(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ブタジエンゴムとして、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン成分を含むブタジエンゴムを、前記ジエン系ゴム中10〜40重量%含有することを特徴とする請求項1に記載のランフラットタイヤ用ゴム組成物。
請求項1又は2に記載のランフラットタイヤ用ゴム組成物で、ランフラットタイヤの左右のサイドウォール部の断面三日月形のゴム補強層を構成したことを特徴とする空気入りタイヤ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のランフラットタイヤ用ゴム組成物を適用するタイヤとしては、左右のサイドウォール部に断面三日月形のゴム補強層を配置したサイド補強方式のランフラットタイヤが挙げられる。
図1は、サイド補強方式のランフラットタイヤの一例を示すタイヤ子午線方向の半断面図である。
【0014】
図1において、ランフラットタイヤは、トレッド部1、サイドウォール部2及びビード部3を有し、その内側に2プライのカーカス6が左右一対のビードコア4,4間に、ビードコア4及びビードフィラー5を包み込むように内側から外側に折り返されるように装架され、トレッド部1のカーカス6の外周側に、複数プライ(図では2プライ)からなるベルト層7がタイヤ1周にわたって配置されたラジアル構造になっている。タイヤの最内周側には、インナーライナー層9が配置されている。また、左右のサイドウォール部2,2には、それぞれカーカス6の内側に断面三日月状のゴム補強層8,8が内挿されている。なお、このサイドゴム補強層を内挿する位置は図示の例に限定されるものではなく、2枚のカーカス6の間に内挿するものであってもよい。
【0015】
本発明のランフラットタイヤ用ゴム組成物は、断面三日月状のゴム補強層8に好適に使用することができる。
【0016】
本発明のランフラットタイヤ用ゴム組成物において、ジエン系ゴムは、天然ゴム及びブタジエンゴムを必ず含む。天然ゴムを含有することにより、その分子量の高さから引張り破断強度、引張り破断伸びが大きくなる。またブタジエンゴムを含有することにより、その脆化温度の低さから硬さの温度依存性が低下し耐久性能に優れるようになる。
【0017】
天然ゴムの含有量は、ジエン系ゴム100重量%中10〜40重量%、好ましくは20〜40重量%である。天然ゴムの含有量が10重量%未満であると、引張り破断強度が低くなりランフラットタイヤの断面三日月状のゴム補強層に不適となる。天然ゴムの含有量が40重量%を超えると、引張り破断強度、引張り破断伸びは十分で強度の高い断面三日月状のゴム補強層になるが、繰返し疲労性が不十分になり耐久性に劣る。
【0018】
またブタジエンゴムの含有量は、ジエン系ゴム100重量%中10〜80重量%、好ましくは20〜80重量%である。ブタジエンゴムの含有量が10重量%未満であると、繰返し疲労性が悪化する。ブタジエンゴムの含有量が80重量%を超えると、ゴム組成物のゴム強度が過度に低下する。
【0019】
なお、ブタジエンゴムとしては、その一部がシンジオタクチック1,2−ポリブタジエン成分を含むブタジエンゴムであることが好ましい。シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン成分は、結晶性が高い樹脂であり、ブタジエンゴム中に微分散している。このシンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン成分を含むブタジエンゴムを配合することで、ゴム組成物の硬度と引張り応力を大きくし、ゴムの変形量を最適なものに改良することができる。
【0020】
シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン成分を含むブタジエンゴムの含有量は、好ましくはジエン系ゴム100重量%中10〜40重量%にするとよい。シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン成分を含むブタジエンゴムの含有量が10重量%未満であると、ゴム組成物の補強性が十分に得られない。またこのブタジエンゴムの含有量が40重量%を超えると、転がり抵抗が悪化する。
【0021】
本発明で好適に使用するシンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン成分を含むブタジエンゴム中のシンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン成分の含有量は好ましくは1〜50重量%、より好ましくは3〜25重量%である。シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン成分の含有量が1重量%未満であると、十分な補強性能向上が得られないことがある。またシンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン成分の含有量が50重量%を超えると、ゴム組成物が硬くなり過ぎて引張り破断伸びが低下し好ましくない。
【0022】
このようなシンジオタクチック−1,2−ポリブタジエンを含むブタジエンゴムとしては、市販のものを使用することができ、例えば、宇部興産社製UBEPOL VCR412、VCR617、VCR450、VCR800等を例示することができる。
【0023】
本発明において、ジエン系ゴムをブタジエンゴムおよび天然ゴムで構成することができる。またジエン系ゴムとしてブタジエンゴムおよび天然ゴム以外の他のジエン系ゴムを含むことができる。他のジエン系ゴムとしては、例えばイソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム等が挙げられる。なかでもイソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴムが好ましい。これらジエン系ゴムは、単独又は任意のブレンドとして使用することができる。
【0024】
本発明のランフラットタイヤ用ゴム組成物では、補強性充填剤をジエン系ゴム100重量に対し20〜100重量部、好ましくは30〜90重量部配合する。補強性充填剤の配合量が20重量部未満であると、ゴム組成物の補強性が十分に得られない。また補強性充填剤の配合量が100重量部を超えるとタイヤにしたときの転がり抵抗が大きくなる。
【0025】
補強性充填剤としては、例えばカーボンブラック、シリカ、クレー、マイカ、タルク、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、活性亜鉛華等を例示することができる。なかでもカーボンブラック、シリカ、クレーが好ましい。
【0026】
本発明では、補強性充填剤として、下記の特定のカーボンブラックを必ず含む。すなわち、特定の窒素吸着比表面積N
2SA及びDBP吸収量を有し、かつN
2SAと凝集体のストークス径の質量分布曲線におけるモード径Dstとの関係を限定した新規のカーボンブラックを配合することにより、ゴム組成物のtanδ(60℃)を小さくしながら、引張り強度、引張り破断伸び、ゴム硬度、弾性率、耐摩耗性などの機械的特性を悪化させることがない。この特定のカーボンブラックの配合量は、上述した補強性充填剤100重量%中50重量%以上にする。カーボンブラックの配合量が50重量%未満であると、ゴム組成物のゴム硬度及び弾性率を十分に向上することができない。
【0027】
本発明で使用するカーボンブラックは、窒素吸着比表面積N
2SAが55〜
81m
2/gである。N
2SAが55m
2/g未満であると、ゴム組成物のゴム硬度、動的弾性率などの機械的特性が低下する。N
2SAが
81m
2/gを超えると、tanδ(60℃)が大きくなる。N
2SAは、JIS K6217−2に準拠して、測定するものとする。
【0028】
また、カーボンブラックのDBP吸収量
は120〜150ml/100gである。DBP吸収量が
120ml/100g未満であるとゴム組成物の補強性能が十分に得られず硬度が低くなりタイヤにしたときの剛性が低下する。またゴム組成物の成形加工性が低下しカーボンブラックの分散性が悪化するのでカーボンブラックの補強性能が十分に得られない。DBP吸収量が
150ml/100gを超えると、ゴムが硬くなり過ぎてタイヤとして乗り心地が悪化することになる。またゴム組成物の粘度の上昇により加工性が悪化する。DBP吸収量は、JIS K6217−4吸油量A法に準拠して、測定するものとする。
【0029】
本発明で使用するカーボンブラックは、上述したコロイダル特性を有すると共に、凝集体のストークス径の質量分布曲線におけるモード径Dstと窒素吸着比表面積N
2SAとを下記の式(1)の関係式で表わしたとき、係数αが1979以上2215以下である。
Dst=α(N
2SA)
-0.61 (1)
(ただし、Dstは凝集体のストークス径の質量分布曲線におけるモード径(nm)
で152nm以上であり、N
2SAは窒素吸着比表面積(m
2/g)、αは係数である。)
【0030】
カーボンブラックが上述したN
2SA及びDBP吸収量を有し、かつ係数αを1979以上にすることにより、ゴム組成物のtanδ(60℃)を小さくしながら、ゴム硬度、動的弾性率などを維持・向上することができる。また係数αの上限
は、カーボンブラックの収率やコストなどの生産性の観点から
2215以下にす
る。本発明において、凝集体のストークス径の質量分布曲線におけるモード径Dstとは、カーボンブラックを遠心沈降させ、光学的に得た凝集体のストークス径の質量分布曲線における最大頻度のモード径をいう。本発明において、DstはJIS K6217−6ディスク遠心光沈降法による凝集体分布の求め方に準拠して、測定するものとする。
【0031】
図2は、本発明で使用するカーボンブラックのDstとN
2SAの関係を示すグラフである。
図2において、横軸はN
2SA(m
2/g)、縦軸はDst(nm)である。ASTM規格番号を有する代表的なカーボンブラックを四角印でプロットし、試作により得られたカーボンブラックを丸印及び三角印でプロットした。ここで各プロットに、後述する実施例及び比較例で使用したカーボンブラックCB1〜CB13をそれぞれ参照する数字1〜13を付している。
図2に示す通り、従来の規格化されたカーボンブラックブラックのDstとN
2SAは、概ね下記式(2)の関係を満たす。
Dst=1650×(N
2SA)
-0.61 (2)
(ただし、Dstは凝集体のストークス径の質量分布曲線におけるモード径(nm)、N
2SAは窒素吸着比表面積(m
2/g)を表わす。)
図2では、上記式(2)の関係を点線の曲線で表わした。
【0032】
これに対し、本発明で使用するカーボンブラックでは、Dst及びN
2SAは、下記式(3)の曲線(実線)より右上にプロットされる。
Dst=1979×(N
2SA)
-0.61 (3)
(ただし、Dstは凝集体のストークス径の質量分布曲線におけるモード径(nm)
で152nm以上であり、N
2SAは窒素吸着比表面積(m
2/g)を表わす。)
【0033】
すなわち本発明では、N
2SAが55〜
81m
2/gの範囲において、Dstが従来のカーボンブラックのDstより大きくした新規のカーボンブラックを使用する。このようなカーボンブラックは、従来のカーボンブラックと比べ、N
2SAが同レベルであっても、凝集体のストークス径が大きく、凝集体の形態が球形に近いことを意味する。これにより、ゴムに対する補強性能を高くするため、ゴム組成物のゴム硬度や動的弾性率などの機械的特性を従来レベル以上に向上することができる。
【0034】
上述したコロイダル特性を有するカーボンブラックは、例えば、カーボンブラック製造炉における原料油導入条件、燃料油及び原料油の供給量、燃料油燃焼率、反応時間(最終原料油導入位置から反応停止までの燃焼ガスの滞留時間)などの製造条件を調整して製造することができる。
【0035】
ランフラットタイヤ用ゴム組成物には、加硫又は架橋剤、加硫促進剤、各種オイル、老化防止剤、可塑剤などのランフラットタイヤ用ゴム組成物に一般的に使用される各種添加剤を配合することができ、かかる添加剤は一般的な方法で混練してゴム組成物とし、加硫又は架橋するのに使用することができる。これらの添加剤の配合量は本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。本発明のランフラットタイヤ用ゴム組成物は、通常のゴム用混練機械、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール等を使用して、上記各成分を混合することによって製造することができる。
【0036】
本発明のランフラットタイヤ用ゴム組成物は、ランフラットタイヤにおける断面三日月形のサイドゴム補強層に好適に使用することができる。サイドゴム補強層に本発明のゴム組成物を使用した空気入りタイヤは、走行時の発熱性が小さくなるので、転がり抵抗を小さくし燃費性能を改良することができる。同時に、ゴム組成物のゴム硬度、弾性率の改良により、タイヤにしたときの操縦安定性を従来レベル以上に向上することができる。またまたランフラット走行時には、ランフラット走行性能に優れると共に、サイドウォール部の断面三日月形のサイドゴム補強層の発熱が抑制されるため耐久性能にも優れる。
【0037】
以下、実施例によって本発明をさらに説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0038】
13種類のカーボンブラック(CB1〜CB13)を使用して17種類のゴム組成物(実施例1
,3〜7
、参照例1、比較例1〜10)を調製した。このうち8種類のカーボンブラック(CB1,CB2,CB8〜CB13)は市販グレード、5種類のカーボンブラック(CB3〜CB7)は試作品であり、それぞれのコロイダル特性を表1,2に示した。また
図2において、各カーボンブラックCB1〜CB13のDstとN
2SAの関係をプロットすると共に、それぞれのカーボンブラックを参照する番号を付した。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
表1,2において、各略号はそれぞれ下記のコロイダル特性を表わす。
・N
2SA:JIS K6217−2に基づいて測定された窒素吸着比表面積
・IA:JIS K6217−1に基づいて測定されたよう素吸着量
・CTAB:JIS K6217−3に基づいて測定されたCTAB吸着比表面積
・DBP:JIS K6217−4(非圧縮試料)に基づいて測定されたDBP吸収量
・24M4:JIS K6217−4(圧縮試料)に基づいて測定された24M4−DBP吸収量
・TINT:JIS K6217−5に基づいて測定された比着色力
・Dst:JIS K6217−6に基づいて測定されたディスク遠心光沈降法による凝集体のストークス径の質量分布曲線の最大値であるモード径
・△D50:JIS K6217−6に基づいて測定されたディスク遠心光沈降法による凝集体のストークス径の質量分布曲線において、その質量頻度が最大点の半分の高さのときの分布の幅(半値幅)
・α:Dst及びN
2SAを上述した式(1)の関係に当てはめたときの係数α
【0042】
また表1,2において、カーボンブラックCB1,CB2,CB8〜CB13は、それぞれ以下の市販グレードを表わす。
・CB1:東海カーボン社製シーストKHP
・CB2:東海カーボン社製シーストKH
・CB8:東海カーボン社製シースト300
・CB9:キャボットジャパン社製ショウブラック330T
・CB10:新日化カーボン社製ニテロン#10N
・CB11:東海カーボン社製シースト3
・CB12:東海カーボン社製シーストNH
・CB13:東海カーボン社製シースト6
【0043】
カーボンブラックCB3〜CB7の製造
円筒反応炉を使用して、表3に示すように全空気供給量、燃料油導入量、燃料油燃焼率、原料油導入量、反応時間を変えて、カーボンブラックCB3〜CB7を製造した。
【0044】
【表3】
【0045】
ランフラットタイヤ用ゴム組成物の調製及び評価
上述した13種類のカーボンブラック(CB1〜CB13)を用いて、表4,5に示す配合からなる17種類のゴム組成物(実施例1
,3〜7
、参照例1、比較例1〜10)を調製するに当たり、それぞれ硫黄及び加硫促進剤を除く成分を秤量し、55Lのニーダーで15分間混練した後、そのマスターバッチを放出し室温冷却した。このマスターバッチを55Lのニーダーに供し、硫黄及び加硫促進剤を加え、混合しランフラットタイヤ用ゴム組成物を得た。
【0046】
得られた17種類のゴム組成物を使用して
図1に示した断面三日月形のサイドゴム補強層を構成するようにして、タイヤサイズが195/65R15のランフラットタイヤを加硫成形した。得られた17種類の空気入りタイヤの転がり抵抗及び操縦安定性を下記に示す方法により評価した。また比較例1及び実施例7について、下記に示す方法により乗り心地性能を評価した。
【0047】
転がり抵抗
得られたタイヤを標準リム(サイズ15×6Jのホイール)に組み付け、JIS D4230に準拠する室内ドラム試験機(ドラム径1707mm)に取り付け、JIS D4230の「6.4高速性能試験A」に記載される高速耐久性の試験に準拠して高速耐久性試験を実施し、試験荷重2.94kN、速度50km/時の抵抗力を測定し、転がり抵抗とした。得られた結果は、比較例1の値の逆数を100とする指数として表4,5の「転がり抵抗」の欄に示した。この指数が大きいほど転がり抵抗が小さく燃費性能が優れていることを意味する。
【0048】
操縦安定性
得られたタイヤを標準リム(サイズ15×6Jのホイール)に組み付け、国産2.0リットルクラスの試験車両に装着し、空気圧230kPaの条件で乾燥路面からなる1周2.6kmのテストコースを実車走行させ、そのときの操縦安定性を専門パネラー3名による感応評価により採点した。得られた結果は、比較例1の値を100とする指数として表4,5の「操縦安定性」の欄に示した。この指数が大きいほど操縦安定性能が優れていることを意味する。
【0049】
乗り心地性能
比較例1及び実施例7により、得られたタイヤを標準リム(サイズ15×6Jのホイール)に組み付け、国産2.0リットルクラスの試験車両に装着し、空気圧230kPaの条件で乾燥路面からなる1周2.6kmのテストコースを実車走行させ、そのときの乗り心地性能を専門パネラー3名による感応評価により採点した。得られた結果は、比較例1の値を100にする指数としたところ、実施例7の乗り心地性能の指数は110であった。これは、実施例7のランフラットタイヤの乗り心地性能が、比較例1のランフラットタイヤに比べ大幅に改良されたことを意味する。
【0050】
【表4】
【0051】
【表5】
【0052】
なお、表4,5において使用した原材料の種類を下記に示す。
NR:天然ゴム、RSS#3
BR:ブタジエンゴム、日本ゼオン社製Nipol BR1220
VCR:シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン成分を12重量%含むブタジエンゴム、宇部興産社製UBEPOL VCR412
CB1〜CB13:上述した表1,2に示したカーボンブラック
シリカ:エボニックデグサ社製VN−3
アロマオイル:ジャパンエナジー社製プロセスX−140
亜鉛華:正同化学工業社製酸化亜鉛3種
ステアリン酸:日油社製ビーズステアリン酸
加硫促進剤:大内新興化学工業社製ノクセラーCZ−G
硫黄:アクゾノーベル社製クリステックスHSOT20
【0053】
表4から明らかなように実施例1〜7の空気入りタイヤは、低転がり抵抗及び操縦安定性が従来レベル以上に向上することが確認された。
【0054】
表4から明らかなように実施例1
,3〜7の空気入りタイヤは、低転がり抵抗及び操縦安定性が従来レベル以上に向上することが確認された。
【0055】
表4から明らかなように、比較例1の空気入りタイヤは、カーボンブラックCB1の式(1)の係数αが1979未満であるため、低転がり性及び操縦安定性が実施例1
,3,4に比べ劣る。
【0056】
比較例4,5及び7の空気入りタイヤは、カーボンブラックCB8,CB9及びCB11のDBP吸収量が110ml/100g未満かつ係数αが1979未満であるため、低転がり性を改良することができない。比較例6の空気入りタイヤは、カーボンブラックCB10のN
2SAが55m
2/g未満かつ係数αが1979未満であるため、低転がり性は良化するが操縦安定性が劣る。
【0057】
比較例9の空気入りタイヤは、カーボンブラックCB13のN
2SAが95m
2/gを超えかつ係数αが1979未満であるため、操縦安定性は良化するが低転がり性が劣る。比較例10の空気入りタイヤは、比較例1のカーボンブラックCB1の配合量を減らし代わりにシリカを配合したが、操縦安定性が劣る。