特許第5934786号(P5934786)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5934786可変タービン形状を有するターボチャージャ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5934786
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月15日
(54)【発明の名称】可変タービン形状を有するターボチャージャ
(51)【国際特許分類】
   F02B 37/24 20060101AFI20160602BHJP
【FI】
   F02B37/24
【請求項の数】10
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-510357(P2014-510357)
(86)(22)【出願日】2012年4月30日
(65)【公表番号】特表2014-513770(P2014-513770A)
(43)【公表日】2014年6月5日
(86)【国際出願番号】US2012035755
(87)【国際公開番号】WO2012154432
(87)【国際公開日】20121115
【審査請求日】2014年12月16日
(31)【優先権主張番号】102011101037.1
(32)【優先日】2011年5月10日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】500124378
【氏名又は名称】ボーグワーナー インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100093861
【弁理士】
【氏名又は名称】大賀 眞司
(74)【代理人】
【識別番号】100129218
【弁理士】
【氏名又は名称】百本 宏之
(72)【発明者】
【氏名】ライフ・ハイディングスフェルダー
【審査官】 木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第00/071873(WO,A1)
【文献】 特開2002−256876(JP,A)
【文献】 特表2010−530935(JP,A)
【文献】 特開昭63−147903(JP,A)
【文献】 実開昭63−014843(JP,U)
【文献】 実開昭60−092704(JP,U)
【文献】 実開昭61−126053(JP,U)
【文献】 欧州特許出願公開第01099838(EP,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0316489(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 37/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可変タービン形状を有するターボチャージャ(15)であって、
ブレード軸受リング(2)を有するブレード軸受リング配置構造(1)と、流れダクト(4)を生成するように前記ブレード軸受リング(2)に固定されるディスク(3)とを有し、
前記ブレード軸受リング(2)に取り付けられた案内ブレード(5’)を有し、
前記流れダクト(4)の規定幅(B)を設定するように前記ブレード軸受リング(2)と前記ディスク(3)との間に配置されるスペーサ装置(5)を有し、
前記スペーサ装置(5)が、移動可能な入口案内ブレード(8)を有する入口案内格子(6)として形成され、前記入口案内ブレード(6)が各々スペーサピン(7)に配置され、前記スペーサピン(7)の第1の端部(7A)が前記ブレード軸受リング(2)に固定され、
各々の入口案内ブレード(8)が、外側円周領域(A)の前記ブレード軸受リング(2)に設けられた凹部(11)で案内される回転プレート(9)に配置される
ターボチャージャ。
【請求項2】
前記入口案内ブレード(8)が流線形の輪郭を有する、請求項1記載のターボチャージャ。
【請求項3】
前記回転プレート(9)に、調整リング(10)の係合凹部(13)内に係合する係合ペグ(12)が設けられる、請求項1又は2に記載のターボチャージャ。
【請求項4】
前記スペーサピン(7)の前記第1の端部(7A)が、前記凹部(11)内の前記ブレード軸受リング(2)に接続される、請求項1〜3のいずれか一項に記載のターボチャージャ。
【請求項5】
前記スペーサピン(7)の第2の端部(7B)が前記ディスク(3)に接続される、請求項〜4のいずれか一項に記載のターボチャージャ。
【請求項6】
前記第1の端部(7A)及び前記第2の端部(7B)が各々、それぞれ前記ブレード軸受リング(2)と前記ディスク(3)とに溶接、好ましくは突き合わせ溶接される、請求項4又は記載のターボチャージャ。
【請求項7】
前記凹部(11)が、前記ブレード軸受リング(2)の前記外側円周領域(A)の方向に開口するように形成される、請求項1〜6のいずれか一項に記載のターボチャージャ。
【請求項8】
前記係合凹部(13)が、湾曲して延びるスロットとして形成される、請求項〜7のいずれか一項に記載のターボチャージャ。
【請求項9】
前記スペーサピン(7)が前記回転プレート(9)と前記入口案内ブレード(8)とを通って延びる、請求項〜8のいずれか一項に記載のターボチャージャ。
【請求項10】
ブレード軸受リング配置構造(1)を製造するための方法であって、次の方法ステップ:
スペーサピン(7)をブレード軸受リング(2)の凹部(11)内に配置するステップと、
調整リング(10)を前記ブレード軸受リング(2)の外側円周領域(A)に配置するステップと、
各々1つの入口案内ブレード(8)が設けられた回転プレートを前記スペーサピン(7)に取り付け、前記回転プレート(9)の挿入ペグ(12)を前記調整リング(10)の関連の係合凹部(13)に挿入すると同時に、前記回転プレート(9)を前記ブレード軸受リングの前記凹部(11)内に配置するステップと、
案内ブレード(5’)を前記ブレード軸受リング(2)に取り付けるステップと、
前記案内ブレード(5’)をブレードレバーに接続するステップと、
前記スペーサピン(7)の第2の端部(7B)を前記ブレード軸受リング配置構造(1)のディスク(3)に接続するステップと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載の可変タービン形状(VTG)を有するターボチャージャに関する。
【背景技術】
【0002】
欧州特許出願公開第A−1236866号から公知の上記のようなターボチャージャのVTGカートリッジは、ブレード及びレバーとタービンハウジング側ディスクとを有する案内装置を有する。ブレード軸受装置のブレード軸受リングに対するディスクの締結は、一般的なターボチャージャではねじまたは溶接によって実現される。ブレード軸受リングとディスクとの間に形成され、かつVTGのブレードが配置される流路の既定幅を設定可能とするために、スペーサ装置が設けられる。従来技術では、前記スペーサ装置は、スペーサスリーブ、段付きボルト又は溶接されたペグから構成される。さらに、鋳造されたスペーサ要素も公知である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、排気ガス流を通って延びる構成要素はいずれも、流れに対する障害となり、したがって流動損失を生じる。
【0004】
したがって、本発明の目的は、流れに対する分離構成要素の影響を最小にし、激しい偏向を回避することが可能である、請求項1の前提部に規定されたタイプのターボチャージャを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的は、請求項1の特徴によって達成される。
【0006】
本発明によれば、負荷に応じた方法で可変タービン形状の案内ブレード装置に向かって排気ガス流を偏向させるために、可変構成要素を有する入口案内格子が設けられる。可変の入口案内格子の可変構成要素は、可変タービン形状の角度調整に従ってブレード軸受リングに対して移動し、これによって、強度の変化と共に可変タービン形状に向かって排気ガス流を偏向させることが可能である。
【0007】
さらに、流線形の設計により、案内装置内の気体力学の改良、したがって、ターボチャージャ全体の熱力学の改良がもたらされる。
【0008】
本発明による入口案内格子の特別な利点は、好ましくはより浅い角度で次の案内ブレードを打つように流れが偏向されるという事実にある。可変の入口案内格子の前記角度調整によって、すべての負荷状態について最適なブレード入射流を達成することが可能である。排気ガス流に対するスペーサ装置の影響は、このようにして有利には低く維持される。
【0009】
従属請求項は、本発明の有利な改良形態に関する。
【0010】
請求項11は、可変タービン形状(VTG)を有するターボチャージャのブレード軸受リング配置構造を製造するための方法を規定している。
【0011】
本発明のさらなる詳細、特徴及び利点は、図面に基づき例示的な実施形態の以下の説明から理解される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明によるターボチャージャの斜視図である。
図2】ブレード軸受リング配置構造の基本的な設計の図面であり、図3図6に基づき説明する本発明の原理を理解することができる。
図3】ブレード軸受リング配置構造のブレード軸受リングの斜視詳細図である。
図4】調整リングが取り付けられた図3に対応するブレード軸受リングの図面である。
図5】調整リング及び入口案内ブレードが取り付けられたブレード軸受リングの部分の図4に対応する拡大図である。
図6】案内ブレードが取り付けられたブレード軸受リングの部分の斜視図である。
図7】ブレード軸受リング配置構造を完成するためのディスクが配置されるブレード軸受リングの図6に対応する図面である。
図8-10】異なる負荷状態における案内ブレード及び入口案内ブレードの位置を説明するためのブレード軸受リング配置構造(ディスクなし)の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
可変タービン形状を有するターボチャージャのすべての構造的な細部に関する完全な説明は、本発明による設計原理に関する以下の説明のために必要でないので、本発明によるターボチャージャ15の基本的な構成要素のみが図1に示されており、前記ターボチャージャは、従来のように、コンプレッサハウジング17のコンプレッサホイール16と、シャフト19に必要な軸受を有する軸受ハウジング18と、タービンハウジング21のタービンホイール20とを有する。前記ターボチャージャはまた、回転可能なブレード及びレバーを備えるいわゆるVTGカートリッジと、タービンハウジング側のディスクと、同様にブレード軸受リング及び調整リングとを有する。次に、前記構成要素について図に基づき詳細に説明する。前記タイプのターボチャージャの他の部分は、本発明の原理の完全な理解を提供するように本発明を説明するために必要でないが、本発明によるターボチャージャ15に同様に設けられることが自明である。
【0014】
図2は、ブレード軸受リング配置構造1の基本的な構造を示している。
【0015】
ブレード軸受リング配置構造1は、案内ブレード5’が回転可能に取り付けられるブレード軸受リング2と、ディスク3とを有する。案内ブレード5’用に規定幅Bの流れダクト4を形成することができるために、ブレード軸受リング配置構造1には、入口案内格子6として形成されたスペーサ装置5が設けられる。
【0016】
入口案内格子6は、第1の移動可能な複数の入口案内ブレード8を有する。
【0017】
図3は、ブレード軸受リング2の部分を示しており、その外側円周領域には、複数の凹部/フライス削りされた部分11が設けられる。図3に示したように、1つの凹部が参照符号11で代表例として示されている凹部の領域に、各々の場合に、流れダクト4の規定幅Bを設定するように、ブレード軸受リング2とディスク3との間に配置されるスペーサ装置5の部分である1つのスペーサピン7が配置される。図3に示したように、スペーサピン7の第1の端部7Aは、凹部11内のブレード軸受リング2に接続され、好ましくは突き合わせ溶接される。同様に図3に示されているように、凹部11は、外側円周領域Aの方向に開口するように形成され、少なくともほぼ半円である。
【0018】
図4は、同様に、ブレード軸受リング2のフライス削りされた部分11及びその中に配置されたピン7と共に当該ブレード軸受リングを示している。さらに、図4は、複数の係合凹部13が設けられる調整リング10の配置を示している。
【0019】
図4及び図5を共に参照すると、前記係合凹部13が、入口案内ブレード8が設けられる回転プレート9の部分である係合ペグ12を受容するために機能することが明らかである。ここで、回転プレート9の厚さは、凹部11の深さに対応する。ブレード軸受リング配置構造1全体を形成するために、入口案内ブレード8を有する前記タイプの回転プレート9が、設けられたピン7の各々に取り付けられ、ここで、図5は、回転プレート9をピン7に取り付ける過程で、外側方向を指す係合ペグ12が係合凹部13に挿入されることを示している。調整リング10のピン7及び係合凹部13は、したがって、それぞれ入口案内ブレード8を案内及び旋回させるために機能する。
【0020】
図6は、案内ブレード5’の挿入後のブレード軸受リング配置構造1の状態を示しており、ここで、1つの入口案内格子6が案内ブレード5’毎に設けられることが明らかであり、前記案内格子は、スペーサピン7と回転プレート9とを備え、回転プレートはその入口案内ブレード8及びその係合ペグ12を有する。
【0021】
図7は、完全に組み立てられた状態を示しており、ディスク3はスペーサピン7の他方の端部7Bに締結され、好ましくは溶接されている。前記状態において、ブレード軸受リング配置構造1は、ターボチャージャ15の可変タービン形状(VTG)の予め組み立てられたカートリッジを形成する。図6及び図7はまた、複数の調整レバーを示しており、その内の1つの調整レバーが参照番号14で示されており、この調整レバーは、調整リング10の対応する凹部内に係合して、ブレード軸受リング配置構造1の異なる荷重に応じた位置へのその調整のために機能する。
【0022】
図8は、最小位置におけるブレード軸受リング配置構造1を示しており、ここでは、前記最小位置を明瞭に示すためにディスク3は図示されていない。前記最小位置において、案内ブレード5’によって形成された案内ブレードリングが閉じられ、入口案内ブレード8は渦巻流の事実上なんらの偏向も引き起こさない。
【0023】
図9は、VTGの中間負荷位置における同様にディスク3のないブレード軸受リング配置構造1を示しており、これに対し、図10は全負荷位置におけるVTGを示している。ここで、入口案内ブレード8の領域における過度に激しい偏向が常に回避されることが強調されるべきである。入口案内格子6を有するブレード軸受リング配置構造1の図8図10を併せて見ることによって分かる位置により、著しい熱力学的な利点が得られ、VTGを通した排気ガス流に対してスペーサ装置5が有する逆効果が最小となる。
【0024】
上述の本開示を補完するために、図1図10の本発明の概略図が本明細書により明示的に参照される。
【符号の説明】
【0025】
1 VTGのブレード軸受リング配置構造/カートリッジ
2 ブレード軸受リング
3 ディスク
4 流れダクト
5 スペーサ装置
5’ 案内ブレード
6 入口案内格子
7 スペーサピン/ペグ
7A、7B スペーサピン7の第1及び第2の端部
8 移動可能な入口案内ブレード
9 回転プレート
10 調整リング
11 凹部/フライス削りされた部分(湾曲スロット)
12 係合ペグ
13 係合凹部
14 調整レバー
15 ターボチャージャ
16 コンプレッサホイール
17 コンプレッサハウジング
18 軸受ハウジング
19 シャフト
20 タービンホイール
21 タービンハウジング
A ブレード軸受リング2の外側円周領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10