特許第5935171号(P5935171)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5935171
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月15日
(54)【発明の名称】モジュール式接続部を有する熱化学系
(51)【国際特許分類】
   F25B 17/08 20060101AFI20160602BHJP
   F25B 33/00 20060101ALI20160602BHJP
   F25B 35/04 20060101ALI20160602BHJP
【FI】
   F25B17/08 C
   F25B33/00 A
   F25B35/04
【請求項の数】17
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-534356(P2013-534356)
(86)(22)【出願日】2011年10月20日
(65)【公表番号】特表2013-540254(P2013-540254A)
(43)【公表日】2013年10月31日
(86)【国際出願番号】FR2011000565
(87)【国際公開番号】WO2012052634
(87)【国際公開日】20120426
【審査請求日】2014年9月19日
(31)【優先権主張番号】1004119
(32)【優先日】2010年10月20日
(33)【優先権主張国】FR
(31)【優先権主張番号】1004118
(32)【優先日】2010年10月20日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】513098651
【氏名又は名称】コールドウェイ
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】リゴード,ローレント
(72)【発明者】
【氏名】キンドベイター,フランシス
(72)【発明者】
【氏名】デュトライ,ローレント
【審査官】 横溝 顕範
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−088404(JP,A)
【文献】 特開昭53−148753(JP,A)
【文献】 特表2001−516437(JP,A)
【文献】 特表平11−513476(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 17/08
F25B 33/00
F25B 35/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応装置(1)、つまり該反応装置(1)の長手軸(xx’)に沿って配置された拡散器(17、17’)を介して前記反応装置(1)内に吸引されるガスを吸収できる反応物質(2)の貯蔵槽を有するタイプの熱化学系において、前記反応物質(2)および前記ガスは、両者が同時に存在すると、前記反応物質(2)によるガスの吸収を起こす化学反応の対象になり、逆に、前記反応物質(2)がガスを吸収すると、前記反応物質(2)に印加される加熱作用により、前記反応物質(2)に吸収されたガスが脱着される逆の化学反応の対象になる、熱化学系において、前記拡散器(17、17’)は、ガス供給手段(15a)、前記反応物質(2)へのガス送出手段(15b、19)、フィルタリング手段(17b、17c)、および加熱手段(17a、19)を備え、前記様々な手段は、前記反応装置(1)のジャケット(9)に閉塞素子(16)によって固定されるサブ集合体を形成する熱化学系であって、前記加熱手段は、前記拡散器(17’)の前記送出手段(19)で構成されることを特徴とする、熱化学系。
【請求項2】
前記サブ集合体の形状および体積は、前記サブ集合体を前記反応装置内に孔(8)を介して挿入できるようなものであり、前記孔は、挿入が行われると前記閉塞素子(16)によって閉塞できることを特徴とする、請求項1に記載の熱化学系。
【請求項3】
前記サブ集合体は、全体的に筒形状であり、前記サブ集合体を構成する様々な手段の最大直径は、前記閉塞素子(16)の直径よりも小さいことを特徴とする、請求項2に記載の熱化学系。
【請求項4】
前記閉塞素子(16)は、前記反応装置の前記ジャケット(9)に取り外し可能に固定されることを特徴とする、請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の熱化学系。
【請求項5】
前記閉塞素子(16)は、前記反応装置(1)の前記ジャケット(9)にネジ締めによって固定されることを特徴とする、請求項4に記載の熱化学系。
【請求項6】
前記拡散器(17、17’)は、前記反応物質(2)を貫通することを特徴とする、請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の熱化学系。
【請求項7】
前記加熱手段を形成する前記拡散器の前記送出手段は、とりわけステンレス鋼製の螺旋状に加熱する剛性の有線素子(19)で構成され、該素子は、ガス吸入配管(15a)を介して一方の端部にガスを供給されることを特徴とする、請求項に記載の熱化学系。
【請求項8】
前記有線素子(19)のガス供給端部は、とりわけ溶接または力を込めて押し込むことにより、前記ガス供給配管(15)と一体化されることを特徴とする、請求項に記載の熱化学系。
【請求項9】
前記加熱手段は、とりわけ前記拡散器(17)の前記送出手段(15b)に概ね螺旋状に巻き付けられた少なくとも1つの抵抗(17a)で構成されることを特徴とする、請求項1〜6のうちいずれか一項に記載の熱化学系。
【請求項10】
前記拡散器の前記送出手段(15b)は、とりわけステンレス鋼製の少なくとも1つのフィルタ(17b、17c)で覆われることを特徴とする、請求項1〜のうちいずれか一項に記載の熱化学系。
【請求項11】
前記フィルタ(17b、17c)のメッシュサイズは、約十マイクロメートルであることを特徴とする、請求項10に記載の熱化学系。
【請求項12】
前記フィルタのメッシュサイズは、約百マイクロメートルであることを特徴とする、請求項10に記載の熱化学系。
【請求項13】
前記抵抗(17a)は、前記フィルタ(17b、17c)上に配置されることを特徴とする、請求項11または12のうちいずれか一項に記載の熱化学系。
【請求項14】
前記ジャケット(9)は、複合材料で構成されることを特徴とする、請求項1〜13のうちいずれか一項に記載の熱化学系。
【請求項15】
前記ジャケット(9)の内面は、前記反応物質(2)を収容する第2の囲壁で二重になっていることを特徴とする、請求項1〜14のうちいずれか一項に記載の熱化学系。
【請求項16】
前記フィルタリング手段(17b、17c)は、前記ガス送出手段(15b、19)を完全に内包することを特徴とする、請求項1〜15のうちいずれか一項に記載の熱化学系。
【請求項17】
制御して前記液状ガスを収容するタンク(4)に前記反応装置(1)を連通させる手段(5)を有することを特徴とする、請求項1〜16のうちいずれか一項に記載の熱化学系。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、とりわけ冷房器具および/または暖房器具ならびに塩形態でのガス貯蔵系に使用するようになっているタイプの熱化学系の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
可逆性で発熱性の高い熱化学反応の特性を利用するこのような系が知られており、この系では、塩およびとりわけ塩化カルシウムまたは塩化バリウムなどの反応物質が、とりわけアンモニアなどの適切なガスを吸収する。この反応の可逆性によって、この反応が終了すると、塩を加熱することで最初のガスを回収することができ、その結果、このサイクルを繰り返すことができる。
【0003】
この特性は、仏国特許第2873793号明細書に開示されているように、冷気生成系に利用されており、この系では、熱化学系は、液相ガスを収容するタンクと連通するように制御される。2つの槽が連通すると、タンク内に収容された液状ガスは気化し、これによって一定量の熱が吸収される結果、タンクは冷却され、このガスは、反応物質によって吸収されて前述の化学反応を起こし、その結果、反応装置は、熱を除去する源になる。反応が終了すると、反応装置内に収容された物質を再加熱すれば、反応物質内に吸収されたガスが解放されるため、反応物質はタンク内で凝縮される。
【0004】
この系を使用して、前述の熱化学反応で用いたガスを貯蔵することもできる。
【0005】
現実的な構想では、熱化学系は、反応物質を収容する反応装置を備え、この反応物質の中に、これ以降の説明で拡散器と呼ぶ素子を用いてガスを導く。
【0006】
このような拡散器であれば、複数の機能、すなわち第1段階でガスを反応物質の塊の中に均質に拡散させ、第2段階で、この拡散が軸方向に起こるようにするという機能を実行することができる。実際、反応物質の加熱は、加熱用の電線が放射状であるとき、つまり電線が反応装置の中心から周囲へ走っているときの方が均質であることを確認した。
【0007】
反応装置は、反応装置をタンクに連通させる際に、反応物質の微粒子が吸収されて制御回路を閉塞することのないように、フィルタリング手段をさらに備えている必要がある。これらのフィルタリング手段は、通常は、例えばステンレス鋼製の1つまたは複数のフィルタリング素子で構成され、その多孔性は、反応物質の粒子がガス回路に進入するのを妨害するようになっている。
【0008】
また、反応装置には、反応物質がガスを吸収した後に、反応装置内に収容される物質の加熱手段を設けて、逆の熱化学反応を起こすようにする必要がある。
【0009】
その結果、反応装置の作製は、付与した様々な機能によって必要となる装置および接続部が複数になるため、操作が複雑で費用がかかるものになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】仏国特許第2873793号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、反応装置の製造時間および組立時間を短縮できるような製造である熱化学系であって、さらに、とりわけ本発明の変形例で、反応装置が実行する様々な機能、すなわちガス供給、反応物質内へのガス送出、フィルタリングおよび加熱を実施することができる様々な手段を、集中的かつ同時に設置できる熱化学系を提供して、上記の欠点を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そのため、本発明は、反応装置、つまり反応装置の長手軸に沿って配置された拡散器を介して反応装置内に吸引されるガスを吸収できる反応物質の貯蔵槽を有するタイプの熱化学系であって、反応物質およびガスは、両者が同時に存在すると、反応物質によるガスの吸収を起こす化学反応の対象になり、逆に、反応物質がガスを吸収すると、反応物質に印加される加熱作用により、反応物質に吸収されたガスが脱着される逆の化学反応の対象になる、熱化学系において、拡散器は、ガス供給手段、反応物質へのガス送出手段、フィルタリング手段、および加熱手段を備え、これらの様々な手段は、反応装置のジャケットに閉塞素子によって固定されるサブ集合体を形成することを特徴とする、熱化学系を目的とする。
【0013】
好ましくは、前記サブ集合体の形状および体積は、サブ集合体を反応装置内に孔を介して挿入できるようなものであり、この孔は、挿入が行われれば閉塞素子で閉塞可能である。
【0014】
このサブ集合体は、全体的に筒形状とすることができ、サブ集合体を構成する様々な手段の最大直径は、閉塞素子の直径よりも小さくすることができる。
【0015】
サブ集合体は、とりわけネジ締め手段によって、反応装置に取り外し可能に固定されることができる。
【0016】
このほか、加熱手段は、拡散器の送出手段で構成されてよい。このような実施形態では、加熱手段を形成する拡散器の送出手段は、とりわけステンレス鋼製の螺旋状に加熱する剛性の有線素子で構成されることができ、この素子は、ガス吸入配管を介して一方の端部にガスを供給される。
【0017】
有線素子のガス供給端部は、とりわけ溶接または力を込めて押し込むことにより、ガス供給配管と一体化されてよい。
【0018】
加熱手段は、とりわけ拡散器の送出手段に概ね螺旋状に巻き付けられた少なくとも1つの抵抗で構成されることができる。
【0019】
この加熱手段は、とりわけステンレス鋼製の少なくとも1つのフィルタリング素子で覆われることができる。少なくとも1つのフィルタリング素子は、サイズが約十マイクロメートルのメッシュを有することが好ましい。フィルタリング素子のうちの少なくとも1つは、サイズが約百マイクロメートルのメッシュを有することができる。本発明によれば、抵抗は、前記フィルタリング素子上に配置されることができる。
【0020】
フィルタリング手段は、反応物質の微粒子がガス回路を閉塞しないように、ガス送出手段を完全に内包することが好ましい。
【0021】
このほか、ジャケットは、金属およびとりわけステンレス鋼でできていてよいが、複合材料で構成されてもよい。ジャケットの内面は、第2の囲壁、つまり反応物質を収容する「ライナー」で二重にすることができる。
【0022】
「クローズ」タイプの用途では、この熱化学系は、制御して前記液状ガスを収容するタンクに反応装置を連通させる手段を有することができる。
【0023】
以下に、添付の図面を参照して、非限定的な例として本発明の一実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】反応装置を部分的に切断した概略図であり、いわゆる「オープン」タイプの用途における本発明に係る熱化学系の動作原理を示す図である。
図2a】本発明に係る熱化学系に実装した反応装置の第1の実施形態の縦方向の直径断面概略図である。
図2b図2aに示した拡散器の部分拡大図である。
図3図2bに示した拡散器の実施変形例の部分拡大図である。
図4】反応装置を部分的に切断した概略図であり、いわゆる「クローズ」タイプの用途における本発明に係る熱化学系の動作原理を示す図である。
図5】本発明に係る熱化学系に実装した反応装置の一変形例の製造方式を示す概略図である。
図6】本発明の1つの実施変形例の縦方向の直径断面部分図である。
図7】本発明のもう1つの実施変形例の縦方向の直径断面部分図である。
図8】本発明のもう1つの実施変形例の縦方向の直径断面部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の第1の実施形態では、図1に概略的に示した熱化学系は、本質的に反応装置1を備え、この反応装置は、反応物質2を収容し、制御弁5を制御することで導管6を介して外部使用手段7と連通する。これ以降で説明するように、公知の通り、反応物質および特定のガスは、反応物質が発熱性の熱化学反応によってガスを吸収したのちに、反応物質2を加熱して起こす逆の熱化学反応によってこのガスを復元することができるというものである。
【0026】
図2aおよび図2bに示した本発明の本実施形態では、反応装置1は、筒状の外ジャケット9を備え、この外ジャケットのそれぞれの端部は、概ね半球状の部分で終わることが好ましい。
【0027】
公知の通り、反応装置1内に収容される反応物質2は、例えば、好ましくは化学反応を起こさない骨材に混合された塩化カルシウムであり、この骨材は、例えば膨張天然黒鉛(GNE)で構成されて、反応物質の浸透性を増すようにし、これによって膨張天然黒鉛内部にガスを拡散しやすくする。混合が行われると、好ましくは反応装置1の長手方向xx’に圧縮される。
【0028】
反応装置1の一方の端部には、拡散器17のボスとして構成される閉塞素子16を受容するようになっている孔8があけられている。そのため、この拡散器は、ガス入出用の配管15aを備え、この配管は、使用手段7に連結し、孔8の中に設置され、半径が配管よりも大きい閉塞素子16の中を通過し、閉塞素子は拡散器を、例えば溶接10によって反応装置1のジャケット9に固定するようになっている。拡散器17は、反応装置のジャケット9の全長に沿って反応装置1の内部に延び、孔の割合が10から90%となるように孔をあけられた管状部15bの中を通過する。
【0029】
管状部15bの第1の機能は、全長に沿って反応物質2の塊の中にガスを規則的に拡散しやすくすることである。この管状部は、このガスの拡散を反応物質内に放射線状に行うという第2の機能も有する。実際に、反応物質2の浸透性は、この方向が圧縮方向xx’に垂直であるかぎり、このような方向で最適であることを確認した。本発明の本実施形態では、拡散器17の管状部15bは、さらに加熱の機能も行う。
【0030】
このようにするために、好ましくはステンレス鋼製の加熱線17aが、拡散器の穿孔部15bに巻き付けられ、その給電線16aおよび16bは、閉塞素子16を貫通して図示していない外部の電源に向かう。
【0031】
加熱線17aは、とりわけステンレス鋼製の筒状スリーブ17bで覆われ、このスリーブのメッシュ寸法は、約十マイクロメートルであることが好ましい。場合によっては、この集合体自体が、さらに多孔性の大きいステンレス鋼メッシュで作製された第2の筒状スリーブであって、そのメッシュ寸法が好ましくは約百マイクロメートルである第2の筒状スリーブ17c内に挿入される。2つのスリーブ17bおよび17cは、そのいずれかの端部が閉塞素子16に当接し、その別の端部が反応装置の底部と接触して、反応物質2にガスが入出するのを隔離するようにして、反応物質の微粒子が制御素子5を閉塞しないようにする。第2のスリーブ17cの直径が、閉塞素子16の直径を下回るようにして、第2のスリーブが孔8を通って反応装置の内部を貫通できるようにする。
【0032】
本発明によれば、このようにして拡散器17を構成し、この拡散器は、上記に列挙した様々な機能、すなわちガス供給、ガス送出、フィルタリング、および反応物質の加熱を実現できる素子をすべて備えるサブ集合体を形成し、このサブ集合体は、次に、反応物質2が反応装置内に設置されると、閉塞素子16を介してジャケット9に固定される。反応装置の組立は、サブ集合体である拡散器を構成する全素子を事前に組み立てることができ、集中的かつ同時に、つまり単一操作で設置できる限り、大幅に簡易化されることがわかる。
【0033】
図3に示したように、サブ集合体の外部、すなわち第2のフィルタリング素子17cの上に加熱線17aを配置してもよい。
【0034】
図1に示した本発明に係る熱化学系を使用して、様々な技術用途につながる複数の機能を実行することができる。
【0035】
したがって、使用手段7がガス源で構成される場合、熱化学系を使用してガスを貯蔵することができる。このような機能により、複数の用途への道が開かれる。
【0036】
実際、反応装置を使用して、除去したいガス、とりわけ有毒ガスを吸収することができ、このガスを、第1段階で反応装置内に貯蔵して、第2段階で適切な手段を用いて捕捉する。
【0037】
反応装置を使用して、所定用途のために送出したいガスを貯蔵することもできる。
【0038】
特に有用な用途が、熱化学系を使用して熱および冷気を生成するという用途である。図4に概略的に示したこの用途は、これ自体が公知のものであり、この用途では、外部使用手段7はタンク4で構成され、このタンクは、反応物質2と反応することができ液相状態で貯蔵される液状ガスを収容する。
【0039】
公知の通り、この系の動作は、以下に説明するように達成される。制御弁5を開口すると、タンク4内に液相形態で貯蔵されたガスは、気化して熱を吸収し、その結果、タンク4は冷却され、生成されたガスは、拡散器17の集合体によって反応物質2の中に送出され、反応物質はこのガスを捕捉して、使用した反応物質およびガスに応じて特定の熱化学反応を起こす。この反応は、発熱性のものであるため、反応装置1は加熱される。この反応は、タンク4内にガスが残留し、反応物質が飽和しない限り続く。その後、とりわけ加熱線17aで構成される加熱手段を用いて反応装置1に熱を印加すれば、反応物質は、ガスを脱着し、ガスはタンク4に戻って凝縮される。
【0040】
例を挙げると、塩化カルシウム、およびアンモニアからなるガスで構成される反応物質の場合、この熱化学反応は、次式のようになる:
Ca(NHCl<−>Ca(NHCl+4(NH)−δH
【0041】
このような系は、潜在的に熱(反応装置1の加熱)および冷気(タンク4の冷却)を同時に貯蔵でき、かつこれが軽量であまり場所を取らない形態である限り、特に有用であることがわかる。
【0042】
反応装置1のジャケット9は、鋼鉄またはステンレス鋼以外の材料で構成されることができる。本発明の範囲内で、このジャケットは、とりわけ炭素繊維、ガラス繊維またはとりわけケブラーなどの合成材料製繊維等で織った網で形成された複合材料で構成されることができ、この網は、例えばエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂またはポリアミド樹脂などの熱硬化性樹脂または可塑性樹脂に含浸される。
【0043】
このような実施形態では、反応装置1の外ジャケットの内面は、第2のジャケット、つまりいわゆる「ライナー」である気密性を備える内ジャケット11と接触している。
【0044】
このジャケットは、金属製とすることができ、鋼鉄、ステンレス鋼、アルミニウムまたはポリエチレン、ポリアミドなどの合成材料で構成されることができる。
【0045】
このジャケットが金属製の場合、このジャケットは、厚みが薄く、1mm未満である。ジャケットの質およびその本質的機能は、使用するガスに対しても液体に対しても反応装置の完全な気密性を確保することである。
【0046】
複合式外ジャケットの機能は、反応装置に良好な機械耐性を付与することであり、このようにするために、当業者は、使用する繊維の性質および樹脂の性質ならびにジャケットの壁に与える厚みを決定できるであろう。
【0047】
図5に概略的に示した、このように実現する実施形態では、ライナー11をマンドレルとして使用して外ジャケット9を作製することができる。したがって、回転させたライナー11の外面上に炭素繊維を巻き取って、このライナーに一種のかせに仕立てることができ、このかせを、巻き取り後または巻き取りと同時に、樹脂に含浸する。
【0048】
図6に示したように、本発明に係るサブ集合体を形成する拡散器17’を作製することもでき、このサブ集合体は、線19aおよび19bを介して給電される螺旋状加熱線19を備え、この線は、閉塞素子16を貫通し、この線の剛性は、ガス入出用配管15aの一部分15dに力を込めて押し込むことができるとともに、反応物質2をその全長に沿って貫通できるほどのものである。有利には、剛性の螺旋状加熱線19は、とりわけステンレス鋼製のスリーブ状フィルタ17bで覆われ、このフィルタの孔は、約十マイクロメートルであることが好ましく、例えば溶接によって点でこの加熱線に固定される。場合によっては、集合体は、図示していないさらに孔の大きい第2のスリーブ状フィルタで覆われ、孔の値は、約百マイクロメートルであることが好ましい。このようにして、拡散器集合体17’を構成する。
【0049】
当然ながら、孔8に設置される閉塞素子16の直径をスリーブ17cの直径よりも長くして、拡散器サブ集合体を反応装置内に挿入できるようにする。
【0050】
本発明の本実施形態では、拡散器の多孔性は、10から90%であることが好ましく、加熱線19の螺旋間のスペースで形成され、その結果、この多孔性を調整するためには、剛性の螺旋状の線をある程度引いて加熱線の巻き幅を変更するだけでよい。
【0051】
図7に示した本発明の実施変形例では、拡散器17は、反応装置1のジャケット9に取り外し可能に取り付けられる。このようにするために、ジャケットは、台座13を有し、この台座には、閉塞素子16を受容するようになっているネジを切った孔があけられ、閉塞素子には、このようにするために、この孔と合致するネジ溝が設けられる。閉塞素子16は、外側が平面部20で終わり、この平面部は、気密接合部21を間に介在して台座13の外面に当接する。そのため、例えば一定時間使用した後に拡散器17を分解して、拡散器を清掃する、またはその素子のうちの1つを交換して、さらに高性能な新たな拡散器にすることができる。
【0052】
図8に示した本発明の実施変形例では、ガス供給手段、ガス送出手段、フィルタリング手段および加熱手段を備えるサブ集合体は、反応装置の底部、すなわちガス入出配管15aを孔8によって開口する壁と対面するジャケット9の壁(図示せず)から反応装置内に挿入される。このような実施形態では、閉塞素子16は、ジャケット9の外面と配管15aとの間に作製する溶接ビードで構成される。
図1
図2a
図2b
図3
図4
図5
図6
図7
図8