特許第5934970号(P5934970)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5934970
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月15日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20160602BHJP
【FI】
   A63F7/02 320
【請求項の数】5
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-152265(P2014-152265)
(22)【出願日】2014年7月25日
(65)【公開番号】特開2016-29984(P2016-29984A)
(43)【公開日】2016年3月7日
【審査請求日】2014年12月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】特許業務法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】小宮 誉
(72)【発明者】
【氏名】上野 雅博
【審査官】 小河 俊弥
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−082104(JP,A)
【文献】 特開2011−120840(JP,A)
【文献】 特開2014−046097(JP,A)
【文献】 特開2015−062465(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示領域が設けられるとともに表示領域の周囲に遊技領域が設けられた遊技盤と、
前記遊技領域に配設されるとともに開閉可能な開閉扉が付設された役物装置と、
前記遊技領域の一方側に遊技球を発射した時に入球可能な第1入球口と、
前記遊技領域の他方側に遊技球を発射した時に入球可能な第2入球口と、
前記遊技領域の一方側に遊技球を発射した方が遊技者にとって有利な第1遊技状態と、
前記遊技領域の他方側に遊技球を発射した方が遊技者にとって有利な第2遊技状態と、
前記役物装置の開閉扉につき第1開放時間又は第1開放時間よりも長い第2開放時間を設定する開放時間設定手段と、
前記遊技領域における遊技状態に基づき、遊技状態に対応する遊技球の打出方向を報知する遊技球打出方向報知手段とを備え、
前記第1入球口への遊技球の入球が検出されることに対応して、前記開放時間設定手段を介して設定された第1開放時間又は第2開放時間に応じて前記役物装置の開閉扉を開放させ、
前記遊技球打出方向報知手段は、前記第1遊技状態において前記第2入球口への遊技球の入球を検出した際に前記遊技領域の一方側に遊技球を発射すべき旨を報知する一方、第1遊技状態において前記開放時間設定手段により役物装置の開閉扉に第2開放時間が設定されているときには、前記第2入球口への遊技球の入球を検出しても前記遊技領域の一方側に遊技球を発射すべき旨を報知しないことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記開放時間設定手段により役物装置の開閉扉に設定された第2開放時間が経過した後に、前記遊技領域の一方側に遊技球を発射すべき旨を報知することを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記報知を禁止する禁止時間を設定する禁止タイマ手段を備え、
前記開放時間設定手段により前記開閉扉に第1開放時間が設定されている場合、前記禁止タイマ手段に設定されている禁止時間をクリアすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記報知を禁止する禁止時間を設定する禁止タイマ手段を備え、
前記開放時間設定手段により前記開閉扉に対して第2開放時間が設定されている場合、前記禁止タイマ手段には、前記報知を禁止する禁止時間として前記第2開放時間が前記禁止タイマ手段に設定され、前記禁止タイマ手段に設定された禁止時間が経過する前に前記第2入球口への遊技球の入球を検出しても前記遊技領域の一方側に遊技球を発射すべき旨を報知しないことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の遊技機。
【請求項5】
前記開放時間設定手段により第2開放時間が設定されている場合、前記禁止タイマ手段には、前記開閉扉を閉鎖した後に禁止時間として閉鎖後時間が設定されることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技盤の遊技領域における遊技状態に基づき、その遊技状態に適合する遊技球の打出方向を報知するように構成された遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、パチンコ機等の遊技機において、遊技盤に配設された各種入賞装置と遊技状態との関係に対応して、遊技状態に適合する遊技球の打出方向を報知するように構成されたパチンコ機が種々提案されている。
【0003】
例えば、特開2013−208196号公報には、作動口への遊技球の入賞に基づき大入賞口の開閉モードに移行した場合に、大入賞口が遊技領域の右側領域に設けられていることに対応して、遊技球を遊技領域の右側領域に向けて発射すべきことを表示領域に報知するように構成した遊技機が提案されている。かかる遊技機では、遊技状態に対応して遊技球の発射操作の調整を行うようにしているので、遊技の単調化を抑制できるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−208196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に係る遊技機を含めて一般の遊技機では、遊技盤の遊技領域の下方に始動口を配置するとともに、始動口の右側に大入賞口を配置し、また、始動口の下方に開閉扉を有する電動役物(入賞)装置を配置するとともに、遊技領域の両側に、遊技球が通過するゲートを配置している。
【0006】
この種の遊技機では、遊技球が始動口に入賞すると大当たり抽選を行い、大当たり抽選の結果大当たり入賞を獲得すると大入賞口を開放し、また、遊技球がゲートを通過することに基づき抽選を行い、抽選結果に対応して開閉扉の開放時間を変えて開閉を行うように構成されている。
【0007】
前記した遊技機では、一般に、遊技開始当初においては、遊技球を始動口に入賞させるには遊技球を遊技領域の左側に打ち出した方が遊技者にとって有利である場合が多いことから、遊技球の打出方向としては、左打出方向が推奨される。かかる打出方向を表示領域に表示する等して報知される場合もある。
【0008】
これに対して、遊技球が始動口に入賞して大当たり入賞を獲得した場合には、大入賞口が遊技領域の右側に配置されており遊技球を遊技領域の右側に打ち出した方が遊技者に有利であることから、遊技球の打出方向として推奨される右打出方向が表示領域に表示される等して打出方向の報知が行われる。
【0009】
しかしながら、一般のパチンコ遊技機では、電動役物の開閉扉が開放された場合に、遊技球の打出方向が左打出方向及び右打出方向のいずれであっても遊技球を開閉扉に入球させることは可能であり殆ど支障がなく、また、パチンコ遊技機の機種によっては、遊技領域における電動役物装置の配置関係に基づき、電動役物の開閉扉が開放された場合に、遊技球を遊技領域の右側に打ち出した方が遊技者にとって有利な場合がある。
【0010】
前記した種類のパチンコ遊技機では、左打出方向が有利な遊技状態において、電動役物の開閉扉が開放された際に、遊技機を熟知した遊技者が自己の意思に従って遊技領域の右側に遊技球を打ち出す場合があるが、かかる場合において、推奨される左打出方向を報知すると、却って遊技者に不快感を与えてしまう虞がある。
【0011】
本発明は前記従来技術における問題点を解消するためになされたものであり、役物装置の開閉扉が開放されている間に、遊技球を開閉扉から役物装置に入球させるにつきいずれの方向に遊技球を打ち出しても支障がないときには、遊技球打出し方向の報知を禁止することにより、遊技者に不快感を与えることなく遊技を楽しむことが可能な遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するため請求項1に係る遊技機は、表示領域が設けられるとともに表示領域の周囲に遊技領域が設けられた遊技盤と、前記遊技領域に配設されるとともに開閉可能な開閉扉が付設された役物装置と、前記遊技領域の一方側に遊技球を発射した時に入球可能な第1入球口と、前記遊技領域の他方側に遊技球を発射した時に入球可能な第2入球口と、前記遊技領域の一方側に遊技球を発射した方が遊技者にとって有利な第1遊技状態と、前記遊技領域の他方側に遊技球を発射した方が遊技者にとって有利な第2遊技状態と、前記役物装置の開閉扉につき第1開放時間又は第1開放時間よりも長い第2開放時間を設定する開放時間設定手段と、前記遊技領域における遊技状態に基づき、遊技状態に対応する遊技球の打出方向を報知する遊技球打出方向報知手段とを備え、前記第1入球口への遊技球の入球が検出されることに対応して、前記開放時間設定手段を介して設定された第1開放時間又は第2開放時間に応じて前記役物装置の開閉扉を開放させ、前記遊技球打出方向報知手段は、前記第1遊技状態において前記第2入球口への遊技球の入球を検出した際に前記遊技領域の一方側に遊技球を発射すべき旨を報知する一方、第1遊技状態において前記開放時間設定手段により役物装置の開閉扉に第2開放時間が設定されているときには、前記第2入球口への遊技球の入球を検出しても前記遊技領域の一方側に遊技球を発射すべき旨を報知しないことを特徴とする。
【0013】
請求項2に係る遊技機は、請求項1の遊技機において、前記開放時間設定手段により役物装置の開閉扉に設定された第2開放時間が経過した後に、前記遊技領域の一方側に遊技球を発射すべき旨を報知することを特徴とする。
【0014】
請求項3に係る遊技機は、請求項1又は請求項2の遊技機において、前記報知を禁止する禁止時間を設定する禁止タイマ手段を備え、前記開放時間設定手段により前記開閉扉に第1開放時間が設定されている場合、前記禁止タイマ手段に設定されている禁止時間をクリアすることを特徴とする。
【0015】
請求項4に係る遊技機は、請求項1又は請求項2の遊技機において、前記報知を禁止する禁止時間を設定する禁止タイマ手段を備え、前記開放時間設定手段により前記開閉扉に対して第2開放時間が設定されている場合、前記禁止タイマ手段には、前記報知を禁止する禁止時間として前記第2開放時間が前記禁止タイマ手段に設定され、前記禁止タイマ手段に設定された禁止時間が経過する前に前記第2入球口への遊技球の入球を検出しても前記遊技領域の一方側に遊技球を発射すべき旨を報知しないことを特徴とする。
【0016】
請求項5に係る遊技機は、請求項3又は請求項4に記載の遊技機において、前記開放時間設定手段により第2開放時間が設定されている場合、前記禁止タイマ手段には、前記開閉扉を閉鎖した後に禁止時間として閉鎖後時間が設定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る遊技機では、第1入球口への遊技球の入球が検出されることに対応して、開放時間設定手段を介して設定された第1開放時間又は第2開放時間に応じて役物装置の開閉扉を開放させ、遊技球打出方向報知手段は、第1遊技状態において、第2入球口への遊技球の入球を検出した際に遊技領域の一方側に遊技球を発射すべき旨を報知する一方、第1遊技状態において開放時間設定手段により役物装置の開閉扉に第2開放時間が設定されているときには、第2入球口への遊技球の入球を検出しても遊技領域の一方側に遊技球を発射すべき旨を報知しないように構成したので、遊技者は自己の意思に従って遊技を実行することが可能となる。また、遊技者の意思に反する報知が禁止され、遊技者に不快感を与えることなく遊技を楽しむことが可能となる。
【0018】
請求項2に係る遊技機では、開放時間設定手段により役物装置の開閉扉に設定された第2開放時間が経過した後に、遊技領域の一方側に遊技球を発射すべき旨を報知するように構成されているので、第2開放時間が経過した後には通常の打出方向を報知して遊技者の一助にすることが可能となる。
【0019】
請求項3に係る遊技機では、報知を禁止する禁止時間を設定する禁止タイマ手段を備え、開放時間設定手段により開閉扉に第1開放時間が設定されている場合、禁止タイマ手段に設定されている禁止時間をクリアするので、第1開放時間が極めて短い場合には打出方向の報知を禁止することなく、その後の遊技において通常の打出方向の報知を行うことが可能となる。
【0020】
請求項4に係る遊技機では、報知を禁止する禁止時間を設定する禁止タイマ手段を備え、開放時間設定手段により開閉扉に対して第2開放時間が設定されている場合、禁止タイマ手段には、報知を禁止する禁止時間として第2開放時間が禁止タイマ手段に設定され、禁止タイマ手段に設定された禁止時間が経過する前に第2入球口への遊技球の入球を検出しても遊技領域の一方側に遊技球を発射すべき旨を報知しないように構成されているので、開閉扉の開放時間が比較的長い第2開放時間である場合には、開閉扉の開放時間と禁止タイマ手段による禁止時間とが同じになり、開閉扉が開放されている間には打出方向の報知は行われなくなり、遊技者は自己の意思に従って遊技を実行することが可能となる。また、遊技者の意思に反する報知が禁止され、遊技者に不快感を与えることなく遊技を楽しむことが可能となる。
【0021】
請求項5に係る遊技機では、開放時間設定手段により第2開放時間が設定されている場合、禁止タイマ手段には、開閉扉を閉鎖した後に禁止時間として閉鎖後時間が設定されるので、開閉扉が閉鎖された後、遊技領域の他方側に残存する遊技球が第2入球口に入球した場合においても、閉鎖後時間が経過するまでは遊技領域の一方側に遊技球を発射すべき旨の報知を禁止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本実施形態に係るパチンコ遊技機の正面図である。
図2】遊技盤の正面図である。
図3】中央電動役物装置の斜視図である。
図4】中央電動役物装置の分解斜視図である。
図5】パチンコ遊技機の背面図である。
図6】パチンコ遊技機の制御系を示すブロック図である。
図7】サブ制御基板で行われるサブ制御メイン処理のフローチャートである。
図8】受信割込み処理のフローチャートである。
図9】2msタイマ割込み処理のフローチャートである。
図10】10msタイマ割込み処理のフローチャートである。
図11】コマンド解析処理のフローチャートである。
図12】中央電動役物装置オープニング処理のフローチャートである。
図13】中央電動役物装置開放処理のフローチャートである。
図14】中央電動役装置物閉鎖処理のフローチャートである。
図15】コマンド解析処理のフローチャートである。
図16】コマンド解析処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る遊技機について、本発明をパチンコ遊技機に具体化した実施形態に基づき図面を参照しつつ説明する。
先ず、本実施形態に係るパチンコ遊技機の基本構成について図1図2に基づき説明する。
【0024】
図1において、パチンコ遊技機1の中央部には、遊技盤設置領域2が設けられており、かかる遊技盤設置領域2の背後には、後述する遊技盤3が設置される。パチンコ遊技機1の遊技盤設置領域2より下方には、上皿4及び下皿5が上下2段にして設けられている。下皿5の右端部には操作ノブ6が配設されており、かかる操作ノブ6を操作することにより上皿4に貯留された遊技球が遊技盤3に向けて弾き出される。
【0025】
尚、上皿4の上部には、押下操作部材7が配置されている。この押下操作部材7の内部にはスイッチが内蔵されており、押下操作部材7は、ゲームの進行に伴い所定のゲームシーンで遊技者により押下操作される。
【0026】
図2に示すように、遊技盤3には、ガイドレール8で囲まれたほぼ円形の表示領域9が形成され、この表示領域9の略中央部にはセンター役物10が配設されている。センター役物10の内側には、表示装置11が配設されている。
【0027】
表示領域9の周囲には遊技領域Pが設けられている。かかる遊技領域Pにおいて、表示装置11の左側辺とガイドレール8との間には、風車12が設けられている。表示装置11の下方には、中央電動役物装置Aが配設されている。中央電動役物装置Aには、始動入賞口13、下側入賞口14等が設けられている。中央電動役物装置Aについては、後述する。
また、中央電動役物装置Aの斜め右上方には、大入賞口15が設けられており、更に中央電動役物装置Aの下方位置には、外れ球受け入れ口16が設けられている。
【0028】
表示領域9に配設されたセンター役物10の左側には、左始動ゲート17が設けられている。また、大入賞口15の上部には、右始動ゲート17Aが設けられている。さらに、遊技領域P全体に亘って、複数の釘が起立している。
ここに、左側から中央電動役物装置Aに至る間の遊技領域Pには、図2に示すように、左側の遊技領域Pの上方から落下する遊技球を風車12から中央電動役物装置Aの始動入賞口13まで案内可能な釘列P1が設けられており、従って、遊技球を始動入賞口13に入賞させるためには、遊技者にとっては、所謂、左打ちが有利となる。尚、釘列P1の下側を移動する遊技球の多くは、ガイドレール8上に落下し、従って、このような遊技球が中央電動役物装置Aの扉部材18まで至る可能性は低い。
これに対して、右側の遊技領域Pに設けられる釘の数は少なく、右側の遊技領域Pを経て下方に落下する遊技球の多くは、各釘及び構造物の壁に誘導されて、大入賞口15まで案内されるとともに中央電動役物装置Aまで案内される可能性は高い。これより、大当たり入賞を獲得して大入賞口15が開放される際には、遊技者にとって、所謂、右打ちが有利となる。また同様に、中央電動役物装置Aの扉部材18が開放されている際においても、遊技者にとって、所謂、右打ちが有利となる。
【0029】
次に所要の各部位について詳説する。
左始動ゲート17及び右始動ゲート17Aは、門形構造をなしかつ検出スイッチ(ゲートセンサ)を内蔵し、左始動ゲート17及び右始動ゲート17Aを通過した遊技球が検出スイッチにて検出される。そして、その検出信号に基づいて、表示装置11に設けられた普通図柄表示領域の図柄が変動表示される。尚、普通図柄の変動表示の結果が当たりであれば、後述するように、中央電動役物装置Aに設けられる扉部材18が開放される。
また、左始動ゲート17は、遊技球が左打ちであることを検出する際に使用され、遊技球の左始動ゲート17の通過が検出された場合、左打ちが行われているものと認識される。同様に、右始動ゲート17Aは、遊技球が右打ちであることを検出する際に使用され、遊技球の右始動ゲート17Aの通過が検出された場合、右打ちが行われているものと認識される。
【0030】
始動入賞口13は、所謂、ポケット構造をなして上方に向かって開口しており、かかる始動入賞口13の開口幅は、遊技球が約1つ入る大きさになっている。始動入賞口13に遊技球が入賞すると、始動入賞口13内に設けた検出スイッチが遊技球を検出し、その検出信号に基づいてカウンタから乱数が取得されるとともにその取得された乱数と大当たり抽選テーブルとを参照して大当たり抽選が行われる。かかる大当たり抽選の結果に基づいて表示装置11が特別図柄を変動表示する。なお、表示装置11が図柄を変動表示している間に、始動入賞口13に入賞した入賞球は、例えば、4個まで累積カウントされる。
【0031】
また同様に、遊技球が始動入賞口13に入賞した際には、別のカウンタから乱数が取得されるとともにその取得された乱数と確率変動(以下、確変と略記する)モード抽選テーブルとを参照して確変モード(高確率状態)に移行するかどうかの抽選が行われる。この抽選により確変モードへの移行を獲得すると、確変モードへの移行が確定された後に、その旨が表示装置11に表示される。
更に、前記確変モード同様、遊技球が始動入賞口13に入賞した際には、更に別のカウンタから乱数が取得されるとともにその取得された乱数と時間短縮(以下、時短と略記する)モード抽選テーブルとを参照して時短モードに移行するかどうかの抽選が行われる。この抽選により時短モードへの移行を獲得すると、時短モードへの移行が確定された後に、その旨が表示装置11に表示される。
【0032】
下側入賞口14には、下側入賞口14を開閉する扉部材18(詳細な構成については後述する)が回動可能に設けられており、かかる扉部材18は、遊技球が左始動ゲート17又は右始動ゲート17Aを通過したことが検出された際に、開閉機構を介して下側入賞口14を開放する。
【0033】
大入賞口15は、横長に形成されて、常には、可動扉19にて閉鎖されている。そして、前記のように大当たりが確定することによって、遊技盤3の裏に設けたソレノイドが駆動され、可動扉19が所定期間に亘って前側に倒れ、大当たり遊技が開始される(図2の状態)。これにより、大入賞口15が開放され、可動扉19を案内にして、大入賞口15に多くの遊技球が入賞可能になる。ここで、可動扉19が、開放してから閉じるまでの間を「ラウンド」と称すると、1つのラウンドは、可動扉19の開放時間が30秒に達したか、又は、大入賞口15に遊技球が10個入賞したか、の何れかの条件が先に満たされた場合に終了する。尚、本実施形態では、1回の「大当たり遊技」は、最大で16ラウンドまで継続して行われる。また、本実施形態では、実行可能な残りのラウンド数は、表示装置11のラウンド表示部にて表示される。
【0034】
表示装置11は、センター役物10の後端面に、図示しない液晶モジュール(詳細には、TFT−LCDモジュール)を組み付けてなる。
表示装置11には、通常は、左、中、右の3つの特別図柄が、横並びに表示されている。これら各特別図柄は、例えば、「0」〜「11」の数字を表記した複数種類のもので構成されており、通常は、各特別図柄ごとに、所定の種類のものが、確定表示されている。そして、始動入賞口13に遊技球が入賞したときに、各特別図柄が、上下方向にスクロールして変動表示され、所定時間後に、例えば、左、中、右の順で各特別図柄が停止表示される。このとき、例えば、全ての特別図柄が同じ図柄、即ち、ぞろ目になった場合に、「大当たり遊技」が開始され、可動扉19が開かれる。
【0035】
特別図柄の表示領域の左下隅には、普通図柄表示領域が設けられている。この普通図柄表示領域は、左始動ゲート17及び右始動ゲート17A内に設けた検出スイッチが遊技球の通過を検出したときに、例えば、「0」〜「9」までの数字を所定期間に亘って変動表示した後、所定の数字を確定表示する。そして、確定表示された数字の種類に基づき、下側入賞口14に付設された扉部材18が所定時間に亘って横に倒される。ここに、扉部材18が開放される時間としては、数字の種類と開放時間とを対応させたテーブルに基づき、長開放時間として6秒と4秒の2種類が設定され、短開放時間として80m秒が設定されている。尚、普通図柄表示領域に表示される数字の種類の内には、外れとして扉部材18が開放されない場合も設定されている。
また、普通図柄表示領域が変動表示している間に始動ゲート17、17Aを通過した遊技球は、例えば、4つまで累積カウントされ、例えば、図示しないLEDの点灯数で表示される。
【0036】
続いて、中央電動役物装置Aの構成について、図3図4に基づいて説明する。中央電動役物装置Aは、基本的に、役物装置20及び役物装置20が取り付けられるケース21とから構成される。
役物装置20は、図3図4に示すように、平板部22の表面側上部に形成された始動入賞受け部23と、始動入賞受け部23の下方で下側入賞口14の開閉を行う扉部材18の前面側に配置される下側入賞カバー部24とが一体に構成されてなる。
【0037】
始動入賞受け部23の上部には、始動入賞口13が開口されており、始動入賞口13に入球した遊技球は、平板部22にて始動入賞受け部23の背面側に形成された遊技球通路25を通過した後パチンコ遊技機1の内部に案内される。
【0038】
下側入賞カバー部24の背面側には、凹状溝26(図4参照)が形成されており、また、凹状溝26の左右両側には、遊技球案内傾斜面27、27が形成されている。凹状溝26は、扉部材18との間で遊技球の通過路を形成し、具体的に、扉部材18が下側入賞口14を閉鎖している状態において、遊技球案内傾斜面27、27を案内される遊技球は、扉部材18と凹状溝26とで形成される通過路を通過し、最終的に外れ球受け入れ口16からパチンコ遊技機1の内部に回収される。
【0039】
中央電動役物装置Aを構成するケース21は、図示しない上ケースと下ケースとから構成され、上ケースと下ケースとの間には、扉作動機構が収納される収納部が形成されている。ケース21の前端部(図3図4中右側端部)には、下側入賞口14が開口しており、かかる下側入賞口14の前面には扉部材18が配置されている。
【0040】
図5に示すように、パチンコ遊技機1の背面には、各種制御基板を覆うケースが設けられている。具体的には、パチンコ遊技機1の背面中央には、主制御基板40を収納する主制御基板ケース42が設けられ、この主制御基板ケース42の上方には、音声制御基板60を収納する音声制御基板ケース61、サブ制御基板50を収納するサブ制御基板ケース51、図柄制御基板55を収納する図柄制御基板ケース56が設けられている。更に、各制御基板ケース42、61、51、56の下方には、電源基板を収納する電源基板ケース80、払出制御基板65を収納する払出制御基板ケース68が備えられている。各制御基板は、電源制御基板から電源供給を受けて作動する。
【0041】
次に、パチンコ遊技機1における制御系について、図6を参照しつつ詳細に説明する。
【0042】
主制御基板40は、遊技情報に従って遊技を制御すると共に、遊技情報を記憶する記憶手段を備えた遊技制御装置に相当し、CPU41、RAM、ROMおよび複数のカウンタを備えたマイクロコンピュータを少なくとも備えている。かかる主制御基板40は、サブ制御基板50、払出制御基板65と接続され、また、中継回路を介して始動口センサ(始動入賞口13に配置される)、ゲートセンサ(始動ゲート17、17Aに配置される)等と接続されている。
【0043】
CPU41は、制御部、演算部、各種カウンタ、各種レジスタ、各種フラグ等を備え、演算制御を行う他、大当たりや小当たり(下側入賞口14の扉部材18の開放を行う普通図柄当たり)に係る乱数等も生成し、又、各制御基板に対して制御コマンドを出力可能に構成されている。
【0044】
そして、主制御基板40のRAMは、始動口センサで検出された特別図柄保留球数及び下側入賞口センサ(下側入賞口14に配置される)で検出された普通図柄用保留球数の記憶領域や、CPU41で生成される各種乱数値用の記憶領域、各種データを一時的に記憶する記憶領域やフラグ、CPU41の作業領域を備えている。尚、特別図柄保留級数の記憶領域と、普通図柄用保留球数の記憶領域は、主制御基板40のRAMに個別に形成されており、それぞれ、最大4個までの保留を記憶するように構成されている。主制御基板40のROMは、遊技上の制御プログラムや制御データと共に、大当たりや小当たりの数値等を記憶している。尚、主制御基板40は、電源基板から電源供給を受けて作動する。
【0045】
サブ制御基板50は、CPU、ROM、RAM、複数のカウンタを備えたマイクロコンピュータと、前記主制御基板40とを結ぶ入出力回路と、図柄制御基板55、音声制御基板60やランプ制御回路とを結ぶ入出力回路を備えている。サブ制御基板50は、主制御基板40から出力された制御信号に従って遊技の制御を行う。主制御基板40からの制御信号には、表示装置11における特別図柄表示部に対する変動データやランプ装置に対する制御信号等が含まれ、その制御信号の内容に合わせて遊技の制御を行っている。
【0046】
サブ制御基板50のROMは、制御用のプログラムやデータ定数、表示装置11の特別図柄表示部での演出のデータ等を記憶している。サブ制御基板50のRAMは、各種データの記憶領域とCPUによる作業領域を有している。ランプ制御回路は、左及び右サイドランプ等のランプ装置と接続されており、サブ制御基板50を介して、ランプ制御回路に送信された制御信号によって、ランプ装置の作動を制御する。サブ制御基板50は、電源基板から電源供給を受けて作動する。
また、サブ制御基板50には、報知タイマTM1及び報知禁止タイマTM2が接続されている。報知タイマTM1は、前記したように、遊技球が左始動ゲート17、右始動ゲート17Aを通過した際に行われる普通図柄の抽選結果に基づき、中央電動役物装置Aの扉部材18に対して、ショート開放時間として80m秒、長開放時間時間として4秒及び6秒の内から1つの時間を設定する際に使用される。報知禁止タイマTM2は、後述するように、報知タイマTM1に設定されている扉部材18の開放時間に応じて、4秒又は6秒の報知禁止時間を設定する際に使用される。
【0047】
図柄制御基板55は、CPU、ROM、RAMを備えたマイクロコンピュータと、当該マイクロコンピュータとサブ制御基板50を結ぶ入力回路と、マイクロコンピュータと表示装置11を結ぶ出力回路等で構成され、サブ制御基板50から出力される制御信号に基づいて、表示装置11における表示の制御を行う。図柄制御基板55のROMは、表示制御用のプログラムを記憶している。図柄制御基板55は、サブ制御基板50からの制御信号に基づいて、ROMから所定の表示制御データを読み出し、RAMの記憶領域で制御用データを生成してVDP(図示せず)に出力する。VDPは、CPUからの指令に基づいてROMから必要なデータを読み出し、表示画像のマップデータを作成し、VRAMに格納する。VRAMに格納記憶された画像データは、出力回路に備えるD/A変換回路にてRGB信号に変換されて特別図柄表示部に出力される。
【0048】
音声制御基板60は、配線等の電気的接続手段により、主制御基板40と接続されており、主制御基板40から出力された制御信号に基づいてスピーカから発する音声を制御する。即ち、音声制御基板60は、サブ制御基板50から出力される制御信号により音声信号を合成し、アンプに出力する。アンプは、音声信号を増幅してスピーカに出力する。
【0049】
払出制御基板65は、CPU、ROM、RAMを備えたマイクロコンピュータを有し、配線等による電気的接続手段によって、主制御基板40と、貸球払出装置66と、賞球払出装置67と接続されている。払出制御基板65は、主制御基板40から出力される制御信号を受信して、貸球払出装置66による遊技球の貸出、賞球払出装置67による賞球の払出に係る制御を実行する。払出制御基板65は、電源基板から供給される電源によって作動する。払出制御基板65のROMは、制御用のプログラムを記憶している。払出制御基板65のRAMは、種々の入賞口への入賞検出に基づいて、賞球払出装置67により払い出される賞品球(遊技球)の払出個数を、一の入賞球の検出に対する払出個数毎に記憶可能となっている。発射制御基板70は、発射装置30における発射モータの制御を行う。
【0050】
電源基板は、パチンコ遊技機1の外部より供給される主電源からパチンコ遊技機1に適する所定電圧の遊技機用電源を生成して、主制御基板40やサブ制御基板50、払出制御基板65等に供給する。主電源は、遊技店側で所定の電圧(例えば、直流(AC)24V)に変換されて供給される。
【0051】
続いて、サブ制御基板50において行われる各種の制御処理について図7乃至図16に基づいて説明する。先ず、サブ制御メイン処理について図7に基づき説明する。
【0052】
サブ制御基板50が行うサブ制御メイン処理では、図7に示すように、まずステップ(以下、Sと略記する)1にてCPU初期化処理が行われる。詳しくは、スタックの設定、CPUの設定、SIO、CTCの設定等が行われる。そして、電源断信号がONで、かつ、サブ制御基板50のRAMの内容が正常であるか否かの判断が行われる(S2)。電源断信号がONでない、または、RAMの内容が正常でない場合(S2:NO)には、RAMの初期化を行う(S3)。その後、ウォッチドッグタイマカウンタ1(2ms用)、ウォッチドッグタイマカウンタ2(10ms用)の初期化を行う(S4)。尚、電源信号がONの場合(S2:YES)には、直ちにS4に移行する。
ウォッチドッグタイマカウンタの初期化後、割込みを禁止した上で(S5)、各種演出や各種図柄乱数等の更新処理を行う(乱数シード更新:S6)。更新処理後、コマンド送信処理(S7)、ウォッチドッグタイマカウンタ1の初期化処理(S8)を行った後、割込みを許可する(S9)。このように割込みを許可した後、ループ処理が行われる。このループ処理では、受信割込み処理(S10)、2msタイマ割込み処理(S11)、および10msタイマ割込み処理(S12)が行われる。
【0053】
ここに、図8に示す受信割込み処理(S10)は、主制御基板40からのコマンド(制御信号)を受信するための処理である。受信割込み処理では、まず上記主制御基板40からのストローブ(STB)信号のONが確認され(S13)、ストローブ信号がON、すなわち外部INT入力部にストローブ信号が入力されると(S13:YES)、上記主制御基板40から出力されたコマンド(制御信号)の受信およびRAMへの格納が行われる(S14)。ここで主制御基板40から受信するコマンドには、各種大当たりに対応した演出を実行するための変動コマンド等が含まれる。一方、ストローブ信号がONになっていなければ(S13:NO)、その時点でこの受信割込み処理(S10)が終了する。
【0054】
図9に示す2msタイマ割込み処理(S11)は、10msタイマ割込み処理より優先して行われる。入力処理(S15)では、操作ボタンの操作によるエッジデータやレベルデータ(スイッチデータ)の作成を行う。ランプデータデータ出力処理(S16)では、ランプ点灯パターンや音声パターンなどを2ms毎に作成して出力する。駆動処理(S17)では、駆動物(役物)を駆動するための制御データを作成して出力する。ウォッチドッグタイマカウンタ処理(S18)では、ウォッチドッグタイマカウンタ1を初期化する。
【0055】
図10に示す10msタイマ割込み処理(S12)では、メインコマンド解析処理(S19)として、受信割込み処理で主制御基板40から受信したコマンド(制御信号)を解析し、コマンドに対応した処理を行う。
【0056】
メインコマンド解析処理(S19)が行われた後、その他の処理(S20)が行われ、更に報知タイマ減算処理が行われる(S21)。報知タイマ減算処理では、遊技状態に対応させて遊技球の打出方向を報知するについて、報知の進行に従って報知タイマTM1に設定された報知時間を減算していく処理である。
この後、出力するランプデータの作成を行うランプ処理(S22)が行われ、更にウォッチドッグタイマカウンタ2の初期化(S23)が行われる。これにより10msタイマ割込み処理が終了する。
【0057】
続いて、前記10msタイマ割込み処理で行われるメインコマンド解析処理(S19)の内、普通図柄及び中央電動役物装置(中央可変入賞装置A)について、図11に基づき説明する。
図11において、先ず、主制御基板40から受信したコマンドが普通図柄変動コマンドであるか否かが判断される(S24)。受信コマンドが普通図柄変動コマンドである場合(S24:YES)には、乱数抽選に基づき普通図柄変動パターンの決定処理が行われる(S25)。
受信コマンドが普通図柄変動コマンドでない場合(S24:NO)には、普通図柄停止コマンドあるか否かが判断される(S26)。受信コマンドが普通図柄停止コマンドである場合(S26:YES)には、普通図柄停止処理が行われる(S27)。
【0058】
受信コマンドが普通図柄停止コマンドでない場合(S26:NO)には、中央電動役物オープニングコマンドであるか否かが判断される(S28)。受信コマンドが中央電動役物オープニングコマンドである場合(S28:YES)には、後述する中央電動役物オープニング処理が行われる(S29)。
受信コマンドが中央電動役物オープニングコマンドでない場合(S28:NO)には、中央電動役物開放コマンドであるか判断される(S30)。受信コマンドが中央電動役物開放コマンドである場合(S28:YES)には、後述する中央電動役物開放処理が行われる(S31)。
【0059】
受信コマンドが中央電動役物開放コマンドでない場合(S30:NO)には、中央電動役物閉鎖コマンドであるか否かが判断される(S32)。受信コマンドが中央電動役物閉鎖コマンドである場合(S32:YES)には、後述する中央電動役物閉鎖処理が行われる(S33)。尚、受信コマンドが中央電動役物閉鎖コマンドでない場合(S32:NO)にはコマンド解析処理を終了する。
【0060】
続いて、前記S29にて行われる中央電動役物オープニング処理について図12に基づき具体的に説明する。
先ず、S25で決定された普通図柄変動パターンに対して普通図柄オープニングが設定される(S34)。次いで、普通図柄オープニングコマンドが送信され(S35)、更に普通図柄動作フラグがオープニングに設定される。
【0061】
S37においては、前記のように、遊技球が左始動ゲート17又は右始動ゲート17Aを通過することに基づく停止普通図柄の抽選の結果、中央電動役物装置Aの扉部材18の開放時間として、ショート開放、即ち、80m秒が設定されているかどうか判断される。扉部材18の開放時間として80m秒が設定されている場合(S37:YES)には、報知禁止タイマTM2に設定されている時間がクリアされる。これにより、扉部材18に対して設定されている開放時間が極めて短い場合には報知禁止タイマTM2の設定時間をクリアして、打出方向の報知を禁止することなく、その後の遊技において通常の打出方向の報知を行うことが可能となる。
【0062】
これに対して、中央電動役物装置Aの扉部材18の開放時間として、ショート開放が設定されていない場合(S37:NO)には、更に扉部材18の開放時間として長開放、即ち、最も長い長開放時間(6秒)が設定されているかどうか判断される(S39)。判断の結果、扉部材18の開放時間として長開放時間(6秒)が設定されている場合(S39:YES)には、報知禁止タイマTM2に対して禁止時間として長開放時間(6秒)が設定される(S49)。一方、扉部材18の開放時間として長開放時間(6秒)が設定されていない場合(S39:NO)には、報知禁止タイマTM2に対して、6秒よりも短い短開放時間(4秒)が設定される。
このように、扉部材の開放時間として、80m秒よりも長い時間(6秒、4秒)が設定されている場合には、報知禁止タイマTM2に対し報知禁止時間として、長い時間(6秒、4秒)が設定されるので、扉部材18の開放時間が長い場合には、扉部材18の開放時間と報知禁止タイマTM2による禁止時間とが同じになり、扉部材18が開放されている間には打出方向の報知は行われなくなり、遊技者は自己の意思に従って遊技を実行することが可能となる。
また、遊技者の意思に反する報知が禁止され、遊技者に不快感を与えることなく遊技を楽しむことが可能となる。
【0063】
S13にて行われる中央電動役物開放処理では、図13に示すように、普通図柄動作フラグが解放中に設定される(S42)。
【0064】
続いて、S33にて行われる中央電動役物閉鎖処理について、図14に基づき説明する。図14において、先ず、最終閉鎖コマンドが受信したかどうか判断される(S43)。最終閉鎖コマンドを受信した場合(S43:YES)には、普通図柄動作フラグが開放終了に設定される(S44)。一方、最終閉鎖コマンドを受信していない場合(S43:NO)には、普通図柄動作フラグが開放休止に設定される。
【0065】
普通図柄動作フラグが開放終了に設定された後(S44)、中央電動役物装置Aの扉部材18の開放時間として、ショート開放、即ち、80m秒が設定されているかどうか判断される(S46)。扉部材18の開放時間として80m秒が設定されている場合(S46:YES)には、処理を終了する。
これに対して、中央電動役物装置Aの扉部材18の開放時間として、ショート開放が設定されていない場合(S46:NO)には、扉部材18の閉鎖後に報知禁止タイマTM2に対して禁止時間として80m秒よりも長い閉鎖後時間(例えば、3秒)が設定される(S47)。
このように、中央電動役物閉鎖処理において、扉部材18の開放時間として短い80m秒が設定されていない場合、報知禁止タイマTM2には、扉部材18を閉鎖した後に禁止時間として閉鎖後時間が設定されるので、扉部材18が閉鎖された後、遊技領域Pの右側に残存する遊技球が右始動ゲート17Aに入球した場合においても、閉鎖後時間が経過するまでは左打出方向の報知を禁止することが可能となる。
【0066】
続いて、前記10msタイマ割込み処理で行われるメインコマンド解析処理(S19)の内、遊技球が始動入賞口13に入賞した場合のコマンド解析処理について図15に基づき説明する。
S48において、遊技状態が左打ちに有利な第1状態遊技状態にあるかどうか判断される。遊技状態が左打ちに有利な第1遊技状態である場合(S48:YES)には、そのまま処理を終了する。これに対して、遊技状態が左打ちに有利な第1遊技状態でない場合(S48:NO)には、即ち、右打ちが有利な第2遊技状態であるにも拘わらず始動入賞口13に入賞した場合には右打ちが推奨されることから、右打ち報知コマンドが送信され(S49)、これに基づき表示装置11に、遊技球の打出方向として右打ちが推奨される旨が表示される。
【0067】
次に、前記10msタイマ割込み処理で行われるメインコマンド解析処理(S19)の内、遊技球が右始動ゲート17Aを通過した場合のコマンド解析処理について図16に基づき説明する。
S50において、遊技状態が右打ちに有利な第2遊技状態であるかどうか判断される。遊技状態が右打ちに有利な第2遊技状態である場合(S50:YES)には、そのまま処理を終了する。これに対して、遊技状態が右打ちに有利な第2遊技状態でない場合(S50:NO)には、更に報知禁止タイマTM2の禁止設定時間が0でないかどうか判断される(S51)。報知禁止タイマTM2の禁止設定時間が0でなく、即ち、禁止時間が残存している場合には、打出方向の報知を禁止したまま処理を終了する。これに対して、報知禁止タイマTM2の禁止設定時間が0である場合(S51:NO)の場合には、遊技球の始動入賞口13への目指して左打ち報知コマンドを送信する(S52)。これに基づき、表示装置11に、遊技球の打出方向として左打ちが推奨される旨が表示される。
このように、中央電動役物装置Aの扉部材18に設定された開放時間が経過した後に、遊技球の打出方向として左打ちが推奨される旨が表示されるように構成されているので、報知禁止時間中には報知を禁止した上で、開放時間が経過した後には通常の打出方向を報知して遊技者の一助にすることが可能となる。
【0068】
このように、遊技球の打出方向につき、遊技状態が右打ちに有利な第2遊技状態であり、且つ、遊技球の打出方向の報知が左打ちである場合、報知禁止タイマTM2に設定された禁止時間が残存している間には、遊技球の打出方向は報知されないように構成したので、遊技者は自己の意思に従って遊技を実行することが可能となり、また、遊技者の意思に反する報知が禁止され、遊技者に不快感を与えることなく遊技を楽しむことが可能となる。
【0069】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、前記実施形態に係るパチンコ遊技機1においては、遊技球の打出方向を報知するについて、推奨される遊技球の打出方向を表示装置11の表示領域9に表示するように構成したが、これに限定されることなく、スピーカから音声により報知してもよい。
また、前記実施形態に係るパチンコ遊技機1では、右側の遊技領域Pに右始動ゲート17Aを配置し、遊技球が右始動ゲート17Aを通過することを検出して右打ち検知を行うとともに中央電動役物装置Aの扉部材18を開放させるように構成したが、これに限らず、例えば、右始動ゲート17Aとは別に遊技領域の右側に他のセンサを設けて、かかるセンサによる遊技球の検出に対応して右打ち検知を行ってもよい。
更に、前記実施形態では、左打ちが有利な遊技状態を第1遊技状態、右打ちが有利な遊技状態を第2遊技状態として記載したが、これに限らず、左打ちが有利な遊技状態を第2遊技状態、右打ちが有利な遊技状態を第1遊技状態としてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1 パチンコ遊技機
3 遊技盤
9 表示領域
17 左始動ゲート
17A 右始動ゲート
18 扉部材
40 主制御基板
50 サブ制御基板
A 中央可変入賞装置
P 遊技領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16