特許第5934873号(P5934873)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社高尾の特許一覧

<>
  • 特許5934873-遊技機 図000002
  • 特許5934873-遊技機 図000003
  • 特許5934873-遊技機 図000004
  • 特許5934873-遊技機 図000005
  • 特許5934873-遊技機 図000006
  • 特許5934873-遊技機 図000007
  • 特許5934873-遊技機 図000008
  • 特許5934873-遊技機 図000009
  • 特許5934873-遊技機 図000010
  • 特許5934873-遊技機 図000011
  • 特許5934873-遊技機 図000012
  • 特許5934873-遊技機 図000013
  • 特許5934873-遊技機 図000014
  • 特許5934873-遊技機 図000015
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5934873
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月15日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20160602BHJP
【FI】
   A63F7/02 304D
   A63F7/02 326Z
【請求項の数】1
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2011-160270(P2011-160270)
(22)【出願日】2011年7月21日
(65)【公開番号】特開2013-22268(P2013-22268A)
(43)【公開日】2013年2月4日
【審査請求日】2014年7月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】395018239
【氏名又は名称】株式会社高尾
(72)【発明者】
【氏名】袴田 哲生
【審査官】 森田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−279164(JP,A)
【文献】 特開2009−112349(JP,A)
【文献】 特開2004−081465(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技の進行を統括して制御する遊技制御手段と、
該遊技制御手段からの制御情報に基づいて、演出装置を駆動制御して所定の演出を行う演出制御手段と、
を備えた遊技機において、
任意に操作可能な検査状態移行操作手段を設け、
前記遊技制御手段に、
電源の遮断時の遊技の制御状態を記憶する状態記憶手段と、
該状態記憶手段に記憶された遊技の制御状態を電源の供給後に初期化する初期化手段と、
該初期化手段によって初期化されたことを示す初期化示唆信号を前記演出制御手段へと出力する初期化出力手段と、
を設け、
前記演出装置は、少なくとも発光部材と、音声出力装置と、可動部材とにより構成され、
前記演出制御手段は、
前記初期化示唆信号の入力から所定時間が経過するまでの間に、前記検査状態移行操作手段が操作されないことを条件として、前記発光部材、音声出力装置、および可動部材の全てを、少なくとも同時期に駆動制御しない非一括駆動制御手段と、
前記初期化示唆信号の入力から所定時間が経過するまでの間に、前記検査状態移行操作手段が操作されることを条件として、前記発光部材、音声出力装置、および可動部材の全てを、少なくとも同時期に駆動制御する一括駆動制御手段と、
を備えたことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、演出装置を備えた遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電源投入は大別して、RAMクリアを伴うものと、伴わないものの2種類が存在する。
電源投入は、遊技機の電源スイッチをオンにしたときと、遊技機の電源スイッチはオンではあるが電源が供給されていない状態から電源が供給される状態へと変化したとき(停電復帰、島設備に設けられた一括電源スイッチのオン)があり、遊技機への電力供給の都合によって瞬間的な停電状態を発生することによる場合も想定され、RAMクリアが発生する状況に比べて不正行為が行われた可能性が低いため、図柄表示装置及びランプを利用し、スピーカを利用せずに電源投入報知を実行するのが一般的である。
しかし、RAMクリアは、RAMクリアスイッチをオンとしながら遊技機の電源スイッチをオンにしたとき、又は、電源投入時にRAMの記憶内容に異常があるときに実行されるものであり、普通に遊技をしている状態では発生することがほぼ考えられず、発生時には不正行為が行われた可能性も捨てきれないため、図柄表示装置、ランプ及びスピーカを利用してRAMクリア報知を実行する技術が開発されている。(特許文献1)
また、電源投入時に、各演出用可動物を原点位置に戻した後、予め定められた動作を行わせ、再度原点位置に戻ることを確認する演出用可動物の動作確認を実行する技術も開発されている。(特許文献2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−027827号公報
【特許文献2】特開2007−215953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、一般的に、遊技施設の開店及び閉店作業では、島設備に設けられた電源スイッチをオン又はオフとすることで、島設備に配置された遊技機の電源スイッチを操作することなく、遊技機への電力を一括して供給又は遮断するようにしている。
そのため、遊技施設の開店作業時に、島設備に設けられた電源スイッチをオンとすることで、島設備に配置された多数の遊技機に電源が一斉投入されることになる。
各遊技機は電源投入報知を実行すると共に、演出用可動物の動作確認を実行するため、瞬間的な電力消費量はほぼ最大値となってしまい、その状況でも充分に耐えられるように島設備の電源容量を設定する必要があった。
またRAMクリア時においても、RAMクリア報知を実行すると共に、演出用可動物の動作確認を実行するため、個々の遊技機レベルでも、演出装置の駆動状態によっては、瞬間的な電力消費量が著しく高くなってしまうおそれがあった。
そこで、瞬間的な電力消費量を大幅に高めることなく、電源投入報知、RAMクリア報知及び演出用可動物の動作確認を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた本発明の請求項1記載の遊技機は、遊技の進行を統括して制御する遊技制御手段と、
該遊技制御手段からの制御情報に基づいて、演出装置を駆動制御して所定の演出を行う演出制御手段と、
を備えた遊技機において、
任意に操作可能な検査状態移行操作手段を設け、
前記遊技制御手段に、
電源の遮断時の遊技の制御状態を記憶する状態記憶手段と、
該状態記憶手段に記憶された遊技の制御状態を電源の供給後に初期化する初期化手段と、
該初期化手段によって初期化されたことを示す初期化示唆信号を前記演出制御手段へと出力する初期化出力手段と、
を設け、
前記演出装置は、少なくとも発光部材と、音声出力装置と、可動部材とにより構成され、
前記演出制御手段は、
前記初期化示唆信号の入力から所定時間が経過するまでの間に、前記検査状態移行操作手段が操作されないことを条件として、前記発光部材、音声出力装置、および可動部材の全てを、少なくとも同時期に駆動制御しない非一括駆動制御手段と、
前記初期化示唆信号の入力から所定時間が経過するまでの間に、前記検査状態移行操作手段が操作されることを条件として、前記発光部材、音声出力装置、および可動部材の全てを、少なくとも同時期に駆動制御する一括駆動制御手段と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の遊技機によれば、初期化手段によって初期化されたとき、非一括駆動制御手段によって、発光部材、音声出力装置、および可動部材の全ての演出装置が一時に、すなわち時期を同じくして一斉に駆動することを回避可能となるので、これにより、演出装置による電力消費の時間的な分散化が可能となり、瞬間的な電力消費の集中を解消する。ひいては、個々の遊技機において瞬間的な電力消費量が徒に上昇することを防止しつつ、初期化処理に伴い実行される、初期化された旨の報知及び可動役物の確認動作を行うことができる。
【0008】
また、請求項に記載の遊技機によれば、初期化示唆信号の入力から所定時間が経過するまでに検査状態移行操作手段の操作が為されると、発光部材、音声出力装置、および可動部材の全ての演出装置が一時に、すなわち時期を同じくして一斉に駆動することが可能となるので、各演出装置の駆動処理を順次実行するよりも、全演出装置の駆動処理の所要時間を短縮することができる。これにより、工場での出荷検査における、各演出装置の駆動態様の目視検査に係るタクトタイムを、短時間で終了させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る実施例1のパチンコ機50の正面図
図2】本実施例の遊技盤1の正面図
図3】本実施例のパチンコ機50の裏面図
図4】本実施例のパチンコ機50の電気的構成を説明するブロック図
図5】本実施例の電源基板(電源装置)85の構成及び機能を説明する概略ブロック図
図6】本実施例の主制御装置80に搭載された主制御CPUが実行する起動処理についてのフローチャート
図7】本実施例の主制御装置80に搭載された主制御CPUが実行する割込(INT)処理についてのフローチャート
図8】本実施例の主制御装置80に搭載された主制御CPUが実行する割込(NMI)処理についてのフローチャート
図9】本実施例のサブ統合制御装置83に搭載された演出制御CPUが実行する駆動処理についてのフローチャート
図10】本実施例のサブ統合制御装置83に搭載された演出制御CPUが実行する通常駆動処理についてのフローチャート
図11】本実施例のサブ統合制御装置83に搭載された演出制御CPUが実行する通常駆動処理についてのフローチャート
図12】本実施例のサブ統合制御装置83に搭載された演出制御CPUが実行する特別駆動処理についてのフローチャート
図13】本実施例のサブ統合制御装置83に搭載された演出制御CPUが実行する特別駆動処理についてのフローチャート
図14】本実施例のサブ統合制御装置83に搭載された演出制御CPUが実行する通常駆動処理および特別駆動処理についてのタイミングチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の好適な実施形態について説明する。なお、本発明の実施の形態は下記の実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する種々の形態を採ることができ、各実施例に記載された内容を適宜組み合わせることが可能なことはいうまでもない。
[実施例1]
【0011】
図1は、本発明に係る実施例1のパチンコ機50の正面図である。図1に示すように、実施例1のパチンコ機50は、縦長の固定外郭保持枠をなす外枠51にて各構成を保持する構造を有している。外枠51の左側上下にはヒンジ53が設けられており、ヒンジ53により、ガラス板61が嵌め込まれた前枠(ガラス枠)52及び後述の内枠が、外枠51に対し開閉可能に枢設されてなる。また、前枠52のガラス板61の奥側には、内枠に保持された遊技盤1(図2参照)が設けられている。
【0012】
前枠52の上部の左右両側にはスピーカ66が設置されており、これらにより遊技音が出力され、遊技の趣向性を向上させる。また前枠52には、遊技状態に応じて発光する枠側装飾ランプ65のほか、遊技の異常を報知するLEDが設けられている。
【0013】
前枠52の下部には、上皿55と下皿63とが一体に形成されている。また、下皿63の右側には発射ハンドル64が設けられており、該発射ハンドル64を時計回りに操作することにより発射装置が作動し、上皿55から供給された遊技球が遊技盤1に向けて発射される。
【0014】
下皿63は、上皿55から溢れた賞球を受けるよう構成されており、球抜きレバーを操作することで、下皿63に溜まった遊技球を遊技店に備えられたドル箱に移すことができる。また、上皿55の中央には、演出ボタン67及びジョグダイヤル68が設けられている。
【0015】
本実施例のパチンコ機50は、いわゆるCR機であり、プリペイドカードの読み書きを行うプリペイドカードユニット(CRユニット)56が付属されていると共に、上皿55の右側には球貸ボタン57,精算ボタン58,残高表示器59が設けられている。
【0016】
更に、発射ハンドル64の上方には、前枠52及び前記内枠を外枠51にロックするシリンダ錠39を備える。該シリンダ錠39に所定の鍵を挿入して鍵を時計回りに操作すると、内枠が開放され、反時計回りに操作すると、前枠52が開放される。
【0017】
図2は、本実施例の遊技盤1の正面図である。図2に示すように、遊技盤1には、外レール2aと内レール2bとによって囲まれた略円形の遊技領域3が形成されている。遊技領域3には、その中央部にセンターケース5が装着され、センターケース5に向かって左横には、普通図柄作動ゲート17が設置されている。普通図柄作動ゲート17を遊技球が通過すると、普通図柄の当否抽選用の複数種類の乱数が抽出され、抽出された乱数に基づく当否判定(普通図柄抽選)が行なわれる。
【0018】
センターケース5の直下には、遊技球の入球に起因して、特別図柄(特図とも記載)の変動表示を伴う大当り抽選が行われる第1始動口11及び第2始動口12が、上下に並んで配設されている。第1始動口11は、常時遊技球が入球可能に構成されているが、第2始動口12は、普通図柄抽選での当選により開放される普通電動役物として構成されており、普通図柄抽選での当選時のみ入球可能となっている。
【0019】
第1,第2始動口11,12に遊技球が入球すると、複数種類の乱数が抽出され、保留記憶として記憶される。
普通電動役物として構成された第2始動口12は、普通図柄抽選での当選時に、所定の回数にわたり、所定時間の開放が行われる。具体的には、通常の遊技状態であれば、1回の当選により約2.6秒の開放が2回行なわれる。
【0020】
第2始動口12の下方には、大当り抽選で当ると行われる大当り遊技の際に開放される特別電動役物からなる大入賞口14が配設されている。また、遊技領域3における向かって左下の領域には、複数の一般入賞口31〜34が配設されている。
【0021】
遊技盤1における向かって右下の領域には、7セグメントの特図表示装置9と、4個のLEDからなる特図保留数表示装置18と、2個のLEDからなる普通図柄表示装置7と、4個のLEDからなる普図保留数表示装置8が設置されている。
【0022】
図2に示す遊技盤1のセンターケース5には、中央に演出図柄表示装置6(全体の図示は省略)のLCDパネルが配設され、LCDパネルの画面上では、演出図柄の変動表示等を行うことで大当り抽選の結果を報知する大当り演出が行われる。
【0023】
さらに、センターケース5の左側上部には、本発明の要部に係る可動役物10が設けられている。可動役物10は、所定の可動演出時等において、図示した状態から矢印の方向に向かって上下に反復継続して変位するよう構成されている。また、後で詳述するが、本発明の要部として、電源投入時、RAMクリア時、およびRAMクリアから所定の待機時間経過までに演出ボタン67が操作された時、においても、それぞれ所定の作動態様で動作するよう構成されている。
【0024】
また、センターケース5には、周知のものと同様にワープ入口、ワープ樋、ステージ等が設けられている。
なお、遊技盤1の遊技領域3には多数の遊技釘4が植設されており、盤面最下部にはアウト口が設けられている。
【0025】
図3は、実施例1のパチンコ機50の裏面図である。また、図3に示すように、パチンコ機50の裏側は、遊技盤1を脱着可能に取付ける内枠70が外枠51に収納された構成となっている。内枠70は、前枠52と同様、一方の側縁(図3に向かって右側)の上下位置が外枠51に設けられたヒンジ53に結合され、開閉可能に設置されている。内枠70には、遊技球流下通路が形成されており、上方(上流)から球タンク71、タンクレール72、払出ユニット73が設けられ、払出ユニット73の中には払出装置が設けられている。この構成により、遊技盤1の入賞口に遊技球が入賞すると、球タンク71に貯留されている所定個数の遊技球(賞球)が払出装置から払い出され、流下通路を通り上皿55に払い出される。また、実施例1では、払出装置は、球貸ボタン57の操作に応じて遊技球(貸球)を払い出すよう構成されている。
【0026】
また、パチンコ機50の裏面側には、主制御装置80、払出制御装置81、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83、発射制御装置、電源基板85が設けられている。主制御装置80,演出図柄制御装置82,サブ統合制御装置83は、遊技盤1に設けられ、払出制御装置81,発射制御装置,電源基板85は、内枠70に設けられている。なお、図3では発射制御装置が記載されていないが、発射制御装置は、払出制御装置81の奥側(遊技盤1側)に配されている。
【0027】
また、球タンク71の右側には、外部接続端子板78が設けられており、外部接続端子板78により、遊技状態や遊技結果を示す信号が図示しないホールコンピュータへ送られる。
【0028】
さらに、本実施例の電源基板50は、本発明の要部に係る、電源スイッチ86、及びRAMクリアスイッチ87を備える。電源スイッチ86をオンすることにより、パチンコ機50に電源が投入され、RAMクリア処理を行う際には、RAMクリアスイッチ87を押下しつつ電源スイッチ86をオンする。電源スイッチ86、及びRAMクリアスイッチ87については、後で詳述する。
【0029】
次に、パチンコ機50の電気的構成について、図4を参照して説明する。図4は、実施例1のパチンコ機50の電気的構成を説明するブロック図である。このパチンコ機50は、図4のブロック図に示すとおり、遊技の進行を統括して制御する本発明の遊技制御手段としての主制御装置80を中心にして構成されている。なお、このブロック図には、単に信号を中継するいわゆる中継基板や、上述した本発明の要部に係るRAMクリアスイッチ87を具備してなる電源基板(電源装置)85等は記載されていない。また、詳細な図示は省略するが、主制御装置80、払出制御装置81、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83のいずれもCPU、ROM、RAM、入力ポート、出力ポート等を備えている。また、発射制御装置84、電源基板にはCPU、ROM、RAMは設けられていないが、これに限るわけではなく、発射制御装置84等にCPU、ROM、RAM等を設けてもよい。
【0030】
主制御装置80には、第1始動口11に入球した遊技球を検出する第1始動口SW11a、第2始動口12に入球した遊技球を検出する第2始動口SW12a、普通図柄作動ゲート17に進入した遊技球を検出する普通図柄作動SW17a、大入賞口14に入球した遊技球を計数するための第1カウントSW14a、一般入賞口31〜34に入球した遊技球を検出する一般入賞口SW31a等からの検出信号が入力される。
【0031】
主制御装置80は搭載しているプログラムに従って動作して、上述の検出信号などに基づいて遊技の進行に関わる各種のコマンドを生成し、払出制御装置81及びサブ統合制御装置83に出力する。
【0032】
また、主制御装置80は、図柄表示装置中継端子板90を介して接続されている特図表示装置9,特図保留数表示装置18,普通図柄表示装置7,普図保留数表示装置8の表示を制御する。
【0033】
さらに、主制御装置80は、大入賞口ソレノイド14bを制御することで大入賞口14の開閉を制御し、普電役物ソレノイド12bを制御することで第2始動口12の開閉を制御する。
【0034】
主制御装置80からの出力信号は試験信号端子にも出力されほか、図柄変動や大当り等の管理用の信号が外部接続端子板78に出力されてホールコンピュータ91に送られる。
主制御装置80と払出制御装置81とは双方向通信が可能である。
【0035】
払出制御装置81は、主制御装置80から送られてくるコマンドに応じて払出モータ20を稼働させて賞球を払い出させる。本実施例においては、賞球として払い出される遊技球を計数するための払出SW21の検出信号は払出制御装置81に入力され、払出制御装置81で賞球の計数が行われる構成を用いる。この他にも主制御装置80と払出制御装置81に払出SW21の検出信号が入力され、主制御装置80と払出制御装置81の双方で賞球の計数を行う構成を用いることも考えられる。
【0036】
なお、払出制御装置81は、ガラス枠開放SW35,内枠開放SW36,球切れSW23,払出SW21,満杯SW22からの信号が入力され、満杯SW22により下皿63が満タンであることを示す信号が入力された場合や、球切れSW23により球タンク71に遊技球が少ないあるいは無いことを示す信号が入力された場合には、払出モータ20を停止させ、賞球の払出動作を停止させる。また、満杯SW22,球切れSW23も、その状態が解消されるまで信号を出力し続ける構成になっており、払出制御装置81は、その信号が出力されなくなることに起因して払出モータ20の駆動を再開させる。
【0037】
また、払出制御装置81はCRユニット端子板24を介してCRユニット(プリペイドカードユニット)56と交信することで払出モータ20を作動させ、貸し球を排出する。払出された貸し球は払出SW21に検出され、検出信号は払出制御装置81に入力される。また、CRユニット端子板24は精算表示装置25とも双方向通信可能に接続されており、精算表示装置25には、遊技球の貸出しを要求するための球貸ボタン57、精算を要求するための精算ボタン58が設けられている。
【0038】
また、払出制御装置81は、外部接続端子板78を介して賞球に関する情報、枠(内枠70,前枠52)の開閉状態を示す情報などをホールコンピュータ91に送信するほか、発射制御装置84に対して発射停止信号を送信する。
【0039】
なお、本実施例では遊技球を払出す構成であるが、入賞等に応じて発生した賞球を払い出さずに記憶する封入式の構成にしても良い。
発射制御装置84は、発射モータ30を制御して、遊技領域3に遊技球を発射させる。
【0040】
なお、発射制御装置84には、払出制御装置81以外に、発射ハンドル64からの回動量信号、タッチSW28からのタッチ信号、発射停止SW29から発射停止信号が入力される。
【0041】
回動量信号は、遊技者が発射ハンドル64を操作することで出力され、タッチ信号は遊技者が発射ハンドル64を触ることで出力され、発射停止スイッチ信号は、遊技者が発射停止SW29を押すことで出力される。なお、タッチ信号が発射制御装置84に入力されていなければ、遊技球は発射できないほか、発射停止スイッチ信号が入力されているときには、遊技者が発射ハンドル64を触っていても遊技球は発射出来ないようになっている。
【0042】
サブ統合制御装置83は、主制御装置80から送信されてくるデータ及びコマンドを受信し、それらを演出表示制御用、音制御用及びランプ制御用のデータに振り分けて、演出表示制御用のコマンド等は演出図柄制御装置82に送信し、音制御用及びランプ制御用は自身に含まれている各制御部位(音声制御装置及びランプ制御装置としての機能部)に分配する。
【0043】
そして、音声制御装置としての機能部は、音声制御用のデータに基づいて音LSIを作動させることによってスピーカ66からの音声出力を制御し、ランプ制御装置としての機能部は、ランプ制御用のデータに基づいてランプドライバを作動させることによって、上述した枠側装飾ランプ65を含む各種LED、ランプ26を制御する。
【0044】
また、本実施例のサブ統合制御装置83は、主制御装置80から送信されてくるデータ及びコマンドを受信すると、可動役物10に係る駆動制御用のコマンドデータを可動役物駆動制御装置に送信し、可動役物駆動制御装置としての機能部は、駆動制御用のデータに基づいて可動役物10の駆動源(例えば、ステッピングモータ)を駆動させることによって、可動役物10を駆動制御する。
【0045】
各種LED、ランプ26は、本発明の発光部材であり、スピーカ66は、本発明の音声出力装置であり、可動役物10は、本発明の可動部材であって、少なくともこれらを構成要素とする装置群が本発明の演出装置を構成する。
すなわち、サブ統合制御装置83は、遊技制御手段としての主制御装置80からの制御情報に基づいて、少なくとも各種LED、ランプ26と、スピーカ66と、可動役物10とによって構成される演出装置を駆動制御して所定の演出を行う、本発明の演出制御手段である。
【0046】
また、サブ統合制御装置83には、演出ボタン67,ジョグダイヤル68が接続されており、遊技者が演出ボタン67,ジョグダイヤル68を操作した際には、その信号がサブ統合制御装置83に入力される。
【0047】
サブ統合制御装置83と演出図柄制御装置82とは双方向通信が可能である。
演出図柄制御装置82は、サブ統合制御装置83から受信したデータ及びコマンド(共に主制御装置80から送信されてきたものとサブ統合制御装置83が生成したものとがある)に基づいて演出図柄表示装置6を制御して、演出図柄等の演出画像を表示させる。
【0048】
本実施例のパチンコ機50は、概ね上述したような構成を備えるものであるが、次に上述した電源基板(電源装置)85の構成について、図5を参照して説明する。図5は、本実施例の電源基板(電源装置)85の構成及び機能を説明する概略ブロック図である。
本実施例の電源基板85は、電源回路95、停電検出回路96、バックアップ用電源回路97、受電回路98、電源スイッチ86、およびRAMクリアスイッチ87を備える。
【0049】
電源回路95は、受電回路98を介して供給される主電源AC24Vを基にして、各制御装置やアクチュエータ等の作動電源を生成して供給する。また、受電回路98には、当該受電回路98から電源回路95への主電源AC24Vの供給を導通或いは非導通に切替え可能に構成される電源スイッチ86が接続されている。
【0050】
バックアップ用電源回路97は、電源回路95で生成されたDC5Vを充電し、バックアップ対象にバックアップ用電源(DC5V)として供給する。停電検出回路96は、主電源の電圧(24V)が所定電圧以下に降下すると主制御装置80、払出制御装置81に停電検出信号111とリセット信号(NMI信号)112を出力する。なお、主電源の電圧が所定電圧以上に上昇すると停電検出信号111、リセット信号112ともに出力を停止する。
また、本実施例で停電検出信号111とリセット信号112を主制御装置80と払出制御装置81に送信する構成としたが、必ずしもこの構成である必要は無い。主制御装置80のみに送信し、主制御装置80が払出制御装置81に停電用のコマンドを送信しても良いし、その逆の構成なども考えられる。
【0051】
RAMクリアスイッチ87は操作に応じてRAMクリアスイッチ信号113を出力する。なお、RAMクリアスイッチ87の操作によりRAMクリアスイッチ信号113を出力するためのRAMクリアスイッチ信号発生用の回路は、必ずしも電源装置85に設ける必要は無く、主制御装置80や払出制御装置81の何れかに設けることも考えられるし、主制御装置80および払出制御装置81の各々に設けることも考えられる。その場合は主制御装置80のみをRAMクリアできたり、払出制御装置81のみをクリアできる構成とする。
【0052】
次に、主制御装置80に搭載された主制御CPUの起動処理について、図6を参照して説明する。図6は、本実施例の主制御装置80に搭載された主制御CPUが実行する起動処理についてのフローチャートである。
本実施例の起動処理は、大別して、電源投入時処理、残余処理、およびバックアップ処理で構成されている。
【0053】
本実施例のパチンコ機50に電源が投入されると、主制御装置80に搭載された主制御CPUは、図示しないセキュリティーチェックの終了後に、先ず電源投入時処理を実行する。
ここでは、RAM初期設定処理(S1)を行ってから、上述したRAMクリアスイッチ信号113が入力されたか否か、すなわちRAMを消去するか否かを判断(S2)して、肯定判断(S2:yes)ならばS6のRAM消去処理に移行し、否定判断(S2:no)ならばS3に処理を移行する。
S6では、RAMを消去するRAM消去処理(S6)が実行され、次いでS8にて初期画面指定コマンド送信処理(S8)が実行される。S8の処理が完了すると、後述する残余処理のS9に処理を移行する。
RAM消去処理(S6)は、本発明の初期化手段である。
【0054】
本発明の要部として、サブ統合制御装置83が、スピーカ66、各種LED、ランプ26、可動役物10、および演出図柄表示装置6の全て或いは一部を制御することにより、電源投入時には電源投入に係る報知を、RAMクリア時にはRAMクリアに係る報知を、さらに工場における検査時には検査用の駆動を、行うように制御されるものであるが、当該起動が電源投入時であるかRAMクリア時であるかの判別の基準として、上述したS8の初期画面指定コマンドが送信されたか否か、に基づくように構成されている。
すなわち、初期画面指定コマンド送信処理(S8)は、本発明の初期化出力手段を構成する。また、S8にて主制御装置80からサブ統合制御装置83に送信される初期画面指定コマンドは、初期化された旨を示唆する本発明の初期化示唆信号を構成する。
【0055】
S2において否定判断の場合に移行するS3では、RAM保証値が1か否かを判断(S3)する。RAM保証値が1でないと判断(S3:no)すると、S6の処理に移行する。RAM保証値が1であると判断(S3:yes)すると、S4の処理に移行する。S4では、SUM値作成処理(S4)を実行し、次いでS5において、SUM値が0であるか否かを判断(S5)する。SUM値が0でないと判断(S5:no)すると、S6の処理に移行する。SUM値が0であると判断(S5:yes)すると、S7の処理に移行する。S7では、RAMに記憶されていたデータに基づいて電源断前の遊技状態に復帰させるための電源復帰処理(S7)を実行する。なお、電源復帰処理で復帰した場合は、初期画面指定コマンドは送信されず、待機画面を表示させる構成となっている。S7の処理が完了すると、S9の処理に移行する。
本実施例では、S7またはS8の実行によって電源投入時処理が終了し、ついで残余処理が開始される。
【0056】
本実施例の残余処理では、先ずS9において割り込みを禁止(S9)する。続くS10において、NMIフラグが0か否かを判断(S10)し、否定判断(S10:no)であれば、後述するバックアップ処理のS15の処理に移行する。NMIフラグが0であれば、すなわち肯定判断(S10:yes)であれば、初期値乱数更新処理1(S11)、初期値乱数更新処理2(S12)、および初期値乱数更新処理3(S13)を順次、実行した後、S14において、割り込みの禁止状態を解除して割込許可(S14)して再度、S9の処理に移行する。
なお、本実施例では、初期値乱数更新処理1によって更新される初期値乱数1は、第1始動口スイッチ11aで取得する大当り図柄決定用乱数の初期値を更新するための処理であり、初期値乱数更新処理2によって更新される初期値乱数2は、第2始動口スイッチ12aで取得する大当り図柄決定用乱数の初期値を更新するための処理であり、初期値乱数更新処理3によって更新される初期値乱数3は、普通図柄作動スイッチ17aで取得する当り図柄決定用乱数の初期値を更新するための処理である。
残余処理はS9乃至S14のループ処理であって、当該残余処理中にINT割込が発生すると、S14で割り込み禁止が解除された後に、後述する図7で示す割込(INT)処理にジャンプして当該処理を実行する。
このように、図6に示した電源投入時処理および残余処理について説明してきたが、残るバックアップ処理を説明する前に、上記、割込(INT)処理について図7を参照して説明する。
【0057】
図7は、本実施例の主制御装置80に搭載された主制御CPUが実行する割込(INT)処理についてのフローチャートである。割込(INT)処理では、本実施例の大当りに係る特別図柄の当否判定に使用する各種の乱数値を更新し(S21)、タイマの値をカウントアップし(S22)、続いて、入賞口等に設置されている検出スイッチからの遊技球検出信号や、枠装置に設けられたスイッチ類(例えば、演出ボタン67)からの信号等の入力処理を行い(S23)、特別図柄の当否判定の報知および大当り遊技の実行に関わる特別図柄遊技処理(S24)、普通図柄の当否判定の報知および普通電動役物(第2始動口12)の制御に関わる普通図柄遊技処理(S25)、演出図柄表示装置6の演出画像の表示、各種LED、ランプ26の発光表示、スピーカ66の音声出力、可動役物10の駆動、などを制御するための演出制御コマンドをサブ統合制御装置83へ送信する演出制御コマンド送信処理(S26)、特別図柄表示装置9の表示制御や可変入賞口(普通電動役物12、大入賞口14)の開閉制御等のためのデータ出力処理(S27)を行う。
【0058】
次いで、割込み毎にカウントアップする割込み回数カウンタのカウント値に1を加算して(S28)、該加算後のカウント値すなわち今回の割込みによる割込み回数が所定回数を超えたか否かを判断する(S29)。
当該割込(INT)処理は、INT割込み発生毎に実行されるものである。INT割込みは、タイマによって定期的(2ms毎や、4ms毎)に行われるため、割込み回数を累積計数することにより、上述した図6の電源投入時処理が実行された後の経過時間を算出可能な構成となっている。
S29で、割込み回数が所定回数を超えている場合(S29:yes)、すなわち「タイマ手段による計時が所定時間を経過した」ことになる。当該所定時間(所定回数)は、図示しない賞球制御CPUのセキュリティーチェックに必要な時間から主制御装置80の主制御CPUのセキュリティーチェックに必要な時間を減じた時間以上に設定されている。
そして、上述したように割込み回数が所定回数を超えていれば(S29:yes)、払出制御装置81に対して賞球コマンドを送信する処理を行う(S30)。
【0059】
ここで、上記賞球コマンドは、各種入賞口に設置されている検出スイッチからの遊技球検出信号(上記、S23参照)に基づいて生成されるコマンドであり、払い出し個数(賞球個数)を特定可能なデータ構成になっている。
払出制御装置81の賞球制御CPUは、賞球コマンドを主制御装置80から受信すると、払出中継端子板を介して払出モータ20を駆動させて、賞球コマンドで指定された個数の賞球を払い出させる。
【0060】
次にS29で割込み回数が所定回数を超えていなければ(S29:no)、上述したように生成した賞球コマンドを例えばRAMに記憶する処理を行う(S31)。
なお、当該処理において賞球コマンドを記憶する代わりに、賞球個数を記憶してもよく、複数の入賞分の賞球個数を加算記憶しても何ら差し支えない。
S30またはS31を実行すると、割込(INT)処理を終了して、残余処理にリターンする。
【0061】
一方、電源装置85(図5参照)に設けられた停電検出回路96が停電を検出して停電検出信号111を出力し、この信号が主制御装置80に入力されると、主制御CPUにリセット信号(NMI信号)112が与えられる。なお、本実施例ではリセット信号としてNMI(ノンマスカブルインタラプト)を用いるため、以後リセット信号をNMI信号とも呼称する。
主制御CPUは、NMI信号112が与えられると、如何なる処理中であっても直ちに現在のプログラムを中断して、図8に示す割込(NMI)処理にジャンプ(実行途中の処理は行う構成として、次のステップには移行せずに割込(NMI)処理にジャンプ)して、強制割込処理を行う。図8は、本実施例の主制御装置80に搭載された主制御CPUが実行する割込(NMI)処理についてのフローチャートである。
割込(NMI)処理では、現在のプログラムのアドレスをレジスタに記憶することで退避させ(S35)、NMIフラグを1にセットし(S36)、先にレジスタに退避させたアドレスからプログラムを再開する。
【0062】
この処理の再開後の残余処理(図6参照)において、S10を実行すると、上記S36にてNMIフラグに1がセットされているので、否定判断(S10:no)となり、これにより、バックアップ処理に移行することになる。
バックアップ処理では、先ずSUM値を作成し(S15)、RAM保証値に1をセットして(S16)、RAMへの書き込みを禁止する処理が行われる(S17)。当該バックアップ処理は、電源遮断時の遊技の制御状態を記憶する、本発明の状態記憶手段に相当する。
このようにバックアップ処理が行われた後で復電すれば、電源投入時処理が行われるが、ここではRAM保証値が1であるからS3では肯定判断され(S3:yes)、S4およびS5が実行される。さらにSUM値が0となるため(S5:yes)、電源復帰処理(S7)を行う。
【0063】
電源投入時処理後に実行される残余処理中にINT割り込みが発生すると、割り込み禁止が解除(S14)された後に、割込(INT)処理にジャンプして本処理を行うので、電源投入時処理の終了後に各種入賞口への入賞があった場合には、即座に払い出しは出来ないものの、入賞があったことを検出して主制御装置80が記憶することができる。
その検出した入賞に関しては、払出制御装置81の賞球制御CPUの立ち上がりに要する時間を経過した後に、賞球コマンドが主制御装置80から払出制御装置81に送信されるので、賞球コマンドを払出制御装置81が取りこぼすことがない。これにより、入賞したのに賞球が払い出されないという不利益を遊技者が被る事がないように構成されている。
本実施例のパチンコ機50は、起動時において以上説明したように制御されるよう構成されている。
【0064】
次に本実施例の要部として、本発明の演出制御手段としてのサブ統合制御装置83が実行する制御を図9乃至図14を参照して説明する。図9は、本実施例のサブ統合制御装置83に搭載された演出制御CPUが実行する駆動処理についてのフローチャートである。
【0065】
図9に示すように、サブ統合制御装置83は、電源が投入されると、駆動処理を実行する。
先ず、S100において、特別駆動フラグに1が設定されているか否かの判断処理を実行する(S100)。肯定判断であれば(S100:yes)、S155の処理に移行する。否定判断であれば(S100:no)、S105の処理に移行する。
S105では、通常駆動フラグに1が設定されているか否かの判断処理を実行する(S105)。肯定判断であれば(S105:yes)、S140の処理に移行する。否定判断であれば(S105:no)、S110の処理に移行する。
S110では、初期画面指定コマンドを受信したか否かの判断処理を実行する(S110)。初期画面指定コマンドは、上述した電源投入時処理(図6参照)のS8において、主制御装置80からサブ統合制御装置83へ送信されるコマンドである。初期画面指定コマンドを受信することにより、サブ統合制御装置83は演出図柄制御装置82によって演出図柄表示装置6にRAMクリアされたことを示唆する初期画面を表示する。また、初期画面指定コマンドを受信することにより、本実施例の要部である、演出装置の駆動を所定の駆動態様(特別駆動態様または通常駆動態様)で実行する契機としている。
S110で肯定判断であれば(S110:yes)、S120の処理に移行し、否定判断であれば(S110:no)、S115の処理に移行する。
S115では、初期化フラグに1が設定されているか否かの判断処理を実行する(S115)。初期化フラグは、該フラグに1が設定されていることを契機として、通常駆動処理または特別駆動処理を実行する契機となるよう構成されている。
S115で肯定判断であれば(S115:yes)、S125の処理に移行し、否定判断であれば(S115:no)、当該駆動処理を終了する。
S125では、RAMクリア操作からの待機時間を累積計時する待機カウンタのカウント値をカウントアップして(S125)、S130の処理へ移行する。
S110の処理で肯定判断されて移行するS120では、初期化フラグに1を設定し(S120)、S130の処理に移行する。
S130では、待機カウンタのカウント値が所定値(例えば、3sec)に到達したか否かの判断処理を実行し(S130)、肯定判断ならば(S130:yes)、S135に移行し、否定判断ならば(S130:no)、S145に移行する。
S135では、通常駆動フラグに1を設定する処理を行う(S135)。
S135の処理を終了するか、上述したS105で肯定判断された場合は、S140の通常駆動処理のモジュールに移行して実行し(S140)、当該駆動処理を終了する。
S130で否定判断されて、すなわち待機カウンタのカウント値が未だ所定値に到達していない場合に移行するS145では、演出ボタン67の操作が行われたか否かの判断処理を実行するし(S145)、肯定判断ならば(S145:yes)、S150に移行し、否定判断ならば(S145:no)、当該駆動処理を終了する。
所定の待機時間以内に演出ボタン67が操作された場合(S145:yes)には、S150で特別駆動フラグに1を設定する(S150)。
S150の処理を終了するか、上述したS100で肯定判断された場合は、S155の特別駆動処理のモジュールに移行して実行し(S155)、当該駆動処理を終了する。
【0066】
このように、初期画面指定コマンドを受信して(S110:yes)から、所定時間すなわち待機カウンタのカウント値が所定値となるまでに(S130:no)、演出ボタン67が操作された(S145:yes)ことを条件として、特別駆動処理(S155)を実行するように構成されている。なお、演出ボタン67は、本発明の検査状態移行操作手段を構成する。
【0067】
上述したS140の通常駆動処理のモジュールについて、図10および図11を参照して説明する。図10および図11は、本実施例のサブ統合制御装置83に搭載された演出制御CPUが実行する通常駆動処理についてのフローチャートである。
【0068】
図10に示すように、先ずS200では、音フラグに1が設定されているか否かの判断処理が実行され(S200)、肯定判断であればS205の処理へ移行し、否定判断であればS225の処理へ移行する。
音フラグに1が設定されていることに基づいて、スピーカ66によって所定の音声による発音制御を実行、継続するよう構成されている。
S205では、音カウンタのカウント値をカウントアップし(S205)、S210の処理へ移行する。
S210では、音カウンタのカウント値が所定値(例えば、10sec)に到達したか否かの判断処理を実行し(S210)、肯定判断ならば(S210:yes)、S220に移行し、否定判断ならば(S210:no)、S215に移行する。
S210において否定判断ならば、すなわち音カウンタのカウント値が所定値に達していなければ、スピーカ66を駆動して所定の音声を発音する音駆動処理を実行する(S215)。
S210において肯定判断ならば、すなわち音カウンタのカウント値が所定値に達したならば、音フラグを0に設定する(S220)。
S200において否定判断ならば、すなわち音フラグに1が設定されていなければ、S225において、役物フラグに1が設定されているか否かの判断処理を実行し(S225)、肯定判断ならば(S225:yes)、S280に移行し、否定判断ならば(S225:no)、S230に移行する。
次いで、S230において、ランプフラグに1が設定されているか否かの判断処理を実行し(S230)、肯定判断ならば(S230:yes)、S245に移行し、否定判断ならば(S230:no)、S235に移行する。
S235において、音フラグに1を設定する(S235)。S235、S215、およびS220の何れかの処理が終了すると、S240の処理に移行する。
S240では、ランプフラグに1が設定されているか否かの判断処理を実行し(S240)、肯定判断ならば(S240:yes)、S245に移行し、否定判断ならば(S240:no)、S270に移行する。
S240において否定判断ならば、S270で、ランプフラグに1を設定する(S270)。
S240において肯定判断ならば、S245で、ランプカウンタのカウント値をカウントアップし(S245)、S250に移行する。
S250では、ランプカウンタのカウント値が所定値(例えば、30sec)に到達したか否かの判断処理を実行し(S250)、肯定判断ならば(S250:yes)、S260に移行し、否定判断ならば(S250:no)、S255に移行する。
S250において否定判断ならば、すなわちランプカウンタのカウント値が所定値に達していなければ、各種LED、ランプ26を駆動して所定の発光態様で発光するランプ駆動処理を実行する(S255)。
S250において肯定判断ならば、すなわちランプカウンタのカウント値が所定値に達したならば、ランプフラグを0に設定する(S260)。次いで、S265に移行して役物フラグに1を設定する(S265)。
S270、S255、およびS265の何れかの処理が終了すると、図11に示すS275の処理に移行する。
S275では、役物フラグに1が設定されているか否かの判断処理を実行し(S275)、否定判断ならば(S275:no)、当該通常駆動処理を終了する。
S275において肯定判断ならば(S275:yes)、またはS225において肯定判断ならば(S225:yes)、S280に移行する。
S280で、役物カウンタのカウント値をカウントアップし(S280)、S285に移行する。
S285では、役物カウンタのカウント値が所定値(例えば、15sec)に到達したか否かの判断処理を実行し(S285)、肯定判断ならば(S285:yes)、S292に移行し、否定判断ならば(S285:no)、S290に移行する。
S285において否定判断ならば、すなわち役物カウンタのカウント値が所定値に達していなければ、可動役物10を駆動して所定の駆動態様で作動させる役物駆動処理を実行する(S290)。
S285において肯定判断ならば、すなわち役物カウンタのカウント値が所定値に達したならば、役物フラグを0に設定する(S292)。次いで、S295に移行して通常駆動フラグに0を設定する(S295)。さらに、S297に移行して初期化フラグに0を設定する(S297)。
S290、およびS297の処理が終了すると、当該通常駆動処理を終了する。
【0069】
以上説明したように、本実施例の通常駆動処理では、音声出力装置としてのスピーカ66と、発光部材としての各種LED、ランプ26に関して、ほぼ同時に駆動制御が開始され、スピーカ66の駆動制御が先んじて終了した後も各種LED、ランプ26は継続して駆動制御され、可動部材としての可動役物10は各種LED、ランプ26の駆動制御が終了した後に駆動制御が開始されるように構成されている。このため、音声出力装置、発光部材、および可動部材は、全てが同時期に駆動制御されることはないように構成されている。より詳述すれば、本実施例では、音声出力装置と発光部材が同時期に駆動制御されることはあっても、使用電力量の高い可動部材に関しては、単独でしか駆動制御されないように構成されている。
【0070】
このように、役物駆動処理(S290)がランプ駆動処理の終了(S250:yes)を契機として実行することで、役物駆動処理とランプ駆動処理を同時に実行しないようにしている。したがって、S250、S260、S265、S275、S280、S285、およびS290は、本発明の本発明の非一括駆動制御手段を構成する。
【0071】
次に、S155の特別駆動処理のモジュールについて、図12および図13を参照して説明する。図12および図13は、本実施例のサブ統合制御装置83に搭載された演出制御CPUが実行する特別駆動処理についてのフローチャートである。
【0072】
図12に示すように、先ずS300では、音フラグに1が設定されているか否かの判断処理が実行され(S300)、肯定判断であればS305の処理へ移行し、否定判断であればS345の処理へ移行する。
S305では、音カウンタのカウント値をカウントアップし(S305)、S310の処理へ移行する。
S310では、音カウンタのカウント値が所定値(例えば、10sec)に到達したか否かの判断処理を実行し(S310)、肯定判断ならば(S310:yes)、S320に移行し、否定判断ならば(S310:no)、S315に移行する。
S310において否定判断ならば、すなわち音カウンタのカウント値が所定値に達していなければ、スピーカ66を駆動して所定の音声を発音する音駆動処理を実行する(S315)。
S310において肯定判断ならば、すなわち音カウンタのカウント値が所定値に達したならば、音フラグを0に設定する(S320)。
S300において否定判断ならば、すなわち音フラグに1が設定されていなければ、S345において、役物フラグに1が設定されているか否かの判断処理を実行し(S345)、肯定判断ならば(S345:yes)、S325に移行し、否定判断ならば(S345:no)、S350に移行する。
次いで、S350において、ランプフラグに1が設定されているか否かの判断処理を実行し(S350)、肯定判断ならば(S350:yes)、図13に示すS370に移行し、否定判断ならば(S350:no)、S355に移行する。
S355において、音フラグに1を設定する(S355)。次いで、S360において、ランプフラグに1を設定する(S360)。さらに、S365において、役物フラグに1を設定する(S365)。S365の処理が終了すると、図13に示すように当該特別駆動処理を終了する。
S345で肯定判断した場合、S315の処理が終了した場合、またはS320の処理が終了した場合の何れかの場合には、S325に移行する。
S325では、役物カウンタのカウント値をカウントアップし(S325)、S330に移行する。
S330では、役物カウンタのカウント値が所定値(例えば、15sec)に到達したか否かの判断処理を実行し(S330)、肯定判断ならば(S330:yes)、S340に移行し、否定判断ならば(S330:no)、S335に移行する。
S330において否定判断ならば、すなわち役物カウンタのカウント値が所定値に達していなければ、可動役物10を駆動して所定の駆動態様で作動させる役物駆動処理を実行する(S335)。
S330において肯定判断ならば、すなわち役物カウンタのカウント値が所定値に達したならば、役物フラグを0に設定する(S340)。S335、またはS340の処理が終了すると、図13に示すS370に移行する。
図13を参照して、S370では、ランプカウンタのカウント値をカウントアップし(S370)、S375に移行する。
S375では、ランプカウンタのカウント値が所定値(例えば、30sec)に到達したか否かの判断処理を実行し(S375)、肯定判断ならば(S375:yes)、S385に移行し、否定判断ならば(S375:no)、S380に移行する。
S375において否定判断ならば、すなわちランプカウンタのカウント値が所定値に達していなければ、各種LED、ランプ26を駆動して所定の発光態様で発光するランプ駆動処理を実行する(S380)。
S375において肯定判断ならば、すなわちランプカウンタのカウント値が所定値に達したならば、ランプフラグを0に設定する(S385)。次いで、S390に移行して特別駆動フラグに0を設定する(S390)。さらに、S395に移行して初期化フラグに0を設定する(S395)。
S350で肯定判断するか、S380、およびS395の何れかの処理が終了すると、当該特別駆動処理を終了する。
【0073】
以上説明したように、本実施例の特別駆動処理では、音声出力装置としてのスピーカ66と、発光部材としての各種LED、ランプ26と、可動部材としての可動役物10が、ほぼ同時に駆動制御が開始され、スピーカ66の駆動制御、続いて可動役物10の駆動制御、が先んじて終了し、最後に各種LED、ランプ26の駆動制御が終了するように構成されている。このため、音声出力装置、発光部材、および可動部材は、全てが同時期に駆動制御が開始され、最も長い所要時間に設定された発光部材の駆動制御が終了することによって、特別駆動処理が終了するように構成されている。
【0074】
すなわち、本実施例では特別駆動処理が開始されると、音駆動処理、ランプ駆動処理、および役物駆動処理の全ての駆動処理が、一定時間(所要時間の最も短い音駆動処理の処理時間としての10secの間)、同時期に一括して駆動制御される。これは、図12および図13の、S300、S305、S310、S315、S325、S330、S345、S350、S355、S360、S365、S370、S375、およびS380の処理の作用によるものであり、これらの処理は、本発明の一括駆動制御手段を構成するものである。
【0075】
このように、通常駆動処理と特別駆動処理とでは、スピーカ66と、各種LED、ランプ26と、可動役物10との駆動タイミングを異ならさせて実行するように構成しているが、この点を図14を参照してさらに説明する。図14は、本実施例のサブ統合制御装置83に搭載された演出制御CPUが実行する通常駆動処理および特別駆動処理についてのタイミングチャートである。
【0076】
図14には、通常駆動処理と特別駆動処理に関して、各々、音駆動処理、ランプ駆動処理、および役物駆動処理の実行状態あるいは非実行状態を示した。
先ず、図14(A)のように、本実施例では、RAMクリア処理が実行されてから、所定の待機時間として例えば3secが経過するまでに演出ボタン67に係る押しボタン操作が実行されないと、通常駆動処理を実行する。つまり、上述した図9においてS145の演出ボタン操作の有無に係る肯定判断がなされる前に、S130において待機カウンタのカウンタ値が所定値に到達したと肯定判断された場合には、S140の通常駆動処理を実行することにより実現される。
待機時間が経過すると、音駆動処理およびランプ駆動処理がほぼ同時に開始される。音駆動処理は音カウンタのカウント値により計時される所要時間(10sec)が経過すると、ランプ駆動処理に先んじて終了する。ランプ駆動処理はランプカウンタのカウント値により計時される所要時間(30sec)が経過すると、終了する。ランプ駆動処理が終了した後に、役物駆動処理が実行開始し、役物カウンタのカウント値により計時される所要時間(15sec)が経過すると終了する。
【0077】
本実施例のパチンコ機50は、上述した通常駆動処理を備えることにより、ホールの営業開始時等において、RAMクリアに伴う各種演出装置の駆動処理に係る、瞬間的な電力消費量の上昇を抑制することが可能となっている。
すなわち、スピーカ66と、各種LED、ランプ26と、可動役物10の演出装置の内で、最も使用電力量の高い可動役物10の役物駆動処理を、実行時期が重複しないタイミングで、すなわちスピーカ66の音駆動処理と、各種LED、ランプ26のランプ駆動処理の終了後に実行するように構成する。これにより、瞬間的な電力消費の集中を解消して、時間的に分散することで、瞬間的な電力消費量が徒に上昇することを防止することができる。
【0078】
なお、上述した実施例では、RAMクリアされた場合、さらにいえばその状態で演出ボタン67の操作が待機時間内に実行されなかった場合に、通常駆動処理を実行するものであるが、RAMクリアを伴わず単に電源投入された場合にも、通常駆動処理を実行するようにしても良い。
このように構成することにより、RAMクリア時に限らず、電源投入時における瞬間的な電力消費量の上昇を抑制することができる。
さらに、ホール(遊技施設)の開店作業時において、島設備に設置された複数のパチンコ機50の電源スイッチ86を、予めオン状態にしておき、島設備に設けられた図示しない電源スイッチをオンすることで、上記複数のパチンコ機50に電源を一斉投入することが一般的な方法として採用されている。この際、各演出装置の駆動処理は同期して実行されるが、個々のパチンコ機50単位において上述したように瞬間的な電力消費を抑えていることで、複数のパチンコ機50が同期しても累積した場合の電力消費量の上昇は、著しいとまではいえない。これにより、電源投入が為されたことを通常駆動処理によって認識可能であるとともに、これに加えて、島設備単位ひいてはホール単位での瞬間的な電力消費量の著しい上昇を抑制することができる。
【0079】
また、RAMクリアを伴わず単に電源投入された場合に、スピーカ66と、各種LED、ランプ26と、可動役物10の演出装置を全て同時期に駆動制御する一括駆動制御を実行する構成としても良い。
ホールの営業時間中すなわちホール内に設置された複数の遊技機に電源が投入されて遊技中であっても、島設備の不可避的な電源事情により瞬間的な停電状態(遊技機に電源が供給されない状態)が発生することがある。このような場合、電源投入されて停電状態から復帰すると、電源投入時報知を行う構成が知られている。その際、スピーカ66、各種LED、ランプ26、および可動役物10の演出装置を一括して同時期に駆動制御しない構成では、通常遊技に復帰するまでの所要時間が長時間になってしまい、ホールと遊技客との間のトラブル発生の原因にもなる。しかし、この点、上述したように構成することにより、すなわち、RAMクリアを伴わない電源投入時には、スピーカ66、各種LED、ランプ26、および可動役物10の演出装置を全て同時期に駆動制御することで、通常遊技への復帰が短時間で完了することで、瞬間的な停電の後の現状復帰が速やかに行われ、ホールと遊技客との間にトラブルが発生するおそれもなく、稼働率の低下も免れることができる。
【0080】
また、単なる電源投入時と、RAMクリア時で、各演出装置に係る駆動処理の駆動態様を異ならせても良い。
このように構成することにより、単なる電源投入時であることを報知するものか、或いはRAMクリア時であることを報知するものか、両者を一目瞭然に区別することが可能となる。異なる駆動態様としては、音駆動処理であれば音声アナウンスの内容やアラーム音を、ランプ駆動処理であれば発光態様や発色態様を、役物駆動処理であれば役物の駆動態様を、異なるように設定したりすることで、両者を明確に峻別可能に構成することが想定される。
単なる電源投入時と比較して、RAMクリア時には、不正行為を被った疑いが少なからず有るので、明確に報知するために音駆動処理にて警戒を促す必要があるが、電源投入時には音駆動処理を実行せずに、ランプ駆動処理と役物駆動処理のみ実行するようにしても良い。
【0081】
次に、図14(B)を参照して、本実施例では、RAMクリア処理が実行されてから、所定の待機時間として例えば3secが経過するまでに演出ボタン67に係る押しボタン操作が実行されると、特別駆動処理1を実行する。つまり、上述した図9においてS130の待機カウンタのカウンタ値が所定値に到達したと肯定判断される前に、S145の演出ボタン操作の有無に係る肯定判断がなされた場合には、S155の特別駆動処理を実行することにより実現される。
図14(B)では、待機時間が経過する前に、演出ボタン67に係る押しボタン操作が実行された状態を示した。当該押しボタン操作が実行されたことにより、即時(待機カウンタのカウンタ値が所定値に到達するのを待たずに)、音駆動処理、ランプ駆動処理および役物駆動処理がほぼ同時に開始される。音駆動処理は音カウンタのカウント値により計時される所要時間(10sec)が経過すると、また、役物駆動処理は役物カウンタのカウント値により計時される所要時間(15sec)が経過すると、ランプ駆動処理に先んじて終了する。ランプ駆動処理はランプカウンタのカウント値により計時される所要時間(30sec)が経過すると、終了する。このように、複数種類の所要時間で実行される各種演出装置の駆動処理の実行を、同時に開始することにより、最も長い所要時間で設定されたランプ駆動処理の終了により特別駆動処理1が終了し、各種駆動処理の所要時間を確保しつつ、最も短時間で特別駆動処理を終了することが可能となっている。
上述した構成によって、本実施例の特別駆動処理1は、通常駆動処理よりも短い所要時間で実行可能となっている。
【0082】
本実施例のパチンコ機50は、上述した特別駆動処理を備えることにより、工場で出荷時に行う演出装置の駆動態様の目視検査作業において、タクトタイムの上昇を抑制することが可能となっている。
通常の確認作業内容を説明しつつより具体的に説明する。出荷前の確認作業時には、パチンコ機50の裏面側に配置された検査作業者Aによって、図3に示したRAMクリアスイッチ87を操作しつつ電源スイッチ86が操作され、次いでパチンコ機50の表面側に配置された検査作業者Bによって、上述した待機時間(例えば、3sec)以内に図1に示した演出ボタン67が操作されると、特別駆動処理が実行される。
すなわち、RAMクリアから待機時間内に演出ボタン67の操作が為されれば、スピーカ66と、各種LED、ランプ26と、可動役物10の演出装置の全てについて、同時に駆動制御を開始するように構成されている。これにより、演出装置の駆動が同時に進行し、短時間で所定の駆動時間を終了することができる。
熟練した検査作業者にとって、検査対象となる各演出装置が個々に順次駆動する必要は無く、何れかの演出装置の駆動時間が終了しないと、他の演出装置の駆動が開始されない状態は、寧ろ検査作業の時間を徒に引き延ばすことになり、検査の停滞や、かえってケアレスミスを招きかねないという弊害を生むおそれもある。
【0083】
なお、図14(B)では本実施例の特別駆動処理1として、演出ボタン67に係る押しボタン操作が実行されたことにより、即時、待機時間経過を待たずに、各種演出装置の駆動処理を開始する例を示したが、他の構成でも良い。たとえば、図14(C)に図示したように、待機時間中に演出ボタン67に係る押しボタン操作が実行されると、各種演出装置の駆動処理の開始を、待機時間の経過するまで遅延して、実行するように構成してもよい。
【0084】
以上説明したように、本実施例のパチンコ機50は、RAMクリアから所定の待機時間経過までに演出ボタン67が操作されなかった場合に通常駆動処理を実行し、RAMクリアから所定の待機時間経過までに演出ボタン67が操作された場合に特別駆動処理を実行し、通常駆動処理では、可動役物10に係る役物駆動処理、スピーカ66に係る音駆動処理、および各種LED、ランプ26に係るランプ駆動処理の、全ての演出装置に係る駆動処理の実行時期が、重複しないように構成され、特別駆動処理では、可動役物10に係る役物駆動処理、スピーカ66に係る音駆動処理、および各種LED、ランプ26に係るランプ駆動処理の、全ての演出装置の駆動処理の実行時期が、重複する場合があるように構成されている。
これにより、処理に係る所要時間について、通常駆動処理よりも特別駆動処理の方が、短時間となる。図示したように、通常駆動処理では、音駆動処理と同時に駆動開始したランプ駆動処理が、終了してから、役物駆動処理が実行されるところを、特別駆動処理では全ての駆動処理が同時に実行開始されることで、最も所要時間の長いランプ駆動処理が終了することで特別駆動処理が終了する。したがって、単純に役物駆動処理の所要時間である15secだけ、特別駆動処理は通常駆動処理よりも所要時間が短時間となるように構成される。
【0085】
以上、本発明に係る実施例を説明してきたが、本発明の技術思想を逸脱しない限り、これに限定するものではない。
例えば、上述した実施例では、通常駆動処理(図14(A))において、音駆動処理とランプ駆動処理の実行時間が、開始から10secの期間は重複するように構成される例を示したが、これに限定せず、各演出装置の駆動処理に関して、重複する期間が一切発生しないように構成されるものでも良い。すなわち、音駆動処理、ランプ駆動処理および役物駆動処理が、処理を順次実行するようにしても良い。このように構成することにより、瞬間的な電力消費量の完全な分散化を図ることができ、電力消費量の瞬間的な上昇を回避することが可能となる。
【0086】
また、上述した実施例では、本発明の検査状態移行操作手段として、遊技者が操作可能な演出ボタン67を採用した例を示したが、このように構成したとしても、RAMクリアは通常、閉店時間中に行われるため、遊技者に誤って操作されるおそれはないため、不具合が発生することはない。
また、このような構成、つまり検査状態移行操作手段として演出ボタン67を採用する方法に限定せず、他の構成を採用しても良い。例えば、遊技機前面部に配設されて、任意に工場の確認作業者が操作可能であって、且つ、該操作に基づいて何らかの操作済み信号を発生可能な構成であれば、他の構成要素に置き換えても良い。例えば、遊技機前面側の遮蔽物を感知して感知信号を発生する演出用の感知手段を用いても良い。或いは、ジョグダイヤル68を用いて、該ジョグダイヤル68を所定回転方向に回転させることにより押しボタン操作が為されたことと同義とする構成としても良い。
このように構成することにより、確認作業の利便性に合わせて最適の構成要素を検査状態移行操作手段として採用して、作業効率の向上を図ることが可能となる。
【0087】
また、同様に通常駆動処理(図14(A))において、音駆動処理とランプ駆動処理の実行時間が、重複するように構成される例を示したが、これに限定せず、重複する駆動処理の組み合わせを、他の演出装置に係る駆動処理の組合せで構成されるものとしても良い。すなわち、音駆動処理と役物駆動処理、ランプ駆動処理と役物駆動処理、の組合せであっても良い。但し、当該方法は、上記組合せ以外の駆動処理を実行する際に最も瞬間的な電力消費量が高くなるような場合に、好適である。すなわち、遊技機の開発において、各演出装置のうちの何れか最も瞬間的な電力消費量が高くなる演出装置の駆動処理を、他の駆動処理と別に、重複しないように実行するように構成するものである。このように構成することにより、柔軟な開発を促進し、開発の結果、適宜組合せを変化させ、瞬間的な電力消費量の効果的な分散化を図ることができ、電力消費量の瞬間的な上昇を回避することが可能となる。
【0088】
また、上述した実施例では、遊技盤1および前枠52等に配設された、各種LED、ランプ26を、一括してランプ駆動処理にて処理した例を示したが、これに限定する必要はない。すなわち、発光部材としての各種LED、ランプ26を、遊技盤1および前枠52に設けられたもので分類し、例えば、盤用LED、ランプおよび枠用LED、ランプで構成して、それぞれ、盤用ランプ駆動処理、枠用ランプ駆動処理を備えても良い。このように構成することにより、演出装置の種類を細分化して、より瞬間的な電力消費量の分散化を図ることができる。また、一般的には、盤面上に設けられた発光部材の電力消費量は比較的高くなる傾向にあるため、可動役物の電力消費量を上回るような場合も想定される。そのような場合、盤用ランプ駆動処理と役物駆動処理とが同時期に作動しないように構成すれば良い。さらに、盤用ランプ駆動処理と役物駆動処理の実施時期を入れ替えても良い。
【0089】
さらに、上述した実施例では、遊技機としてパチンコ機50に限定した例を示したが、電源投入処理やRAMクリア処理に伴って、各種演出装置(発光部材、音声出力装置、および可動部材)の駆動態様によりこれらを報知する機能を備える遊技機であれば、パチンコ機に限定せず、回胴式遊技機、アレンジボール遊技機および、じゃん球遊技機等の他の遊技機であっても良い。
【符号の説明】
【0090】
10: 可動役物(可動部材)
26: 各種LED、ランプ(発光部材)
50: パチンコ機(遊技機)
66: スピーカ(音声出力装置)
67: 演出ボタン(検査状態移行操作手段)
80: 主制御装置(遊技制御手段)
83: サブ統合制御装置(演出制御手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14