【実施例1】
【0014】
図1は実施例1に係る冷暖房兼用の空気調和機の概略図を示す。本実施例の空気調和機は、圧縮機1、室外熱交換器3、膨張手段4、室内熱交換器6を配管で接続し、冷媒が循環する。
【0015】
室内を冷房する場合、圧縮機1で圧縮された高温高圧のガス冷媒が四方弁2を通り室外熱交換器3(凝縮器)で冷却され、高圧の液冷媒となる。この冷媒は膨張手段4(例えば、キャピラリーチューブや温度式膨張手段など)で膨張され、僅かにガスを含む低温低圧の液冷媒となる。低温低圧の液冷媒の一部はドライヤ5へと送られ、ドライヤ5内の乾燥剤が冷媒の水分を捕捉する。また、主経路から室内熱交換器6(蒸発器)に至った冷媒は、室内熱交換器6で加熱され、低温のガス冷媒となり、再び四方弁2を通って圧縮機1に戻る。
【0016】
室内を暖房する場合は、四方弁2によって冷媒の流れは逆方向に変えられ、室内を冷房する場合と逆方向に冷媒が流れる。
【0017】
R32を用いた空気調和機にはR32との相溶性に優れ、かつ電気的特性、潤滑性、熱化学安定性の良好な冷凍機油として、エステル油が挙げられるが、エステル油は構造上水分が多く存在すると加水分解を起こし、エステル成分が分解する。本実施例では、この対応として冷凍サイクル内にゼオライト等を原料としたドライヤ5を取り付けて、冷凍サイクル内の水分を除去している。
【0018】
図2は圧縮機の概略図である。この圧縮機1は、固定スクロール部材8の端板9に直立する渦巻状ラップ10と、この固定スクロール部材8と実質的に同一形状のラップ12からなる旋回スクロール部材11とをお互いにラップ10とラップ12とを向い合わせにして噛み合わせて圧縮機構部を形成し、旋回スクロール部材11をクランクシャフト13によって旋回運動させる。固定スクロール部材8及び旋回スクロール部材11によって形成される圧縮室14のうち、最も外側に位置している圧縮室は、旋回運動にともなって容積が次第に縮小しながら、両スクロール部材8、11の中心に向かって移動していく。圧縮室14が両スクロール部材8、11の中心近傍に達したとき、圧縮室14が吐出口15と連通して、圧縮室14で圧縮されたガス冷媒が吐出パイプ18から圧縮機1外に吐出される。
【0019】
圧縮機1は、圧力容器17内に電動モータ19が内蔵されており、圧縮機1は一定速あるいは図示しないインバータによって制御された電圧に応じた回転速度でクランクシャフト13が回転し、圧縮動作を行う。また、電動モータ19の下部に油溜め部が設けられており、油溜め部に溜まっている油は圧力差によってクランクシャフト13に設けられた油孔21を通って、旋回スクロール部材11とクランクシャフト13との摺動部や滑り軸受け20等の潤滑に供される。
【0020】
次に、本実施例の冷媒圧縮機に用いる冷凍機油とR32との相溶性評価を行った結果について説明する。R32との相溶性評価に用いた冷凍機油を表1に、相溶性評価の結果を表2に示す。ここで、動粘度は、40℃における動粘度である。相溶性評価はJIS K2211に準じ、耐圧ガラス容器に任意の油濃度において冷媒を封入し、温度を変化させた状態での内容物の観察を行ない、内容物が白濁していれば二層分離、透明であれば溶解と判定した。この二層に分離する温度の油濃度依存性は一般に極大値(以下「低温側臨界溶解温度」という。)を有する曲線となる。
【0021】
比較例6に示すように、R410Aを用いた空気調和機に使用される冷凍機油とR410Aとの低温側臨界溶解温度は10℃以下である。しかし、比較例1に示すように、同じ冷凍機油とR32との低温側臨界溶解温度は20℃以上であり、R32はR410Aを用いた空気調和機に使われてきた冷凍機油との相溶性が悪い。
【0022】
また、比較例2、3に示すように、ポリオールエステル油の粘度を変化させても相溶性が改善されない。
【0023】
一方、比較的炭素数の少ない脂肪酸を使用した比較例4、5の冷凍機油とR32の臨界溶解温度は−10度以下である。このように、比較的炭素数の少ない脂肪酸を使用したポリオールエステル油はR32との相溶性が優れることがわかる。
【0024】
ところで、本実施例の冷凍装置もしくは空調装置に用いる冷凍機油の粘度は圧縮機の種類によっても異なるが、スクロール圧縮機の場合では40℃における粘度が40mm
2/s〜100mm
2/sの範囲が好ましい。粘度40mm
2/s未満の場合は冷媒が溶解した冷凍機油の粘度が低くなってしまい、圧縮機内部での油膜が十分に保持されず潤滑性が保てない。これに対して粘度100mm
2/sを超えると粘性抵抗、摩擦抵抗等の機会損失が増大し、圧縮機効率を低下させる恐れがある。
【0025】
比較例4、5の冷凍機油は、R32との相溶性に優れるが、粘度が30mm
2/s以下であり、冷凍装置もしくは空調装置で適用することは困難である。
【0026】
これに対して、実施例1、2は、R32との低温側臨界溶解温度が10℃以下であり、動粘度も40mm
2/s〜100mm
2/sの範囲にあり、冷凍空調装置に適用することが可能である。
【0027】
このような条件を満たした冷凍機油を作製するためには、例えば、多価アルコールとしては、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどがある。1価の脂肪酸としては、ブタン酸、ペンタン酸、2−メチルプロパン酸、2−メチルブタン酸等の炭素数4〜5と比較的炭素数の少ない脂肪酸などが挙げられ、基油の異常な粘度低下を防止するために、オクタン酸、2−メチルペンタン酸、2−メチルヘキサン酸、2−エチルヘキサン酸、イソオクタン酸、3、5、5−トリメチルヘキサン酸等の炭素数8〜12の比較的炭素数の多い脂肪酸を単独で、又は混合して用いる。特に基油としては分子中にエステル基を少なくとも2個保有する式(1)、(2)、(3)、又は(4)で示される脂肪酸のエステル油の群から選ばれる少なくとも1種類又は2種類以上混合したものが好ましい。
【0028】
【化1】
【0029】
【化2】
【0030】
【化3】
【0031】
【化4】
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
本実施例では、前記した冷凍機油に潤滑性向上剤、酸化防止剤、酸捕捉剤、消泡剤、金属不活性剤等を添加しても全く問題はない。特にポリオールエステル油は、水分共存下で加水分解に起因する劣化が生じるため、酸化防止剤、酸捕捉剤の配合は必須である。酸化防止剤としてはフェノール系である2、6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(DBPC)が好ましい。酸捕捉剤としては、脂環式エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物、カルボジイミド化合物等がある。
【0035】
このようなポリオールエステル油をR32を用いた空気調和機に使用することで、R32との相溶性及び粘性の条件を満たすことができる。しかしながら、R32との相溶性がある冷凍機油の粘性を高めるために、エステル基が多く存在する多価アルコールを原料として用いた場合、加水分解が起こりやすい。
【0036】
次に、本実施例の冷凍機油について、シールドチューブ試験にて安定性の評価を行った結果を説明する。冷媒としてはR32、冷凍機油としては表1に示す供試油A、Cに加え、供試油A、Cに酸化防止剤及び酸捕捉剤を添加した供試油H、Iを使用した。シールドチューブ試験条件としては内径φ10のガラス管に触媒として長さ50mmの鉄、銅、アルミを入れ冷凍機油を5g封入して密閉し、加熱後の油の色、酸価、添加剤残存量触媒の外観等を測定した。
【0037】
試験後の冷凍機油の酸価及び添加剤の測定はJIS K2501「石油及び潤滑油―中和価試験方法」に従った。色相についてはJIS K2580「石油製品色試験方法」に準じた方法で行った。
【0038】
まず、サイクル内に水分が多量に混入したことを想定した加水分解安定性試験を行った。油中水分を1、000ppmとして175℃で21日間加熱した結果を表3に示す。実施例7、8は酸価が上昇していることが確認できる。また、添加剤を配合した実施例8については、酸捕捉剤の残存量は比較例10よりも低くなっている。この結果より、本実施例のR32との相溶性に優れた冷凍機油は他の供試油に比べ加水分解安定性が劣ることが判る。
【0039】
【表3】
【0040】
次に、冷凍サイクル内にドライヤ5を接続し、冷凍サイクル内の水分を十分に吸収した場合を想定した冷凍機油の安定性を評価した。油中水分を50ppm以下とし、上述した加水分解安定性試験と同様の条件で加熱した結果を表4に示す。実施例11、12の酸価の上昇は抑えられており、酸捕捉剤の残存量も比較例14と同等となっていることが確認できる。この結果から、冷凍サイクル内にドライヤ5を設けることで、冷媒との相溶性に優れ、熱化学安定性にも優れた冷凍機油を使用することができ、圧縮機及び空調装置の信頼性を向上することができることが確認できる。
【0041】
なお、本実施例に使用するドライヤ5は、吸着剤を封入したものであり、吸着剤の種類としてはケイ酸、アルミン酸アルカリ金属複合塩からなる合成ゼオライトが有効である。
ドライヤ5に封入する吸着剤は、(数1)に示すようなケイ酸、アルミン酸アルカリ金属複合塩からなるビーズ状の合成ゼオライトが有効である。
【0042】
(数1)
M
2/nO/AL
2O
3/xSiO
2・yH
2O(M:金属カチオン、n:原子価) また、本実施例に使用するドライヤ5は空調機の運転モードを切り替えても冷媒流路が一方向となるように設置しているため、吸着剤が擦り合わされることによる摩耗粉の発生を抑制することができる。
【0043】
また、膨張手段4側にバイパスする形でキャピラリ7を設けたことでドライヤ5に流入する冷媒の流路は一方向になるように接続されているため、冷房運転と暖房運転とで冷凍サイクル内の冷媒の流れが逆方向になった際にも流入方向は変わらず、ドライヤ5内に封入されている吸着剤が擦り合わさり摩耗粉が生成することを抑制することができる。
【0044】
【表4】
【0045】
ここで、ゼオライトは、100℃〜200℃に加熱されると、逆に水分を放出する特性がある。R410Aを用いた冷凍サイクルの吐出温度は50℃〜90℃程度であったが、R32を用いた冷凍サイクルの吐出温度は、R410Aよりも10℃〜20℃程度高く、運転状態によって100℃を超える場合がある。そのため、R32を用いた冷凍サイクルは、運転状態によって、ゼオライトに吸着した水分を逆に冷凍サイクル内に放出してしまうおそれがある。
【0046】
本実施例は、ドライヤ5を室内熱交換器6と膨張手段4の間に接続したので、冷房運転及び暖房運転のどちらであっても、圧縮機1で圧縮した高温高圧のガス冷媒が直接ドライヤ5に流れることはない。従って、ドライヤ5のゼオライトが100℃以上に加熱されるのを防ぐことができる。
【0047】
また、暖房運転時には凝縮器を通過した後の高圧の液冷媒がドライヤ5に流入する。高圧の液冷媒の温度は100℃を超えることはないが、50℃程度と比較的高温である。ドライヤ5に吸着した水分を安定的に保持するためには、ドライヤ5をより低温状態に保つことが望ましい。
【0048】
図3は実施例1に係る冷暖房兼用の室外機の概略図である。
図4は実施例1に係る冷暖房兼用の室外機の概略図の一部である。本実施例では、ドライヤ5を室外機12の筐体内であって、室内熱交換器6と膨張手段4の間に接続した。
【0049】
本実施例の室外機12は圧縮機1、室外熱交換器3、室外ファン8、リアクタ10、ドライや5、及び、圧縮機1と室外熱交換器3を仕切る仕切板11を備える。
【0050】
本実施例によれば、暖房運転時は外気の温度が低温となっているため、ドライヤ5を室外機12に配置することで、ドライヤ5を外気によって冷却し、ドライヤ5の温度を下げることができる。
【0051】
さらに、本実施例では、ドライヤ5を仕切板11の風路側に設けた。室外熱交換器3は室外ファン8によって室外の空気との熱交換が促進される。
【0052】
さらに、本実施例では、ドライヤ5を室外熱交換器3の風下に配置した。暖房運転時には室外熱交換器3が蒸発器として機能するため、室外熱交換器3と熱交換した空気は冷やされる。ドライヤ5を室外熱交換器3の風下に配置することで、室外熱交換器3で冷やされた空気をドライヤ5に当て、ドライヤ5を冷やすことができる。
【0053】
一方、冷房運転時には室外熱交換器3は凝縮器として機能するため、室外熱交換器3と熱交換した空気は暖められる。そのため、ドライヤ5を室外熱交換器3の風下に配置すると、ドライヤ5は暖められた空気によって加熱される。しかし、冷房運転時にはドライヤ5に流入する冷媒は低温低圧であるため、ドライヤ5が空気によって加熱されたとしても、ドライヤ5を低温状態に保つことができる。
【0054】
つまり、ドライヤ5を室外機12の筐体内であって、室内熱交換器6と膨張手段4の間に接続することで、冷房運転及び暖房運転のどちらの運転であっても、ドライヤ5の温度をより低温に保つことができる。そのため、ドライヤ5で吸着した水分が逆に放出することを防止し、空気調和機の長期信頼性を確保することができる。さらに、ドライヤ5を仕切板11の風路側であって、室外熱交換器3の風下に配置することで、ドライヤ5の温度をより低温に保つことができる。
【0055】
なお、ドライヤ5を仕切板11の風路側に設ける場合、回転する室外ファン8に接触せず、暖房除湿時の水抜きの障害にならず、且つ、リアクタの熱(150℃程度)で熱くなる仕切板11の熱の影響を受けない位置に設ける必要がある。
【0056】
また、ドライヤ5を輸送時に折れたり曲がったりしない形状にする必要があり、例えば、バンドを介してドライヤ5を仕切板11に固定することが考えられる。
【0057】
次に、ドライヤ5の材料であるゼオライトの大きさについて説明する。表5に各種ケイ酸、アルミン酸アルカリ金属複合塩からなる合成ゼオライトと被吸着分子の例を示す。本乾燥材は冷媒を吸着せず水分のみを吸着する必要があるため細孔径3Åの吸着材が必要である。従って、細孔径3Å以下の構造を持つケイ酸、アルミン酸アルカリ金属複合塩からなる合成ゼオライトが必要である。細孔径3Åの構造を持つものはアルカリ金属塩としてKを有するタイプである。4Åの場合はNaタイプ、細孔径5Åの場合はNaをCaに置き換えたタイプである。この乾燥剤を用いることで冷媒を吸着せず水分のみ吸着することが出来る。
【0058】
【表5】
【実施例2】
【0059】
図5は実施例2に係る冷暖房兼用の空気調和機の概略図である。本実施例は、膨張手段4と並列に接続されたバイパス回路を備え、バイパス回路はドライヤ5を及びドライヤ5の両端に接続された開閉弁22,23を有している点が実施例1と異なる。
【0060】
そして、冷房運転と暖房運転時に冷媒が流れる向きが異なるが、冷房運転と暖房運転のどちらの場合であっても、膨張手段4を通過した後の冷媒がドライヤ5に流れるように開閉弁22,23を調整する。つまり、冷房運転時は、ドライヤ5に対し、室内熱交換器6側に位置する開閉弁23を開き、室外熱交換器3側に位置する開閉弁22を閉じる。一方、暖房運転時は、ドライヤ5に対し、室内熱交換器6側に位置する開閉弁23を閉じ、室外熱交換器3側に位置する開閉弁22を開く。
【0061】
本実施例によれば、冷房運転及び暖房運転の両方の場合に、ドライヤ5が膨張手段4と蒸発器の間に連通し、凝縮器と膨張手段4の間に連通しないので、ドライヤ5が高温高圧の冷媒によって加熱されることを防ぐことができる。
【0062】
ここで、ドライヤ5に流れる冷媒が液相に近いほど、ドライヤ5の圧力損失が低く、且つ、冷媒の流速が遅くなるので、吸着剤に与える振動も小さい。そのため、圧力損失及び吸着剤の劣化の観点からは、冷媒が液となる凝縮器と膨張手段4の間にドライヤ5を設けることが望ましい。
【0063】
R32を用いた空気調和機はR410Aに比べて、理論的に膨張手段4と蒸発器の間における冷媒の乾き度が低い。つまり、R32を用いた空気調和機であれば、膨張手段4と蒸発器の間にドライヤ5を接続したとしても、冷媒が液相に近いので、圧力損失及び吸着剤の劣化の影響も少ない。
【0064】
また、R32はR410Aに比べて理論的に圧力損失が少ないので、R32を用いた空気調和機であれば、膨張手段4と蒸発器の間にドライヤ5を接続したとしても、圧力損失及び吸着剤の劣化の影響も少ない。
【0065】
つまり、水分の吸着、圧力損失及び吸着剤の劣化を考慮すると、R32を用いた空気調和機において、冷房運転及び暖房運転の両方の場合にドライヤ5が膨張手段4と蒸発器の間に連通する構造にすることが望ましい。
【0066】
以上説明した通り、本実施例によれば、冷房運転及び暖房運転のどちらの運転であっても、ドライヤの温度をより低温に保つことができる。そのため、ドライヤで吸着した水分が逆に放出することを防止し、空気調和機の長期信頼性を確保することができる。
【実施例3】
【0067】
図6は実施例3に係る冷暖房兼用の空気調和機の概略図である。本実施例は、四方弁4と圧縮機1の間であって低圧の冷媒が流れる流路に配置されたドライヤ5を備えている点が実施例1及び2と異なる。ここで、低圧の冷媒とは、膨張手段4を通過した後で、且つ、圧縮機1に吸入される前の冷媒を意味する。つまり、膨張手段4を通過した冷媒は、蒸発器、四方弁4、ドライヤ5、圧縮機1の順に流れる。なお、冷房運転時は室内熱交換器6が蒸発器となり、暖房運転時は室外熱交換器3が蒸発器となる。
【0068】
四方弁4と圧縮機1の間の流路は切り替わることがないため、本実施例では、冷房運転及び暖房運転のどちらの場合であっても、低温低圧の冷媒をドライヤ5に流すことができる。
【0069】
しかし、圧力損失及び吸着剤の劣化の観点からは、冷媒が液となる位置にドライヤ5を設けることが望ましいのに対し、四方弁4と圧縮機1の間にドライヤ5を接続すると、ドライヤ5を通過する流路は気体となる。
【0070】
ここで、R32はR410Aに比べて理論的に圧力損失が少ないので、R32を用いた空気調和機であれば、四方弁4と圧縮機1の間にドライヤ5を接続したとしても、圧力損失及び吸着剤の劣化の影響も少ない。
【0071】
そこで、本実施例は、ゼオライトを原料とし、圧縮機1と四方弁2の間であって、低圧の冷媒が流れる流路に配置されたドライヤ5を備え、乾き度1.0より小さい冷媒がドライヤ5に吸入される。
【0072】
このような本実施例によれば、気体状態の冷媒を吸入する場合に比べて、ドライヤ5を通過する冷媒の流速を落とすことができ、圧力損失及び吸着剤の劣化を低減することができる。
【0073】
なお、本実施例では、膨張手段4の開度を制御することで、乾き度を調整するが、圧縮機1や室外ファン8の回転数を制御してもよい。
【0074】
以上説明した通り、本実施例によれば、冷房運転及び暖房運転のどちらの運転であっても、ドライヤの温度をより低温に保つことができる。そのため、ドライヤで吸着した水分が逆に放出することを防止し、空気調和機の長期信頼性を確保することができる。さらに、ドライヤ5を通過する冷媒の流速を落とし、圧力損失及び吸着剤の劣化を低減することができる。