【実施例1】
【0015】
以下、この発明の実施例を図面を参照して説明する。
図1において符号1は用水路を示し、この用水路1は河川に沿って、横断面形状が上に開いたコ字形の、例えばコンクリート製の樋のような導水路で、断面積に制限は無いが平方米(平方メートル)単位が望ましい。
【0016】
上記用水路1の下半分の部分には、矢印方向(図で左方から右方)に水流が流れている。また、この用水路は水平ではなく、河川と同じ勾配を有し、右方に向かって下がるものとする。
【0017】
用水路1中には全体を符号2で示す水車が配設されている。図面を明瞭にするため、
図1においてはこの水車は一つしか示されていないが、実際には用水路1中に多数の水車2、2が列設されている。
【0018】
この水車2は、
図1及び
図2に示すように、両端を小径にした段付の水車軸3と、この水車軸3の外周面にその基端縁を接合させるようにして、複数(図示の実施例では8枚)の平板状の羽根板4、4を放射状に結合したものである。
【0019】
上記羽根板4を水車軸に結合するには、例えば
図3に示すように、その基端縁(
図3で下端縁)に水車軸の外周面に隙間なく接合できる断面が円弧の一部をなす接合片5を一体に連設する。
【0020】
そして、この接合片5の長さ方向(
図3の紙面方向、あるいは羽根板4の幅方向)に沿って複数のビス穴(図示せず)を穿設し、一方、水車軸3の所定の角度位置における母線に沿って上記ビス穴に対応する複数のねじ孔(図示せず)を形成し、ビスに寄って羽根板4を水車軸に固定する。
【0021】
同様にして水車軸の外周面の所定の角度位置に羽根板をねじ止めし、
図1及び
図2に示すような水車(外掛け求心水車)2を構成する。
【0022】
なお、図示の実施例では角羽根板4の自由端縁部(
図3で上端縁部)が浅い樋状に成形されているが、これは平板状にしても良い。
【0023】
上記のように構成された水車は、
図2に示すように断面矩形の水車保持枠6の一対の側板7、7に形成された図示しない軸穴に水車軸3の両端の小径部を回転可能に嵌合させるようにして、水車保持枠6に支持されている。
【0024】
なお、上記一対の側板7、7を相互に連結するように、水車保持枠6の天板8及び基板9が側板7、7を介して相互に連結され、全体として断面矩形の水車保持枠6が形成されている。
【0025】
なお、水車保持枠の剛性を高めるため、天板8、一対の側板7、7及び基板9を相互に結合するには、例えば、これらをL型ブラケットを介してねじ止めし、或いは溶接する。
【0026】
また、水車を装着した水車保持枠6を用水路1中に固定するには、例えば、用水路底面に少なくとも3個のステンレス製のボルトを埴設し、一方、これに対応して水車保持枠の基板9に同数のボルト孔を穿設し、基板9をナットにより用水路底面にボルト止めする(図示せず)。
【0027】
一方、側板を貫通して側板外面に突出した水車軸の小径部を、シール装置付のベアリングに嵌合させた状態で発電機11に接続し、発電機11からの出力を防水構造のコード線を介して図示しない制御装置に接続する。
なお、上記したシール装置付のベアリングは市販されている。
【0028】
或いはまた、上記側板を貫通して側板外面に突出した水車軸3の小径部に第1傘歯車を装着し、鉛直軸の下端に装着され、第1傘歯車と噛み合い係合する第2傘歯車の回動を上記鉛直軸を介して用水路の水面上に配設された発電機に伝達する(図示せず)。
【0029】
上記のように構成されたこの発明の一実施例による発電装置は、
図1から明らかなように、矢印方向の水流に対し、水面12が水車軸3の中心より下方にあるときには水車は力強く回転し、その回転は発電機11に伝達されて発電が行われる。
【0030】
一方、河川の増水により用水路中の水量が増大すると、水面12が水車軸3を浸漬してその中心を越える。
【0031】
すると、水車軸の中心より上方の水流は水車の回転にブレーキを掛ける方向に作用するから、発電の効率が落ち、水車の全体が水中に没すると水車が停止する。
【0032】
本発明による発電装置は、増水しても水流が水車軸を浸漬しないように、用水路の始端部に絞り板13が配設されている。
【0033】
図示の実施例における絞り板13は、断面矩形の用水路の天井から斜めに垂下した板状体で、その側端縁は用水路の側壁内面に接合され、下端縁は設定された水面12に近接してこれに臨んでいる。
【0034】
このように構成することにより、河川の増水により水面12が上昇すると、水流の絞り板13の下端縁を超えた部分は絞り板13の上流側に滞留し、絞り板13を潜った水流のみが用水路1の下流に流れていくので、絞り板より下流側の水面は設定した値に保たれる。
【0035】
このような絞り板は、例えば温泉場における源泉を各旅館に分配する樋の流れ始めの部分に用いられており、その分配機能が確かめられている。
【0036】
ちなみに、図示の実施例における用水路の始端部は、
図4に示すように、河川の川底14から突出し、河川の水面15より下方に位置する取り入れ口16を有し、この取り入れ口16より下方の筒部は前記用水路1の始端筒部に接続されると共に、その断面積は用水路1の設定水面12より下の水流の断面積と同じに設定されている。
【0037】
したがって、河川の増水の始めには絞り板13の下端縁によりこそげられた水流は絞り板13の上流側に滞留するが、すぐにその滞留分の上方の空気が上記筒部を通って河川中に放出される結果、
図4に示すように、絞り板より上流側の非圧縮性の水柱の圧力が高まるので、河川の水が取り入れ口から入り難くなる。
【0038】
そのため、用水路1中の水面12のレベルが設定値に保たれる。