特許第5934818号(P5934818)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5934818
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月15日
(54)【発明の名称】パドルホイール流量計及びその検知方法
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/075 20060101AFI20160602BHJP
   G01F 1/78 20060101ALI20160602BHJP
   G01P 5/06 20060101ALI20160602BHJP
   G01P 13/00 20060101ALI20160602BHJP
【FI】
   G01F1/075
   G01F1/78
   G01P5/06 X
   G01P13/00 C
   G01P13/00 D
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-36772(P2015-36772)
(22)【出願日】2015年2月26日
【審査請求日】2015年2月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】315000342
【氏名又は名称】桓達科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】FINETEK Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】特許業務法人 エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】張 明輝
(72)【発明者】
【氏名】陳 佳億
(72)【発明者】
【氏名】王 世瑩
(72)【発明者】
【氏名】侯 宜良
【審査官】 谷山 稔男
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭55−078916(JP,U)
【文献】 実開昭59−127127(JP,U)
【文献】 特開2013−156207(JP,A)
【文献】 特開2015−203644(JP,A)
【文献】 特開平04−157321(JP,A)
【文献】 特表平02−501615(JP,A)
【文献】 特表平02−501793(JP,A)
【文献】 特開昭57−156522(JP,A)
【文献】 国際公開第01/063221(WO,A1)
【文献】 米国特許第05381698(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/075、1/78
G01P 5/06、13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管路内の流体の流量及び流向を検知可能なパドルホイール流量計であって、
前記管路の一側に設けられ、その一部が前記管路内に延びる本体と、
前記本体の中に設けられる演算ユニットと、
前記本体の中に設けられて前記演算ユニットに電気的に接続される感応・測定ユニットと、
前記感応・測定ユニットに対して前記管路内に延びる前記本体の一部に取り付けられ、回転軸と当該回転軸の周囲に間隔をあけて設けられる複数の感応ベーンとを有する回転部品と、を備え、
複数の前記感応ベーンには、それぞれ、金属片が設置され、
各前記金属片は、それぞれ、異なる誘電係数を有し、当該誘電係数に従って配列されて前記感応ベーンに順次設置され、
前記感応ベーンの端縁の回転接線方向は、流体の流動方向であり、
前記管路内の流体が前記感応ベーンに向けて流れると、
前記感応ベーンは、回転し、
前記感応・測定ユニットは、異なる前記誘電係数を有する複数の前記金属片に感応して、強度が次第に増加又は低減する複数の感応・測定信号を発生させて前記演算ユニットに伝達し、
前記演算ユニットは、伝達された前記感応・測定信号に基づいて算を行い、前記流体が順方向流動又は逆方向流動であるかを判断する、ことを特徴とするパドルホイール流量計。
【請求項2】
前記本体は、セラミックス、耐熱性高分子材料、複合材料又は金属のいずれか1つにより形成されることを特徴とする請求項1に記載のパドルホイール流量計。
【請求項3】
複数の前記感応ベーンは、前記回転軸に対して対称的に分布して設置されることを特徴とする請求項1に記載のパドルホイール流量計。
【請求項4】
前記金属片は、前記感応ベーンに嵌め込まれて前記流体と隔離されることを特徴とする請求項1に記載のパドルホイール流量計。
【請求項5】
前記金属片は、前記感応ベーンの表面に嵌設されて前記流体と接触することを特徴とする請求項1に記載のパドルホイール流量計。
【請求項6】
信号変換ユニット、電圧レギュレーションユニット及び外部メッセージを受信して、又は、メッセージを前記演算ユニットに提供して、算を行う伝送インターフェースユニットを更に備え、
前記感応・測定ユニットは、発振回路であり、インダクタンス素子及び前記インダクタンス素子に並列接続されるコンデンサ素子を含み、
前記信号変換ユニットは、前記感応・測定ユニット及び前記演算ユニットに電気的に接続され、
前記感応・測定信号は、前記信号変換ユニットにより周期波信号に変換されて前記演算ユニットに伝送され、前記演算ユニットの算により流量信号に変換され、
前記電圧レギュレーションユニットは、前記演算ユニット及び前記信号変換ユニットにそれぞれ電気的に接続され、
前記電圧レギュレーションユニットは直流電圧を出力して前記演算ユニット及び前記信号変換ユニットに提供し、
前記伝送インターフェースユニットは、前記演算ユニットに電気的に接続され、
前記演算ユニットは、前記伝送インターフェースユニットを介して前記流量信号を外部に伝送することを特徴とする請求項1に記載のパドルホイール流量計。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のパドルホイール流量計において、前記感応ベーンが感応劣化しているか否かを検知するための検知方法であって、
前記演算ユニットがしきい値を決定する工程と、
強度が次第に増加又は低減する複数の前記感応・測定信号を受信する工程と、
前記感応・測定信号の強度を用いて比較を行い、測定における最大特徴を有する値を取得する工程と、
前記演算ユニットが前記測定における最大特徴を有する値と前記しきい値とを利用して劣化程度の判断を行う工程と、
を備えることを特徴とする検知方法。
【請求項8】
前記しきい値を決定する工程は、プリセット差異値を決定する工程を更に含み、
前記測定における最大特徴を有する値と前記しきい値とを比較して測量差異値を取得する工程と、
前記測量差異値と前記プリセット差異値とを比較して感応劣化を判断する工程とを更に備えることを特徴とする請求項7に記載の検知方法。
【請求項9】
複数の測定における最大特徴を有する値を取得して配列し、前記測定における最大特徴を有する値と前記しきい値とを比較して、前記測定における最大特徴を有する値が前記しきい値以下である場合、感応劣化であると判断する工程を更に備えることを特徴とする請求項7に記載の検知方法。
【請求項10】
前記しきい値を含む複数の前記感応・測定信号及び前記測定における最大特徴を有する値を含む複数の前記感応・測定信号は、時間に対する信号波形をそれぞれ有し、
前記劣化程度の判断を行う工程は、複数の前記信号波形に対して積分面積を算出して面積差異値を取得し、前記面積差異値がプリセット差異値以上であると、感応劣化であると判断することを特徴とする請求項7に記載の検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流量センサに関し、特に、パドルホイール流量計及びその検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パドルホイール流量計(Paddlewheel Flowmeter)は、流量センサであり、主に、回転子、ベアリング、回転軸、磁石、本体、本体に嵌入されるホール効果センサ(Hall Effect Sensor)及び感応・検出回路基板などの素子を含んでいる。上記磁石は、回転子に内装され、ホール効果センサと磁石とが励磁することによって誘導信号を発生させる。このようなパドルホイール流量計では、流体が、回転子を回転させると(回転子にはめ込まれる磁石を回転させてホール効果センサを通過すると)、感応してパルス信号を送信して流体の流量を取得するように構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来のパドルホイール流量計では、回転子に磁性材料を埋め込む必要があり、測定待ちの液体が高温であると、キュリー温度効果(Curie Temperature Effect)によって磁性材料が消磁されてしまい、感応に間違いを生じやすい。さらに、従来のパドルホイール流量計では、流体の流量のみを検出することができ、その流向を検出できないため、使用上の利便性を低下させる要因となっている。また、回転子に垢が蓄積する等の異常現象を検出できない場合、当該異常現象に対して定期保守を行うと測量上の誤差が生じやすい。
【0004】
本発明者は上述した問題を解決するために、設計が合理的であり、上記欠陥を効果的に改善する本発明を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、流体の流向を検知可能なパドルホイール流量計を提供し、その感応ベーンにそれぞれ異なる誘電係数を有する金属片が順次設置され、これによって、管路における流体の流向を判断する。
【0006】
上述した目的を達成するために、本発明は、管路内の流体の流量及び流向を検知可能なパドルホイール流量計であって、管路の一側に設けられ、その一部が管路内に延びる本体と、本体の中に設けられる演算ユニットと、本体の中に設けられて演算ユニットに電気的に接続される感応・測定ユニットと、感応・測定ユニットに対して管路内に延びる本体の一部に取り付けられ、回転軸と当該回転軸の周囲に間隔をあけて設けられる複数の感応ベーンとを有する回転部品と、を備え、複数の感応ベーンには、それぞれ、金属片が設置され、各金属片は、それぞれ、異なる誘電係数を有し、当該誘電係数に従って配列されて感応ベーンに順次設置され、感応ベーンの端縁の回転接線方向は、流体の流動方向であり、管路内の流体が感応ベーンに向けて流れると、感応ベーンは、回転し、感応・測定ユニットは、異なる誘電係数を有する複数の金属片に感応して、強度が次第に増加又は低減する複数の感応・測定信号を発生させて演算ユニットに伝達し、演算ユニットは、伝達された感応・測定信号に基づいて算を行い、流体が順方向流動又は逆方向流動であるかを判断する。
【0007】
また、本発明は、流体の流向を検知可能なパドルホイール流量計において、感応ベーンの感応劣化程度を検知する検知方法を提供し、当該検知方法は、演算ユニットがしきい値(Threshold Value)を決定する工程と、強度が次第に増加又は低減する複数の感応・測定信号を受信する工程と、感応・測定信号の強度を用いて比較を行い、測定における最大特徴を有する値を取得する工程と、演算ユニットが測定における最大特徴を有する値としきい値とを利用して劣化程度の判断を行う工程と、を備えている。
【発明の効果】
【0008】
本発明のパドルホイール流量計の金属片は、磁性材料により形成されていないため、従来の技術に比べて、測量結果が高温による影響を受けることがない。従って、高温流体の流量を測量する場合であっても、正確な測量を行うことができる。
さらに、本発明の流向を検知可能なパドルホイール流量計は、感応ベーンに異なる誘電係数の金属片が設置され、誘電係数に従って配列される金属片を順次感応ベーンに設置されている。すなわち、本発明では、感応・測定信号において、異なる誘電係数の金属片に対して異なる誘導信号強度値を発生させることができ、感応・測定信号強度が次第に増加又は低減する方式で示されることによって、流体の流動方向が、順方向であるのか又は逆方向であるのかを判断することができる。その結果、使用時の利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明のパドルホイール流量計を示す分解斜視図である。
図2】本発明のパドルホイール流量計の組合せを示す断面図である。
図3】本発明のパドルホイール流量計の回路を示すブロック図である。
図4】本発明のパドルホイール流量計の感応・測定信号を説明するための図である。
図5】本発明のパドルホイール流量計を使用した際の状態を示す断面図である。
図6図5に示すパドルホイール流量計の他の感応・測定信号を示す図である。
図7】本発明のパドルホイール流量計の感応・測定信号減衰曲線を示す図である。
図8】本発明の感応ベーンの変形例を示す図である。
図9】本発明の感応ベーンの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面を参照しながら本発明の詳細な説明及び技術内容を記述するが、図面は参照・説明のためのものであり、本発明を限定するものではない。
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
図1は本発明のパドルホイール流量計を示す分解斜視図、図2は本発明のパドルホイール流量計の組合せを示す断面図、図3は本発明のパドルホイール流量計の回路を示すブロック図である。
本発明は、管路2内の流体の流量及び流向を測定することができ、流体の流向を検知することが可能なパドルホイール流量計1を提供する。
図1図3に示すように、パドルホイール流量計1は、本体10と、演算ユニット20と、感応・測定ユニット30と、回転部品40とを備えている。
本体10は、管路2の一側に設置され、その一部が管路2内に延びている。演算ユニット20及び感応・測定ユニット30は、いずれも本体10に設けられている。回転部品40は、本体10に設けられ、管路2内の流体と接触するようになっている。
【0012】
本発明の一実施例において、本体10は、第1の収納空間101及び第2の収納空間102を有する。第1の収納空間101及び第2の収納空間102は、ハウジングによって仕切られることにより設けられている。また、本体10は、セラミックス、耐熱性高分子材料、複合材料又は金属のいずれか1つから製造されるものであるが、これらに限られない。本実施例では、第2の収納空間102は、本体10の一端に形成され、回転部品40は、第2の収納空間102の中に取り付けられている。本体10が管路2に取り付けられる場合、第2の収納空間102は、管路2の内部と連通するようになっている。
【0013】
演算ユニット20及び感応・測定ユニット30は、第1の収納空間101内に設けられ、感応・測定ユニット30と演算ユニット20とは電気的に接続される。本実施例において、演算ユニット20は、回路基板21に設置される。また、感応・測定ユニット30は、発振回路として設置され、インダクタンス素子31及びインダクタンス素子31に並列接続されるコンデンサ素子32を含んでいる。
【0014】
回転部品40は、回転軸41及び回転軸41の周囲に間隔をあけて設置される複数の感応ベーン42を含む。これら感応ベーン42は、回転軸41に対して対称的に分布して設置されることが好ましく、これによって、安定的かつスムーズな回転を提供することができる。また、各感応ベーン42には、金属片43が設置されている。また、各金属片43は、異なる誘電係数を有し、これら誘電係数に従って配列されて複数の感応ベーン42に順次設置される。回転部品40は、感応・測定ユニット30に対応して、管路2内に延びる本体10の一部に取り付けられることが好ましい。
【0015】
本実施例において、金属片43は、感応ベーン42に嵌め込まれて流体と隔離するように設けられるが、感応ベーン42表面に流体と接触するように嵌設されてもよい。
【0016】
図2に示すように、管路2内の流体が、回転部品40を通過して複数の感応ベーン42を回転させると、感応・測定ユニット30が感応するようになっている。感応・測定ユニット30が各感応ベーン42の金属片43に感応して感応・測定信号50(図4を参照)を発生させ、金属片43は、感応・測定信号50を演算ユニット20に伝達する。演算ユニット20は、演算を行い、これら感応・測定信号50に基づいて流向判断を行う。流向の判断については、後で詳細に説明する。
【0017】
図3に示すように、パドルホイール流量計1は、信号変換ユニット22と、電圧レギュレーションユニット23と、伝送インターフェースユニット24とを更に備えている。信号変換ユニット22は、演算ユニット20及び感応・測定ユニット30に電気的に接続され、これら感応・測定信号50は、信号変換ユニット22によって発振脈動を周期波信号(例えば、方形信号)に変換されて演算ユニット20に伝送される。また、感応・測定信号50は、演算ユニット20の演算によって流量信号に変換されるようになっている。電圧レギュレーションユニット23は、演算ユニット20及び信号変換ユニット22に電気的に接続される。電圧レギュレーションユニット23は、主に、安定な直流電圧を出力し、電源として演算ユニット20及び信号変換ユニット22へ提供する。伝送インターフェースユニット24は、演算ユニット20に電気的に接続され、外部から既知メッセージ(例えば、温度、圧力又は震動)を受信し、演算ユニット20へ送信して演算を行い、又は既知の信号(例えば、通信伝送協定など)を提供する。また、伝送インターフェースユニット24は、演算ユニット20から提供された流量信号を外部に送信する。
【0018】
図4は、本発明のパドルホイール流量計の感応・測定信号を説明するための図である。
図4に示すように、本発明のパドルホイール流量計1が動作すると、感応ベーン42は通過した流体に従って回転する。各金属片43は、誘電係数に従って配列され複数の感応ベーン42に順次設置されるため、各金属片43により生じた感応・測定信号50によって、演算ユニット20において得られる値は、次第に増加(昇順)又は低減(降順)するように示される。これによって、流体の流動方向はこれら感応・測定信号50が次第に増加又は低減するように示されることで、順方向の流動であるか又は逆方向流動であるかを判断することができる。例えば、流体はこれら感応ベーン42を反時計方向に回転させると、感応・測定信号50は次第に増加する(昇順)ように示される。一方、感応・測定信号50が次第に低減する(降順)ように示されると、流体はこれら感応ベーン42を時計方向に回転させていると推察することができ、これによって、流体の流動方向を取得できる。
【0019】
さらに、本発明のパドルホイール流量計1は、流体の流量及び流向を検出できるだけでなく、これら感応ベーン42の感応劣化の程度(以下、「感応劣化程度」と称す)をも判断できるようになっている。このような感応劣化程度の検出によって、利用者は、パドルホイール流量計1の感応ベーン42をメンテナンスする際の指標として、この感応劣化程度を利用することができる。この感応劣化程度については、後で詳細に説明する。
【0020】
次に、図5及び図6を同時に参照し、図5図1のパドルホイール流量計1を使用した際の状態を示す断面図、図6は減衰した状態の感応・測定信号50’と元の状態での感応・測定信号50を示す図である。本発明のパドルホイール流量計1は、例えば、製薬、食品又は水道水などの分野において幅広く応用することできるものであり、このパドルホイール流量計1を用いて製造工程における流体の流量を測量できるものである。例えば、パドルホイール流量計1を長期間にわたって使用すると、回転部品40の感応ベーン42の表面には、鉄くずや、毛及び髪、繊維などの外物3(図5参照)が沈積することがある。このような場合、外物3の付着によって、感応・測定信号が減衰することになる。なお、これが、本発明にいう「感応劣化程度」に該当する。
【0021】
図6に示すように、感応ベーン42の表面に外物3が付着すると、パドルホイール流量計1において、感応・測定信号50’が減衰することとなる。
【0022】
本発明は、流体の流向を検知可能なパドルホイール流量計1の検知方法を更に提供する。この検知方法は、演算ユニット20が感応・測定信号50からしきい値(Threshold Value)500を決定するステップaと(このしきい値500は、例えば、標準極小値501又は標準極大値504である。)、各感応ベーン42の強度変化(次第に増加又は低減する変化)の複数の感応・測定信号50’を受信するステップbと、感応・測定信号50’を比較して、測定における最大特徴を有する値500’(例えば、測量最小値501’又は測量最大値504’)を取得するステップcと、演算ユニット20が測定における最大特徴を有する値500’としきい値500とを利用して劣化程度の判断を行うステップdとを備えている。
例えば、ステップaにおけるしきい値500を標準極大値504とし、ステップcにおける測定における最大特徴を有する値500’を測量最大値504’とする場合、標準極大値504と測量最大値504’とを比較した結果、測量最大値504’が標準極大値504以下であると、感応劣化であると判断する。このとき、パドルホイール流量計1の感応ベーン42に対して洗浄・保守作業を行う必要があることがわかり、これによって、正確な測量結果を保持することが可能となる。
【0023】
同様に、ステップaにおけるしきい値500を標準極小値501とし、ステップcにおける測定における最大特徴を有する値500’を測量最小値501’とする場合、標準極小値501と測量最小値501’とを比較した結果させた後、測量最小値501’当該標準極小値501以下であると、感応劣化であると判断する。つまり、これら感応・測定信号50’は、特定の値まで減衰すると、パドルホイール流量計1の感応ベーン42に対して洗浄・保守作業を行う必要があることをわからせることができる。
【0024】
本実施例においては、パドルホイール流量計1の最初の感応・測定信号50における最小値及び最大値をしきい値500(標準極小値501及び標準極大値504を含む)とし、後で測量(測定)した感応・測定信号50’をそれぞれ最初の感応・測定信号50と比較させて感応劣化程度の判断を行うようにしている。
【0025】
さらに、上記ステップaでは、プリセット差異値D(図示せず)を決定する工程を更に含み、測定における最大特徴を有する値500’及びしきい値500を比較して測量差異値D’を取得するステップeと、測量差異値D’及びプリセット差異値Dとを比較して、感応劣化であるか否かを判断するステップfとを備えるようにすることも可能である。この場合、測量差異値D’がプリセット差異値D以上であると、感応劣化であると判断することとなる。
【0026】
また、感応・測定信号50、50’の極端値を用いて本発明の感応劣化程度を判断する他、積分面積算出の方式で判断することも可能である。具体的には、標準差異値を面積差異値として設定する。また、上記ステップdにおいて、測定における最大特徴を有する値500’及びしきい値500の信号波形に対して積分面積を計算して面積差異値A’を取得する。この場合、面積差異値A’が標準差異値以上である場合、感応劣化程度が劣化であると判断することとなる。
【0027】
図7は本発明のパドルホイール流量計の感応・測定信号の減衰曲線を示す図である。本発明の感応劣化程度の判断は、図7に示すような感応・測定信号の減衰曲線に基づいて判断することも可能である。
図7に示す、感応・測定信号50、50’(極端最大値又は最小値であることが好ましい)は、異なる時間における測量値を示し、図7の場合、感応・測定信号50、50’は、負傾斜するように次第に減衰している。利用者は、実際に使用している場合において、感応劣化程度が設定値まで減衰していると、劣化であると判断するように設定することができる。例えば、本発明の検知方法は、複数の測定における最大特徴を有する値500’を取得して配列し、これら測定における最大特徴を有する値500’としきい値500とを比較して、測定における最大特徴を有する値500’がしきい値500以下である場合に、感応劣化であると判断するステップe’を備えることも可能である。
【0028】
また、本発明の回転部品の感応ベーンは、様々な実施形態を含む。図8及び図9は、本発明の感応ベーンの変形例を示す図である。
図8では、金属片43aは、感応ベーン42aに嵌め込まれるが、流体と隔離しており、感応ベーン42aは、間隔をあけて分離するように設置される。
また、図9では、金属片43bは、感応ベーン42bに嵌め込まれるが、各感応ベーン42bの一側周縁が互いに隣接するように設置される。
【0029】
具体的には、本発明の感応ベーン42、42a、42bは、対称的に分布して設置され、これによって、安定的かつスムーズに回転するようになる。なお、実際の実施時において、感応ベーン42、42a、42bのベーン数及び形状は限定されない。
【0030】
以上、本発明の好適な実施例を説明したが、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の精神を応用して作成した同等変換は本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0031】
1:パドルホイール流量計
2:管路
3:外物
10:本体
101:第1の収納空間
102:第2の収納空間
20:演算ユニット
21:回路基板
22:信号変換ユニット
23:電圧レギュレーションユニット
24:伝送インターフェースユニット
30:感応・測定ユニット
31:インダクタンス素子
32:コンデンサ素子
40:回転部品
41:回転軸
42、42a、42b:感応ベーン
43、43a、43b:金属片
50、50’:感応・測定信号
500:しきい値
500’:測定における最大特徴を有する値
501:標準極小値
501’:測量最小値
504:標準極大値
504’:測量最大値
D:プリセット差異値
D’:測量差異値
A’:面積差異値
【要約】      (修正有)
【課題】使用上の利便性の向上を図りつつ、測量上の誤差を抑制することが可能なパドルホイール流量計及び検知方法を提供する。
【解決手段】本体10及び本体10に設置される演算ユニット20と、感応・測定ユニット30と、回転部品40とを備え、回転部品40は、感応・測定ユニット30に対して管路内に延びる本体10の一部に取り付けられ、回転軸41と回転軸41の周囲に間隔をあけて設けられる複数の感応ベーン42とを有し、複数の感応ベーン42には、異なる誘電係数を有する金属片43が設置され、金属片43は誘電係数に従って配列されて順次感応ベーン42に設置される。流体が感応ベーン42を回転させると、感応・測定ユニット30は、感応して感応・測定信号を発生して演算ユニット20に伝達する。感応・測定信号強度が次第に増加又は低減する方式で示されることによって、流体の流動方向が、順方向であるのか又は逆方向であるのかを判断する。
【選択図】図2
図1
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図9