【実施例】
【0011】
以下、図面と共に本発明による空間安定装置のジンバルブレーキ機構の好適な実施の形態について説明する。
尚、従来例と同一又は同等部分には、同一符号を付して説明する。
図1において、符号10で示されるものは、第1モータ11等を内蔵している固定基台であり、前記固定基台10上には前記第1モータ11によって鉛直方向12に沿う第1軸AZを介して本体13がその回りに回転自在に設けられている。
尚、前記第1軸AZは、前記第1モータ11の回転軸11aと一致している。
【0012】
前記本体13は、前記本体13の下部に互いに180度対向して配設された一対の板状をなす第1、第2支持体14,15を有しており、前記各支持体14,15は互いに離間して鉛直方向に植接して設けられている。
【0013】
前記各支持体14,15間には、前記第1軸AZとは90度異なる水平方向である第2軸ELの回りを回転するように構成された回動体16が回動自在に配設されている。
前記回動体16の一方の側部16aには、前記第1軸AZとは直交する第2軸ELが設けられ、この第2軸ELによって前記回動体16の一方の側部16aが前後方向に回動自在に軸支されている。
【0014】
すなわち、前記第2軸ELは前記第1支持体14に対して図示しない軸受を介して回動自在となるように設けられ、前記一方の側部16aはこの第2軸ELに接続されている。また、前記第2軸ELの外周側に位置すると共に円弧型をなすブレーキディスク1が第1支持体14に固定して設けられている。
【0015】
前記回動体16の他方の側部16bは、第2モータ17を介して前述と同様に前後方向に回動自在に設けられ、前記第2モータ17は第2支持体15に固定されている。
従って、前記第2モータ17を駆動させることによって、前記回動体16は前記各支持体14,15間で前後方向に沿って回動し、前記ブレーキディスク1は、常時、前記第1支持体14側に固定して支持されている。
【0016】
前記回動体16の前面16Aには、前記回動体16の一方の側部16aから他方側部16b迄の幅Wにわたって保持板18が取り付けられており、前記保持板18上には、テレビカメラ、赤外線カメラ等からなる撮像体19及びソレノイド等の電磁手段20とブレーキパッド7が設けられている。
【0017】
前記電磁手段20に設けられたブレーキパッド7は、この電磁手段20をオン・オフすることによって前記ブレーキパッド7は前記ブレーキディスク1のディスク表面1aに対して接触又は離間することができるように構成されている。
【0018】
前記電磁手段20は、例えば、周知のソレノイドを用いた場合は、ソレノイドの往復移動によって前記ブレーキパッド7の出没動作が得られる構成、あるいは、前記電磁手段20内に図示しないスプリングと電磁石が内蔵されており、電磁石が励磁されている間はブレーキパッド7がブレーキディスク1のディスク表面1aから離間し、電磁石の励磁がオフの時は前記スプリングの作用によってブレーキパッド7がブレーキディスク1のディスク表面1aに付勢状態で接触してブレーキが作動した状態となる構成、等の何れかが採用されている。
【0019】
前記ブレーキディスク1は、実際には、
図3で示されるように、取付孔1dを介して前述のように前記第1支持体14側に直接又は間接的に固定配置されており、かつ、軸心Pからの所定の半径R1からなるリング21の一部をなすように形成された円弧型をなし、前記ブレーキパッド7が接するディスク表面1aの所定角度範囲からなる中央部1Aは、前記半径R1と同一半径よりなり、この中央部1Aの両端(すなわち、この両端を超える部に相当)には、前記半径R1より徐々に大なる半径となる第1、第2カム面1b,1cが形成されている。尚、前記ブレーキパッド7の形状は、前記軸心Pからの半径R1に沿う内面7aを有する円弧型より構成されている。
【0020】
次に、以上のように構成された空間安定装置30を作動させる場合について説明する。
まず、通常の撮像体19による監視動作の場合、前記撮像体19でターゲットを捕捉した状態で、第1モータ11を本体13に対して水平方向に沿って左右回動させると共に、第2モータ17によって回動体16を前後方向に回動させてターゲットを追従するか、又は、各モータ11,17を介して本体13及び回動体16を回動させて撮像体19によって任意の場所の監視等を自動又は手動で行う場合、電磁手段20の差動によってブレーキパッド7はブレーキディスク1のディスク表面1aから十分に離間しているため、前記回動体16はブレーキ動作に関係なく、各カム面1b,1c上を自在に回動し、各カム面1b,1c以上にブレーキパッド7が回動体16と共に回動した場合には、図示しない一対の弾性ストッパによりその回動が制限されるように構成されている。
【0021】
また、前記空間安定装置30の動作を停止して休止させる場合には、電磁手段20を作動させて前記ブレーキパッド7が、
図3のように、ブレーキディスク1のディスク表面1aに、付勢された状態で接しているため、通常の状態では回動体16の前後動作は強制的に停止状態が保持されている。
【0022】
しかしながら、前述の停止保持状態で、空間安定装置30に対して、外部からの大きい力が印加された場合、この力の衝撃によって回動体16が前後方向に強く回動しようとするが、ディスク表面1aの両端に形成された各カム面1b,1cの根元までブレーキパッド7の各端部7a,7bが到達し、さらに、印加された力が大きいと各カム面1b,1cの途中まで前記各端部7a,7bが乗り上げることもあるが、各カム面1b,1cを完全に乗り超えて前述のストッパ(図示せず)に衝突することなく、最悪の場合でも各カム面1b,1cに乗り上げた停止状態が維持される。
【0023】
尚、前述のように、前記各端部7a,7bが各カム面1b,1cに乗り上げた場合においても、ブレーキをオフとする場合には、前記電磁手段20を作動(オン又はオフ)させてブレーキパッド7をディスク表面1aから離間させてブレーキオフ状態とすることにより、ブレーキパッド7は何れかのカム面1b又は1cから離脱し、回動体16を自由回動状態とすることができる。
【0024】
従って、ブレーキオンの状態の前記空間安定装置30に対して、外部から大きい力が印加された場合でも、撮像体19を搭載した回動体16が前述のストッパに直接衝突して、損傷を受けることを防止することができる。
【0025】
前述の本発明による空間安定装置のジンバルブレーキ機構の構成の要旨は、次の通りである。
すなわち、固定基台10上に設けられ鉛直方向12の第1軸AZの回りに第1モータ11を介して回転自在に設けられた本体13と、前記本体13に設けられた一対の支持体14,15と、前記各支持体14,15間に第2モータ17と第2軸ELを介して水平方向である第2軸ELの回りに回転自在に設けられた回動体と、前記第2軸ELの近傍に設けられたブレーキディスク1と、前記回動体16の側部側に設けられ電磁手段20により出没自在に設けられたブレーキパッド7と、前記回動体16の前面16Aに設けられた撮像体19と、を備え、前記ブレーキディスク1に前記ブレーキパッド7が付勢されて接することにより、前記回動体16の回動を停止させるようにした空間安定装置のジンバルブレーキ機構において、前記ブレーキディスク1は所定の半径R1からなるリング21の一部をなす円弧型をなし、前記ブレーキパッド7が接する前記ブレーキディスク1のディスク表面1aの中央部1Aは前記半径R1と同一の半径よりなる面で形成され、前記中央部1Aの両端は前記半径R1より徐々に大なる半径となる第1、第2カム面1b,1cが形成され、ブレーキパッド7がディスク表面1aに接した状態では、前記ブレーキパッド7は前記各カム面1b,1cを乗り越えられないように構成されており、また、前記電磁手段20は、ソレノイドからなる構成である。