(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
別体化され且つ分離可能な複数の装置からなる超音波診断システムに関しては、診断状況や検査者の嗜好等に応じて、それら複数の装置を物理的に離してセパレート状態で使用したいニーズと、複数の装置を物理的に連結してドッキング状態で使用したいニーズと、がある。それらのニーズを同時に満たす超音波診断システムの実現が期待される。
【0006】
上記のような超音波診断システムを実現できた場合、セパレート状態からドッキング状態への移行時及びドッキング状態からセパレート状態の移行時に個々の装置において適正な動作あるいは動作の安定性を保証する必要がある。状態変更に伴って一般にデータ処理条件や制御条件が変化するので、データ処理が不安定になったり、正常でない画像が表示されてしまったりする問題を回避することが望まれる。また、セパレート状態からドッキング状態への状態変更の場合、2つのユニットの距離が短くなればなるほど、電波受信時に飽和が生じ易くなり(これは例えばエラーレートの増大として現れる)、適正な無線通信を行えなくなるという問題が生じ得る。
【0007】
本発明の目的は、別体化された複数の装置からなる超音波診断システムにおいて、複数の装置の物理的な関係あるいはそれらの間での通信方式が変更されても、不安定又は不適正な動作が生じないようにすることにある。あるいは、本発明の目的は、セパレート状態からドッキング状態への状態遷移時に、動作上の問題が生じないようにすることにある。あるいは、本発明の目的は、セパレート状態及びドッキング状態を選択し得る、使い勝手の良好な超音波診断システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る超音波診断システムは、超音波診断のために機能する第1装置と、前記第1装置と共に前記超音波診断のために機能する第2装置と、を含み、前記第1装置と前記第2装置とが分離されたセパレート状態において、前記第1装置と前記第2装置とが無線通信方式により通信し、前記第1装置と前記第2装置とが連結されたドッキング状態において、前記第1装置と前記第2装置とが有線通信方式により通信し、前記セパレート状態から前記ドッキング状態への状態変化の過程においてドッキング直前を判定する直前判定手段が設けられ、前記第1装置は、前記ドッキング直前が判定された場合にその動作状態を通常動作状態から動作制限状態へ遷移させる第1制御手段を含み、前記第2装置は、前記ドッキング直前が判定された場合にその動作状態を通常動作状態から動作制限状態へ遷移させる第2制御手段を含む、ことを特徴とするものである。
【0009】
上記超音波診断システムは、セパレート状態及びドッキング状態の両状態で動作可能なシステムである。これにより、診断状況、検査者の嗜好その他に応じて適切な使用態様を選択し得る。セパレート状態からドッキング状態への状態変化の過程で、直前判定手段により、ドッキング直前が判定される。その判定に基づいて、第1装置及び第2装置において、状態変化に伴う問題を回避するための制御を実行することが可能である。例えば、ドッキング時点で無造作に通信方式を切り換えるならば、同期が不安定になったり、画像内容が不自然になってしまったりするが、ドッキング直前を判定し、それを契機として各装置の動作状態を一定の状態にしておけば、上記の問題を未然に回避することが可能となる。つまり、問題が生じないようにシステム動作を制限することが可能となる。セパレート状態からドッキング状態への状態変化の過程で、超音波送受信が継続しているとしても(リアルタイム動作中であっても)、実際のところ超音波検査は行われていないのが通常なので、それを考慮して、動作制限内容を定めるのが望ましい。例えば、ドッキング直前が判定された場合に、無線通信を停止させると共に、第1装置及び第2装置のそれぞれの動作をリアルタイム動作状態からフリーズ状態に遷移させるのが望ましい。その状態では、例えば、送信回路(及び受信回路)の動作が停止し、昇圧回路の動作も停止する。また、例えば、動画像表示が静止画像表示となる。
【0010】
セパレート状態は、一般に、2つの装置が物理的又は機械的に分離された状態であり、ドッキング状態は、一般に、2つの装置が物理的又は機械的に結合された状態である。ドッキング状態では、コネクタ接続により複数の通信ラインが接続される。それは事実上、ケーブル接続に相当するものである。望ましくは、第1装置は生体から見て近いフロントエンド装置であり、第2装置は生体から見て遠いバックエンド装置である。第1装置をプローブで構成し、第2装置を超音波診断装置本体で構成することも考えられる。
【0011】
直前判定手段は、ドッキング状態の直前を判定するものであり、その状態は事実上、2つの装置が空間的に近接した状態である。そのようなドッキング直前は、送信電波強度(距離連動型の場合)、受信電界強度、受信エラーレート等に基づいて判定することが可能であり、あるいは、近接センサ等の各種センサを利用して判定することが可能である。ドッキング状態の形成前に、2段階ではなく、3段階以上、動作条件が切り換えられてもよい。
【0012】
望ましくは、前記第1装置は送信回路を含み、前記第1制御手段は前記動作制限状態への遷移時に前記送信回路の動作を停止させる。この構成によれば省電力を図れる。望ましくは、前記第1装置は昇圧コンバータを備えた電源回路を含み、前記第1制御手段は前記動作制限状態への遷移時に前記昇圧コンバータの動作を停止させる。この構成によれば省電力の他、安全性を高められる。望ましくは、前記第2制御手段は前記動作制限状態への遷移時に動画像表示から静止画像表示に切り替える。この構成によれば、不自然な画像が表示されてしまい、検査者や被検者において不安感が生じることを防止できる。
【0013】
望ましくは、前記直前判定手段は、前記第1装置と前記第2装置とが近接関係になった場合に前記ドッキング直前を判定する。望ましくは、前記直前判定手段は、前記第1装置と前記第2装置との間の無線通信状態に基づいて前記ドッキング直前を判定する。無線通信において一般的に取得可能な情報を利用してドッキング直前を判定すれば、システム構成を簡略化できる。
【0014】
望ましくは、前記直前判定手段は、前記第1装置に設けられ、前記無線通信状態に基づいて前記ドッキング直前を判定する第1直前判定手段と、前記第2装置に設けられ、前記無線通信状態に基づいて前記ドッキング直前を判定する第2直前判定手段と、を含み、前記第1制御手段は、前記第1直前判定手段が前記ドッキング直前を判定した場合に前記第1装置の動作状態を動作制限状態へ遷移させ、前記第2制御手段は、前記第2直前判定手段が前記ドッキング直前を判定した場合に前記第2装置の動作状態を動作制限状態へ遷移させる。第1装置と第2装置とが非常に近接した場合、無線通信が不安定となりあるいはそれが成立しなくなる可能性がある。受信信号の飽和という現象が生じるからである。そこで、第1装置及び第2装置のそれぞれに直前判定手段を設けておき、ドッキング直前を個々の装置で確実に判定するのが望ましい。
【0015】
望ましくは、前記第1制御手段及び前記第2制御手段は、前記動作制限状態への遷移後且つ前記ドッキング状態の形成後に、前記有線通信方式による通信を再開させる。ドッキング状態が成立した時点から装置間での有線通信の確立制御を開始させれば、使用再開タイミングを早められる。ドッキング状態の成立後、直ちに自動的に通常動作状態に復帰させてもよいが、ドッキング状態の成立後にシステム使用終了となる事態も想定され得る。よって、ユーザーの確認入力をまって通常動作状態へ復帰させるのが望ましい。
【0016】
望ましくは、前記ドッキング状態から前記セパレート状態への状態変化を分離として判定する分離判定手段が設けられ、前記第1制御手段は、前記分離が判定された場合に前記第1装置の動作状態を通常動作状態から動作制限状態へ遷移させ、前記第2制御手段は、前記分離が判定された場合に前記第2装置の動作状態を通常動作状態から動作制限状態へ遷移させる。この構成によれば、ドッキング状態からセパレート状態への状態遷移があった場合に、それを分離(切断)として認識し、それをトリガとして、両装置の動作状態を動作制限状態に遷移させることができる。その後、望ましくは、ユーザーによる確認入力をまって動作状態を通常動作状態に復帰させるのが望ましい。
【0017】
望ましくは、前記セパレート状態において、前記第1装置と前記第2装置とが第1無線通信方式及び第2無線通信方式により通信する。望ましくは、前記第1無線通信方式は前記第2無線通信方式よりも高速であり、前記第1装置は送信回路及び受信回路を備えたフロントエンド装置であり、前記第2装置は入力器及び表示器を備えたバックエンド装置であり、前記フロントエンド装置から前記バックエンド装置へのデータ伝送が前記第1無線通信方式で行われ、前記バックエンド装置から前記フロントエンド装置への制御信号伝送が前記第2無線通信方式で行われる。
【0018】
望ましくは、前記表示器には、前記第1無線通信方式及び前記第2無線通信方式の両方で通信が確立している場合に単一の通信成立シンボルが表示され、前記通信成立シンボルは、前記第1無線通信方式及び前記第2無線通信方式の片方で通信が確立している場合及び両方とも通信が確立していない場合には表示されない。2つの無線通信方式を併用する場合、一般に、両方の無線通信方式での無線通信が成立してはじめてシステムとして動作が可能であり、片方の無線通信方式だけが成立しているだけではシステムを動作させることはできない。検査者においては、システムが動作可能か否かを知りたいのが通常であり、個々の無線通信状態を個別的に承知する必要はない。そこで、2つの無線通信方式の両方で通信が確立している場合にそれを表す単一のシンボル(通信インジケータ、通信アイコン)を表示すれば足りる。寧ろその方が検査者をしての混乱を防止できる。
【0019】
本発明に係る方法は、第1装置と第2装置とを備える超音波診断システムの制御方法であって、前記第1装置と前記第2装置とが分離されたセパレート状態において、前記第1装置と前記第2装置とが無線通信方式により通信し、前記第1装置と前記第2装置とが連結されたドッキング状態において、前記第1装置と前記第2装置とが有線通信方式により通信し、当該制御方法は、前記セパレート状態から前記ドッキング状態への状態変化の過程においてドッキング直前を判定する工程と、前記ドッキング直前が判定された場合に前記第1装置及び前記第2装置の動作状態をフリーズ状態へ遷移させる工程と、を含むことを特徴とするものである。この方法は、制御プログラムによって実現することが可能である。その制御プログラムは装置内の記憶媒体又は可搬型記憶媒体に格納され得る他、ネットワークを介して転送され得る。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、分離可能な複数の装置からなる超音波診断システムにおいて、複数の装置の物理的又は電気的な関係が変更されても、不安定又は不適正な動作が生じないようにできる。あるいは、セパレート状態からドッキング状態への状態遷移時に、適正な動作を確保できる。あるいは、セパレート状態及びドッキング状態を選択し得る、使い勝手の良好な超音波診断システムを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
(1)超音波診断システム
図1には、本発明に係る超音波診断システムの概略的構成が示されている。超音波診断システム10は、病院等の医療機関で使用される医療機器であり、被検者(生体)に対して超音波診断を行うためのものである。超音波診断システム10は、大別して、フロントエンド(FE)装置12、バックエンド(BE)装置14、及び、プローブ16により構成されている。FE装置12は生体から見て近い装置であり、BE装置14は生体から見て遠い装置である。FE装置12及びBE装置14は、別体化されており、それぞれが可搬型装置を構成している。FE装置12及びBE装置14は、それらが離れたセパレート状態において動作可能であり、また、それらが結合したドッキング状態で動作可能である。なお、
図1はセパレート状態を示している。
【0023】
プローブ16は、生体表面に当接された状態において超音波の送受波を行う送受波器である。プローブ16は、直線状又は円弧状に配列された複数の振動素子からなる1Dアレイ振動子を備えている。アレイ振動子によって超音波ビームが形成され、それが繰り返し電子走査される。電子走査ごとに生体内にビーム走査面が形成される。電子走査方式として、電子リニア走査方式、電子セクタ走査方式、等が知られている。1Dアレイ振動子に代えて三次元エコーデータ取込空間を形成可能な2Dアレイ振動子を設けることも可能である。
図1に示す構成例では、プローブ16はケーブル28を介してFE装置12に接続されている。プローブ16が無線通信によってFE装置12に接続されてもよい。その場合にはワイヤレスプローブが利用される。複数のプローブがFE装置12に接続された状態において、それらの中から実際に使用するプローブ16が選択されてもよい。体腔内に挿入されるプローブ16がFE装置12に接続されてもよい。
【0024】
FE装置12とBE装置14は、
図1に示すセパレート状態において、無線通信方式により電気的に相互に接続される。本実施形態では、それらの装置は第1無線通信方式及び第2無線通信方式により相互に接続されている。
図1においては、第1無線通信方式による無線通信経路18及び第2無線通信方式による無線通信経路20が明示されている。 第1無線通信方式は第2無線通信方式に比べて高速であり、本実施形態では、その方式を利用してFE装置12からBE装置14へ超音波受信データが伝送される。すなわち、第1無線通信方式がデータ伝送用として利用されている。第2無線通信方式は第1無線伝送方式よりも低速、簡易な通信方式であり、本実施形態では、その方式を利用してBE装置14からFE装置12へ制御信号が伝送される。すなわち、第2無線通信方式が制御用として利用されている。
【0025】
FE装置12とBE装置14とが物理的に結合されたドッキング状態においては、FE装置12とBE装置14とが有線通信方式により電気的に接続される。上記2つの無線通信方式に比べて、有線通信方式はかなり高速である。
図1においては、2つの装置間に有線通信経路22が示されている。電源経路26は、ドッキング状態において、FE装置12からBE装置14内へ直流電力を供給するためのものである。その電力がBE装置14の稼働で用いられ、また、BE装置14内のバッテリの充電で用いられる。
【0026】
符号24はACアダプタ(AC/DCコンバータ)から供給されるDC電源ラインを示している。ACアダプタは必要に応じてFE装置12に接続される。FE装置12もバッテリを内蔵しており、バッテリを電源としつつ稼働することが可能である。FE装置12は後に示すようにボックス状の形態を有している。FE装置12の構成及び動作については後に詳述する。
【0027】
一方、BE装置14は、本実施形態においてタブレット形態あるいは平板状の形態を有している。それは基本的には一般的なタブレットコンピュータと同様の構成を備えている。もっとも、BE装置14には、超音波診断用の各種の専用ソフトウエアが搭載されている。それには、動作制御プログラム、画像処理プログラム、等が含まれる。BE装置14は、タッチセンサ付きの表示パネル30を有している。それは入力器及び表示器を兼ねたユーザーインターフェイスとして機能する。
図1においては、表示パネル30上に超音波画像としてのBモード断層画像が表示されている。ユーザーは、表示パネル30上に表示されたアイコン群を利用して各種の入力を行う。表示パネル30上において、スライド操作や拡大操作等を行うことも可能である。
【0028】
診断用途、検査者の嗜好等に応じて、セパレート状態及びドッキング状態の内で選択された使用態様で、超音波診断システム10を動作させることが可能である。よって、使い勝手の良好な超音波診断システムを提供できる。
【0029】
状態変更に際して超音波診断システム10の動作が不安定あるいは不適正にならないように、本実施形態では、状態変更に際して超音波診断システム10を強制的にフリーズ状態とする制御が実行される。具体的には、セパレート状態からドッキング状態へ移行する過程で、両装置間の距離を指標する電波強度あるいは受信状態に基づいて、FE装置12及びBE装置14のそれぞれにおいてドッキング直前が判定され、その判定に従って個々の装置12,14において動作状態をフリーズ状態へ遷移させる制御が実行される。ドッキング状態の形成後かつ検査者によるフリーズ解除の操作後に、それらの装置12,14のフリーズ状態が解除される。ちなみに、ドッキング状態からセパレート状態へ移行する過程では、セパレート状態になったことが抜線検出その他の手法によりFE装置12及びBE装置14で個別的に検出され、それらがフリーズ状態となる。その後のフリーズ解除の操作後に、それらの装置12,14のフリーズ状態が解除される。
【0030】
なお、BE装置14は、病院内LANに対して無線通信方式及び有線通信方式によって別途接続され得る。それらの通信経路については図示省略されている。BE装置14(又はFE装置12)が、超音波診断のために機能する他の専用装置(例えばリモートコントローラ)に無線通信方式又は有線通信方式により、別途接続されてもよい。
【0031】
図2にはセパレート状態が示されている。FE装置12は、例えば机の上に載置されている。FE装置12は、差込口(スロット)を有するホルダ34を有している。ホルダ34はヒンジ機構を有しており、水平軸周りにおいて回転可能である。FE装置12の特定側面にはプローブケーブルの端部に設けられているコネクタが装着されている。FE装置12の内部にプローブ等を収容する部屋を形成してもよい。そのような構成によれば、超音波診断システムの運搬時において便利であり、またプローブを保護できる。
図2において、BE装置14は、FE装置12から分離されており、無線通信を行える限りにおいて、BE装置14をFE装置12から更に大きく離すことが可能である。
【0032】
図3にはドッキング状態が示されている。ホルダ34の差込口に対してBE装置14の下端部が差し込まれている。その差込状態において、FE装置12とBE装置14とが有線接続状態となる。つまり、両者が有線LANで接続され、また両者が有線電源ラインで接続される。ドッキング状態においては、BE装置14の角度を任意に可変して、その姿勢を変えることが可能である。BE装置14を完全にその背面側(FE装置12の上面側)に倒すことも可能である。
【0033】
(2)フロントエンド装置
図4はFE装置12のブロック図である。図中の個々のブロックは、プロセッサ、電子回路等のハードウエアによって構成される。送信信号生成回路38は、ブローブ接続回路40を介して、プローブ内の複数の振動素子に対して並列的に複数の送信信号を供給する回路である。この供給によりプローブにおいて送信ビームが形成される。生体内からの反射波が複数の振動素子で受波されると、それらから複数の受信信号が出力され、複数の受信信号がプローブ接続回路40を介して受信信号処理回路42に入力される。受信信号処理回路42は、複数のプリアンプ、複数のアンプ、複数のA/D変換器、等を備える。受信信号処理回路42から出力された複数のデジタル受信信号が受信ビームフォーマ46に送られる。受信ビームフォーマ46は、複数のデジタル受信信号に対して整相加算処理を適用し、整相加算後の信号としてビームデータを出力する。そのビームデータは受信ビームに対応する深さ方向に並ぶ複数のエコーデータからなるものである。なお、1つの電子走査で得られた複数のビームデータによって受信フレームデータが構成される。
【0034】
送受信コントローラ44は、BE装置から送られてきた送受信制御データに基づいて、送信信号生成及び受信信号処理を制御するものである。ビームプロセッサ50は、時系列順で入力される個々のビームデータに対して、検波処理、対数変換処理、相関処理等の各種のデータ処理を施す回路である。制御部52は、FE装置12の全体動作を制御している。この他、ビームプロセッサ50から順次送られてくるビームデータをBE装置へ有線伝送又は無線伝送するための制御を実行している。本実施形態では、制御部52は、有線通信器としても機能している。無線通信器54は第1無線通信方式で通信を行うためのモジュールである。無線通信器56は第2無線通信方式で通信を行うためのモジュールである。符号18は第1無線通信方式に従う無線通信経路を示しており、符号20は第2無線通信方式に従う無線通信経路を示している。それぞれは双方向伝送経路であるが、本実施形態では、前者を利用してFE装置12からBE装置へ大量の受信データが伝送され、後者を利用してBE装置からFE装置12へ制御信号が伝送される。符号64は有線通信用端子を示しており、そこには有線通信経路22が接続される。符号66は電源用端子を示しており、そこには電源ライン26が接続される。電源ライン26は上記のようにFE装置12からBE装置へ直流電力を供給するためのラインである。
【0035】
バッテリ60は例えばリチウムイオン型のバッテリであり、そこにおける充放電は電源コントローラ58によって制御される。バッテリ駆動時において、バッテリ60からの電力が電源コントローラ58を介して、FE装置12内の各回路へ供給される。符号62はACアダプタ接続時における電源ラインを示している。ACアダプタ接続時には電源コントローラ58の作用によって、外部電力がFE装置12内の各回路へ供給される。その際、バッテリ60の充電量が100%未満であれば、外部電力を用いてバッテリ60が充電される。
【0036】
超音波診断動作時(送受信時)において、FE装置12は、BE装置側での制御に従い、プローブに対する複数の送信信号の供給と、その後に得られる複数の受信信号の処理と、を繰り返し実行する。これにより得られる時系列順のビームデータが、セパレート状態では無線通信により、ドッキング状態では有線通信により、BE装置へ順次伝送される。その際においては個々のビームデータが複数のパケットに変換され、いわゆるパケット伝送方式により、個々のビームデータが伝送される。
【0037】
なお、動作モードとしては、Bモードの他、CFMモード、Mモード、Dモード(PWモード、CWモード)等の各種のモードが知られている。高調波イメージングや弾性情報イメージング用の送受信処理が実行されてもよい。
図1においては生体信号入力回路等の回路が図示省略されている。
【0038】
(3)バックエンド装置
図5はBE装置14のブロック図である。図中、各ブロックはプロセッサ、回路、メモリ等のハードウエアを示している。CPUブロック68は、CPU70、内部メモリ72等を備えている。内部メモリ72はワーキングメモリ、あるいは、キャッシュメモリとして機能する。CPUブロック68に接続された外部メモリ80には、OS、各種の制御プログラム、各種の処理プログラム等が格納されている。後者にはスキャンコンバート処理プログラムが含まれる。その外部メモリ80は、リングバッファ構造を有するシネメモリとしても機能する。内部メモリ72上にシネメモリが構成されてもよい。
【0039】
CPUブロック68は、複数のビームデータに基づくスキャンコンバート処理により表示フレームデータを生成する。それは超音波画像(例えば断層画像)を構成するものである。その処理が順次実行され、動画像が生成される。CPUブロック68は、超音波画像表示のための各種の処理をビームデータ又は画像に施す。その他、BE装置14の動作を制御し、また、超音波診断システム全体を制御している。
【0040】
タッチパネルモニタ(表示パネル)78は、入力デバイス及び表示デバイスとして機能する。具体的には、タッチパネルモニタ78は、液晶表示器及びタッチセンサを備え、ユーザーインターフェイスとして機能する。タッチパネルモニタ78には超音波画像を含む表示画像が表示され、また、操作用の各種ボタン(アイコン)が表示される。
【0041】
無線通信器74は、第1無線通信方式に従って無線通信を行うためのモジュールである。その際の無線通信経路が符号18で示されている。無線通信器76は、第2無線通信方式に従って無線通信を行うためのモジュールである。その際の無線通信経路が符号20で示されている。CPUブロック68は有線通信方式に従って有線通信を行う機能も備えている。ドッキング状態においては、有線通信端子92に有線通信ラインが接続される。また、電源端子94に電源ライン26が接続される。
【0042】
CPUブロック68には、I/F回路82を介して、複数の検出器84〜90が接続されている。それには照度センサ、近接センサ、温度センサ等が含まれてもよい。GPS等のモジュールが接続されてもよい。I/F回路82はセンサコントローラとして機能する。
【0043】
バッテリ102はリチウムセラミック型のバッテリであり、その充放電は電源コントローラ100によって制御されている。電源コントローラ100は、バッテリ動作時においてバッテリ102からの電力をBE装置14内の各回路に供給する。非バッテリ動作時において、FE装置から供給された電力、又は、ACアダプタから供給された電力をBE装置14内の各回路に供給する。符号104はACアダプタを経由した電源ラインを示している。
【0044】
BE装置14は、FE装置を制御しつつ、FE装置から送られてくるビームデータを順次処理して超音波画像を生成し、それをタッチパネルモニタ78に表示する。その際においては超音波画像と共に操作用グラフィック画像も表示される。通常のリアルタイム動作においては、BE装置14とFE装置とが無線又は有線で電気的に接続され、両者の同期が図られつつ、超音波診断動作が継続的に実行される。フリーズ状態においては、BE装置14において送信信号生成回路、受信信号生成回路の動作が停止され、電源コントローラ100における昇圧回路の動作も停止する。BE装置においては、フリーズ時点で静止画像表示となり、その内容が維持される。BE装置に外部表示器を接続できるように構成してもよい。
【0045】
(4)通信方式
図6には、ドッキング状態118及びセパレート状態120で利用される通信方式が整理されている。符号110は第1無線通信方式を示しており、符号112は第2無線通信方式を示している。符号114は有線通信方式を示している。符号116は無線通信方式の内容を示している。ドッキング状態118においては、有線通信が選択され、FE装置及びBE装置において、第1無線通信器及び第2無線通信器は動作休止状態となる。これにより省電力が図られる。一方、セパレート状態120においては、無線通信が選択され、FE装置及びBE装置において、第1無線通信器及び第2無線通信器が動作する。その際、有線通信系統は動作休止状態となる。なお、第1無線通信方式110は第2無線通信方式112に比べて高速である。逆に言えば、第2無線通信方式112は第1無線通信方式110に比べて低速であるが、簡易かつ安価であり、消費電力が低い。有線通信方式としてはEthernet(登録商標)上のTCP/IPプロトコルがあげられる。第1有線通信方式としてはIEEE802.11があげられ、第2無線通信方式としてはIEEE802.15.1があげられる。それらは例示であり、他の通信方式を利用可能である。いずれにしてもセキュアな通信方式を利用するのが望ましい。
【0046】
本実施形態において、第2無線通信方式112に従う無線通信器は、受信強度(つまり距離)に応じて送信パワーを自動的に可変する機能を備えている。つまり、BE装置へFE装置が近接した場合に両装置それぞれ送信パワーを下げる制御が自動的に実行される。よって、設定されている送信パワーから、両装置が近接したことを判定することが可能である。それに代えて、受信強度、受信エラーレート等から2つの装置が近接したことを判定することも可能である。更には近接センサを利用することも可能である。
【0047】
(5)動作説明
図7には、セパレート状態からドッキング状態へ移行する過程での基本動作例が示されている。S10においては、ドッキング直前つまり近接が判定される。本実施形態では、FE装置内及びBE装置内の第2無線通信器がそれぞれ電界強度に基づいて送信電力を可変させる制御を行っており、S10では、個々の第2無線通信器の動作条件を参照することにより、具体的には、レジスタ中の送信パワー(電力値)を参照することにより、その送信パワーの変化をもって近接が判定されている。本実施形態では、両装置において同時に近接が判定されているが、一方の装置で近接を判定し、その結果を他方の装置へ渡すようにしてもよい。もっとも、かなり近接した状態においては受波信号の飽和により無線通信を正常に行えなくなる可能性もあるので、FE装置及びBE装置において個別的に近接を判定した方が確実である。
【0048】
S12及びS14は並列的に実行される。S12では、FE装置がフリーズ状態となり、同時に、無線通信が停止される。フリーズ状態は、動作制限状態あるいは部分的休止状態である。具体的には、送信回路及び昇圧回路の動作が止められる。無線通信の停止制御により、FE装置内の2つの無線通信器の動作も止められる。それらの制御により無駄な電力消費が抑制され、省電力が図られる。S12では、必要に応じて、フリーズ状態を形成するための他の制御が実行される。ドッキング状態で必要となる動作(例えば有線通信)を準備するようにしてもよい。一方、S14では、BE装置もフリーズ状態となり、同時に、無線通信が停止される。具体的には、フリーズ時点でシネメモリへの新たな画像の格納や新たな画像処理が停止される。その結果、検査者が何らかの画像操作を行わない限り、フリーズ時点での表示画像が静止画像としてそのまま表示され続ける。フリーズ時点では、BE装置内の2つの無線通信器の動作も止められる。これにより省電力が図られる。S14では、必要に応じて、フリーズ状態を形成するための他の制御が実行される。また必要に応じて、ドッキング状態での動作(例えば有線通信)の準備を開始するようにしてもよい。
【0049】
S16においては、ドッキング状態が成立したか否かが判断される。例えば、各装置においてコネクタ接続を検知することにより、各装置において個別的にドッキング状態が判定される。ドッキング状態の成立後、S18において、FE装置とBE装置との間で有線通信が自動的に確立される。それらの装置は既にペアリングされており、認証用入力が求められることなく、自動的に有線通信が確立する。つまり、自動的に相互の機器認証が完了する。もっとも、その段階で何らかのユーザー認証を行うようにしてもよい。フリーズ解除操作を待ってから有線通信を確立するようにしてもよい。
【0050】
S18の後又はS18と並行して、S20において、検査者のフリーズ解除操作があったか否かが判断される。その操作があった場合、S22及びS24において、FE装置及びBE装置のフリーズ状態が解除され、つまり、それらの装置が通常のリアルタイム動作状態に復帰する。S22及びS24は並列的に実行される。個々の工程について具体的に説明すると、S22では、FE装置において、超音波送信が再開される。つまり、昇圧回路及び送信回路の動作が再開される。この他、フリーズ解除に伴う必要な制御が実行される。一方、S24では、BE装置において、スキャンコンバート処理、シネメモリへの画像格納、そこから読み出された画像処理、等が再開され、それに伴って動画像表示が再開される。この他、フリーズ解除に伴う必要な制御が実行される。
【0051】
FE装置とBE装置とが有線接続されている状態では、それらの装置間において無線通信は行われない。つまり個々の無線通信器は休止状態におかれる。これにより省電力が図られている。なお、フリーズ解除の入力が可能な状態になった時点で、BE装置の表示画面にその入力を促すメッセージが表示される。表示画面に表示されるアイコン群の中にはフリーズ解除用のアイコンが含まれる。
【0052】
以上のように、本実施形態によれば、セパレート状態からドッキング状態へ移行する過程において、実際にドッキングがなされる前に、具体的にはその直前に、FE装置とBE装置の空間的な関係として近接が判定され、それをトリガとして各装置が自動的にフリーズ状態に遷移する。これにより、近接状態で生じる無線通信エラーによる問題、状態変化に伴うシステム動作の不安定という問題、等を未然に回避することが可能である。また、近接時点で昇圧回路(昇圧コンバータ)の動作を停止させるので、安全性を高められる。ドッキングを行いたい場合、通常、超音波送受信が行われていても、超音波検査それ自体は実行されていない場合が通常であるので、上記のような制御を行っても、検査者において負担不便が生じることはない。寧ろ検査者にとってはフリーズ操作を省略できるから便利である。
【0053】
なお、近接の判定前に既に両装置がフリーズ状態になっているならば、近接判定時点においてそのフリーズ状態が維持されることになる。その場合でも、近接判定時点で、無線通信は停止され、また、その他の必要な制御が実行される。
【0054】
図8には近接判定方法の第1例が示されている。FE装置及びBE装置が有する第2無線通信モジュール122(無線通信器56,76)は、電界強度を検出する機能、電界強度の高まりに応じて送信電力を自動的に引き下げる機能、エラーレートを検出する機能、等を備えている。レジスタ124には、受信電界強度、送信電力、エラーレート等の通信状態を示すステータスデータが格納されている。判定器128は、レジスタ124に格納されたデータを通信状態信号126として参照し、それに基づいて近接を判定する。例えば、送信電力が閾値以下になった場合に近接を判定する手法、受信電界強度が閾値以上になった場合に近接を判定する手法、エラーレートが閾値以上になった場合に近接を判定する手法、等を選択的に採用することが可能である。FE装置及びBE装置のそれぞれにおいて個別的に近接を判定するのが望ましい。判定器128は、FE装置においては例えば制御部の機能として実現され、BE装置においては例えばCPUブロックの機能として実現される。
【0055】
図9には、近接判定方法の第2例が示されている。FE装置及びBE装置にはそれぞれ距離センサ130が設けられる。距離センサは装置間の距離を検出するものである。例えば距離センサはドッキング用コネクタ付近に設置される。距離センサ130の出力信号が閾値以下になった場合(装置間距離が一定値以下になった場合)、判定器132において近接が判定される。判定器132は、上記同様に、FE装置においては例えば制御部の機能として実現され、BE装置においては例えばCPUブロックの機能として実現される。距離センサ130として、光学的センサ、超音波センサ、磁気センサ等を用いることが可能である。
【0056】
図10には、セパレート状態からドッキング状態へ移行する過程での他の動作例が示されている。なお、
図10に示す工程の内、
図7に示した工程と同様の工程には同一符号を付し、その説明を省略する。
図7に示した基本動作例では、近接判定後でドッキング判定前の状態において、FE装置とBE装置が相対的に離れる事態(近接が解消されてしまう事態)が想定されていなかったが、
図10に示す動作例ではそのような事態に対する手当てがなされている。
【0057】
図10のS26において、ドッキング判定前の状態において、離間が判定された場合、つまり近接状態の解消が判定された場合、S28において、検査者によるフリーズ解除操作があったか否かが判断される。その操作があった場合、S30において、FE装置とBE装置との間で自動的に無線通信が確立され、これにより無線通信が再開される。その後又はそれと同時に、両装置においてフリーズ状態が解除され、通常の操作状態となる。その後、処理がS10に復帰する。S28でフリーズ解除操作があったことが判断される前に、再び近接状態が判定されたならば、S10以降の工程を実行させればよい。
図10に示す制御を行う場合には、無線通信状態の変化を利用した近接判定手法ではなく、装置間距離の検出結果を利用する近接判定手法を利用するのが望ましい。
【0058】
図11には、ドッキング状態からセパレート状態へ移行した場合における動作例が示されている。S40において切断(セパレート状態)が判定される。例えば、FE装置のコネクタとBE装置のコネクタの物理的且つ電気的な分離をもって切断が判定される。その判定により、S42及びS44において、FE装置及びBE装置では有線通信が停止され、同時に、それらがフリーズ状態となる。S46では、フリーズ解除操作があったか否かが判定され、その操作が確認されたならば、S48及びS50において、2つの装置間で無線通信が確立され、これによって無線通信が再開される。その後又はそれと同時に、FE装置及びBE装置においてフリーズ状態が解除され、通常のリアルタイム動作状態が再開される。
【0059】
この
図11に示した動作例によれば、セパレート状態になる前にそれを検知して状態変化に備えることはできないものの、切断を検知して、個々の装置を確実にフリーズ状態にすることが可能である。そのような遷移時においては、超音波検査を行っていないのが通常であるために、自動的にフリーズ状態を形成しても格別問題が生じない。寧ろユーザーにとって便利かつ安全である。なお、セパレート直前の状態を検知するセンサを設けて、そのセンサの出力をトリガとして、セパレート状態形成前からS42及びS44の工程を実行させてもよい。
【0060】
図12には、ドッキング状態からセパレート状態へ移行した場合における他の動作例が示されている。
図12に示す工程中、
図11に示した工程と同様の工程には同一符号を付し、その説明を省略する。この動作例では、両装置がフリーズ状態となった後、S52において、自動的に無線通信が確立されている。例えば、両装置が一定距離離れた時点をもってS52を実行させるのが望ましい。あるいは、切断直後から無線通信の確立を始動するようにしてもよい。無線通信確立後、S54及びS56において両装置においてフリーズ状態が解除される。つまり、切断後、自動的に通常動作状態に復帰する。このような制御によれば、検査者によるフリーズ解除操作を不要にできる。もっとも、検査者の確認を待ってから通常動作状態へ復帰させる方が妥当な場合もあるので、手動復帰及び自動復帰の内で所望の方式をプリセットできるようにしておいてもよい。
【0061】
可搬型のFE装置と可搬型のBE装置とからなる超音波診断システムにおいては、診断状況その他に応じて、セパレート状態からドッキング状態への状態遷移、及び、ドッキング状態からセパレート状態への状態遷移、が少なからず生じ得る。その際において上記実施形態の動作によれば検査者における混乱やシステム動作の不安定といった問題を未然に回避することが可能である。よって、使い勝手の良い超音波診断システムを提供できる。
【0062】
(6)その他の構成
本実施形態においては、セパレート状態では、FE装置とBE装置との間が2系統の無線通信経路で接続される。2系統の無線通信の両方が成立してはじめてシステムとして動作することが可能である。そこで、無線状態表示においては、2系統の無線通信の個々の状態を個別的に表示するのではなく、システム動作が可能か否かの観点から、アンド条件をもって無線状態を表示するのが望ましい。例えば、
図13に示されるように、2つの無線通信器から2つの無線状態信号を得たシンボル表示制御器138において、2つの無線状態信号がいずれも通信可能を示す場合にだけ、無線状態OKを示すシンボルを画面上に表示させるのが望ましい。その例が
図14に示されている。BE装置14の表示画面30には、超音波画像の近傍に無線状態を示すシンボル140が表示されている。そのシンボル140は、2系統の無線通信がいずれも成立している場合にのみ表示され、少なくとも一方の無線通信が不成立の場合にはそのシンボル140は表示されない。シンボル140の表示に際しては、電界強度の大小を表現可能なものを表示してもよいが、本システムにおいてはシステム動作可能か否かが検査者の関心事であるので、段階的な表示をあえて行わずに、無線通信OKか否かをシンボル表示の有無として表示している。
【0063】
図15には他の実施形態が示されている。超音波診断システムは、FE装置142、BE装置144、プローブ146を含む。FE装置142とBE装置144は図示の例では2系統の無線通信で接続されている(符号148参照)。プローブ146とFE装置142は無線通信150で接続されている。その場合、2系統の無線通信を利用してもよい。この構成を採用する場合、プローブ146として、送受信回路を内蔵したワイヤレスプローブが使用される。プローブ146とFE装置142とを無線接続の他、ケーブル接続(電気的ドッキング)できるようにしてもよい。その場合、上記の実施形態において説明した技術をプローブ146とFE装置142との間に適用するようにしてもよい。
【課題】フロントエンド(FE)装置とバックエンド(BE)装置とを含む超音波診断システムにおいて、セパレート状態からドッキング状態への遷移過程で、システム動作が不安定となることを防止する。
【解決手段】セパレート状態では、FE装置12とBE装置14とが2つの無線通信経路18,20を用いて通信する。無線通信状態の監視により、ドッキング状態の直前において、両装置においてそれぞれ近接が判定される。すると、両装置間での2つの無線通信が停止され、かつ、両装置がフリーズ状態(動作制限状態)となる。その後、ドッキング状態が形成されると、両装置間で有線通信が確立される。その後、フリーズ解除入力があると、両装置が通常動作状態に復帰する。ドッキング状態からセパレート状態へ状態変化があった場合にも両装置はいったんフリーズ状態となる。