロフルオロ−オレフィン及びヒドロフルオロ−オレフィンは、式
(A):
【0035】
【化8】
【0036】
(式中、R、R、R、及びRは、それぞれ独立して、H、F、Cl、並びに、場
合によっては少なくとも1つのF又はClによって置換されているC〜Cアルキル、
少なくともCのアリール、特にC〜C15アリール、少なくともCのシクロアルキ
ル、特にC〜C12シクロアルキル、及びC〜C15アルキルアリールからなる群か
ら選択され、式(A)は少なくとも1つのF、及び好ましくは少なくとも1つのClを含
む)
の構造を有する化合物を含む。
【0037】
[26]好適なアルキルとしては、メチル、エチル、及びプロピルが挙げられるが、これら
に限定されない。好適なアリールとしてはフェニルが挙げられるが、これに限定されない
。好適なアルキルアリールとしては、メチル、エチル、又はプロピルフェニル;ベンジル
、メチル、エチル、又はプロピルベンジル、エチルベンジル;が挙げられるが、これらに
限定されない。好適なシクロアルキルとしては、メチル、エチル、又はプロピルシクロヘ
キシルが挙げられるが、これらに限定されない。アリールに(オルト、パラ、又はメタ位
において)結合する代表的なアルキル基はC〜Cアルキル鎖を有していてよい。式(
A)の化合物は、好ましくは線状化合物であるが、分岐化合物も排除されない。特定の例
としては、CCl(例えばヒドロクロロフルオロオレフィン:1233zd(
Z)及びヒドロクロロフルオロオレフィン:1233zd(E))、CFCF=CFC
CFCl、及びCFCCl=CFCFCF、及び混合物が挙げられる。
【0038】
本出願人は、幾つかの好ましい態様においては、本発明の溶媒成分は、1種類以上のC
〜Cフルオロアルケン、より好ましくは1種類以上のC、C、又はCフルオロ
アルケン、好ましくは下記:
XCF3−z (B)
(式中、XはC、C、C、又はCの不飽和で置換又は非置換の基であり、それぞ
れのRは独立して、Cl、F、Br、I、又はHであり、zは1〜3である)の式Bを有
する化合物を含む。幾つかの好ましい態様においては、本発明のフルオロアルケンは少な
くとも4つのハロゲン置換基を有し、その少なくとも3つはFであり、更により好ましく
はそれらのいずれもBrではない。幾つかの好ましい態様においては、式Bの化合物は、
それぞれの非末端不飽和炭素がフッ素置換基を有する化合物、好ましくは三炭素化合物を
含む。
【0039】
幾つかの態様においては、式Bの化合物が3〜5個のフッ素置換基を有し、他の置換基
が存在するか又は存在しないプロペン、ブテン、ペンテン、及びヘキセンを含むことが非
常に好ましい。幾つかの好ましい態様においては、いずれのRもBrではなく、好ましく
は、不飽和基はBr置換基を含まない。プロペンの中では、テトラフルオロプロペン(H
FO−1234)及びフルオロクロロプロペン(例えばトリフルオロモノクロロプロペン
(HFCO−1233)、更により好ましくはCFCCl=CH(HFO−1233
xf)及びCFCH=CHCl(HFO−1233zd))が幾つかの態様において特
に好ましい。
【0040】
幾つかの態様においては、特に末端不飽和炭素の上に水素置換基が存在するペンタフル
オロプロペン、例えばCFCF=CFH(HFO−1225yez及び/又はyz)な
どのペンタフルオロプロペンが好ましい。これは、本出願人がかかる化合物が少なくとも
化合物:CFCH=CF(HFO−1225zc)と比較して比較的低い毒性度を有
していることを見出したからである。
【0041】
ブテンの中では、フルオロクロロブテンが幾つかの態様において特に好ましい。
「HFO−1234」という用語は、ここでは全てのテトラフルオロプロペンを指すよ
うに用いる。テトラフルオロプロペンの中には、1,1,1,2−テトラフルオロプロペ
ン(HFO−1234yf)、並びにシス及びトランスの両方の1,1,1,3−テトラ
フルオロプロペン(HFO−1234ze)が含まれる。「HFO−1234ze」とい
う用語は、ここでは、シス形態であるか又はトランス形態であるかに関係なく包括的に1
,1,1,3−テトラフルオロプロペンを指すように用いる。「シスHFO−1234z
e」及び「トランスHFO−1234ze」という用語は、ここではそれぞれ1,1,1
,3−テトラフルオロプロペンのシス及びトランス形態を表すように用いる。したがって
、「HFO−1234ze」という用語は、その範囲内にシスHFO−1234ze、ト
ランスHFO−1234ze、並びにこれらの全ての組合せ及び混合物を含む。
【0042】
「HFO−1233」という用語は、ここでは全てのトリフルオロモノクロロプロペン
を指すように用いる。トリフルオロモノクロロプロペンの中には、1,1,1−トリフル
オロ−2−クロロプロペン(HFCO−1233xf)、シス及びトランスの両方の1,
1,1−トリフルオロ−3−クロロプロペン(HFCO−1233zd)が含まれる。こ
こで用いる「HFCO−1233zd」という用語は、ここではシス形態であるか又はト
ランス形態であるかに関係なく包括的に1,1,1−トリフルオロ−3−クロロプロペン
を指すように用いる。「シスHFCO−1233zd」及び「トランスHFCO−123
3zd」という用語は、ここではそれぞれ1,1,1−トリフルオロ−3−クロロプロペ
ンのシス及びトランス形態を表すように用いる。したがって、「HFCO−1233zd
」という用語は、その範囲内にシスHFCO−1233zd、トランスHFCO−123
3zd、並びにこれらの全ての組合せ及び混合物を含む。
【0043】
「HFO−1225」という用語は、ここでは全てのペンタフルオロプロペンを指すよ
うに用いる。かかる分子の中には、そのシス及びトランス形態の両方の1,1,1,2,
3−ペンタフルオロプロペン(HFO−1225yez)が含まれる。したがって、HF
O−1225yezという用語は、ここでは、シス形態であるか又はトランス形態である
かに関係なく包括的に1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロペンを指すように用いる
。したがって、「HFO−1225yez」という用語は、その範囲内にシスHFO−1
225yez、トランスHFO−1225yez、並びにこれらの全ての組合せ及び混合
物を含む。
【0044】
幾つかの好ましい態様においては、本組成物は式Bの2種類以上の化合物の組合せを含
む。1つのかかる好ましい態様においては、組成物は、少なくとも1種類のトリフルオロ
モノクロロプロペン、好ましくはHCFO−1233zd、更により好ましくはトランス
HCFO−1233zd、並びに少なくとも1種類のテトラ又はペンタフルオロプロペン
化合物を含み、好ましくはそれぞれの化合物は、組成物中に約20重量%〜約80重量%
、より好ましくは約30重量%〜約70重量%、更により好ましくは約40重量%〜約6
0重量%の量で存在する。
【0045】
本発明はまた、発泡、溶媒和、風味及び香味の抽出及び/又は付与、エアロゾル生成、
非エアロゾル噴射剤と関係して、並びに膨張剤として本発明の組成物を用いる方法及びシ
ステムも提供する。
【0046】
[27]界面活性剤は、主として乾燥する物品の表面中の水の量を減少させるように機能す
る。ヒドロクロロフルオロ−オレフィン又はヒドロフルオロ−オレフィン溶媒は、主とし
て、過剰の界面活性剤の除去などで物品を清浄化し、物品の表面から全ての残留水を置換
するように機能する。用いるヒドロクロロフルオロ−オレフィン又はヒドロフルオロ−オ
レフィン及び界面活性剤の量は用途によって広く変化させることができるが、当業者には
容易に明らかである。米国特許4,438,026及び4,401,584(その全部を
本明細書中に包含する)においては、かかる材料を組合せることができる割合が開示され
ている。
【0047】
[28]用いる溶媒の量は、乾燥する基材の表面から界面活性剤を除去するのに十分な量で
ある。界面活性剤の有効量とは、ヒドロクロロフルオロ−オレフィン又はヒドロフルオロ
−オレフィンの任意の程度の乾燥、ドライクリーニング、又は撥汚性の能力のために必要
な量を意味する。
【0048】
[29]好ましくは、用いる界面活性剤の量は、溶媒−界面活性剤組成物の全量の約5重量
%以下である。しかしながら、非経済的ではあるが、組成物による処理の後に、乾燥する
物品を、界面活性剤を全く有しないか又は少量含む揮発性炭化水素で処理する場合には、
大量を用いることができる。より好ましくは、界面活性剤の量は、約0.005〜約3.
0、更により好ましくは約0.005〜約0.5、最も好ましくは約0.05〜約0.3
重量%である。乾燥用途のために好ましい態様においては、界面活性剤の量は、少なくと
も約0.005重量%、より好ましくは約0.005〜約0.5、最も好ましくは約0.
01〜約0.2重量%である。ドライクリーニング用途のために好ましい態様においては
、約0.005〜約3.0、より好ましくは約0.01〜約0.5重量%を用いる。
【0049】
[30]幾つかの態様においては、組成物の溶媒部分は、組成物中の溶媒の全重量の重量を
基準として少なくとも約50重量%の量のトリフルオロモノクロロプロペン、好ましくは
HCFO−1233zd、更により好ましくはトランスHCFO−1233zdを含む。
下表1に、溶媒/界面活性剤組成物の具体例、並びに組成物中の溶媒及び界面活性剤の合
計重量を基準として少なくとも約50重量%、より好ましくは少なくとも約75重量%、
更により好ましくは少なくとも約95重量%のトランスHCFO−1233zdを含む組
成物に関する好ましい範囲及びより好ましい範囲を与える。
【0050】
【表1】
【0051】
[32]下表2に、溶媒/界面活性剤組成物の具体例、並びに組成物中の溶媒及び界面活性
剤の合計重量を基準として少なくとも約50重量%、より好ましくは少なくとも約75重
量%、更により好ましくは少なくとも約95重量%のシスHCFO−1233zdを含む
組成物に関する好ましい範囲及びより好ましい範囲を与える。
【0052】
【表2】
【0053】
[34]幾つかの態様においては、組成物の溶媒部分は、組成物中の溶媒の全重量の重量を
基準として少なくとも約50重量%の量のテトラフルオロプロペン、好ましくはHFO−
1234ze、更により好ましくはトランスHFO−1234zeを含む。下表3に、溶
媒/界面活性剤組成物の具体例、並びに組成物中の溶媒及び界面活性剤の合計重量を基準
として少なくとも約50重量%、より好ましくは少なくとも約75重量%、更により好ま
しくは少なくとも約95重量%のトランスHFO−1234zeを含む組成物に関する好
ましい範囲及びより好ましい範囲を与える。
【0054】
【表3】
【0055】
[36]下表4に、溶媒/界面活性剤組成物の具体例、並びに組成物中の溶媒及び界面活性
剤の合計重量を基準として少なくとも約50重量%、より好ましくは少なくとも約75重
量%、更により好ましくは少なくとも約95重量%のシスHFO−1234zeを含む組
成物に関する好ましい範囲及びより好ましい範囲を与える。
【0056】
【表4】
【0057】
[38]本発明の組成物は、金属、ガラス、セラミクスなどのような材料から構成される非
吸収性基材及び物品を清浄化及び/又は乾燥するのに用いることができる。したがって、
更に他の態様においては、本発明は、基材を、ヒドロクロロフルオロ−オレフィン、ヒド
ロフルオロ−オレフィン、又はこれらの混合物を含む溶媒、並びに有効量の式(I)又は
(II)の界面活性剤を含む組成物と接触させ、次に溶媒−界面活性剤組成物を物品から
除去する工程を含む、基材の表面を乾燥する方法を提供する。
【0058】
[39]したがって、本発明は、物品を、ヒドロクロロフルオロ−オレフィン、ヒドロフル
オロ−オレフィン、又はこれらの混合物を含む溶媒、並びに有効量の上式(I)〜(IV
)の界面活性剤を含む組成物に接触させるか又は曝露し、次に溶媒−界面活性剤組成物を
物品から除去する工程を含む、物品をドライクリーニングする方法を提供する。
【0059】
[40]本発明は更に、布帛を、ヒドロクロロフルオロ−オレフィン、ヒドロフルオロ−オ
レフィン、又はこれらの混合物を含む溶媒、並びに有効量の式(I)〜(IV)の界面活
性剤を含む組成物に接触させるか又は曝露し、溶媒を布帛から除去する工程を含む、布帛
に撥汚性を与える方法を提供する。
【0060】
[41]接触方法は重要ではなく、幅広く変化させることができる。例えば、物品を組成物
の容器内に浸漬することができ、或いは物品に組成物を噴霧することができる。物品の完
全な浸漬は、物品の全ての曝露表面と組成物との間の接触を確保するので好ましい。かか
る接触を与えることができる任意の方法を用いることができる。通常は、接触時間は約1
0分間以下であるが、この時間は重要ではなく、所望の場合にはより長い時間を用いるこ
とができる。
【0061】
[42]接触温度もまた、組成物の沸点によって広範囲に変化させることができる。一般に
、この温度はかかる沸点とほぼ同等であるか又は低い。接触工程に続いて、物品を組成物
との接触状態から取り外し、蒸発のような任意の通常の手段によって物品の曝露表面に付
着している組成物の除去を行う。場合によっては、物品を熱いか又は冷たい界面活性剤を
含まない溶媒と接触させることによって、物品に付着している界面活性剤の残りの少量を
更に除去することができる。最後に、物品を溶媒蒸気中に保持することによって、物品上
に残留している界面活性剤残渣の存在を更に減少させる。ここでも、物品に付着している
溶媒の除去は蒸発によって行うことができる。
【0062】
[43]一般に、組成物の除去又は蒸発は、約30秒間未満、好ましくは約10秒間未満行
う。温度も圧力も重要ではない。大気圧又は大気圧以下の圧力を用いることができ、ヒド
ロクロロフルオロ−オレフィン又はヒドロフルオロオレフィンの沸点より高いか又は低い
温度を用いることができる。場合によっては、組成物全体の中に所望のように更なる界面
活性剤を含ませることができる。
【0063】
[44]更に他の態様においては、布帛に撥汚性を与えるのに有効な量の本発明の界面活性
剤の被覆を基材に与える。
[45]これは、ヒドロクロロフルオロ−オレフィン、ヒドロフルオロ−オレフィン、又は
これらの混合物中に界面活性剤を溶解することによって行うことができる。次に、組成物
を基材によって吸収させるのに十分な時間噴霧(エアロゾル又はポンプ)又は浸漬するこ
とによって、基材を組成物で湿潤させる。更に、汚れた基材を溶媒−界面活性剤組成物と
接触させることによって、基材からの固体の除去を促進させることができる。この方法は
、基材が布帛である場合にその最も大きな有用性が見出されると考えられる。
【0064】
[46]2種類以上のヒドロクロロフルオロ−オレフィン又はヒドロフルオロ−オレフィン
溶媒を用いることができる。
[47]或いは、界面活性剤の代わりにアルコールのような第2の溶媒を含ませることがで
きる。好ましくは、この溶媒はメタノール、エタノール、又はイソプロパノールである。
この第2の溶媒をヒドロクロロフルオロ−オレフィン又はヒドロフルオロ−オレフィンと
共に用いることは、上記で議論したものと同じ乾燥及びドライクリーニングにおいて用い
ることができる。撥汚用途のためには、本発明の1種類以上のヒドロクロロフルオロ−オ
レフィン又はヒドロフルオロ−オレフィン溶媒を1種類以上のアルコールと組み合わせて
用いて界面活性剤を有効に溶解し、次に上記で議論したような噴霧又は浸漬適用のような
プロセスを用いてそれを布帛に付与することができる。
【0065】
[48]第2の溶媒を用いる場合には、第2の溶媒は、全組成物を基準として約1〜約50
重量%、好ましくは約4〜約45重量%の量で存在させる。
[49]界面活性剤−溶媒の組合せを用いる場合には、乾燥、ドライクリーニング、及び撥
汚性付与(界面活性剤を存在させるドライクリーニングの結果としてか、或いは撥汚剤と
して界面活性剤を直接施すことによる)においては、例えば固体基材を乾燥した後に少量
の界面活性剤が残留することが注記される。通常は、この残留界面活性剤は界面活性剤の
単分子層である。
【0066】
[50]本発明の組成物及び方法は、好ましくは通常の乾燥又はドライクリーニング機械及
びシステムを用いて行うか又はそれらと共に用いる。かかる乾燥機の代表例は米国特許3
,386,181(その全部を参照として本明細書中に包含する)に記載されているもの
である。
【実施例】
【0067】
[51]実施例:
[52]実施例1:
[53]500重量ppmのペルフルオロアルキルピリジニウムのオクチルフェニル酸ホス
フェート塩(5,856,286の実施例2において製造された界面活性剤)を含む35
mLの溶媒:1−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペンを、冷却コイルを取
り付けた100mLのビーカー内に配置することによって、本発明の溶媒−界面活性剤組
成物の水置換における性能を評価した。溶液を沸騰させ、冷却コイルによって溶媒蒸気を
ビーカーに閉じ込めた。無水状態まで湿分を減少させた2つの316ステンレススチール
の試験片を、水中、次に沸騰試料溶液中に浸漬した。試験片から水を置換するのに必要な
時間を記録した。5秒間の最小観察時間を選択した。
【0068】
[54]乾燥性能の最初の観察の後、35mLの水を沸騰溶液に加えた。溶液と水との間の
接触を与えるために、溶液を5分間沸騰状態に保持した。次に、混合物を分液漏斗に移し
、相分離のための時間を記録した。エマルジョン層を有しない明澄な相に迅速に分離する
ことにより、溶液がこの用途においてうまく機能することが示された。明澄な水相によっ
て、乾燥溶媒が商業的な機械の流出水に損失しないことが期待されることが示された。こ
の試験においては、明澄な溶媒相によって、乾燥溶媒が粒子時間枠で置換水を乾燥機から
排除する能力が示され、即ち水が溶媒相中に蓄積しないことが示された。
【0069】
[55]結果は、ペルフルオロアルキルピリジニウムテロマーのオクチルフェニル酸ホスフ
ェート塩が、乾燥時間、相分離、相の明澄性に関し、及びHFCO溶媒のために、500
ppmのレベルで水置換のための活性な界面活性剤として機能したことを示した。
【0070】
[56]実施例2:
[57]5重量%のメタノール溶媒を含む35mLの1−クロロ−3,3,3−トリフルオ
ロ−1−プロペン溶媒を、冷却コイルを取り付けた100mLのビーカー内に配置するこ
とによって、本発明の溶媒−溶媒組成物の水置換における性能を評価した。溶液を沸騰さ
せ、冷却コイルによって溶媒蒸気をビーカーに閉じ込めた。無水状態まで湿分を減少させ
た2つの316ステンレススチールの試験片を、水中、次に沸騰試料溶液中に浸漬した。
5秒間の最小観察時間を用いて、試験片から水を置換するのに必要な時間を記録した。溶
媒アルコールブレンドは基材から水を完全に除去することができた。
【0071】
[58]本発明を実施する現在好ましいモードを含む具体例に関して本発明を記載したが、当業者であれば、特許請求の範囲に示す発明の精神及び範囲内に含まれる上記に記載のシステム及び技術の数多くの変更又は変形が存在することを認識するであろう。
本発明は以下の態様を含む。
[1]
有効量の少なくとも1種類のヒドロフルオロ−オレフィン又はヒドロクロロフルオロ−オレフィン溶媒、並びに、ヒドロフルオロ−オレフィン又はヒドロクロロフルオロ−オレフィン溶媒中に可溶の少なくとも1種類の疎水性フッ素含有界面活性剤を含む組成物。
[2]
界面活性剤が、式I又は式II:
【化9】
【化10】
(式中、Rは、水素、C〜Cアルキル、アリール、アルキルアリール、C〜Cフルオロアルキル、フルオロアリール、又はフルオロアルキルアリールであり、R、R、及びRは、同一であっても異なっていてもよく、水素、線状又は分岐のC〜C16アルキル、フルオロアルキル、アリール、又はアルキルアリール、或いは
【化11】
(式中、Rは線状又は分岐のC〜C16アルキル又はフルオロアルキル基である)
であり、但しR、R、及びR基の1以下は水素であり、nは1〜16であり、RfはC2m+1(ここで、mは2、4、6、8、10、又は12である)
である)
を有する[1]に記載の組成物、又はかかる界面活性剤組成物の混合物。
[3]
nが2、3、又は4である、[2]に記載の組成物。
[4]
n=2であり、Rfが約6〜8の平均m値を有するα−フルオロポリジフルオロメチレンである、[2]に記載の組成物。
[5]
界面活性剤が4−tert−オクチルフェニル一酸ホスフェートのオリゴマーペルフルオロアルキルピリジニウム塩、4−tert−オクチルフェニル二酸ホスフェートのオリゴマーペルフルオロアルキルピリジニウム塩、或いはこれらの混合物である、[2]に記載の組成物。
[6]
界面活性剤が、式III又は式IV:
【化12】
【化13】
(式中、R、R、Rは、同一であっても異なっていてもよく、線状又は分岐のC〜C16アルキル、フルオロアルキル、アルキルアリール、又は
【化14】
(式中、Rは、水素、或いは線状又は分岐のC〜C16アルキル又はフルオロアルキル基である)
であり;RはC〜C18ペルフルオロアルキルであり;nは1〜4であり;R、R、及びRは、同一であっても異なっていてもよく、H、線状又は分岐のC〜C16アルキル、フルオロアルキル、又はアルキルアリール基、又は
【化15】
(式中、Rは、線状又は分岐のC〜C16アルキル又はフルオロアルキル基である)
であり、但しR、R、及びRの1以下はHである)
を有する[1]に記載の組成物、又はかかる界面活性剤の混合物。
[7]
界面活性剤が、オクチルフェニル(一)酸ホスフェートのジエチルメチル1,1,2,2−テトラヒドロペルフルオロデシルアミン塩、オクチルフェニル(二)塩ホスフェートのジエチルメチル1,1,2,2−テトラヒドロペルフルオロデシルアミン塩;オクチルフェニル(一)酸ホスフェートのジメチルベンジル1,1,2,2−テトラヒドロペルフルオロデシルアミン塩、及びオクチルフェニル(二)酸ホスフェートのジメチルベンジル1,1,2,2−テトラヒドロペルフルオロデシルアミン塩;オクチルフェニル(一)酸ホスフェートのジエチルベンジル1,1,2,2−テトラヒドロペルフルオロデシルアミン塩、及びオクチルフェニル(二)酸ホスフェートのジエチルベンジル1,1,2,2−テトラヒドロペルフルオロデシルアミン塩;からなる群から選択される、[6]に記載の組成物。
[8]
オクチルフェニル酸ホスフェートのジエチルメチル1,1,2,2−テトラヒドロペルフルオロデシルアミン塩、又はオクチルフェニル酸ホスフェートのジメチルベンジル1,1,2,2−テトラヒドロペルフルオロデシルアミン塩である、[6]に記載の組成物。
[9]
ジメチルメチルアミン塩であり、RがC〜C16である、[6]に記載の組成物。
[10]
ジメチルベンジルアミン塩であり、RがC〜C16である、[6]に記載の組成物。
[11]
ヒドロフルオロ−オレフィン又はヒドロクロロフルオロオレフィンが式(A):
【化16】
(式中、R、R、R、及びRは、それぞれ独立して、H、F、Cl、並びに、場合によっては少なくとも1つのF又はClによって置換されているC〜Cアルキル、少なくともCのアリール、少なくともCのシクロアルキル、及びC〜C15アルキルアリールからなる群から選択され、式(A)は少なくとも1つのFを含む)
の構造を有する、[1]に記載の組成物。
[12]
ヒドロクロロフルオロ−オレフィン溶媒として1−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペンを含む、[1]に記載の組成物。
[13]
基材を[1]に記載の溶媒−界面活性剤組成物と接触させ、次に物品から溶媒界面活性剤組成物を除去する工程を含む、基材の表面を乾燥する方法。
[14]
物品を[1]に記載の溶媒−界面活性剤組成物に接触させ、次に物品から溶媒界面活性剤組成物を除去する工程を含む、物品をドライクリーニングする方法。
[15]
布帛を[1]に記載の溶媒−界面活性剤組成物に接触させるか又は曝露し、布帛から溶媒を除去する工程を含む、布帛に撥汚性を与える方法。
[16]
有効量の少なくとも1種類のヒドロフルオロ−オレフィン又はヒドロクロロフルオロ−オレフィン、及びアルコールから選択される少なくとも1種類の溶媒を含む組成物。
[17]
溶媒が、メタノール、エタノール、及びイソプロパノールからなる群から選択される、[16]に記載の組成物。
[18]
ヒドロフルオロ−オレフィン又はヒドロクロロフルオロオレフィンが、式(A):
【化17】
(式中、R、R、R、及びRは、それぞれ独立して、H、F、Cl、並びに、場合によっては少なくとも1つのF又はClによって置換されているC〜Cアルキル、少なくともCのアリール、少なくともCのシクロアルキル、及びC〜C15アルキルアリールからなる群から選択され、式(A)は少なくとも1つのFを含む)
の構造を有する、[16]に記載の組成物。
[19]
基材又は物品を[16]に記載の組成物と接触させ、次に基材又は物品から組成物を除去する工程を含む、基材の表面を乾燥するか又は物品をドライクリーニングする方法。
[20]
布帛を界面活性剤及び[16]に記載の組成物に接触させるか又は曝露し、次に組成物を除去して布帛の表面上に界面活性剤を残留させる工程を含む、布帛に撥汚性を与える方法。