特許第5934833号(P5934833)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5934833ポリエーテルアミンで処理された酸化カーボンブラックおよびそれを含むコーティング組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5934833
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月15日
(54)【発明の名称】ポリエーテルアミンで処理された酸化カーボンブラックおよびそれを含むコーティング組成物
(51)【国際特許分類】
   C09C 1/48 20060101AFI20160602BHJP
   C09C 3/10 20060101ALI20160602BHJP
   C09C 3/06 20060101ALI20160602BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20160602BHJP
   C09D 7/12 20060101ALI20160602BHJP
【FI】
   C09C1/48
   C09C3/10
   C09C3/06
   C09D201/00
   C09D7/12
【請求項の数】17
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2015-503293(P2015-503293)
(86)(22)【出願日】2013年3月14日
(65)【公表番号】特表2015-512458(P2015-512458A)
(43)【公表日】2015年4月27日
(86)【国際出願番号】US2013031290
(87)【国際公開番号】WO2013148242
(87)【国際公開日】20131003
【審査請求日】2014年11月21日
(31)【優先権主張番号】61/616,451
(32)【優先日】2012年3月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391010758
【氏名又は名称】キャボット コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】CABOT CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100102990
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 良博
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100111903
【弁理士】
【氏名又は名称】永坂 友康
(72)【発明者】
【氏名】アンジェリカ マリア サンチェス ガルシア
(72)【発明者】
【氏名】ユージーン エヌ.ステップ
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー スコット ソウリー
(72)【発明者】
【氏名】ラング エイチ.ヌグエン
(72)【発明者】
【氏名】ジョシュア ビー.プレネタ
【審査官】 桜田 政美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−007781(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/147647(WO,A1)
【文献】 特開2002−294135(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09C 1/48
C09C 3/06
C09C 3/10
C09D 7/12
C09D 201/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
50〜700m/gの範囲のBET表面積、50〜200mL/100gの範囲のDBP油吸収量、および7〜30nmの範囲の一次粒子径を有する酸化カーボンブラック;ならびに、
リエーテルアミン、
を含んでなり、該ポリエーテルアミンは、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドおよび1つもしくは2つ以上のアミン基からなり、かつ該ポリエーテルアミンは、該酸化カーボンブラックの共有結合でなく物理的な被覆である、粉末化された材料。
【請求項2】
前記ポリエーテルアミンが、250〜5000の範囲の分子量を有する、請求項1記載の粉末化された材料。
【請求項3】
前記プロピレンオキシドおよびエチレンオキシドモノマーが、前記ポリエーテルアミン中に、1:2〜9:1の範囲の比率で存在する、請求項1または2記載の粉末化された材料。
【請求項4】
前記ポリエーテルアミンが、前記粉末化された材料中に、5〜30質量%の範囲の量で存在する、請求項1〜3のいずれか1項記載の粉末化された材料。
【請求項5】
前記酸化カーボンブラックが、前記粉末化された材料中に、65〜95%の範囲の量で存在する、請求項1〜4のいずれか1項記載の粉末化された材料。
【請求項6】
前記酸化カーボンブラックが、未変性のカーボンブラックの酸化によって形成される、請求項1〜5のいずれか1項記載の粉末化された材料。
【請求項7】
前記材料が、バルクの粉末化された材料である、請求項1〜6のいずれか1項記載の粉末化された材料。
【請求項8】
前記ポリエーテルアミンが、下記の式:
【化1】
式中、x=1〜35、y=3〜30、x/yは少なくとも0.15である、
を有しかつ該ポリエーテルアミンが前記酸化カーボンブラックを被覆している、請求項1〜7のいずれか1項記載の粉末化された材料。
【請求項9】
50〜700m/gの範囲のBET表面積、50〜200mL/100gの範囲のDBP油吸収量、および7〜30nmの範囲の一次粒子径を有する酸化カーボンブラック;ならびに、
リエーテルアミン、
を含んでなり、該ポリエーテルアミンは、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドおよび1つもしくは2つ以上のアミン基からなり、かつ該ポリエーテルアミンは、該酸化カーボンブラックの共有結合でなく物理的な被覆である、ペレット。
【請求項10】
前記ポリエーテルアミンが、下記の式:
【化2】
式中、x=1〜35、y=3〜30、x/yは少なくとも0.15である、
を有し、かつ該ポリエーテルアミンが前記酸化カーボンブラックを被覆している、請求項9記載のペレット。
【請求項11】
前記ペレットが、少なくとも100μmのD50を有する、請求項9または10記載のペレット。
【請求項12】
50〜700m/gの範囲のBET表面積、50〜200mL/100gの範囲のDBP油吸収量、および7〜30nmの範囲の一次粒子径を有する酸化カーボンブラック;
リエーテルアミン、ならびに、
アクリル、ポリエステル、ポリウレタン、アルキッド、セルロースアセテートブチレート、ニトロセルロース、メラミン、エポキシ、ならびにそれらの混合物および共重合体から選択される樹脂、
を含んでな該ポリエーテルアミンは、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドおよび1つもしくは2つ以上のアミン基からなり、かつ該ポリエーテルアミンは、該酸化カーボンブラックの共有結合でなく物理的な被覆である、コーティング組成物。
【請求項13】
前記樹脂が、前記組成物中に、少なくとも60質量%の量で存在する、請求項12記載の組成物。
【請求項14】
前記酸化カーボンブラックが、前記組成物中に、1質量%〜30質量%の範囲の量で存在する、請求項12または13記載の組成物。
【請求項15】
50〜700m/gの範囲のBET表面積、50〜200mL/100gの範囲のDBP油吸収量、および7〜30nmの範囲の一次粒子径を有する酸化カーボンブラック;
リエーテルアミン、該ポリエーテルアミンは、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドおよび1つもしくは2つ以上のアミン基からなる、ならびに、
アクリル、ポリエステル、ポリウレタン、アルキッド、セルロースアセテートブチレート、ニトロセルロース、メラミン、エポキシ、ならびにそれらの混合物および共重合体から選択される樹脂、
を含んでなり、該ポリエーテルアミンは、該酸化カーボンブラックの共有結合でなく物理的な被覆である、コーティング。
【請求項16】
酸化カーボンブラックをポリエーテルアミンで被覆する工程を含む、請求項9記載のペレットまたは請求項1記載の粉末化された材料を調製する方法であって、該酸化カーボンブラックが、50〜700m/gの範囲のBET表面積、50〜200mL/100gの範囲のDBP油吸収量、および7〜30nmの範囲の一次粒子径を有する未変性のカーボンブラックを酸化することによって得られる、方法。
【請求項17】
前記酸化カーボンブラックが、未変性のカーボンブラックを硝酸で酸化することによって得られる、請求項16記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2012年3月28日出願の米国特許仮出願第61/616,451号に対して合衆国法典第35巻第119条第e項の下の優先権を主張し、その開示を参照することによって本明細書の内容とする。
【0002】
技術分野
本明細書に開示されたのは、ポリエーテルアミンで処理された酸化カーボンブラックならびにコーティングおよびコーティング組成物におけるそれらの使用である。
【背景技術】
【0003】
カーボンブラックは、典型的には樹脂を含む、表面コーティングのための水系および溶媒系配合物の両方に、最も広範囲に用いられている黒色顔料である。コーティングの色は、幾つかの因子、例えばカーボンブラックの充填量、樹脂マトリックス中のカーボンブラックの分散の品質、具体的なカーボンブラックの品種、ならびに一次粒子径および凝集体の大きさに依存する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、コーティングの配合物を改良する必要性が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つの態様では、50〜700m/gの範囲のBET表面積、50〜200mL/100gの範囲のDBP油吸収量、および7〜30nmの範囲の一次粒子径を有する酸化カーボンブラック;ならびにエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドモノマーを含むポリエーテルアミンを含むペレットまたは粉末化された材料であって、ポリエーテルアミンが、酸化カーボンブラックを被覆している材料、が提供される。
【0006】
他の態様では、50〜700m/gの範囲のBET表面積、50〜200mL/100gの範囲のDBP油吸収量、および7〜30nmの範囲の一次粒子径を有する酸化カーボンブラック;ならびに式:
【0007】
【化1】
【0008】
式中、x=1〜35、y=3〜30、x/yは少なくとも1.5である、
を有するポリエーテルアミンを含んでなるペレットまたは粉末化された材料であって、ポリエーテルアミンが、酸化カーボンブラックを被覆している、材料が提供される。
【0009】
他の態様では、50〜700m/gの範囲のBET表面積、50〜200mL/100gの範囲のDBP油吸収量、および7〜30nmの範囲の一次粒子径を有する酸化カーボンブラック;エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドモノマーを含むポリエーテルアミン;ならびに少なくとも10000の分子量を有する樹脂を含んでなるコーティング組成物が提供される。
【0010】
他の態様では、50〜700m/gの範囲のBET表面積、50〜200mL/100gの範囲のDBP油吸収量、および7〜30nmの範囲の一次粒子径を有する酸化カーボンブラック;エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドモノマーを含むポリエーテルアミン;ならびにアクリル、ポリエステル、ポリウレタン、アルキッド、セルロースアセテートブチレート、ニトロセルロース、メラミン、エポキシ、ならびにそれらの混合物および共重合体から選択される樹脂を含んでなるコーティング組成物が提供される。
【0011】
他の態様では、50〜700m/gの範囲のBET表面積、50〜200mL/100gの範囲のDBP油吸収量、および7〜30nmの範囲の一次粒子径を有する酸化カーボンブラック;エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドモノマーを含むポリエーテルアミン;ならびにアクリル、ポリエステル、ポリウレタン、アルキッド、セルロースアセテートブチレート、ニトロセルロース、メラミン、エポキシ、ならびにそれらの混合物および共重合体から選択される樹脂を含んでなるコーティングが提供される。
【0012】
他の態様では、酸化カーボンブラックを、ポリエーテルアミンでコーティングする工程を含むペレットまたは粉末化された材料を調製する方法であって、酸化カーボンブラックが、50〜700m/gの範囲のBET表面積、50〜200mL/100gの範囲のDBP油吸収量、および7〜30nmの範囲の一次粒子径を有する未変性のカーボンブラックを酸化することによって得られる、方法が提供される。
【0013】
他の態様では、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドモノマーを含むポリエーテルアミンで被覆された酸化カーボンブラック;少なくとも10000の分子量を有する樹脂;ならびに分散助剤を含む練顔料(millbase)を調製する工程を含む、コーティング組成物を調製する方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書に開示されるのは、ポリエーテルアミン被覆を有する酸化カーボンブラックに向けられた組成物、そのような酸化カーボンブラックを含むコーティング配合物、ならびにそれの製造方法である。
【0015】
黒色の表面コーティングは、しばしばカーボンブラックおよび樹脂の分散体を含む配合物から調製されている。典型的には、最終的な乾燥コーティング(溶媒の蒸発の後に生じる)中のカーボンブラックの最適な分散体は、液体配合物中のカーボンブラックの分散液であって、表面に適用される分散液を含むコーティング組成物から生じる。溶媒系のコーティングでは、溶媒中のカーボンブラック分散液の安定性は、個々の顔料粒子の立体安定性に基づいている。そのような安定性は、分散助剤によって与えることができる。
【0016】
より具体的には、表面が酸化されたカーボンブラック品種は、典型的には溶媒系のコーティング配合物に用いられ、アミン基が、酸化カーボンブラックの表面上の酸性基に、酸/塩基相互作用によって固定されることができるために、しばしば分散助剤としてアミン官能化重合体を含んでいる。分散助剤は重合体であるために、それらは溶媒とのポリマー相互作用によって立体安定性を与えることができる。従って、典型的な分散助剤は、30000〜100000の分子量を有している。しかしながら、比較的に高い分子量は、分散助剤の、カーボンブラック表面上への吸着を妨げ、および/または遅延させる可能性がある。この問題は、大きな表面積および小さな一次粒子径を有するカーボンブラックでは、粒子と粒子の接触の数が増加し、それによって、材料を濡らし、そして良好な溶媒の分散液を形成するための、練り時間および分散助剤の量を増加させるために、いっそう大きくなる可能性がある。典型的には、色調の強い、溶媒中のカーボンブラック分散液のコーティング配合物では、分散助剤の典型的な充填量は、カーボンブラックの50質量%〜100質量%である。
【0017】
現在は、下塗り用の溶媒系自動車用市場では、コーティング配合物は、カーボンブラックの色彩(L)および青色底色(undertone)(b)特性の釣合を保ち、このカーボンブラックは典型的には酸化カーボンブラックである。それらのカーボンブラック品種の多くを用いることの欠点は、完全色および良好な隠蔽力のための練り顔料を得るための長い分散時間である。
【0018】
この分散液および練り顔料組成物を形成する前に、ポリエーテルアミンでカーボンブラックを処理することが、コーティング配合物およびこの配合物の調製方法に有益であることが見出された。従って、1つの態様では、50〜700m/gの範囲のBET表面積、50〜200mL/100gの範囲のDBP油吸収量、および7〜30nmの範囲の一次粒子径を有する酸化カーボンブラック;ならびにエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドモノマーを含むポリエーテルアミンを含む粉末化された材料であって、このポリエーテルアミンが、酸化カーボンブラックを被覆している、材料が提供される。
【0019】
1つの態様では、「酸化カーボンブラック」は、通常7.0未満のpHを有するカーボンブラック顔料であり、表面に結合されたイオン性基もしくはイオン化可能基、例えばアルコール、フェノールおよび/またはカルボン酸基で特徴付けられる。カーボンブラックの酸化の程度が、それらの基の表面濃度を決定する。カーボンブラックのための例示的な酸化剤としては、酸素ガス、オゾン、過酸化物、例えば過酸化水素、過硫酸塩、例えば過硫酸ナトリウムおよび過硫酸カリウム、次亜ハロゲン酸塩、例えば次亜塩素酸ナトリウム、硝酸、および遷移金属含有酸化剤、例えば過マンガン酸塩、四酸化オスミウム、酸化クロム、硝酸セリウムアンモニウム、およびそれらの混合物(例えば、気体状酸化剤、例えば酸素とオゾンの混合物)が挙げられる。1つの態様では、「酸化カーボンブラック」は、酸化処理に付されたそれらの顔料である。
【0020】
1つの態様では、酸化カーボンブラックは、上記のように、未変性のカーボンブラックの酸化によって得られる。未変性のカーボンブラックは、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ガスブラック、およびランプブラックから選択することができる。例示的な未変性のカーボンブラックとしては、Regal(商標)、Black Pearls(商標)、Elftex(商標)、Monarch(商標)、Mogul(商標)、およびVulcan(商標)、例えばBlack Pearls(商標)1100、Black Pearls(商標)900、Black Pearls(商標)880、Black Pearls(商標)800、Black Pearls(商標)700、Black Pearls(商標)570、Elftex(商標)8、Monarch(商標)900、Monarch(商標)880、Monarch(商標)800、Monarch(商標)700、Regal(商標)660、およびRegal(商標)330として商業的に入手可能なものが挙げられる。
【0021】
他の態様では、酸化カーボンブラックは、商業的な供給源、例えばBlack Pearls(商標)1400、Black Pearls(商標)1300、Black Pearls(商標)1000、Black Pearls(商標)L、Monarch(商標)1000、Mogul(商標)L、およびRegal(商標)400から得られる。
【0022】
1つの態様では、酸化カーボンブラックは、未変性である。例えば、酸化カーボンブラックは、未変性のカーボンブラックの酸化によって形成することができる。他の態様では、酸化カーボンブラックは、顔料表面上にイオン性基またはイオン化可能基を導入する他の表面変性方法、例えば塩素化およびスルホニル化で、更に処理される。他の態様では、酸化カーボンブラックは、結合された有機基を有するように変性される。例えば、米国特許第5,851,280号明細書には、顔料上への有機基の結合、例えば、ジアゾニウム反応による結合(ここでは有機基はジアゾニウム塩の一部である)のための方法が開示されている。更に他の態様では、酸化カーボンブラックは、変性されたカーボンブラック(例えば、塩素化、スルホニル化によって、または有機基の結合によって変性された)の酸化によって形成される。
【0023】
1つの態様では、「被覆」または「コーティング」は、ポリエーテルアミンとカーボンブラックとの間の物理的および/または化学的な、共有結合的ではない、相互作用を表している。1つの態様では、ポリエーテルアミンおよび酸化カーボンブラックは、吸着、イオン結合、ファンデルワールス相互作用など、およびそのような相互作用の組み合わせによって相互作用する。例えば、酸化カーボンブラックは、ポリエーテルアミンのアミン基(およびそれらのカチオンおよび塩)と相互作用することができる酸性基(例えば、カルボン酸またはアルコール基ならびにそれらのアニオンおよび塩)を与える。
【0024】
1つの態様では、酸化カーボンブラックは、50〜700m/g(例えば、90〜650m/g)の範囲のBET表面積、50〜200mL/100g(例えば、60〜160mL/100g)の範囲のDBP油吸着量、および7〜30nm(例えば、10〜25nm)の範囲の一次粒子径を有している。BET表面積は、ASTM−D6556に従って測定することができる。DBPは、ASTM−D2414に従って測定することができる。一次粒子径は、ASTM−D3849(07−2011)に従って測定することができる。
【0025】
1つの態様では、ポリエーテルアミンは、通常は典型的な分散助剤に対してより低分子量の化合物である。例えば、ポリエーテルアミンは、250〜5000の範囲の分子量、または1000〜2500の範囲の分子量を有している。ポリエーテルアミンは、モノ−、ジ−、またはトリアミンであることができ、アミン基は、酸化カーボンブラックの表面と相互作用するのに十分なアクセス可能性(accessibility)を有している。1つの態様では、ポリエーテルアミンは、1つもしくは2つ以上のアミン基が末端にある。1つの態様では、ポリエーテルアミンは、モノアミンである。
【0026】
1つの態様では、ポリエーテルアミンは、1:2〜9:1の範囲の比、例えば1:2〜8:1、1:2〜7:1、または1:2〜6:1の範囲の比で、プロピレンオキシドおよびエチレンオキシドモノマーを含んでいる。
【0027】
ポリエーテルアミンは、分岐または直鎖であることができる。1つの態様では、ポリエーテルアミンは以下の式を有している。
【0028】
【化2】
【0029】
式中、x=1〜35、y=3〜30、x/yは少なくとも0.15である。他の態様では、x/yは少なくとも0.3である。例えば、x/yは、9/1、3/19、29/6、10/31または1/1であることができる。例示的なポリエーテルアミンは、Huntsman Corporationから、JEFFAMINE(商標)ポリエーテルアミンの商標で得ることができる。
【0030】
粉末化された材料は、粒子状材料であり、そして典型的には一次粒子の凝集物を含んでいる。粉末化された材料は、分散体として、またはバルク粉末として、例えば、水もしくは溶媒を実質的に含まない、例えば、10%未満の、5%未満の、3%未満の、または1%未満の水もしくは溶媒の粉末として、存在することができる。1つの態様では、ポリエーテルアミンは、粉末化された材料(例えば、バルクの粉末化された材料)中に、粉末化された材料の全質量に対して5質量%〜30質量%の範囲の量、例えば粉末化された材料の全質量の5質量%〜30質量%の範囲の量で存在する。他の態様では、カーボンブラックは、粉末化された材料中に、粉末化された材料の全質量に対して65質量%〜95質量%の範囲の量で存在する。
【0031】
他の態様では、ポリエーテルアミンで酸化カーボンブラックをコーティングすることを含む粉末化された材料を調製する方法が提供され、ここで酸化カーボンブラックは、50〜700m/gの範囲のBET表面積、50〜200mL/100gの範囲のDBP油吸着量、および7〜30nmの範囲の一次粒子径を有しているカーボンブラック(例えば、未変性カーボンブラック)を酸化することによって得られる。
【0032】
1つの態様では、コーティングの工程は、ポリエーテルアミンを酸化カーボンブラック上に噴霧することを含んでいる。1つの態様では、噴霧は、酸化カーボンブラック粉末上に行われる。
【0033】
多くのハイカラーカーボンブラックが、粉末または、粉末の圧縮成形された形態であるペレットのいずれかで入手可能である。ペレットは、例えば粉立ちが低減されているために、取り扱いが容易ではあるが、それらは分散がより難しい。本明細書で開示された粉末化された材料の圧縮成形(compacting)/圧縮(densifying)によって形成されたペレットは、取扱いの間の粉立ちの量が低減される一方で、容易に分散することが見出された。1つの態様では、ペレットは、少なくとも100μmのD50、例えば100μm〜5000μm、100μm〜2000μm、または100μm〜500μmのD50、または少なくとも125μmのD50、例えば125μm〜5000μm、125μm〜2000μm、または125μm〜500μmのD50、を有している。
【0034】
1つの態様では、酸化されていないカーボンブラックを圧縮成形して、圧縮成形された材料を形成する工程、圧縮成形された材料を酸化する工程、酸化された材料を本明細書で開示されたポリエーテルアミンと混合する工程を含むペレットの製造方法が提供される。他の態様では、ペレットは、本明細書で開示された粉末化された材料を圧縮成形することによって調製される。更に他の態様では、ペレットは、酸化カーボンブラックを圧縮成形すること、および圧縮成形された酸化カーボンブラックを、本明細書で開示されたポリエーテルアミンと混合することによって調製される。
【0035】
他の態様では、表面コーティングのための組成物、またはコーティング組成物が提供される。従って、1つの態様では、50〜700m/gの範囲のBET表面積、50〜200mL/100gの範囲のDBP油吸着量、および7〜30nmの範囲の一次粒子径を有している酸化カーボンブラック、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドモノマーを含むポリエーテルアミン、ならびに少なくとも10000の分子量を有する樹脂を含むコーティング組成物が提供される。
【0036】
1つの態様では、ポリエーテルアミンは、酸化カーボンブラックを被覆している。
【0037】
コーティング組成物中で用いられるカーボン製品の量は、通常は、結果として得られるコーティングの所望の性能に依存する。例えば、炭素製品の量は、黒色度(jetness)、粘度、および分散安定性などの性質を最適化するように調整することができる。1つの態様では、カーボンブラックは、コーティング組成物中に、コーティング組成物の全質量に対して、1質量%〜30質量%の範囲の量で、例えば1質量%〜20質量%の量で存在している。
【0038】
コーティング組成物は、典型的には、ポリエーテルアミンよりも高い分子量、例えば少なくとも10000の分子量を有する樹脂を含んでいる。この樹脂は、疎水性の表面を促進する種類ならびに/あるいはカーボンブラック粒子を互いにおよび/または基材に対して化学的にもしくは物理的に固定するいずれかのポリマーであることができる。1つの態様では、この樹脂は、アクリル、ポリエステル、ポリウレタン、アルキッド、セルロースアセテートブチレート、ニトロセルロース、メラミン、エポキシ、ならびにそれらの混合物および共重合体から選択される。
【0039】
1つの態様では、樹脂が架橋することができる場合には、コーティング組成物は、更に架橋剤を含むことができる。例えば、樹脂が、ポリオール(例えば、ポリエステルポリオール、アクリル系ポリオール、およびそれらの混合物および共重合体)から選択される場合には、架橋剤は、アミン−、イミン−、およびイソシアネート−含有化合物、例えばCytec IndustriesのCymel(商標)325およびCymel(商標)303およびINEOS MelaminesのResimene(商標)717から選択することができる。架橋剤は、練り顔料または希釈剤組成物のいずれかに与えることができる。1つの態様では、(随意選択的に架橋剤を含む)樹脂は、本組成物中に、本組成物の全質量に対して、少なくとも40質量%、少なくとも50質量%、または少なくとも60質量%の量で存在している。
【0040】
1つの態様では、コーティング組成物は、液体媒質を更に含んでいる。1つの態様では、液体媒質は、溶媒、例えば有機溶媒、または溶媒混合物を含んでいる。有機溶媒の好適な例としては、アルコール(例えば、メタノールおよびイソブタノール)、グリコール、エーテル(例えば、テトラヒドロフランまたはジエチルエーテル)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、またはメチルブチルケトン)、エステル(例えば、n−ブチルプロピオネート)、アセテート(例えば、メチル−、エチル−、プロピル−、およびブチルアセテート、およびプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)),アミド(例えば、ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例えば、ジメチルスルホキシド)、炭化水素、芳香族(例えば、トルエン)、ハロカーボン(例えば、クロロホルム)、およびそれらの混和性の混合物(例えば、エチレングリコールおよびメタノール)が挙げられる。慣用の共溶媒としては、ブチルアセテート、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブ、ブチルセロソルブアセテート、エチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、ジエチレングリコール、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エステル、およびそれらの混合物が挙げられるが、それらには限定されず、そしてそれらの混合物もまた用いることができる。1つの態様では、溶媒は、このコーティング組成物中に、本組成物の全質量に対して、0.1質量%〜60質量%の範囲の量、例えば、5質量%〜50質量%の範囲の量、10質量%〜50質量%の範囲の量、または10質量%〜40質量%の範囲の量で存在している。
【0041】
1つの態様では、コーティング組成物は、分散助剤を更に含んでいる。1つの態様では、分散助剤は、アミン官能化またはアミン末端化合物、例えばポリアミン、第三級アミン、または第四級アンモニウム官能化化合物、例えば、テトラオクチルアンモニウムブロミド、ブロック共重合体、例えば、疎水性および親水性基の両方を有する共重合体、ならびにアミン官能基を含むポリアルキレンオキシドまたはアクリルポリマー、ならびにそれらの混合物および共重合体から選択される。アミノ官能化化合物に対して、更なる、または代替の他の分散助剤としては、ポリアルキレンオキシド(例えば、ポリエチレンオキシドまたはポリプロピレンオキシド)、ポリエステル(例えば、ポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリ(ヒドロキシステアリン酸)、またはポリ(ヒドロキシオレイン酸)、ポリアミド、例えばポリカプロラクタム、ポリアクリレート、疎水性および親水性基の両方を有するブロック共重合体、酸官能化化合物(例えば、カルボン酸またはホスホン酸官能化化合物)、酸官能基を含むポリアルキレンオキシドまたはアクリル系ポリマーが挙げられるが、それらには限定されない。
【0042】
用いることができる例示的な分散剤としては、Chevron Chemical Co.のOLOAシリーズ(変性ポリイソブチレンコハク酸イミド)が挙げられるがそれらには限定されない。また、BYK Chemieから全て入手可能なBYK108、BYK 115、BYK116、BYK161、BYK163、BYK 182、BYK 2150およびBYK2050、Noveonから入手可能なSolsperse(商標)シリーズの分散剤27000、32000、32500、38500、および39000、Efkla(商標)分散剤、例えば4050、4310、および4061、ならびにKing IndustriesのK-Sperse(商標)分散剤、例えばK-Sperse(商標)504XDも挙げられるがそれらには限定されない。
【0043】
分散助剤の量は、1つもしくは2つ以上の因子、例えば被覆されたカーボンブラック、溶媒、およびカーボンブラックの充填量を基に決めることができる。通常は、分散助剤の量の被覆されたカーボンブラックの量に対する比は、少なくとも約0.1またはそれ以上(例えば、約0.2以上、または約0.3以上、または約0.5以上、または更には約1以上)であることができる。あるいは、または加えて、分散助剤の量の被覆されたカーボンブラックの量に対する比は、約10以下(例えば、約5以下、または約4以下、または約3以下、または約2.5以下)であることができる。他の態様では、分散助剤の量の被覆されたカーボンブラックの量に対する比は、0.01〜10、0.1〜5、0.1〜2.5、0.5〜2.5、または1〜2.5の範囲であることができる。
【0044】
分散液は、当技術分野で知られたいずれかの方法によって調製することができる。例えば、被覆されたカーボンブラックおよび溶媒は、撹拌して混合して、分散助剤の存在の下で安定な分散液を生成することができる。あるいは、分散助剤は、顔料と混合することができ、そして結果として得られた混合物は、次いで溶媒と混合することができる。顔料、分散助剤、および溶媒は、当技術分野で知られたいずれかの装置、例えば、セラミック媒体またはボールミル、または他の高剪断混合装置、例えばロータ−ステータ混合機で混合することができる。種々の慣用の混合媒体もまた用いることができる。分散液/練り顔料を形成する他の方法は、当業者に知られているであろう。
【0045】
コーティング組成物は、練り顔料または、結局は表面に適用される(例えば、希釈の後に)いずれかのコーティング組成物であることができる。いずれかの理論によって拘束されることは望まないが、ポリエーテルアミン処理されたカーボンブラックは、練り顔料では溶媒によってよりよく湿らされ、そこではポリエーテルアミン分子は、酸/塩基結合の相互作用によってカーボンブラック表面に結合することができる。本発明は、モノアミンに限定はされないが、それらの分子は、カーボンブラック表面上により迅速に吸着されることができ、そしてプロピレンオキシド/エチレンオキシド鎖によって、溶媒分散液中のカーボンブラック粒子の初期の立体的な安定性を与える。粉砕または分散液の形成の間に、より大きな分散助剤分子は、カーボンブラック表面上に吸着されることができ、そして練り顔料および塗料配合物の長期間の安定性を与える。処理された酸化カーボンブラックの分散の向上した効率のために、分散助剤の量は、未処理の酸化カーボンブラックの分散液を生成するのに用いられる分散助剤の量に対して、少なくとも10質量%だけ、少なくとも20質量%だけ、また10質量%〜30質量%の範囲の量だけ、低減することができる。
【0046】
非水性のコーティング配合物は、最終的な用途および存在する成分、例えば他の添加剤に応じて、広範囲に変わる。2種の一般的な添加剤の分類としては、充填剤および改質剤がある。充填剤の例としては、他の着色顔料、粘土、タルク、シリカ、および炭酸塩(carbonate)がある。充填剤は、最終的な用途の必要性に応じて、0.1質量%〜60質量%の範囲の量で加えることができる。改質剤の例としては、流動助剤および平滑化助剤(leveling aids)があり、通常は、5質量%未満で加えられる(例えば、0.1質量%〜5質量%)。本明細書に開示された改質顔料は、標準的な技術、例えば、分散を用いて、非水性のコーティング組成物に組み込むことができる。
【0047】
コーティング組成物は、いずれかの好適な方法で調製することができ、例えば、処理された酸化カーボンブラックを液体媒質および樹脂ならびに、コーティング組成物の他の成分(例えば、他の顔料、分散助剤、媒質、他の着色剤(例えば、染料)、融合助剤、流動添加剤、消泡剤、界面活性剤、防錆剤、電荷制御剤など)と、いずれかの好適な方法(その多くが、当技術分野で知られている)によって、混合することによって調製することができる。例えば、改質顔料粒子は、液体媒質と樹脂の溶媒中の混合物に加えることができ、次いで好適な方法を用いてその中に分散させることができる。あるいは、改質された顔料粒子は、液体媒質中に加えることができ、そして次いでその中に分散することができ、その後に、担体または担体前駆体を加えることができる。本明細書に開示された更なる成分を、コーティング組成物の調製のいずれかの好適な段階で、加えることができる。
【0048】
従って、他の態様では、
エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドモノマーを含むポリエーテルアミンで被覆された酸化カーボンブラック;
少なくとも10000の分子量を有する樹脂;ならびに、
分散助剤、
を含む練り顔料を調製する工程を含むコーティング組成物を調製する方法が提供される。
【0049】
1つの態様では、この方法は、練り顔料を、架橋剤を含む希釈剤(let down)と混合する工程を更に含んでいる。この希釈剤(let down)は、樹脂を含んでおり、樹脂は、練り顔料中の樹脂と同じでも、あるいは異なっていてもよい。1つの態様では、希釈剤は、練り顔料中と同じである、少なくとも1種の樹脂を含んでいる。また、希釈剤は、更なる成分、例えば架橋剤、有機溶媒、分散助剤、および界面活性剤などを含むことができる。
【0050】
また、本明細書にはコーティング、例えば、コーティング組成物を基材表面に適用した後に、次いで溶媒を、例えば乾燥によって、除去した組成物、が開示されている。従って、他の態様では、50〜700m/gの範囲のBET表面積、50〜200mL/100gの範囲のDBP油吸収量、および7〜30nmの範囲の一次粒子径を有する酸化カーボンブラック、エチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドモノマーを含むポリエーテルアミン、ならびにアクリル、ポリエステル、ポリウレタン、アルキッド、セルロースアセテートブチレート、ニトロセルロース、メラミン、エポキシ、ならびにそれらの混合物および共重合体を含むコーティング組成物が提供される。
【0051】
この樹脂は、本明細書に開示されたいずれかの樹脂であることができる。1つの態様では、この樹脂は、疎水性表面を促進する、ならびに/あるいはカーボンブラック粒子を互いにおよび/または基材に化学的にもしくは物理的に固定することができる。1つの態様では、基材は、ガラス、プラスチック、金属、セラミック、紙、および木材、ならびにそれらの塗工された、被覆された、もしくはワックス掛けされた表面から選択される。他の態様では、基材は、金属、例えば、自動車用金属表面(例えば、自動車の車体)、例えば鋼、アルミニウム、マグネシウム、チタン、亜鉛、およびそれらの合金、から選択される。
【0052】
本明細書に開示されたコーティングは、多くの異なる最終用途、例えば、自動車用上塗り塗料に、向上した総合的な性能特性を与えるために、用いることができる。ポリエーテルアミン処理されたカーボンブラックは、コーティング組成物中に容易に分散させて、向上した黒色度および青色の色調を有するコーティングを得ることができる。このことは、下記の例によって更に明らかにされ、それらは、本発明の純粋な例であることが意図されている。
【実施例】
【0053】
例1
種々の中間色品種のカーボンブラック、例えば、Monarch(商標)880、基本のシードカーボンブラック(CB)粒子、およびMonarch(商標)1000(これはMonarch(商標)880の硝酸処理された酸化されたもの)を試験した。Monarch(商標)1000カーボンブラックは、JEFFAMINE(商標)ポリエーテルアミンの、M-2005、M-2070およびXTJ-674品種と混合し、そしてOEM型の溶媒系の配合物で試験した。
【0054】
下記の表1に、Monarch(商標)880およびMonarch(商標)1000試料とJEFFAMINE(商標)(JA)ポリエーテルアミンとの混合物を列挙した。
【0055】
【表1】
【0056】
十分な水溶性のポリエーテルアミン(JEFFAMINE(商標)ポリエーテルアミンM-2070およびXTJ-674)を水溶液として、種々の量で、カーボンブラック上に噴霧した。JEFFAMINE(商標)ポリエーテルアミンM-2005を、水中の懸濁液として噴霧した。カーボンブラック試料は、10時間ロールに掛け、そして次いで85℃で一晩乾燥した。試料の大半は、加えた水の量は最小限であったので(DBPよりも少ない)、オーブン乾燥の前でさえも粉末であった。乾燥カーボンブラック試料は、練り顔料に配合する前に粉砕した。
【0057】
例2
この例は、2.45%の顔料充填量で、標準のDisperBYK 163分散助剤(BYK Chemie(アトランタ)の製品)でのひな形の自動車用溶媒系配合物の調製における、例1の被覆されたカーボンブラック試料の使用を記載している。
【0058】
練り顔料を、下記の設備を用いて調製した。
・Eiger mill;
・1.0mmのジルコニウム媒体;
・Blue Mベント付き乾燥オーブン(形式POM 206)、Gar Lab 15 Hour model (VWR)
・エアアシストスプレイ;および
・粗い塗料ろ過器(Paul N. Gardner Co.)。
【0059】
下記の原材料を用いた。
・Setal(商標)1715VX74(ポリエステルポリオール)
・Setalux(商標)1184SS51(アクリル系ポリオール)
・DisperBYK(商標)163(高分子量アクリレート)
・Cymet 325(商標)メラミン樹脂(アミノ系架橋剤、Cytec)
・BYK(商標)346、湿潤剤(シリコーン界面活性剤、BYK Chemie)
・ブチルアセテート、および、
・PGMEA。
【0060】
練り顔料マスターバッチは、下記の表2中に列挙した材料を含んでいた。
【0061】
【表2】
【0062】
Setal(商標)1715VX74をクォート缶に容れ、そして研究室用混合機中に置いた。DisperBYK(商標)163、ブチルアセテートおよびPGMEAを予備混合し、そして次いでSetal(商標)1715VX74に、良好な撹拌の下に加え、5分間混合し、次いで10分間更に混合し、そして次いで排出した。
【0063】
練り顔料を、下記の表3に列挙した比率を用いて調製した。
【0064】
【表3】
【0065】
127.5グラム(±0.01)の練り顔料マスターバッチを、高速のdispermatの下で容器中に置いた。22.5グラムの、例1の被覆されたカーボンブラックを、ゆっくりした撹拌の下に、練り顔料マスターバッチに加えた。速度を4000rpmに増加させ、そして5分間混合した。この混合物を、次いで水平混合機(Eiger)を通して4回再循環し、そして粘度を測定した。この混合物を排出し、そして希釈へと進んだ。
【0066】
例3
この例は、例2の練り顔料組成物の希釈および最終的なコーティング組成物の調製を記載している。
【0067】
下記の表4中に列挙した比率で、希釈マスターバッチを調製した。
【0068】
【表4】
【0069】
Setalux(商標)1184SS51およびSetar(商標)1715VX74を半ガロンの容器に秤量し、そして研究室用混合器の下に置いた。BYK(商標)346、ブチルアセテート、PGMEAおよびCymel(商標)325を一緒に予備混合し、次いでSetalux(商標)/Setal(商標)混合物に、良好な撹拌の下でゆっくりと加えた。このマスターバッチを、更に15分間混合し、次いで排出した。
【0070】
仕上げ塗料を下記の表5に列挙した比率で調製した。
【0071】
【表5】
【0072】
90.2グラム(±0.01)の希釈剤マスターバッチを、9.4グラムの、例2の練り顔料に、良好な撹拌の下で、8オンスのエポキシ被覆缶中で加えた。この混合物を、skandex中に15分間置き、そして適用の段階の前に、一晩放置した。
【0073】
例4
この例は、例3のコーティング組成物から作られたコーティングの調製および評価を記載している。
【0074】
Monarch(商標)1000での配合物を、0.8ミルのDFT(乾燥膜厚)でスズ板上に噴霧し、そして室温での10分間の瞬間的な空気乾燥の後に、140℃で20分間乾燥した。色相を、Hunter Labscan比色計で測定した。表6に、表1の成分から作られた試料について、L a bおよびMcデータを示している。
【0075】
【表6】
【0076】
このデータから、ポリエーテルアミンで処理された酸化カーボンブラックの試料は、被覆されたポリエーテルアミンなしの酸化カーボンブラックの対照試料よりも、より低いL(より強い色)、より良好な(より低い)色調b、およびより高いM値を示していることを理解することができる。カーボンブラック上のポリエーテルアミンの量の増加は、よりよい発色を備えたコーティングをもたらしている。より疎水性である、ポリプロピレンオキシドのより高い含有量のポリエーテルアミン、XTJ-674およびM-2005は、より親水性のM-2070よりも、より良好な色を生じた。
【0077】
酸化されていないCB M880で作られた練り顔料(試料番号4、8および12)は、コーティングの調製には粘度が高過ぎ、それらの試料についてはデータを採ることができなかった。
【0078】
例5
コーティング組成物は、下記の表7に示したように、JEFFAMINE(商標)ポリエーテルアミンで被覆された、酸化カーボンブラックのBlack Pearls(商標)1300品種で作られていた。
【0079】
【表7】
【0080】
コーティング組成物は、例1〜4に概略を述べた方法に従って調製した。それらの試料の色性能(color performance)(M)を、被覆されていない、Orionの酸化カーボンブラック(FW200)を含む組成物の性能と比較した。結果を表8に示した。
【0081】
【表8】
【0082】
本発明の試料は、コーティングに、FW200で作られた試料よりも5〜7単位高いMc値の、より良い色相を与えることが見出された。これらの結果を基に、親水性のJEFFAMINE(商標)ポリエーテルアミンM-2070)は、中程度におよび高度に疎水性の材料(M1000の結果と同様)のようには良好な黒色度を与えないと結論付けることができる。JEFFAMINE(商標)ポリエーテルアミンXTJ-674およびM-2005は、同じように良好な性能を発揮する。
【0083】
良好な黒色度および隠蔽力を得るために、Monarch(商標)1300(被覆されていない)での溶媒練り顔料は、媒体ミルを4〜5回通過させる必要がある。本明細書に記載されているように、ポリエーテルアミンで被覆された酸化カーボンブラック、例えば、ポリエーテルアミンと混合され、次いで乾燥された、粉砕されたBlack Pearls(商標)1300ペレットの水溶液、を用いると、媒体ミルを通した粉砕(milling)時間は、1回の通過に低減される。
【0084】
また、本明細書に開示された練り顔料、例えば、Black Pearls(商標)1300で調製された練り顔料(試料1〜12)は、良好な色を得るために、実質的により少ない分散助剤しか必要としないことが見出された。この挙動は、配合の全体の費用を低減させることによって、顧客に付加的な利益をもたらす。
【0085】
例6
この例は、ポリエーテルアミン処理されたペレットの形成を示している。
【0086】
酸化カーボンブラックペレット試料のBlack Pearls(商標)1000およびBlack Pearls(商標)1300を、例1と同じ方法で、JEFFAMINE(商標)ポリエーテルアミンM-2005で処理して、ポリエーテルアミン処理したペレットの試料Aおよび試料Bをそれぞれ生成した。
【0087】
試料AおよびBの典型的なペレット径分布を表9に示した。
【0088】
【表9】
【0089】
例7
この例は、例6の試料Aおよび試料Bペレットからの、コーティング組成物の調製を示している。表10に、練り顔料マスターバッチの調製のための材料を列挙している。
【0090】
【表10】
【0091】
Efka 4310、ブチルアセテート、およびPGMEAの混合物を調製し、次いで、良好な撹拌の下で、Setal(商標)189SS65を加えた。次いで、カーボンブラックをゆっくりと加え、次いで5分間4000rpmで混合した。次いで、この混合物を、水平媒体Eigerミルに、10m/秒の先端速度で、以下に特定した通過回数で、通過させた。
【0092】
練り顔料を、表11の希釈剤配合物で希釈した。
【0093】
【表11】
【0094】
セルロースアセテートブチレート樹脂溶液、Cymel 325、およびBYK346の混合物を、ブチルアセテート/PGMEA中に一緒に混合した。この混合物を、良好な撹拌の下で、Setal(商標)189SS65に加え、そして15分間混合し、そして排出した。仕上げ配合物を、下記の表12に列挙した比率で調製した。
【0095】
【表12】
【0096】
練り顔料を、良好な撹拌の下でマスターバッチ希釈剤に加え、20分間混合し、そして次いで排出した。
【0097】
コーティングを、この配合物を、冷たいロール鋼および、0.003のキャストバー(.003 cast out bar)を備えたBYKチャート上に流し込む(casting out)ことによって形成し、次いで10分間、室温で空気乾燥し、そして150°Fで10分間硬化させた。結果として得た透明な被覆を、0.005のキャストバー(.005 cast out bar)で注型し(cast)、次いで、室温で24時間、空気乾燥した。
【0098】
以下の表13〜18には、ここに開示されたペレット(試料AおよびB)について、L、bおよびMc値がそれぞれ、ペレット化された酸化ブラック(Black Pearls(商標)1000)および粉末化された酸化ブラック(Monarch(商標)1000またはMonarch(商標)1300)と比較して、示されている。
【0099】
【表13】
【0100】
【表14】
【0101】
【表15】
【0102】
【表16】
【0103】
【表17】
【0104】
【表18】
【0105】
開示されたペレット(試料AおよびB)は、酸化カーボンブラックおよび未処理のカーボンブラックに対して、優れた色性能を示している。より速い色Lおよびb値の顕色は、系中の顔料粒子のより高い分散に起因すると考えることができる。また、同じことが、黒色度の顕色にも見ることができる。商業的な酸化ブラックにおける5回の通過に対して、試料AおよびBでは、2回の通過で最適の色性能が得られた。基準のブラックは、ミルの7回の通過の後でさえも、開示されたペレットの色性能に近づくことはできなかった。
【0106】
更に、試料AおよびBは、ちょうど20%の分散剤充填量を必要としたが、一方で、基準のカーボンと酸化カーボンブラックの両方は、40%もしくはそれ以上の充填量を必要とした。開示されたペレットの少ない分散剤の必要性は、非極性の配合物中のポリエーテルアミン/ペレット複合材のより低い表面エネルギーに起因すると考えることができる。
【0107】
例8
この例は、ポリエーテルアミンでの酸化カーボンブラックの処理およびそれから調製されたコーティング組成物を示している。
【0108】
粉末化された、酸化されたブラック、Monarch(商標)1300を、JEFFAMINE(商標)ポリエーテルアミン品種D-230で、例1に記載したのと同じ方法で処理して、ポリエーテルアミン処理されたカーボンブラック(試料C)を形成した。下記の表19に、練り顔料組成物の成分を列挙した。
【0109】
【表19】
【0110】
DisperBYK(商標)161、ブチルアセテート、およびPGMEAの混合物を調製し、次いで良好な撹拌の下で、Setal(商標)189SS65を加えた。カーボンブラックをゆっくりとこの混合物に加え、そして次いで4000rpmで更に5分間混合した。
【0111】
この混合物を、次いで水平媒体のEigerミルを通して、10m/秒の先端速度で通過させ、排出し、次いで練り顔料の粘度に進めた。
【0112】
仕上げ配合物を、下記の表20に示した。
【0113】
【表20】
【0114】
Setal(商標)189SS65およびセルロースアセテートブチレート樹脂溶液を、良好な撹拌の下に混合し、次いで練り顔料を混合して、そして15分間混合した。この配合物を排出し、そしてコーティングを、例7に記載したのと同じ方法で調製した。
【0115】
表21に、L、a、bおよびMc値を列挙した。
【0116】
【表21】
【0117】
ポリエーテルアミン処理されたカーボンブラックでは、未処理の試料に比べて、向上したLおよびM値が得られることを理解することができる。
【0118】
これらの例は、特許請求した発明によって、被覆された酸化カーボンブラックで調製されたコーティングは、被覆されていない酸化カーボンブラックで調製されたコーティングを有意に卓越する色特性を示すことを示している。
【0119】
用語「a」および「an」および「the」の使用は、本明細書において特に断りがない限り、または文脈から明確に否定されない限り、単数と複数の両方を包含すると理解されなければならない。用語「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」および「含む(containing)」は、特に断りのない限り、解放型の用語(すなわち、「含むが、それだけには限定されない」)として理解されなければならない。本明細書における数値範囲の記載は、本明細書で特に断りのない限り、単に、その範囲内に入るそれぞれの個々の値を個別に参照する省略法として供することを意図しており、そしてそれぞれの個別の値は、それが独立して本明細書中に記載されているように本明細書中に組み込まれる。本明細書に記載された全ての方法は、本明細書中に特に断りのない限り、または文脈から明確に否定されない限り、いずれかの好適な順序で行うことができる。本明細書に記載された、いずれかの、および全ての例、あるいは例示的な用語(例えば、「例えば」)の使用は、単に、本発明をより良く提示することと意図しており、そして特に断りの無い限り、本発明の範囲に限定を加えるものではない。本明細書中のどのような言葉も、いずれかの特許請求されていない要素が、本発明の実施に必須であると示していると理解されてはならない。
【0120】
本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)50〜700m/gの範囲のBET表面積、50〜200mL/100gの範囲のDBP油吸収量、および7〜30nmの範囲の一次粒子径を有する酸化カーボンブラック;ならびに、
エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドモノマーを含むポリエーテルアミン、
を含んでなり、該ポリエーテルアミンは、該酸化カーボンブラックを被覆している、粉末化された材料
(2)前記ポリエーテルアミンが、250〜5000の範囲の分子量を有する、(1)記載の粉末化された材料。
(3)前記ポリエーテルアミンが、1000〜2500の範囲の分子量を有する、(1)または(2)記載の粉末化された材料。
(4)前記プロピレンオキシドおよびエチレンオキシドモノマーが、前記ポリエーテルアミン中に、1:2〜9:1の範囲の比率で存在する、(1〜3)のいずれか1項記載の粉末化された材料。
(5)前記プロピレンオキシドおよびエチレンオキシドモノマーが、前記ポリエーテルアミン中に、1:2〜7:1の範囲の比率で存在する、(1〜4)のいずれか1項記載の粉末化された材料。
(6)前記ポリエーテルアミンが、前記粉末化された材料中に、5〜30質量%の範囲の量で存在する、(1〜5)のいずれか1項記載の粉末化された材料。
(7)前記ポリエーテルアミンが、前記粉末化された材料中に、10〜25質量%の範囲の量で存在する、(1〜6)のいずれか1項記載の粉末化された材料。
(8)前記酸化カーボンブラックが、前記粉末化された材料中に、65〜95%の範囲の量で存在する、(1〜7)のいずれか1項記載の粉末化された材料。
(9)前記ポリエーテルアミンが、モノアミンである、(1〜8)のいずれか1項記載の粉末化された材料。
(10)前記酸化カーボンブラックが、未変性のカーボンブラックの酸化によって形成される、(1〜9)のいずれか1項記載の粉末化された材料。
(11)前記材料が、バルクの粉末化された材料である、(1〜10)のいずれか1項記載の粉末化された材料。
(12)50〜700m/gの範囲のBET表面積、50〜200mL/100gの範囲のDBP油吸収量、および7〜30nmの範囲の一次粒子径を有する酸化カーボンブラック;ならびに、
下記の式:
【化3】
式中、x=1〜35、y=3〜30、x/yは少なくとも0.15である、
を有するポリエーテルアミン、
を含んでなり、かつ該ポリエーテルアミンが該酸化カーボンブラックを被覆している、粉末化された材料。
(13)x/yが少なくとも0.3である、(12)記載の粉末化された材料。
(14)前記材料が、バルクの粉末化された材料である、(12)または(13)記載の粉末化された材料。
(15)50〜700m/gの範囲のBET表面積、50〜200mL/100gの範囲のDBP油吸収量、および7〜30nmの範囲の一次粒子径を有する酸化カーボンブラック;ならびに、
エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドモノマーを含むポリエーテルアミン、
を含んでなり、該ポリエーテルアミンは、該酸化カーボンブラックを被覆している、ペレット。
(16)50〜700m/gの範囲のBET表面積、50〜200mL/100gの範囲のDBP油吸収量、および7〜30nmの範囲の一次粒子径を有する酸化カーボンブラック;ならびに、
下記の式:
【化4】
式中、x=1〜35、y=3〜30、x/yは少なくとも0.15である、
を有するポリエーテルアミンを含んでなり、かつ該ポリエーテルアミンが該酸化カーボンブラックを被覆している、ペレット。
(17)前記ペレットが、少なくとも100μmのD50を有する、(15)または(16)記載のペレット。
(18)前記ペレットが、少なくとも125μmのD50を有する、(15)または(16)記載のペレット。
(19)前記ペレットが、125μm〜5000μmの範囲のD50を有する、(15)または(16)記載のペレット。
(20)前記ペレットが、125μm〜2000μmの範囲のD50を有する、(15)または(16)記載のペレット。
(21)前記ペレットが、125μm〜500μmの範囲のD50を有する、(15)または(16)記載のペレット。
(22)50〜700m/gの範囲のBET表面積、50〜200mL/100gの範囲のDBP油吸収量、および7〜30nmの範囲の一次粒子径を有する酸化カーボンブラック;
エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドモノマーを含むポリエーテルアミンならびに、
少なくとも10000の分子量を有する樹脂、
を含んでなる、コーティング組成物。
(23)前記樹脂が、アクリル、ポリエステル、ポリウレタン、アルキッド、セルロースアセテートブチレート、ニトロセルロース、メラミン、エポキシ、ならびにそれらの混合物および共重合体から選択される、(22)記載の組成物。
(24)50〜700m/gの範囲のBET表面積、50〜200mL/100gの範囲のDBP油吸収量、および7〜30nmの範囲の一次粒子径を有する酸化カーボンブラック;
エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドモノマーを含むポリエーテルアミンならびに、
アクリル、ポリエステル、ポリウレタン、アルキッド、セルロースアセテートブチレート、ニトロセルロース、メラミン、エポキシ、ならびにそれらの混合物および共重合体から選択される樹脂、
を含んでなる、コーティング組成物。
(25)前記ポリエーテルアミンが、前記酸化カーボンブラックを被覆している、(22〜24)のいずれか1項記載の組成物。
(26)前記ポリエーテルアミンが、500〜5000の範囲の分子量を有している、(22〜25)のいずれか1項記載の組成物。
(27)前記プロピレンオキシドおよびエチレンオキシドモノマーが、前記ポリエーテルアミン中に、1:2〜9:1の範囲の比率で存在している、(22〜26)のいずれか1項記載の組成物。
(28)前記樹脂が、前記組成物中に、少なくとも60質量%の量で存在する、(22〜27)のいずれか1項記載の組成物。
(29)前記酸化カーボンブラックが、前記組成物中に、1質量%〜30質量%の範囲の量で存在する、(22〜28)のいずれか1項記載の組成物。
(30)液体媒質を更に含む、(22〜29)のいずれか1項記載の組成物。
(31)架橋剤を更に含む、(22〜30)のいずれか1項記載の組成物。
(32)分散助剤を更に含む、(22〜31)のいずれか1項記載の組成物。
(33)50〜700m/gの範囲のBET表面積、50〜200mL/100gの範囲のDBP油吸収量、および7〜30nmの範囲の一次粒子径を有する酸化カーボンブラック;
エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドモノマーを含むポリエーテルアミンならびに、
アクリル、ポリエステル、ポリウレタン、アルキッド、セルロースアセテートブチレート、ニトロセルロース、メラミン、エポキシ、ならびにそれらの混合物および共重合体から選択される樹脂、
を含んでなる、コーティング。
(34)前記樹脂が、アクリル、ポリエステルならびにそれらの混合物および共重合体から選ばれる、(33)記載のコーティング。
(35)酸化カーボンブラックをポリエーテルアミンで被覆する工程を含む、ペレットまたは粉末化された材料を調製する方法であって、該酸化カーボンブラックが、50〜700m/gの範囲のBET表面積、50〜200mL/100gの範囲のDBP油吸収量、および7〜30nmの範囲の一次粒子径を有する未変性のカーボンブラックを酸化することによって得られる、方法。
(36)前記被覆する工程が、前記ポリエーテルアミンを、前記酸化カーボンブラック上に噴霧することを含む、(35)記載の方法。
(37)前記酸化カーボンブラックが、未変性のカーボンブラックを硝酸で酸化することによって得られる、(35)記載の方法。
(38)エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドモノマーを含むポリエーテルアミンで被覆された酸化カーボンブラック;
少なくとも10000の分子量を有する樹脂;ならびに、
分散助剤、
を含む練り顔料を調製する工程を含んでなる、コーティング組成物の調製方法。
(39)前記酸化カーボンブラックが、50〜700m/gの範囲のBET表面積、50〜200mL/100gの範囲のDBP油吸収量、および7〜30nmの範囲の一次粒子径を有する、(38)記載の方法。
(40)前記樹脂が、アクリル、ポリエステル、ポリウレタン、アルキッド、セルロースアセテートブチレート、ニトロセルロース、メラミン、エポキシ、ならびにそれらの混合物および共重合体から選ばれる、(38)または(39)記載の方法。
(41)前記練り顔料を、架橋剤を含む希釈剤と混合する工程を更に含む、(38〜40)のいずれか1項記載の方法。