特許第5934859号(P5934859)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社高尾の特許一覧

<>
  • 特許5934859-遊技機 図000002
  • 特許5934859-遊技機 図000003
  • 特許5934859-遊技機 図000004
  • 特許5934859-遊技機 図000005
  • 特許5934859-遊技機 図000006
  • 特許5934859-遊技機 図000007
  • 特許5934859-遊技機 図000008
  • 特許5934859-遊技機 図000009
  • 特許5934859-遊技機 図000010
  • 特許5934859-遊技機 図000011
  • 特許5934859-遊技機 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5934859
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月15日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20160602BHJP
【FI】
   A63F7/02 334
   A63F7/02 304D
   A63F7/02 326Z
【請求項の数】1
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2011-53700(P2011-53700)
(22)【出願日】2011年3月11日
(65)【公開番号】特開2011-218153(P2011-218153A)
(43)【公開日】2011年11月4日
【審査請求日】2014年1月20日
(31)【優先権主張番号】特願2010-70874(P2010-70874)
(32)【優先日】2010年3月25日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】395018239
【氏名又は名称】株式会社高尾
(72)【発明者】
【氏名】柘植 建
(72)【発明者】
【氏名】有田 武
(72)【発明者】
【氏名】西井 誓資
【審査官】 澤田 真治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−229166(JP,A)
【文献】 特開2008−054914(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、遊技における当否判定、および周辺基板に対する指令信号の出力を行なう主制御装置と、前記周辺基板の一つであって、スピーカおよびランプの遊技における演出動作を制御するサブ制御装置とを有する遊技機において、
前記主制御装置は、
当該遊技機に対して照射されている不正な電波を検出するための電波検出手段と、
前記主制御装置において周期的に起動され、前記電波検出手段による不正な電波の検出の有無を判定する不正電波判定手段と、
該不正電波判定手段により前記不正な電波が検出されていると判定されると、前記サブ制御装置に対して不正指令を送信する不正指令送信手段と、
前記不正電波判定手段により前記不正な電波が検出されていないと判定されると、前記サブ制御装置に対して不正クリア指令を送信する不正クリア指令送信手段と、
を備え、
前記不正指令送信手段により前記不正指令が送信されてから、前記不正電波判定手段が起動される周期よりも長い時間である所定時間1が経過するまでは、前記不正指令および前記不正クリア指令を送信することなく、
前記所定時間1の経過後において、前記不正な電波が検出されていない場合に前記不正クリア指令を送信し、該不正クリア指令を送信するまでは、前記所定時間1の経過後に前記不正な電波が検出されている場合であっても、前記不正指令を送信しないように構成し、
前記サブ制御装置は、
前記不正指令を受信すると、前記スピーカを制御して音を出力する報知動作、および前記ランプを制御して光を出力する報知動作を行なう不正報知手段と、
該不正報知手段により行なわれている前記報知動作を、前記不正クリア指令を受信してから、前記所定時間1よりも長い時間である所定時間2が経過するまで継続させ、前記所定時間2が経過すると停止させる報知動作停止手段と、
を備えたことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不正電波を検出するセンサを備えた遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機のような遊技機において、不正防止は非常に重要な課題となっている。例えば、電波を用いて遊技球のセンサを誤検出させ、多量の遊技球を不正に獲得するといった行為が行なわれている。そこで、電波検出スイッチ等のセンサを設け、異常な電波を検出した場合には、遊技機の備えるスピーカから警告音を発したりランプを点滅させたりして、不正行為の防止が図られている。前記センサにて検出された電気信号は、遊技機の備える主制御装置と呼ばれる回路基板に入力され、主制御装置のCPUにて不正か否かが判定され、不正と判定された場合には、サブ統合制御装置と呼ばれるスピーカやランプなどの制御を行なう周辺基板にコマンドを発して、警告音や光を用いた報知動作を行なう。
【0003】
例えば特許文献1では、遊技球のセンサの検出出力が不正な検出出力に該当するか否かを特定可能な第2の入力信号を主制御装置に入力し、その第2の入力信号に基づいて、不正が行なわれたか否かを判定し、不正が行なわれたと判定した場合には報知を行なう技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−167214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電波を用いた不正行為として、短時間(例えば数ms)でON、OFF(H、Lともいう)を繰り返す信号を遊技機に照射するというものが行なわれることがある。このようにすることにより、遊技球のセンサに遊技球が大量に通過した等と誤認識させ、短時間で大量の遊技球を不正に獲得するというものである。こうした行為が行なわれると、主制御装置は、センサの検出結果が不正によるものか否かの判定を頻繁に行なうことになり、大きな処理負担となる。これに合わせて、サブ制御装置も、報知動作の開始と停止を繰り返すことになる。サブ制御装置のCPUは、主制御装置のCPUに比べ処理能力の高いものが用いられているとはいえ、処理負担が増加することに変わりはない。
【0006】
本発明は係る課題に鑑みなされたものであり、不正な電波を検出可能に構成された遊技機において、主制御装置やサブ制御装置の処理負担を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた本発明の請求項1記載の遊技機は、少なくとも、遊技における当否判定、および周辺基板に対する指令信号の出力を行なう主制御装置と、前記周辺基板の一つであって、スピーカおよびランプの遊技における演出動作を制御するサブ制御装置とを有する遊技機において、前記主制御装置は、当該遊技機に対して照射されている不正な電波を検出するための電波検出手段と、前記主制御装置において周期的に起動され、前記電波検出手段による不正な電波の検出の有無を判定する不正電波判定手段と、該不正電波判定手段により前記不正な電波が検出されていると判定されると、前記サブ制御装置に対して不正指令を送信する不正指令送信手段と、前記不正電波判定手段により前記不正な電波が検出されていないと判定されると、前記サブ制御装置に対して不正クリア指令を送信する不正クリア指令送信手段と、を備え、前記不正指令送信手段により前記不正指令が送信されてから、前記不正電波判定手段が起動される周期よりも長い時間である所定時間1が経過するまでは、前記不正指令および前記不正クリア指令を送信することなく、前記所定時間1の経過後において、前記不正な電波が検出されていない場合に前記不正クリア指令を送信し、該不正クリア指令を送信するまでは、前記所定時間1の経過後に前記不正な電波が検出されている場合であっても、前記不正指令を送信しないように構成し、前記サブ制御装置は、前記不正指令を受信すると、前記スピーカを制御して音を出力する報知動作、および前記ランプを制御して光を出力する報知動作を行なう不正報知手段と、該不正報知手段により行なわれている前記報知動作を、前記不正クリア指令を受信してから、前記所定時間1よりも長い時間である所定時間2が経過するまで継続させ、前記所定時間2が経過すると停止させる報知動作停止手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
ここで、ランプとは、LED,蛍光管、電球、ネオン管を初めとする発光素子や発光器具全般を指すものとする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の遊技機は、電波検出手段を備え、周期的に起動される電波判定手段によって、電波検出手段が不正な電波を検出していないかを判定する。不正な電波を検出したと判定した場合には、不正指令送信手段が、サブ制御装置に不正指令信号を送信する。この送信から所定時間1の間、不正指令送信手段は、サブ制御装置に対して不正指令を送信せず、不正クリア指令送信手段はサブ制御装置に対して不正クリア指令を送信しない。不正電波判定手段は主制御装置において周期的に起動されるものであり、所定時間1はこの起動周期よりも長い時間として設定されている。仮に、不正電波判定手段が起動される都度、不正な電波の検出の有無を判定すると、不正電波が検出される限り、不正電波を検出して不正信号を送信し続けることになる。また、不正電波が発生した時点を検出して、その検出時のみ不正指令信号を送信する構成としても、不正電波が前述のようにHとLを短い周期で繰り返すものであった場合には、不正電波判定手段が起動される都度、不正電波の検出の有無を判定し、これに同期して不正信号または不正クリア信号をサブ制御装置に繰り返し送信し続ける可能性がある。これでは主制御装置のCPUの処理(以下、主制御装置の処理ともいう)負担が非常に重くなる危険がある。
【0010】
これに対し、請求項1に記載の遊技機によれば、不正な電波を検出したと判定し、不正指令信号をサブ制御装置に送信してから所定時間1の間、サブ制御装置に対して不正指令および不正クリア指令を送信しない。「所定時間1」は不正電波判定手段の起動周期よりも長いので、前記送信を行なう頻度は確実に減少する。従って、主制御装置の処理負担の増大を抑えつつ、不正な電波の検出を行なうことができる。なお、この記載から明らかなように、所定時間1を長くするほど、主制御装置の処理負担を軽減する度合いを大きくすることができ、前述のようなHとLを短い周期で繰り返す不正電波に対しても有効に機能する。
【0011】
なお、不正指令を送信してから所定時間1が経過するまで、不正な電波の検出の有無は判定するように構成してもよい
【0012】
しかも、遊技機がスピーカおよびランプを備えており、これらはサブ制御装置によって制御される。不正指令をサブ制御装置が受信すると、不正報知手段が報知動作を行なう。この報知動作は、サブ制御装置がスピーカを制御して音を出力したり、ランプを制御して光を発したりすることにより行なわれる。もちろん、これらの報知動作を同時に行なったり交互に行なったりしてもよい。そしてサブ制御装置が不正クリア指令を受信すると、行なっていた報知動作を、この受信を起因として報知動作停止手段が停止させる。
従って、請求項1に記載の遊技機によれば、不正電波の発生を遊技機において音および光を用いて効果的に報知することができる。また、不正指令が送信されてくるのは、所定時間1に1回以下の頻度(例えば、不正電波が一切検出されなければ、不正指令は全く送信されてこない)であるため、サブ制御装置の報知動作に係る処理負担も軽いものとなる。具体的には、不正電波が短い周期でH/Lを繰り返すものであっても、これに応じてスピーカおよびランプがON/OFFを繰り返す報知動作が行なわれる、といったことがない。
【0013】
なお、不正電波判定手段は、不正指令が送信されてから、所定時間1が経過するまで、不正な電波の検出の有無を判定しないとはいえ、所定時間1の経過判定などの処理が新たに発生するため、主制御装置の負荷を考慮すると、所定時間1を長大にするのは好ましくない。かといって例えば所定時間1を数秒程度としておくと、報知動作も数秒程度となり、報知動作に気づかない可能性が生じる。
この点、請求項1に記載の遊技機によれば、不正クリア指令を受信しても、所定時間2が経過するまでは、実行中の報知動作を続行するので、所定時間1を短くしても、十分な長さの報知動作を行なうことが可能となる。なお、この所定時間2の経過中に不正指令を主制御装置から受信した際には、改めて報知動作を行なう制御をスピーカやランプに対して行なってもよいし、何もすることなく、続行中の報知動作を維持してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る遊技機の正面図
図2】遊技機の遊技盤の正面図
図3】遊技機の裏面図
図4】遊技機の電気ブロック図
図5】遊技機を構成する主制御装置のCPUが電源投入時に実行する処理のフローチャート
図6】主制御装置のCPUが実行するメイン処理のフローチャート
図7】主制御装置のCPUが実行する不正監視処理のフローチャート
図8】主制御装置のCPUが実行する電源断発生時処理のフローチャート
図9】サブ統合制御装置のCPUが実行する不正報知処理のフローチャート
図10】サブ統合制御装置のCPUが実行する不正報知維持処理のフローチャート
図11】遊技進行の一例を示すタイムチャート
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の好適な実施形態について説明する。尚、本発明の実施の形態は下記の実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する種々の形態を採ることができ、各実施例に記載された内容を適宜組み合わせることが可能なことはいうまでもない。
[実施例]
【0016】
図1に示すように、弾球遊技機の一種であるパチンコ機50は、縦長の固定外郭保持枠をなす外枠51にて構成の各部を保持する構造である。外枠51の左側上下には、ヒンジ53が設けられており、該ヒンジ53の他方側には図3に記載する内枠70が取り付けられており、内枠70は外枠51に対して開閉可能な構成になっている。前枠52には、板ガラス61が取り外し自在に設けられており、板ガラス61の奥には図2に記載する遊技盤1が内枠70に取り付けられている。
【0017】
前枠52の上側左右及び外枠51の下側左右には、スピーカ66が設けられており、パチンコ機50から発生する遊技音が出力され、遊技者の趣向性を向上させる。また、遊技者の趣向性を向上させるために前枠52に遊技状態に応じて発光する枠側装飾ランプ65も複数設けられている。前枠52の下方には、上皿55と下皿63が一体に形成されている。下皿63の右側には発射ハンドル64が取り付けられており、該発射ハンドル64を時計回りに回動操作することによって発射装置(図示省略)が可動して、上皿55から供給された遊技球が遊技盤1に向けて発射される。
【0018】
下皿63の左側には、遊技者が操作可能な演出ボタン67が備えられており、遊技者が所定期間中に、該演出ボタン67を操作することで後述する演出図柄表示装置6に表示される内容が変化したり、スピーカ66より出力される遊技音が変化したりする。また、このパチンコ機50はいわゆるCR機であって、プリペイドカードの読み書き等を行うためのプリペイドカードユニット(CRユニット)56が付属しており、パチンコ機50には、貸出ボタン57、精算ボタン58及び残高表示器59を有するCR精算表示装置が備わっている。
【0019】
図2は、本実施例のパチンコ機50の遊技盤1の正面図である。なお、このパチンコ機50の全体的な構成は公知技術に従っているので図示及び説明は省略する。図2に示すように遊技盤1には、公知のガイドレール2a、2bによって囲まれた略円形の遊技領域3が設けられている。この遊技領域3には多数の遊技釘4が打ち付けられている。
【0020】
遊技領域3のほぼ中央部には、センターケース5が配されている。センターケース5は、公知のものと同様に、ワープ入口、ワープ通路、ステージ、演出図柄表示装置6(液晶表示装置であり擬似図柄を表示する。)の画面6aを臨ませる窓5a等を備えている。
窓5aの上側にはドットマトリクスの普通図柄表示装置7及び7セグメントの第1特別図柄表示装置9と第2特別図柄表示装置10と4個のLEDからなる普通図柄保留記憶表示装置8が設置され、下側には第1特別図柄保留記憶表示装置18と第2特別図柄保留数示装置19が設置されている。
センターケース5の向かって左横には普通図柄作動ゲート17が配置されている センターケース5の下方には、第1始動口11と第2始動口12とがユニット化された複合入賞装置13が配置されている。
【0021】
第1始動口11は、いわゆるチャッカーであり、常時入球可能である。
第2始動口12は電動チューリップであり、周知の電動チューリップと同様に開閉変化するが、上方に第1始動口11があるために図示の閉鎖状態では遊技球を入球させることができない。しかし、遊技球が普通図柄作動ゲート17を通過すると行われる普通図柄抽選で当り、普通図柄表示装置7に当りの普通図柄が確定表示されると、第2始動口12は開放されて入球容易になる。
【0022】
複合入賞装置13の下方にはアタッカー式の大入賞口14が配置され、その下方にはアウト穴15が設けられている。また、複合入賞装置13の左側には第1左入賞口31と第2左入賞口32が、右側には第1右入賞口33と第2右入賞口34がガイドレール2bに沿うように設けられている。なお、この第1左入賞口31、第2左入賞口32、第1右入賞口33、第2右入賞口34が、常時、入球率が変化しない普通入賞口である。
【0023】
パチンコ機50の裏面は図3に示すとおり、前述した遊技盤1を脱着可能に取り付ける内枠70が前述した外枠51に収納されている。この内枠70には、上方から、球タンク71、タンクレール72及び払出装置73が設けられている。この構成により、遊技盤1上の入賞口に遊技球の入賞があれば球タンク71からタンクレール72を介して所定個数の遊技球を払出装置73により前述した上皿55に排出することができる。また、パチンコ機50の裏側には、主制御装置80、払出制御基板81、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83、発射制御装置84、電源基板85が設けられている。なお、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83がサブ制御装置に該当する。
【0024】
主制御装置80、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83は遊技盤1に設けられており、払出制御基板81、発射制御装置84、電源基板85が内枠70に設けられている。なお、図3では、発射制御装置84が描かれていないが、発射制御装置84は払出制御基板81の下に設けられている。また、球タンク71の右側には、外部接続端子78が設けられており、この外部接続端子78より、遊技状態や遊技結果を示す信号が図示しないホールコンピュータに送られる。なお、従来はホールコンピュータへ信号を送信するための外部接続端子78には、盤用(遊技盤側から出力される信号をホールコンピュータへ出力するための端子)と枠用(枠側(前枠52、内枠70、外枠51)から出力される信号をホールコンピュータへ出力するための端子)の2種類を用いているが、本実施例では、一つの外部接続端子78を介してホールコンピュータへ遊技状態や遊技結果を示す信号を送信している。
【0025】
このパチンコ機50の電気的構成は、図4のブロック図に示すとおり、主制御装置80を中心にして構成されている。なお、このブロック図には、単に信号を中継するだけのためのいわゆる中継基板及び電源回路等は記載していない。また、詳細の図示は省略するが、主制御装置80、払出制御基板81、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83のいずれもCPU、ROM、RAM、入力ポート、出力ポート等を備えているが、本実施例では発射制御装置84にはCPU、ROM、RAMは設けられていない。しかし、これに限るわけではなく、発射制御装置84にCPU、ROM、RAM等を設けてもよい。
【0026】
主制御装置80には、パチンコ機50に対して異常な電波が照射されたことを検出する電波検出センサ100、第1始動口11に入球した遊技球を検出する第1始動口スイッチ11a、第2始動口12に入球した遊技球を検出する第2始動口スイッチ12a、普通図柄作動ゲート17に進入した遊技球を検出する普通図柄作動スイッチ17a、大入賞口14に入球した遊技球を計数するためのカウントスイッチ14a、第1左入賞口31、第2左入賞口32に入球した遊技球を検出する左入賞口スイッチ31a、第1右入賞口33、第2右入賞口34に入球した遊技球を検出する右入賞口スイッチ33a等の検出信号が入力される。なお、電波検出センサ100は、遊技盤1の裏側に設置されている。
【0027】
主制御装置80は搭載しているプログラムに従って動作して、上述の検出信号などに基づいて遊技の進行に関わる各種のコマンドを生成して払出制御基板81及びサブ統合制御装置83に出力する。
また主制御装置80は、図柄表示装置中継端子板90を介して接続されている第1特別図柄表示装置9、第2特別図柄表示装置10及び普通図柄表示装置7の表示、第1特別図柄保留記憶表示装置18、第2特別図柄保留数表示装置19及び普通図柄保留記憶表示装置8の点灯を制御する。
【0028】
更に、主制御装置80は、大入賞口ソレノイド14bを制御することで大入賞口14の開閉を制御し、普通電動役物ソレノイド(図4では普電役物ソレノイドと表記)12bを制御することで第2始動口12の開閉を制御する。
主制御装置80からの出力信号は試験信号端子にも出力される他、図柄変動や大当り等の管理用の信号が外部接続端子78に出力されてホールメインコンピュータに送られる。主制御装置80と払出制御基板81とは双方向通信が可能である。
【0029】
払出制御基板81は、主制御装置80から送られてくるコマンドに応じて払出モータ20を稼働させて賞球を払い出させる。本実施例においては、賞球として払い出される遊技球を計数するための払出センサ21の検出信号は払出制御基板81に入力され、払出制御基板81で賞球の計数が行われる構成を用いる。この他にも主制御装置80と払出制御基板81に払出センサ21の検出信号が入力され、主制御装置80と払出制御基板81の双方で賞球の計数を行う構成を用いることも考えられる。
【0030】
なお、払出制御基板81はガラス枠開放スイッチ35、内枠開放スイッチ36、満杯スイッチ22、球切れスイッチ23からの信号が入力され、満杯スイッチ22により下皿63が満タンであることを示す信号が入力された場合及び球切れスイッチ23により球タンクに遊技球が少ないあるいは無いことを示す信号が入力されると払出モータ20を停止させ、賞球の払出動作を停止させる。なお、満杯スイッチ22、球切れスイッチ23も、その状態が解消されるまで信号を出力し続ける構成になっており、払出制御基板81は、その信号が出力されなくなることに起因して払出モータ20の駆動を再開させる。
【0031】
また、払出制御基板81はCRユニット端子板24を介してプリペイドカードユニットと交信することで払出モータ20を作動させ、貸し球を排出する。払出された貸し球は払出センサ21に検出され、検出信号は払出制御基板81に入力される。なお、CRユニット端子板24は精算表示基板25とも双方向通信可能に接続されており、精算表示基板25には、遊技球の貸出しを要求するための球貸ボタン、精算を要求するための返却ボタン、残高表示器が接続されている。
【0032】
また、払出制御基板81は、外部接続端子78を介して賞球に関する情報、枠(内枠、前枠)の開閉状態を示す情報などをホールコンピュータに送信するほか、発射制御装置84に対して発射停止信号を送信する。
なお本実施例では遊技球を払い出す構成であるが、入賞等に応じて発生した遊技球を払い出さずに記憶する封入式の構成にしても良い。
【0033】
発射制御装置84は発射モータ30を制御して、遊技球を遊技領域3に遊技球を発射させる。なお、発射制御装置84には払出制御基板81以外に発射ハンドルからの回動量信号、タッチスイッチ28からのタッチ信号、発射停止スイッチ29から発射停止信号が入力される。
回動量信号は、遊技者が発射ハンドルを操作することで出力され、タッチ信号は遊技者が発射ハンドルを触ることで出力され、発射停止スイッチ信号は、遊技者が発射停止スイッチ29を押すことで出力される。なお、タッチ信号が発射制御装置84に入力されていなければ、遊技球は発射できないほか、発射停止スイッチ信号が入力されているときには、遊技者が発射ハンドルを触っていても遊技球は発射できないようになっている。
【0034】
サブ統合制御装置83は、主制御装置80から送信されてくるデータ及びコマンドを受信し、それらを演出表示制御用、音制御用及びランプ制御用のデータに振り分けて、演出表示制御用のコマンド等は演出図柄制御装置82に送信し、音制御用及びランプ制御用は自身に含まれている各制御部位(音声制御装置及びランプ制御装置としての機能部)に分配する。そして、音声制御装置としての機能部は、音声制御用のデータに基づいて音LSIを作動させることによってスピーカ66からの音声出力を制御し、ランプ制御装置としての機能部はランプ制御用のデータに基づいてランプドライバを作動させることによって各種LED、ランプ26を制御する。また、サブ統合制御装置83には、演出ボタン67が接続されており、遊技者が演出ボタン67を操作した際には、その信号がサブ統合制御装置83に入力される。
【0035】
サブ統合制御装置83と演出図柄制御装置82とは双方向通信が可能である。
演出図柄制御装置82は、サブ統合制御装置83から受信したデータ及びコマンド(共に主制御装置80から送信されてきたものとサブ統合制御装置83が生成したものとがある)に基づいて演出図柄表示装置6を制御して、擬似図柄等の演出画像を画面6aに表示させる。
【0036】
電源投入時に主制御装置80のCPUにより実行される処理について図5を用いて説明する。電源スイッチが操作されてパチンコ機50が通電状態になり、リセット信号が解除され、CPU自身のセキュリティチェックが終了すると、本処理が起動され、電源投入の初期処理を実行する(S5)。そしてRWMクリア信号がオンか否かを判定する(S10)。RWMクリア信号は、リセット信号の解除時にRWMクリアスイッチがオン状態であればH(オン)になるものなので、これは実質的に、電源投入時にRWMクリアスイッチがオン状態だったか否かを判定していることになる。
【0037】
RWMクリア信号がオンではなかったとき(S10:no)は、パチンコ機50を電源断時の状態に復旧する。そのためにまず、電源断時の発生情報が正常か否かを判定し(S15)、正常であれば(S15:yes)、RWMの判定値を算出し(S20)、その判定値が正常か否かを判定する(S25)。ここでRWMの判定値とは、電源断時にRWMに保存された値で、S25では、S20で算出された値と、RWMに保存された値が一致するか否かを判定する。判定値が正常、すなわち判定値が保存された値と一致していれば(S25:yes)、電源復帰時の処理(例えば、電源断時の発生情報をクリアしたり、サブ統合制御装置83を電源断時の遊技状態に復帰させるためのコマンドを送信したりする)を行なう(S30)。そして割り込み設定を行い(S35)、メインルーチンに移行する。
【0038】
RWMクリア信号がオンだったとき(S10:yes)は、パチンコ機50を初期状態に戻す。そのためにまず、RWMクリア時の処理(S40)として、RWMの全てを0クリアし、RAMの初期設定を行い、CPUおよびその周辺デバイスの初期設定を行なう。こうしてRWMクリア時の処理が終了すると割り込み設定を行い(S45)、メインルーチンに移行する。なお、S15で電源断時の発生情報が正常ではないと判定された際(S15:no)または、S25でRWM判定値が正常ではないと判定された際(S25:no)もS40に移行して、RWMクリア時の処理(S45)を行う。
【0039】
メインルーチンを図6に従って説明する。なお、図5ではメインルーチンを、電源投入時の処理に引き続き実行される処理であるかのように示したが、実際にはメインルーチンは、約2ms毎のハード割り込みにより定期的に実行される。本実施形態では、S100〜S155までの1回だけ実行される処理を「本処理」と称し、この本処理を実行して余った時間内に時間の許す限り繰り返し実行されるS160〜S165の処理を「残余処理」と称する。「本処理」は上記割り込みにより定期的に実行されることになる。
【0040】
マイコンによるハード割り込みが実行されると、まず正常割り込みであるか否かが判断される(S100)。この判断処理は、メモリとしてのRWMの所定領域の値が所定値であるか否かを判断することにより行われ、マイコンにより実行される処理が本処理に移行したとき、通常の処理を実行して良いのか否かを判断するためのものである。正常割り込みでない場合としては、電源投入時又はノイズ等によるマイコンの暴走等が考えられるが、マイコンの暴走は近年の技術の向上によりほとんど無いものと考えて良いので、たいていが電源投入時である。電源投入時にはRAMの所定領域の値が所定値と異なる値となっている。
【0041】
正常割り込みでないと判断されると(S100:no)、初期設定(例えば前記メモリの所定領域への所定値を書き込み、特別図柄及び普通図柄を初期図柄とする等のメモリの作業領域への各初期値の書き込み等)が為され(S105)、残余処理に移行する。
【0042】
正常割り込みとの肯定判断がなされると(S100:yes)、各種乱数を更新する処理(S110)が行なわれる。具体的には、初期値乱数の更新、大当り決定用乱数の更新、大当り図柄決定用乱数の更新、当り決定用乱数の更新、リーチ判定用乱数の更新、変動パターン決定用乱数の更新などが行なわれる。なお、この当り決定用乱数は普通図柄の抽選に使用し、その他の初期値乱数、大当り決定用乱数、大当り図柄決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数は特別図柄の抽選に使用する。
【0043】
続く入賞確認処理(S115)では、第1始動口11、第2始動口12の入賞の確認及びパチンコ機50に設けられ主制御装置80に接続された各スイッチ類の入力処理が実行される。
本実施例では、遊技球が第1始動口11、第2始動口12に入賞すると大当り決定用乱数、大当り図柄決定用乱数、変動パターン決定用乱数、リーチ判定用乱数など複数の乱数を取得されるのだが、保留記憶できる数を第1始動口11と第2始動口12それぞれ4個までとしており、第1保留記憶が満タンである4個のときに遊技球が第1始動口11に入賞又は第2保留記憶が満タンである4個のときに遊技球が第2始動口12に入賞しても賞球が払出されるだけで、前記複数の乱数は保留記憶されない構成になっている。なお、電波検出センサ100からの入力があれば、エッジデータ(HまたはL)が設定される。
【0044】
続いて、大当りか否かを判定する条件成立判定手段としての当否判定処理(S120)を行う。この当否判定処理(S120)が終了すると、画像出力処理等の各出力処理(S125)が実行される。
【0045】
各出力処理(S125)では、遊技の進行に応じて主制御装置80は演出図柄制御装置82、払出制御基板81、発射制御装置84、サブ統合制御装置83、大入賞口ソレノイド14b等に対して各々出力処理を実行する。このとき、パチンコ機50に異常があれば、エラー中であることを報知すべく演出図柄制御装置82にエラー信号を出力する。
【0046】
続くS130で割り込みカウンタが0か否かを判定し、0であれば(S130:yes)S135にて割り込みカウンタを1にし、賞球コマンド送信処理(S140)を行なう。賞球コマンド送信処理では、入賞口に設置されている検出スイッチからの遊技球検出信号に基づいて賞球コマンドを生成し、払出制御装置81に送信する。払出制御装置81の賞球制御CPUは、賞球コマンドが主制御装置80から送られてくると、払出中継端子板76を介して払出モータ20を駆動させて、賞球コマンドで指定された個数の賞球を払い出させる。賞球コマンド送信処理が終了すると残余処理に移行する。
S130で割り込みカウンタが0でないと判定されると(S130:no)、S145にて割り込みカウンタを0にし、不正監視処理(S150)を行い、演出コマンド送信処理(S155)を行なう。演出コマンド送信処理では、S110で生成されたリーチ判定用乱数や変動パターン決定用乱数に基づいて演出コマンドを生成し、サブ統合制御装置83に送信する。演出コマンド送信処理が終了すると残余処理に移行する。
【0047】
S130〜S155の処理は、割込カウンタを1または0に切り替えることにより、S135〜S140の処理とS145〜S155の処理とを交互に行なうことになる。当該メインルーチンが当否判定の結果や変動パターンの長短に係わらず一定周期で起動されると仮定すると、S100〜S125までの処理が約2msごとに実行されるのに対して、S135および〜S140の処理とS145〜S155の処理は、約4msごとに実行される。
【0048】
本処理の残余処理では、まずS160にて停電検出フラグが0か否かを判定し、0でなければ(S160:no)電源断発生時処理を行なう。停電検出フラグが0であれば(S160:yes)、初期値乱数更新処理(S160)を行い、S160に戻る。初期値乱数更新処理(S160)は、前述したS110内で行なわれる初期値乱数の更新と全く同じ処理である。S160およびS165の処理は無限ループを形成し、次の割り込みが実行されるまで時間の許される限り繰り返し実行される。前述したS100〜S155までの本処理を実行するのに必要とされる時間は、大当り処理を実行するか否か、特別図柄の表示態様の相違等により割り込み毎に異なる。この結果、残余処理を実行する回数も割り込み毎に異なり、図6に示された割り込み処理が1回実行されることにより初期値乱数に更新される値も一律ではなくなる。これにより、初期値乱数が大当り決定用乱数と同期する可能性は極めて小さくなる。なお、前述した当り決定用乱数の更新も残余処理内において実行するよう構成しても良い。
【0049】
S150の不正監視処理の概略を図7に示す。本処理が起動されると、不正フラグが0か否かを判定する(S200)。肯定判断の場合(S200:yes)はS205に移行し、電波検出センサ100が不正電波を検出した(エッジデータがH)か否かを判定する。否定判断の場合(S205:no)は不正監視処理を終了(リターン)し、肯定判断の場合(S205:yes)は不正フラグを1にする(S210)。つまり不正フラグ=1は、不正な電波が検出されたことを示す。なお、不正フラグが1にセットされると、主制御装置80は機外(ホールコンピュータ87)へと不正情報を出力する。そして続くS215にて不正信号をサブ統合制御装置83に送信し、不正カウンタをセットする(S220)。ここで不正カウンタは2バイトの値であり、初期値またはクリアをされた状態ではFFFFが格納されている。S220の処理では不正カウンタに01F3(10進法で499)がセットされる。
【0050】
S200で否定判断された場合にはS225に移行し、不正カウンタが0か否かを判定する。否定判断の場合(S225:no)は不正カウンタをデクリメント(S245)して不正監視処理を終了する。肯定判断の場合(S225:yes)は電波検出センサ100が不正電波を検出していない(エッジデータがL)か否かを判定する。否定判断、つまり不正電波が検出されている場合(S230:no)は不正監視処理を終了し、肯定判断の場合(S230:yes)は不正フラグを0にし(S235)、不正クリア信号をサブ統合制御装置83に送信して(S240)不正監視処理を終了する。
【0051】
以上のような不正監視処理によれば、不正電波が検出されると、不正信号がサブ統合制御装置83に送信される。そして、たとえその不正電波が検出されなくなっても、不正カウンタが0になるまでは、不正クリア信号はサブ統合制御装置83に送信されない処理となっている。不正電波が検出されてから、不正カウンタが0になるまでに要する時間は、メインルーチンが当否判定の結果や変動パターンの長短に係わらず一定周期で起動されると仮定すると、不正監視処理は、約4msごとに実行され、その都度、S245の処理により1ずつデクリメントされるので、約2秒となる。
【0052】
図6に示した電源断発生時処理の概略を図8に示す。本処理が起動されると、電源断フラグを設定し(S250)、RWM判定値を算出して保存する(S255)。RWM判定値は、図5のS20で判定に用いるためのもので、RWM上の、情報を不揮発的に記憶する領域に保存される。RWM判定値を保存すると、電源断が発生したことを示す情報を保存し(S260)、RWMへのアクセスを禁止し、無限ループに入る。実際にはこの後、主制御装置80のCPUへの電力供給が完全に絶たれることにより本処理は終了する。
【0053】
サブ統合制御装置83のCPUにて実行される不正報知処理の概要を図9に示す。本処理は、不正報知フラグが0の状態(S300:yes)で不正信号を主制御装置80から受信した場合(S305:yes)、または不正報知フラグが0ではない状態(S300:no)で不正クリア信号を主制御装置80から受信した場合(S335:yes)に起動される。不正報知フラグが0の状態で不正信号を主制御装置80から受信すると、不正報知フラグを1にし(S310)、報知維持フラグが1か否かを判定する(S315)。なお、不正報知フラグが1にセットされると、サブ統合制御装置83は機外(ホールコンピュータ87)へと不正情報を出力する。報知維持フラグが1であれば報知維持フラグを0にし(S320)、報知維持カウンタをクリア(S325)して不正報知維持処理を行なう。ここで報知維持カウンタは2バイトの値であり、S325によりFFFFがセットされる。なお、報知維持カウンタの初期値もFFFFである。
報知維持フラグが1でなければ(S315:no)、不正報知開始処理(S330)を行なう。不正報知開始処理(S330)では、スピーカ66およびランプ26を制御して、音および光による報知動作を開始する。不正報知開始処理が終了すると、不正報知維持処理に移行する。
不正報知フラグが0ではない状態で不正クリア信号を主制御装置80から受信した場合には、不正報知フラグを0にし(S340)、報知維持フラグを1にし(S345)、報知維持カウンタをセット(S350)して不正報知維持処理に移行する。S350の処理では報知維持カウンタに3A97(10進法で14999)がセットされる。報知維持カウンタは、不正報知維持処理で報知維持フラグが1であると判定されるごとに1デクリメントされていく。
【0054】
不正報知維持処理の概略を図10に示す。本処理が起動されると、報知維持フラグが1か否かを判定し(S400)、否定判断なら本処理を終了(リターン)する。報知維持フラグが1であれば(S400:yes)、報知維持カウンタをデクリメントし(S405)、報知維持カウンタが0か否かを判定する(S410)。否定判断なら本処理を終了し、肯定判断なら(S410:yes)、不正報知停止処理(S415)を行なう。不正報知停止処理では、スピーカ66およびランプ26を制御して、音および光にて行なっていた報知動作を停止する。不正報知停止処理が終了すると、報知維持フラグを0にして本処理を終了する。
【0055】
以上のような不正報知処理および不正報知維持処理によれば、報知動作を行なっていない状態(S300:yes)で主制御装置80から不正信号を受信すると(S305:yes)、音および光にて報知動作を開始する。不正信号は、不正監視処理により最低約2秒間は出力されるので、以上の説明部分のみによれば、報知動作も最低約2秒間は行なわれることになる。そしてこれに加え、報知動作を行なっている状態(S300:no)で主制御装置80から不正クリア信号を受信すると(S335:yes)、報知維持カウンタをセットし(S350)、不正報知維持処理が起動される都度、報知維持カウンタを減算して報知維持カウンタが0になるまで報知動作を続行する(S415を実行しない)。つまり、主制御装置80からは報知動作を終了してもよい旨の指令(不正クリア信号)を受信したにも拘らず、実行中の報知動作を行ない続ける(この状態を「報知動作の延長」と呼ぶことにする)。この結果、報知動作は最短でも約2秒に時間T2 を加えた期間、行なわれることになる。そして更に、不正信号を主制御装置80から受信した時(S305:yes)に、既に報知動作が延長されている場合(S315:yes)は、一旦、報知維持フラグを0にし(S320)、報知維持カウンタをクリアする(S325)ことで、報知動作の延長状態を解消する。
【0056】
以上のような処理を行なうパチンコ機50によって行なわれる報知動作の概要を図11に示す。まず時点Aにおいて不正電波が発生すると、電波検出センサ100によりこれが検出される。なお、この不正電波は4msを周期としてHとLを繰り返す矩形波とする。そして不正監視処理により不正フラグが1(図11ではH)となり(S210)、サブ統合制御装置83に不正信号が送信される(S215)。こうして一旦、不正信号が発生されると、不正カウンタにより規定される時間T1 (前記した値では約2秒)が経過するまで不正フラグが維持される。すなわち、時点B、時点C、時点Dなどにおいて不正電波がLになっても、不正フラグがLになることはない。この状態下で主制御装置80で行なわれる処理は、S200、S225,S245であるため、主制御装置80の負担は非常に軽い。時間T1 が経過した時点Eで不正カウンタは0となるから(S225:yes)、不正電波の有無を電波検出センサ100により判定する(S230)。時点Eでは不正電波がないので不正フラグが0(図11ではL)となり(S235)、不正クリア信号がサブ統合制御装置83に送信される(S240)。
【0057】
一方、サブ統合制御装置83では、時点A(正確には信号の送受信に要する時間などによりわずかに遅れるが、本説明および図11では、この遅れを省略する)において、主制御装置80から不正信号を受信して、不正報知フラグが1となる(S310)。初期状態において報知維持フラグが0であるから、S315からS330に移行して、不正報知(音と光による報知動作)が開始される(図11ではオン)。この報知動作は、時点Eにおいて主制御装置80から不正クリア信号を受信しても(S335:yes)、その後、更に時間T2 が経過する(すなわち報知維持カウンタが0になる)まで延長される。そしてこの間にサブ統合制御装置83のCPUで行なわれる処理は、不正クリア信号を受信するまではS300,S335,S400であり、不正クリア信号を受信した後は、S300,S305、S400,S405,S410であるため、サブ統合制御装置83のCPUの処理負担は軽い。なお、ここでは時間T2 が経過する前の時点Fにおいて、再び不正電波が発生したため、主制御装置80が不正信号をサブ統合制御装置83に送信している。サブ統合制御装置83は、これを受けて(S305:yes)、報知維持フラグを一旦0にし(S320)、報知維持カウンタをクリアする(S325)。
【0058】
図11の時点Gでは、S225の処理で不正カウンタが0であると判定され(S225:yes)、電波が未検出ではないと判定されるので(S230:no)不正フラグは0にされず(S235)、不正クリア信号は送信(S240)されない。不正クリア信号が再度送信されるのは、時点Fから時間T1 が経過(S225:yes)した時点Gの後、不正監視処理が起動され、不正電波がLとなったことが初めて検出される(S230:yes)時点Hである。すなわちS240の処理により不正クリア信号がサブ統合制御装置83に送信され、これを受信したサブ統合制御装置83(S335:yes)は、その時点から時間T2 が経過した時点Iまで報知動作を延長する。なお、図11において、時点Fにおいて不正電波と不正フラグが略同時にHとなったにも拘らず、時点Gが不正電波の変化のタイミングとずれているが、こうしたことは、不正電波を発する装置の動作を規定するクロック周波数とパチンコ機50の主制御装置80のCPUの動作を規定するクロック周波数とが一致していないことや、割り込み処理により不正監視処理(S150)の起動タイミングがずれること等を原因として発生し得る。
【0059】
以上のように構成されたパチンコ機50によれば、例示した4msのような短い周期でHとLを繰り返される不正電波を照射されても、主制御装置80のCPUは、サブ統合制御装置83に不正信号を一旦送信すると、時間T1 (前記例では約2秒間)は不正クリア信号を送信しないので、主制御装置80のCPUの処理負担は軽い。また、不正電波の検出(S205)も時間T1 の間は行なわないので、この処理負担は非常に軽いものとなる。これにより、不正信号を受信したサブ統合制御装置83が不正報知開始処理(S330)を実行する回数は、不正信号を1回受信する毎に1回であるため、サブ統合制御装置83のCPUの処理負担も軽いものとなる。しかも、主制御装置80から不正クリア信号を受信しても、時間T2 が経過するまでは報知動作を延長するので、たとえ不正電波の発信が短時間(例えば1秒)であったとしても、時間T2 以上にわたり報知動作を行なうことになり、報知効果が高いものとなる。
【0060】
ここで本実施例の構成と、本発明の構成要件との対応関係を示す。サブ統合制御装置83が本発明の「サブ制御装置」に相当し、電波検出センサ100が本発明の「電波検出手段」に相当し、S205の処理が本発明の「不正電波判定手段」に相当し、S215の処理が本発明の「不正指令送信手段」に相当し、S240の処理が本発明の「不正クリア指令送信手段」に相当し、S330の処理が本発明の「不正報知手段」に相当し、S415の処理が本発明の「報知動作停止手段」に相当し、時間T1 が本発明の「所定時間1」に相当し、時間T2 が本発明の「所定時間2」に相当し、不正信号が本発明の「不正指令」に相当し、不正クリア信号が本発明の「不正クリア指令」に相当する。
[他の実施例]
【0061】
前記実施例では、パチンコ機50に対して本発明を適用したが、不正な電波を用いた不正行為が行なわれる可能性がある遊技機であれば、同様に適用しても構わない。
【0062】
主制御装置80のCPUが不正監視処理を実行する頻度は、メインルーチンを2回実行されるごとに1回であったが、メインルーチンが実行される都度、不正監視処理を実行するように構成してもよい。また、メインルーチンの割り込み周期は2msであったが、これとは異なる周期であっても構わない。同様に、不正フラグがHの状態を維持する期間を約2秒、不正クリア信号の受信後に報知動作を延長する時間を報知維持カウンタにセットされた値3A97が0になるまでとしたが、これらについても、遊技場の状況や、遊技機の仕様、予想される不正電波の態様等に合わせて値を変更しても構わない。また、報知の態様については、例えば、不正報知フラグが1のとき(状態Aとする)と、不正報知フラグが0で、且つ、報知維持フラグが1のとき(状態B)とで、報知音の出力態様や光の出力態様を異ならせてもよい。こうすると、例えば、不正を検出したことを不正行為者に気づかれない程度の報知をしながらもホールコンピュータ87では把握し、不正行為をやめた後に不正が行なわれていたことを報知するようにも構成することが可能となる。
【0063】
また、前記不正監視処理では、不正信号をサブ統合制御装置83に送信していたが、これに加えて、他の構成に送信しても構わない。この一例として、外部接続端子78を介してホールコンピュータ87に不正信号を出力することが考えられる。この場合も、主制御装置80の処理負担は、従来の不正監視に比べて軽くなる。
【符号の説明】
【0064】
26 : ランプ 50 : パチンコ機
66 : スピーカ 80 : 主制御装置
83 : サブ統合制御装置 100 : 電波検出センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11