(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記切断手段(12)は、ラジアル方向から見て傾斜状であって、かつ、多数の凹凸歯(8)を有する上記切断刃(4)が周方向に等ピッチで複数個付設された回転輪(6)と、複数の切断刃(4)が上記回転輪(6)の回転に伴って順次対応するように基枠(11)に設けられた固定刃(5)とを、有している請求項1,2又は3記載の竹チップ製造装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態を示す図面に基づき本発明を詳説する。
図1〜
図5に示すように、本発明の竹チップ製造装置は、長手方向に順次送られてくる竹Z
0を上方から押し潰す圧潰手段10と、圧潰手段10から送り出される押し潰された扁平竹Z
1の表面に長手方向割れ目溝7を複数形成して溝付き竹Z
2を作成するための一対の割れ目形成ローラ3,3と、割れ目形成ローラ3,3より搬送方向下流側に配設され切断刃4によって溝付き竹Z
2を短寸の小片状に(横断方向から)切断する切断手段12とを、備えている。
【0012】
圧潰手段10は、
図1に示す第1押圧ローラ1と、
図2に示す第2押圧ローラ2が、竹Z
0の搬送方向に順次配設されている。
図1と
図2に示すように、第1押圧ローラ1・第2押圧ローラ2は、機械的切削加工によって、外周面(竹対応面)1A,2Aが凹凸波形に形成されたローラ単体14から構成されている。ローラ単体14は、左右両端面に枢支軸15が一体状に突設され、枢支軸15によって空転自在に枢支されている。第1押圧ローラ1・第2押圧ローラ2は、凹凸波形の外周面1A,2Aにて、竹Z
0,竹Z
0´に圧縮力F
1,F
2を集中的に付与でき、かつ、押圧する際に、円筒形状の竹Z
0の横滑りを防止できる。
第1押圧ローラ1・第2押圧ローラ2は、図外のクランク機構を介して、連動連結しており、駆動モータ(図示省略)によって、第1押圧ローラ1と第2押圧ローラ2が相互に上下逆方向に昇降するように構成されている。第1押圧ローラ1・第2押圧ローラ2を単一の駆動モータによって上下逆方向に昇降させる構造としたことで、エネルギーの無駄を省き、ランニングコストを軽減できる利点がある。第1押圧ローラ1・第2押圧ローラ2とクランク機構の間には、緩衝装置(ショックアブソーバ)が介設され、天然素材としての竹Z
0の太さ(外径)の大小に対応する。そして、第1押圧ローラ1の圧縮力F
1が、最大で15000N〜18000Nとなるように設定され、一方、第2押圧ローラ2の圧縮力F
2が、最大で5000N〜6000Nとなるように設定されている。つまり、第1押圧ローラ1は、第2押圧ローラ2の圧縮力F
2の3倍近い大きな圧縮力F
1をもって、竹Z
0を上方から押圧することが可能である。
【0013】
図1に示すように、第1押圧ローラ1の下方位置には、受け台16が配設されている。受け台16は、装置の固定部材(後述の基枠11)に固着されている。第1押圧ローラ1は、受け台16との間に竹Z
0を挟んで押圧し、竹Z
0に割れ目を入れる、あるいは、第1押圧ローラ1の大きな圧縮力F
1によって、竹Z
0を一気に押し潰しても良い。
また、
図2に示すように、第2押圧ローラ2に対応する下方位置には、電気モータMによって回転駆動される送りローラ13が配設されている。送りローラ13は、外周面(竹対応面)13Aに凹凸の無い円柱形状に形成され、その左右両端面には枢支軸17が一体に突設されている。送りローラ13は、枢支軸17によって回転自在に枢着され、電気モータMによって、竹Z
0の搬送方向に沿って回転駆動されている。第2押圧ローラ2は、送りローラ13との間に、割れ目の入った竹Z
0´を挟んで押圧し、圧縮力F
2によって、竹Z
0´を押し潰す。
圧潰手段10では、第1押圧ローラ1・第2押圧ローラ2によって、
図7(A)と
図8(A)に示すような略円筒状の竹Z
0を、
図7(B)と
図8(B)に示すように、平たく潰れた状態に変形させる。なお、本発明に於て、
図7(B),
図8(B)に示すように、扁平状に潰れた竹を、扁平竹Z
1と呼ぶ。圧潰手段10は、送りローラ13によって、押し潰した扁平竹Z
1を次工程へ送り出すように、搬送力を付与している。つまり、送りローラ13は、扁平竹Z
1に搬送力を付与する搬送手段としての役割と、第2押圧ローラ2の圧縮力F
2を受ける受け台としての役割とに、兼用されている。第1押圧ローラ1・第2押圧ローラ2は、竹Z
0を押さえて停止させることのないよう、
図1と
図2に示す矢印の方向に回転しつつ送られてくる竹Z
0を押し潰す。
なお、圧潰手段10の搬送方向上流側には、竹送り用搬送機構18が設けられ、この搬送機構18から圧潰手段10に、略連続的に竹Z
0が送られてくる。搬送機構18は、無端ベルトを複数の回転輪で支持しつつ回動させるベルトコンベアから成り、2本〜5本の竹Z
0を並列状に並べて搬送可能である。
【0014】
次に、割れ目形成ローラ3,3は、圧潰手段10の搬送方向下流側に近接して配設され、
図3と
図4に示すように、2個の内の一方(上方)の割れ目形成ローラ3Aは、可動取付部材30に枢着され、他方(下方)の割れ目形成ローラ3Bは、装置の固定部材(後述の基枠11)に枢着されている。上方の割れ目形成ローラ3Aは、空転自在であって、かつ、下方の割れ目形成ローラ3Bは、駆動モータM´によって回転駆動されている。
可動取付部材30は、長手方向一端部31が軸体33によって固定部材34に枢着され、かつ、長手方向他端部32が、弾発部材9によって、下方へ揺動する方向へ常時弾発付勢されている。弾発部材9は、常に短縮方向に弾発付勢力を働かせる引っ張りばねから成る。即ち、一方の割れ目形成ローラ3Aは、弾発部材9により、他方の割れ目形成ローラ3Bに接近する方向に常時弾発付勢されている。割れ目形成ローラ3,3が弾発部材9により(相対的に)接近する方向に常に弾発付勢されることで、扁平竹Z
1を上下から弾発的に挟み込み、加工する竹の大小(扁平竹Z
1の厚さの大小)に対応している。
【0015】
割れ目形成ローラ3は、竹(扁平竹Z
1)の搬送方向に直交状に配設された回転軸L
1廻りに回転自在の円筒状本体部35と、円筒状本体部35の外周面に、周方向に沿って等間隔で平行状に並設された複数の環状低突条部36とを、有している。環状低突条部36は、先端が尖っている。
割れ目形成ローラ3,3は、圧潰手段10から送られてくる扁平竹Z
1を、弾発部材9の弾発付勢力によって押圧し、複数の環状低突条部36を扁平竹Z
1の表面に上下から食い込ませる。このようにして、割れ目形成ローラ3,3は、
図8(B)に示す扁平竹Z
1の表面に、
図7(C)と
図8(C)に示すように、長手方向割れ目溝7を複数形成する。なお、本発明に於て、
図7(C),
図8(C)に示すように、扁平状に潰れ、かつ、表面に長手方向割れ目溝7が複数形成された竹を、溝付き竹Z
2と呼ぶ。下方の割れ目形成ローラ3Bは、溝付き竹Z
2を次工程へ送り出すように、搬送力を付与している。割れ目形成ローラ3Bは、扁平竹Z
1の表面に長手方向割れ目溝7を複数形成する役割と、溝付き竹Z
2に搬送力を付与する搬送手段としての役割とに、兼用されている。
【0016】
図5と
図6に示すように、切断手段12は、切断刃4が周方向に等ピッチで複数個突設された回転輪6と、基枠11に固設された固定刃5とを、有している。回転輪6は、駆動モータM″によって回転駆動され、複数の切断刃4が固定刃5に対し切断対応位置に順次対応し、送られてくる溝付き竹Z
2を次々と切断するように構成されている。
切断刃4は、
図6に示す如く、ラジアル方向から見て傾斜状であって、かつ、多数の凹凸歯8を有している。切断刃4の傾斜角度θは、2°〜5°に設定されている。なお、切断刃4の傾斜角度θとは、凹凸歯8の刃先に接する直線(接線)が、固定刃5の刃先と成す角度とする。切断刃4が所定傾斜角度θで傾斜状に形成されたことで、溝付き竹Z
2を切断する際、切断のための回転トルクが大きく変動せずに、円滑に次々と切断してゆくことができる。
【0017】
切断手段12は、溝付き竹Z
2を所定短寸の小片状に切断して、
図9に示すように、表面に(長手方向)割れ目溝7を有する竹チップZ
3を形成する。なお、「小片状」とは、溝付き竹Z
2を長手方向に10mm〜50mmの所定短寸毎に切断したものとする。なお、幅方向には、切断時に分離部21にて分割される。
図5に於て、溝付き竹Z
2が搬送方向上流側の圧潰手段10及び割れ目形成ローラ3,3に搬送力を付与されて送られてくる。切断手段12では、切断刃4と固定刃5によって、溝付き竹Z
2の先端を所定短寸分だけ切断し、次の切断刃4が切断対応位置に来るまでの短秒間に前進してきた溝付き竹Z
2の先端を所定短寸分だけ切断するという動作を繰り返す。切断手段12には竹チップZ
3の長さ寸法を短寸に保つためのストッパを設けることもあり、あるいは、溝付き竹Z
2が切断された直後に切断刃4に当接して瞬間的に停止しても、圧潰手段10と割れ目形成ローラ3,3に於て竹との滑りが生じ、略連続的に竹Z
0を送ることが可能であって、竹Z
0の処理能力(搬送速度)をほとんど落すことがなく、能率良く竹チップZ
3を製造することが可能である。
図5では、切断手段12の下方位置に、竹チップZ
3を搬出するための竹搬出用搬送機構(ベルトコンベア)19が設けられている。なお、搬送機構19を省略して、切断手段12の下方位置にて、箱や袋で竹チップZ
3を受けて集めても良い。
【0018】
上述した本発明の竹チップ製造装置の使用方法(作用)について説明する。
図7(A),
図8(A)に示す円筒形状の竹Z
0を、略連続状に圧潰手段10を通過させ、
図7(B),
図8(B)のように、横断面が扁平状となるように押し潰して変形させる。次に、押し潰された扁平竹Z
1を、一対の割れ目形成ローラ3,3にて上下から挟圧しつつ絞り出し、
図7(C),
図8(C)に示すように、扁平竹Z
1の表面に長手方向割れ目溝7を複数有する溝付き竹Z
2を得る。次に、割れ目形成ローラ3,3から送り出される溝付き竹Z
2を、切断手段12にて短寸の小片状に切断して、
図9に示すように、表面に割れ目溝7を有する竹チップZ
3を形成する。なお、竹チップZ
3の幅寸法は大小あり、一定しない。
【0019】
切断手段12は、(圧潰手段10にて)扁平状に押し潰され、かつ、(割れ目形成ローラ3,3にて)表面に長手方向割れ目溝7が形成された溝付き竹Z
2を切断するので、円筒形状の竹Z
0を切断・切削する従来の加工と比較して、切断刃4の耐久性が向上し、装置を止めることなく長時間にわたって連続して稼働でき、竹チップZ
3を能率良く製造することができる。また、製造された竹チップZ
3は、無数の割れ目が入っており、表面にも割れ目溝7が形成されているので、その後の工程(説明略)に於ける粉砕が容易で、竹チップZ
3から竹粉を製造する粉砕機での作業能率を向上する。しかも、竹の粉砕を容易とするための薬剤又は溶剤を使用する際、竹チップZ
3には割れ目溝7から薬剤・溶剤が浸入し易く、竹チップZ
3の粉砕はより一層容易となり、粉砕機での利用に好適である。
【0020】
なお、本発明は、設計変更可能であって、例えば、圧潰手段10は、1個の押圧ローラで竹Z
0を押し潰すようにしても良い。なお、
図10に示すように、第1押圧ローラ1・第2押圧ローラ2は、外周面1A,2Aに多数の角部(エッジ)20を有する凹凸波形に形成されていても良い。図示省略するが、第1押圧ローラ1・第2押圧ローラ2は、複数個の車輪型ローラを軸体に串刺し状に挿通して形成したものでも良い。
また、切断手段12では、切断刃4を上下方向に繰返し昇降させて、溝付き竹Z
2を切断しても良い。なお、
図6の実施例では凹凸歯8は三角歯を示したが、これを矩形歯や波歯としても自由である。(但し、竹の表面は滑り易いので三角歯が望ましい。)
【0021】
以上のように、本発明に係る製造装置は、長手方向に送られてくる竹Z
0を上方から押し潰す圧潰手段10と、該圧潰手段10から送り出される押し潰された扁平竹Z
1を上下から挟圧しつつ該扁平竹Z
1の表面に長手方向割れ目溝7を複数形成して溝付き竹Z
2を作成する一対の割れ目形成ローラ3,3と、該割れ目形成ローラ3,3より搬送方向下流側に配設され切断刃4によって上記溝付き竹Z
2を短寸の小片状に切断する切断手段12とを、備えたので、切断刃4の耐久性が向上し、長時間にわたって連続して稼働でき、能率良く竹チップZ
3を加工できる。粉砕が容易な竹チップZ
3を製造することができ、竹チップZ
3を細かく粉砕する(次工程の粉砕機に於ける)作業を能率良く行うことができ、竹Z
0の利用に係る全体コストの低減に貢献できる。薬剤・溶剤が割れ目溝7から浸入し易い竹チップZ
3を製造することができる。
【0022】
また、上記圧潰手段10は、上記竹Z
0を上方から押圧する昇降自在の第1押圧ローラ1・第2押圧ローラ2が搬送方向に順次配設され、該第1押圧ローラ1・第2押圧ローラ2の少なくとも一方に対応する下方位置に、電気モータMによって回転駆動される送りローラ13が配設されているので、順次送られてくる竹Z
0の外径の大小に対応して、確実に竹Z
0を押し潰して扁平竹Z
1とすることができる。扁平竹Z
1に搬送力を付与し、スムーズに送ることができる。
【0023】
また、一対の割れ目形成ローラ3,3は、弾発部材9により相対的に接近する方向に弾発付勢されているので、圧潰手段10から送り出される押し潰された扁平竹Z
1の厚みの大小に対応して、扁平竹Z
1の表面に確実に長手方向割れ目溝7を形成できる。
【0024】
また、上記切断手段12は、ラジアル方向から見て傾斜状であって、かつ、多数の凹凸歯8を有する上記切断刃4が周方向に等ピッチで複数個付設された回転輪6と、複数の切断刃4が上記回転輪6の回転に伴って順次対応するように基枠11に設けられた固定刃5とを、有しているので、略連続的に送られてくる溝付き竹Z
2を、均一な短寸の竹チップZ
3に加工でき、竹チップZ
3を細かく粉砕する際の作業能率を向上できる。溝付き竹Z
2の切断の際、回転トルクが大きく変動せずに、円滑に次々と切断してゆくことができる。
を上方から押し潰す圧潰手段10と、圧潰手段10から送り出される押し潰された扁平竹を上下から挟圧しつつ扁平竹の表面に長手方向割れ目溝を複数形成して溝付き竹を作成する一対の割れ目形成ローラと、割れ目形成ローラより搬送方向下流側に配設され切断刃によって溝付き竹を短寸の小片状に切断する切断手段とを、備えている。