特許第5934849号(P5934849)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5934849
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月15日
(54)【発明の名称】竹チップ製造装置
(51)【国際特許分類】
   B27L 11/00 20060101AFI20160602BHJP
【FI】
   B27L11/00 N
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-21016(P2016-21016)
(22)【出願日】2016年2月5日
【審査請求日】2016年2月5日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500132203
【氏名又は名称】前川鉄工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080746
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 武嗣
(72)【発明者】
【氏名】前川 真一
【審査官】 大熊 靖夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−154588(JP,A)
【文献】 特開2012−250531(JP,A)
【文献】 特開2012−206228(JP,A)
【文献】 特開2012−176596(JP,A)
【文献】 特開2012−120944(JP,A)
【文献】 特開2011−161735(JP,A)
【文献】 特開2009−166397(JP,A)
【文献】 特開2008−307832(JP,A)
【文献】 米国特許第5441787(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B27L 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に送られてくる竹(Z)を上方から押し潰す圧潰手段(10)と、該圧潰手段(10)から送り出される押し潰された扁平竹(Z)を上下から挟圧しつつ該扁平竹(Z)の表面に長手方向割れ目溝(7)を複数形成して溝付き竹(Z)を作成する一対の割れ目形成ローラ(3)(3)と、該割れ目形成ローラ(3)(3)より搬送方向下流側に配設され切断刃(4)によって上記溝付き竹(Z)を短寸の小片状に切断する切断手段(12)とを、備えたことを特徴とする竹チップ製造装置。
【請求項2】
上記圧潰手段(10)は、上記竹(Z)を上方から押圧する昇降自在の第1押圧ローラ(1)・第2押圧ローラ(2)が搬送方向に順次配設され、該第1押圧ローラ(1)・第2押圧ローラ(2)の少なくとも一方に対応する下方位置に、電気モータ(M)によって回転駆動される送りローラ(13)が配設されている請求項1記載の竹チップ製造装置。
【請求項3】
一対の割れ目形成ローラ(3)(3)は、弾発部材(9)により相対的に接近する方向に弾発付勢されている請求項1又は2記載の竹チップ製造装置。
【請求項4】
上記切断手段(12)は、ラジアル方向から見て傾斜状であって、かつ、多数の凹凸歯(8)を有する上記切断刃(4)が周方向に等ピッチで複数個付設された回転輪(6)と、複数の切断刃(4)が上記回転輪(6)の回転に伴って順次対応するように基枠(11)に設けられた固定刃(5)とを、有している請求項1,2又は3記載の竹チップ製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、竹チップ製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、木材資源の代替材料として竹の利用が注目されている。例えば、竹をバイオマス燃料として利用する、あるいは、肥料や飼料として利用する場合、伐採された竹を細かく粉砕し、竹粉とする必要があった。従来より、竹を細かく粉砕するための竹粉製造装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−120944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1記載の竹粉製造装置は、モータによりチップソーを高速回転させつつチップソーの外刃に竹を当接させて切削し、順次竹を竹粉とするものであって、チップソーの外刃の耐久性が悪く、頻繁にチップソーを交換する必要があった。このため、竹を粉砕する際の作業能率が悪く、コストが増大して、竹の有効利用や用途開発の課題となっていた。
【0005】
そこで、竹を粉砕する前工程で、竹を小片状に切り分けて、約10mm〜50mm角の竹チップとし、次に、この小片状の竹チップを、粉砕機でさらに細かく粉砕して竹粉とする2段階の加工方法が提案されている。しかしながら、1次加工段階で製造される竹チップは、依然として硬く、粉砕して竹粉とする2次加工段階の作業能率が低い欠点があった。竹の粉砕を容易とするための薬剤又は溶剤が用いられることもあるが、竹チップは、薬剤又は溶剤が繊維の間に浸入しにくく、竹チップの粉砕を容易にする効果がほとんど期待できなかった。
【0006】
そこで、本発明は、粉砕が容易な竹チップを能率良く作ることができる竹チップ製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る竹チップ製造装置は、長手方向に送られてくる竹を上方から押し潰す圧潰手段と、該圧潰手段から送り出される押し潰された扁平竹を上下から挟圧しつつ該扁平竹の表面に長手方向割れ目溝を複数形成して溝付き竹を作成する一対の割れ目形成ローラと、該割れ目形成ローラより搬送方向下流側に配設され切断刃によって上記溝付き竹を短寸の小片状に切断する切断手段とを、備えたものである。
【0008】
また、上記圧潰手段は、上記竹を上方から押圧する昇降自在の第1押圧ローラ・第2押圧ローラが搬送方向に順次配設され、該第1押圧ローラ・第2押圧ローラの少なくとも一方に対応する下方位置に、電気モータによって回転駆動される送りローラが配設されているものである。
また、一対の割れ目形成ローラは、弾発部材により相対的に接近する方向に弾発付勢されているものである。
また、上記切断手段は、ラジアル方向から見て傾斜状であって、かつ、多数の凹凸歯を有する上記切断刃が周方向に等ピッチで複数個付設された回転輪と、複数の切断刃が上記回転輪の回転に伴って順次対応するように基枠に設けられた固定刃とを、有しているものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の竹チップ製造装置によれば、切断刃の耐久性が向上し、長時間にわたって連続して稼働でき、能率良く竹チップを加工できる。粉砕が容易な竹チップを製造することができ、竹チップを、その後の工程に於て、細かく粉砕する作業を能率良く行うことが可能となって、竹の利用に係る全体コストの低減に貢献できる。薬剤・溶剤が浸入し易い竹チップを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る竹チップ製造装置の一部を示した図であり、(A)は断面側面図であり、(B)は要部拡大断面正面図である。
図2】本発明に係る竹チップ製造装置の他の一部を示した図であり、(A)は側面図であり、(B)は要部拡大断面正面図である。
図3】本発明に係る竹チップ製造装置の別の一部を示した図であり、(A)は側面図であり、(B)は要部拡大断面正面図であり、(C)は平面図である。
図4】割れ目形成ローラを示す斜視図である。
図5】本発明に係る竹チップ製造装置のさらに他の一部を示した断面側面図である。
図6】切断手段を示す背面図である。
図7】竹の断面形状の変化を説明するための断面図であり、(A)は加工前の竹の断面図であり、(B)は扁平竹の断面図であり、(C)は溝付き竹の断面図である。
図8】竹の外形の変化を説明するための斜視図であり、(A)は加工前の竹の斜視図であり、(B)は扁平竹の斜視図であり、(C)は溝付き竹の斜視図である。
図9】本発明の竹チップ製造装置により製造される竹チップを示す斜視図である。
図10】他の第1押圧ローラ・第2押圧ローラを示す拡大断面正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態を示す図面に基づき本発明を詳説する。
図1図5に示すように、本発明の竹チップ製造装置は、長手方向に順次送られてくる竹Zを上方から押し潰す圧潰手段10と、圧潰手段10から送り出される押し潰された扁平竹Zの表面に長手方向割れ目溝7を複数形成して溝付き竹Zを作成するための一対の割れ目形成ローラ3,3と、割れ目形成ローラ3,3より搬送方向下流側に配設され切断刃4によって溝付き竹Zを短寸の小片状に(横断方向から)切断する切断手段12とを、備えている。
【0012】
圧潰手段10は、図1に示す第1押圧ローラ1と、図2に示す第2押圧ローラ2が、竹Zの搬送方向に順次配設されている。
図1図2に示すように、第1押圧ローラ1・第2押圧ローラ2は、機械的切削加工によって、外周面(竹対応面)1A,2Aが凹凸波形に形成されたローラ単体14から構成されている。ローラ単体14は、左右両端面に枢支軸15が一体状に突設され、枢支軸15によって空転自在に枢支されている。第1押圧ローラ1・第2押圧ローラ2は、凹凸波形の外周面1A,2Aにて、竹Z,竹Z´に圧縮力F,Fを集中的に付与でき、かつ、押圧する際に、円筒形状の竹Zの横滑りを防止できる。
第1押圧ローラ1・第2押圧ローラ2は、図外のクランク機構を介して、連動連結しており、駆動モータ(図示省略)によって、第1押圧ローラ1と第2押圧ローラ2が相互に上下逆方向に昇降するように構成されている。第1押圧ローラ1・第2押圧ローラ2を単一の駆動モータによって上下逆方向に昇降させる構造としたことで、エネルギーの無駄を省き、ランニングコストを軽減できる利点がある。第1押圧ローラ1・第2押圧ローラ2とクランク機構の間には、緩衝装置(ショックアブソーバ)が介設され、天然素材としての竹Zの太さ(外径)の大小に対応する。そして、第1押圧ローラ1の圧縮力Fが、最大で15000N〜18000Nとなるように設定され、一方、第2押圧ローラ2の圧縮力Fが、最大で5000N〜6000Nとなるように設定されている。つまり、第1押圧ローラ1は、第2押圧ローラ2の圧縮力Fの3倍近い大きな圧縮力Fをもって、竹Zを上方から押圧することが可能である。
【0013】
図1に示すように、第1押圧ローラ1の下方位置には、受け台16が配設されている。受け台16は、装置の固定部材(後述の基枠11)に固着されている。第1押圧ローラ1は、受け台16との間に竹Zを挟んで押圧し、竹Zに割れ目を入れる、あるいは、第1押圧ローラ1の大きな圧縮力Fによって、竹Zを一気に押し潰しても良い。
また、図2に示すように、第2押圧ローラ2に対応する下方位置には、電気モータMによって回転駆動される送りローラ13が配設されている。送りローラ13は、外周面(竹対応面)13Aに凹凸の無い円柱形状に形成され、その左右両端面には枢支軸17が一体に突設されている。送りローラ13は、枢支軸17によって回転自在に枢着され、電気モータMによって、竹Zの搬送方向に沿って回転駆動されている。第2押圧ローラ2は、送りローラ13との間に、割れ目の入った竹Z´を挟んで押圧し、圧縮力Fによって、竹Z´を押し潰す。
圧潰手段10では、第1押圧ローラ1・第2押圧ローラ2によって、図7(A)と図8(A)に示すような略円筒状の竹Zを、図7(B)と図8(B)に示すように、平たく潰れた状態に変形させる。なお、本発明に於て、図7(B),図8(B)に示すように、扁平状に潰れた竹を、扁平竹Zと呼ぶ。圧潰手段10は、送りローラ13によって、押し潰した扁平竹Zを次工程へ送り出すように、搬送力を付与している。つまり、送りローラ13は、扁平竹Zに搬送力を付与する搬送手段としての役割と、第2押圧ローラ2の圧縮力Fを受ける受け台としての役割とに、兼用されている。第1押圧ローラ1・第2押圧ローラ2は、竹Zを押さえて停止させることのないよう、図1図2に示す矢印の方向に回転しつつ送られてくる竹Zを押し潰す。
なお、圧潰手段10の搬送方向上流側には、竹送り用搬送機構18が設けられ、この搬送機構18から圧潰手段10に、略連続的に竹Zが送られてくる。搬送機構18は、無端ベルトを複数の回転輪で支持しつつ回動させるベルトコンベアから成り、2本〜5本の竹Zを並列状に並べて搬送可能である。
【0014】
次に、割れ目形成ローラ3,3は、圧潰手段10の搬送方向下流側に近接して配設され、図3図4に示すように、2個の内の一方(上方)の割れ目形成ローラ3Aは、可動取付部材30に枢着され、他方(下方)の割れ目形成ローラ3Bは、装置の固定部材(後述の基枠11)に枢着されている。上方の割れ目形成ローラ3Aは、空転自在であって、かつ、下方の割れ目形成ローラ3Bは、駆動モータM´によって回転駆動されている。
可動取付部材30は、長手方向一端部31が軸体33によって固定部材34に枢着され、かつ、長手方向他端部32が、弾発部材9によって、下方へ揺動する方向へ常時弾発付勢されている。弾発部材9は、常に短縮方向に弾発付勢力を働かせる引っ張りばねから成る。即ち、一方の割れ目形成ローラ3Aは、弾発部材9により、他方の割れ目形成ローラ3Bに接近する方向に常時弾発付勢されている。割れ目形成ローラ3,3が弾発部材9により(相対的に)接近する方向に常に弾発付勢されることで、扁平竹Zを上下から弾発的に挟み込み、加工する竹の大小(扁平竹Zの厚さの大小)に対応している。
【0015】
割れ目形成ローラ3は、竹(扁平竹Z)の搬送方向に直交状に配設された回転軸L廻りに回転自在の円筒状本体部35と、円筒状本体部35の外周面に、周方向に沿って等間隔で平行状に並設された複数の環状低突条部36とを、有している。環状低突条部36は、先端が尖っている。
割れ目形成ローラ3,3は、圧潰手段10から送られてくる扁平竹Zを、弾発部材9の弾発付勢力によって押圧し、複数の環状低突条部36を扁平竹Zの表面に上下から食い込ませる。このようにして、割れ目形成ローラ3,3は、図8(B)に示す扁平竹Zの表面に、図7(C)と図8(C)に示すように、長手方向割れ目溝7を複数形成する。なお、本発明に於て、図7(C),図8(C)に示すように、扁平状に潰れ、かつ、表面に長手方向割れ目溝7が複数形成された竹を、溝付き竹Zと呼ぶ。下方の割れ目形成ローラ3Bは、溝付き竹Zを次工程へ送り出すように、搬送力を付与している。割れ目形成ローラ3Bは、扁平竹Zの表面に長手方向割れ目溝7を複数形成する役割と、溝付き竹Zに搬送力を付与する搬送手段としての役割とに、兼用されている。
【0016】
図5図6に示すように、切断手段12は、切断刃4が周方向に等ピッチで複数個突設された回転輪6と、基枠11に固設された固定刃5とを、有している。回転輪6は、駆動モータM″によって回転駆動され、複数の切断刃4が固定刃5に対し切断対応位置に順次対応し、送られてくる溝付き竹Zを次々と切断するように構成されている。
切断刃4は、図6に示す如く、ラジアル方向から見て傾斜状であって、かつ、多数の凹凸歯8を有している。切断刃4の傾斜角度θは、2°〜5°に設定されている。なお、切断刃4の傾斜角度θとは、凹凸歯8の刃先に接する直線(接線)が、固定刃5の刃先と成す角度とする。切断刃4が所定傾斜角度θで傾斜状に形成されたことで、溝付き竹Zを切断する際、切断のための回転トルクが大きく変動せずに、円滑に次々と切断してゆくことができる。
【0017】
切断手段12は、溝付き竹Zを所定短寸の小片状に切断して、図9に示すように、表面に(長手方向)割れ目溝7を有する竹チップZを形成する。なお、「小片状」とは、溝付き竹Zを長手方向に10mm〜50mmの所定短寸毎に切断したものとする。なお、幅方向には、切断時に分離部21にて分割される。
図5に於て、溝付き竹Zが搬送方向上流側の圧潰手段10及び割れ目形成ローラ3,3に搬送力を付与されて送られてくる。切断手段12では、切断刃4と固定刃5によって、溝付き竹Zの先端を所定短寸分だけ切断し、次の切断刃4が切断対応位置に来るまでの短秒間に前進してきた溝付き竹Zの先端を所定短寸分だけ切断するという動作を繰り返す。切断手段12には竹チップZの長さ寸法を短寸に保つためのストッパを設けることもあり、あるいは、溝付き竹Zが切断された直後に切断刃4に当接して瞬間的に停止しても、圧潰手段10と割れ目形成ローラ3,3に於て竹との滑りが生じ、略連続的に竹Zを送ることが可能であって、竹Zの処理能力(搬送速度)をほとんど落すことがなく、能率良く竹チップZを製造することが可能である。
図5では、切断手段12の下方位置に、竹チップZを搬出するための竹搬出用搬送機構(ベルトコンベア)19が設けられている。なお、搬送機構19を省略して、切断手段12の下方位置にて、箱や袋で竹チップZを受けて集めても良い。
【0018】
上述した本発明の竹チップ製造装置の使用方法(作用)について説明する。
図7(A),図8(A)に示す円筒形状の竹Zを、略連続状に圧潰手段10を通過させ、図7(B),図8(B)のように、横断面が扁平状となるように押し潰して変形させる。次に、押し潰された扁平竹Zを、一対の割れ目形成ローラ3,3にて上下から挟圧しつつ絞り出し、図7(C),図8(C)に示すように、扁平竹Zの表面に長手方向割れ目溝7を複数有する溝付き竹Zを得る。次に、割れ目形成ローラ3,3から送り出される溝付き竹Zを、切断手段12にて短寸の小片状に切断して、図9に示すように、表面に割れ目溝7を有する竹チップZを形成する。なお、竹チップZの幅寸法は大小あり、一定しない。
【0019】
切断手段12は、(圧潰手段10にて)扁平状に押し潰され、かつ、(割れ目形成ローラ3,3にて)表面に長手方向割れ目溝7が形成された溝付き竹Zを切断するので、円筒形状の竹Zを切断・切削する従来の加工と比較して、切断刃4の耐久性が向上し、装置を止めることなく長時間にわたって連続して稼働でき、竹チップZを能率良く製造することができる。また、製造された竹チップZは、無数の割れ目が入っており、表面にも割れ目溝7が形成されているので、その後の工程(説明略)に於ける粉砕が容易で、竹チップZから竹粉を製造する粉砕機での作業能率を向上する。しかも、竹の粉砕を容易とするための薬剤又は溶剤を使用する際、竹チップZには割れ目溝7から薬剤・溶剤が浸入し易く、竹チップZの粉砕はより一層容易となり、粉砕機での利用に好適である。
【0020】
なお、本発明は、設計変更可能であって、例えば、圧潰手段10は、1個の押圧ローラで竹Zを押し潰すようにしても良い。なお、図10に示すように、第1押圧ローラ1・第2押圧ローラ2は、外周面1A,2Aに多数の角部(エッジ)20を有する凹凸波形に形成されていても良い。図示省略するが、第1押圧ローラ1・第2押圧ローラ2は、複数個の車輪型ローラを軸体に串刺し状に挿通して形成したものでも良い。
また、切断手段12では、切断刃4を上下方向に繰返し昇降させて、溝付き竹Zを切断しても良い。なお、図6の実施例では凹凸歯8は三角歯を示したが、これを矩形歯や波歯としても自由である。(但し、竹の表面は滑り易いので三角歯が望ましい。)
【0021】
以上のように、本発明に係る製造装置は、長手方向に送られてくる竹Zを上方から押し潰す圧潰手段10と、該圧潰手段10から送り出される押し潰された扁平竹Zを上下から挟圧しつつ該扁平竹Zの表面に長手方向割れ目溝7を複数形成して溝付き竹Zを作成する一対の割れ目形成ローラ3,3と、該割れ目形成ローラ3,3より搬送方向下流側に配設され切断刃4によって上記溝付き竹Zを短寸の小片状に切断する切断手段12とを、備えたので、切断刃4の耐久性が向上し、長時間にわたって連続して稼働でき、能率良く竹チップZを加工できる。粉砕が容易な竹チップZを製造することができ、竹チップZを細かく粉砕する(次工程の粉砕機に於ける)作業を能率良く行うことができ、竹Zの利用に係る全体コストの低減に貢献できる。薬剤・溶剤が割れ目溝7から浸入し易い竹チップZを製造することができる。
【0022】
また、上記圧潰手段10は、上記竹Zを上方から押圧する昇降自在の第1押圧ローラ1・第2押圧ローラ2が搬送方向に順次配設され、該第1押圧ローラ1・第2押圧ローラ2の少なくとも一方に対応する下方位置に、電気モータMによって回転駆動される送りローラ13が配設されているので、順次送られてくる竹Zの外径の大小に対応して、確実に竹Zを押し潰して扁平竹Zとすることができる。扁平竹Zに搬送力を付与し、スムーズに送ることができる。
【0023】
また、一対の割れ目形成ローラ3,3は、弾発部材9により相対的に接近する方向に弾発付勢されているので、圧潰手段10から送り出される押し潰された扁平竹Zの厚みの大小に対応して、扁平竹Zの表面に確実に長手方向割れ目溝7を形成できる。
【0024】
また、上記切断手段12は、ラジアル方向から見て傾斜状であって、かつ、多数の凹凸歯8を有する上記切断刃4が周方向に等ピッチで複数個付設された回転輪6と、複数の切断刃4が上記回転輪6の回転に伴って順次対応するように基枠11に設けられた固定刃5とを、有しているので、略連続的に送られてくる溝付き竹Zを、均一な短寸の竹チップZに加工でき、竹チップZを細かく粉砕する際の作業能率を向上できる。溝付き竹Zの切断の際、回転トルクが大きく変動せずに、円滑に次々と切断してゆくことができる。
【符号の説明】
【0025】
1 第1押圧ローラ
2 第2押圧ローラ
3 割れ目形成ローラ
4 切断刃
5 固定刃
6 回転輪
7 長手方向割れ目溝
8 凹凸歯
9 弾発部材
10 圧潰手段
11 基枠
12 切断手段
13 送りローラ

扁平竹
溝付き竹
M 電気モータ
【要約】
【課題】粉砕が容易な竹チップを能率良く作ることができる竹チップ製造装置を提供する。
【解決手段】長手方向に送られてくる竹Zを上方から押し潰す圧潰手段10と、圧潰手段10から送り出される押し潰された扁平竹を上下から挟圧しつつ扁平竹の表面に長手方向割れ目溝を複数形成して溝付き竹を作成する一対の割れ目形成ローラと、割れ目形成ローラより搬送方向下流側に配設され切断刃によって溝付き竹を短寸の小片状に切断する切断手段とを、備えている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10