(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5935049
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月15日
(54)【発明の名称】工作物を加工するための工具タレット及びこの種の工具タレットを備えた加工装置
(51)【国際特許分類】
B23Q 11/10 20060101AFI20160602BHJP
B23B 29/24 20060101ALI20160602BHJP
B23B 25/00 20060101ALI20160602BHJP
【FI】
B23Q11/10 A
B23Q11/10 E
B23B29/24 Z
B23B25/00 Z
【請求項の数】16
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-549828(P2013-549828)
(86)(22)【出願日】2012年1月20日
(65)【公表番号】特表2014-507291(P2014-507291A)
(43)【公表日】2014年3月27日
(86)【国際出願番号】EP2012050859
(87)【国際公開番号】WO2012098224
(87)【国際公開日】20120726
【審査請求日】2014年12月11日
(31)【優先権主張番号】102011003005.0
(32)【優先日】2011年1月21日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】516103127
【氏名又は名称】ファイブエムイー アイピー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 秀樹
(74)【代理人】
【識別番号】100091867
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 アキラ
(74)【代理人】
【識別番号】100202016
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 喬
(72)【発明者】
【氏名】メイダー モシェ イスラエル
(72)【発明者】
【氏名】ラング ハイナー
(72)【発明者】
【氏名】ホルン ヴォルフガング
(72)【発明者】
【氏名】ハウス ヴァルデマール
【審査官】
大山 健
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−023023(JP,A)
【文献】
特開平06−312301(JP,A)
【文献】
独国特許出願公開第19735420(DE,A1)
【文献】
独国特許出願公開第03702424(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 11/10
B23B 25/00
B23B 29/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(11;11a)、
該ハウジング(11;11a)に設置された駆動ユニット(14;14a)、
工具(20;20a)を保持するために周囲に配置された複数の工具ホルダー(19;19a)を有していて、前記駆動ユニット(14;14a)により回転軸(15)のまわりに複数の回転位置に前記ハウジング(11;11a)に対して回転可能な回転部(13;13a)、
極低温冷却媒体(5)を供給するために、少なくとも部分的に前記回転軸(15)と平行に配置された第1フィードライン(21;21a)、及び
前記極低温冷却媒体(5)を供給するために、前記回転軸(15)に対して少なくとも部分的に直角に配置された複数の第2フィードライン(50;50a)を有する、工作物を加工するための工具タレットにおいて、
前記第1フィードライン(21;21a)は、リニアアクチュエータ(25;25a)により少なくとも部分的に直線的に移動でき、
前記第1フィードライン(21;21a)は、第1位置において、前記極低温冷却媒体(5)を工具(20;20a)に移送するために前記第2フィードライン(50;50a)のうちの1つに連結し、
前記第1フィードライン(21;21a)は、第2位置において、前記回転部(13;13a)の回転位置を変更できるように前記第2フィードライン(50;50a)から分離する、ことを特徴とする工具タレット。
【請求項2】
前記第1フィードライン(21;21a)は少なくとも部分的に断熱で設計される、ことを特徴とする請求項1に記載の工具タレット。
【請求項3】
前記第1フィードライン(21;21a)は、内側管(36;36,94)とそれを取り囲む外側管(37;37,95)を有し、これら管(36,37;36,37,94,95)のうちの少なくとも1つは長さを変更できる、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の工具タレット。
【請求項4】
前記第2フィードライン(50;50a)はそれぞれ、少なくとも部分的に断熱で設計される、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の工具タレット。
【請求項5】
前記リニアアクチュエータ(25;25a)は、前記第1フィードライン(21;21a)に結合する複動ピストンシリンダユニットとして設計される、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の工具タレット。
【請求項6】
前記第2フィードライン(50;50a)はそれぞれ、前記第1フィードライン(21;21a)に対向する端部で漏斗状に設計される、ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の工具タレット。
【請求項7】
前記第1フィードライン(21)は前記回転軸(15)から距離を置いて設置される、ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の工具タレット。
【請求項8】
前記第2フィードライン(50)はそれぞれ、前記回転軸(15)と平行に延びる第1ライン部分(52)と、前記回転軸(15)と直角に延びる第2ライン部分(53)を有する、ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の工具タレット。
【請求項9】
前記第1フィードライン(21a)は、前記回転軸(15)と同心に延びる第1ライン部分(69)と、前記回転軸(15)と直角に延びていて前記リニアアクチュエータ(25a)により前記回転軸(15)と直角に移動可能な第2ライン部分(70)を有する、ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の工具タレット。
【請求項10】
前記第2フィードライン(50a)はそれぞれ、前記回転軸(15)と直角に延びる、ことを特徴とする請求項9に記載の工具タレット。
【請求項11】
前記リニアアクチュエータ(25a)の第1位置では、関連する前記第2フィードライン(50a)が前記第1フィードライン(21a)に連結している前記工具ホルダー(19a)は、駆動ユニット(72)により工具回転軸(90)のまわりに回転駆動できる、ことを特徴とする請求項9又は10に記載の工具タレット。
【請求項12】
前記工具ホルダー(19a)は、前記工具回転軸(90)と同心に配置された前記第2フィードライン(50a)のまわりに回転駆動できるように設置される、ことを特徴とする請求項11に記載の工具タレット。
【請求項13】
前記第1フィードライン(21;21a)は少なくとも部分的に真空断熱で設計される、ことを特徴とする請求項2に記載の工具タレット。
【請求項14】
前記第2フィードライン(50;50a)はそれぞれ、少なくとも部分的に真空断熱で設計される、ことを特徴とする請求項4に記載の工具タレット。
【請求項15】
前記第2フィードライン(50;50a)はガスケットを有する、ことを特徴とする請求項6に記載の工具タレット。
【請求項16】
工作物を加工するための加工装置であって、
請求項1〜15のいずれか一項に記載の工具タレット(3;3a)、
極低温冷却媒体(5)を供給するための断熱された容器(4)、
前記極低温冷却媒体(5)を冷却するための冷却ユニット(6)、及び
前記容器(4)から前記極低温冷却媒体(5)を前記工具タレット(3;3a)に供給するための断熱された供給ライン(8)、を有する加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプレアンブル部分に係る工作物を加工するための工具タレットに関する。さらに、本発明は、このような工具タレットを備えた加工装置に関する。加工装置は特に、工作物を加工するための工作機械の部品である。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、金属工作物の加工用の工具タレットを備えた工作機械を開示している。工具タレットを介して、極低温冷却媒体が、加工すべき工作物とちょっとの間係合したそれぞれの工具に運ばれる。この目的のために、工具タレットは、第1熱膨張係数を有するポリマーロータと、第2熱膨張係数を有する関連する金属ステータを有する。第1フィードラインが、ロータの回転軸と同心状に延在する第1セクションと、回転軸に対して半径方向に延在する第2ラインとを有するステータを通って延びている。それぞれの工具の加工位置では、第1フィードラインは、ステータを取り囲むロータを通って工具に延びる関連する第2フィードラインに連結している。異なる熱膨張係数のために、極低温冷却媒体がフィードラインを通ってそれぞれの工具に流入するときに、フィードラインは連結点で自動的に封止される。この工具タレットの抱える問題は、一方で異なる熱膨張係数に起因して連結部を封止するために、ステータがロータに対して適度の力で押圧されなければならないが、他方でその力が高すぎてはならず、さもなければ工具タレットが詰まって、工具の変更がもはや確実には可能でなくなるので、フィードラインとフィードラインの連結部を封止することが難しいことである。これは特に、極低温冷却媒体や、それぞれ異なる温度を有する異なる極低温冷却媒体が使用される場合、ステータとロータの膨張挙動が似ないので、問題である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】DE60111162T2(EP1208940B1に対応)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、極低温冷却媒体が簡単かつ確実に工具に供給される工具タレットを製造する目的に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1の特徴を備えた工具タレットにより達成される。
回転軸と平行なリニアアクチュエータにより少なくとも部分的に第1フィードラインが移動可能なために、一方で、極低温冷却媒体の簡単かつ信頼できる移送が、加工すべき工作物と係合した工具まで可能であり、他方で、簡単かつ信頼できる工具変更が可能である。第1位置において第1フィードラインは第2フィードラインと連結、封止され、その関連する工具は工作物を加工するための加工位置に現在ある。極低温冷却媒体は工具に簡単かつ確実に移送できる。工具変更のために、第1フィードラインはリニアアクチュエータによってその第2位置に動かされ、そこでは第1フィードラインは第2フィードラインから切り離される。従って、第2位置では、工具ホルダーを有する回転部の回転位置は工具変更のために簡単かつ確実に変えられる。工具変更の後、第1フィードラインは、それが加工位置にある新たな工具の第2フィードラインと連結、封止される第1位置まで、リニアアクチュエータにより再び動かされる。
【0006】
本発明に係る工具タレットにより、極低温冷却媒体をその温度と無関係に簡単かつ確実に送ることができる。それぞれの工具の出口では、極低温冷却媒体は、−60℃より低い、特に−120℃より低い、特に−150℃より低い、特に−180℃より低い温度を有する。極低温冷却媒体として、例えば液体又は気体の窒素、液体又は気体の酸素、気体水素、気体ヘリウム、液体又は気体のアルゴン、気体の二酸化炭素、及び液体又は気体の天然ガスが使用できる。好ましくは、窒素がフィードラインを介して工具に案内される。加えて、必要なら、通常の潤滑剤が工具タレットを介してそれぞれの工具に供給されてもよい。
【0007】
極低温冷却媒体が工具の切れ刃まで直接供給され、これらが極低温冷却媒体の極めて低い温度のために効率的に冷却されるという事実のため、通常の冷却潤滑剤に比べて高い切断速度が工作物加工の間に可能である。さらに、極低温冷却媒体は工具の耐用寿命にポジティブな効果を奏する。工作物加工の生産性と対費用効果は、工具のカッティングへの極低温冷却媒体の供給によって対応的に増大し得る。極低温冷却媒体は気化するので、加工された工作物も、工具タレット及び工作機械全体もそれぞれ汚れない。通常の冷却潤滑剤で必要になる極低温冷却媒体の廃棄はもはや要さず、工作物加工の対費用効果はさらに向上する。
【0008】
請求項2
及び13に係る工具タレットは、簡単な方法で、極低温冷却媒体が工具に向かう途中で望まれない程に加熱されず、第1フィードラインを取り囲む工具タレットの部品が許容できない程度に冷えないことを保証する。このようにして、工具は極めて効率的に冷却され、同時に第1フィードラインを取り囲む部品における熱応力が防がれる。
【0009】
好ましくは、第1フィードラインは完全に絶縁されて、すなわち全長にわたって断熱されて設計されている。例えば、フィードラインは、内側管とそれを取り囲んでいて端部でそれに連結した外側管を有する。管で画定される断熱スペースは、例えば断熱媒体で充填されている。第1フィードラインが真空断熱されて設計されている場合、断熱スペースは排気され、フィードラインは極めて低い特有の熱伝導率を有する。第1フィードラインは、0℃で最大0.40 W/(mK)、特に最大0.30 W/(mK)、特に最大0.20 W/(mK)の特有の熱伝導率を有する。第1フィードラインが真空断熱されて設計されている場合、その特有の熱伝導率は極めて低く、0℃で最大0.01 W/(mK)である。好ましくは、第2フィードラインも少なくとも部分的にそれぞれ断熱され、特に真空断熱される。従って、第1フィードラインについての記述は第2フィードラインにも当てはまる。
【0010】
請求項3に係る工具タレットは、内側管と外側管の異なる長さの変化の補償を可能にする。第1フィードラインがそこを流動する極低温冷却媒体を有する場合、内側管は基本的にその温度を引き受けるのに対して、外側管は基本的に2つの管の間に配置された断熱媒体のためにあまり冷えない。ゆえに、内側管は外側管よりもかなり大きく長さが変化する。第1フィードラインの損傷を防止するために、少なくとも1つの管は長さを変えられる。好ましくは、外側管は熱の長さ補償のために蛇行形状の金属筒を有する。特に、第2フィードラインもそれぞれ、内側管とそれを取り囲む外側管を有し、これら管の少なくとも1つは長さを変えられる。第1フィードラインに関する記述は、このように設計された第2フィードラインにも同様に当てはまる。
【0011】
請求項4
及び14に係る工具タレットは、2つのフィードラインの高い断熱を保証し、極低温冷却媒体が工具に向かう途中で望まれずに加熱されるのを防ぐ。好ましくは、第2フィードラインはそれぞれ完全に絶縁、すなわち全長にわたり断熱される。他には、第1フィードラインについての記述が第2フィードラインにも同様に当てはまる。
【0012】
請求項5に係る工具タレットは、簡単な方法で、極低温冷却媒体を移送するための、また工具変更のための、フィードラインの連結と切り離しを可能にする。フィードラインを連結するために、第1フィードラインは複動ピストンシリンダユニットによって第1方向に直線的に変位するのに対し、工具変更のために、第1フィードラインはピストンシリンダユニットによって反対の第2方向に直線的に変位する。好ましくは、ピストンシリンダユニットは空気圧又は油圧により作動する。ピストンシリンダユニットのそれぞれの位置は好ましくは少なくとも1つのセンサで検知される。
【0013】
請求項6
及び15に係る工具タレットはフィードラインの簡単かつ確実な連結を保証する。漏斗状デザインのために、第1フィードラインは第2フィードラインに簡単に差し込むことができ、連結点で封止される。この目的のために、例えば漏斗形の端部部分の後に、ガスケットが第1フィードラインの差し込まれたそれぞれの第2フィードラインに延びる。加えて、漏斗形の端部部分自体はガスケットとして設計される。ガスケットは特に極低温冷却媒体に対して高い耐性を有する。好ましくは、ガスケットは、それぞれ高い耐薬品性と良好な断熱特性を有するプラスチック素材及びゴム素材で作られる。好ましくは、ガスケットはPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)から作られる。
【0014】
請求項7に係る工具タレットは極低温冷却媒体の簡単な供給を保証する。第1フィードラインが回転軸から離間している、すなわち好ましくはハウジングの外面にあるという事実のため、第2フィードラインは極めて短く設計されてもよい。
【0015】
請求項8に係る工具タレットは工具への極低温冷却媒体の簡単かつ確実な供給を保証する。それぞれの第1ライン部分が回転軸と平行に延びるという事実のため、第1フィードラインは簡単な直線移動によりそれぞれの第2フィードラインに連結できる。それぞれの第2ライン部分は回転軸に対してそれぞれ直角に及び半径方向に延びるので、極低温冷却媒体は工具の切れ刃まで直接供給される。
【0016】
請求項9に係る工具タレットは工具への極低温冷却媒体の簡単かつ確実な供給を保証する。第1フィードラインの設計のために、第2ライン部分だけが、リニアアクチュエータによって回転軸に対してそれぞれ直角及び半径方向に移動する。回転軸と同心に延在する第1ライン部分は軸方向に固定して設けられている。第1ライン部分も第2ライン部分も回転部に形成されないので、これらは回転部の回転の間固定されている。第1フィードラインの配置のために、工具タレットの構造は極めてコンパクトである。
【0017】
請求項10に係る工具タレットは、第2フィードラインを介する極低温冷却媒体の簡単かつ確実な供給を保証する。第2フィードラインのそれぞれが回転軸に対してそれぞれ横及び半径方向にのみ延びるという事実のため、極低温冷却媒体は工具の切れ刃に直接案内される。第2フィードラインはそれぞれの工具マウントに通じ、それぞれの工具マウントを介して、そこに保持された工具に極低温冷却媒体をそれぞれ供給する。
【0018】
請求項11に係る工具タレットは、簡単かつ信頼できる方法で回転駆動可能な工具の冷却を保証する。駆動モータにより回転駆動できる工具マウントは、工具回転軸と同心に配置されていて工具回転軸のまわりを工具マウントと共に回転しない関連する第2フィードラインのまわりを回転駆動する。従って、工具マウントにより、工具は関連する工具回転軸のまわりを回転駆動でき、同時に簡単かつ信頼できる方法で、極低温冷却媒体は回転駆動工具の切れ刃に供給される。例えば、回転駆動工具としてドリルが工具マウントに使用でき、工具マウントはドリルと共に駆動される。さらに、回転駆動しない工具も工具マウントに使用できる。例えば、工具マウントにおいて旋盤鑿が工具として使用でき、これは加工の間駆動ユニットにより回転駆動せず、すなわち工具回転軸のまわりに固定されている。
【0019】
それぞれの第2フィードラインは工具回転軸のまわりを回転せず、第1フィードラインに対応して工具回転軸のまわりに固定配置されているので、請求項12に係る工具タレットは極低温冷却媒体の確実な供給を保証する。
【0020】
本発明は、工具への極低温冷却媒体の簡単かつ確実な供給を可能にする加工装置を製造する目的にも基づく。
【0021】
この目的は、請求項
16の特徴に従う加工装置によって達成される。本発明に従う加工装置の利点は既に工具タレットについて述べた利点に一致する。断熱された容器から、極低温冷却媒体が断熱供給ラインを介して工具タレットに供給される。貯蔵された極低温冷却媒体の温度を一定に維持するために、冷却ユニットが備えられる。さらに、加工装置は、容器から極低温冷却媒体を工具タレットに圧送するためのフィードポンプを有する。工具変更のために、加工装置は、工具変更の前に工具タレットへの極低温冷却媒体の供給を遮断する遮断弁も有する。冷却ユニット、フィードポンプ及び遮断弁はそれぞれ、制御装置により制御される。加工装置は、金属工作物、特にシャフト状工作物を加工するための別な通常の工作機械の一部である。
【0022】
本発明の他の特徴、利点及び詳細は、幾つかの例示の実施形態の以下の記載から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】第1の例示の実施形態に従う、極低温媒体の供給部を有する、工作物を加工するための加工装置の斜視図である。
【
図2】極低温冷却媒体を供給する操作位置にある、
図1の加工装置の工具タレットを示す部分的に断面を示す側面図である。
【
図3】極低温冷却媒体用の第1フィードラインを移動させるリニアアクチュエータの領域の、
図2の楕円内の工具タレットの部分の詳細図である。
【
図4】加工位置に位置する工具に極低温冷却媒体を供給するための第1フィードラインと第2フィードラインの間の連結点の領域の、
図2の円内の工具タレットの部分の詳細図である。
【
図5】工具変更位置にある工具タレットの部分的に断面を示す側面図である。
【
図6】別個のフィードラインの領域の、
図5の工具タレットの詳細図である。
【
図7】極低温冷却媒体を供給する操作位置にある工具タレットを示す本発明の第2実施形態の側面図である。
【
図8】加工位置にある工具に割り当てられた第1フィードラインと第2フィードラインの間の連結点の領域の、
図7の工具タレットの部分の詳細図である。
【
図9】
図7の工具タレットの部分的に断面を示す正面図である。
【
図10】連結点の領域の、
図9の楕円内の工具タレットの詳細図である。
【
図11】連結していないフィードラインを示す工具変更位置にある工具タレットの側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下では、
図1〜6に則して本発明の第1実施形態を記載する。更に詳細には示していない工作機械が、金属工作物2を加工するための加工装置1を有する。加工装置1は、工具タレット3、極低温冷却媒体5を供給するための断熱された容器4、極低温冷却媒体5を冷却するための冷却ユニット6、フィードポンプ7、関連する遮断弁9を備えた供給ライン8及び制御ユニット10を有する。供給ライン8は容器4及び工具タレット3に連結していて、断熱されている。工具タレット3、冷却ユニット6、フィードポンプ7及び遮断弁9は制御ユニット10により制御される。工作機械を超える加工装置1の構造は通例であり、周知である。
【0025】
工具タレット3は、固定された中央シャフト12が設置されているハウジング11を有する。中央シャフト12は、一方の端部でハウジング11から出て延び、ハウジングに設置された駆動ユニット14によって回転軸15のまわりを駆動する回転部13を設置するのに使用される。駆動ユニット14は、詳細には示していない機械伝達ユニット17によって、回転部13とともに作動する電気駆動モータ16を有し、電気駆動モータ16は回転軸15のまわりに回転する。
【0026】
回転部13はリング形状に設計され、回転軸15と同心に中央シャフト12に設置されている。回転部13は多角形の外形を有し、それにより軸受面(座面)18が外周上に形成されている。軸受面18には、工具マウント19が配置されており、工具マウントには工具20が周知の連動機構により保持、固定されている。回転部13は、駆動ユニット14により幾つかの定められた回転位置に旋回できる。回転位置では、それぞれの場合に、工具20のうちの1つが、それが加工すべき工作物20に向かって回転される加工位置に位置している。
図2は、加工位置にある下側工具20の断面を示す。完全に工具20を具備した工具タレット3は、
図1にのみ示されている。明確性のために、
図2〜6では全ての工具20を示しているわけではない。
【0027】
極低温冷却媒体5を供給ライン8から工具20に供給するために、工具タレット3は、断熱設計された第1フィードライン21を有する。第1フィードライン21は、ハウジング11の外側で回転軸15と平行かつそこから距離を置いて設置されている。この目的のために、第1フィードライン21は保護パイプ22で取り囲まれている。保護パイプ22はその端部でハウジング11の固着部分23,24に固着されている。フィードライン21はこれら固着部分23,24を通って案内されている。フィードライン21はまたランスとして設計されている。
【0028】
フィードライン21は、リニアアクチュエータ25により回転軸15と平行に直線的に移動可能である。リニアアクチュエータ25は、ピストン27を含むシリンダ26を備えた複動ピストンシリンダユニットとして設計されている。ピストンシリンダユニット25は、固着部分24に固着された連結ハウジング28に設置されている。供給ライン8は、連結ハウジング28内を案内され、連結ユニット29を介して第1フィードライン21に連結している。フィードライン21はピストン27に連結され、それにより動かされる。ピストン27は、ピストンシリンダユニット25の作動室を2つの部分作動室30,31に分けている。部分作動室はそれぞれ、作動液を室30,31に接続するための連結部32,33と連絡している。このようにして、両方の部分作動室30,31は作動液で満たされ、従ってピストン27は軸方向の両方向に移動できる。誘導スイッチ34,35として設計された2つのセンサも連結ハウジング28に設置されており、それによりピストンシリンダユニット25のピストンが検知される。ピストンシリンダユニット25は空気圧又は油圧により操作される。
【0029】
第1フィードライン21での極低温冷却媒体5の意図しない加熱を防ぐために、第1フィードラインは真空断熱で設計されている。この目的のために、フィードライン21は内側管36とこれを取り囲む外側管37を有し、これらの管は端部で互いに連結し、それら管の間に断熱室38を画定している。フィードライン21が極めて低い特有の熱伝導率を有するように、断熱室38は排気される。蛇行形状の金属筒39が外側管37に一体化され、それによって外側管37は長さを変えられる。金属筒39は、極低温冷却媒体5の結果である管36,37の様々な長さの変化を補償するのに使用される。
【0030】
移動のために、第1フィードライン21は、ピストンシリンダユニット25の反対側にある固着部分23内に設けられており、それでフィードライン21は軸方向に摺動できる。この目的のために、反対の穴40,41が固着部分23に設計され、そこに2つのガスケット42〜45がそれぞれ設置されている。ガスケットは関連するスペーサスリーブ46,47によって分離されている。さらに、摺動スリーブ49を備えた連結要素48が保護管22と固着部分23の間に設けられている。第1フィードライン21は連結要素を通って案内されている。連結要素48は、固着部分23と保護管22に固着されている。ガスケット42〜45は耐薬品性かつ断熱の素材から作られている。例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)が素材として機能する。スペーサスリーブ46,47と摺動スリーブ49も耐薬品性かつ断熱の素材、例えば、PTFEで設計されている。
【0031】
回転部13では、複数の第2フィードライン50が設けられ、第1フィードライン21に対向する回転部13の面51から工具マウント19に通じている。第2フィードライン50はそれぞれ、回転軸15と平行に延びる第1ライン部分52と、回転軸15に対して横に及び半径方向に延びる第2ライン部分53を有する。第1ライン部分52は、回転部13内の第1フィードライン21内に設計された貫通穴56に取り付けられた2つのインサート部分54,55により設計されている。それぞれの貫通穴56は第1フィードライン21の方向に段階的に狭くなっており、それで第1インサート部分54は第1フィードライン21用のそれぞれの差し込み開口57に隣接する貫通穴56内に固定されている。第1フィードライン21の反対側にある第1インサート部分54の一方のサイドには、リング形のガスケット58が設けられ、貫通穴56に差し込まれた第2インサート部分55により2つのインサート部分54,55の間に固定されている。第2インサート部分55は、貫通穴56の階段状のデザインにより第1フィードライン21の方向に固定されている。
【0032】
第1インサート部分54はリング形状で設計され、第2インサート部分55の方向に漏斗の形状で狭くなり、それで第1フィードライン21は簡単にガスケット58を通して差し込まれ得る。第2インサート部分55には、フィードライン21に向いた側にポケット穴59が設計されており、第1インサート部分54及びガスケット58と共にライン部分52を形成する。第1フィードライン21に対する第1ライン部分52のアライメントのために、固着部分23には、それとは向かい側に回転部13に設計された案内溝61と係合する案内突起60が形成されている。案内溝61はリング形で、回転軸15に関して同心状に面サイド51に設計されている。インサート部分54,55及びガスケット58は耐薬品性かつ断熱の素材から作られている。例えば、PTFEが素材として適している。
【0033】
第2ライン部分53は、真空断熱され、また内側管62とこれを取り囲む外側管63を有する点でフィードライン21と同様に設計されている。これらの管は端部で互いに連結し、それら管の間に断熱室64が形成している。断熱室64は排気され、第2ライン部分53はそれぞれ極めて低い特有の熱伝導率を有する。第1フィードライン21と同様に、第2ライン部分53は、管のうちの1つにひだ付き部分を具備することで管62,63の異なる長さ膨張の補償を可能にする。第2ライン部分53はそれぞれ、関連するポケット穴59から半径方向に、関連する工具マウント19及び工具20まで延在する。工具20はそれぞれ、極低温冷却媒体5のためのそれぞれの第2ライン部分53に結合した保持室65を有する。それぞれの保持室65から、冷却流路66が工具20を通って工具ブレード67に延びている。工具ブレードは、極低温冷却媒体5が逸出するための出口開口68を具備している。
【0034】
工作物2の加工を以下に記載する。ピストンシリンダユニット25による加工のために、第1フィードライン21からの極低温冷却媒体5がポケット穴59に入るように、第1フィードライン21が、加工位置に位置する工具20の第1ライン部分52に差し込まれる。操作位置とも称される第1フィードライン21のこの第1位置は、
図4に示される。操作位置では、極低温冷却媒体5を工具ブレード67に移送するために、第1フィードライン21は加工位置に位置する工具20に割り当てられた第2フィードライン50に連結される。次いで、工作物2は通常通りに回転され、工具20により加工される。加工の間、極低温冷却媒体5は、フィードポンプ7によってフィードライン21,50を介して出口開口68に圧送される。ここで、極低温冷却媒体5は直接工具ブレード67へ漏出する。極低温冷却媒体5は、例えば容器4内でその蒸発温度より低くされていて冷却ユニット6により所望の温度で保持された液体窒素である。極低温冷却媒体を供給するために、遮断弁9が開いており、それでフィードポンプ7は容器4からの極低温冷却媒体5を供給ライン8を介して工具タレット3に供給し得る。フィードライン21,50は、それらがそれぞれ断熱及び真空断熱されているので、極低温冷却媒体5はフィードライン21,50を流れることでは基本的に温まらない。極低温冷却媒体5は、−180℃より低い温度で出口開口68から逸出する。逸出の後に、極低温冷却媒体5は気化し、よって工作物2の加工は乾燥条件下で行われ、工作物2も工作機械全体も汚染されない。
【0035】
工具変更のために、極低温冷却媒体5の供給はフィードポンプ7の閉鎖と遮断弁9の閉鎖により中断される。次いで、第1フィードライン21は、連結ユニット29及びこれに連結した供給ライン8とともに、ピストンシリンダユニット25により動かされ、それで第1フィードライン21は第1ライン部分52から取り外される。第1フィードライン21のこの第2位置では、第1フィードラインは全ての第2フィードライン50から切り離され、よって回転部13の回転位置が変更できる。工具変更位置とも呼ばれるこの第2位置は
図5及び
図6に示されている。
【0036】
工具変更のために、回転部13は、駆動ユニット14により回転軸15のまわりに他の回転位置に回転させられ、別な工具20が加工位置に位置決めされる。次に、ピストンシリンダユニット25により、第1フィードライン21が第1ライン部分52に再び差し込まれる。漏斗形のインサート部分54のために、差し込みは容易になされる。第1フィードライン21は再び操作位置に位置し、それで極低温冷却媒体5の供給により工作物2の加工が続けられ得る。
【0037】
以下では、本発明の第2実施形態を
図7〜11に則して記載する。第1実施形態の部品と構造上同一の第2実施形態の部品は、第1実施形態と同じ参照番号を有しており、その記載を参照されたい。異なる構造を有するが機能的に同じ部品は、後ろにaを付した同じ参照番号を有する。加工装置1aの工具タレット13aは工具20aを回転駆動するように設計されている。この目的のために、工具ホルダー19aは回転可能であり、工具ホルダー19aでは加工のために回転駆動される両方の工具20aが使用でき、また加工のために回転駆動する必要のない、すなわち固定されたままの工具20aも使用できる。
図7〜11では、工具ホルダー19aは加工位置に位置し、工作物2を加工するために回転駆動されなければならないドリルとして設計された工具20aを有している。他の工具ホルダー19aには、工作物2の加工の際固定されなければならない旋盤鑿として設計された工具20aもある。
【0038】
第1フィードライン21aは、回転軸15と同心に搭載された第1ライン部分69と、回転軸15に対して横にかつ半径方向に搭載された第2ライン部分70を有する。第1ライン部分69は、第1実施形態の第1フィードラインに対応して真空断熱で設計されている。第1ライン部分69は保護管22aで囲まれている。保護管22aは、関連する駆動モータ73を備えた第2駆動ユニット72の部品である駆動シャフト71で囲まれている。駆動シャフト71は、回転できるように両端を軸受74によってハウジング11aに設置されており、駆動モータ73によって第1ギヤ75により回転軸15のまわりに回転駆動される。軸方向に、第1ライン部分69は移動できない。
【0039】
第1ライン部分69は、フィードライン21aの部品である連結ユニット76によって第2ライン部分70に連結している。連結ユニット76は、中央シャフト12aにおいて回転軸15と同心に設計された穴78に差し込まれたスリーブ77を有する。そこに、保護管22aが第1ライン部分69とともに延びる。スリーブ77は保護管22aから軸方向に距離を置いて配置され、よって間隙79が形成される。スリーブ77には、連結ユニット76に属するインサート部80が挿入され、保護管22aまで延びている。第1ライン部分69に向いた側に、インサート部80は階段状に形成されたポケット穴81を有し、その端部にはリング形のガスケット82が固着され、ガスケットを通って第1ライン部分69はポケット穴81に部分的に差し込まれている。インサート部80はまた、ポケット穴81の自由部分を通って半径方向に通じる穴であって、両側で間隙79に開口した貫通穴83を有する。貫通穴83の両端に、リング形のガスケット84が配置されている。第2ライン部分70は、ガスケット84と貫通穴83をそれぞれ通って案内されている。第2ライン部分70の端部に隣接して、オープンスペース79には弾性緩衝要素85が設置されている。
【0040】
第2ライン部分70は、リニアアクチュエータ25aにより回転軸15に対して半径方向に直線状に移動できる。リニアアクチュエータ25aは、第1実施形態と同様にピストンシリンダユニットとして設計されている。シリンダ26aは、中央シャフト12aとそれに固着された外側ガイドスリーブ86で形成されている。内側ガイドスリーブ87が外側ガイドスリーブ86内に設置され、第1駆動部88が内側ガイドスリーブ87に設置されている。内側ガイドスリーブ87及び第1駆動部88はピストン27aを形成する。内側ガイドスリーブ87は、回転軸15に対してそれぞれ横にかつ半径方向に直線状に外側ガイドスリーブ86内で限られた行程で移動できる。この目的のため、ピストン27aは作動室を2つの部分作動室30a,31aに分割している。部分作動室30a,31aは、第1実施形態と同様により詳細には示していない連結部によって圧力媒体で充填されてもよく、それでピストン27aは両方向に移動できる。封止軸受89により、駆動部88は、内側ガイドスリーブ87内で回転軸15に対して半径方向に延びる工具回転軸90に対して半径方向に回転できる。駆動部88の回転駆動のために、駆動シャフト71はその端部に、ピストン27aの移動によって駆動部88の周囲に設置されたギヤ92と噛み合う第2ギヤ91を有する。
【0041】
第2ライン部分70は、駆動部88の貫通穴93を通って案内され、軸受要素113,114によって駆動部に結合され、それにより第2ライン部分70は、工具回転軸90に沿ってピストン27aと共に移動できるが、工具回転軸90のまわりの駆動部88の回転の際固定されている。この目的のために、軸受要素113,114は、連結ユニット76により固定された第2ライン部分70のまわりに駆動部88と共に回転する滑り軸受として設計されている。第2ライン部分70は、第1ライン部分69に対応して真空断熱で設計されている。この目的のため、第2ライン部分70は、外側管95で囲まれた内側管94を有する。端部で互いに連結した管94,95は排気された断熱スペース96を画定する。2本の管94,95の異なる長さ膨張を補償するため、ひだの付いた金属筒97が外側管95内に形成される。
【0042】
関連する工具回転軸90まわりの工具20aの回転駆動のために、2つの駆動部98が回転部13aに回転するように設けられる。第2駆動部98は工具20a用の工具ホルダー19aを形成する。それぞれの第2駆動部98は貫通穴99を有し、そこに第2フィードライン50aが工具回転軸90と同心状に設けられている。この目的のため、第2フィードライン50aは保護管100で部分的に囲まれ、保護管は、貫通穴99に部分的に差し込まれた第1インサート部分101で部分的に囲まれ、そのためそれらは共に回転する。インサート部分101の突出部には、第1駆動部88の内側ギヤ103と噛み合う外側ギヤ102が設置されている。第2ライン部分70に対向する端部では、第2インサート部分104がインサート部分101に差し込まれ、それにより2つのリング形のガスケット105,106が固定される。インサート部分104は第2フィードライン50aの一部を形成する。第2フィードライン50aは駆動部98に固定され、工具回転軸に沿って移動できないが、駆動部98に対して回転できるように設けられている。
【0043】
貫通穴99の一端では、工具20aがテンション要素107により固着されている。第2フィードライン50aは保持室65aまで通じ、そこで2つの軸受要素108,109とそれらの間に配されたガスケット110により設置されている。インサート部分104、保護管100及び軸受要素108,109は、工具20aを有する工具ホルダー19aとインサート部分101がそれらのまわりを回転可能な滑り軸受として設計されている。保持室65aから、冷却流路66aが工具ブレード67aに通じており、そこでは極低温冷却媒体5が出口開口68aを通って逸出できる。従って、駆動部98は、工具20a用の回転駆動可能な工具ホルダー19aを形成する。
【0044】
加えて、個々の又は全ての駆動部98及び関連する工具20aは、最小量の潤滑のために共通の冷却流路111,112を具備してもよい。これは、個々の駆動部98及び関連する工具20aについての
図9に示されている。よって、この種の工具ホルダー19aは最小量の潤滑で従来の工具タレットにより作動する。
【0045】
第2フィードライン50aは、真空断熱され、また第1フィードライン21aに対応して、外側管63で囲まれた内側管62を有するように設計されている。管62,63は、端部で互いに連結され、それらの間で真空断熱室64を画定する。さらに、外側管63は、管62,63の異なる長さ膨張を補償するのに使用される蛇行形状の金属筒39を備えて構成されている。
【0046】
連結ユニット76、ガスケット82,84、緩衝要素85、インサート部分101,104、保護管100、ガスケット105,106,110及び軸受要素108,109,113,114は、極低温冷却媒体5に対して耐薬品性かつ断熱素材で設計されている。例えば、PTFEが素材として使用できる。
【0047】
回転する工具20aで工作物2を加工するために、ピストン27aは工具回転軸90と平行に移動する。この場合、ギヤ92がギヤ91に噛み合う。工具20aは、駆動シャフト71、第1駆動部88及び工具20aの保持される第2駆動部98を介して駆動ユニット72により回転される。ピストン27aの移動によって、フィードライン21aの第2ライン部分70も差し込み開口57aに差し込まれ、このようにして加工位置にある工具20aの第2フィードライン50aに連結する。漏斗形のインサート部分104によって差し込みは容易になされる。工具20aの回転駆動の間、第2ライン部分70と、加工位置にある工具20aのそれぞれの第2フィードライン50aは工具回転軸90のまわりに固定される。そして、極低温冷却媒体5がフィードライン21a,50aを通って供給され、冷却流路66aを介して工具ブレード67aに案内され、そこで極低温冷却媒体5は出口開口68aから逃げ、工作物2の加工の間工具ブレード67aを冷却する。第1フィードライン21aが第2フィードライン50aに連結するこの第1位置は、
図8及び
図10に示されている。
【0048】
工具変更のために、回転駆動された工具20aは先ず停止され、次いで第2ライン部分70が第2フィードライン50aから取り外されて、ギヤ92がギヤ91ともはや噛み合わなくなるように、ピストン27aは工具回転軸90と平行に移動される。フィードライン21aが第2フィードライン50aから切り離されるこの第2位置は、
図11に示されている。回転部13aは、駆動ユニット14aによって回転軸15のまわりに、新たな工具20aが加工位置に位置する新たな回転位置まで回転される。次に、ギヤ92がギヤ91と噛み合って第2ライン部分70が差し込み開口57aに差し込まれるまで、ピストン27aは工具20aの方向に再び動かされる。加工は、新たな工具20aが回転駆動されるときこれによって既に述べた方法で継続される。新たな工具20aが加工のために固定されなければならない場合、前述した方法で極低温冷却媒体5が供給されるが、駆動部98は駆動ユニット72により回転駆動されない。この場合、関連する工具20aが工具回転軸90のまわりに固定されるように、駆動ユニット72又は工具ホルダー19aをそれぞれ固定若しくはクランプするための別な機構が使用できる。
【0049】
更なる構造と別の機能する方法に関して、第1実施形態を参照されたい。
【0050】
本発明に係る加工装置1,1aにより、例えばチタン合金、層状グラファイトを有する鋳鉄、球状グラファイトを有する鋳鉄、又は加工が難しい他の素材が加工できる。ピニオンシャフト、クランクシャフト、カムシャフト、ギヤシフトシャフトなどのシャフト又は他のシャフト形状の部品が、工作物2及びフランジ部品及びベアリングホイールとして加工できる。加工装置1,1aによって、工作物2は、それぞれ旋削、フライス加工、冷間圧延、歯切り、穴あけ、クランクシャフト及びカムシャフトフライス削り、又は研削により加工できる。
【符号の説明】
【0051】
21;21a 第1フィードライン
25;25a リニアアクチュエータ
5 極低温冷却媒体
20;20a 工具
50;50a 第2フィードライン
13;13a 回転部