特許第5934811号(P5934811)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アルカテル−ルーセントの特許一覧

特許5934811ホームネットワーク配備における診断およびトラブルシューティングのための方法およびシステム
<>
  • 特許5934811-ホームネットワーク配備における診断およびトラブルシューティングのための方法およびシステム 図000002
  • 特許5934811-ホームネットワーク配備における診断およびトラブルシューティングのための方法およびシステム 図000003
  • 特許5934811-ホームネットワーク配備における診断およびトラブルシューティングのための方法およびシステム 図000004
  • 特許5934811-ホームネットワーク配備における診断およびトラブルシューティングのための方法およびシステム 図000005
  • 特許5934811-ホームネットワーク配備における診断およびトラブルシューティングのための方法およびシステム 図000006
  • 特許5934811-ホームネットワーク配備における診断およびトラブルシューティングのための方法およびシステム 図000007
  • 特許5934811-ホームネットワーク配備における診断およびトラブルシューティングのための方法およびシステム 図000008
  • 特許5934811-ホームネットワーク配備における診断およびトラブルシューティングのための方法およびシステム 図000009
  • 特許5934811-ホームネットワーク配備における診断およびトラブルシューティングのための方法およびシステム 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5934811
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月15日
(54)【発明の名称】ホームネットワーク配備における診断およびトラブルシューティングのための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   H04B 3/46 20150101AFI20160602BHJP
   H04B 3/54 20060101ALI20160602BHJP
   H04W 24/08 20090101ALI20160602BHJP
【FI】
   H04B3/46
   H04B3/54
   H04W24/08
【請求項の数】15
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-561398(P2014-561398)
(86)(22)【出願日】2013年3月11日
(65)【公表番号】特表2015-515780(P2015-515780A)
(43)【公表日】2015年5月28日
(86)【国際出願番号】EP2013054865
(87)【国際公開番号】WO2013135624
(87)【国際公開日】20130919
【審査請求日】2014年10月15日
(31)【優先権主張番号】12305303.5
(32)【優先日】2012年3月15日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】391030332
【氏名又は名称】アルカテル−ルーセント
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガチャニン,ハリス
【審査官】 佐藤 敬介
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−513556(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 3/46
H04B 3/54
H04W 24/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リモートサーバにおいてホームネットワークの問題を分析するための方法であって、インターネットを通してホームネットワークに接続されたリモートサーバにおいて実施される以下のステップ、すなわち、
周波数帯域をカバーする少なくとも1つのホームネットワーク性能パラメータの基準データを格納するステップであって、前記基準データがホームネットワークの正常な挙動に対応する、格納するステップと、
インターネットを通して、前記周波数帯域をカバーする前記少なくとも1つのホームネットワーク性能パラメータの測定データを取得するステップと、
問題を認定する認定データを決定するために、前記測定データを前記基準データと比較するステップと
を含み、複数の周波数帯域で動作する複数のホーム通信デバイスが定義され、前記複数の周波数帯域が、1つまたは複数のオーバーラップする帯域を含み、前記基準データおよび前記測定データが、少なくとも前記1つまたは複数のオーバーラップする帯域をカバーする周波数帯域について取得される、方法。
【請求項2】
認定データに基づいて、問題へのソリューションを推奨するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
認定データを決定するステップが、前記測定データが少なくとも所定の閾値分だけ前記基準データと異なる、前記測定データの影響された周波数帯域を決定するステップを含み、
ソリューションを推奨するステップが、影響された周波数帯域に基づいて、前記複数のホーム通信デバイスのうちのあるデバイスを、干渉問題を引き起こすデバイスとして指し示すステップを含む、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
測定データを取得するステップが、前記測定データを要求し、受信するために、リモート管理用のアプリケーション層プロトコルを使用するステップを含む、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
リモート管理用の前記アプリケーション層プロトコルが、TR−069プロトコルである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つのホームネットワーク性能パラメータが、好ましくは周波数依存ベクトルの形で、チャネル周波数応答(CFR)、信号対雑音比(SNR)、ビットエラーレート(BER)、巡回冗長検査(CRC)、再送信カウンタ、雑音レベルのうちの少なくとも1つを含む、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
問題が発生する前に、前記周波数帯域をカバーする前記少なくとも1つのホームネットワーク性能パラメータを測定することによって、前記基準データが取得される、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記ホームネットワークが、ホームゲートウェイを通してインターネットに接続され、前記測定データが、前記ホームゲートウェイを通して取得される、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
リモートでホームネットワークの問題を分析するために構成されたシステムであって、
周波数帯域をカバーする少なくとも1つのホームネットワーク性能パラメータの基準データであって、ホームネットワークの正常な挙動に対応する前記基準データを記憶するデータ記憶装置と、
インターネットを通して、前記周波数帯域をカバーする前記少なくとも1つのホームネットワーク性能パラメータの測定データを要求し、受信するために構成されたデータコレクタと、
問題を認定する認定データを決定するために、前記測定データを前記基準データと比較するために構成されたプロセッサと
を含み、複数の周波数帯域で動作する複数のホーム通信デバイスが定義され、前記複数の周波数帯域が、オーバーラップする帯域を含み、前記データ記憶装置が、少なくとも前記オーバーラップする帯域をカバーする周波数帯域についての基準データを記憶し、前記データコレクタが、少なくとも前記オーバーラップする帯域をカバーする測定データを要求し、受信するように構成された、システム。
【請求項10】
前記データコレクタが、ホームゲートウェイまたはホームネットワークのデバイスからの測定データを、要求し、受信するためのリモート管理用のアプリケーション層プロトコルを使用するように構成されたTR−069使用可能デバイスである、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
認定データに基づいて、問題へのソリューションを推奨するように構成されたレコメンダをさらに含む、請求項9または10に記載のシステム。
【請求項12】
前記プロセッサが、前記測定データが少なくとも所定の閾値分だけ前記基準データと異なる、前記測定データの影響された周波数帯域を決定することによって、認定するデータを決定するように構成されており、
前記レコメンダが、影響された周波数帯域に基づいて、前記複数のホーム通信デバイスのうちのあるデバイスを、干渉問題を引き起こすデバイスとして指し示すことによって、ソリューションを推奨するように構成されている、
請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記少なくとも1つのホームネットワーク性能パラメータが、好ましくは周波数依存ベクトルの形で、チャネル周波数応答(CFR)、信号対雑音比(SNR)、ビットエラーレート(BER)、巡回冗長検査(CRC)、再送信カウンタ、雑音レベルのうちの少なくとも1つを含む、請求項9から12のいずれかに記載のシステム。
【請求項14】
ホームゲートウェイをさらに含むシステムであって、
前記データコレクタが、インターネットおよびホームゲートウェイを通して、ホームネットワークに接続されており、
前記ホームゲートウェイが、前記少なくとも1つのホームネットワーク性能パラメータの前記測定データを求める要求を受信し、前記少なくとも1つのホームネットワーク性能パラメータの測定データを取得し、インターネットを通して、前記測定データをデータコレクタに送信するように構成されたTR−069使用可能デバイスである、
請求項9から13のいずれかに記載のシステム。
【請求項15】
G.hn、HomePlug、UPA、HomeGridの技術のうちのいずれか1つを使用する複数のホームネットワークをさらに含むシステムであって、前記ホームネットワークが、好ましくは同軸線、電話線、電力線のうちのいずれか1つまたは複数を含む、請求項9から14のいずれに記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホームネットワーク配備における診断およびトラブルシューティングの分野に関する。より詳細には、本発明は、リモートサーバにおいてホームネットワークの問題を分析するための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ホームネットワーク内で障害が発生した場合、現在では、サービスオペレータ技術者または顧客自身による手動のトラブルシューティングが存在するにすぎない。このタイプのトラブルシューティングは、通常、顧客の不満に対する反応である。不満が、問題を調査するために技術者を派遣するきっかけとなる。そのような手続きは、時間がかかり、非常にコスト高である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】http://www.broadband−forum.org/technical/download/TR−181 Issue−2.pdf
【非特許文献2】http://www.broadband−forum.org/cwmp/tr−181−2−4−0.html
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態の目的は、ホームネットワークにおいて発生する問題のために、よりプロアクティブな診断およびトラブルシューティングのアプローチを可能にする方法およびシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態によれば、リモートサーバにおいてホームネットワークの問題を分析するための方法が提供される。方法は、インターネットを通してホームネットワークに接続されたリモートサーバにおいて実施される以下のステップを含む。第1に、周波数帯域をカバーする少なくとも1つのホームネットワーク性能パラメータの基準データが格納される。それらの基準データは、ホームネットワークの正常な挙動に対応し、たとえば、事前構成ステップの間に取得されてよい。次のステップにおいて、周波数帯域をカバーする少なくとも1つのホームネットワーク性能パラメータの測定データが、インターネットを通して、好ましくはアプリケーション層のリモート管理プロトコルを使用して、取得される。次に、問題を認定する認定データを決定するために、測定データが基準データと比較される。
【0006】
そのような方法を使用して、問題は、測定データに基づいて、リモートで検出され、分析されてよく、測定データもまたリモートで取得される。そのような方法の実施形態は、予防的な自動トラブルシューティングの方法を提供することができ、顧客が不満を訴える前ですら、問題を検出することを可能にする。
【0007】
好ましい一実施形態によれば、方法は、一連のホーム通信デバイス/技術で特に使用するために適用されてよい。そのようにして、最も一般的なホーム通信デバイス/技術の判断がされ得る。それらのホーム通信デバイス/技術について、1つまたは複数の関係のある周波数帯域、すなわち、2つ以上のホーム通信デバイスが動作することができる周波数帯域が決定される。基準データおよび測定データは次いで、それらの1つまたは複数の関係のある帯域をカバーする周波数帯域について、格納される/取得される。認定するデータの決定は、測定データが少なくとも所定の閾値分だけ基準データと異なる、測定データの影響された周波数帯域を決定することを含むことができる。方法は、認定データに基づいて、問題へのソリューションを推奨することをさらに含むことができ、とりわけ、影響された周波数帯域に基づいて、一連のホーム通信デバイスのうちのあるデバイスを、干渉問題を引き起こすデバイスとして指し示すことを含むことができる。
【0008】
好ましい一実施形態によれば、測定データは、リモート管理用のアプリケーション層プロトコル、たとえば、TR−069プロトコルを使用して取得される。TR−181は、TR−069のためのデバイスデータモデルを開示している。http://www.broadband−forum.org/technical/download/TR−181 Issue−2.pdfを参照されたい。この文書は、引用により本明細書に含まれている。また、http://www.broadband−forum.org/cwmp/tr−181−2−4−0.htmlで見出され得るデータモデルの定義も参照されたく、これは、セクション「device.upa.diagnostics」の中で、チャネル周波数応答(CFR)および信号対雑音比(SNR)などの、ネットワークパラメータのネットワーク測定データを取得するために、ポート管理テストの実行が指示され得ることを開示している。この開示もまた、引用により組み込まれている。
【0009】
好ましい一実施形態によれば、ホームネットワークは、ホームゲートウェイを通してインターネットに接続され、ネットワーク測定値は、ホームゲートウェイを通して取得される。ホームゲートウェイは、通常、少なくとも1つのホームネットワーク性能パラメータの測定データを取得するように構成されたTR−069使用可能デバイスである。しかしながら、リモートサーバは、ホームゲートウェイを用いる代わりに、ホームネットワークの通信デバイスと直接通信することもまたできることに留意されたい。
【0010】
ホームネットワーク性能パラメータは、通常、ホームネットワークの物理層のパラメータである。
【0011】
好ましい一実施形態によれば、少なくとも1つのホームネットワーク性能パラメータは、好ましくは周波数依存ベクトルの形で、以下のうちの少なくとも1つを含む:チャネル周波数応答(CFR)、信号対雑音比(SNR)、ビットエラーレート(BER)、巡回冗長検査(CRC)、再送信カウンタ、雑音レベル。サービスオペレータによって必要とされる情報のタイプに応じて、前記ホームネットワーク性能パラメータのうちの1つまたは複数が、リモートサーバの要求で測定されてよい。例示的な実施形態によれば、CFRパラメータは、それ自体で使用されても、またはSNRなどの雑音パラメータとの組合せで使用されてもよい。また、CFRパラメータは、BERおよび/またはCRCおよび/または再送信カウンタのパラメータと組み合わされてもよい。代替として、CFRパラメータは、ビット割り当てマッピングパラメータと組み合わされてもよい。
【0012】
好ましい一実施形態によれば、測定データの取得は、ホームネットワーク性能パラメータについての複数のベクトルを取得することを含む。各ベクトルは、一連の異なる周波数についての値を含む。
【0013】
本発明の別の態様によれば、リモートでホームネットワークの問題を分析するために構成されたシステムが提供される。システムは、周波数帯域をカバーする少なくとも1つのホームネットワーク性能パラメータの基準データを記憶するデータ記憶装置を含み、この基準データは、ホームネットワークの正常な挙動に対応する。システムはさらに、周波数帯域をカバーする少なくとも1つのホームネットワーク性能パラメータの測定データを、インターネットを通して要求し、受信するために構成されたデータコレクタを、リモートサーバにおいて含む。さらに、問題を認定する認定データを決定するために、測定データを基準データと比較するために構成されたプロセッサが提供される。
【0014】
データコレクタは、好ましくは、TR−069プロトコルなどのリモート管理アプリケーション層プロトコルを通して通信して、測定データを要求し、受信するように構成されている。
【0015】
さらに、システムは、認定データに基づいて、問題へのソリューションを推奨するように構成された推奨手段を含むことができる。
【0016】
好ましい一実施形態によれば、システムは、既定された一連のホーム通信デバイスのうちの1つまたは複数を含むホームネットワークでの使用のために構成されている。その既定された一連のホーム通信デバイスについて、1つまたは複数の関係のある周波数帯域が決定される。それらの関係のある周波数帯域は、通常、一連のホーム通信デバイスのうちの2つ以上のホーム通信デバイスがその中で動作する、周波数帯域に対応する。この実施形態において、データ記憶装置は、少なくとも1つまたは複数の関係のある帯域をカバーする周波数帯域についての基準データを記憶し、データコレクタは、少なくとも1つまたは複数の関係のある帯域をカバーする測定データを要求し、受信するように構成されている。プロセッサは次いで、好ましくは、測定データが少なくとも所定の閾値分だけ基準データと異なる、測定データの影響された周波数帯域を決定することによって、認定するデータを決定するように構成されている。推奨手段は、影響された周波数帯域に基づいて、一連のホーム通信デバイスのうちのあるデバイスを、干渉問題を引き起こすデバイスとして指し示すことによって、ソリューションを推奨するように構成されてよい。
【0017】
システムは、TR−069使用可能ホームゲートウェイを含むことができ、このホームゲートウェイは、少なくとも1つのホームネットワーク性能パラメータの測定データを求める要求を受信し、測定データを取得し、測定データを、インターネットを通してデータコレクタに送信するように構成されている。考え得る実施形態によれば、システムは、以下の技術のうちのいずれか1つを使用する、複数のホームネットワークをさらに含むことができる:G.hn、HomePlug、UPA、HomeGrid。ホームネットワークは、たとえば、同軸線および/または電話線および/または電力線を含むことができる。ホーム通信デバイスの典型的な例は、電力線アダプタである。
【0018】
データコレクタは、好ましくは、TR−069使用可能デバイスである。そのようなデバイスは、好適なTR−069要求メッセージを送信することによって、インターネットを通してホームネットワークの測定データを収集することを可能にすることになる。好ましくは、データコレクタは、好ましくは周波数依存ベクトルの形で、以下のうちの少なくとも1つを収集するように構成されている:チャネル周波数応答(CFR)、信号対雑音比(SNR)、ビットエラーレート(BER)、巡回冗長検査(CRC)、再送信カウンタ、雑音レベル。
【0019】
添付の図面が、現在のところ好ましい、非限定的な、本発明の方法、サーバ、およびシステムの例示的な実施形態を例証するために使用される。添付の図面と併用して読まれるとき、以下の詳細な説明から、本発明の特徴および目的の、上のおよび他の効果がより明らかとなり、本発明は、よりよく理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明のシステムの第1の実施形態を概略的に示す図である。
図2】本発明の方法の一実施形態を示す流れ図である。
図3A図1の実施形態の場合の関連したCFRを示す図である。
図3B図1の実施形態の場合の関連した電力線雑音を示す図である。
図4】本発明のシステムの第2の実施形態を概略的に示す図である。
図5A】干渉を伴わない例示的なCFRを概略的に示す図である。
図5B】干渉を伴う例示的なCFRを概略的に示す図である。
図6A】正常なビットローディングプロセスの(干渉を伴わない)場合の、サブキャリアごとに割り当てられたビットの数を示す概略的なグラフである。
図6B】実際のビットローディングプロセスの(干渉を伴う)場合の、サブキャリアごとに割り当てられたビットの数を示す概略的なグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明のシステムの第1の実施形態が、図1に示されている。ネットワークアーキテクチャは、インターネット6を通して、およびアクセスノード2を通して、ホームネットワーク3に接続されるリモートサーバ1を含む。ホームネットワーク3においては、ホームネットワークで使用される異なる技術のために、異なる周波数帯域が使用されてよい。現在、電力線ケーブル上でインハウスの高データレートアプリケーションにより要求されるブロードバンドデータ通信を可能にするための、異なる標準が利用可能である。今日、最も関係のある技術は、HomePlug、およびInternational Telecommunication Union (ITU)、G.hn標準であるが、以前のUPAアソシエーション(現在のHomeGrid)に基づいたいくつかの製品も依然存在する。異なる標準化および仕様のために、それらの技術は異なる周波数帯域を利用する。結果として、異なる技術に基づいたアダプタが、それらのそれぞれの周波数帯域において、同じネットワーク内または近傍領域において働いているときに、問題が起こり得る。オーバーラップする帯域における干渉は、著しい問題を引き起こすことがあり、好ましくはリモートで検出され、適時対処されるべきである。
【0022】
次に本発明の実施形態が、ホームネットワークで使用される技術のうちの特定の例を参照して例証されることになるが、当業者は、本発明が、同様のまたは異なる周波数範囲で動作する他の既存の技術または将来的な技術にもまた適用可能であることを理解するであろう。G.hn標準では、50MHzおよび100MHz帯域が、同軸線、電話線、および電力線に利用可能である。HomePlug仕様では、標準の世代(たとえば、HomePlug1、またはHomePlug AVもしくはHomePlug AV2など)に応じて、30MHzおよび100MHz帯域などの異なる周波数帯域が、HomePlug技術によってまた利用されてよい。UPAデバイスの場合、30MHzの帯域が、電力線通信のために使用されてよい。それらの周波数範囲を考慮すると、アダプタが互いに近傍で動作する場合に、干渉が起こり得ることが理解される。
【0023】
本発明の実施形態の基本概念は、ホームネットワークの複数技術の検出および干渉するデバイスのトラブルシューティングのための、ならびに/または、ホームネットワークの考え得る妨害者を識別するための、方法およびシステムを提案することである。とりわけ、本発明の実施形態は、G.hn/HomePlug/UPA/HomeGridの、ホームネットワーキング配備に関する干渉問題の診断およびトラブルシューティングに有益である。
【0024】
以下で示される例示的な実施形態において、電力線通信のホームネットワーク配備が検討されるが、当業者であれば、本発明が、同軸線または電話線などの他の通信線を使用するときにも同等に適用可能であることを理解する。
【0025】
図1の実施形態において、最初に、リモートサーバ1が、住宅用ゲートウェイ4を介して、異なるホームネットワーク性能パラメータの測定を開始するために使用される。矢印5を参照されたい。住宅用ゲートウェイ4は、ホームネットワークデバイスと通信し、ネットワーク性能パラメータデータを、要求に応じてリモートサーバ1に提供する。ホームネットワーク性能パラメータについて取得された測定データは、外界からの干渉を推定するために使用される。電力線アダプタの例では、たとえば、ホームネットワークの物理層の以下のネットワーク性能パラメータが取得されてよい:
− 平均減衰の形での、または周波数依存ベクトルの形でのチャネル周波数応答(CFR)、
− 平均減衰の形または周波数依存ベクトルの形での信号対雑音比(SNR)、
− テーブルの形でのビットエラーレート(BER)、または他のCRC、または再送信カウンタ、
− 平均減衰または周波数依存ベクトルの形での雑音レベル、
− テーブルの形でのビット割り当てマッピング。
【0026】
図3Aおよび図3Bは、CFRベクトルおよび電力線雑音ベクトルが、ホームネットワークにおける電力線アダプタから取得される、それぞれの例を示す。
【0027】
次に、ホームネットワークが複数の電力線アダプタを収容し、電力線アダプタのうちの1つのアダプタがHomePlug仕様に基づいて動作しており、一方でその他の電力線アダプタがG.hn標準仕様に基づいて動作していると仮定されることにする。この例において、異なる電力線アダプタは、図1に示されるように、同じホームネットワーク3に含まれていてよく、または図4に示されるように、異なる近接したホームネットワーク3に含まれていてもよい。図4の例において、たとえば、Net Cは、HomePlugアダプタを含むことができ、一方、Net AおよびNet Bは、G.hnアダプタを含むことができる。図1の例において、異なるアダプタが同じ電力線ネットワーク内(Net C)に位置していると仮定される場合、問題は、より深刻であり得ることに留意されたい。
【0028】
次に、本発明の方法の一実施形態が、図2を参照して示されることになる。第1の段階21において、少なくとも1つのホームネットワーク性能パラメータの測定データが、TR−069プロトコルなどの、リモート管理用のアプリケーション層プロトコルを使用することによって、ネットワークデバイスから収集される。収集され得るホームネットワーク性能パラメータの例は、上に列挙されている。本例では、最初に、周波数依存ベクトルとしてのCFRパラメータが、リモートサーバによって測定され、収集されたことを検討することにする。
【0029】
第2の段階22において、外界からの干渉が、収集された測定データに基づいて推定される。CFRパラメータが測定された本例では、関係のある周波数帯域、すなわち、異なる技術の周波数帯域のオーバーラップする領域に注目するために、周波数依存CFRベクトルがセグメント化されてよい。たとえば、30MHz帯域は、HomePlugデバイスとG.hnデバイスの両方において使用されており、その結果、この帯域に干渉が起こり得る。これは、100MHz周波数帯域についての、干渉を伴わない、および干渉を伴うCFRパラメータをそれぞれ示す、図5Aおよび図5Bに示されている。図5Bは、30MHz周波数帯域において干渉が発生していることを示す。図5Aおよび図5Bの例においては、わかりやすさのために、雑音のインパクトは考慮に入れられていない。しかしながら、当業者であれば、雑音が考慮に入れられてよいことを理解するであろう。
【0030】
次に、測定されたCFRデータを使用して、干渉問題を認定する認定データを決定するために使用され得るアルゴリズムの一例が説明されることになる。アルゴリズムは、測定されたCFRの、データベースに格納された基準CFRとの比較に基づく。周波数ごとに、測定されたCFRの平均電力レベルが計算され、基準電力レベルと比較されてよい。これは、影響された周波数帯域ABを検出するために、周波数ごとに繰り返される。考え得る実装形態によれば、測定された信号と基準信号との標準偏差が、周波数ごとに計算されてよい。利用可能な帯域全体が、既定された閾値を超えて影響されている場合、干渉は、外界からの電力線システムのためだけではないと判定されて、方法は、段階23に進む。利用可能な帯域全体のうちの一部が、比較的高い標準偏差を有している場合、干渉が検出されたと判定されて、方法は、段階23に進行する。
【0031】
上の例において、段階22の干渉推定は、CFRベクトルに基づいて行われた。次に、干渉推定が測定されたビット割り当てマッピングパラメータに基づく、別の例が与えられることになる。ホームネットワークに使用される各技術は、システムにおいて使用される各サブキャリアに、ビットを割り当てるビット割り当てアルゴリズムを使用している。ビット割り当てテーブルは、システムのメモリに保持され、必要であれば、再同期のために使用される。ホームネットワークにおけるビット割り当てマッピングパラメータの測定データを収集することによって、干渉は、以下のように検出されてよい。関係のある周波数帯域におけるサブキャリアごとに、「新しい」測定されたビット割り当てテーブルの変調レベルが、「古い」基準ビット割り当てテーブルと比較される。これは、図6Aおよび図6Bに示されている。
【0032】
特定のサブキャリアについて新しい測定されたレベルが、ビット割り当てテーブルの古い基準レベルと比較して、既定された閾値を超えたことにより影響されている場合、そのサブキャリアが影響されていると判定される。利用可能な帯域全体が閾値を超えて影響されている場合、干渉は、外界からの技術からだけではないと判定されて、方法は、段階23に進む。周波数帯域の一部が、既定された閾値を超えたことにより影響されていると判定された場合、干渉が検出され、方法は、段階23に進む。
【0033】
上のパラグラフでは、CFRベクトルまたはビット割り当てマッピングを使用した、2つの例が示されてきた。実際には、通常、干渉推定は、以下のパラメータまたはパラメータの組合せに基づいていてよい:
− チャネル周波数応答(CFR)それ自体、
− CFRとSNRとの組合せ、およびオプションで、ビット割り当てマッピング、またはBER、または別のCRC、または再送信カウンタとの組合せ、
− CFRと、ビット割り当てマッピング、またはBER、またはCRC、または再送信カウンタとの組合せ。
【0034】
段階23において、推奨がサービスオペレータに与えられる。この推奨は、顧客の不満を考慮したサービスオペレータの要求に応じて与えられてもよいが、顧客が不満を訴える前に、潜在的な警報の形で与えられてもまたよい。本発明の方法は、特定のサービスオペレータに対応したすべてのホームネットワークのために、リモートサーバにおいて継続的に実施されてよく、サービスオペレータは、検出されたあらゆる干渉問題について継続的に更新されてよい。推奨は次いで、外界からのデバイスを識別するために、またはデバイスをどのように再構成するかを決定するために、とりわけ、周波数帯域を影響されていない場所に変更するために、サービスオペレータによって使用されてよい。
【0035】
基準データは、リモートサーバによってアクセス可能なデータベースに格納される。基準データは、ホームネットワークが正常に機能している間に測定される、事前構成ステップの間に格納された決定版として格納されてよい。代替実施形態によれば、基準データは、オペレータネットワークに接続されたすべてのネットワークデバイス上で、ホームネットワーク性能パラメータの測定を実施することによって、継続的に更新されてもよい。
【0036】
ほとんどのホームネットワーク通信デバイスは、TR−069使用可能デバイスであるので、本発明の実施形態は、通常、エンドユーザのホームネットワークデバイスにおいて、いかなるハードウェア変更も要さないことになる。本発明のサーバの実施形態は、サービスオペレータの管理センター内で実装されてよく、より高度化されたモニタリングツールの一部として使用され得る。
【0037】
本発明の原理が、特定の実施形態に関連して上で詳述されてきたが、本説明は、例として行われたにすぎず、付属の特許請求の範囲によって決定される保護の範囲を限定するものとして行われたのではないことを理解されたい。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6A
図6B