特許第5935034号(P5935034)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5935034-浮力空洞化落水発電装置 図000002
  • 特許5935034-浮力空洞化落水発電装置 図000003
  • 特許5935034-浮力空洞化落水発電装置 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5935034
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月15日
(54)【発明の名称】浮力空洞化落水発電装置
(51)【国際特許分類】
   F03B 17/06 20060101AFI20160602BHJP
   F03B 17/02 20060101ALI20160602BHJP
【FI】
   F03B17/06
   F03B17/02
【請求項の数】5
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2011-141179(P2011-141179)
(22)【出願日】2011年6月8日
(65)【公開番号】特開2012-255427(P2012-255427A)
(43)【公開日】2012年12月27日
【審査請求日】2013年12月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】596024677
【氏名又は名称】上田 文夫
(72)【発明者】
【氏名】上田 文夫
【審査官】 田谷 宗隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−048603(JP,A)
【文献】 特開2007−024021(JP,A)
【文献】 特開昭62−075079(JP,A)
【文献】 特表2007−536455(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03B 17/06
F03B 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中または海中に水中空洞化のためのハウジングを設置し、ハウジング内部を空気の浮力で空洞化し、ハウジング上部からハウジング外の水または海水をポンプにより取水しハウジング内に吐き出して滝状に落水させ、落水の落水圧で発電機の羽根車を回転させ発電機の動力源とする方法における水中空洞化ハウジングの装置。
【請求項2】
前記請求項1記載の水中空洞化ハウジングに空気吐出口を設置した装置。
【請求項3】
前記請求項1記載の水中空洞化ハウジングに空気吐出口と落水吐水口を設置した装置。
【請求項4】
前記請求項1記載の水中空洞化ハウジングに落水をうけて回転する発電用羽根車を設置した装置。
【請求項5】
前記請求項1記載の水中空洞化ハウジングに空気溜のある落水時浮力空気保存板を設置した装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電装置に関する利用分野である。
【背景技術】
【0002】
従来の発電装置に関する回転技術において、水中で浮力を利用し空間をつくり、上部からの落水で羽根車を回転させる装置はなかった。
【0003】
従来の発電装置を回転させる羽根車装置の技術は、ダムの水圧力、燃焼ガスの爆発力、沸騰水の蒸気圧力、風の流れによる風力を利用したものであり水中における浮力空間の落水を現実として利用したものはなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発電の回転装置として、水中または海中のハウジングの中に空気を送り込み浮力による水中空洞化を図り、その中で落水させることにより落水圧で回転する羽根車装置の実現である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明では上記課題を解決するために、
先ず、水中に水中空洞化ハウジング8を設置し、下側に空気吐出口4・5を設置した。
【0006】
さらに、下側の空気吐出口4・5から空気を吐出し、上昇する空気の浮力で水中空洞化ハウジング8内に空間ができるようにした。
【0007】
さらに、浮力によりつくられた空間で水中空洞化ハウジング8外の水または海水等を落水できるように、上部に落水取水口15と吐水口9を設置し、下部に落水をハウジング8外に排出できるように落水外部吐出口16を設置した。
【0008】
さらに、落水取水口15から取り入れた水または海水を落水吐出口9から落水しやすいように、前記の特許請求の範囲に含めないものの、図1図3において落水吐出用の渦巻きボンプとして送水羽根車等13を設置し、図2において落水吐出用送水装置等を設置できるようにした。
【0009】
さらに、落水を受け回転する羽根車1を設置し、この発明の基本的一連の作動として、水中または海中に水中空洞化のためのハウジングを設置し、ハウジング内部を空気の浮力で空洞化し、ハウジング上部からハウジング外の水または海水をポンプにより取水しハウジング内に吐き出して滝状に落水させ、落水の落水圧で発電機の羽根車を回転させ発電機の動力源とする方法が実現となった。
【0010】
また、水中以外の地上および地下でも当該装置を設置できるように水中および海中の代わりとして利用水循環経路11を設置した。
【0011】
また、図2のように、水中空洞化ハウジング8に空気溜18のある落水時浮力空気保存板19と落水を受けやすいように落水受け17を設置し、空気溜18のある落水時浮力空気保存板19を設置した。
【発明の効果】
【0012】
水中または海中の水中空洞化ハウジング8の中に空気を送り込み水中空洞化を図ると、空洞化内の水面としての第二水面14は水中空洞化ハウジング8内の空気が抜けない限りその中に水または海水を注入してもその高さを維持しようとする効果がある。
【0013】
そこで、水中空洞化ハウジング8の上部に設けた落水取水口15を通じ吐水口9から、図1図3のように発電機回転軸7の回転により回転する渦巻きポンプとしての落水吐出用送水羽根車等13により圧力をかけた水または海水を水中空洞化ハウジング8内に吐き出し落水させ、落水を落水圧で落水外部吐出口16を通じて外部へ出すと、水中空洞化ハウジング8内は空洞を維持し落水状態を続けようとする効果がある。
また、空気溜18のある落水時浮力空気保存板19を設置することにより、空洞化内部に水または海水が充満しても空気溜18による空気の空洞化内保存もできるようになった。
【0014】
さらに落水位置に羽根車1を設置し落水させると羽根車1が回転し、落水高を高くするほど落水圧が高く羽根車1の回転も高くなり発電機の動力源としての効果も高くなる。
【0015】
たとえば水中空洞化ハウジング8を直径5m、海水吐出口径2m、落水高100mの装置を考慮すると小規模ダムの効果を得ることができる。
【0016】
また利用水循環経路11を設置する事で海や湖以外の地上および地下あるいは狭小地でも当該装置が設置できるようになるとともに、地上に出した場合には発電機を下方に付けたり、利用水循環経路11を装置の内側、外周側およびコーナー側へ付けることができる等構造の自在性が高まった。
【0017】
さらに発生電源で空気吐出と落水吐出をおこなえば、その利用分について燃料のかからない燃料低減の発電となり、簡便な構造においては大幅な建設費低減となり、さらに大幅な燃料消費低減により二酸化炭素低減を通じて地球温暖化対策へもつながる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】 一実施例で基本構造図である。斜線の部分は装置の中心を通る垂直断面図であり、コンプレッサー装置は描いていない。
図2】 一実施例で水中空洞化ハウジングに落水時浮力空気保存板を主に描いた図である。斜線の部分は装置の中心を通る垂直断面図でありコンプレッサーおよび落水吐出羽根車ボンプ(送水羽根車等)は描いていない。
図3】 一実施例で基本構造図に利用水循環経路を設置した図である。斜線の部分は装置の中心を通る垂直断面図である。
【符号の説明】
【0019】
符号は各図共通で、
1=羽根車
2=回転軸(7へ回転伝達)
3=側板
4=空気吐出口(コンプレッサーホース先端)
5=空気吐出口(コンプレッサーホース先端)
6=発電モーター機
7=発電機回転軸
8=水中空洞化ハウジング
9=落水吐水口(水流調整口)
10=弁・逆止弁
11=利用水循環経路
12=整流板
13=落水吐出羽根車ボンプ(送水羽根車等)
14=浮力第二水面
15=落水取水口
16=落水外部吐出口
17=落水受け
18=空気溜
19=落水時浮力空気保存板
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
この発明を実施するための最良の形態は、図面のように水中または海中にハウジングを沈め内部に空気を吐き出し空洞をつくり、上部から水または海水を落水吐出用送水羽根車等のポンプで吐き出し滝状に落水させ、落水圧で発電機の羽根車を回し発電することである。
【0021】
次に設置場所を考慮し、当該装置の利用水を循環させるための利用水循環経路を設けることで地上および地下あるいは狭小地に設置することである。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は空気の浮力でできた水中空洞の利用であり、浮力を受けるハウジングと空気吐き出し用のエアーコンプレッサーおよび水または海水吐き出し用のポンプがあれば発電用の羽根車回転の動力源として利用ができ、現状の発電施設に比べ建設費の安価な発電用動力として利用ができる。
【0023】
落水高を垂直方向に高くする事で落水圧を加算的に上げることができ水平方向への設置範囲を狭めることができ、現状の発電施設に比べ広範囲な建設の必要がなく狭いところでの当該装置の利用ができる。
【0024】
利用水循環経路を設置する事で地上および地下でも当該装置の設置利用ができる。
【0025】
火力発電用の消費燃料に比べてハウジング内空気吐出用エアーコンプレッサーと上部の水または海水の吐き出しポンプの回転用燃料消費で済み、さらに発生電源で空気吐出用のエアーコンプレッサーを回しと落水吐出用のポンプをまわせば燃料のかからない発電となり、従来の大型複雑発電装置の建設費に比べ当該装置の簡便な構造においては大幅な建設費低減となり、火力発電に比べての二酸化炭素低減を通じて地球温暖化対策への利用につながるなど産業上の利用性が高くなる。
図1
図2
図3