(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5934838
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月15日
(54)【発明の名称】沸騰床残渣油水素化の排出触媒を処理する方法および装置
(51)【国際特許分類】
B01J 38/00 20060101AFI20160602BHJP
B01J 37/06 20060101ALI20160602BHJP
B09B 3/00 20060101ALI20160602BHJP
B01D 21/26 20060101ALI20160602BHJP
B01D 17/025 20060101ALI20160602BHJP
C10G 49/00 20060101ALI20160602BHJP
【FI】
B01J38/00 301J
B01J37/06ZAB
B09B3/00 304L
B01D21/26
B01D17/025 502Z
C10G49/00
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-510606(P2015-510606)
(86)(22)【出願日】2012年7月25日
(65)【公表番号】特表2015-523194(P2015-523194A)
(43)【公表日】2015年8月13日
(86)【国際出願番号】CN2012079132
(87)【国際公開番号】WO2013166783
(87)【国際公開日】20131114
【審査請求日】2015年5月26日
(31)【優先権主張番号】201210147625.1
(32)【優先日】2012年5月11日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514287018
【氏名又は名称】シャンハイ フアチャン エンバイロンメンタル プロテクション カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI HUACHANG ENVIRONMENTAL PROTECTION CO., LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100181272
【弁理士】
【氏名又は名称】神 紘一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100173657
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬沼 宗一郎
(72)【発明者】
【氏名】リー ジエンピーン
(72)【発明者】
【氏名】ワーン ジアーンガーン
(72)【発明者】
【氏名】ワーン ホワリン
(72)【発明者】
【氏名】ジャーン イエンホーン
(72)【発明者】
【氏名】ツゥイ シン
(72)【発明者】
【氏名】シェン リーン
(72)【発明者】
【氏名】リー リーチュエン
(72)【発明者】
【氏名】チェン チョーンガーン
(72)【発明者】
【氏名】ズオン チエン
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ イーン
【審査官】
安齋 美佐子
(56)【参考文献】
【文献】
特表2008−512557(JP,A)
【文献】
特開昭59−150540(JP,A)
【文献】
米国特許第5053082(US,A)
【文献】
特開2000−288521(JP,A)
【文献】
特開平07−116524(JP,A)
【文献】
特表2010−512432(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00−38/74
B01D 17/025
B01D 21/26
B09B 3/00
C10G 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を含む沸騰床残渣油水素化の排出触媒を処理する方法。
(1)粘度を低下させる調節と制御:沸騰床残渣油水素化反応器で間断的に排出触媒を調節して保存した後、継続的に放出し、水を入れて温度を調整することで、排出触媒顆粒の表面と内部の空孔に吸着した油の粘度を低下させ、吸着した油の排出触媒顆粒の表面と内部の空孔における流動性を改善する工程、
(2)旋回流による脱着分離:旋回流場における流動剪断力を利用し、吸着した油を排出触媒顆粒の表面と内部の空孔から脱着分離する工程、及び
(3)油-水-触媒の三相分離および資源化利用:旋回流による脱着分離の過程で発生した油/水/触媒の混合物を三相分離し、油の回収、分離した水の循環使用、および分離した固形顆粒の全部回収を実現する工程。
【請求項2】
前述工程(3)で、旋回流による脱着分離の過程で発生した油/水の混合物を油水分離し、油の回収を実現し、分離した水を循環使用し、旋回流による脱着分離の過程で発生した触媒顆粒/水の混合物に対して濃縮、乾燥による二段の減量脱水を行い、触媒顆粒の回収を実現し、その減量で脱離した水も循環使用することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前述沸騰床残渣油水素化の排出触媒の油含有率が触媒の重量で計算すると20〜60重量%で、新鮮な担体のBJH法で測定された比表面積が183.071〜416.308m2/gで、空孔容積が0.22〜0.71ml/gであることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
排出触媒の処理を継続的に行えるように、間断的に排出された沸騰床残渣油水素化触媒を調節して保存し、かつ継続的な放出を制御する、撹拌調節タンク(1)と、
排出触媒に水を入れて温度を調整することで、排出触媒顆粒の表面と内部の空孔に吸着した油の粘度を低下させ、吸着した油の排出触媒顆粒の表面と内部の空孔における流動性を改善する、撹拌調節タンク(1)の放出口と連結した攪拌分散タンク(2)と、
排出触媒/水の混合物によって中で旋回流場を形成し、旋回流場における流動剪断力によって排出触媒顆粒の表面と内部の空孔に吸着した油の脱着分離を実現する、攪拌分散タンク(2)の放出口と連結した旋回流脱着分離器(3)と、
油水分離を完成する、旋回流脱着分離器(3)の油/水の混合物の放出口と連結した循環熱湯貯蔵タンク(5)と、
循環熱湯を攪拌分散タンク(2)に輸送して循環使用する、循環熱湯貯蔵タンク(5)の排水口と連結した循環熱湯ポンプ(6)と、
旋回流脱着分離後の触媒/水の混合物の濃縮脱水による減量を完成する、旋回流脱着分離器(3)の触媒顆粒の濃縮相の出口と連結した旋回流濃縮器(4)と、
触媒/水の混合物の最終の加熱乾燥脱水を完成し、触媒固形顆粒の回収を実現する、旋回流濃縮器(4)の触媒顆粒の濃縮相の出口と連結した乾燥機(7)と、
を含む沸騰床残渣油水素化で排出された触媒を処理する装置。
【請求項5】
攪拌分散タンク(2)における排出触媒と循環水の比率が重量で1:5〜1:100で、攪拌分散タンク(2)の操作温度が50〜190℃で、操作圧力がゲージ圧で0〜1.3MPaで、分散時間が1〜120分間であることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前述旋回流脱着分離器(3)における剪断速度が3000-10000s-1で、操作圧力降下が0.15MPa未満で、触媒顆粒の分離効率が98%以上で、触媒顆粒の濃縮相の出口の流量は入口の流量の5-25%で、旋回流脱着分離後の排出触媒の乾燥後の油含有率が前述排出触媒の重量で計算すると13.5重量%以下に低下することを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前述旋回流濃縮器(4)の触媒顆粒の分離効率が98%以上で、操作圧力降下が0.15MPa未満であることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項8】
前述旋回流濃縮器(4)は液体サイクロンから、前述循環熱湯貯蔵タンク(5)は油水分離設備から、前述熱湯循環ポンプ(6)は化学工業プロセスポンプから、前述乾燥機(7)は内部回送乾燥機から選ばれることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項9】
前述攪拌調節タンク(1)は、攪拌機構を用いることで、排出触媒の長時間貯蔵による沈降と結塊を防止し、前述攪拌分散タンク(2)は、攪拌分散設備から選ばれ、攪拌分散によってシステム温度を均一に調節・制御することが保証されることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項10】
油含有固形廃棄物の処理における請求項4-9のいずれかに記載の装置の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石油化学工業と環境保護の分野に属し、油含有多孔顆粒から油と固形顆粒を分離して回収するための、油含有多孔顆粒を処理する方法および装置に関する。具体的に、本発明は、沸騰床残渣油水素化の排出触媒を処理する方法および装置を提供する。
【背景技術】
【0002】
沸騰床残渣油水素化技術は、高硫黄・高残留炭素・高金属の重油を加工する重要な技術であって、固定床残渣油水素化における空間速度が低い、触媒の失活が早い、システムの圧力降下が大きい、コークス化しやすい、装置の運転周期が短いなどの問題の解決には顕著に有利である。
【0003】
沸騰床残渣油水素化装置の3〜5年の長周期運転を保証するため、STRONG沸騰床残渣油水素化技術で触媒のオンラインの添加・排出が実現された。失活した触媒が反応器から排出される過程において、排出触媒顆粒の表面と内部空孔に大量の石油類汚染物質(アルカン、芳香族炭化水素、ゴム質や瀝青など)が吸着しており、石油類汚染物質が環境に入ると、人体、動物・植物、大気・水環境に大きな危害を及ぼす可能性がある。そのため、触媒の排出に対し、厳しい環境保護の法律法規が大量にできた。米国環境保護庁(EPA)は、廃触媒(水素化処理、水素化精製、水素化分解で排出された廃触媒を含む)を危険廃棄物とした。中国の環境保護部は、2008年に廃触媒を国家危険廃棄物カタログに入れ、且つその危険特性をT級(有毒)とした。同時に、排出触媒の油含有率が一般的に20〜60%と高いため、それに適切な処理を施さないと、石油資源の大きな浪費でもある。
【0004】
現在、工業現場の排出触媒を処理する方法は、主に、埋立法と焼却法がある。しかし、埋立法では、土地資源が大量に無駄にされ、且つ土壌環境と水環境を汚染する。一方、焼却法処理の過程において、石油類汚染物質の熱エネルギーが有効に利用されず、且つ排出触媒に通常、硫黄分、重金属分などが大量に吸着しているため、焼却または焼成の過程において、これらの成分が排気とともに大気環境に入り、二次汚染源となる。
【0005】
中国特許出願CN 1557977Aには、排出触媒を400〜800℃の温度で乾留を1〜2.5時間続け、乾留ガスを冷却・凝縮して油を回収する方法が公開されているが、全体のプロセスに工程が長く、エネルギー消費が大きいとう問題がある。中国特許出願CN 101166837Aには、圧力が60バールの濃密相ガスで排出触媒を撹拌して洗浄する方法が公開されているが、操作設備が複雑で、設備のコストが大きく、操作性が劣るという問題がある。米国特許US 4661265には、反応器からの排出触媒から油を分離する方法が公開されており、その具体的な手順は、油冷却方法で排出触媒の温度を油の引火点に降下させた後、スクリュー輸送機構で排出触媒を貯蔵タンクから輸送し、輸送の過程において、油が重力の作用でスクリューの隙間から漏出し、排出触媒からの油の分離を実現するが、その脱油の効率が低く、処理後の排出触媒が依然油を大量に含む。
【0006】
このように、現在、排出触媒の処理は、理想の効果が得られず、または脱油効率が低く、または処理のエネルギー消費が高すぎ、さらに二次汚染を引き起こすことが多い。排出触媒に対する不適切な処理による環境・資源問題は、水素化プロセスの発展に深く影響している。沸騰床残渣油水素化プロセスの発展の障碍を解決するには、沸騰床残渣油水素化の排出触媒の処理の問題を解決しなければならないため、有効に沸騰床残渣油水素化の排出触媒を処理する方法および装置の開発が切望されている。
【0007】
1993年に、米国環境保護庁(EPA)は、熱脱着法で油含有固形廃棄物(石油スラッジ)を処理し、熱いアルカリ水溶液で繰り返して洗浄し、さらに空気浮上で固液分離を実施した。通常、洗浄温度は、70℃とし、液固比が3:1で、洗浄時間が20分であり、油含有量が30%のオイルスラッジを残油率が1%以下になるまで洗浄することができる。1999年に、Michael J. Mann(Full-scale and Pilot-scale Soil Washing, [J]. Journal of Hazardous Materials, 1999, 66:119-136)は、熱湯洗浄法で石油で汚染された土壌を処理し、土壌洗浄のモデル装置を確立し、具体的に、液体サイクロンで汚染された土壌の顆粒を粒度分級し、分級後の汚染された土壌の顆粒を攪拌器で撹拌洗浄して実施すると、優れた効果が得られるから、熱湯洗浄法が比較的に有効な油含有固形廃棄物を処理する方法となった。ドイツ特許DE 4232455 (A1)にも、液体サイクロンで汚染された土壌を水力分級し、分級後の汚染された土壌の顆粒をジェットミキサーで洗浄し、洗浄の媒体が熱湯、蒸気、化学添加剤を含有する水を含むという記載がある。しかし、以上の方法での処理対象は、いずれも天然の砂礫または粘土の顆粒で、その空孔容積も比表面積も人造の触媒担体よりもずっと小さい。胡小芳ら(土壌通気性および粘土顆粒の比表面積と粘土顆粒の粒度分布のフラクタル次元的関連性[J]. 土壤通報, 2007, 38(2):215〜219)は、中国の華南地方の土壌における粘土顆粒の比表面積を測定したところ、通常の土壌における粘土顆粒のBET比表面積が39〜151 m
2/kgであることが示された。同時に、沸騰床残渣油水素化プロセスに使用される触媒担体を例とすると、そのBET比表面積が286109.4 m
2/kgと高いこともわかる。触媒顆粒が粘土顆粒よりもこんなに大きい比表面積を有することは、相応の顆粒に吸着した石油類汚染物質も多く、その脱着分離の過程も比較的に困難であることを意味する。伝統の熱湯洗浄法は、沸騰床残渣油水素化の排出触媒である、大空孔容積、大比表面積の油含有多孔顆粒を処理するのが既に困難で、且つ工程が複雑で、設備の占有面積が大きく、設備のコストが高く、プロセスの操作周期が長いという一連の問題がある。
そのため、本分野では、沸騰床残渣油水素化の排出触媒の処理問題をうまく解決し、排出触媒から油を回収する目的を実現することができる、沸騰床残渣油水素化の排出触媒を処理する方法および装置の開発が切望されている。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、新規な沸騰床残渣油水素化の排出触媒を処理する方法および装置を提供することによって、既存技術に存在する問題を解決する。
本発明が解決しようとする技術問題は、既存の排出触媒を処理する過程に存在する処理コストが高く、プロセスが複雑で、油回収率低く、二次汚染源が発生しやすいなどの問題を有効に解決するために、工程が簡潔で、実行しやすい沸騰床残渣油水素化の排出触媒を処理する方法を提供し、沸騰床残渣油水素化技術の大規模の応用の障碍を解決することである。
【0009】
本発明が解決しようとするもう一つの技術問題は、沸騰床残渣油水素化の排出触媒を処理する装置を提供することである。
【0010】
一つは、本発明は、以下の工程を含む沸騰床残渣油水素化の排出触媒を処理する方法を提供する。
(1)粘度を低下させる調節と制御:沸騰床残渣油水素化反応器で間断的に排出する触媒を調節して保存した後、継続的に放出し、水を入れて温度を調整することで、排出触媒顆粒の表面と内部の空孔に吸着した油の粘度を低下させ、吸着した油の排出触媒顆粒の表面と内部の空孔における流動性を改善する工程。
(2)旋回流による脱着分離:旋回流場における流動剪断力を利用し、吸着した油を排出触媒顆粒の表面と内部の空孔から脱着分離する工程。
(3)油-水-触媒の三相分離および資源化利用:旋回流による脱着分離の過程で発生した油/水/触媒の混合物を三相分離し、油の回収、分離した水の循環使用、および分離した固形顆粒の全部回収を実現する工程。
【0011】
一つの好適な実施様態において、前述工程(3)で、旋回流による脱着分離の過程で発生した油/水の混合物を油水分離し、油の回収を実現し、分離した水を循環使用し、旋回流による脱着分離の過程で発生した触媒顆粒/水の混合物に対して濃縮、乾燥による二段の減量脱水を行い、触媒顆粒の回収を実現し、その減量で脱離した水も循環使用する。
もう一つの好適な実施様態において、前述沸騰床残渣油水素化の排出触媒の油含有率が触媒の重量で計算すると20〜60重量%であり、新鮮な担体のBJH(比表面積の測定方法)法で測定された比表面積が183.071〜416.308m
2/gで、空孔容積が0.22〜0.71ml/gである。
もう一つは、本発明は、
排出触媒の処理を継続的に行えるように、間断的に排出された沸騰床残渣油水素化触媒を調節して保存し、かつ継続的な放出を制御する、撹拌調節タンクと、
排出触媒に水を入れて温度を調整することで、排出触媒顆粒の表面と内部の空孔に吸着した油の粘度を低下させ、吸着した油の排出触媒顆粒の表面と内部の空孔における流動性を改善する、前述撹拌調節タンクの放出口と連結した攪拌分散タンクと、
排出触媒/水の混合物によって中で旋回流場を形成し、旋回流場における流動剪断力に よって排出触媒顆粒の表面と内部の空孔に吸着した油の脱着分離を実現する、前述攪拌分散タンクの放出口と連結した旋回流脱着分離器と、
油水分離を完成する、前述旋回流脱着分離器の油/水の混合物の放出口と連結した循環熱湯貯蔵タンクと、
循環熱湯を攪拌分散タンクに輸送して循環使用する、前述循環熱湯貯蔵タンクの排水口と連結した循環熱湯ポンプと、
旋回流脱着分離後の触媒/水の混合物の濃縮脱水による減量を完成する、前述旋回流脱 着分離器の触媒顆粒の濃縮相の出口と連結した旋回流濃縮器と、
触媒/水の混合物の最終の加熱乾燥脱水を完成し、触媒固形顆粒の回収を実現する、前述旋回流濃縮器の触媒顆粒の濃縮相の出口と連結した乾燥機と、
を含む沸騰床残渣油水素化の排出触媒を処理する装置を提供する。
【0012】
一つの好適な実施様態において、前述攪拌分散タンクにおける排出触媒と循環水の比率が重量で1:5〜1:100で、前述攪拌分散タンクの操作温度が50〜190℃で、操作圧力がゲージ圧で0〜1.3MPaで、分散時間が1〜120分間である。
【0013】
もう一つの好適な実施様態において、前述旋回流脱着分離器における剪断速度が3000〜10000s
-1で、操作圧力降下が0.15MPa未満で、触媒顆粒の分離効率が98%以上で、触媒顆粒の濃縮相の出口の流量は入口の流量の5〜25%で、旋回流脱着分離後の排出触媒の乾燥後の油含有率が前述排出触媒の重量で計算すると13.5重量%以下に低下される。
【0014】
もう一つの好適な実施様態において、前述旋回流濃縮器の触媒顆粒の分離効率が98%以上で、操作圧力降下が0.15MPa未満である。
【0015】
もう一つの好適な実施様態において、前述旋回流濃縮器は液体サイクロンから、前述循環熱湯貯蔵タンクは油水分離設備から、前述熱湯循環ポンプは化学工業プロセスポンプから、前述乾燥機は内部回送乾燥機から選ばれる。
【0016】
もう一つの好適な実施様態において、前述攪拌調節タンクは、攪拌機構を用いることで、排出触媒の長時間貯蔵による沈降と結塊を防止し、前述攪拌分散タンクは、攪拌分散設備から選ばれ、攪拌分散によってシステム温度を均一に調節・制御することが保証される。
【0017】
さらにもう一つは、本発明は、油含有固形廃棄物の処理における前述沸騰床残渣油水素化の排出触媒を処理する装置の応用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の一つの実施様態による沸騰床残渣油水素化の排出触媒の処理のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の発明者は、幅広く深く研究したところ、沸騰床残渣油水素化プロセスの過程中で排出された触媒の処理は、水を入れてシステムの温度を調節することによって、吸着した油の排出触媒顆粒の表面と内部の空孔における流動性を改善し、吸着した油の脱着分離のために有利な条件を作り、さらに旋回流場における流動剪断力で吸着した油の脱着分離の過程を強化し、脱着分離の過程で油/水/固体の三相の混合物を分離処理を経って油の回収、水の循環および触媒の固形顆粒の回収を実現することで、好適に沸騰床残渣油水素化の排出触媒の処理の問題を解決し、排出触媒から油を回収する目的を実現することができる。従って、沸騰床残渣油水素化プロセスの大規模の普及に重大な意義があり、特に沸騰床残渣油水素化プロセスの過程中で排出された大空孔容積、大比表面積の触媒の処理に適することを見出した。以上の知見に基づき、本発明が完成された。
本発明の第一は、粘度を低下させる調節と制御、旋回流による脱着分離、油-水-触媒の三相分離および資源化利用を含む沸騰床残渣油水素化の排出触媒を処理する方法を提供する。具体的に、以下の工程を含む。
【0020】
排出触媒の処理を継続的に行えるように、間断的に排出された沸騰床残渣油水素化触媒が撹拌調節タンクに入り、保存して緩衝し、かつ継続の放出を制御する。
継続的な放出を制御可能な排出触媒が攪拌分散タンクに入り、循環熱湯を入れてシステムの温度を調節し、排出触媒顆粒の表面と内部の空孔に吸着した油の粘度を低下させ、吸着した油の流動性を改善する。
【0021】
循環熱湯で温度を調節された排出触媒が旋回流脱着分離器に入り、旋回流場における流動剪断力によって排出触媒顆粒の表面と内部の空孔に吸着した油の脱着分離を実現する。
【0022】
旋回流脱着分離の過程で発生した油/水の混合物が循環熱湯貯蔵タンクに入り、油水分離を完成し、油の回収を実現する。熱湯を循環熱湯ポンプで輸送して循環使用する。旋回流脱着分離の過程で発生した触媒顆粒/水の混合物が旋回流濃縮器による濃縮、乾燥機による加熱乾燥の二段の減量脱水を経って、触媒顆粒の回収を実現し、その減量で脱離した水も循環熱湯貯蔵タンクに戻して循環使用する。
【0023】
本発明において、前述沸騰床残渣油水素化の排出触媒の油含有率が前述触媒の重量で計算すると20〜60重量%で、新鮮な担体のBJHの比表面積が183.071〜416.308m
2/gで、空孔容積が0.22〜0.71ml/gである。
【0024】
本発明において、前述攪拌分散タンクにおける排出触媒と循環水の比率が1:5〜1:100(重量比)で、操作温度が50〜190℃で、操作圧力が0〜1.3MPaで(ゲージ圧)、拡散分散時間が1〜120分間である。
【0025】
本発明において、前述旋回流脱着分離器における剪断速度が3000〜10000s
-1で、操作圧力降下が0.15MPa未満で、触媒顆粒の分離効率が98%以上で、触媒顆粒の濃縮相の出口の流量は入口の流量の5〜25%で、旋回流脱着分離後の排出触媒(加熱乾燥)の油含有率が13.5重量%以下に低下する。
【0026】
本発明において、前述旋回流濃縮器の固形触媒顆粒の分離効率が98%以上で、操作圧力降下が0.15MPa未満である。
【0027】
本発明の方法は、沸騰床残渣油水素化の排出触媒の処理にも、油田、製油所などで生じた各種の油含有固形廃棄物の処理にも適用できる。
【0028】
本発明の第二は、
排出触媒の処理を継続的に行えるように、間断的に排出された沸騰床残渣油水素化触媒を調節して保存し、かつ継続的な放出を制御する、撹拌調節タンクと、
水を入れて排出触媒を適切な温度に調節し、排出触媒顆粒の表面と内部の空孔に吸着した油の粘度を低下させ、吸着した油の流動性を改善する、前述撹拌調節タンクの放出口と連結した攪拌分散タンクと、
排出触媒と熱湯の混合物によって旋回流脱着分離器で安定した旋回流場を形成し、旋回流場における流動剪断力によって排出触媒顆粒の表面と内部の空孔に吸着した油の脱着分離を実現する、前述攪拌分散タンクの放出口と連結した旋回流脱着分離器と、
油水分離を完成する、前述旋回流脱着分離器の油/水の混合物の放出口と連結した循環熱湯貯蔵タンクと、循環熱湯を攪拌分散タンクに輸送して循環使用する、前述循環熱湯貯蔵タンクの排水口と連結した熱湯循環ポンプと、旋回流脱着分離後の触媒/水の混合物の濃縮脱水を完成する、前述旋回流脱着分離器の触媒顆粒の濃縮相の出口と連結した旋回流濃縮器と、触媒/水の混合物の最終の加熱乾燥脱水を完成し、触媒固形顆粒を回収する、旋回流濃縮器の触媒顆粒の濃縮相の出口と連結した乾燥機と、
を含む沸騰床残渣油水素化の排出触媒を処理する装置を提供する。
【0029】
本発明において、前述攪拌調節タンクは、攪拌機構を用いることで、排出触媒の長時間貯蔵による沈降と結塊を防止する。
【0030】
本発明において、前述攪拌分散タンクは、攪拌分散設備から選ばれ、攪拌分散によってシステム温度を均一に調節・制御することが保証される。
本発明において、前述旋回流脱着分離器は、排出触媒/水の混合物がその中で形成した安定した旋回流場における流動剪断力によって排出触媒顆粒の表面と内部の空孔に吸着した油の脱着分離を完成する。
【0031】
本発明において、前述旋回流濃縮器は液体サイクロンから、前述循環熱湯貯蔵タンクは油水分離設備から、前述循環熱湯ポンプは化学工業プロセスポンプから、前述乾燥機は内部回送乾燥機から選ばれる。
【0032】
本発明の装置は、沸騰床残渣油水素化の排出触媒の処理にも、油田、製油所などで生じた各種の油含有固形廃棄物の処理にも適用できる。
【0033】
以下、本発明の目的と特徴がさらに明確になるように、図面を合わせて本発明を詳しく説明する。
【0034】
図1は、本発明の一つの実施様態による沸騰床残渣油水素化の排出触媒の処理のフロー図である。
図1に示すように、排出触媒は、沸騰床残渣油水素化反応器から間断的に撹拌調節タンク1(密封用ガスでガス密封したもの)に入り、撹拌調節タンクの調節緩和作用を経って、排出触媒の処理を継続的に行えるように、制御可能なように継続的に放出する。放出が継続で制御可能な排出触媒が攪拌分散タンク2(密封用ガスでガス密封したもの)に入り、同時に循環熱湯ポンプ6で循環熱湯貯蔵タンク5から循環熱湯を攪拌分散タンク2に輸送し、循環熱湯を入れる過程でシステムの温度を適切に調節し、排出触媒顆粒の表面と内部の空孔に吸着した油の粘度を低下させ、吸着した油の流動性を改善する。循環熱湯で温度を調節された排出触媒が旋回流脱着分離器3に入り、旋回流場における流動剪断力によって排出触媒顆粒の表面と内部の空孔に吸着した油の脱着分離を実現する。旋回流脱着分離器3で発生した油/水の混合物が旋回流脱着分離器3の上方の油/水の混合物の出口から循環熱湯貯蔵タンク5に入り、油水分離を完成し、油の回収を実現する。旋回流脱着分離器3で発生した触媒顆粒/水の混合物が旋回流脱着分離器3の下方の触媒顆粒の濃縮相の出口から旋回流濃縮器4に入り、旋回流濃縮脱水による減量を行う。旋回流濃縮脱水後の触媒顆粒/水の混合物を旋回流濃縮器4の下方の触媒顆粒の濃縮相の出口から乾燥機7に排出させ、加熱乾燥による脱水を行い、触媒顆粒の回収を実現する。旋回流濃縮器4で減量して得られた水と乾燥機7の加熱乾燥の排気を冷却凝縮器8で冷却凝縮した凝縮水も循環熱湯貯蔵タンク5に戻して循環使用することができ、循環熱湯貯蔵タンク5に外来の補充水を追加してもよい。
【0035】
本発明の主な利点は以下の通りである。
(1)間断的に排出された沸騰床残渣油水素化触媒を調節して保存した後、継続的に放出するため、排出触媒の処理を継続的に行えるようになる。
(2)排出触媒に水を入れて適切な温度に調節し、排出触媒顆粒の表面と内部の空孔に吸着した油の粘度を低下させ、吸着した油の流動性を改善する。その後、旋回流場における流動剪断力によって吸着した油を固形触媒顆粒の表面と内部の空孔から脱着分離させる。全部の処理過程で機械的作用によって実現するため、工程が簡潔で、脱油効率が高く、運転コストが低く、操作性が良い利点がある。そして、試薬は一切使用しないため、二次汚染を引き起こさず、別途の試薬の使用費用が出ない。
(3)本発明における熱湯は、回収して循環使用することができ、固形触媒顆粒も減量して回収することができる。
【実施例】
【0036】
以下、具体的な実施例によって、さらに本発明を説明する。しかし、これらの実施例は本発明の説明のためのもので、本発明の範囲に対する制限にならないことが理解されるべきである。以下の実施例において、具体的な条件が記載されていない試験方法は、通常、通常の条件、或いはメーカーの薦めの条件で行われた。別の説明がない限り、すべての百分率と部は、重量で計算される。
【実施例1】
【0037】
実施例1:
5万トン/年の沸騰床残渣油水素化装置において、本発明の方法によって沸騰床残渣油水素化の排出触媒を処理したが、その具体的な運転過程および効果は以下のように説明する。
【0038】
1.排出触媒の性質
排出触媒のオンライン排出の過程において、毎週排出された合計量が4トンで、そのうち、油を2.4トン含有した。
触媒の新鮮な担体は、丸形の微細顆粒で、粒径が0.4〜0.5mmで、BJH比表面積が416.308m
2/gで、空孔容積が0.71ml/gで、50%空孔径分布が7nm以下であった。
排出触媒顆粒の表面と内部の空孔に石油類汚染物質が吸着しており、主に軽油画分で、少量のパラフィンオイル成分を含有することもある。
【0039】
2.実施過程
本発明の方法を参照して実施した。具体的に、以下の通りである。
・ 排出触媒の処理を継続的に行えるように、間断的に排出された沸騰床残渣油水素化触媒を撹拌調節タンク1で保存して緩衝し(毎週合計4トン)、かつ継続の放出量を0.024トン/時間と制御した。
・ 継続的に放出された排出触媒が攪拌分散タンク2に入り、1:40(排出触媒:水)の比率で水を入れ、システムの温度を95℃に調節した。ここで、温度を均一に調節できるように、排出触媒/熱湯の混合物を攪拌分散タンク2で攪拌し、60分間留まった。
・ 95℃の排出触媒/熱湯の混合物が12m/sの接線速度で旋回流脱着分離器3に入り、旋回流場における流動剪断力によって排出触媒顆粒の表面と内部の空孔に吸着した油の脱着分離を実現した。
(D)旋回流脱着分離の過程で得られた油を含有する熱湯が循環熱湯貯蔵タンク5に入り、油水分離を完成し、油の回収を実現した。熱湯は熱湯循環ポンプ6で輸送して循環使用した。旋回流脱着分離の過程で発生した触媒顆粒/水の混合物が旋回流濃縮器4による濃縮、乾燥機7による加熱乾燥の二段の減量脱水を経って、触媒顆粒の回収を実現し、その減量で脱離した水も循環熱湯貯蔵タンク5に戻して循環使用できた。
3.結果分析
現在の沸騰床残渣油水素化の排出触媒は毎週合計量が4トン(そのうち、油を2.4トン含有する)で、それに対して本発明の方法で処理した後、その油含有率が13.5%以下に低下し、毎週油を2.12トン回収することができ、油に対する回収効率が88%に達した。特に注目すべきのは、沸騰床残渣油水素化の排出触媒の担体の空孔容積が0.71ml/gで、排出の過程で触媒1トン(骨格質量)ごとに空孔に吸着した油が0.52トンで、処理後、空孔に吸着した油の75%が回収できることである。
【0040】
回収した油製品の大半は軽油画分で、軽油の価格を7775元/トンとして計算すると、一年で処理する排出触媒が192トン(そのうち、油を114トン含有する)で、合計101トンの油を回収すると、毎年油製品の費用が79万円節約されることに相当する。しかも、環境保護に貢献できる。
【0041】
各文献がそれぞれ単独に引用されるように、本発明に係るすべての文献は本出願で参考として引用する。また、本発明の上記の内容を読み終わった後、この分野の技術者が本発明を各種の変動や修正をすることができるが、それらの等価の様態のものは本発明の特許請求の範囲に含まれることが理解されるべきである。