(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記取付部は、上端部の外径が下端部の外径よりも小さく、少なくとも上端部から所定範囲は下方にいくにつれて徐々に外径が大きくなることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の点字鋲受具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の点字鋲受具は、道具を用いて適当な連結部を切断することで当該連結部が連結していた取付部同士の間隔を変えることができるため、連結部切断前の状態において取付部の位置と床材の貫通孔の位置とがずれていても、貫通孔に取付部をセットすることが可能であった。しかしながら、特許文献1の点字鋲受具においては、切断すべき連結部を選択し、道具を用いて連結部を切断する作業が必要となるため、作業効率のさらなる向上が望まれる。
【0005】
また、従来の点字鋲受具は、当該点字鋲受具により点字鋲を取り付けた床材の施工後に、温度変化や湿度変化による膨張や収縮などによって点字鋲受具や床材の寸法が不可避的に変化した場合には対応しておらず、施工後の床材にしわなどが発生したりする可能性があるため、このような場合にも対応可能であることが望まれる。
【0006】
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、シート状の床材に点字鋲を取り付けるときの作業効率を向上させることができるとともに、施工後の寸法変化に対応することができる点字鋲受具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した目的を達成するための本発明は、点字鋲との間でシート状の床材を挟み込む点字鋲受具であって、複数整列して配置され、前記床材に形成された貫通孔に係合するとともに前記点字鋲が係合して取り付けられる筒状の取付部と、隣り合う取付部の下端部同士を連結する帯状の連結部とを一体に備え、全体として網目形状をなし、前記連結部は、前記取付部を前記貫通孔に係合させることで当該連結部が連結する取付部同士の間隔を広げる方向に所定の力が作用したときに破断または伸長する脆弱部を有することを特徴とする。
【0008】
このような構成によれば、連結部が、取付部を貫通孔に係合させることで当該連結部が連結する取付部同士の間隔を広げる方向に所定の力が作用したときに破断または伸長する脆弱部を有するので、破断前または伸長前の状態において取付部の位置と貫通孔の位置とがずれていても、連結部の切断作業などを行うことなく、点字鋲受具を床材にセットすることが可能となる。これにより、床材に点字鋲を取り付けるときの作業効率を向上させることができる。
【0009】
また、連結部が脆弱部を有するので、点字鋲受具により点字鋲を取り付けた床材の施工後に、温度変化などによって点字鋲受具や床材の寸法が変化した場合であっても、脆弱部が形成された連結部によって連結された取付部同士に当該取付部同士の間隔を広げる方向に所定の力が作用したときには破断することができる。これにより、施工後の寸法変化に対応することができる。
【0010】
前記した点字鋲受具において、前記脆弱部は、前記連結部のうち前記脆弱部以外の部分よりも幅狭に形成されている構成とすることができる。また、前記した点字鋲受具において、前記脆弱部は、前記連結部のうち前記脆弱部以外の部分よりも厚さが薄く形成されている構成とすることができる。
【0011】
前記した点字鋲受具において、前記取付部は、上端部の外径が下端部の外径よりも小さく、少なくとも上端部から所定範囲は下方にいくにつれて徐々に外径が大きくなる構成とすることができる。
【0012】
これによれば、取付部を貫通孔に係合させやすくなるので、点字鋲受具を床材にセットしやすくなり、床材に点字鋲を取り付けるときの作業効率をより向上させることができる。また、脆弱部の破断前または伸長前の状態において取付部の位置と貫通孔の位置とがずれていても、取付部を貫通孔に良好に係合させることができるので、床材に点字鋲を取り付けるときの作業効率をより向上させることができる。
【0013】
前記した点字鋲受具において、前記取付部は、上端部と下端部の外径の差が3mm以上であることが望ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、シート状の床材に点字鋲を取り付けるときの作業効率を向上させることができるとともに、施工後の寸法変化に対応することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[第1実施形態]
次に、本発明の第1実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、点字鋲受具10は、シート状の床材の一例としてのタイルカーペット20に点字鋲30を取り付けるための器具であり、複数の点字鋲30との間でタイルカーペット20を挟み込んだ状態で点字鋲30が取り付けられることで、タイルカーペット20に点字鋲30が設けられた構造体(以下、タイルカーペット構造体1という。)を構成する。
【0017】
この点字鋲受具10は、
図2に示すように、5×5の格子状に複数整列して配置された取付部11と、隣り合う取付部11の下端部同士を連結する連結部12とを備えて構成され、全体として網目形状、より具体的には格子状をなしている。このような点字鋲受具10は、耐衝撃性に優れた樹脂材料、例えば、ポリプロピレンやポリエチレンなどを射出成形することなどによって、取付部11と連結部12が一体に一器具として形成されている。
【0018】
図2および
図3に示すように、取付部11は、略円筒状に形成された取付部本体13と、取付部本体13の下端部に形成された略円板状の鍔部14とを有して構成されている。この取付部11には、上下に貫通する取付穴15が形成され、この取付穴15に点字鋲30の後述する脚部32が嵌め込まれて係合することで、取付部11に点字鋲30が取り付けられる。
【0019】
図3に示すように、取付穴15は、内径の異なる3つの部位、具体的には、上から順に、上から下に向けて内径が徐々に縮径する縮径部15aと、縮径部15aの下端から連続して延びる小径部15bと、小径部15bの下端に位置する小径部15bよりも内径が大きい大径部15cとを有している。なお、取付穴15は、貫通した穴ではなく、底のある穴(すなわち凹部)であってもよい。
【0020】
取付部11は、取付部本体13の上端部13aの外径D1が、取付部本体13の下端部13bの外径D2よりも小さくなっている。さらに説明すると、取付部11は、取付部本体13の外周部上端(以下、曲面部13cという。)が大きく丸み付けされた断面視略円弧形状をなしていることで、上端部13aから所定範囲P1が下方にいくにつれて徐々に外径が大きくなるように形成されている。上端部13aと下端部13bの外径の差(D2−D1)は、3mm以上であることが望ましい。
【0021】
このような取付部11は、一例として、その外径(取付部本体13の下端部13bの外径D2)を14.5mm、高さを5.2mmとしたとき、縮径部15aの上端の内径を6mm、縮径部15aの下端および小径部15bの内径を5mm、大径部15cの内径を5.5mm、鍔部14の外径を28mm、鍔部14の厚さ(高さ方向の寸法)を0.5mm、曲面部13cのRを2mmなどとして形成することができる。なお、本実施形態において、曲面部13cのRは、樹脂材料の射出成形などによって部材の角部に不可避的に形成されるRよりも大きくなっている。
【0022】
連結部12は、
図2の上下方向または左右方向において隣り合う取付部11の鍔部14同士を連結する帯状の部位であり、それぞれ長手方向の中央付近に脆弱部16を有している。脆弱部16は、連結部12の長手方向中央付近の両縁部が略半円状に切り欠かれたような形状をなしていることで、連結部12のうち脆弱部16以外の部分よりも幅(短手方向の寸法)が狭くなるように形成されている。また、
図3に示すように、脆弱部16は、連結部12のうち脆弱部16以外の部分よりも厚さが薄く形成されている。
【0023】
このような連結部12は、一例として、その長さ(長手方向の寸法)を32mm、脆弱部16以外の部分の幅を5mm、脆弱部16以外の部分の厚さを0.5mmとしたとき、脆弱部16の幅(最少幅)を1.25〜2.5mm、脆弱部16の厚さを0.3mm以下などとして形成することができる。なお、本実施形態において、連結部12のうち脆弱部16以外の部分と鍔部14とは、厚さが同じ(例えば0.5mm)となるように形成されている。
【0024】
なお、脆弱部16は、後述するように、脆弱部16が形成された連結部12によって連結された取付部11同士に当該取付部11同士の間隔を広げる方向に所定の力が作用したときに破断するが、点字鋲受具10を持ち運ぶときには破断しないように幅や厚さなどが設定されている。
【0025】
図1に示すように、タイルカーペット20は、デパートやホテル、病院、介護施設、劇場、コンサートホールなどの床面に敷設されるタイル状かつシート状の敷物であり、
図4(a)に示すように、ゴムなどから形成された基層21と、基層21の表面に形成された繊維層22とを備えて構成されている。このタイルカーペット20は、少なくとも点字鋲受具10よりも大きな寸法(例えば500mm×500mmなど)で形成されている。
【0026】
このタイルカーペット20は、点字鋲受具10の取付部11と略対応した位置に形成された複数の貫通孔20aを有している。貫通孔20aは、取付部11の取付部本体13と係合可能な寸法(径)の略円形状をなしており、繊維層22と基層21の両方を貫通して形成されている。このような貫通孔20aは、例えば、工場におけるタイルカーペット20の製造工程の途中で複数が一度に形成されたものであってもよいし、タイルカーペット構造体1の施工現場において1つずつ形成されたものであってもよい。
【0027】
図4(b),(c)に示すように、点字鋲30は、扁平な略円錐台形状をなす点字鋲本体31と、点字鋲本体31の下面中央から下方へ延びる脚部32と、点字鋲本体31の下面に形成された2つの突起部33とを備えて構成されている。この点字鋲30は、例えば、樹脂材料や金属材料、これらを組合せた材料などから形成することができる。
【0028】
脚部32は、略円柱状をなす脚部本体32aと、脚部本体32aの下に設けられた抜け止め部32bとを主に有している。抜け止め部32bは、その上端部の外径が脚部本体32aの外径よりも大きく、下端部の外径が脚部本体32aの外径よりも小さくなっており、上端部から下端部に向けて徐々に縮径する形状に形成されている。点字鋲30は、脚部32が取付部本体13の取付穴15に嵌め込まれて係合することで、点字鋲受具10に取り付けられ固定されることとなる。脚部32の抜け止め部32bは、取付穴15の小径部15bと大径部15cとの境に形成される段差に引っ掛かることで、点字鋲30の抜け止めとして作用する。
【0029】
2つの突起部33は、脚部32を挟んで対向するように形成され、かつ、点字鋲30を取付部11に取り付けたときに取付部本体13に干渉しない位置、すなわち、取付部本体13よりも外側に位置するように形成されている。点字鋲30は、点字鋲受具10に取り付けられたとき、突起部33がタイルカーペット20に食い込むことでその回転が抑制されることとなる。また、点字鋲30は、突起部33の先端が繊維層22よりも固い基層21に食い込むように当接することで、連結部12や鍔部14との間で基層21(すなわちタイルカーペット20)を挟んだ状態で保持する。これにより、タイルカーペット20が
図4(c)の上下や左右などに動くことを抑制することができる。
【0030】
以下、点字鋲受具10を用いたタイルカーペット20に点字鋲30を取り付けるときの作業、言い換えれば、タイルカーペット構造体1の組立作業の説明をしながら、本実施形態に係る点字鋲受具10の作用効果について説明する。
【0031】
最初に、
図2に示した点字鋲受具10の取付部11の位置とタイルカーペット20に形成された貫通孔20aの位置とがほとんどずれていない場合の、タイルカーペット構造体1の基本的な組立作業について説明する。
この場合、
図1に示すように、まず、点字鋲受具10を、平坦な面に置くように設置する。ここでの平坦な面は、タイルカーペット構造体1の敷設面であってもよい。
【0032】
次に、点字鋲受具10の取付部11とタイルカーペット20の貫通孔20aとの位置を合わせつつ、点字鋲受具10の上にタイルカーペット20を設置する。これにより、取付部11と貫通孔20aが係合して、点字鋲受具10がタイルカーペット20にセットされる。
【0033】
その後、タイルカーペット20の貫通孔20aに係合した取付部11の取付穴15に点字鋲30の脚部32を嵌め込んで係合することで、点字鋲30を点字鋲受具10に取り付けていく。そして、すべての点字鋲30を点字鋲受具10に取り付けることで、タイルカーペット20に点字鋲30が取り付けられたタイルカーペット構造体1を形成することができる。
【0034】
本実施形態の点字鋲受具10は、取付部11が連結部12を介して相互に連結されているので、タイルカーペット20の複数の貫通孔20aに複数の取付部11をまとめてセットすることができる。これにより、タイルカーペット20に点字鋲30を取り付けるときの作業効率を向上させることができる。
【0035】
また、取付部11(取付部本体13)は、
図3に示したように、上端部13aから所定範囲P1が下方にいくにつれて徐々に外径が大きくなる曲面部13cを有するので、タイルカーペット20の貫通孔20aに係合させやすくなっている。これにより、点字鋲受具10をタイルカーペット20にセットしやすくなるので、タイルカーペット20に点字鋲30を取り付けるときの作業効率をより向上させることができる。
【0036】
次に、
図2に示した点字鋲受具10の取付部11の位置とタイルカーペット20に形成された貫通孔20aの位置とがずれていた場合の、タイルカーペット構造体1の組立作業について説明する。なお、取付部11の位置と貫通孔20aの位置がずれる原因としては、例えば、タイルカーペット構造体1の施工現場において1つずつ貫通孔20aを形成した場合や、温度変化や湿度変化による膨張や収縮などによって点字鋲受具10やタイルカーペット20(基層21)の寸法が不可避的に変化した場合などが挙げられる。
【0037】
この場合、
図4(a)に示すように、まず、点字鋲受具10を平坦な面に設置する。
次に、取付部11と貫通孔20aとの位置を可能な範囲で合わせつつ、点字鋲受具10の上にタイルカーペット20を設置していく。このとき、隣り合う貫通孔20aの間隔が隣り合う取付部11の間隔よりも大きくなるところがあるが、多少強引に取付部11を貫通孔20aに係合させていく。
【0038】
そうすると、隣り合う取付部11同士の間隔を広げる方向の力が、当該取付部11同士を連結する連結部12に作用し、その力が所定以上となったとき、
図4(b)に示すように、当該連結部12の脆弱部16が破断する。これにより、隣り合う取付部11同士の間隔が大きくなるので、各取付部11が対応する貫通孔20aに係合することとなる。
【0039】
その後は、貫通孔20aに係合した取付部11の取付穴15に点字鋲30の脚部32を嵌め込んで係合することで、
図4(c)に示すように、点字鋲30を点字鋲受具10に取り付けていき、すべての点字鋲30を点字鋲受具10に取り付けることでタイルカーペット構造体1を形成することができる。
【0040】
以上のように、本実施形態の点字鋲受具10は、連結部12が脆弱部16を有するため、脆弱部16の破断前の状態において取付部11の位置と貫通孔20aの位置とがずれていても、連結部12の切断作業などを行うことなく、点字鋲受具10をタイルカーペット20にセットすることができる。これにより、タイルカーペット20に点字鋲30を取り付けるときの作業効率をより向上させることができる。
【0041】
また、取付部11(取付部本体13)が曲面部13cを有するので、脆弱部16の破断前の状態において取付部11の位置と貫通孔20aの位置とがずれていても、曲面部13cにより取付部11を貫通孔20aに比較的良好に係合させることができる。これにより、タイルカーペット20に点字鋲30を取り付けるときの作業効率を一層向上させることができる。
【0042】
なお、上記したような本来的な使用方法ではないが、取付部11の位置と貫通孔20aの位置がずれていることが予め分かっている場合には、位置がずれている貫通孔20aに対応した取付部11を連結する連結部12を予め手で切っておいてもよい。この場合であっても、連結部12が脆弱部16を有することで、道具などを使用することなく切る(破断させる)ことができるので、タイルカーペット20に点字鋲30を取り付けるときの作業効率を向上させることができる。
【0043】
また、本実施形態の点字鋲受具10によれば、さらに以下のような作用効果を得ることができる。
点字鋲受具10は、連結部12が脆弱部16を有するので、タイルカーペット構造体1の施工後に、温度変化などによって点字鋲受具10やタイルカーペット20の寸法が変化した場合であっても、脆弱部16が形成された連結部12によって連結された取付部11同士に当該取付部11同士の間隔を広げる方向に所定の力が作用したときには破断することができる。これにより、タイルカーペット構造体1を設置した後の点字鋲受具10などの寸法変化にも対応することができる。
【0044】
また、点字鋲受具10は、点字鋲30との間でタイルカーペット20を挟み込むように保持するので、タイルカーペット20からの点字鋲30の脱落を抑制することができる。特に、本実施形態では、取付部11が鍔部14を有していることで、鍔部14と点字鋲30との間でタイルカーペット20を挟み込むことができるので、連結部12(脆弱部16)が破断した場合であっても、点字鋲30の脱落を抑制することができる。
【0045】
また、点字鋲受具10は、
図2に示したように、格子状(網目形状)をなし、ベースとなる連結部12や鍔部14の厚さが一例として0.5mmなどと薄く形成されているので、材料コストを抑えることができる。また、点字鋲受具10は、網目形状をなし、連結部12などが薄く形成されていることに加え、樹脂材料から形成されているので、軽量であり、大量に持ち運ぶことが容易である。さらに、複数の取付部11が連結部12によって連結されて一体となっているので、持ち運ぶときなどの取り扱いが容易である。なお、連結部12や鍔部14の厚さは、0.5mm以下であることが望ましい。
【0046】
また、点字鋲受具10は、樹脂材料から網目形状をなすように連結部12などが薄く形成されていることで、柔軟性に富むので、敷設される床の凹凸になじみやすく、床からの浮き上がりを抑制することができる。これにより、歩行する人が踏んだときの違和感を感じにくくすることができる。特に、本実施形態では、連結部12(脆弱部16以外の部分)と鍔部14の厚さが同じなので、踏んだときの違和感をより感じにくくすることができる。
【0047】
また、点字鋲受具10は、連結部12などが薄く形成され、網目形状をなしているので、網目を通して、タイルカーペット20(基層21)の下面と敷設面とをいわゆるピールアップ接着剤を用いて接着することができる。これにより、タイルカーペット20(タイルカーペット構造体1)のずれを抑制することができるとともに、タイルカーペット構造体1の交換が容易となる。
【0048】
次に、
図5を参照しながら本実施形態の変形例に係る点字鋲受具40の構成について説明する。なお、以下の説明では、先に説明した実施形態と同様の構成要素については、同一符号を付して、その説明を省略することとする。
【0049】
図5(a)に示すように、変形例に係る点字鋲受具40は、取付部11と連結部12とを備えて構成され、全体として網目形状(
図2参考)をなしている。取付部11は、略筒状に形成された取付部本体43と、取付部本体13の下端部に形成された鍔部14とを有して構成され、取付部本体43は、上端部43aの外径が下端部43bの外径よりも小さくなっている。そして、本変形例の取付部11は、上端部43aから、所定範囲P2、具体的には、鍔部14の上面の高さ位置までが下方にいくにつれて徐々に外径が大きくなるように、取付部本体43の外周面43cがテーパ面として形成されている。上端部43aと下端部43bの外径の差は、3mm以上であることが望ましい。
【0050】
このような構成によっても、取付部11をタイルカーペット20の貫通孔20aに係合させやすくなるので、点字鋲受具40をタイルカーペット20にセットしやすくすることができる。また、
図5(a)に示すように、脆弱部16の破断前の状態において取付部11の位置と貫通孔20aの位置とがずれていても、
図5(b)に示すように、テーパ面として形成された外周面43cにより取付部11を貫通孔20aに良好に係合させることができる。
【0051】
なお、本変形例においても、連結部12が脆弱部16を有するので、取付部11の位置と貫通孔20aの位置とがずれていても、取付部11を貫通孔20aに係合させていく途中で脆弱部16に所定の力が作用して脆弱部16が破断することで、道具を使用することなく点字鋲受具40をタイルカーペット20にセットすることができる。そして、
図5(c)に示すように、点字鋲30を点字鋲受具40に取り付けることでタイルカーペット構造体1を形成することができる。
【0052】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
前記した第1実施形態では、
図1などに示したように、警告用の点字鋲30(点状突起)に対応した点字鋲受具10について説明した。本実施形態では、
図6に示すように、誘導用の点字鋲60(線状突起)に対応した点字鋲受具50について説明する。ここで、点字鋲60は、平面視長方形の扁平な略四角錐台形状をなす点字鋲本体61と、点字鋲本体61の下面の長手方向両端部と中央部からそれぞれ下方へ延びる合計3つの脚部32とを主に備えて構成されている。
【0053】
図7に示すように、本実施形態の点字鋲受具50は、3×4の格子状に複数整列して配置された取付部11と、第1連結部12および第2連結部17とを備えて構成され、全体として網目形状をなしている。第1連結部12は、4つの点字鋲60が並ぶ方向である
図7の左右方向において隣り合う取付部11の下端部(鍔部14)同士を連結する帯状の部位であり、それぞれその長手方向中央付近に脆弱部16を有している。また、第2連結部17は、点字鋲60の長手方向である
図7の上下方向において隣り合う取付部11の下端部(鍔部14)同士を連結する帯状の部位であり、それぞれその長手方向中央付近に、第1連結部12の脆弱部16と同様の構成を有する脆弱部18を有している。
【0054】
本実施形態に係る点字鋲受具50によれば、
図6に示すように、4つの点字鋲60が並ぶ方向において隣り合う貫通孔20aの位置が、当該方向において隣り合う取付部11の位置に対してずれていた場合には、取付部11を貫通孔20aに係合させていく途中で脆弱部16に所定の力が作用して脆弱部16が破断することで、道具を使用することなく点字鋲受具50をタイルカーペット20にセットすることができる。これにより、タイルカーペット20に点字鋲60を取り付けるときの作業効率を向上させることができる。
【0055】
また、点字鋲受具50は、各連結部12,17が脆弱部16,18を有するので、タイルカーペット構造体1の施工後に温度変化などによって点字鋲受具50やタイルカーペット20の寸法が変化した場合であっても、脆弱部16,18が破断することで、そのような寸法変化に対応することができる。
【0056】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、下記のように本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0057】
前記実施形態では、脆弱部16は、連結部12のうち脆弱部16以外の部分よりも幅狭に形成され、かつ、連結部12のうち脆弱部16以外の部分よりも厚さが薄く形成されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、脆弱部は、連結部のうち脆弱部以外の部分よりも幅狭に形成され、厚さは脆弱部以外の部分と同じであってもよい。また、脆弱部は、連結部のうち脆弱部以外の部分よりも厚さが薄く形成され、幅は脆弱部以外の部分と同じであってもよい。また、脆弱部は、連結部にミシン目などの切れ目を形成した構成などであってもよい。
【0058】
前記実施形態では、脆弱部16は、当該脆弱部16を有する連結部12が連結する取付部11同士の間隔を広げる方向に所定の力が作用したときに破断する構成であったが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、脆弱部は、当該脆弱部を有する連結部が連結する取付部同士の間隔を広げる方向に所定の力が作用したときに伸長する構成であってもよい。また、脆弱部は、途中までは伸長し、最終的には破断するように構成されていてもよい。
【0059】
前記実施形態で示した取付部本体13や鍔部14の形状は一例であり、本発明は前記実施形態で示した形状に限定されるものではない。例えば、取付部本体は、平面視六角形状や八角形状などの多角形の筒状であってもよいし、鍔部は、平面視六角形状や八角形状などの多角形の板状であってもよい。
【0060】
前記実施形態では、取付部11が取付部本体13と鍔部14とを有して構成されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、点字鋲受具は、取付部が鍔部を有しない構成、言い換えれば、前記実施形態の取付部本体13の下端部同士を連結部12によって相互に連結したような構成としてもよい。このような構成であっても、連結部と点字鋲との間で床材を挟み込むことができるので、床材からの点字鋲の脱落を抑制可能である。
【0061】
前記実施形態では、取付部本体13(取付部11)は、上端部13aの外径D1が下端部13bの外径D2よりも小さく、上端部13aから所定範囲は下方にいくにつれて徐々に外径が大きくなるように構成されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、取付部は、上端部から下端部までの外径が略一定であってもよい。
【0062】
前記実施形態では、取付部11に形成された取付穴15に、点字鋲30の脚部32を嵌め込んで係合する構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、取付部の上端部に上方へ突出する突出部を設け、対応する凹部を点字鋲に設けて嵌め込んで係合させる構成としてもよい。また、取付部および点字鋲のうちの一方に係止爪を設けるとともに、取付部および点字鋲のうちの他方に前記した係止爪と係合可能な係合部を設けて係合させる構成としてもよい。さらに、脚部32や前記した突出部などに雄ねじ部を設け、取付穴15や前記した凹部に雌ねじ部を設けて係合(螺合)させる構成としてもよい。
【0063】
前記実施形態では、連結部12は、
図2の上下方向または左右方向において隣り合う取付部11同士を連結するように設けられていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、
図2を参考にして説明すると、連結部は、
図2の斜め方向において隣り合う取付部同士を連結するように設けられていてもよい。
【0064】
前記実施形態では、シート状の床材としてタイルカーペット20を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、床材は、タイル状ではなく、ロール状などであってもよい。また、繊維系の床材は、カーペットに限定されず、例えば、絨毯やマット、ラグなどであってもよい。また、床材は繊維系に限定されず、例えば、樹脂系の床用タイルなどであってもよい。