(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
一般式(1)において、Uは、2−ヒドロキシプロピレン基{−CH
2−CH(OH)−CH
2−}又はヒドロキシメチルエチレン基{−CH
2−CH(CH
2OH)−}である。
【0023】
一般式(1)において、mは3又は4の整数を表すが、4が好ましい。この範囲であると調色性がさらに良好となる。
【0024】
一般式(2)において、非還元性の二又は三糖類のt個の1級水酸基から水素原子を除いた残基(Q)を構成することができる非還元性の二又は三糖類としては、蔗糖、イソサッカロース、トレハロース、イソトレハロース、ゲンチアノース、ラフィノース、メレチトース及びプランテオース等が含まれる。これらのうち、調色性及び耐水性の観点から、蔗糖、トレハロース、ゲンチアノース、ラフィノース及びプランテオースが好ましく、さらに好ましくは蔗糖及びトレハロースであり、供給性等の観点から特に好ましくは蔗糖である。
【0025】
炭素数2〜4のオキシアルキレン基(OA)のうち、調色性及び耐水性の観点から、OAの総数が30〜50の場合、オキシプロピレン単独が好ましく、またOAの総数が20〜30の場合、オキシプロピレンとオキシブチレンとの混合が好ましく、またOAの総数が50〜60の場合、オキシプロピレンとオキシエチレンとの混合が好ましい。
【0026】
OA内に複数種類のオキシアルキレン基を含む場合、これらのオキシアルキレン基の結合順序(ブロック状、ランダム状及びこれらの組合せ)及び含有割合には制限ないが、ブロック状又はブロック状とランダム状との組合せを含むことが好ましい。
【0027】
オキシプロピレン及び/又はオキシブチレンとオキシエチレンとの混合を含む場合、オキシエチレンの含有割合(モル%)は、オキシアルキレン基の全モル数に基づいて、2〜10が好ましく、さらに好ましくは2〜8、特に好ましくは3〜8である。また、反応残基(Q)から離れた端部にオキシプロピレン及び/又はオキシブチレンが位置することが好ましい。すなわち、OAにオキシエチレン基を含む場合、反応残基(Q)にオキシエチレン基が直接的に結合していることが好ましい。また、OAに複数種類のオキシアルキレン基を含む場合、ブロック状を含むことが好ましい。
【0028】
一般式(2)で表される基(S)に含まれるオキシアルキレン基(OA)の総数は、20〜60の整数が好ましく、さらに好ましくは30〜60の整数、特に好ましくは30〜50の整数である。この範囲であると、調色性及び耐水性がさらに良好となる。
【0029】
nは、5〜30の整数が好ましく、さらに好ましくは8〜30の整数、特に好ましくは8〜25の整数である。この範囲であると調色性及び耐水性がさらに良好となる。
【0030】
tは、2〜4の整数が好ましく、さらに好ましくは3である。この範囲であると調色性及び耐水性がさらに良好となる。
【0031】
ポリオキシアルキレン化合物(Y)1モルと、炭素数6〜21のアルキルグリシジルエーテル1〜5モルとを反応させて得られるポリオキシアルキレン化合物(YG)を含有してなる界面活性剤には、ポリオキシアルキレン化合物(Y)を含有していてもよい。
【0032】
炭素数3〜18のアルキルグリシジルエーテルのモル数は、ポリオキシアルキレン化合物(Y)1モルに対して、1〜5の整数が好ましく、さらに好ましくは1〜4の整数、特に好ましくは2又は3である。この範囲であると調色性がさらに良好となる。
【0033】
炭素数6〜21のアルキルグリシジルエーテルとしては、一般式(3)で表される化合物が挙げられる。
【0035】
Rは、炭素数3〜18のアルキル基{プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル及びオクタデシル等}を表し、Oは酸素原子、Cは炭素原子、Hは水素原子を表す。
【0036】
すなわち、炭素数6〜21のアルキルグリシジルエーテルとしては、プロピルグリシジルエーテル、イソプロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、イソブチルグリシジルエーテル、ペンチルグリシジルエーテル、ヘキシルグリシジルエーテル、オクチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、ノニルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル、ウンデシルグリシジルエーテル、ドデシルグリシジルエーテル、トリデシルグリシジルエーテル、テトラデシルグリシジルエーテル、ペンタデシルグリシジルエーテル、ヘキサデシルグリシジルエーテル、ヘプタデシルグリシジルエーテル及びオクタデシルグリシジルエーテル等が含まれる。これらのうち、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル及びドデシルグリシジルエーテルが好ましく、さらに好ましくは、ブチルグリシジルエーテル及び2−エチルヘキシルグリシジルエーテルである。
【0037】
炭素数6〜21のアルキルグリシジルエーテルは、一般式(2)の「Q−(OA)
nH」の水酸基に付加反応する場合と、一般式(1)の「U」の水酸基に付加反応する場合とがあり、いずれか一方と反応してもよく、両方と反応してもよく、また、これらの全部と反応してもよく、これらの一部と反応してもよい。
【0038】
ポリアルキレン化合物(YG)は、一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン化合物(Y)1モルと、炭素数6〜21のアルキルグリシジルエーテル1〜5モルとを反応させて得られるが、後述の「非還元性の二又は三糖類(a1)1モル部と炭素数2〜4のアルキレンオキシド(a2)20〜60モル部を化学反応させて得られるポリオキシアルキレン化合物(a12)」と炭素数6〜21のアルキルグリシジルエーテルとを反応させてから、製造してもよい(詳細は後述する。)。
【0039】
一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン化合物(Y)としては、次の方法(1)又は(2)からなる製造方法によって製造できる。
【0040】
<方法(1)>
非還元性の二又は三糖類(a1)1モル部と炭素数2〜4のアルキレンオキシド(a2)20〜60モル部を化学反応させて、ポリオキシアルキレン化合物(a12)を得る工程(1);
ポリオキシアルキレン化合物(a12)1モル部と、エピハロヒドリン(a3)1.2〜2モル部とを塩基の存在下で化学反応させて、モノグリシジルエーテル化合物(MG)を得る工程(2);
ポリオキシアルキレン化合物(a12)1モル部と、エピハロヒドリン(a3)2.5〜4モル部とを塩基の存在下で化学反応させて、ジグリシジルエーテル化合物(DG)を得る工程(3);
ポリオキシアルキレン化合物(a12)1モル部とモノグリシジルエーテル化合物(MG)0.95〜1.15モル部とを反応させて、ダイマー(DM)を得る工程(4);並びに
ダイマー(DM)1モル部とジグリシジルエーテル化合物(DG)0.95〜1.15モル部とを反応させて、ポリオキシアルキレン化合物(Y1)を得る工程(5)を含む方法(1)。
【0041】
非還元性の二又は三糖類(a1)1モル部と炭素数2〜4のアルキレンオキシド(a2)20〜60モル部を化学反応させて、ポリオキシアルキレン化合物(a12)を得る工程(1);
ポリオキシアルキレン化合物(a12)1モル部と、エピハロヒドリン(a3)2.5〜4モル部とを塩基の存在下で化学反応させて、ジグリシジルエーテル化合物(DG)を得る工程(3);
ポリオキシアルキレン化合物(a12)2モル部とジグリシジルエーテル化合物(DG)1〜1.2モル部とを反応させて、トリマー(TM)を得る工程(6);
トリマー(TM)1モル部とジグリシジルエーテル化合物(DG)0.95〜1.2モル部とを反応させて、ポリオキシアルキレン化合物(Y2)を得る工程(7)を含む方法(2)。
【0042】
これらの化学反応により製造されるポリオキシアルキレン化合物(Y1)、(Y2)は、オキシアルキレン基やm、nの数等に分布を生じる場合があり、この場合、厳密には複数種類のポリオキシアルキレン化合物の混合物となり、この混合物の中に、一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン化合物(Y)が含まれるものである。
【0043】
工程(1)において、アルキレンオキシド(a2)の使用量(モル部)としては、非還元性の二又は三糖類(a1)1モル部に対して、20〜60が好ましく、さらに好ましくは30〜60、特に好ましくは30〜50である。この範囲であると、調色性及び耐水性がさらに良好となる。
【0044】
工程(2)において、エピハロヒドリン(a3)の使用量(モル部)としては、ポリオキシアルキレン化合物(a12)1モル部に対して、1.2〜2が好ましく、さらに好ましくは1.2〜1.8、特に好ましくは1.3〜1.5である。この範囲であると、モノグリシジルエーテル化合物(MG)の収率がさらに向上する。
【0045】
工程(3)において、エピハロヒドリン(a3)の使用量(モル部)としては、ポリオキシアルキレン化合物(a12)1モル部に対して、2.5〜4が好ましく、さらに好ましくは2.5〜3.5、特に好ましくは2.5〜3である。この範囲であると、ジグリシジルエーテル化合物(DG)の収率がさらに向上する。
【0046】
工程(4)において、モノグリシジルエーテル化合物(MG)の使用量(モル部)としては、ポリオキシアルキレン化合物(a12)1モル部に対して、0.95〜1.15が好ましく、さらに好ましくは1〜1.1、特に好ましくは1〜1.05である。この範囲であると、ダイマー(DM)の収率がさらに向上する。
【0047】
工程(5)において、ジグリシジルエーテル化合物(DG)の使用量(モル部)としては、ダイマー(DM)1モル部に対して、0.95〜1.15が好ましく、さらに好ましくは1〜1.15、特に好ましくは1〜1.1である。この範囲であると、ポリオキシアルキレン化合物(Y1)の収率がさらに向上する。
【0048】
工程(6)において、ジグリシジルエーテル化合物(DG)の使用量(モル部)としては、ポリオキシアルキレン化合物(a12)2モル部に対して、1〜1.2が好ましく、さらに好ましくは1〜1.15、特に好ましくは1〜1.1である。この範囲であると、トリマー(TM)の収率がさらに向上する。
【0049】
工程(7)において、ジグリシジルエーテル化合物(DG)の使用量(モル部)としては、トリマー(TM)1モル部に対して、0.95〜1.2が好ましく、さらに好ましくは1〜1.15、特に好ましくは1〜1.1である。この範囲であると、ポリオキシアルキレン化合物(Y2)の収率がさらに向上する。
【0050】
非還元性の二又は三糖類(a1)としては、一般式(2)における反応残基(Q)を構成することができる二又は三糖類と同じものが使用でき、好ましい範囲も同じである。
【0051】
アルキレンオキシド(a2)としては、炭素数2〜4のアルキレンオキシド等が使用でき、エチレンオキシド(以下、EOと略記する。)、プロピレンオキシド(以下、POと略記する。)、ブチレンオキシド(以下、BOと略記する。)及びこれらの混合物等が挙げられる。これらのうち、調色性及び耐水性の観点から、非還元性の二又は三糖類(a1)1モルに対するアルキレンオキシド(a2)の使用量が30〜50モル部の場合、PO単独が好ましく、また、同使用量が20〜30モル部の場合、POとBOとの混合が好ましく、また、同使用量が50〜60モル部の場合、POとEOとの混合が好ましい。
【0052】
エピハロヒドリン(a3)としては、エピクロルヒドリン及びエピブロモヒドリン等が挙げられる。このうち、エピクロルヒドリンが好ましい。
【0053】
工程(1)において、複数種類のアルキレンオキシドを用いる場合、反応させる順序(ブロック状、ランダム状及びこれらの組合せ)及び使用割合には制限ないが、ブロック状又はブロック状とランダム状の組合せを含むことが好ましくい。また、EOを含有する場合、EOの使用割合(モル%)は、アルキレンオキシドの全モル数に基づいて、1〜10が好ましく、さらに好ましくは1〜8、特に好ましくは3〜8である。EOと、PO又は/及びBOとを含む場合、二又は三糖類(a1)へのEOの反応後にPO及び/又はBOをそれぞれブロック状に反応させることが好ましい。
【0054】
非還元性の二又は三糖類(a1)とアルキレンオキシド(a2)との化学反応は、アニオン重合、カチオン重合又は配位アニオン重合等のいずれの形式で実施してもよい。また、これらの重合形式は単独でも、重合度等に応じて組み合わせて用いてもよい。
【0055】
非還元性の二又は三糖類(a1)とアルキレンオキシド(a2)との化学反応には反応触媒が使用できる。なお、反応溶媒として以下に説明するアミドを用いる場合、反応触媒を用いる必要がない。
反応触媒としては、通常使用されるアルキレンオキシド付加反応用触媒等が使用でき、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の水酸化物(水酸化カリウム、水酸化ルビジウム及び水酸化セシウム等)、アルカリ金属のアルコラート(カリウムメチラート及びセシウムエチラート等)、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の炭酸塩(炭酸カリウム、炭酸セシウム及び炭酸バリウム等)、炭素数3〜24の3級アミン(トリメチルアミン、トリオクチルアミン、トリエチレンジアミン及びテトラメチルエチレンジアミン等)、及びルイス酸(塩化第二錫及びトリフッ化ホウ素等)等が用いられる。これらのうち、アルカリ金属の水酸化物及び3級アミン化合物が好ましく、さらに好ましくは水酸化カリウム、水酸化セシウム及びトリメチルアミンである。
【0056】
反応触媒を使用する場合、その使用量(重量%)は、非還元性の二又は三糖類(a1)及びアルキレンオキシド(a2)の合計重量に基づいて、0.05〜2が好ましく、さらに好ましくは0.1〜1、特に好ましくは0.2〜0.6である。
【0057】
反応触媒を使用する場合、反応触媒は反応生成物から除去することが好ましく、その方法としては、合成アルミノシリケートなどのアルカリ吸着剤{例えば、商品名:キョーワード700、協和化学工業(株)製、「キョワード」は同社の登録商標である。}を用いる方法(特開昭53−123499号公報等)、キシレン又はトルエン等の溶媒に溶かして水洗する方法(特公昭49−14359号公報等)、イオン交換樹脂を用いる方法(特開昭51−23211号公報等)及びアルカリ性触媒を炭酸ガスで中和して生じる炭酸塩を濾過する方法(特公昭52−33000号公報)等が挙げられる。
【0058】
反応触媒の除去の終点としては、CPR(Controlled Polymerization Rate)値が20以下であることが好ましく、さらに好ましくは10以下、特に好ましくは5以下、最も好ましくは2以下である。なお、CPRは、JIS K1557−4:2007に準拠して測定される。
【0059】
反応容器としては、加熱、冷却及び撹拌が可能な耐圧性反応容器を用いることが好ましい。反応雰囲気としては、アルキレンオキシド(a2)を反応系に導入する前に反応装置内を真空または乾燥した不活性気体(アルゴン、窒素及び二酸化炭素等)の雰囲気とすることが好ましい。また、反応温度(℃)としては80〜150が好ましく、さらに好ましくは90〜130である。反応圧力(ゲージ圧:MPa)は0.8以下が好ましく、さらに好ましくは0.5以下である。
【0060】
反応終点の確認は、次の方法等により行うことができる。すなわち、反応温度を15分間一定に保ったとき、反応圧力(ゲージ圧)の低下が0.001MPa以下となれば反応終点とする。所要反応時間は通常4〜12時間である。
【0061】
非還元性の二又は三糖類(a1)とアルキレンオキシド(a2)との化学反応には、反応溶媒を用いることが好ましい。反応溶媒としては、活性水素を持たないものが好ましく、さらに好ましくは非還元性の二又は三糖類(a1)、アルキレンオキシド(a2)及びこれらの反応により生成するポリオキシアルキレン生成物(a12)を溶解するものが好ましい。
【0062】
このような反応溶媒としては、炭素数3〜8のアルキルアミド及び炭素数5〜7の複素環式アミド等が使用できる。
【0063】
アルキルアミドとしては、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチル−N−プロピルアセトアミド及び2−ジメチルアミノアセトアルデヒドジメチルアセタール等が挙げられる。
【0064】
複素環式アミドとしては、N−メチルピロリドン、N−メチル−ε−カプロラクタム及びN,N−ジメチルピロールカルボン酸アミド等が挙げられる。
【0065】
これらのうち、アルキルアミド及びN−メチルピロリドンが好ましく、さらに好ましくはDMF、N,N−ジメチルアセトアミド及びN−メチルピロリドン、特に好ましくはDMF及びN−メチルピロリドン、最も好ましくはDMFである。
【0066】
反応溶媒を用いる場合、その使用量(重量%)は、二又は三糖類(a1)とアルキレンオキシド(a2)との反応により生成するポリオキシアルキレン化合物(a12)の重量に基づいて、20〜200が好ましく、さらに好ましくは40〜180、特に好ましくは60〜150である。
【0067】
反応溶媒を用いた場合、反応後に反応溶媒を除去することが好ましい。
反応溶媒の残存量(重量%)は、生成する重合体の重量に基づいて、0.1以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.05以下、特に好ましくは0.01以下である。なお、反応溶媒の残存量は、内部標準物質を用いるガスクロマトグラフィー法にて求めることができる。
【0068】
反応溶媒の除去方法としては、減圧留去及び吸着除去等が適用でき、減圧留去した後さらに吸着除去することが好ましい。減圧留去する条件としては、0.6〜27kPaの減圧下にて100〜150℃にて留去する条件等が適用できる。
【0069】
吸着除去としては、合成アルミノシリケート等のアルカリ吸着剤{例えば、商品名:キョーワード700、協和化学工業(株)製}を用いて処理する方法等が適用できる。例えば、キョーワード700を用いる場合、アルカリ吸着剤の添加量(重量%)は、ポリオキシアルキレン化合物(a12)の重量に基づいて、0.1〜10程度、処理温度は60〜120℃程度、処理時間は0.5〜5時間程度である。続いてろ紙又はろ布等を用いてろ別してアルカリ吸着剤を取り除くことにより、反応溶媒の残存量を減少させることができる。
【0070】
ポリオキシアルキレン化合物(a12)とエピハロヒドリン(a3)との反応には、ポリオキシアルキレン化合物(a12)の水酸基の水素原子とエピハロヒドリン(a3)のハロゲン原子とからの脱ハロゲン化水素によるエーテル結合の生成(ウイリアムソン合成法)等が適用できる。
【0071】
ポリオキシアルキレン化合物(a12)とエピハロヒドリン(a3)とのエーテル結合反応(ウイリアムソン合成法)には、加熱、冷却、攪拌可能な容器を用いることができ、脱離生成するハロゲン化水素とほぼ等量の塩基の存在下で反応することが好ましい。
【0072】
塩基としては、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の水酸化物(水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム及び水酸化マグネシウム等)等が用いられる。これらのうち、アルカリ金属水酸化物が好ましく、さらに好ましくは水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム、特に好ましくは水酸化ナトリウムである。
【0073】
塩基の使用量は、エピハロヒドリン(a3)の使用量(実際に反応させる設計量)によって決定できる。例えば、ポリオキシアルキレン化合物(a12)1モル部に対してエピハロヒドリン(a3)の使用量が1モル部の場合、塩基の使用量はポリオキシアルキレン化合物(a12)1モル部に対して1モル部である。このようにすると、過剰の塩基の中和、除去工程を省くことができ、また、反応はエピハロヒドリン(a3)が過剰である状態で実施するが、その過剰分は減圧下の脱水工程等で除去できる。
【0074】
ポリオキシアルキレン化合物(a12)とエピハロヒドリン(a3)との化学反応の開始に先立ち、水の含有量(重量%)を、ポリオキシアルキレン化合物(a12)、エピハロヒドリン(a3)及び塩基の重量に基づいて、2〜5に調整することが好ましく、さらに好ましくは2.5〜4.5、特に好ましくは3〜4に調整することである。この範囲であると、生成した中和塩は、大きく結晶化し、脱塩濾過工程(例えば濾紙No.2:ADVANTEC社製、保留粒子径:5μm)にて容易に除去できる。
【0075】
ポリオキシアルキレン化合物(a12)とエピハロヒドリン(a3)との反応温度(℃)は、40〜80が好ましく、さらに好ましくは50〜70である。反応雰囲気としては、エピハロヒドリンを反応系に導入する前に反応装置内を不活性ガス(アルゴン、窒素及び二酸化炭素等)の雰囲気とすることが好ましい。
【0076】
ポリオキシアルキレン化合物(a12)とエピハロヒドリン(a3)との反応終点の確認は、次の方法等により行うことができる。すなわち、反応液のpHを測定し6〜8となれば反応終点とする。所要反応時間は通常3〜12時間である。なお、pHは、反応液を直接リトマス試験紙に付着させて色の変化を観察することにより測定できる(20〜30℃)。
【0077】
次いで定法(濾過等)により脱塩(中和塩の除去)、脱水等を経てモノグリシジルエーテル化合物(MG)又はジグリシジルエーテル化合物(DG)が単離精製される。
【0078】
脱塩(濾過)は公知の方法が適用でき、通常の自然濾過でも、減圧濾過(吸引濾過)でもよい。濾材や濾過装置も公知のものをそのまま適用できる。
濾過温度(℃)としては、50〜80程度が好ましく、さらに好ましくは60〜70である。
【0079】
脱水はその方法に制限はないが、減圧留去(減圧下脱水)する方法が好ましい。減圧留去(減圧下脱水)すると、もし、過剰のエピハロヒドリン(a3)が残存していても、水と共に除去できる。
減圧留去する場合、圧力{ゲージ圧(以下同じ)}は、−0.05〜−0.098MPa程度が好ましく、温度は、60〜80℃程度が好ましい。
【0080】
脱水後の水の含有量(重量%)は、モノグリシジルエーテル化合物(MG)又はジグリシジルエーテル化合物(DG)の重量に基づいて、0.2以下が好ましく、さらに好ましくは0.1以下、特に好ましくは0.05以下である。
水の含有量(重量%)は、公知の方法で測定することができ、たとえば、Karl Fischer法(JIS K0113:2005、電量滴定方法)により求めることができる。
【0081】
モノグリシジルエーテル化合物(MG)又はジグリシジルエーテル化合物(DG)を得た後、これらの中に過剰の塩基が残存している場合、これを除去することが好ましい。除去方法としては、ポリオキシアルキレン化合物(a12)の製造方法で説明した「アルキレンオキシド(a2)の付加反応に用いることができる反応触媒」の除去方法等が適用できる。これらのうち、塩基を酸(鉱酸、炭酸ガス等)で中和して生じる中和塩(塩酸塩、硫酸塩、炭酸塩等)を濾過する方法が好ましい。濾過する方法を適用すると、化学反応(2)で副生する中和塩と共に濾過することができるため効率がよい。濾過方法に置き換えて、または濾過方法と共に、塩基をアルカリ吸着剤で処理することにより、さらに残存量を低減させてもよい。
【0082】
なお、塩基を酸で中和する場合、酸としては、鉱酸(塩酸、硫酸、硝酸及び燐酸等)、有機酸(蟻酸、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、サリチル酸、テレフタル酸、シュウ酸、マロン酸、アジピン酸、コハク酸、乳酸等)等が使用できる。
【0083】
塩基の残存量は、JIS K1557−4:2007に記載のCPR(Controlled Polymerization Rate)値で管理することができる。CPR値は、20以下であることが好ましく、さらに好ましくは10以下、特に好ましくは5以下、最も好ましくは2以下である。
【0084】
モノグリシジルエーテル化合物(MG)及びジグリシジルエーテル化合物(DG)のエポキシ当量(g/eq.)はJIS K7236:1995(エポキシ樹脂のエポキシ当量試験法)に準拠して測定できる。
【0085】
ポリオキシアルキレン化合物(a12)とモノグリシジルエーテル化合物(MG)又はジグリシジルエーテル化合物(DG)との反応、ダイマー(DM)とジグリシジルエーテル化合物(DG)との反応、及びトリマー(TM)とジグリシジルエーテル化合物(DG)との反応には、ポリオキシアルキレン化合物(a12)の製造方法で説明した「アルキレンオキシド(a2)の付加反応に用いることができる反応触媒、反応容器、反応条件」等が適用できる。
【0086】
これらの反応の終点は、エポキシ基の消滅により行うことができる。エポキシ基の定量としては、過塩素酸と第四級アンモニュウム塩(CTAB)とからハロゲン化水素(HB)を発生させてこれとエポキシ基とを反応させるセチルトリメチルアンモニュウムブロマイド(CTAB)法(JIS K7236:ISO3001:1999に準拠)が適用できる。
【0087】
ポリアルキレン化合物(YG)は、一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン化合物(Y)1モルと、炭素数6〜21のアルキルグリシジルエーテル1〜5モルとを反応させて得られるが、上記のポリオキシアルキレン化合物(a12)と炭素数アルキルグリシジルエーテルとを反応させて、ポリオキシアルキレン化合物(a12)’を調製してから、ポリオキシアルキレン化合物(a12)をこのポリオキシアルキレン化合物(a12)’に変更すること以外、上記の方法(1)又は(2)によっても製造できる。
【0088】
ポリオキシアルキレン化合物(Y1)又は(Y2)と炭素数6〜21のアルキルグリシジルエーテルとの反応、及びポリオキシアルキレン化合物(a12)と炭素数アルキルグリシジルエーテルとの反応には、ポリオキシアルキレン化合物(a12)の製造方法で説明した「アルキレンオキシド(a2)の付加反応に用いることができる反応触媒、反応容器、反応条件」等が適用できる。
【0089】
これらの反応の終点は、エポキシ基の消滅により行うことができる。エポキシ基の定量としては、過塩素酸と第四級アンモニュウム塩(CTAB)とからハロゲン化水素(HB)を発生させてこれとエポキシ基とを反応させるセチルトリメチルアンモニュウムブロマイド(CTAB)法(JIS K7236:ISO3001:1999に準拠)が適用できる。
【0090】
方法(1)で調製されるポリオキシアルキレン化合物(Y1)としては表1に例示したもの等、方法(2)で調製されるポリオキシアルキレン化合物(Y2)としては表2に例示したもの等が挙げられる。
【0091】
なお、非還元性の二又は三糖類(a1)の欄について、Q1は蔗糖を、Q2はトレハロースを、Q3はラフィノースを表す。アルキレンオキシド(a2)の欄について、Pはプロピレンオキシドを、Eはエチレンオキシドを、Bはブチレンオキシドを表し、これらの添え字は、それぞれ、非還元性のニ又は三糖類(a1)1モルに対するモル数を表し、/はブロック状を、・はランダム状を表す。
ポリオキシアルキレン化合物(a12)の欄について、2段書きされているのは2種類のポリオキシアルキレン化合物(a12)を用いたことを意味し、上段が工程(1)、(3)で用いた原料を、下段が工程(1)、(2)、(4)で用いた原料又は工程(1)、(3)、(6)で用いた原料を表す。また、エピハロヒドリン(a3)としてはエピクロルヒドリンを用いている。また、ポリオキシアルキレン化合物(Y)について、一般式(1)、(2)のt及びmに対応する値を表中に示している。
【0094】
ポリオキシアルキレン化合物(Y)と炭素数6〜21のアルキルグリシジルエーテルとを反応させて得られるポリオキシアルキレン化合物(YG)としては表3に例示したもの等が挙げられる。なお、(Y)の欄に、反応させるポリオキシアルキレン化合物(Y)であって、表1又は2で例示したポリオキシアルキレン化合物(Y)の番号を表す。また、アルキルグリシジルエーテルの欄について、BUGはブチルグリシジルエーテルを、EHGは2−エチルヘキシルグリシジルエーテルを、DDGはドデシルグリシジルエーテルを、HDGはヘキサデシルグリシジルエーテルを表し、これらの添え字は、ポリオキシアルキレン化合物(Y)1モルに対するモル数を表す。
【0096】
これらのポリオキシアルキレン化合物(Y1、Y2、YG)のうち、No.1、2、6、7、8、10、12、13、16、19、21、22、24、27、28、29、30、30、32、33、34、36、39及び40のいずれかで表されるのポリオキシアルキレン化合物が好ましく、さらに好ましくはNo.7、8、10、12、13、16、23、24、28、30、32、33、36及び39のいずれかで表されるポリオキシアルキレン化合物、特に好ましくは10、13、28、33及び39のいずれかで表されるポリオキシアルキレン化合物である。
【0097】
本発明の界面活性剤には、ポリオキシアルキレン化合物(Y)、(YG)以外に、必要により、その他の添加剤(粘度調整剤、消泡剤、湿潤剤及び分散剤等)等を併用又は含有させることができる。
【0098】
粘度調整剤としては、SNシックナー601及び同612(サンノプコ株式会社製)等、消泡剤としてはSNデフォーマー180及び同184(サンノプコ株式会社製)等、湿潤剤としてはSNウエット125及び同126(サンノプコ株式会社製)等、分散剤としてはノプコスパース6100及び同6110、SNディスパーサント2060及び同5041(サンノプコ株式会社製)等が挙げられる。なお、添加剤を併用又は含有する場合、これらの使用量又は含有量としては、ポリオキシアルキレン化合物(Y)、(YG)の重量に基づいて、いずれも0.1〜100重量%が好ましい。
【0099】
本発明の界面活性剤に必要によりその他の添加剤を含む場合、ポリオキシアルキレン化合物(Y)、(YG)とこれらの配合方法としては、均一に混合できれば制限がなく、たとえば、これらを混合用容器にそれぞれの必要量を投入し密閉の後、常温(10〜30℃)で又は加温(30〜70℃)して均一攪拌混合する方法等が挙げられる。
【0100】
本発明の界面活性剤は、顔料を含むコーティング組成物用の添加剤として好適であり、たとえば、顔料を含むコーティング組成物用の調色性改良剤、親水性付与剤、汚染低減剤、防曇剤等として使用できる他に、乳化剤、表面張力低減剤(カーテンフローコート性向上剤、スプレー適正化剤を含む)及び皮張り防止剤(水性塗料が容器内貯蔵中に塗料の表面が固化する現象を防止する)等として広く使用でき、これらの原材料等としても使用できる。
【0101】
顔料としては、各種の天然顔料及び合成顔料(合成有機顔料、合成無機顔料等)が含まれ、チタン白、カドミウム黄、クロム黄、鉄黄、群青、ベンガラ及びカーボンブラックの他に、シアニン系、フタロシアニン系、キノリン系、アゾ系又はアントラキノン系の顔料等が挙げられる。これら顔料は単独で、或いは少なくとも2種(2品)の混合顔料で用いられる。さらに、炭酸カルシュウム、タルク、マイカ等の各種の体質顔料を用いることもできる。
【0102】
本発明の界面活性剤を、顔料を含むコーティング組成物用の添加剤として使用する場合、本発明の界面活性剤は、顔料の分散液(顔料組成物)を作成する際に添加(顔料分散工程で添加、又は完成した顔料分散液に後添加)して使用してもよいし、塗料化工程のいずれかに添加してもよく、完成したコーティング組成物(塗料)に添加して使用することもできる。そして、これらの何れの場合にも、優れた調色性及び耐水性を発揮し得る。
【0103】
本発明の顔料組成物(顔料ペースト)は、上記の界面活性剤及び顔料を含有していれば、顔料及び界面活性剤以外に、分散剤及び分散媒(水等)等を含有できる。
【0104】
上記の界面活性剤の含有量(重量%)は、顔料の重量に基づいて、10〜100が好ましく、さらに好ましくは10〜90、特に好ましくは20〜80である。分散剤や分散媒を含有する場合、これらの含有量は通常の範囲で含有できる。
【0105】
本発明の顔料組成物(顔料ペースト)は、顔料及び界面活性剤等を均一に分散・混合できれば、製造方法に制限はない。たとえば、ボールミル、エクセルオートホモジナイザー、ディスパー等の混合機を用いて均一に分散・混合して調製できる。また、顔料組成物は脱泡してもよい。
【0106】
本発明のコーティング組成物は、コーティング剤及び上記の界面活性剤を含有するか、コーティング剤及び上記の顔料組成物を含有してなる。
コーティング剤としては、水性コーティング剤及び非水性コーティング剤のいずれも適用することができるが、これらのうち、水性コーティング剤が好ましく、さらに好ましくは水性エマルションコーティング剤、特に好ましくはアクリル系、酢酸ビニル系、スチレン系、ハロゲン化オレフィン系、ウレタン系、アクリル−シリコン系又はフッ素系の水性エマルションコーティング剤である。
【0107】
本発明のコーティング組成物がコーティング剤及び上記の顔料組成物を含有してなる場合、顔料組成物の含有量(重量%)は、コーティング剤の重量に基づいて、1〜20が好ましく、さらに好ましくは2〜15、特に好ましくは2〜10である。
【0108】
本発明のコーティング組成物がコーティング剤及び上記の界面活性剤を含有してなる場合、界面活性剤の含有量(重量%)は用途に応じて適宜決定されるが、たとえば、コーティング組成物を水性塗料等(紙塗工塗料、各種インキを含む)に使用する場合、コーティング剤の重量に基づいて、0.5〜5が好ましく、さらに好ましくは1〜5、特に好ましくは1〜4である。
【0109】
本発明のコーティング組成物には、コーティング剤、界面活性剤及び顔料組成物以外に、造膜調整剤、体質顔料(クレー、炭酸カルシウム等)、増粘剤及び溶媒(水等)を含有できる。
【0110】
本発明のコーティング組成物は、コーティング剤及び上記の顔料組成物又はコーティング剤及び上記の界面活性剤を均一に分散・混合できれば、製造方法に制限はない。たとえば、エクセルオートホモジナイザー、ディスパー等の混合機を用いて均一に分散・混合して調製できる。また、コーティング組成物は脱泡してもよい。
【0111】
本発明のコーティング組成物は、通常の方法により被塗装体に塗装することができ、ハケ塗り、ローラー塗装、ベル塗装、エアスプレー塗装、エアレス塗装、ロールコーター塗装及びフローコーター塗装等の塗装方法等が適用できる。乾燥方法は常乾であっても焼付け乾燥であってもよく、焼付け乾燥は常法に従い、例えば電気式熱風乾燥機、間接熱風炉、直接熱風炉、遠赤外炉等を用い、約120〜260℃にて数10秒〜30分間塗膜を保持することで実施できる。
【実施例】
【0112】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、特記しない限り、部は重量部を、%は重量%を意味する。
【0113】
<製造例1>
攪拌、加熱、冷却、滴下、窒素による加圧及び真空ポンプによる減圧の可能な耐圧反応容器に、精製グラニュー糖{台糖(株)製蔗糖、以下同じ}342部(1モル部)及びDMF{三菱ガス化学(株)製、以下同じ}1000部を投入した後、窒素ガスを用いて、ゲージ圧で0.1MPaになるまで加圧し0.02MPaになるまで排出する操作を3回繰り返した(この窒素ガスを用いた操作について、以下、窒素置換と略する。)。その後、攪拌しつつ100℃まで昇温し同温度にて、ブチレンオキシド(BO)360部(5モル部)を2時間かけて滴下し、さらに同温度にて2時間攪拌を続けた。次いで同温度にてプロピレンオキシド(PO)870部(15モル部)を4時間かけて滴下し、さらに同温度にて4時間攪拌を続けた。次いで120℃にて1.3〜13kPaの減圧下にてDMFを除去(以下、単にDMFを除去と略記する)し、蔗糖/BO5モル/PO15モル付加物(S1)を得た。
【0114】
<製造例2>
製造例1と同じ反応容器に、精製グラニュー糖342部(1モル部)及びDMF1000部を加えて窒素置換した後、攪拌しつつ100℃まで昇温し、次いで同温度にてプロピレンオキシド(PO)1160部(20モル部)を6時間かけて滴下し、さらに同温度にて4時間攪拌を続けた。次いでDMFを除去し、蔗糖/PO20モル付加物(S2Be)を得た。
【0115】
製造例1と同じ反応容器に、蔗糖/PO20モル付加物(S2Be)1502部(1モル部)及び水酸化カリウム{試薬特級、和光純薬工業(株)製、使用量は水分を除いた純分換算量で表示した。以下同じ。}5部を加えて「120℃にて0.6〜1.3kPaの減圧下にて脱水した」(この「 」内の操作について、以下、脱水と称する。)。次いで減圧のまま100℃にて、プロピレンオキシド(PO)580部(10モル部)を4時間かけて滴下し、さらに120℃にて4時間攪拌を続けた。次いで「80℃にて脱イオン水40部を加えた後、無機吸着材{キョーワード700、協和化学工業(株)製、以下同じ}80部を加え、同温度にて2時間攪拌した。次いで同温度にてNo.2濾紙{東洋濾紙(株)製、保留粒子径:5μm、以下同じ}を用いて濾過して無機吸着材を取り除き、さらに1.3〜2.7kPaの減圧下120℃にて1時間脱水」(この「 」内の操作について、以下、精製処理と略する。)して、蔗糖/PO30モル付加物(S2)を得た。
【0116】
<製造例3>
製造例1と同じ反応容器に、蔗糖/PO20モル付加物(S2Be)1502部(1モル部)及び水酸化カリウム6部を加えて脱水した。次いで減圧のまま100℃にて、プロピレンオキシド(PO)1160部(20モル部)を5時間かけて滴下し、さらに120℃にて4時間攪拌を続けた。次いで精製処理して、蔗糖/PO40モル付加物(S3)を得た。
【0117】
<製造例4>
製造例1と同じ反応容器に、蔗糖/PO20モル付加物(S2Be)1502部(1モル部)及び水酸化カリウム7部を加えて脱水した。次いで減圧のまま100℃にて、プロピレンオキシド(PO)1740部(30モル部)を5時間かけて滴下し、さらに120℃にて4時間攪拌を続けた。次いで精製処理して、蔗糖/PO50モル付加物(S4)を得た。
【0118】
<製造例5>
製造例1と同じ反応容器に、精製グラニュー糖342部(1モル部)及びDMF1500部を加えて窒素置換した後、攪拌しつつ100℃まで昇温し同温度にてエチレンオキシド(EO)220部(5モル部)とプロピレンオキシド(PO)290部(5モル部)の混合液を3時間かけて滴下し、次いで同温度にてプロピレンオキシド(PO)580部(10モル部)を5時間かけて滴下し、さらに同温度にて4時間攪拌を続けた。次いでDMFを除去し、蔗糖/EO5モル・PO5モル/PO10モル付加物(S5Be)を得た。
【0119】
製造例1と同じ反応容器に、蔗糖/EO5モル・PO5モル/PO10モル付加物(S5Be)1432部(1モル部)及び水酸化カリウム8部を加えて脱水した。次いで減圧のまま100℃にて、プロピレンオキシド(PO)2320部(40モル部)を5時間かけて滴下し、さらに120℃にて4時間攪拌を続けた。次いで精製処理して、蔗糖EO5モル・PO5モル/PO50モル付加物(S5)を得た。
【0120】
<製造例6>
製造例1と同じ反応容器に、トレハロース{試薬特級、和光純薬工業(株)製}342部(1モル部)及びDMF1200部を加えて窒素置換した後、攪拌しつつ100℃まで昇温し、次いで同温度にてプロピレンオキシド(PO)1740部(30モル部)を7時間かけて滴下し、さらに同温度にて4時間攪拌を続けた。次いでDMFを除去し、トレハロース/PO30モル付加物(S6)を得た。
【0121】
<製造例7>
製造例1と同じ反応容器に、トレハロース/PO30モル付加物(S6)2082部(1モル部)及び水酸化カリウム3部を加えて脱水した。次いで減圧のまま100℃にて、プロピレンオキシド(PO)580部(10モル部)を3時間かけて滴下し、さらに120℃にて2時間攪拌を続けた。次いで精製処理して、トレハロース/PO40モル付加物(S7)を得た。
【0122】
<製造例8>
製造例1と同じ反応容器に、ラフィノース{試薬特級、和光純薬工業(株)製}504部(1モル部)及びDMF800部を加えて窒素置換した後、攪拌しつつ100℃まで昇温し、次いで同温度にてプロピレンオキシド(PO)870部(15モル部)を5時間かけて滴下し、さらに同温度にて4時間攪拌を続けた。次いでDMFを除去し、ラフィノース/PO15モル付加物(S8Be)を得た。
【0123】
製造例1と同じ反応容器に、ラフィノース/PO15モル付加物(S8Be)1374部(1モル部)及び水酸化カリウム4部を加えて脱水した。次いで減圧のまま100℃にて、プロピレンオキシド(PO)870部(15モル部)を6時間かけて滴下し、さらに120℃にて4時間攪拌を続けた。次いで精製処理して、ラフィノース/PO30モル付加物(S8)を得た。
【0124】
<製造例9>
製造例1と同じ反応容器に、製造例1で得た蔗糖/BO5モル/PO15モル付加物(S1)1572部(1モル部)と、水酸化ナトリウム{試薬特級、和光純薬工業(株)製、純度約97重量%、使用量は水分を除いた純分換算量で表示した。以下同じ。}40.4部(1.01モル部)及び水70部を仕込み、60℃にて攪拌しつつ、エピクロルヒドリン{ダイソー(株)製、以下同じ}130部(1.4モル部)を4時間で滴下した。次いで60℃にて5時間攪拌を続け、反応液のpHが7〜8{リトマス試験紙(TOYO ROSHI CO.LTD製、製品名:UNIV PH 1−11)による。以下同じ。}となったのを確認した。次いで「80℃にて0.6〜1.3kPaの減圧下にて脱水(水分:0.03重量%)した後、No.2濾紙による吸引濾過」を行い(この「 」内の操作について、以下、単に脱水・濾過と略記する。)、モノグリシジルエーテル化合物(S1−MG)を得た。このエポキシ当量は1650g/eq.であった。エポキシ当量は、JIS K7236:1995、(エポキシ樹脂のエポキシ当量試験法)に準拠して測定した(以下、同じである。)。
【0125】
<製造例10>
製造例1と同じ反応容器に、製造例1で得た蔗糖/BO5モル/PO15モル付加物(S1)1572部(1モル部)と、水酸化ナトリウム80.8部(2.02モル部)及び水80部を仕込み、60℃にて攪拌しつつ、エピクロルヒドリン260部(2.8モル部)を6時間で滴下した。次いで60℃にて5時間攪拌を続け、反応系のpHが7〜8となったのを確認した。次いで脱水・濾過して、ジグリシジルエーテル化合物(S1−DG)を得た。エポキシ当量は840g/eq.であった。
【0126】
<製造例11〜18>
「製造例1で得た蔗糖/BO5モル/PO15モル付加物(S1)(1モル部)」を「製造例2、3、6又は8で得た付加物{(S2)、(S3)、(S6)又は(S8)(1モル部)のいずれか}」に変更したこと以外、製造例9、10と同様にして、モノグリシジルエーテル化合物{(S1−MG)、(S2−MG)、(S3−MG)、(S6−MG)、(S8−MG)}及びジグリシジルエーテル化合物{(S1−DG)、(S2−DG)、(S3−DG)、(S6−DG)、(S8−DG)}を得た。これらのエポキシ当量は表4に記載した。
【0127】
【表4】
【0128】
<実施例1>
製造例1と同じ反応容器に、製造例2で得た蔗糖/PO30モルモル付加物(S2)2082部(1モル部)、水酸化カリウム12部を投入した後、脱水した。次いで80℃にて、製造例11で得たモノグリシジルエーテル化合物(S2−MG){(S2)−モノグリシジルエーテル、エポキシ当量:2150}2150部(1モル部)を加え、「同温度にて1.3〜2.7kPaの減圧下1時間脱水」(この「 」の操作について、以後、追脱水と略記する。)した後、140℃にて12時間攪拌を続けてエポキシ基の消失を確認した{ダイマー(DM1)}。その後、水酸化カリウム6部を投入して脱水した。次いで80℃にて、製造例12で得たジグリシジルエーテル化合物(S2−DG){(S2)−ジグリシジルエーテル、エポキシ当量:1100}2200部(1モル部)を加え、同温度にて追脱水した後、140℃にて15時間攪拌を続けてエポキシ基の消失を確認した。この後、精製処理して、本発明の界面活性剤(ポリオキシアルキレン化合物)(Y11)を得た。
【0129】
界面活性剤(Y11)の重量平均分子量(Mw)は6300であり、Mw/Mnは2.4であった。
また、分子量分布チャートから、メインピークが約65面積%、メインよりも高分子量部分が約20面積%、未反応体と見られる低分子量部分が約15面積%であった(以下の実施例においても同程度であった。)。
以上の値から、一般式(1)におけるmの値が3である化合物が主生成物であることを確認した。
なお、重量平均分子量は、分子量既知のポリスチレンを標準物質としてゲルパ−ミエ−ションクロマトグラフィ(GPC)を用いて以下のような条件で測定、算出(以下、同じである。)した。
【0130】
装置:東ソ−(株)製(型式HLC−8120GPC)
カラム:東ソ−製型式SuperH−4000×2本及び同型式SuperH−3000×1本をそれぞれ直列に接続したカラム
検出器:示差屈折検出器
データ処理機:東ソー(株)製データ処理機(形式SC−8020)
カラム温度:40℃
溶離液:THF(試薬1級、片山化学工業製)
流速:0.5ml/min.
試料濃度:1重量%
試料溶液注入量:10μl
【0131】
<実施例2>
製造例1と同じ反応容器に、実施例1で得た界面活性剤(Y11)6432部(1モル部)に水酸化カリウム18部を投入した後、脱水した。次いで80℃にて、ブチルグリシジルエーテル{エポゴーセーBA、四日市合成(株)製、エポキシ当量:135、以下同じ。「エポゴーセー」は同社の登録商標である。}270部(2モル部)を加え、窒素置換の後、140℃にて12時間攪拌を続けてエポキシ基の消失を確認した。この後、精製処理して本発明の界面活性剤{ポリオキシアルキレン化合物}(YG11)を得た。界面活性剤(YG11)の重量平均分子量は6560、Mw/Mnは2.5であった。
以上の値から、一般式(1)におけるmの値が3である化合物が主生成物であることを確認した。
【0132】
<実施例3>
製造例1と同じ反応容器に、製造例7で得たトレハロース/PO40モル付加物(S7)2662部(1モル部)、水酸化カリウム12部を投入した後、脱水した。次いで80℃にて、製造例9で得たモノグリシジルエーテル化合物(S1−MG){蔗糖/BO5モル/PO15モル付加物−モノグリシジルエーテル、エポキシ当量:1650}1650部(1モル部)を加え、追脱水した後、140℃にて12時間攪拌を続けてエポキシ基の消失を確認した。その後、水酸化カリウム6部を投入して脱水した。次いで80℃にて、製造例10で得たジグリシジルエーテル化合物(S1−DG){(S1)−ジグリシジルエーテル、エポキシ当量:840}1680部(1モル部)を加え、追脱水した後、140℃にて15時間攪拌を続けてエポキシ基の消失を確認した{ダイマー(DM2)}。この後、精製処理して、本発明の界面活性剤{ポリオキシアルキレン化合物}(Y12)を得た。界面活性剤(Y12)の重量平均分子量は5860、Mw/Mnは2.3であった。
以上の値から、一般式(1)におけるmの値が3である化合物が主生成物であることを確認した。
【0133】
<実施例4>
製造例1と同じ反応容器に、実施例3で得た界面活性剤(Y12)5992部(1モル部)に水酸化カリウム18部を投入した後、脱水した。次いで80℃にて、ドデシルグリシジルエーテル{CE−EP、四日市合成(株)製、エポキシ当量:340}680部(2モル部)を加え、窒素置換の後、140℃にて12時間攪拌を続けてエポキシ基の消失を確認した。この後、精製処理して本発明の界面活性剤{ポリオキシアルキレン化合物}(YG12)を得た。界面活性剤(YG12)の重量平均分子量は6620、Mw/Mnは2.4であった。
以上の値から、一般式(1)におけるmの値が3である化合物が主生成物であることを確認した。
【0134】
<実施例5>
製造例1と同じ反応容器に、製造例4で得た蔗糖/PO50モル付加物(S4)3242部(1モル部)、水酸化カリウム16部を投入した後、脱水した。次いで80℃にて、製造例15で得たモノグリシジルエーテル化合物(S6−MG){トレハロース/PO30モル付加物−モノグリシジルエーテル、エポキシ当量:2140}2140部(1モル部)を加え、追脱水した後、140℃にて12時間攪拌を続けてエポキシ基の消失を確認した。その後、水酸化カリウム6部を投入して脱水した。次いで80℃にて、製造例16で得たジグリシジルエーテル化合物(S6−DG){(S6)−ジグリシジルエーテル、エポキシ当量:1100}2200部(1モル部)を加え、追脱水した後、140℃にて15時間攪拌を続けてエポキシ基の消失を確認した{ダイマー(DM3)}。この後、精製処理して、本発明の界面活性剤{ポリオキシアルキレン化合物}(Y13)を得た。界面活性剤(Y13)の重量平均分子量は7160、Mw/Mnは2.6であった。
以上の値から、一般式(1)におけるmの値が3である化合物が主生成物であることを確認した。
【0135】
<実施例6>
製造例1と同じ反応容器に、実施例5で得た界面活性剤(Y13)7582部(1モル部)に水酸化カリウム20部を投入した後、脱水した。次いで80℃にて、ブチルグリシジルエーテル540部(4モル部)を加え、窒素置換の後、140℃にて12時間攪拌を続けてエポキシ基の消失を確認した。この後、精製処理して本発明の界面活性剤{ポリオキシアルキレン化合物}(YG13)を得た。界面活性剤(YG13)の重量平均分子量は7320、Mw/Mnは2.7であった。
以上の値から、一般式(1)におけるmの値が3である化合物が主生成物であることを確認した。
【0136】
<実施例7>
製造例1と同じ反応容器に、製造例5で得た蔗糖/EO5モル・PO5モル/PO50モル付加物(S5)3752部(1モル部)、水酸化カリウム16部を投入した後、脱水した。次いで80℃にて、製造例17で得たモノグリシジルエーテル化合物(S8−MG){ラフィノース/PO30モル付加物−モノグリシジルエーテル、エポキシ当量:2330}2330部(1モル部)を加え、追脱水した後、140℃にて12時間攪拌を続けてエポキシ基の消失を確認した。その後、水酸化カリウム6部を投入して脱水した。次いで80℃にて、製造例18で得たジグリシジルエーテル化合物(S8−DG){(S8)−ジグリシジルエーテル、エポキシ当量:1190}2380部(1モル部)を加え、追脱水した後、140℃にて15時間攪拌を続けてエポキシ基の消失を確認した{ダイマー(DM4)}。この後、精製処理して、本発明の界面活性剤{ポリオキシアルキレン化合物}(Y14)を得た。界面活性剤(Y14)の重量平均分子量は7780、Mw/Mnは2.5であった。
以上の値から、一般式(1)におけるmの値が3である化合物が主生成物であることを確認した。
【0137】
<実施例8>
製造例1と同じ反応容器に、実施例7で得た界面活性剤(Y14)8462部(1モル部)に水酸化カリウム22部を投入した後、脱水した。次いで80℃にて、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル{エポゴーセー2EH、四日市合成(株)製、エポキシ当量:190、以下同じ}380部(2モル部)を加え、窒素置換の後、140℃にて12時間攪拌を続けてエポキシ基の消失を確認した。この後、精製処理して本発明の界面活性剤{ポリオキシアルキレン化合物}(YG14)を得た。界面活性剤(YG14)の重量平均分子量は8100、Mw/Mnは2.6であった。
以上の値から、一般式(1)におけるmの値が3である化合物が主生成物であることを確認した。
【0138】
<実施例9>
製造例1と同じ反応容器に、製造例3で得た蔗糖/PO40モル付加物(S3)5324部(2モル部)、水酸化カリウム20部を投入した後、脱水した。次いで80℃にて、製造例14で得たジグリシジルエーテル化合物(S3−DG){(蔗糖/PO40モル付加物−ジグリシジルエーテル、エポキシ当量:1390}2780部(1モル部)を加え、追脱水した後、140℃にて12時間攪拌を続けてエポキシ基の消失を確認した。その後、水酸化カリウム8部を投入して脱水した。次いで80℃にて、ジグリシジルエーテル化合物(S3−DG)2780部(1モル部)を加え、追脱水した後、140℃にて15時間攪拌を続けてエポキシ基の消失を確認した{トリマー(TM1)}。この後、精製処理して、本発明の界面活性剤{ポリオキシアルキレン化合物}(Y21)を得た。界面活性剤(Y21)の重量平均分子量は9700、Mw/Mnは2.5であった。
以上の値から、一般式(1)におけるmの値が4である化合物が主生成物であることを確認した。
【0139】
<実施例10>
製造例1と同じ反応容器に、実施例9で得た界面活性剤(Y21)10884部(1モル部)に水酸化カリウム26部を投入した後、脱水した。次いで80℃にて、ブチルグリシジルエーテル675部(5モル部)を加え、窒素置換の後、140℃にて12時間攪拌を続けてエポキシ基の消失を確認した。この後、精製処理して本発明の界面活性剤{ポリオキシアルキレン化合物}(YG21)を得た。界面活性剤(YG21)の重量平均分子量は10400、Mw/Mnは2.5であった。
以上の値から、一般式(1)におけるmの値が4である化合物が主生成物であることを確認した。
【0140】
<実施例11>
製造例1と同じ反応容器に、製造例7で得たトレハロース/PO40モル付加物(S7)5324部(2モル部)、水酸化カリウム20部を投入した後、脱水した。次いで80℃にて、製造例16で得たジグリシジルエーテル化合物(S6−DG){トレハロース/PO30モル付加物−ジグリシジルエーテル、エポキシ当量:1100}2200部(1モル部)を加え、追脱水した後、140℃にて12時間攪拌を続けてエポキシ基の消失を確認した{トリマー(TM2)}。その後、水酸化カリウム7部を投入して脱水した。次いで80℃にて、ジグリシジルエーテル化合物(S6−DG)2200部(1モル部)を加え、追脱水した後、140℃にて15時間攪拌を続けてエポキシ基の消失を確認した。この後、精製処理して、本発明の界面活性剤{ポリオキシアルキレン化合物}(Y22)を得た。界面活性剤(Y22)の重量平均分子量は9040、Mw/Mnは2.3であった。
以上の値から、一般式(1)におけるmの値が4である化合物が主生成物であることを確認した。
【0141】
<実施例12>
製造例1と同じ反応容器に、実施例11で得た界面活性剤(Y22)9724部(1モル部)に水酸化カリウム25部を投入した後、脱水した。次いで80℃にて、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル570部(3モル部)を加え、140℃にて12時間攪拌を続けてエポキシ基の消失を確認した。この後、精製処理して本発明の界面活性剤{ポリオキシアルキレン化合物}(YG22)を得た。界面活性剤(YG22)の重量平均分子量は9540、Mw/Mnは2.4であった。
以上の値から、一般式(1)におけるmの値が4である化合物が主生成物であることを確認した。
【0142】
<実施例13>
製造例1と同じ反応容器に、製造例5で得た蔗糖/EO5モル・PO5モル/PO50モル付加物(S5)7504部(2モル部)、水酸化カリウム28部を投入した後、脱水した。次いで80℃にて、製造例12で得たジグリシジルエーテル化合物(S2−DG){蔗糖/PO30モル付加物−ジグリシジルエーテル、エポキシ当量:1100}2200部(1モル部)を加え、追脱水した後、140℃にて12時間攪拌を続けてエポキシ基の消失を確認した。その後、水酸化カリウム6部を投入して脱水した。次いで80℃にて、ジグリシジルエーテル化合物(S2−DG)2200部(1モル部)を加え、追脱水した後、140℃にて15時間攪拌を続けてエポキシ基の消失を確認した{トリマー(TM3)}。この後、精製処理して、本発明の界面活性剤{ポリオキシアルキレン化合物}(Y23)を得た。界面活性剤(Y23)の重量平均分子量は10500、Mw/Mnは2.8であった。
以上の値から、一般式(1)におけるmの値が4である化合物が主生成物であることを確認した。
【0143】
<実施例14>
製造例1と同じ反応容器に、実施例13で得た界面活性剤(Y23)11904部(1モル部)に水酸化カリウム28部を投入した後、脱水した。次いで80℃にて、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル570部(3モル部)を加え、窒素置換の後、140℃にて12時間攪拌を続けてエポキシ基の消失を確認した。この後、精製処理して本発明の界面活性剤{ポリオキシアルキレン化合物}(YG23)を得た。界面活性剤(YG23)の重量平均分子量は11000、Mw/Mnは2.7であった。
以上の値から、一般式(1)におけるmの値が4である化合物が主生成物であることを確認した。
【0144】
<実施例15>
製造例1と同じ反応容器に、製造例1で得た蔗糖/BO5モル/PO15モル付加物(S1)3144部(2モル部)、水酸化カリウム15部を投入した後、脱水した。次いで80℃にて、製造例10で得たジグリシジルエーテル化合物(S1−DG){蔗糖/BO5モル/PO15モル付加物−ジグリシジルエーテル、エポキシ当量:840}1680部(1モル部)を加え、追脱水した後、140℃にて12時間攪拌を続けてエポキシ基の消失を確認した。その後、水酸化カリウム6部を投入して脱水した。次いで80℃にて、ジグリシジルエーテル化合物(S1−DG)1680部(1モル部)を加え、追脱水した後、140℃にて15時間攪拌を続けてエポキシ基の消失を確認した{トリマー(TM4)}。この後、精製処理して、本発明の界面活性剤{ポリオキシアルキレン化合物}(Y24)を得た。界面活性剤(Y24)の重量平均分子量は6240、Mw/Mnは2.2であった。
以上の値から、一般式(1)におけるmの値が4である化合物が主生成物であることを確認した。
【0145】
<実施例16>
製造例1と同じ反応容器に、実施例15で得た界面活性剤(Y24)6504部(1モル部)に水酸化カリウム20部を投入した後、脱水した。次いで80℃にて、セチルグリシジルエーテル{CE−EP、四日市合成(株)製、エポキシ当量:350}350部(1モル部)及びブチルグリシジルエーテル405部(3モル部)を加え、窒素置換の後、140℃にて15時間攪拌を続けてエポキシ基の消失を確認した。この後、精製処理して本発明の界面活性剤{ポリオキシアルキレン化合物}(YG24)を得た。界面活性剤(YG24)の重量平均分子量は6500、Mw/Mnは2.2であった。
以上の値から、一般式(1)におけるmの値が4である化合物が主生成物であることを確認した。
【0146】
<比較例1>
BLAUNON OT−21{青木油脂工業(株)製、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート}を比較用の界面活性剤(H1)とした。
【0147】
<比較例2>
BLAUNON GL−20{青木油脂工業(株)製、ポリオキシエチレングリセロールエーテル、グリセリン/EO20モル}を比較用の界面活性剤(H2)とした。
【0148】
<比較例3>
製造例1と同じ反応容器に製造例5で得た蔗糖/PO50モル付加物(S5)6484部(2モル部)を仕込み、脱水した。次いで50℃まで冷却後、イソホロンジイソシアネート{デスモジュールI、住化バイエルウレタン(株)製、「デスモジュール」はバイエル アクチエンゲゼルシヤフトの登録商標である。}222部(1モル部)を加えた後、攪拌しつつ1時間で100℃まで昇温し、同温度にて8時間攪拌を続けイソシアナト基の消失を確認した。こうして得たポリオキシアルキレン化合物を比較用の界面活性剤(H3)とした。
【0149】
実施例及び比較例で得た界面活性剤を用いて、以下の様にして、顔料組成物(顔料ペースト)を作成した後、これらを市販のコーティング剤{常乾型水性塗料(白)}に添加してコーティング組成物{塗料}を調製した。また、市販のコーティング剤{常乾型水性塗料(白)}に市販の顔料ペーストと実施例及び比較例で得た界面活性剤のいずれかを添加してコーティング組成物{塗料}を調製した。これらのコーティング組成物{塗料}を用いて、光沢、調色性(色むら、浮きまだら等)及び親水性、耐水性等を評価し、結果を表8〜10に示した。
【0150】
顔料組成物の調製
(1)評価用顔料組成物の作成−1
インペラー型羽根を備えたエクセルオートホモジナイザー(日本精器株式会社製、モデルED、以下同じ)を用い、表5の配合比にて顔料と界面活性剤(Y11〜14、YG11〜14、Y21〜24、YG21〜24及びH1〜H3のいずれか)とからなる顔料組成物を均一になるまで分散し、脱泡機{あわとり練太郎(株)製、モデルAR−250}にて3分間脱泡して、本発明の顔料組成物(顔料ペースト1〜16)及び比較用の顔料組成物(顔料ペーストH1〜H3)を得た。なお、つぶゲージ法(JIS K5600−2−5:1999に準拠)により、顔料組成物(顔料ペースト1〜16及びH1〜H3)のすべてに5ミクロン以上の粒の無いことを確認した。
また、界面活性剤を使用しないこと以外、上記と同様にして、比較用の顔料組成物(顔料ペーストH4)を得た。
【0151】
【表5】
【0152】
*1 サンノプコ(株)顔料分散剤(特殊ポリカルボン酸のアミン塩、有効成分70%)
*2 サンノプコ(株)製湿潤剤
*3 サンノプコ(株)製消泡剤
*4 サンノプコ(株)製粘弾性調整剤
*5 大日精化工業(株)製着色顔料(アントラキノン系)、「クロモファイン」は同社の登録商標である。
*6 石原産業(株)製二酸化チタン、「タイペーク」は同社の登録商標である。
【0153】
(2)評価用顔料組成物の作成−2
インペラー型羽根を備えたエクセルオートホモジナイザーを用い、表6の配合比にて水性カラーベースと界面活性剤(Y11〜14、YG11〜14、Y21〜24、YG21〜24及びH1〜H3のいずれか)からなる混合液を均一になるまで分散を行って、脱泡機にて3分間脱泡して、本発明の顔料組成物(顔料ペースト17〜32)及び比較用の顔料組成物(顔料ペーストH5〜7)を得た。なお、つぶゲージ法により、すべての顔料ペーストに5ミクロン以上の粒の無いことを確認した。
また、界面活性剤を使用しないこと以外、上記と同様にして、比較用の顔料組成物(顔料ペーストH8)を得た。
【0154】
【表6】
【0155】
*7 大日精化工業(株)製水性カラーベース(モノアゾ系)
*8 大日精化工業(株)製水性カラーベース{銅フタロシアニンブルー(β)系}
【0156】
<塗料及び試験用塗装片の調製>
(1)コーティング組成物の作成−1
コーティング剤{プリーズコート(白)、エスケー化研(株)製、水性建材用塗料}100部に、顔料組成物(顔料ペースト1〜32、H1〜H8のいずれか)10部を添加し、インペラー型羽根を備えたエクセルオートホモジナイザーで混合し、コーティング組成物(1〜32、H1〜H8)を得た。
【0157】
(2)コーティング組成物の作成−2
インペラー型羽根を備えたエクセルオートホモジナイザーを用い、表7の配合比にて、コーティング剤{プリーズコート(白)}及び界面活性剤(Y11〜14、YG11〜14、Y21〜24、YG21〜24及びH1〜H3のいずれか)及び市販の水性カラーベース(顔料ペースト)を均一になるまで分散を行った後、脱泡機にて3分間脱泡して、コーティング組成物(33〜48、H9〜H11)を得た。なお、つぶゲージ法により、コーティング組成物に5ミクロン以上の粒の無いことを確認した。
また、界面活性剤を使用しないこと以外、上記と同様にして、比較用のコーティング組成物(H12)を得た。
【0158】
【表7】
【0159】
*9 大日精化工業(株)製水性カラーベース(ナフトールAS系)
【0160】
<試験用塗装片の調製>
上記で得たコーティング組成物を用いて、次の各条件で塗装片を調製して光沢、調色性及び耐水性の試験を行った。これらの結果を表8〜10に示した。
【0161】
[光沢]
コーティング組成物を85KU値(25℃)になるように、イオン交換水で希釈してから、アセトンにて脱脂したポリエステルフィルム(縦:150mm、横:150mm、厚み:0.10mm、東レルミラーL−100T60、東レ株式会社製)にアプリケーターを用いて塗装(ウェット膜厚:0.3mm)し、温調室(25℃、60%相対湿度、以下同じ)にて7日間乾燥して試験用塗装片を得た。この試験用塗装片を光沢計(日本電色工業株式会社製、VGS−300A)にて入射角60゜での光沢(グロス)を6個所で測定し、これらの算術平均値を算出し、これを光沢とした。
【0162】
[親水性、水との接触角(初期)]
試験用塗装片から1×5cmの大きさの試験片を切り採り、その塗膜の表面に0.04±0.005mLの脱イオン水を滴下し、1分後に水滴の接触角を測定して初期の接触角とした。なお、接触角の測定は協和化学株式会社製コンタクトアングルメーターCAAを用いて温調室にて実施した。
【0163】
[親水性、水との接触角(浸漬後)]
試験用塗装片を温調室にて、14日間脱イオン水に浸漬した。ついで、温調室にて3日間乾燥させた後、1×5cmの大きさの試験片を切り採り、それを上記と同様にして水との接触角を測定し、これを浸漬後の接触角とした。
【0164】
[色むら]
コーティング組成物をイオン交換水にて85KU値(25℃)になるように希釈してから、アセトンにて脱脂したステンレス板に全体にスプレーガン{ワイダーW−88カップガン(岩田塗装(株)製)}によるスプレー塗装して(ウェット膜厚:約0.2mm)、その直後にそのうち半面をハケ塗り(大塚刷毛製造株式会社製、水性ペイント用#70使用)して、常乾(温度:25℃、湿度:40%RH)にて、7日間乾燥した後、日本電色工業(株)製の、SPECTRO COLOR METERMODEL PF−10を用いて、スプレー塗装した部分を標準とし、ハケ塗りした部分との色差(△E値)を測定し、その絶対値を調色性(色むら)とした。この値は小さいほど、調色性が良好であることを意味する。
【0165】
[浮きまだら]
上記[色むら]評価を実施したスプレー塗装部分を以下の基準で目視判定した。
判定
○:浮きまだらが認視できない
△:若干の浮きまだらが認視できる
×:多くの浮きまだらが認視できる
【0166】
[耐水性]
[光沢]評価で作成した塗装片を、イオン交換水に温調室にて3日間浸漬した後、水から引き上げて中央部分の10cm×10cm面積内のブリスター(水膨れ)痕(直径0.2mm以上)を以下の基準で目視判定して、耐水性とした。
判定
○:0〜4ケ
△:5〜15ケ
×:16ケ以上
【0167】
【表8】
【0168】
【表9】
【0169】
【表10】
【0170】
表8〜10から、本発明の界面活性剤(Y11〜14、YG11〜14、Y21〜24、YG21〜24)を使用した場合、比較の界面活性剤(H1〜H3)を使用した場合や界面活性剤を使用しない場合に比べて、調色性等が大きく改善され、且つ親水性、耐水性にも優れていた。