(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、外装材表面に単層または多層にコーティングされる外装材顔料において、基質表面にMgO・SiO
2を含む低屈折層を形成することにより、高輝度、高光沢および高彩度特性を得ることができ、アルミニウムおよびセリウム処理層によって湿気抵抗性および耐候性も向上させることができることを目的とする。
【0006】
さらに本発明は、MgO・SiO
2の添加量を増加させることにより、低屈折層の厚さを増加させなくても多重色相の顔料を製作できるようにし、クラックのような不良の発生を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施例にかかる外装材顔料の製造方法は、(a)基質として使用されるフレーク表面にMgO・SiO
2を含む酸化物層が被覆された顔料粉末を形成することと、(b)前記顔料粉末を脱イオン水(DIwater)に混合した後、撹拌および分散させて固体の含有量が5重量%ないし20重量%の懸濁液を形成することと、(c)前記(b)の懸濁液にCeCl
3を
滴下した後、5分ないし30分間撹拌することと、(d)前記(c)の懸濁液を60℃ないし90℃に加熱した後、10分ないし60分間撹拌することと、(e)前記(d)の懸濁液pHを1ないし5に調節した後、5分ないし30分間還流させることと、(f)前記(e)の懸濁液にAl(NO
3)
3溶液を混合してpHを一定に維持し、溶液注入が完了した前記懸濁液を10分ないし60分間還流させることと、(g)前記(f)の懸濁液を撹拌しながらpHを3ないし9になるようにすること、および(h)前記(g)でpHが増加した前記懸濁液にシランカップリング溶液を注入してpHを維持させ、溶液注入が完了した前記懸濁液を10分ないし30分間還流させることを含むことを特徴とする。
【0008】
ここで、前記(a)は、(a1)前記フレークを脱イオン水(DIwater)に混合してから撹拌および分散させて懸濁液を形成することと、(a2)前記(a1)の懸濁液に第1可溶性無機金属塩溶液を
滴下した後、前記第1可溶性無機金属塩溶液を加水分解させて前記フレークの表面に第1金属酸化物層が被覆されるようにすることと、(a3)前記(a2)の懸濁液に5重量%ないし35重量%のMgO・SiO
2を含む可溶性無機塩溶液を
滴下した後、前記可溶性無機塩溶液を加水分解させて前記第1金属酸化物層の表面に酸化物層が被覆されるようにすることと、(a4)前記(a3)の懸濁液に第2可溶性無機金属塩溶液を
滴下した後、前記第2可溶性無機金属塩溶液を加水分解させて前記酸化物層の表面に第2金属酸化物層が被覆されるようにすること、および(a5)前記(a4)の懸濁液から顔料粉末を分離することを含むことを特徴とする。
【0009】
さらに、本発明にかかる外装材顔料は、合成雲母、天然雲母、ガラス、板状酸化鉄、板状アルミナおよび板状シリカの一つ以上を含むフレーク基質と、前記基質上部に被覆された第1金属酸化物層と、前記第1金属酸化物層上部に被覆されたMgO・SiO
2を含む酸化物層と、前記酸化物層上部に被覆された第2金属酸化物層と、前記第2金属酸化物層に形成されるセリウム層および前記セリウム層上部に形成されるアルミニウム酸化物層を含むことを特徴とする。
前記MgO・SiO2を含む酸化物層の含量比率は、前記外装材顔料を基準に総重量に対して5重量%ないし35重量%の比率であることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明にかかる外装材顔料の製造方法を用いると、低屈折層をMgO・SiO
2を使用して形成することにより、厚さを薄く形成するにもかかわらず高輝度および高光沢を具現できる効果を有する。
【0011】
さらに、低屈折層の厚さを増加させなくてもよいため、高彩度特性を有することができ、多重色相を有する外装材顔料を容易に製造できる効果を提供する。
【0012】
また、本発明にかかる外装材顔料で適用されるMgO・SiO
2は、外装用光沢顔料として必要なアルミニウム酸化物層およびセリウム処理層が基質に容易に蒸着できるようにし、これによって従来よりも改善された湿気抵抗性および耐候性等を確保できる効果を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の利点および特徴、そしてそれらを達成する方法は、添付の図面と共に詳しく後述する実施例を参照すれば明確になると考える。しかし、本発明は以下で開示する実施例に限定されるのではなく、相違する多様な形態で具現でき、単に本実施例は本発明の開示が完全になるようにし、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供するものであり、本発明は請求項の範疇によって定義されるだけである。明細書全体にわたり同一参照符号は同一構成要素を指す。
【0014】
以下、本発明にかかる外装材顔料およびその製造方法について詳しく説明する。
【0015】
本発明の一実施例にかかる外装材の製造方法は、懸濁液形成段階、第1金属酸化物層形成段階、MgO・SiO
2層形成段階、第2金属酸化物層形成段階、セリウム層形成段階、およびアルミニウム酸化物層形成段階を含む。
【0017】
先ず、懸濁液形成段階では、基質として使用される一定の大きさのフレークを脱イオン水(DIwater)に混合した後、撹拌および分散させて懸濁液を形成する。
【0018】
このとき、フレークは板状であり粒径の大きさが5μmないし250μmのものを使用することが好ましい。粒径の大きさが5μm未満の場合、基質の表面に物質がコーティングされながらコーティングの厚さが増加すると板状基質が段々と球体の形態に変化するようになる。つまり、角形比が減少することになるが、角形比が減少すると乱反射を起こして光の散乱をもたらし、一定に同じ屈折率を有する同じ色相を表すことができなくなる。
【0019】
逆に、板状形のフレーク粒径が250μmを超える場合は、コーティングされる表面積が増加するため、色相を具現するためのコーティング層の構成が難しくなる。
【0020】
このような基質は、合成雲母(Mica)、天然雲母、ガラス、板状酸化鉄、板状アルミナおよび板状シリカの一つ以上を使用できる。
【0021】
そして、懸濁液中には前記基質固体の含有量が5重量%ないし20重量%になるように混合することが好ましい。
【0022】
固体の含有量が5重量%未満の場合、後続の酸化層の形成反応が起きなかったり十分に行われなくなり得る。また、固体の含有量が20重量%を超える場合は反応効率が低下し得る。
【0023】
以上のように、顔料の製造のための懸濁液が形成されたら、先ず、懸濁液の温度を60℃ないし90℃に昇温させる。このように懸濁液を加熱する理由は、懸濁液の温度が60℃未満であるとコーティング状態が均一でなくなり、コーティングされる物質の大きさおよび形態が非常に不規則になる。そして、懸濁液の温度が90℃を超えると、コーティングのための反応が激しく起こって粗いコーティング層が形成され得る。
【0024】
よって、前記のように、コーティング層の状態が不完全な場合、顔料は高い彩度を有さないため、前記のような温度範囲を維持することが好ましい。
【0025】
さらに、前記のような懸濁液の固体含量および温度範囲は、以下の第1、2金属酸化物層、酸化物層、セリウム層およびアルミニウム酸化物層を形成するすべての反応に同一に適用されるようにする。
【0027】
以上のように、懸濁液の製造および昇温段階を終えたら、その次に、懸濁液に第1可溶性無機金属塩溶液を
滴下した後、第1可溶性無機金属塩溶液を加水分解させて前記フレークの表面に第1金属酸化物層が被覆されるようにする段階を行う。
【0028】
このとき、無機金属塩は、SnCl
4、TiCl
4、TiOCl
2、TiOSO
4、FeCl
3、FeSO
4、SiCl
4、ZrOCl
2、Na
2O・SiO
2・5H
2O、MnCl
2、MgCl
2、AlCl
3およびCoCl
2から選択された一つまたは二つ以上の混合物を含む。
【0029】
そして、前記無機金属塩が溶解されている第1可溶性無機金属塩溶液は、懸濁液に一滴ずつ落としながら加水分解が行われるようにする。
【0030】
このとき、懸濁液のpH値が1ないし9になるようにする。pHが1未満になると第1金属酸化物層のコーティングが正常に行われなくなり、pHが9を超えるとコーティング物質が均一にならなく、非常に不規則な大きさと形態を有するようになる。よって、コーティング状態が非常に粗くなるため顔料が高い彩度を有さなくなる。
【0031】
さらに、前記pH値が一定に維持された状態で溶液注入を完了した後、懸濁液を10分ないし30分間還流させる工程を行う。
【0032】
このとき、pH値は前記基質の表面に形成される第1金属酸化物層の被覆率が1%ないし50%になる程度に一定に維持させ、還流工程は反応pHによる衝撃を減らし、コーティングされる物質が十分に表面にコーティングされるようにする。
【0033】
還流時間が10分未満になると、十分な被覆率を得ることができなく、基質に衝撃が加わってクラックを誘発させ得る。また、還流時間が30分を超える場合は、撹拌による基質自体の割れやコーティング層が分離する現象が現れ得る。
【0035】
前記のような工程によって基質の表面に第1金属酸化物層が被覆された固体が混合されている懸濁液の温度を再度60℃ないし90℃に昇温させる。このとき、前記温度範囲は、上述のように最適なコーティング層の形成のための温度範囲である。
【0036】
そして、次に、昇温した懸濁液にMgO・SiO
2を含む可溶性無機塩溶液を
滴下した後、可溶性無機塩溶液を加水分解させて前記第1金属酸化物層表面にMgO・SiO
2が被覆されるようにする。本発明では、MgO・SiO
2が単独或いはMgO・SiO
2と別の酸化物が一緒に被覆されて形成された層を酸化物層とする。
【0037】
このとき、前記可溶性無機塩溶液は、水ガラス、MgCl
2、ケイ酸塩、AlCl
3、KCl
3およびホウ酸から選択された一つまたは二つ以上の混合物を含むものを使用する。
【0038】
そして、懸濁液のpH値が4ないし14になるようにする。pHが4未満になると酸化物層のコーティングが正常に行われなくなり、pHが14を超えるとコーティング物質が非常に不規則な大きさと形態を有するようになって、顔料が高い彩度を有さなくなる。
【0039】
さらに、前記pH値が一定に維持された状態で溶液注入を完了した後、懸濁液を30分ないし60分間還流させる工程を行う。
【0040】
このとき、pH値は、前記基質の表面に形成される酸化物層の被覆率が高彩度および高光沢顔料の場合は1%ないし30%になり、多重色相顔料の場合は酸化物層の被覆率が30%ないし90%までなるように調節することが好ましい。
【0041】
多重色相を使用する場合は、光沢顔料の場合より最大3倍まで酸化物層被覆率が増加し得るが、これにより高光沢および高彩度特性を有する顔料の場合と多重色相を有する顔料の場合に対する酸化物層の全体重量比率が変わり得る。
【0042】
高光沢および高彩度特性を有する顔料の場合は、全体が完成した形態の顔料を基準に総重量に対して5重量%ないし10重量%の比率であると最適な性能を有するようになる。つまり、酸化物層が形成された比率が全体顔料総重量の5重量%未満の場合は高光沢特性が低下し、酸化物層比率が10重量%を超える場合は高彩度特性が低下する。
【0043】
さらに、多重色相を有する顔料の場合は、全体が完成した形態の顔料を基準に総重量に対して5重量%ないし35重量%の比率であると最適な性能を有するようになる。つまり、酸化物層が形成された比率が全体顔料総重量の5重量%未満の場合は単一色で表れるという問題があり、酸化物層の比率が35重量%を超える場合は色変化特性が低下する。
【0044】
よって、本発明にかかる酸化物層の好ましい含量比率は、5重量%ないし35重量%だが、ここに常に制限されるのではなく、基質の種類とコーティングされる物質およびコーティングの厚さ等によって変わり得る。
【0045】
ここで、前記重量比率は下記セリウム層およびアルミニウム酸化物層を共に含んだ状態の顔料に対する重量比を意味する。しかし、セリウム層およびアルミニウム酸化物層の重量比の総合の比率が顔料全体に及ぼす影響は微々であるため、セリウム層およびアルミニウム酸化物層を除いた顔料の重さに対する重量比と判断しても構わない。
【0046】
以上のように形成された本発明の酸化物層は、MgO・SiO
2を主要構成とし、SiO
2、MgO・Al
2O
3、K2O・SiO
2およびMg
2SiO
4から選択された一つまたは二つ以上の混合物をさらに含むことができる。
【0047】
このような酸化物層は、顔料において低屈折層の役割をし、従来SiO
2だけを形成する場合に発生していたクラック等の問題を解決することができる。
【0048】
また、MgO・SiO
2酸化物層を使用すると低屈折層の厚さ調節が容易で、高光沢、高彩度および多重色相特性を容易に表すことができる。
【0049】
以上で説明したように、本発明にかかる外装材顔料は、薄型の透明フレーク基質と、透明基質上部に被覆された第1金属酸化物層と、前記第1金属酸化物層上部に被覆されたMgO・SiO
2を含む酸化物層を基本構成とする。
【0051】
また、本発明では前記酸化物層の保護および高光沢等の特性の向上のために前記酸化物層上部に第2金属酸化物層を被覆し、その過程は前記第1金属酸化物被覆過程と同様に行う。
【0052】
次に、最終第2金属酸化物層の被覆が完了した懸濁液をろ過し、脱イオン水で洗浄および乾燥した後、残余物をか焼し、スクリーン処理して本発明にかかる外装材顔料の製造を完了する。
【0053】
以上で説明した通り、MgO・SiO
2を含む酸化物層を形成して、高輝度、高光沢および高彩度特性を有する顔料粉末を製造した後は、外装用顔料として必要な湿気抵抗性および耐候性等を付与するために次のような追加コーティング作業を行う。
【0055】
先ず、MgO・SiO
2を含む酸化物層が被覆された顔料粉末を脱イオン水(DIwater)に混合した後、撹拌および分散させて固体の含有量が5重量%ないし20重量%の懸濁液を形成する。
【0056】
このとき、懸濁液の固体含有量および温度条件は、前記「懸濁液の形成」過程に記載した特性通りである。
【0057】
次に、懸濁液にCeCl
3を
滴下した後、5分ないし30分間撹拌し、懸濁液を60℃ないし90℃で加熱する。
【0058】
このとき、撹拌時間は10分ないし60分間十分に撹拌することが好ましい。前記顔料粉末は、第1金属酸化物層、MgO・SiO
2を含む酸化物層および第2金属酸化物層が既に被覆されている状態のため、撹拌時間が10分未満の場合は、十分な撹拌が行われない可能性がある。そして、撹拌時間が60分を超える場合は、被覆層が損傷する恐れがある。
【0059】
前記のような撹拌工程が終わったら、懸濁液のpHを1ないし5に調節した後、5分ないし30分間還流させて、顔料粉末に最終的に被覆された第2金属酸化物層上部にセリウム層が形成されるようにする。
【0060】
このとき、懸濁液のpH値が1未満や還流時間が5分未満になるとセリウム層のコーティングが正常に行われなくなり、pH値が5を超えたり還流時間が30分を超えると、コーティング物質が非常に不規則な大きさと形態を有するようになり顔料の高い彩度を確保できなくなる。
【0062】
前記のように、最終セリウム層まで被覆された光沢顔料を含む懸濁液が形成されたら、その懸濁液の固体含量および温度条件をそれぞれ5重量%ないし20重量%、および60℃ないし90℃に維持した状態でAl(NO
3)
3溶液を混合してpHを一定に維持させる。
【0063】
このとき、固体の含有量が5重量%未満や、懸濁液の温度条件が60℃未満の場合は、アルミニウム酸化物層の形成反応が起こらなくなったり十分に行われなくなる場合がある。また、固体の含有量が20重量%を超えたり温度条件が90℃を超える場合は、アルミニウム酸化物層の形成のための反応効率が低下し得る。
【0064】
次に、pHが一定に維持されるための溶液注入が完了した状態の懸濁液を10分ないし60分間還流させるが、懸濁液を撹拌すると共にpHを3ないし9になるようにしてセリウム層の表面にアルミニウム酸化物層が形成されるようにする。
【0065】
このとき、懸濁液のpH値が1未満や還流時間が5分未満になるとセリウム層のコーティングが正常に行われなくなり、pH値が5を超えたり還流時間が30分を超えるようになると、コーティング物質が非常に不規則な大きさと形態を有するようになって顔料の高い彩度を確保できなくなる。
【0066】
次に、前記セリウム層およびアルミニウム酸化物層の被覆状態維持のために選択的にシランカップリング層を形成することができる。シランカップリング層を形成するためには、アルミニウム酸化物層が被覆された状態のpHが維持された懸濁液にシランカップリング溶液を注入し、シランカップリング溶液の注入が完了した前記懸濁液を10分ないし30分間還流させて前記セリウム層およびアルミニウム酸化物層を覆うシランカップリング層が形成されるようにする。
【0067】
このとき、懸濁液のpH値が1未満か還流時間が10分未満になると、シーリングが正常に行われなくなり、pH値が5を超えたり還流時間が30分を超えるようになると、シーリングが非常に不規則な大きさと形態を有するようになって顔料の向上した物理的特性を確保できなくなる。
【0068】
以上のように、本発明にかかる外装材顔料は、基質を中心に上部および下部に対する全ての層を含む場合は、11層の多層コーティング構造を有する。このとき、本発明にかかる外装材顔料は、透明基質層の表面に形成される低屈折層および高屈折層を含み、高光沢、高彩度および優れた多重色相特性を有する。
【0069】
前記のような特性は、主にMgO・SiO
2酸化物層の使用有/無よって表れるため、以下では前記酸化物層の使用による高光沢、高彩度および多重色相特性を検討する。
【0070】
さらに、本発明にかかる外装材顔料は、前記セリウム層およびアルミニウム酸化物層によって従来より優れた外部湿気抵抗性および耐候性等を確保することができ、次のような特性を有する。
【0072】
以下、比較例1ないし28は、雲母フレーク基質の表面にSiO
2酸化物層を形成した場合を示したもので、前記実施例1ないし32は、上述の製造方法でMgO・SiO
2酸化物層を形成した場合を示したサンプルである。
【0073】
このとき、第1および第2金属酸化物層は、実施例と比較例共に同様に適用し、これらによって特性が変わる事項はなかった。
【0074】
さらに、前記外装材顔料の形成方法のうち、セリウム層およびアルミニウム酸化物層までは形成しない状態で実験を行った。
【0079】
前記表1および表2を参照して前記比較例と実施例を比較すると、MgO・SiO
2酸化物層を使用した場合に色差計値(a
*、b
*)が増加したことが分かる。
【0080】
ここで、色差計値の絶対値が大きくなるほど彩度が良くなるため、本発明にかかる顔料の彩度が向上したことが分かる。
【0086】
前記表3および表4を参照すると、前記比較例12ないし22は、SiO
2酸化物層を形成した場合を示したものであり、前記実施例12ないし22はMgO・SiO
2酸化物層を形成した場合を示したものである。
【0087】
よって、前記比較例と実施例を比較すると、MgO・SiO
2酸化物層を使用した場合に光沢も値が増加したことが分かる。
【0088】
MgO・SiO2酸化物層の含量比による彩度および光沢値の変化
【0095】
上述の表5ないし表8を参照すると分かるように、MgO・SiO
2酸化物層が5重量%未満であるコーティングが比較例(23、24、26、27)の場合は、コーティング層の厚さが薄くなって各層別の比率が合わなくなることが分かる。
【0096】
これは、コーティング層が薄いため十分に下層を覆えなくなり、その結果、表面が粗くなると共に乱反射が起こり、高彩度と高光沢が得られなくなったと推定できる。さらに、前記のような原理で比較例は多重色相効果も得られなかった。
【0097】
逆に、MgO・SiO
2酸化物層が30重量%を超えてコーティングされると、コーティング層の厚さが厚くなり、各層別の比率が合わなくなって正常な光の屈折率を得ることができなくなることが分かる。よって、目的としない色相が具現され、彩度が低下することが分かる。
【0098】
一方、本発明にかかるMgO・SiO
2酸化物層の含量範囲に従って形成された実施例23ないし32顔料の場合は、全て前記表1ないし表4に示した正常の彩度および光度値を得ることができた。
【0099】
以上で説明したように、本発明にかかる外装材顔料の製造方法を用いて、低屈折層にMgO・SiO
2を使用することにより、薄い厚さを有しても高輝度および高光沢を具現できる。
【0100】
さらに、低屈折層の厚さを増加させなくても良いため、容易に高彩度高光沢特性を確保することができ、多重色相を有する真珠光沢の外装材顔料を容易に製造できる。
【0102】
本発明にかかる外装材顔料に対する湿気抵抗性および耐候性の評価は次のような湿度露出実験および鮮明度の測定結果を分析して判断した。
【0103】
先ず、前記表8に開示した比較例26ないし28および実施例29ないし32に全てセリウム層およびアルミニウム酸化物層を被覆させた。そして、比較実施のために実施例28にはセリウム層およびアルミニウム酸化物層を形成しなかった。
【0104】
次に、前記比較例26ないし28および実施例28ないし32の顔料を水溶性ペンキ(water−based paints)組成物に混合した。このとき、顔料/ペンキの比を0.13にしたところ、後続のテストが安定的に行われた。
【0105】
その次に、下塗りした(primed)7.5×15cm鋼パネル(ミシガン、デトロイトのAdvanced Coating Technologiesによって供給された、APR 25379)に15μmないし20μmの厚さに前記比較例26ないし28および実施例28ないし32の顔料を含む水溶性ペンキを被覆し、下塗りを少なくとも10分間瞬間加熱(flashing)し、85℃で6.5分間ベーキングし冷却させた。
【0106】
そして、きれいな(顔料が塗布されていない;unpigmented)上部塗装層を40μmないし45μmの厚さに塗布し、その結果生じたパネルに対し、パネルの露出部分を未露出部分と比較できるようにマスキングした。
【0107】
次に、前記のように製造されたサンプルパネルを40℃で240時間、100%湿度雰囲気に露出させ、その結果生じたパネルをASTM D3359、Vol.6接着力試験方法によって試験した。
【0108】
結果は、下記表9に示し、0Bから5Bのスケール上で等級をつけた。ここで、0Bは全体の凝集破壊(65%以上)を表し、5Bは全く破壊がないということを表す。
【0109】
その結果、比較例および実施例28は0Bないし1Bの等級であるのに対し、セリウム層およびアルミニウム酸化物層が被覆された実施例29ないし32の顔料は5Bの等級だった。
【0110】
次に、耐候性を調べるために、Hunter Lab.で製造されたReflected Image Goniophotome terのDorigon II Distinctivenessを使用して像の鮮明度(distinctness of image;DOI)を測定することにより評価した。露出が維持された像の鮮明度(%DOI)は、露出前の湿度コンディショニング後のDOIを湿度コンディショニング前のDOIで割って100を掛けることにより計算した。高い%DOIを有する顔料は、低い%DOIを有する顔料より更に優れた安定性を有した。
【0111】
その結果、比較例および実施例28は50%以下の%DOIを有し、セリウム層およびアルミニウム酸化物層が被覆された実施例29ないし32の顔料は90%以上の%DOIを有した。
【0113】
上述のように、本発明にかかる外装材顔料は、MgO・SiO
2低屈折層にアルミニウム酸化物層およびセリウム処理層が基質に容易に蒸着できるようになったことで、従来より改善された湿気抵抗性および耐候性等を確保できるようになった。
【0114】
以上では本発明の実施例を中心に説明したが、当業者のレベルで多様な変更や変更を加えることができる。
【0115】
特に、上述の説明は、第1金属酸化物層および第2金属酸化物層を含む多層外装材顔料を中心に行ったが、本発明はMgO・SiO
2低屈折層だけからなる単層顔料にセリウム層およびアルミニウム酸化物層をさらに形成して湿気抵抗性および耐候性等を向上させた実施例も含む。
【0116】
このような変更と変形が本発明の範囲から外れない限り、本発明に属すると言える。よって、本発明の権利範囲は以下に記載する請求の範囲によって判断しなければならない。