(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1視点用の画像を表示する画素及び前記第2視点用の画像を表示する画素をサブ画素とし、前記開口部をデータ線とゲート線及び蓄積容量電極で囲まれた領域と定義した場合に、
前記表示パネルのサブ画素配列は1本の前記ゲート線を挟み配置された前記第2の方向に並ぶ2つのサブ画素からなる隣接画素対を基本単位として構成され、
前記2つのサブ画素がそれぞれ有するスイッチング手段は、前記2つのサブ画素に挟まれた共通の前記ゲート線によって制御され、かつ異なる前記データ線に接続され、
前記スイッチング手段のうちの1つの電極が前記蓄積容量電極と容量を形成し、
前記蓄積容量電極は前記表示単位における前記サブ画素間の境界領域に少なくとも配置された蓄積容量線と電気的に接続される、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像表示装置。
前記第1視点用の画像を表示する画素及び前記第2視点用の画像を表示する画素をサブ画素とし、前記開口部をデータ線とゲート線及び蓄積容量電極で囲まれた領域と定義した場合に、
前記表示パネルのサブ画素配列は1本の前記データ線を挟み配置された前記第2の方向に並ぶ2つのサブ画素からなる隣接画素対を基本単位として構成され、
前記2つのサブ画素がそれぞれ有するスイッチング手段は、前記2つのサブ画素に挟まれた前記データ線に共通に接続され、かつ異なる前記ゲート線によって制御され、
前記スイッチング手段のうちの1つの電極が前記蓄積容量電極と容量を形成し、
前記蓄積容量電極は前記隣接画素対における前記サブ画素間の境界領域に少なくとも配置され、
前記サブ画素の前記第1の方向へ幅をN+1等分に分割する前記第2の方向と平行な仮想線を仮定した場合に、前記蓄積容量電極と電気的に接続するN本の蓄積容量線は、それぞれ前記開口部において前記仮想線のうち少なくとも1本を跨って配置される、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施形態に係る画像表示装置について、図面を参照して説明する。
【0039】
[第1実施形態]
以下、本実施形態に係る画像表示装置、画像表示装置に搭載される表示パネル、画像表示装置を搭載した端末装置、及びその駆動方法について説明する。
【0040】
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係る画像表示装置1は、表示パネル2、レンチキュラレンズ3、バックライト15から構成される。表示パネル2は液晶分子を利用した電気光学素子であり、ピクセル4Pがマトリクス状に並べられた表示素子である。レンチキュラレンズ3は、表示パネル2の表示面側、すなわち使用者側に配置される。バックライト15は表示パネル2の背面側に配置される。
【0041】
図1に示すように、表示パネル2の表示部には、表示単位4U、4U’、4U’’、4U’’’がマトリクス状に並べられている。表示単位4Uは、第1視点用のサブ画素4S、及び第2視点用のサブ画素4Sから構成され、表示単位4U’、4U’’、4U’’’についても同様である。なお、第1視点用の画素が右眼用画素4Rであり、第2視点用の画素が左眼用画素4Lとなる。すなわち、表示単位4Uは視点数2からなる立体表示に対応した画素である。従って、表示パネル2は、左眼用の画像を表示するサブ画素4Sと右眼用の画像を表示するサブ画素4Sを備えた視点数2からなる立体表示用の液晶表示パネルである。
【0042】
図1及び
図2に示すレンチキュラレンズ3は、多数のシリンドリカルレンズ3aが一次元配列したレンズアレイである。シリンドリカルレンズ3aは、かまぼこ状の凸面部を有する一次元レンズである。その延伸方向、すなわち長手方向は、表示面内においてシリンドリカルレンズ3aの配列方向と直交する方向となっている。シリンドリカルレンズ3aは、延伸方向にはレンズ効果を持たず、その直交方向である配列方向にのみレンズ効果を有する。これにより、レンチキュラレンズ3はシリンドリカルレンズ3aの配列方向にのみレンズ効果を有する一次元レンズアレイとなっている。そして、シリンドリカルレンズ3aの配列方向は、左眼用画素4L及び右眼用画素4Rが繰り返し配列される方向となっている。なお、シリンドリカルレンズ3aは、前述の表示単位4U、4U’、4U’’、4U’’’と対応して配置されている。
【0043】
表示単位4U、4U’におけるTFT基板2aは、
図3に示すようなレイアウト構造を有している。
図1に示すように、表示単位4U、4U’は、画素薄膜トランジスタ4TFTとゲート線G、データ線Dとの接続関係が夫々異なるため、夫々異なるレイアウトで構成される。なお、表示単位4U’’、4U’’’についてもレイアウト構造が夫々異なる点は同様である。なお、表示単位4U、4U’、4U’’、4U’’’ において左眼用画素4L及び右眼用画素4Rを備える点は同様であるため、共通の構造について説明する場合、総じて表示単位4Uと称する。また、以下の説明において、表示単位4Uを構成する画素について共通の構造を説明する場合は、左眼用画素4Lと右眼用画素4Rを区別することなく「サブ画素」と称する。すなわち、表示単位4Uは、相互に隣接する2つのサブ画素4Sから構成されると表現することができる。また、以下の説明において、「表示部」は、表示パネル2の画面領域の全体のことを意味し、「表示領域」は、サブ画素4Sの開口部を意味するものとして区別して使用する。
【0044】
ここで、
図3に示すように、シリンドリカルレンズ3aの構造に応じて設定される光学主軸を以下のように定義する。シリンドリカルレンズ3aにおいて使用者側に向いた凸面をレンズ凸面部31と称し、隣接するシリンドリカルレンズ3a間における谷部をレンズ凹面部32と称する。そして、レンズ凸面部31においてシリンドリカルレンズ3aの長手方向に沿って延びる仮想線を第1の主軸33と称し、レンズ凹面部32においてシリンドリカルレンズ3aの長手方向に沿って延びる仮想線を第2の主軸34と称する。第1の主軸33は表示単位4Uの中央部に配置され、第2の主軸34は隣接する表示単位4U間の境界部に配置される。
【0045】
シリンドリカルレンズ3aは、前述のように、その延伸方向と直交する方向にのみレンズ効果を有する。そして、本実施形態では、このレンズ効果を有する方向が、左眼用画素4L及び右眼用画素4Rが繰り返し配列される方向と一致している。この結果、シリンドリカルレンズ3aは、左眼用画素4Lの光と右眼用画素4Rの光を異なる方向に分離可能な光線分離手段として作用する。これにより、レンチキュラレンズ3は、各表示単位4Uの左眼用画素4Lが表示する画像と、各表示単位4Uの右眼用画素4Rが表示する画像を、異なる方向に分離することができる。すなわち、レンチキュラレンズ3は、画像分離手段、または画像振分手段として作用する光学部材である。また、シリンドリカルレンズ3aは、上述のようにレンズ効果を有するため、曲率に応じて焦点が設定される。シリンドリカルレンズ3aの主点、すなわちレンズの頂点と焦点までの距離をシリンドリカルレンズ3aにおける焦点距離と定義する。本実施形態におけるシリンドリカルレンズ3aの焦点距離は、シリンドリカルレンズ3aの頂点と、サブ画素面、すなわち左眼用画素4L又は右眼用画素4Rが配置された面との間の距離に設定されている。焦点距離はこれに限定されることなく、シリンドリカルレンズ3aの曲率やレンズ位置を変更して適宜設定することもできる。
【0046】
なお、以下の説明においては、便宜上、以下のようにXYZ直交座標系を設定する。左眼用画素4L及び右眼用画素4Rが繰り返し配列される方向において、右眼用画素4Rから左眼用画素4Lに向かう方向を+X方向とし、その反対方向を−X方向とする。+X方向及び−X方向を総称してX軸方向という。また、シリンドリカルレンズ3aの長手方向をY軸方向とする。更に、X軸方向及びY軸方向の双方に直交する方向をZ軸方向とし、このZ軸方向のうち、左眼用画素4L又は右眼用画素4Rが配置された面からレンチキュラレンズ3に向かう方向を+Z方向とし、その反対方向を−Z方向とする。+Z方向は前方、すなわち、使用者に向かう方向であり、使用者は、表示パネル2の+Z側の面を視認することになる。そして、+Y方向は、右手座標系が成立する方向とする。すなわち、人の右手の親指を+X方向、人差指を+Y方向に向けたとき、中指は+Z方向を向くようにする。なお、本明細書の図面において、原点記号にバツ印を付している場合、図面手前から奥に向かう方向が正の方向であることを意味し、原点記号に黒丸を付している場合、図面奥から手前に向かう方向が正の方向であることを意味している。
【0047】
なお、以下の説明においては、X軸方向へ並ぶサブ画素のラインを行、Y軸方向へ並ぶサブ画素のラインを列として説明する。また、XY平面上において「縦」または「横」という表現を使う場合、「縦」の方向とはY軸方向と平行な方向であり、「横」の方向とはX軸方向と平行な方向として説明する。また、XY平面状において「上」または「下」という表現を使う場合、「上」または「下」の方向とは、Y軸方向と平行な方向であり、「上」側が+Y方向、「下」側が−Y方向である。
【0048】
上述の如くXYZ直交座標系を設定すると、シリンドリカルレンズ3aの配列方向はX軸方向となり、左眼用の画像と右眼用の画像は、X軸方向に沿って分離されることになる。また、左眼用画素4L及び右眼用画素4Rからなる表示単位4UがY軸方向に一列に配列される。X軸方向における表示単位4Uの配列周期は、シリンドリカルレンズ3aの配列周期と略等しくなっている。1つのシリンドリカルレンズ3aには、Y軸方向に配列した表示単位4Uの列が対応して配置されている。
【0049】
図2に示すように、表示パネル2は、TFT基板2aと対向基板2bとが微小な間隙を設定して配置されており、この間隙に液晶層5LCが配置されている。液晶層5LCは、例えば、透過型のTNモードとなるように構成されているが、これに限定されず、他の液晶モードを適用しても良い。TFT基板2aは、表示パネル2の−Z方向側に配置され、対向基板2bは+Z方向側に配置されている。すなわち、対向基板2bの更に+Z方向側にレンチキュラレンズ3が配置されている。また、TFT基板2aの+Z側、及び対向基板2bの−Z側には偏光板11が貼合されている。
【0050】
表示パネル2は、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)を有するアクティブマトリクス型の液晶表示パネルである。薄膜トランジスタは、各サブ画素に表示信号を伝送するためのスイッチとして作用し、このスイッチを操作するのは、各スイッチのゲートに接続されたゲート線を流れるゲート信号である。本実施形態においては、TFT基板2aの液晶層5LC側の面(+Z方向側の面)に、列方向(Y軸方向)に延伸するデータ線D1乃至D7が配置されている。なおデータ線D1乃至D7を総じてデータ線Dと称する。更に、TFT基板2aの同じ面には、行方向(X軸方向)に延伸するゲート線G1乃至G13が配置されている。ゲート線G1乃至G13を総じてゲート線Gと称する。データ線Dは、薄膜トランジスタに表示データ信号を供給する役割を果たす。
【0051】
本実施形態では、ゲート線GはX軸方向に延伸して、Y軸方向に複数配列している。この際に、ゲート線Gは屈曲することも可能であり、屈曲する場合は複数回の屈曲を経てX軸方向に延伸する。また、データ線Dは、屈曲しているものの、複数回の屈曲を経てY軸方向に延伸しており、X軸方向に複数配列している。そして、ゲート線Gとデータ線Dの交点近傍に、サブ画素4S(左眼用画素4L又は右眼用画素4R)が配置されている。
【0052】
特に、
図1においては、サブ画素4Sのゲート線G及びデータ線Dとの接続関係を明確にするため、例えば、データ線D3とゲート線G2に接続されたサブ画素4SをP32と表記している。すなわち、Pの次の数字がデータ線Dの後の数字であり、更にその次の数字がゲート線Gの後の数字である。
【0053】
本実施形態においては、理解を容易にするため、ゲート線Gの本数、データ線Dの本数は、説明に必要な数に限定しているが、これに限定されるものではなく、本発明の本質には影響を与えない。
【0054】
図1では、各サブ画素4Sのゲート線G及びデータ線Dに対する接続関係を示すため、
図3に示す画素薄膜トランジスタ4TFT及び画素電極4PIXを抽出して示している。また、
図3及び
図4では、各構成要素の大きさや縮尺は、図の視認性を確保するため、適宜変更して記載している。
【0055】
図1に示すように、相互に隣接するゲート線Gとデータ線Dで囲まれた領域がサブ画素4Sに対応する画素領域である。このサブ画素4S内に開口部が設けられる。
【0056】
表示パネル2は、TFT基板2aを観察者側から見ると、
図3に示すようなサブ画素の構造を有している。サブ画素4Sには、データ線D、ゲート線G、画素電極4PIX、画素薄膜トランジスタ4TFT、蓄積容量電極CS2、蓄積容量線CS、シリコン層4SIが配置されている。蓄積容量電極CS2は、蓄積容量線CSと同層で形成され、蓄積容量線CSと電気的に接続されている。蓄積容量4CSは、主に蓄積容量電極CS2とシリコン層4SIから構成される電極との間で絶縁膜を介して形成される。この蓄積容量4CSが形成される領域に対応した電極部が蓄積容量電極CS2であり、隣接したサブ画素4Sの蓄積容量電極CS2を相互に接続する配線が蓄積容量線CSである。
【0057】
画素薄膜トランジスタ4TFTは、MOS型の薄膜トランジスタであり、ソース電極又はドレイン電極の一方は、コンタクトホール4CONT1を介してデータ線Dに接続され、他方は、コンタクトホール4CONT2を介して画素電極4PIXに接続される。従って、画素電極4PIXの電位はシリコン層4SIから構成された電極と共通の電位となり、これによりシリコン層4SIから構成された電極と蓄積容量電極CS2との間で蓄積容量4CSを形成することができる。そして、画素薄膜トランジスタ4TFTのゲート電極は、ゲート線Gに接続される。更に、対向基板2bの液晶層5LC側には、対向電極4COMが形成され、画素電極4PIXとの間で画素容量4CLCが形成される。
【0058】
本実施形態では、画素電極4PIXが接続された方の電極をソース電極、信号線に接続された方の電極をドレイン電極と称する。
【0059】
なお、
図3に示すように、コンタクトホール4CONT1は灰色塗り、コンタクトホール4CONT2は黒塗りで示し、画素電極4PIXは点線で、またシリコン層4SIは太線で、夫々の形状を示している。
【0060】
図1に示すように、本実施形態では、1ピクセル4PはY軸方向に配列した3つの表示単位4Uから構成され、各表示単位4Uは、
図13に示すように、赤(RED)、緑(GREEN)、青(BLUE)に配色されている。カラーフィルタは、赤(RED)、緑(GREEN)、青(BLUE)の各色がX軸方向へ延伸しており、Y軸方向へ赤(RED)、緑(GREEN)、青(BLUE)がストライプ状に繰り返し配列している。なお、配色は3色に限定されず、1色から構成されるモノクロでもよい。また、配色の順番はこれに限定されない。また、配色の種類はこれに限定されることなく、3色以上から構成されていてもよい。本実施形態では、カラーフィルタ及びブラックマトリクスは、対向基板2bの液晶層5LC側の面に設けられている。
【0061】
1ピクセル4Pは、Y軸方向へ並ぶ3つの表示単位4Uから構成され、3行×2列のサブ画素4Sからなる正方形で構成される。従って、サブ画素4SのX軸方向のピッチPx、サブ画素4SのY軸方向のピッチPyとすると1ピクセルのピッチPuは、3×Py、または2×Pxであり、以下の関係が成り立つ。
[数1]
Pu=2×Px=3×Py
【0062】
図4に示す線分D−D’の断面は、
図5に示すような構成であり、
図4に示す線分R−R’の断面は、
図6に示すような構成となる。
【0063】
本明細書では遮光部以外の領域を開口部と定義する。本実施形態におけるブラックマトリクス60は対向基板2bの液晶層5LC側に、サブ画素4Sの開口部以外を覆う遮光部として設けられ、略平行四辺形状に開口している。
図5及び
図6に示すように、ブラックマトリクス60は、画素薄膜トランジスタ4TFT、及びゲート線G、データ線Dを覆っており、実質的に遮光部として機能する。すなわち、本実施形態においては、ブラックマトリクス60以外の領域が開口部である。
【0064】
本明細書では、「遮光部」という表現を使用するが、これは特にこのブラックマトリクス60に限定するものではなく、光を通さない部分を指すものである。従って、ブラックマトリクス60は、データ線Dまたはゲート線G上には設けず、画素薄膜トランジスタ4TFTと蓄積容量電極CS2のみを覆った構成であってもよく、その場合はデータ線Dまたはゲート線Gが遮光部として機能する。
【0065】
なお、上述のように、表示パネル2におけるサブ画素4Sは開口部の形状から実質的に平行四辺形とみなすことができるため、説明上は「平行四辺形画素」と称する。この平行四辺形画素における開口部において、上側の開口部と遮光部の境界を上辺、下側の開口部と遮光部の境界を下辺、左右で傾斜した開口部と遮光部の境界を斜辺と称する。この平行四辺形画素は、平行四辺形であるため相互に向かい合う上辺と下辺の長さは等しく、また相互に向かい合う斜辺の長さは等しい。本実施形態では、上辺、下辺の長さは斜辺の長さより大きく設定される。
【0066】
図4に示すように、X軸方向へ配列する平行四辺形画素の各々の開口部は、Y軸方向へ互いに重なる領域を有する。右眼用画素4Rと左眼用画素4Lの境界部における遮光部の幅W1は配線部を遮光する目的であるため配線部の幅に応じて設定される。配線部を効率良く配置するには、平行四辺形画素の斜辺で直線とするほうが望ましく、その場合、遮光幅は略一定となる。
【0067】
線分A−A’及び線分B−B’、線分C−C’は、X軸方向へ隣接するサブ画素4Sが互いに重なる領域に配置されたY軸と平行な線分である。特に、線分A−A’は表示単位4UにおいてX軸方向へ隣接するサブ画素4Sの境界を示す線分であり、線分B−B’及び線分C−C’は、X軸方向へ隣接する表示単位4Uの境界を示す線分である。また、線分E−E’は、表示単位4Uの中心点Ouを通り、X軸と平行な線分であり、線分F−F’はY軸方向に隣接して並ぶ表示単位4Uと表示単位4U’の境界を示す線分である。
【0068】
ここで、各配線の傾斜角度は、+Y方向を0度の軸として時計回りの方向を正として定義する。表示単位4Uにおける斜辺の傾斜角度は+θ1であり、表示単位4U’における斜辺の傾斜角度は−θ1である。すなわち、平行四辺形画素の斜辺は、X軸方向へ全て同じ傾斜角度の配線が配列しており、Y軸方向へ1行おきに傾斜角度+θ1または−θ1からなる配線が交互に配置される。
【0069】
サブ画素4Sの開口部の形状は平行四辺形であり、XY平面内の180度の回転に対して等価であり、かつ、サブ画素の中心点Or、Olを通りY軸と平行な線分R−R’、線分L−L’対して非線対称な図形から構成される。なお、開口の形状は平行四辺形に限定されず、上述のようにXY平面内の180度の回転に対して等価な形状であればよい。例えば、台形や多角形、楕円形、半円形、三日月形、曲率を含む形状に適用することができる。
【0070】
表示単位4Uは中心点Ouを有し、表示単位4UにおいてX軸方向へ相互に隣接するサブ画素4Sは、この中心点Ouに対して互いに点対称の関係となる。また、右眼用画素4Rの開口部と左眼用画素4Lの開口部は、夫々平行四辺形の対角線の交点を中心とする中心点Or、Olを有しており、この中心点Or、Olは線分E−E’に対してY軸方向に沿って互いに離れる方向へシフトして配置される。また、表示単位4Uと表示単位4U’は線分F−F’に対して線対称に配置されている。
【0071】
表示単位4Uにおけるサブ画素4S(右眼用画素4Rと左眼用画素4L)の境界部において、各々の開口部はY軸方向へ互いに重なる領域を有しており、そのX軸方向への幅はX2である。また、X軸方向へ隣接する表示単位4U間の境界において、開口部はY軸方向へ互いに重なる領域を有しており、そのX軸方向への幅はX3、X3’である。また、表示単位4Uにおけるサブ画素4S(右眼用画素4Rと左眼用画素4L)は各々の開口部がY軸方向へ互いに重ならない領域、すなわち非重なり領域を有し、そのX軸方向への幅はX1である。
【0072】
前述の通り、サブ画素4Sの開口部は、平行四辺形状の開口部がY軸方向へシフトした構造であるため、表示単位4Uにおけるサブ画素4Sの開口部の重なり幅X2は、表示単位4U間のサブ画素4Sの開口部の重なり幅X3、X3’より大きくなっている。従って、サブ画素4Sの開口部の重なり領域においては以下の関係式が成り立つ。
[数2]
X2>X3
[数3]
X2>X3’
【0073】
線分A−A’では、平行四辺形からなる開口部の頂点がY軸方向へ互いに離れるように配置され、X軸方向への重なり幅X2が大きく設定されているため、重なり領域の面積が大きい。また、線分B−B’、線分C−C’では、平行四辺形からなる開口部の頂点がY軸方向へ互いに近づくように配置され、X軸方向への重なり幅X3、X3’が小さく設定されているため、重なり領域の面積が小さい。
【0074】
本明細書では、サブ画素4Sの開口部におけるY軸方向への開口幅を縦開口幅と称する。特に、X軸方向へ隣接したサブ画素4S(右眼用画素4Rと左眼用画素4L)の各々の開口部がY軸方向へ互いに重なる領域においては、各々のサブ画素4Sの開口部におけるY軸方向への開口幅の合計値が縦開口幅となる。
【0075】
本実施形態に係る表示パネル2のサブ画素における縦開口幅の分布は、
図7(A)に示すような分布になり、画像表示装置1における明るさの分布は、
図7(B)に示すような分布となる。
図7(A)に示すように、線分A−A’における左眼用画素4Lと右眼用画素4Rの開口部におけるY軸方向の幅の合計値は、線分B−B’及び線分C−C’における左眼用画素4Lと右眼用画素4Rの開口部におけるY軸方向の幅の合計値より大きくなっている。
図7(B)に示すように、表示パネル2及びレンチキュラレンズ3を通過した光は平均化されて緩やかな分布となり、画像表示装置1に表示される。
【0076】
次に、本実施形態におけるトランジスタの構造について説明する。
【0077】
図3に示す画素薄膜トランジスタ4TFTは、半導体として多結晶シリコンを使用したポリシリコン薄膜トランジスタを使用している。多結晶シリコンは、一例では、微量のホウ素を含むP型半導体である。すなわち、画素薄膜トランジスタ4TFTは、ソース電極又はドレイン電極の電位よりもゲート電極の電位の方がローレベルとなった場合に、ソース電極とドレイン電極との間が導通状態となる所謂PMOS型の薄膜トランジスタである。
【0078】
ポリシリコン薄膜トランジスタは、一例では、TFT基板2a上に酸化シリコンからなる第1の絶縁層21を形成した後でアモルファスシリコン層を形成し、このアモルファスシリコン層を多結晶化してポリシリコン薄膜を形成する。多結晶化する手段としては、熱アニール法やレーザアニール法が用いられるが、特にエキシマレーザ等のレーザを使用したレーザアニール法は、ガラス基板の温度上昇を最小限に留めた上でシリコン層のみを加熱多結晶化することができるため、融点の低い無アルカリガラス等を使用することができる。これにより、低コスト化が可能となるため、低温ポリシリコンと称して良く用いられている。なお、このアニール工程を省くことにより、アモルファスシリコン薄膜トランジスタを実現することもできる。
【0079】
次に、シリコン層の上にゲート絶縁層として酸化シリコンからなる第2の絶縁層22を形成し、適宜パターニングする。この過程で、シリコン薄膜の半導体層として使用する部分以外の領域にイオンをドーピングして、導体化することが好ましい。パターニングの手法は、感光性レジストを使用する光パターニングの手法を適用することができる。一例では、感光性レジストをスピンコートした後に、ステッパ等の露光機で光を部分照射し、現像工程を経て、パターンを残す部分にのみ感光性レジストの膜を残す。その後、ドライエッチング等により感光性レジストの膜が残存しない領域のシリコン層を除去し、最後に感光性レジストの膜を剥離する。
【0080】
次に、ゲート電極となるアモルファスシリコン層とタングステンシリサイド層を成膜し、ゲート電極等を形成する。このとき、ゲート電極が接続するゲート線や、蓄積容量電極、蓄積容量線も同様に形成してもよい。次に、酸化シリコン層と窒化シリコン層からなる第3の絶縁層23を形成し、適宜パターニングした後に、アルミニウム層とチタン層を成膜し、ソース電極及びドレイン電極を形成する。このとき、データ線を同時に形成してもよい。
【0081】
次に窒化シリコンからなる第4の絶縁層24を成膜し、適宜パターニングした後に、ITO等の透明電極を成膜、パターニングすることにより、画素電極4PIXを形成する。これにより、薄膜トランジスタを有するサブ画素構造を形成することができる。第4の絶縁層24は平坦化機能を有することが望ましく、複数の無機膜と有機膜から構成された絶縁層としてもよい。
【0082】
なお、この薄膜トランジスタを用いて、ゲート線やデータ線、蓄積容量線を駆動する回路を同時に形成することもできる。
【0083】
また、本実施形態では、ゲート線Gを順次走査するためのゲートドライバ回路は、TFT基板2a上に薄膜トランジスタと同時に形成される。これにより、表示パネル2の額縁幅を小さくすることができる。サブ画素とゲートドライバ回路をTFT基板2a上へ一体形成することによりドライバ回路の部品数を削減することができるため、低コスト化、及び、低消費電力化することができる。
【0084】
次に、本実施形態に係る画像表示装置1の構成の一例と、レンチキュラレンズ3が画像振分手段として作用するための条件について説明する。本実施形態においては、画像振分手段は、左眼用画素4Lと右眼用画素4Rが配列する第1の方向、すなわちX軸方向に沿って、各サブ画素4Sから出射した光を相互に異なる方向に振り分けなければならない。そこでまず、画像振分効果を最大限に発揮する場合について説明する。
【0085】
図8に示すように、左眼用画素4L及び右眼用画素4Rから出射された光線は、画像分離手段によって画像分離の中心軸を示す線17を中心にして夫々の光線を左眼の観察領域と右眼の観察領域へ振り分けられる。レンチキュラレンズ3の主点、すなわち頂点とサブ画素との間の距離をHとし、レンチキュラレンズ3の屈折率をnとし、レンズピッチをLとする。ここで、画像分離方向への1視点分に対応したサブ画素4SのピッチをPとおく。すなわち、本実施形態では、左眼用画素4L又は右眼用画素4Rの各1個のX軸方向へのピッチPxがPとなる。各1個の左眼用画素4L及び右眼用画素4Rからなる表示単位4Uの画像分離方向への配列ピッチPuは2Pとなる。
【0086】
また、レンチキュラレンズ3と観察者との間の距離を最適観察距離ODとし、この距離ODにおけるサブ画素の拡大投影像の周期、すなわち、レンズから距離ODだけ離れ、レンズと平行な仮想平面上における左眼用画素4L及び右眼用画素4Rの投影像の幅の周期を夫々eとする。更に、レンチキュラレンズ3の中央に位置するシリンドリカルレンズ3aの中心から、X軸方向におけるレンチキュラレンズ3の端に位置するシリンドリカルレンズ3aの中心までの距離をWLとし、表示パネル2の中心に位置する左眼用画素4Lと右眼用画素4Rからなる表示単位4Uの中心と、X軸方向における表示パネル2の端に位置する表示単位4Uの中心との間の距離をWPとする。更にまた、レンチキュラレンズ3の中央に位置するシリンドリカルレンズ3aにおける光の入射角及び出射角を夫々α及びβとし、X軸方向におけるレンチキュラレンズ3の端に位置するシリンドリカルレンズ3aにおける光の入射角及び出射角を夫々γ及びδとする。更にまた、距離WLと距離WPとの差をCとし、距離WPの領域に含まれるサブ画素数を2m個とする。
【0087】
シリンドリカルレンズ3aの配列ピッチLとサブ画素の配列ピッチPとは、相互に関係しているため、一方に合わせて他方を決めることになるが、通常、表示パネルに合わせてレンチキュラレンズを設計することが多い。このため、サブ画素の配列ピッチPを定数として扱う。また、レンチキュラレンズ3の材料を選択することにより、屈折率nが決定される。これに対して、レンズと観察者との間の観察距離OD、及び観察距離ODにおける画素拡大投影像の周期eは、所望の値を設定する。これらの値を使用して、レンズの頂点とサブ画素との間の距離H及びレンズピッチLを決定する。スネルの法則と幾何学的関係より、下記数式4乃至12が成立する。
[数4]
n×sinα=sinβ
[数5]
OD×tanβ=e
[数6]
H×tanα=P
[数7]
n×sinγ=sinδ
[数8]
H×tanγ=C
[数9]
OD×tanδ=WL
[数10]
WP−WL=C
[数11]
WP=Pu×m=2×m×P
[数12]
WL=m×L
【0088】
ここで、画像振分効果を最大限に発揮する場合について考える。それは、レンチキュラレンズ3の頂点とサブ画素との間の距離Hを、レンチキュラレンズ3の焦点距離fと等しく設定した場合である。これにより、下記数式13が成立する。そして、レンズの曲率半径をrとすると、曲率半径rは下記数式14により求まる。
[数13]
f=H
[数14]
r=H×(n−1)/n
【0089】
上記のパラメータについてまとめると、サブ画素4Sの配列ピッチPは表示パネル2により決定される値であり、観察距離OD及び画素拡大投影像の周期eは画像表示装置1の設定により決定される値である。屈折率nはレンズ等の材質により決定される。そして、これらから導出されるレンズの配列ピッチL、レンズとサブ画素との距離Hは、各サブ画素4Sからの光が観察面に投影される位置を決定するためのパラメータとなる。画像振分効果を変更するパラメータは、レンズの曲率半径rである。すなわち、レンズとサブ画素4Sとの距離Hが固定の場合には、レンズの曲率半径を理想状態から変更すると、左右のサブ画素4Sの像がぼやけて、明確に分離しなくなる。すなわち、分離が有効となる曲率半径の範囲を求めれば良い。
【0090】
まず、レンズの分離作用が存在するための、曲率半径範囲の最小値を算出する。
図9に示すように、分離作用が存在するためには、レンズピッチLを底辺とし焦点距離fを高さとする三角形と、サブ画素ピッチPを底辺としH−fを高さとする三角形とにおいて、相似の関係が成立すればよい。これより、下記数式15が成立し、焦点距離の最小値fminを求めることができる。
[数15]
fmin=H×L/(L+P)
【0091】
次に焦点距離から曲率半径を算出する。数式14を使用して、曲率半径の最小値rminは、下記数式16のように求めることができる。
[数16]
rmin=H×L×(n−1)/(L+P)/n
【0092】
次に、最大値を算出する。
図10に示すように、分離作用が存在するためには、レンズピッチLを底辺とし焦点距離fを高さとする三角形と、サブ画素ピッチPを底辺としf−Hを高さとする三角形とにおいて、相似の関係が成立すればよい。
【0093】
これより、下記数式17が成立し、焦点距離の最大値fmaxを求めることができる。
[数17]
fmax=H×L/(L−P)
【0094】
次に焦点距離から曲率半径を算出する。数式14を使用して、曲率半径の最小値rmaxは、下記数式18のように求めることができる。
[数18]
rmax=H×L×(n−1)/(L−P)/n
【0095】
以上まとめると、レンズが画像振分効果を発揮するためには、レンズの曲率半径が数式13及び数式15により示される下記数式19の範囲に存在する必要がある。
[数19]
H×L×(n−1)/(L+P)/n≦r≦H×L×(n−1)/(L−P)/n
【0096】
なお上記においては、左眼用画素4Lと右眼用画素4Rとを有する2視点の立体画像表示装置について説明したが、本実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、N視点方式の画像表示装置に対して同様に適用することができる。すなわち、N視点方式では、表示単位4UのピッチPuとサブ画素のピッチPはPu=N×Pの関係が成り立つ。この場合には、前述の距離WPの定義において、距離WPの領域に含まれるサブ画素数を、2m個からN×m個に変更すればよい。
【0097】
本実施形態の構成において、平行四辺形開口の斜辺部における頂点近傍では、遮光部の加工精度などにより、完全に縦開口率を制御するのが難しい。そこで、本実施形態においては、
図9及び
図10に示すように、レンズの焦点をサブ画素面からずらして配置することにより像をぼかし、この遮光部の加工精度に起因する影響を低減して高画質化を図ることができる。
【0098】
上述のように、レンズの焦点をサブ画素面からずらして配置することによってぼかす領域を設定し、高画質化を図る技術を以下の説明では「デフォーカス効果」と称する。また、ぼかすことのできる有効領域についてその幅を「スポット径」と称する。本実施形態では、X軸方向へ有効にぼかすことのできる幅がスポット径SPとなる。スポット径SPの大きさは、レンズ焦点の位置からの距離に従って決定されるため、レンチキュラレンズシートや、対向基板2bの偏光板11の厚みを調整することにより設定可能である。
【0099】
ここで、斜辺のX軸方向における幅をWX1とすると、
図4よりWX1=W1/sinθであり、平行四辺形開口の斜辺における頂点から頂点までのX軸方向への長さは2×X2である。このとき、レンズの焦点をサブ画素面からずらして配置した時のサブ画素面におけるスポット径SPは、WX1以上、2×X2以下の範囲にあることが好ましい。スポット径SPがWX1の場合は、平行四辺形開口の斜辺領域を複合してぼかせる限界であり、これより大きく設定することが好ましい。そして、スポット径が2×X2の場合は、ぼかすことができる領域を平行四辺形開口の斜辺と上底との交点、及び斜辺と下底の交点まで広げることができる。ただし、これよりぼかす領域が大きくなるとレンズの分離性能が低下していく。従って、レンズの分離性能を優先して設計する場合は、下記の数式20又は数式21が成立する範囲にレンズ曲率を設定することが好ましい。
[数20]
H×L×(n−1)/(L+2×X2)/n≦r≦H×L×(n−1)/(L+WX2)/n
[数21]
H×L×(n−1)/(L−WX2)/n≦r≦H×L×(n−1)/(L−2×X2)/n
【0100】
また、本実施形態においては、傾斜した蓄積容量線CSのX軸方向への幅をWX2とすると
図4よりWX2=W2/sinθ1である。蓄積容量線CSと平行四辺形の斜辺の交点を複合してぼかすのであれば、スポット径SPはWX1以上、2×(WX2+X2)以下の範囲にあることが好ましい。スポット径SPがWX1の場合は、平行四辺形開口部の斜辺領域を複合してぼかせる限界であり、これより大きく設定することが好ましい。蓄積容量線CSの加工精度が画質へ及ぼす影響が大きい場合には特に有効である。ただし、これよりぼかし量が大きくなると、3Dクロストーク量が大きくなるので好ましくない。従って、下記の数式22又は数式23が成立する範囲にレンズ曲率を設定することが好ましい。
[数22]
H×L×(n−1)/(L+2×WX2+2×X2)/n≦r≦H×L×(n−1)/(L+WX1)/n
[数23]
H×L×(n−1)/(L−WX1)/n≦r≦H×L×(n−1)/(L−2×WX2−2×X2)/n
【0101】
以上のように、サブ画素とレンズの距離を変えることによりスポット径SPを調整し、デフォーカス効果を得ることができる。しかしながら、一般的に、レンチキュラレンズ3を製造する場合、金型を用いた成型加工、フォトリソグラフィ、インクジェットなどの技術を用いることができるが、いずれの技術を用いる場合でも、隣接するシリンドリカルレンズ3aのレンズ凹面部32より、シリンドリカルレンズ3aのレンズ凸面部31の方が所定形状を確保し易く、光学的な性能はレンズ凸面部31の方が高くなる傾向がある。また、レンズ凹面部32に剥離できず残った残留物や、付着した異物は、レンズ凸面部31に比べて取り除くことが困難であり、レンズ凹面部32の光学的な分離性が低下する要因となる。そのため、レンチキュラレンズのレンズ凸面部とレンズ凹面部ではスポット径SPに差が発生し、同じ面内であってもデフォーカス効果に分布が生じる要因となる。
【0102】
図7に示すように、画像分離手段のスポット径SP2がスポット径SP1より大きい場合、大きい方のスポット径SP2を縦開口幅変動の大きい領域に適用することにより、明るさの変動、すなわち、3Dモアレをより効果的に低減することができる。また、小さい方のスポット径SP1を適用した領域では、効果的に3Dクロストークを低減できるため、3Dモアレと3Dクロストークを両立した高品質な立体表示を得ることができる。レンズ凸面部31のスポット径SP1とレンズ凹面部32のスポット径SP2は以下の関係式が成り立つ。
[数24]
SP1<SP2
【0103】
次に、本実施形態におけるサブ画素構造について、より詳細に説明する。複数視点用表示装置において、高開口率化と高画質化を達成するためには、表示単位4Uの中央部において隣接するサブ画素間の縦開口率を横方向の位置によらず略一定にしつつ、縦開口率を最大にする必要がある。なお、縦開口率とは、画像分離手段の画像分離方向(本実施形態ではX軸方向)と直交する方向(すなわちY軸方向)に延伸する線分を用いて、サブ画素を切断した際のY軸方向の開口の幅を、Y軸方向のサブ画素ピッチで除した値である。この縦開口率を、画像分離方向に依存せず略一定にした上で、縦開口率を最大にする必要がある。
【0104】
まず、ゲート線G及びデータ線Dの配置については、各サブ画素の周囲にゲート線G及びデータ線Dが配置されている方が好ましい。これにより、配線間のデッドスペースを削減して開口率の向上が可能となる。換言すれば、ゲート線G同士又はデータ線D同士が、間にサブ画素を配置することなく隣接するのは避けた方がよい。これは、同種の配線同士が隣接してしまうと、ショートを防止するため配線間に間隔を設ける必要が発生し、この間隔がデッドスペースとなって開口率が低下するからである。
【0105】
TFT基板2a側に遮光層、及びカラーフィルタを配置してもよい。これにより、重ね合わせ精度を向上できるため、遮光層の幅を小さくでき、開口効率を大きくすることができる。また、ゲート線Gを覆う遮光層の幅を小さくすることにより3Dモアレを低減することができ、表示品質を向上することができる。
【0106】
次に、本実施形態におけるサブ画素構造とレンズの作用について詳細を説明する。
【0107】
まず、本明細書における3Dモアレの定義について説明する。本実施形態に係る画像表示装置1の輝度分布は、
図11に示すような輝度分布となる。なお、横軸の観察位置Xは画像分離方向を示す角度であり、表示面に対して垂直な方向、すなわち+Z軸方向を0としている。縦軸の明るさYは、角度方向における輝度分布において+Z軸方向の輝度を100とした場合の相対輝度を示している。Y(LWRW)は、左眼用画素4L及び右眼用画素4Rの両方のサブ画素に白表示した場合の輝度分布であり、Y(LBRB)は、左眼用画素4L及び右眼用画素4Rのサブ画素に黒表示した場合の輝度分布である。また、Y(LWRB)は左眼用画素4Lに白表示し、右眼用画素4Rに黒表示した場合の輝度分布である。Y(LBRW)は左眼用画素4Lに黒表示し、右眼用画素4Rに白表示した場合の輝度分布である。
【0108】
観察者位置の+X側は右眼側に出力される画像に対応した輝度分布であり、−X側は左眼側に出力される画像に対応した輝度分布である。点線は右眼用画素4Rまたは左眼用画素4Lのうち片側のサブ画素のみに画像を出力した場合の輝度分布を示しており、太線は両方のサブ画素に画像を表示させた場合の輝度分布である。従って、点線に示す各視点に応じた輝度分布の総和は、太線の輝度分布と等しくなる。
【0109】
上記した光学手段の抱える課題に対して、線分B−B’又は線分C−C’近傍の縦開口幅の変動が大きい領域に光学分離性能が低いレンズ凹面部32を配置することにより、レンズ凹面部32ではデフォーカス効果が大きく働き、画素から出射された光をぼかして輝度分布を均一化することができる。その結果、3Dモアレを主観的に許容できる程度に低減することができる。また、線分B−B’又は線分C−C’近傍の縦開口幅の変動が大きい領域は、重なり領域の幅X3、X3’が小さく設定されているため、デフォーカス効果によってぼかされても3Dクロストークの増加を抑制することができる。一方で、線分A−A’近傍の縦開口幅の変動が小さい領域では光学的分離性能の高いレンズ凸面部31を配置し、効率的に光を振り分けることができるため、3Dクロストークを低減することができる。従って、本実施形態の表示パネル2は、画像分離手段の光学分離性能の分布に応じて3Dモアレと3Dクロストークを制御することができ、高品質な立体映像を提供することができる。
【0110】
また、
図16に示すように、画像表示装置1は観察者が表面の正面方向で視認するように設定することが多く、表示面に対して正面方向の画質が重要となる。本実施形態では、線分A−A’に設けられた光学的分離性能の高いレンズ凸面部31により、デフォーカスを小さくして正面方向へ効率よく画像分離できるため、光のロスを低減して正面方向の輝度を向上することができる。
【0111】
本実施形態に係るサブ画素は、表示単位4Uの中央部における画像分離方向への縦開口率が略一定になるように設計されているが、TFT製造プロセスやパネル製造プロセスの工程上の加工精度により完全に縦開口率が一定とはならず、観察者位置Xに対して輝度変動が生じる場合がある。特に、TFT基板2aと対向基板2bの重ね合わせがY軸方向へ大きくずれた場合は、ゲート線G部を遮光しているブラックマトリクス60の影響を受けて輝度変動が生じやすい。
図11に示すように(X0,Y0)付近に発生する輝度変動は線分A−A’を跨る遮光部に起因して発生し、(XR5,YR5)や(XL5,YL5)付近の輝度変動は線分B−B’又は線分C−C’を跨る遮光部に起因して発生する。この輝度変動は3Dモアレと呼ばれるものであり、線分A−A’、線分B−B’、線分C−C’に係る3Dモアレが、それぞれΔYC、ΔYL、ΔYRとなる。本明細書においては、以下のように定義する。
[数25]
YC=(YL1+YR1)/2
[数26]
ΔYC=(YC−Y0)/YC
ΔYL=(YL1−YL5)/YL1
ΔYR=(YR1−YR5)/YR1
[数27]
ΔYC/ΔXC=ΔYC/(XR1−XL1)/2
ΔYL/ΔXL=ΔYL/(XL1−XL5)
ΔYR/ΔXR=ΔYR/(XR5−XR1)
【0112】
また、右眼の視認範囲eR、及び左眼の視認範囲eLは以下のように定義する。
[数28]
eR=|XR2−X1|
[数29]
eL=|X1−XL2|
【0113】
上述の数式より計算した結果、3DモアレΔYCは20%、3DモアレΔYLは27%、3DモアレΔYRは25%であった。
図7に示すように、線分B−B’、線分C−C’における縦開口幅の合計値は、線分A−A’における縦開口幅の合計値より小さくなっている。
図7の開口幅Y1を基準とした変動幅は、線分A−A’における変動幅がΔH2であり、線分B−B’、線分C−C’における変動幅がΔH1である。変動幅ΔH1は、変動幅ΔH2の約4倍に達しており、線分B−B’、線分C−C’における縦開口幅の合計が急激に変動している。しかしながら、レンズ凹面部のスポット径SP2がレンズ凸面部のスポット径SP1より大きいため、
図11に示す輝度分布においては、線分B−B’、線分C−C’に対応した輝度変動が平均化され、3DモアレΔYC、ΔYL、ΔYRの差が小さくなっている。
【0114】
本発明者は、主観的な評価結果から輝度変動が30%以内であれば、観察者に違和感を与えずに表示品質を保つことができることを見出した。従って、上述の3DモアレΔYC、ΔYL、ΔYRは、いずれも主観的に許容される程度である。また、
図4に示す線分A−A’に係る縦開口率は、縦開口率の変動は30%以内におさまるように設計することが望ましく、以下の関係式が成り立つ。
[数30]
0. 7<(Y1−W1/sinθ)/Y1<1.3
【0115】
更に、サブ画素のレイアウト上における縦開口率の画像分離方向への変動が30%以上ある場合でもデフォーカス効果を適用することにより縦開口変動の大きい領域を透過した光を平均化し、3Dモアレを約半分の15%程度に低減することができる。従って、デフォーカス効果により設計上の制約を緩和することができるため、デフォーカス効果を考慮すれば縦開口率の変動は60%以内におさまるように設計すればよい。
【0116】
また、3Dクロストークは、上述の通り、ある1つの視点映像に対する他の視点映像の混入の割合である。左眼の視認範囲eLにおける3Dクロストークの最小値L_CTmin、右眼の視認範囲eRにおける3Dクロストークの最小値R_CTminは以下のように定義する。
[数31]
L_CTmin=(YL3−YL4)/(YL6−YL4)
R_CTmin=(YR3−YR4)/(YR6−YR4)
【0117】
観察者から見て、3Dクロストークの最小値L_CTmin、R_CTminは所定以下であれば、立体視認性は良好となる。主観評価結果から左眼の視認範囲eLにおける3Dクロストークの最小値L_CTmin、右眼の視認範囲eRにおける3Dクロストークの最小値R_CTminは、5〜10%以下であることが望ましいことがわかった。
【0118】
従って、3Dクロストークが上述の5〜10%以下となる観察位置X方向の幅が大きい方が良好に立体視できる範囲を大きくすることができる。ここで、3Dクロストークが所定以下となる観察位置X方向の幅について以下のように定義する。
図11に示すように、左眼の視認範囲eLにおいて立体視認性の良好な幅をCT_Lx、右眼の視認範囲eRにおいて立体視認性の良好な幅をCT_Rxと定義する。
【0119】
本実施形態では、3Dクロストークが7.5%以下となる観察位置X方向の幅を評価した。立体視認性の良好となる3Dクロストークの範囲は、角度分解能を有する光学測定装置により評価し、主観評価との対応により決定することができる。しかしながら、光学測定装置は設計仕様によって絶対量が異なる場合がある。そのため、3Dクロストーク範囲は7.5%以下となる観察位置X方向の幅に限定することなく、光学測定装置の評価結果と主観評価結果に応じて適宜決定すればよい。
【0120】
特許文献1及び特許文献2に記載された縦開口幅が画像分離方向に一定となる画素構造において、同様のレンチキュラレンズ3を用いて評価した結果、(XL1,YL1)から(XL5,YL5)、及び(XR1,YR1)から(XR5,YR5)にかけての3Dモアレは良好であった。しかしながら、(XL1,YL1)から(XL5,YL5)、及び(XR1,YR1)から(XR5,YR5)にかけての3Dクロストークが(XL1,YL1)から(X0、Y0)、及び(XR1,YR1)から(X0、Y0)にかけての3Dクロストークより大きくなった。特に、(XL1,YL1)から(XL5,YL5)、及び(XR1,YR1)から(XR5,YR5)にかけての3Dクロストークは7.5%以上となり、CT_Lx、CT_Rxの幅が原点方向へ向けて小さくなることがわかった。その結果、立体視認範囲が狭く、立体表示性能が低下することがわかった。
【0121】
本発明に係る画像表示装置1は、画像分離手段であるレンチキュラレンズ3における光学分離性能の分布に応じて表示単位4Uを配置することにより、3Dモアレを主観的に許容される範囲に抑制しつつ、3Dクロストークを低減して立体視認性の良好な範囲を大きくすることができる。さらに、表示単位4Uの中心では、光学分離性能の高いレンズ効果によって効率的に光を振り分けることができ、表示領域正面の輝度を向上することができる。
【0122】
次に、上述の如く構成された本実施形態に係る表示パネルの駆動方法、すなわち表示動作について説明する。
【0123】
本実施形態においては、表示パネル2はドット反転駆動を用いて駆動される。ドット反転駆動は、
図12に示すように、データ線1本毎に各々伝送される表示データの極性が基準電位に対して反転され、かつゲート線1本毎に各々データ線を伝送される表示データの極性が反転され、かつフレーム毎に極性が反転される駆動方法である。ドット反転駆動は1H1V反転駆動とも称される。これは、水平方向(H方向)に配列するデータ線1本毎、また垂直方向(V方向)に配列するゲート線1本毎に極性が反転しているからである。
【0124】
図13に示すように、平行四辺形画素の上辺、または下辺が相互に近づいて隣接する上下方向のサブ画素において、同じ符号の極性を有する信号が書き込まれる。この平行四辺形画素の上辺、または下辺が相互に近づいて隣接する領域が同一の極性であることにより、X軸方向に伸びるゲート線Gに沿って発生する液晶分子の配向不良やディスクリネーションを抑制することができるため、光漏れを低減し、高コントラスト化を図ることができる。また、光漏れによるコントラスト低下を抑制するために設けられるゲート線G周辺のブラックマトリクス60の幅W2を低減できるため高開口率化することができる。
【0125】
本実施形態においては、各サブ画素への表示データの書き込み時に、各サブ画素における蓄積容量線CS及び蓄積容量電極CS2の電位変動を抑制することができる。以下に詳しく説明する。
図13においてX軸方向へ相互に隣接する2つの表示単位4Uに注目すると、この表示単位4U内に配置された各サブ画素4Sのうち、共通のゲート線Gによって選択されるサブ画素4Sには同じゲート選択期間において夫々異なる極性が書き込まれる。そして、
図3に示すように、X軸方向へ配列するサブ画素4Sの蓄積容量電極CS2が共通の電位となるように、蓄積容量線CSがX軸方向に隣接するサブ画素4S間の蓄積容量電極CS2を電気的に接続している。その結果、同時にゲート期間が選択されるサブ画素4Sにおいて、蓄積容量電極CS2の電位が片側の極性に向かって変動するのを抑制することができ、蓄積容量線CS及び蓄積容量電極CS2が延伸する方向へ発生するクロストーク等を低減して、高品質な表示を実現することができる。
【0126】
さらに、夫々のサブ画素4Sにおいては、連続した2つのゲート選択期間において、正極性の表示データが書き込まれるサブ画素4Sだけでなく、負極性の表示データが書き込まれる。これにより、本実施形態における構成は、一般的なドット反転駆動を使用した上で、各蓄積容量線CSの電位変動抑制効果を実現でき、かつ平行四辺形開口の上辺または下辺が隣接するサブ画素4Sの極性を同じにできる。これにより、低コストに高画質表示を実現することができる。
【0127】
なお、ドット反転駆動における基準電位としては、画素電極4PIXに対向する共通電極の電位を挙げることができる。しかし厳密には、共通電極電位は画素薄膜トランジスタ4TFTのフィードスルーの影響を低減するために、DCオフセットを印加することが多く、基準電位とは異なるものである。
【0128】
表示パネル2は、
図14に示すように、長辺がX軸方向、短辺がY軸方向に沿って配置される。画像分離方向はX軸方向であり、ランドスケープ(横長)表示に対応した表示パネルである。表示パネル2のTFT基板2aの長辺側に、映像信号を制御するための駆動IC7が実装されている。駆動IC7の出力は、夫々、表示部6のデータ線と接続する。一般的に、駆動IC7の出力ピンピッチは、データ線のピッチより狭い。このため、駆動IC7の出力ピンから各データ線へ伸びる配線は、広がりをもつことになり、表示部6からある程度の距離をとる必要がある。また、駆動IC7には、データ信号のマルチプレクサ回路を搭載し、TFT基板2aには、駆動IC7から出力されたデータ信号をマルチプレクサ回路の動作に応じて時分割で振り分けることが可能なスイッチング回路を設けてもよい。これにより、駆動IC7から出力される接続するデータ信号の配線数を少なくすることができる。
【0129】
また、本実施形態では、ゲート線を順次走査するためのゲートドライバ回路は、TFT基板2a上に薄膜トランジスタと同時に形成される。これにより、表示パネル2の長辺側の額縁幅を小さくすることができる。また、長辺側への駆動IC7を配置し、かつ、短辺側へのゲートドライバ回路を集積することにより、表示パネル2の各片の額縁を小さくすることができる。狭額縁化により表示パネル2のサイズを小さくすることができるため、1枚のマザー基板から得られる表示パネル2の取り数を増やすことができ、低コスト化することができる。さらに、サブ画素とゲートドライバ回路をTFT基板2a上へ一体形成することにより、ドライバ回路の部品数を削減することができるため、低コスト化及び低消費電力化することができる。
【0130】
以上説明したような画像表示装置1は、サブ画素4S内のデータ線D、ゲート線G、蓄積容量電極CS2、スイッチング手段が効率良く配置されているため、開口率を向上しつつ、立体画像を高品質化することができる。
【0131】
また、表示パネル2におけるサブ画素構造において線分B−B’及び線分C−C’における縦開口幅は、線分A−A’における縦開口幅と異なる構造であり、光学手段は開口幅に応じた光学分離性能の分布を有するため、表示パネル2から出力した光を光学手段により効率よく振り分けることができ、立体画像の表示品質を向上することができる。
【0132】
また、画像表示装置1に搭載された表示パネル2は、正方形のピクセル4P内に画像分離方向へ2視点分のサブ画素4S(右眼用画素4R、左眼用画素4L)が配置されている。このため、右眼用画素4Rと左眼用画素4Lに同じ映像を出力した場合は平面表示(2D表示)となり、右眼用画素4Rと左眼用画素4Lに視差の異なる映像を出力した場合は立体表示(3D表示)となる。各サブ画素4Sは独立して駆動することができるため、立体表示(3D表示)と平面表示(2D表示)を同一画面に混在させることができる。
【0133】
また、本実施形態に係る画像表示装置1は、
図15に示すように、携帯電話9に搭載することができる。
図15(A)に示すように、画像表示装置1のX軸方向が携帯電話9の画面の縦方向となり、画像表示装置1のY軸方向が携帯電話9の画面の横方向となっている。そして、
図15(B)、(C)に示すように、携帯電話9の画面部分は回転軸をもったヒンジを備えており、自由に可動することができる。このため、表示画面の方向を使用環境に応じて変えることにより、画像分離方向、すなわちX軸方向は、視認者の両眼を結ぶ線分と略平行にして使用することができ、観察者は容易に立体表示を視認することができる。また、本実施形態における表示パネル2は狭額縁であるため、携帯機器に求められる機能性やデザイン性、操作性を制限することなく好適に携帯機器へ適用することができる。
【0134】
本実形態においては、表示単位4Uの+X側に配置されたサブ画素は左眼用画素4L、−X側に配置されたサブ画素は右眼用画素4Rとして説明したが、これに限ることなく、第1視点用の画素を右眼用画素4R、第2視点用の画素を左眼用画素4Lとしてもよい。これにより表示パネル2をXY平面で180度回転した状態であっても画像データを並び替えることによって元と同じように立体表示を視認することができる。特に、
図15に示すような携帯機器は表示画面が回転することにより操作性を高めており、機器を手に持ったときの画像表示装置1の方向によらず情報を提供することが求められるため、本実施形態に係る画像表示装置1は有効に適用できる。
【0135】
[第1実施形態 変形例]
本実施形態においては、画素薄膜トランジスタ4TFTは、ソース電極又はドレイン電極の電位よりもゲート電極の電位の方がローレベルとなった場合に、ソース電極とドレイン電極との間が導通状態となるものとして説明した。逆に、ソース電極又はドレイン電極の電位よりもゲート電極の電位の方がハイレベルとなった場合に導通状態となる所謂NMOS型の薄膜トランジスタを使用することもできる。
【0136】
更にまた、本実施形態において、サブ画素4Sのコンタクトホール4CONT1、4CONT2は、X軸方向におけるサブ画素4S中央から外れて配置されている。このサブ画素4Sの中央近傍は、レンズ等の画像分離手段で観察面に拡大投影されると、観察者の視点が配置される可能性が非常に高い。このサブ画素4Sの中央近傍にコンタクトホール4CONT1、4CONT2を配置した場合、液晶分子の配向に乱れが発生し、表示に悪影響を及ぼす可能性がある。従って、サブ画素4Sの中央付近にコンタクトホール4CONT1、4CONT2を配置すると、最も良く視認される位置において、表示画質が低下してしまう危険性が高まる。そこで、本実施形態のように、サブ画素4Sの中央近傍からコンタクトホール4CONT1、4CONT2をずらして配置することにより、表示画質の向上が可能となる。
【0137】
更にまた、本実施形態においては、上下方向に平行四辺形の上辺と下辺を近接して並ぶサブ画素4Sのペアにおいて、画素薄膜トランジスタ4TFTの配置に注目すると、サブ画素4SのX軸方向における中心線に対して、各サブ画素4Sの画素薄膜トランジスタ4TFTのX軸方向における位置が非対称に配置される。これにより、各サブ画素4Sで画素薄膜トランジスタ4TFTの位置に変化を持たせることができ、観察面の同位置に複数の画素薄膜トランジスタ4TFTの影響が重複して発生するのを抑制できるため、高画質化が可能となる。
【0138】
更にまた、本実施形態において、対向基板2bの内側には、対向基板2bとTFT基板2aの重ねズレを考慮して遮光層としてのブラックマトリクス60をTFT基板2a側のサブ画素4Sの配線幅より大きくして設けている。すなわち、TFT基板2a側の配線で構成されるサブ画素の開口部以外を覆う遮光層が形成されていてもよいものとして説明した。この遮光層は、サブ画素4Sの開口部を少なくとも一部のみ覆っていてもよく、遮光層が形成する開口部と、サブ画素4Sの開口部とが相似の形状であってもよい。また、遮光層が形成する開口部の方が小さくてもよい。これにより、TFT基板2aと対向基板2bとの位置がずれた場合でも、開口形状の変化を抑制でき、高画質化が可能となる。
【0139】
更にまた、本実施形態におけるゲート線G、データ線Dとサブ画素4Sとの接続関係は、次のように表記することもできる。すなわち、複数のデータ線Dのいずれか二本に挟まれたサブ画素4Sの列は、一方のデータ線Dに画素スイッチを介して接続するサブ画素4Sと他方のデータ線Dに画素スイッチを介して接続するサブ画素4Sとが交互に配置され、また前記複数のゲート線Gのいずれか二本に挟まれたサブ画素4Sの行は、一方のゲート線Gに画素スイッチを介して接続するサブ画素4Sと他方のゲート線Gに画素スイッチを介して接続するサブ画素4Sとが交互に配置されている。なお、このように配置するためには、データ線Dの本数は、サブ画素4Sの列の数よりも1だけ多く配置されている方が好ましい。同様に、ゲート線Gの本数も、サブ画素4Sの行の数よりも1だけ多く配置されている方が好ましい。
【0140】
本実施形態に係るレンチキュラレンズ3は、レンズ面が使用者側の方向である+Z方向の面に配置された場合の構造について説明したが、これに限定されるものではなく、レンズ面が表示パネル2側の方向である−Z方向の面に配置されていてもよい。この場合、レンズ−サブ画素間の距離を小さくすることができるため、高精細化への対応で有利である。
【0141】
更にまた、表示単位4Uは正方形から構成されてもよい。なお、正方形から構成されるとは、N視点の表示単位4UにおけるX軸方向のピッチPu=N×PxがY軸方向のピッチPyと同じであり、Pu=N×Px=Pyの関係が成り立つことを意味する。換言すれば、表示単位4Uが繰り返し配列される方向において、そのピッチは全て同じである。
【0142】
なお上述の説明は、観察面に複数個の視点を設定し、その設定した各視点に向かって表示面の全ての表示単位4Uから各視点用のサブ画素の光が出射する方式のものである。この方式は、ある定めた視点に向かって、該当する視点の光を集めるため、集光方式とも称される。集光方式には、上述の2視点方式の立体表示装置や、更に視点数を増やした多視点方式の立体表示装置が分類される。集光方式は、
図16に示すように概念的に表すことができる。
図16に示すように、画像分離の中心軸を示す線17は観察者側の視点へ向けて集光するように構成され、左右の眼で夫々独立した映像を観察することができる。集光方式は、観察者の眼に入射する光線を再現して表示する点が特徴的である。本実施形態に係る画像表示装置1は、このような集光方式に対して効果的に適用することができる。
【0143】
また、
図16に示すように、レンチキュラレンズ3に設けられたシリンドリカルレンズ3aから出射される光線方向は、観察者の視点の位置に応じて設定される。画像分離の中心軸を示す線17の方向は観察者側へ向いており、画像分離の中心軸に対して右眼用の画像と左眼用の画像は左眼55Lと右眼55Rにそれぞれ振り分けられる。シリンドリカルレンズ3aの表面は凸状に湾曲しており、Z軸方向の最も高い点が頂点となる。シリンドリカルレンズ3aの頂点に沿ってレンズ凸面部31の長手方向に延びる仮想の線分は、シリンドリカルレンズ3aと表示単位4Uのピッチが一致する場合には第1の主軸33と成り得る。しかしながら、表示面の垂直方向からシリンドリカルレンズ3aと表示単位4Uを重ねて観察した場合、本実施形態ではシリンドリカルレンズ3aのピッチLと表示単位4UのピッチPuが異なるため、シリンドリカルレンズ3aの頂点が表示単位4Uの中心線である線分A−A’と必ずしも一致するわけではない。これは、画像分離の中心軸を示す線17が観察者側の1点に集まっているため、観察点から見た画像分離の中心軸が見かけ上の光学主軸となるためである。本明細書においては、観察者の位置から見た場合の画像分離の中心軸を第1の主軸33と定義する。
図16に示すように、表示パネル2の表示部中央では、画像分離の中心軸を示す線17が表示面に対して垂直方向であり、表示面の垂直方向から観察した場合の第1の主軸33と線分A−A’が一致している。
【0144】
更に、空間像方式や空間像再生方式、空間像再現方式、空間像形成方式などと称される方式が提案されている。これらの方式は、
図17に示すように概念的に表すことができる。空間像方式は、集光方式と異なり、特定の視点を設置しない。そして、空間の物体が発する光を再現するように表示する点が異なる。このような空間像方式には、インテグラルフォトグラフィ方式やインテグラルビデオグラフィ方式、インテグラルイメージング方式の立体表示装置が分類される。空間像方式では、任意の場所に位置する観察者は、表示面全体で同一視点用のサブ画素のみを視認することはない。しかしながら、同一視点用のサブ画素が形成する所定の幅の領域は、複数種類存在することになる。この各領域では、本実施形態に係る画像表示装置1は、前述の集光方式と同様の効果を発揮できるため、空間像方式においても本実施形態に係る画像表示装置1を有効に適用することができる。
【0145】
なお、本実施形態では、「視点」を「使用者が注視する表示領域上のある点(viewing point)」という意味ではなく、「表示装置を視認する位置(observation position)」や、「使用者の眼が位置すべき点又は領域」という意味で使用している。
【0146】
また、本実施形態の画像表示装置1に搭載した表示パネル2に偏光板11を貼合せず、偏光板11をレンチキュラレンズ3の側面に設けてもよい。また、偏光板11はレンチキュラレンズ3に対して観察者側に配置してもよい。偏光板11の配置を変更することによって、簡易的にレンズの頂点とサブ画素との間の距離Hを調整することができる。これにより設計の自由度を向上することができる。また、本実施形態の画像表示装置1に搭載した画像分離手段は、レンチキュラレンズ3に限られることなく、透明領域と不透明領域とが交互に並んだ視差バリアを適用してもよい。視差バリアは、透明領域と不透明領域を液晶分子またはMEMSシャッタによりスイッチング可能な電気光学素子を用いてもよい。また、画像分離手段としては、液晶を用いた電気光学素子としてGRIN(Gradient Index)レンズを用いても、本実施形態の効果を得ることができる。
【0147】
また、本実施形態の画像表示装置1に搭載した液晶表示パネルは、TNモードの液晶駆動方式に限られることなく、その他の液晶駆動モードが適用できる。液晶駆動モードの例としては、横電界モードではIPS(インプレイン・スイッチング)方式、FFS(フリンジ・フィールド・スイッチング)方式、AFFS(アドヴァンスト・フリンジ・フィールド・スイッチング)方式等が挙げられる。また、垂直配向モードではマルチドメイン化され視野角依存性が低減されたMVA(マルチドメイン・ヴァーティカル・アライメント)方式、PVA(パターンド・ヴァーティカル・アライメント)方式、ASV(アドヴァンスト・スーパー・ヴイ)方式等が挙げられる。更に、OCB(オプティカリー・コンペンセイティド・ベンド)方式、フィルム補償TNモードの液晶表示パネルも好適に使用することができる。
【0148】
更に、本実施形態に係る表示パネル2は、電気光学素子として液晶分子を利用した液晶表示パネルであるものとして説明した。表示パネル2は、透過型液晶表示パネルだけでなく、反射型液晶表示パネル、半透過型液晶表示パネル、反射領域よりも透過領域の比率が大きい微反射型液晶表示パネル、透過領域よりも反射領域の比率が大きい微透過型液晶表示パネル等にも適用することができる。また、表示パネル2の駆動方法は、TFT方式に好適に適用できる。TFT方式における薄膜トランジスタは、アモルファスシリコンや低温ポリシリコン、高温ポリシリコン、単結晶シリコンを使用したものだけでなく、ペンタセンなどの有機物や酸化亜鉛などの酸化金属、カーボンナノチューブを使用したものにも好適に適用できる。また、本実施形態に係る表示パネル2は、薄膜トランジスタの構造には依存せず、ボトムゲート型やトップゲート型、スタガ型、逆スタガ型等を好適に使用することができる。
【0149】
本実施形態では、画素薄膜トランジスタ4TFTがダブルゲートを有するサブ画素構造について説明したが、これに限定されることなく、画素薄膜トランジスタ4TFTは、シングルゲート構造、トリプルゲート構造であってもよい。ダブルゲートやトリプルゲートなどのマルチゲート構造を適用することにより薄膜トランジスタがオフ時の光リーク電流を低減し、バックライトや画像表示装置の外部から照射された光によるTFT特性の劣化を抑制することができる。これによりフリッカやノイズ、クロストークを低減することができ、高品質な画像表示装置を提供することができる。特に、ポリシリコンを用いた薄膜トランジスタはアモルファスシリコンを用いた薄膜トランジスタと比べてソース−ドレイン間の抵抗が小さいため、上述のマルチゲート構造にすることが非常に効果的である。また、高精細画素においてバックライトの輝度を高めて明るさを得る場合に効果的である。
【0150】
更には、表示パネル2は、液晶方式以外の表示パネル、例えば有機エレクトロルミネッセンス表示パネル、又はPALC(Plasma Address Liquid Crystal:プラズマ・アドレス液晶)に適用することもできる。有機エレクトロルミネッセンス表示パネルは、非発光領域が遮光領域の役割を果たすため、非発光領域に本実施形態における遮光部の構造を適用することにより、同様の効果を得ることができる。
【0151】
更にまた、本実施形態では、端末装置として携帯電話9を例示したが、これに限定されず、PDA、パーソナルTV、ゲーム機、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ及びノート型パーソナルコンピュータ等の各種の携帯端末装置に適用することができる。また、携帯端末装置のみならず、キャッシュディスペンサ、自動販売機、モニタ及びテレビジョン受像機等の各種の固定型の端末装置に適用することもできる。
【0152】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係る画像表示装置及び画像表示装置に搭載される表示パネル、及びその駆動方法について説明する。
【0153】
本実施形態に係る画像表示装置に搭載される表示パネル2は、
図18に示すような画素薄膜トランジスタ4TFTとゲート線G、データ線Dの接続関係、
図19に示すような、サブ画素の構造を有している。また、
図19に示す線分D−D’における断面は、
図20に示すような構造となり、線分R−R’における断面は、
図21に示すような構造となる。
【0154】
本実施形態に係る表示パネル2は、
図18に示すように、TFT基板2aの液晶層5LC側の面、すなわち+Z方向側の面に、列方向、すなわちY軸方向に延伸するゲート線G1乃至G7が配置されている。TFT基板2aの同じ面には、行方向、すなわちX軸方向に延伸するデータ線D1乃至D13が配置されている。
【0155】
本実施形態では、ゲート線Gは屈曲しているものの、複数回の屈曲を経て延伸する方向はY軸方向に延伸しており、X軸方向に複数配列している。また、データ線Dは屈曲しているものの、複数回の屈曲を経て延伸する方向はX軸方向であり、Y軸方向に複数配列している。そして、ゲート線Gとデータ線Dの交点近傍に、サブ画素4S(左眼用画素4L又は右眼用画素4R)が配置されている。サブ画素4Sのゲート線G及びデータ線Dとの接続関係は、第1実施形態と同様に、Pの次の数字がデータ線Dの後の数字であり、更にその次の数字がゲート線Gの後の数字である。すなわち、本実施形態に係る画像表示装置1は、レンチキュラレンズ3の画像分離方向に対するゲート線Gとデータ線Dの延伸方向の関係が第1実施形態と異なる構成である。
【0156】
本実施形態では、「隣接画素対」という表現を使用する。これは、特に、データ線Dを挟み配置された二つのサブ画素4Sが、このサブ画素4S間に配置されたデータ線Dに接続された状態において使用するものとする。すなわち、隣接画素対を構成するサブ画素4Sは、このサブ画素4S間に配置されたデータ線Dにより、映像信号のデータ電位が供給される。例えば、
図18に示すように、Y軸方向へ並ぶ2つの画素P34とP33が隣接画素対4PAIR1を構成している。また、Y軸方向へ並ぶ2つの画素P25、P45が隣接画素対4PAIR2を構成している。以下、隣接画素対4PAIR1、4PAIR2について共通の構造を説明する場合、総じて4PAIRと称する。
【0157】
隣接画素対4PAIRを構成する各サブ画素4Sは、夫々異なるゲート線Gによりスイッチング動作が制御される。
図19に示す左側の隣接画素対4PAIR1では、−Y方向側のサブ画素4Sは−X方向側に配置されたゲート線Gによって制御され、+Y方向側のサブ画素4Sは+X方向側に配置されたゲート線Gによって制御される。
【0158】
そして、データ線Dの延伸方向、すなわちX軸方向に隣り合う隣接画素対4PAIRは、共通のデータ線Dに接続されず、異なるデータ線Dに接続されている。これは、隣接画素対4PAIRが、X軸方向においては、Y軸方向にサブ画素4S一つ分だけずれた状態で隣り合っているからである。このように配置することにより、必要な配線数を最小限に抑えることができるため、開口率の向上が可能となる。
【0159】
ここで、再度
図18を参照して、本実施形態に係るサブ画素の配置関係を確認する。まず、画素P31と画素P32から構成される隣接画素対に着目する。理解を容易にするため、以下の説明では、このような隣接画素対の表記を(P31、P32)とすることにする。すると、隣接画素対(P31、P32)に対し、+X方向には、隣接画素対(P23、P22)、及び(P42、P43)が隣り合っている。隣接画素対(P22、P23)はデータ線D2を共通データ線としている。ここで、「共通データ線」という表現は、隣接画素対を構成する各サブ画素4Sは、このサブ画素4S間に配置された共通のデータ線Dに接続されており、この共通のデータ線Dを通じて供給されるデータ電位が所定のタイミングでそれぞれ書き込まれることを意味する。隣接画素対(P31、P32)は、データ線D3を共通データ線とするので、隣接画素対(P31、P32)と隣接画素対(P22、P23)は、夫々異なるデータ線Dを共通データ線としている。なお、夫々の共通データ線は隣接の関係にある。
図19に示すサブ画素4Sのレイアウトは、例えば、
図18に示す隣接画素対(P34、P33)とその+X方向へ隣接した画素P25、P45の関係に相当する。
【0160】
また、隣接画素対(P31、P32)に対し、+X方向には、もう1つの隣接画素対(P42、P43)も隣り合って配置されている。両者の隣接画素対においても同様に、夫々異なるデータ線Dを共通データ線としている。
【0161】
更に、隣接画素対(P23、P22)又は隣接画素対(P42、P43)に対し、+X方向には、隣接画素対(P34、P33)が配置されている。この隣接画素対(P34、P33)は、データ線D3を共通データ線としている点は、隣接画素対(P31、P32)と同様である。すなわち、サブ画素1列毎に、同じデータ線Dを共通データ線とする隣接画素対が配置されていることになる。これは、換言すれば、右眼用画素4Rを構成する隣接画素対に接続されたデータ線Dは、左眼用画素4Lを構成する隣接画素対には接続されないことになる。
【0162】
画素P22及び画素P23から構成される隣接画素対において、共通のデータ線D2より−Y方向に位置する画素P22は、−X方向に位置するゲート線G2によって制御され、データ線D2より+Y方向に位置する画素P23は、+X方向に位置するゲート線G3によって制御される。すなわち、この隣接画素対は、各サブ画素4Sが共通のデータ線Dを挟み上下に配置されるとき、+Y側のサブ画素4Sが+X側のゲート線Gに接続されていることになる。
【0163】
一方で、画素P31及び画素P32から構成される隣接画素対においては、共通のデータ線D3より−Y方向に位置する画素P32は、+X方向に位置するゲート線G2に接続され、データ線D3より+Y方向に位置する画素P31は、−X方向に位置するゲート線G1に接続される。すなわち、この隣接画素対は、各サブ画素4Sが共通のデータ線Dを挟み上下に配置されるとき、+Y側のサブ画素4Sが−X側のデータ線Dに接続されていることになる。+Y側のサブ画素4Sが−X側のゲート線Gによって制御される隣接画素対は、+X方向に隣接するサブ画素列においては、−Y方向に隣接するデータ線Dに対して配置されている。この結果、同種の隣接画素対は、斜め方向に配置されていることになる。また、換言すれば、本実施形態においては、+Y側のサブ画素4Sが−X側のゲート線Gに接続された隣接画素対と、+Y側のサブ画素4Sが+X側のゲート線Gに接続された隣接画素対とが配置されていると表現することもできる。
【0164】
隣接画素対4PAIRに設けられた画素薄膜トランジスタ4TFTは、コの字型のダブルゲート構造であり、コの字の開いた方が互いに向かい合うように配置されている。そして、向かい合うように配置されたコの字型の画素薄膜トランジスタ4TFTの間には、隣接画素対4PAIRを構成する2つのサブ画素4Sにおいて共通の蓄積容量電極CS2が配置されており、この蓄積容量電極CS2と各サブ画素4Sに設けられたシリコン層4SIとの間で、蓄積容量4CSが形成される。
【0165】
なお、本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1実施形態と同様である。
【0166】
隣接画素対4PAIR1、4PAIR2における画素薄膜トランジスタ4TFTのチャネル部は、画像分離方向、すなわちX軸方向と平行に配置される。このチャネル部は、画素薄膜トランジスタ4TFTの動作部であり、各サブ画素4Sにおいて均一性が求められる。データ線Dは、画素薄膜トランジスタ4TFTのチャネル領域の上層で画像分離方向、すなわちX軸方向と異なる方向へ傾斜して配置している。また、データ線Dは、蓄積容量電極CS2上で画像分離方向と異なる方向へ傾斜して配置している。上述の通り、データ線Dは、平行四辺形の上辺に配置された画素薄膜トランジスタ4TFT及び、蓄積容量電極CS2の上層で複数回の屈曲を経てX軸方向に延伸している。データ線Dは、平行四辺形の上辺で屈曲することにより効率よく配置され、開口率を向上することができる。また、画素薄膜トランジスタ4TFTのチャネル部をX軸方向に平行に配置しているため、ポリシリコン薄膜をレーザアニールにより形成する場合には、エキシマレーザのスキャン方向に応じて画素薄膜トランジスタ4TFTのチャネル部の方向を揃えることにより、トランジスタ特性を均一化することができる。
【0167】
本実施形態では、隣接画素対4PAIRの各サブ画素4Sを制御するための画素薄膜トランジスタ4TFTはダブルゲート構造であり、画素薄膜トランジスタ4TFTのチャネル部はX軸方向と平行に配置されている。各画素薄膜トランジスタ4TFTのソース電極は、+Y側のサブ画素4Sと−Y側のサブ画素4Sをそれぞれ制御するようにコンタクトホール4CONT2を介して各画素電極4PIXと電気的に接続されている。コンタクトホール4CONT2はそれぞれ制御する画素電極4PIX側に設けられ、効率的に配置されている。このような構造の場合、データ線Dと接続される各ドレイン電極がX軸方向と平行にならないため、データ線Dを屈曲させて接続しなければならない。
図19に示すように、本実施形態では蓄積容量電極CS2上層のデータ線Dを画像分離方向と異なる方向へ傾斜して配置し、隣接画素対4PAIRに設けられた画素薄膜トランジスタ4TFTにおける各ドレイン電極間を最短経路で電気的に接続している。ドレイン電極とデータ線Dの接続部は、どの隣接画素対4PAIRにおいても、同様にデータ線Dを傾斜した配線レイアウト構成を適用することができるため、各サブ画素4Sへの書込み条件の均一性を保つことができる。
【0168】
図19及び
図21に示すように、蓄積容量線CSは、蓄積容量電極CS2と電気的に接続しているため、隣接画素対4PAIRを構成する各サブ画素4Sにおいて、蓄積容量線CSの電位は共通である。隣接画素対4PAIRにおいて、平行四辺形の辺が互いに向かい合うように接しているため、共通の蓄積容量電極CS2を設けることで無駄なスペースを削減でき、蓄積容量4CSを形成する面積を効率よく確保することができる。そのため、従来よりも開口率を大きくすることができ、高透過率化を図ることができる。
【0169】
平行四辺形画素は隣接画素対4PAIRにおいて、一方のサブ画素4Sの上辺、他方のサブ画素4Sの下辺が互いに向かい合うように接しているため、共通の蓄積容量電極CS2を設けることで画素容量4CLCを形成する面積を大きくとることができる。そのため、従来よりも開口率を大きくすることができ、高透過率化を図ることができる。
【0170】
次に、上述で説明した本実施形態に係る画像表示装置1の駆動方法、すなわち表示動作について説明する。本実施形態においては、画像表示装置1は、ドット反転駆動を用いて駆動される。ドット反転駆動は、
図22に示すように、データ線1本毎に各々伝送される表示データの極性が基準電位に対して反転され、かつゲート線1本毎に各々データ線を伝送される表示データの極性が反転され、かつフレーム毎に極性が反転される駆動方法である。ドット反転駆動は、1H1V反転駆動とも称される。これは、水平方向(H方向)に配列するデータ線1本毎、また垂直方向(V方向)に配列するゲート線1本毎に極性が反転しているからである。
【0171】
画像表示装置1は、あるフレームにおいて、ドット反転駆動の結果、
図23に示すような各サブ画素4Sの極性を実現する。まず、ゲート線G1が選択されると、データ線D1には正極性の表示データが伝送され、画素P11には正極性の電圧が書き込まれる。またデータ線D2には負極性の表示データが伝送される。同様に、データ線D3、D5、D7、D9、D11、D13には正極性の表示データが伝送され、データ線D4、D6、D8、D10、D12には負極性の表示データが伝送される。次にゲート線G2が選択された場合には、データ線の極性が全て反転される。すなわち、データ線D1、D3、D5、D7、D9、D11、D13には負極性の表示データが伝送され、データ線D2、D4、D6D8、D10、D12には正極性の表示データが伝送される。以降、ゲート線G3、G5、G7の選択時は、ゲート線G1の選択時と同様であり、ゲート線G4の選択時は、ゲート線G2の選択時と同様である。そして、このフレームが終了すると、次のフレームにおいては、更に極性反転が実行される。すなわち、ゲート線G1、G3、G5、G7選択時においては、データ線D1、D3、D5、D7、D9、D11、D13に負極性の表示データが伝送され、データ線D2、D4、D6、D8、D10、D12に正極性の表示データが伝送される。また、ゲート線G2、G4、G6選択時においては、データ線D1、D3、D5、D7、D9、D11、D13に正極性の表示データが伝送され、データ線D2、D4、D6、D8、D10、D12に負極性の表示データが伝送される。
【0172】
右眼用画素4Rから構成されるサブ画素群は、2ラインドット反転(2H1Vドット反転)効果が得られる極性分布となっている。そして、左眼用画素4Lから構成されるサブ画素群も、同様である。これにより、片眼で視認される画像の極性分布は、水平方向(H方向)に配列するデータ線D2本毎、また垂直方向(V方向)に配列するゲート線G1本毎に極性が反転しているように見える。なお、本実施形態に係る極性分布の基本セットは、X軸方向4画素、Y軸方向4画素の合計16画素である。
【0173】
本実施形態においては、各サブ画素4Sへの表示データの書き込み時に、蓄積容量線CSの電位変動を抑制することができる。これは、隣接画素対4PAIRで共通の蓄積容量電極CS2には、連続した2つのゲート線Gの選択期間において、正極性の表示データが書き込みされるサブ画素4Sだけでなく、負極性の表示データが書き込まれるサブ画素4Sが接続されているからである。これにより、蓄積容量線CSの電位が片側の極性に向かって変動するのを抑制することができ、蓄積容量線CSが延伸する方向へ発生するクロストークなどを低減して、高品質な画像表示を実現することができる。本実施形態に係る構成は、一般的なドット反転駆動を使用した上で、2ラインドット反転効果、各蓄積容量線CSの電位変動抑制効果を実現でき、かつ平行四辺形開口部の底辺部が隣接するサブ画素の極性を同じにできる。これにより、低コストで高画質表示を実現することができる。
【0174】
図24に示すように、表示パネル2は、長辺がX軸方向、短辺がY軸方向に沿って配置される。画像分離方向はX軸方向であり、ランドスケープ(横長)表示に対応した表示パネルである。一例では、表示パネル2の画面解像度をWVGAとし、X軸方向のピクセル数を800個、Y軸方向のピクセル数を480個と設定した。上述の通り、表示単位4Uは視点数2に対応した2つのサブ画素から構成され、1ピクセルは3つの表示単位4Uから構成され、各々の表示単位4Uは3色に配色される。このとき、表示部6に使用するデータ線及びゲート線の各々の本数は、Y軸方向に配列したデータ線の本数が480×3+1=1441本であり、X軸方向に配列したゲート線の本数が800×2+1=1601本である。従って、
図24に示す表示パネル2は、データ線の本数がゲート線の本数より少ない構成である。
【0175】
また、表示パネル2のTFT基板2aの短辺側に映像信号を制御するための駆動IC7が実装されている。駆動IC7の出力は、夫々、表示部6のデータ線と接続する。一般的に、駆動IC7の出力ピンピッチは、データ線のピッチより狭い。このため、駆動IC7の出力ピンから各データ線へ伸びる配線は、広がりをもつことになり、表示部6からある程度の距離をとる必要がある。表示部6から駆動IC7までの距離は、出力ピンのピッチが同じであれば、接続先のデータ線の数が少ないほど短くできる。表示部6がランドスケープの場合には、データ線を水平方向、すなわちX軸方向の短辺側へ配置する方が、垂直方向の長辺側へ配置するより、データ線の本数を少なくできる。従って、データ線を水平方向に配置することにより、額縁を小さくすることができる。また、データ線の本数を少なくすることにより、必要な駆動IC7の数を削減して低コスト化でき、さらに駆動IC7の負荷を低減することができる。また、駆動IC7には、データ信号のマルチプレクサ回路を搭載し、TFT基板2aには、駆動IC7から出力されたデータ信号をマルチプレクサ回路の動作に応じて時分割で振り分けることが可能なスイッチング回路を設けてもよい。これにより、駆動IC7から出力される接続するデータ信号の配線数をさらに少なくすることができる。
【0176】
また、本実施形態では、ゲート線を順次走査するためのゲートドライバ回路は、TFT基板2a上に薄膜トランジスタと同時に形成される。これにより、表示パネル2の長辺側の額縁幅を小さくすることができる。また、短辺側への駆動IC7を配置し、かつ、長辺側へのゲートドライバ回路を集積することにより、表示パネル2の各片の額縁を小さくすることができる。狭額縁化により表示パネル2のサイズを小さくすることができるため、1枚のマザー基板から得られる表示パネル2の取り数を増やすことができ、低コスト化することができる。さらに、サブ画素とゲートドライバ回路をTFT基板2a上へ一体形成することにより、ドライバ回路の部品数を削減することができるため、低コスト化及び低消費電力化することができる。
【0177】
また、画面解像度は上述の構成に限定されることなく、1ピクセルがK色に配色され、視点数Nからなる表示パネル2において、X軸方向のピクセル数がMx個、Y軸方向のピクセル数がMy個である画面解像度を有する表示パネル2であれば、N×Mx<K×Myの関係式が成り立つ場合に上述の効果を得ることができるのは明らかである。
【0178】
上述のように、右眼用画素4Rを構成する隣接画素対4PAIRに接続されたデータ線Dは、左眼用画素4Lを構成する隣接画素対4PAIRには接続されないため、奇数データ線D1、D3、D5、D7、D9、D11、D13と、偶数データ線D2、D4、D6、D8、D10、D12を独立して駆動することにより、右眼用画素4Rと左眼用画素4Lを個別に動作させて簡易的な視差画像を表示することができる。表示パネル2にレンチキュラレンズ3を設置する製造プロセスの過程で、偶数・奇数データ線D毎に信号を入力することにより、立体視認性を簡易的に検査することができ、後工程における製造上の歩留りを向上することができる。偶数ラインと奇数ラインには夫々共通の信号を一括で入力すればよく、偶数・奇数データ線D毎に入力信号を切り替えるためのスイッチは、画素薄膜トランジスタ4TFTと同時にTFT基板2a上に形成すれば良い。これにより、検査装置の簡易化を図ることができる。
【0179】
本実施形態に係る画像表示装置1は、上述の第1実施形態と同様に、
図15に示すように、携帯電話9に搭載することができる。本実施形態に係る表示パネル2は狭額縁であることを特徴とするため、携帯機器に求められる機能性やデザイン性、操作性を制限することなく好適に携帯機器へ適用することができる。
【0180】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態に係る画像表示装置及び画像表示装置に搭載される表示パネルについて説明する。
【0181】
本実施形態に係る画像表示装置に搭載される表示パネルのサブ画素は、
図25及び
図26に示すような構造を有する。また、
図25及び
図26に示す線分D−D’における断面は、
図27に示すような構造である。
【0182】
図25及び
図26に示すように、蓄積容量線CSは、1つのサブ画素4S内に1本配置されており、サブ画素4Sの中央を通る仮想線R−R’線を横切るように配置される。仮想線R−R’線は、Y軸方向と平行であり、かつ、サブ画素4SをX軸方向へ2等分に分割する線である。
【0183】
サブ画素4Sにおいてゲート線G、蓄積容量線CSは画像分離方向と異なる方向へ傾斜している。ゲート線Gと蓄積容量線CSの傾斜角度は異なる角度から構成される。
【0184】
ゲート線Gの傾斜角度はX軸方向に配列したサブ画素4Sにおいて共通の角度から構成される。蓄積容量線CSの傾斜角度は表示単位4U内で異なる角度で構成され、隣接画素対4PAIR内では同じ角度で構成される。また、蓄積容量線CSは、X軸方向、及びY軸方向へ並ぶ1サブ画素4S毎に異なる方向へ屈曲しており、X軸方向及び、Y軸方向に対して傾斜角度が分散配置した構成である。
【0185】
なお、本実施形態における上記以外の構成及び動作は、前述の第1実施形態と同様である。
【0186】
ゲート線Gと蓄積容量線CSの傾斜角度が異なることにより、レンズの配列周期と配線の配列周期とに起因して発生するモアレ縞の周期を各方向へ分散させ、表示パネル2と画像分離手段の周期構造によって発生するモアレ縞を視認し難くすることができ、表示品質を向上することができる。
【0187】
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態に係る画像表示装置及び画像表示装置に搭載される表示パネルについて説明する。
【0188】
本実施形態に係る画像表示装置1は、
図28に示すように、画像分離手段として、液晶GRIN(gradient index)レンズ301を備えた光学素子を搭載した構成を有している。
【0189】
図29に示すように、液晶GRINレンズ301は、制御基板302と対向基板303に挟まれた液晶分子50を制御電極304により電界制御することにより屈折率を可変し、レンズと同様の効果を得ることができる。液晶GRINレンズ301は、オフ時には屈折率が変化せず、光がそのまま透過する。液晶GRINレンズ301は、オン時には、パネルの縦方向にストライプ配置した電極に沿って液晶分子が放射状に配向し、レンズの役割を果たす。制御電極304の対によって1つのレンズ要素305が構成され、レンズ要素305は液晶GRINレンズ301の面内にアレイ状に並べられる。レンズ要素305は表示単位4Uに対応して配置される。
【0190】
なお、本実施形態における上記以外の構成及び動作は、前述の第1実施形態と同様である。
【0191】
図29に示すように、制御電極304で完全に制御できない液晶分子50が存在するため、液晶GRINレンズ301は、液晶配向に依存した光学分離性能の分布を有する。従って、光学手段として液晶を用いた電気光学素子としてGRIN(Gradient Index)レンズを用いた場合においても、制御電極304で形成される電場により、レンズ凸面部31に相当する屈折率分布に対してレンズ凹面部32に相当する屈折率分布の不均一性が大きくなる。また、上述のレンチキュラレンズ3と同様に、レンズ凹面部32に相当する箇所が光学的な分離性が低下するGRINレンズ以外にも、レンズ効果を有する凹凸基板と液晶分子50を組み合わせた液晶レンズの場合においても、凹凸基板においてレンズ凹面部32に相当する箇所が急峻な凸形状となるために光学的分離性が低下する傾向にある。
【0192】
液晶GRINレンズ301は、選択的にレンズ要素305のオンとオフを切り替えることにより、面内において部分的なレンズ効果を得ることができる。これにより立体表示(3D表示)と平面表示(2D表示)を同一画面に混在させることができる。
【0193】
本実施形態に係る表示パネル2は、サブ画素ピッチPuを150μm、液晶層の厚みを4μmに設定した。液晶GRINレンズ301を備えた光学素子は、液晶層の厚みを50μmとした。しかしながら、この液晶層の厚みでは、通常の液晶パネルの液晶層に対して10倍以上の厚みがあるため、応答速度はかなり遅くなってしまう。このため、同一画面で3D表示と2D表示を頻繁に切り替えるコンテンツでは、液晶GRINレンズ301のレンズ要素305を部分的にオンとオフを切り替えて動作させることで3D表示と2D表示を同一画面に混在させるには限界がある。
【0194】
本実施形態では、液晶GRINレンズ301がオン状態のときに、表示単位4Uに配置された左眼用画素4Lと右眼用画素4Rを独立して動作させることが可能であり、液晶GRINレンズ301は、オン状態のまま3D表示と2D表示を同一画面に混在させることができる。そして、液晶GRINレンズ301がオフ状態のときには、屈折率の影響を全く受けない高品質な2D表示を提供することができる。
【0195】
また、同一画面で3D表示と2D表示を頻繁に切り替える必要のないコンテンツでは、液晶GRINレンズ301のレンズ要素305を部分的に動作させて表示することが可能であり、液晶GRINレンズ301の消費電力を低減することができる。
【0196】
[第5実施形態]
本発明の第5実施形態に係る画像表示装置及び画像表示装置に搭載される表示パネルについて説明する。
【0197】
本実施形態に係る表示パネル2は、
図30に示すように、画素電極4PIXと共通電極4COM2が共通の基板に設けられ、基板面と略平行な電界を印加することにより液晶分子を駆動することができる構成を有している。画素電極4PIXと共通電極4COM2は平行四辺形状サブ画素の上辺、下辺と平行である。
【0198】
なお、本実施形態における上記以外の構成及び動作は、前述の第1実施形態と同様である。
【0199】
本実施形態では、上述の構成を採用することで、視野角の広い画像表示装置を提供することができる。
【0200】
特に、一般的な液晶表示素子は、片側の基板へのラビング処理を1つの方向で制御するため、ラビング方向に対して非対称となる構造がサブ画素毎にある場合には、そのサブ画素毎に表示特性が変わってしまい、特に、立体表示装置では視点毎の表示特性の差となって現れる。
【0201】
本実施形態における表示単位4Uは単一の外形形状からなるサブ画素から構成されるため、サブ画素毎の段差構造や電界分布構造の差を小さくでき、サブ画素形状の差によって発生する視点毎の表示特性の差を低減することができる。また、サブ画素の方向を揃えることにより電圧印加時の液晶配向状態を安定化することができる。すなわち、各視点においての画質の差を小さくでき、各視点に均一な映像を出力して高品質な立体映像を提供することができる。さらに、サブ画素形状の単一形状化にともなってサブ画素毎の液晶分子の配向状態が安定化するため、配向不良や光抜けを低減でき、コントラストを向上することができる。
【0202】
[第5実施形態 変形例]
本発明の第5実施形態の変形例に係る画像表示装置及び画像表示装置に搭載される表示パネルについて説明する。
【0203】
本変形例に係る表示パネル2は、
図31に示すように、画素電極4PIXと共通電極4COM2が共通の基板に設けられ、基板面と略平行な電界を印加することにより液晶分子を駆動することができる構成を有している。画素電極4PIXと共通電極4COM2は平行四辺形状サブ画素の斜辺と平行である。
【0204】
Y軸方向に隣接して並んだサブ画素4Sの液晶分子は夫々の画素電極4PIXから発する電界により相互に異なる方向へ配向する。Y軸方向に並んだサブ画素の液晶分子は、異なるドメインを形成するため、斜め方向から見た場合の色味の変化を低減することができる。
【0205】
本実施形態では、誘電率異方性が正(Δε>0)であるポジティブ型の液晶剤を適用しており、TFT基板2a側におけるラビング方向は−Y方向または+Y方向に設定している。そのため、液晶分子50の初期配向の状態は、液晶分子50の長軸がY軸方向と略平行となるように配向している。
【0206】
液晶剤の特性はポジティブ型に限定されず、誘電率異方が負(Δε<0)であるネガティブ型でもよい。ネガティブ型の液晶剤の場合は、ラビング方向を−X方向または+X方向に設定すればよく、液晶分子50の長軸方向はX軸方向と略平行となるように配向される。ネガティブ型の液晶材は、基板面に垂直な方向の電界に対して、長軸方向が立ち上がり難いため、電極上の液晶分子は、基板面内で回転する液晶分子に追従して配向し、電極上の透過率を向上することができる。さらに、電極上と電極間の明暗の差が低減されることにより、この明暗の差によって発生する3Dモアレを低減することができる。
【0207】
なお、本実施形態の画像表示装置における上記以外の構成及び動作は前述の第5実施形態の画像表示装置1と同様である。
【0208】
本変形例では、屈曲方向によるドメインの周期は2行毎であり、カラーフィルタによる周期は3行毎であるため、6行毎にマルチドメイン補償することができる。色と形状が共通となるサブ画素の繰り返し周期はサブ画素の6行分であり、6×Pyである。この周期が大きくなるとムラとして視認されやすく、画質が低下する。そのため、ピクセルピッチPuは150um以下であることが望ましいことが主観評価より得られた。すなわち、サブ画素のY軸方向のサブ画素ピッチは50um以下であることが望ましい。
【0209】
なお、本発明は、本発明の広義の趣旨及び範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。つまり、本発明の範囲は、実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。