特許第5935277号(P5935277)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5935277
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月15日
(54)【発明の名称】バッテリユニット及び架台
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/10 20060101AFI20160602BHJP
【FI】
   H01M2/10 A
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-209249(P2011-209249)
(22)【出願日】2011年9月26日
(65)【公開番号】特開2013-69639(P2013-69639A)
(43)【公開日】2013年4月18日
【審査請求日】2014年9月10日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 卓美
(72)【発明者】
【氏名】菊田 重則
【審査官】 渡部 朋也
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭57−062363(JP,U)
【文献】 特開平11−016555(JP,A)
【文献】 実公昭49−002341(JP,Y1)
【文献】 実公昭50−009058(JP,Y1)
【文献】 特開2010−238609(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池を含む電源装置と、前記電源装置が載置される架台と、を備えてなるバッテリユニットであって、
前記架台は、
前記電源装置が載置される載置部と、
前記載置部の下部に設けられる液溜り部と、
前記載置部の一部を除いて周囲に形成される側壁部と、
前記載置部のうち、前記側壁部が一部除かれて形成された搬送口側に設けられ、前記液溜り部と連通する溝部と、
を有する、バッテリユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のバッテリユニットであって、
前記電源装置は、前記二次電池を含む電池搭載装置と、前記二次電池を制御する制御装置と、によって構成されている、バッテリユニット。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のバッテリユニットであって、
前記液溜り部は、前記架台を上面視した場合に、前記載置部の全域を含む範囲に広がっている、バッテリユニット。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のバッテリユニットであって、
前記溝部の内部は、前記液溜り部の内部と連通している、バッテリユニット。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のバッテリユニットであって、
前記載置部には、前記電源装置を固定する固定部が形成されている、バッテリユニット。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか一項に記載のバッテリユニットであって、
前記二次電池は、リチウムイオン二次電池である、バッテリユニット。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか一項に記載のバッテリユニットであって、
前記電源装置は、無停電電源装置である、バッテリユニット。
【請求項8】
二次電池を含む電源装置が載置される架台であって、
前記電源装置が載置される載置部と、
前記載置部の下部に設けられる液溜り部と、
前記載置部の一部を除いて周囲に形成される側壁部と、
前記載置部のうち、前記側壁部が一部除かれて形成された搬送口側に設けられ、前記液溜り部と連通する溝部と、
を備える、架台。
【請求項9】
二次電池を含む電源装置と、前記電源装置が載置される架台と、を備えてなるバッテリユニットであって、
前記架台は、
前記電源装置が載置される載置部と、
前記載置部の下部に設けられる液溜り部と、
前記載置部の全周囲に亘って設けられ、前記液溜り部と連通する溝部と、
を有する、バッテリユニット。
【請求項10】
二次電池を含む電源装置が載置される架台であって、
前記電源装置が載置される載置部と、
前記載置部の下部に設けられる液溜り部と、
前記載置部の全周囲に亘って設けられ、前記液溜り部と連通する溝部と、
を備える、架台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池を含む電源装置と、当該電源装置が載置される架台と、を備えてなるバッテリユニットにおいて、二次電池から洩れ液が、バッテリユニットが設置される床面に洩れ出ることを抑制する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、繰り返し使用可能な二次電池が用いられている。二次電池は、充電と放電を繰り返すことで何度も使用することができ、充電不能な電池に比べて環境に優しい。そのため、二次電池を含む電源装置は、現在その使用分野を広げている。
【0003】
電源装置は、設置されている間に劣化等により容器に亀裂が生じ、二次電池に封入されているバッテリ液がしみ出す虞がある。従来から、二次電池からしみ出した洩れ液が電源装置を設置した床面を腐食及び汚染するのを防止するために、無停電電源装置が載置されるトレイを備え、当該トレイに無停電電源装置からの洩れ液を溜める液溜りを設ける技術が知られている。この技術によれば、無停電電源装置の底面をトレイの内部に収容して設置することで、二次電池からしみ出した洩れ液が無停電電源装置を設置した床面に洩れ出ることが抑制され、洩れ液により床面が腐食及び汚染されることが防止されるという。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−226195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、電源装置の大型化により電源装置の質量が増大すると、電源装置をトレイに収容するのが難しく、電源装置の搬送の利便性に欠ける。特に、電源装置では、二次電池の劣化等を点検するために、定期的に設置場所から電源装置を移動させる必要があり、このような場合にトレイに収容された電源装置を持ち上げる必要があるとすると、電源装置の搬送の利便性に欠ける結果となる。
【0006】
本発明は、電源装置と当該電源装置が載置される架台とを備えてなるバッテリユニットにおいて、電源装置の搬送の利便性を確保しつつ、二次電池からの洩れ液が床面に洩れ出ることを抑制する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、二次電池を含む電源装置と、前記電源装置が載置される架台と、を備えてなるバッテリユニットであって、前記架台は、前記電源装置が載置される載置部と、前記載置部の下部に設けられる液溜り部と、前記載置部の一部を除いて周囲に形成される側壁部と、前記載置部のうち、前記側壁部が一部除かれて形成された搬送口側に設けられ、前記液溜り部に連通する溝部と、を有する。

【0008】
このバッテリユニットの架台では、液溜り部が設けられるとともに、側壁部が一部除かれて形成された搬送口から当該洩れ液が洩れ出さないように、載置部の搬送口側に溝部が設けられている。この架台によれば、搬送口を設けることで、電源装置の搬送の利便性を確保しつつ、溝部を設けることで、当該搬送口から洩れ液が架台の外側に洩れ出ることを抑制することができる。つまり、このバッテリユニットによれば、電源装置の搬送の利便性を確保しつつ、二次電池からの洩れ液が床面に洩れ出ることを抑制することができる。
【0009】
上記のバッテリユニットでは、前記電源装置は、前記二次電池を含む電池搭載装置と、前記二次電池を制御する制御装置と、によって構成されている構成としても良い。
【0010】
このバッテリユニットでは、載置部の面積が電池搭載装置及び制御装置の両方を載置できるように形成されている。そのため、電池搭載装置用の架台と制御装置用の架台が別々に形成されたバッテリユニットに比べて、載置部の面積を拡大して形成することができ、これに伴って液溜り部の面積も拡大して形成することができる。従って、二次電池が含む一定の液量を溜める液溜り部の高さを低くすることができ、架台における載置部の高さを低く設けることができる。このバッテリユニットによれば、電源装置を架台に載置する際に、また、メンテナンス等で電源装置を架台から移動させる際に電源装置を移動させやすく、搬送の利便性を向上させることができる。
【0011】
上記のバッテリユニットでは、前記液溜り部は、前記架台を上面視した場合に、前記載置部の全域を含む範囲に広がっている構成としても良い。このバッテリユニットによれば、架台の液溜り部の体積を比較的大きく確保することができ、二次電池からの洩れ液が架台の外側に洩れ出ることを抑制しやすい。
【0012】
上記のバッテリユニットでは、前記溝部の内部は、前記液溜り部の内部と連通している構成としても良い。このバッテリユニットによれば、架台の溝部が当該溝部よりも大きい容量を有する液溜り部に連通していることで、溝部に溜った洩れ液が溢れ出てしまうことを抑制することができる。
【0013】
上記のバッテリユニットでは、前記載置部には、前記電源装置を固定する固定部が形成されている構成としても良い。このバッテリユニットによれば、搬送口を有し、電源装置が着脱可能な架台の載置部に対して、固定部を用いて電源装置を固定することができる。
【0014】
上記のバッテリユニットでは、前記二次電池は、リチウムイオン二次電池であっても良い。一般に、リチウムイオン二次電池は、従来の鉛蓄電池に比べて充放電制御が難しく、過放電及び過充電により洩れ液が生じやすい。このバッテリユニットによれば、二次電池にリチウムイオン二次電池を用い、何らかの原因で二次電池から洩れ液が生じた場合でも、二次電池からの洩れ液が架台の外側に洩れ出ることを抑制することができる。
【0015】
上記のバッテリユニットでは、前記電源装置は、無停電電源装置であっても良い。このバッテリユニットによれば、無停電電源装置として用いられる電源装置の二次電池からの洩れ液が架台の外側に洩れ出ることを抑制することができる。
【0016】
本発明は、上記のバッテリユニットを構成する架台にも具現化される。本発明の架台は、二次電池を含む電源装置が載置される架台であって、前記電源装置が載置される載置部と、前記載置部の下部に設けられる液溜り部と、前記載置部の一部を除いて周囲に形成される側壁部と、前記載置部のうち、前記側壁部が一部除かれて形成された搬送口側に設けられ、前記液溜り部に連通する溝部と、を備える
【0017】
この架台では、側壁部が一部除かれて搬送口が形成されることで、電源装置の搬送の利便性が確保され、液溜り部とともに溝部が設けられることで、当該搬送口から洩れ液が架台の外側に洩れ出ることが抑制される。この架台によれば、電源装置の搬送の利便性を確保しつつ、二次電池からの洩れ液が床面に洩れ出ることを抑制することができる。
【0018】
本発明は、下記のバッテリユニットにも具現化される。本発明は、二次電池を含む電源装置と、前記電源装置が載置される架台と、を備えてなるバッテリユニットであって、前記架台は、前記電源装置が載置される載置部と、前記載置部の下部に設けられる液溜り部と、前記載置部の全周囲に亘って設けられ、前記液溜り部に連通する溝部と、を有する。
【0019】
このバッテリユニットの架台では、液溜り部が設けられるとともに、載置部の周囲から当該洩れ液が洩れ出さないように、載置部の全周囲に亘って溝部が設けられている。この架台によれば、幅狭に形成される溝部の上部を超えて電源装置が搬送されることで、電源装置の搬送の利便性が確保され、溝部を設けることで、洩れ液が載置部の周囲に洩れ出ることを抑制することができる。つまり、このバッテリユニットによれば、電源装置の搬送の利便性を確保しつつ、二次電池からの洩れ液が床面に洩れ出ることを抑制することができる。
【0020】
本発明は、上記のバッテリユニットを構成する架台にも具現化される。本発明の架台は、二次電池を含む電源装置が載置される架台であって、前記電源装置が載置される載置部と、前記載置部の下部に設けられる液溜り部と、前記載置部の全周囲に亘って設けられ、前記液溜り部に連通する溝部と、を備える。
【0021】
この架台では、載置部の全周囲に亘って比較的幅狭な溝部が形成されることで、電源装置の搬送の利便性が確保され、液溜り部とともに当該溝部が設けられることで、載置部の周囲から洩れ液が架台の外側に洩れ出ることが抑制される。この架台によれば、電源装置の搬送の利便性を確保しつつ、二次電池からの洩れ液が床面に洩れ出ることを抑制することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、電源装置と当該電源装置が載置される架台とを備えてなるバッテリユニットにおいて、電源装置の搬送の利便性を確保しつつ、二次電池からの洩れ液が床面に洩れ出ることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】バッテリユニットを示す図
図2】実施形態1の架台を示す図
図3】架台の断面図
図4】架台及び引き出し台を示す図
図5】実施形態2の架台を示す図
【発明を実施するための形態】
【0024】
<実施形態1>
以下、本発明の実施形態1について、図1ないし図4を用いて説明する。
1.状態判定装置の構成
図1は、本実施形態におけるバッテリユニット10を示す図である。バッテリユニット10は、無停電電源装置20と、無停電電源装置20が載置される架台30と、を含む。バッテリユニット10は、床面等の設置場所に設置されて使用され、この際、架台30が設置場所に固定され、この架台30上の載置部32に無停電電源装置20が載置及び固定される。無停電電源装置20の底面には、搬送用のキャスター21が設けられている。
【0025】
無停電電源装置20は、停電等が発生した場合に、商用電源に代わって電力を供給する電源装置であり、電池搭載装置22と制御装置24とを含む。電池搭載装置22は、リチウムイオン二次電池(以下、二次電池)26を含み、通常時において商用電源から供給される電力を二次電池26に充電し、停電時に二次電池26から電力を外部装置に放電する。電池搭載装置22では、従来の鉛蓄電池に代えてリチウムイオン二次電池等の高性能蓄電池を利用することで、バッテリユニット10の省スペース化を図っている。
【0026】
制御装置24は、二次電池26の充放電を制御する制御部28を備える。リチウムイオン二次電池は、従来の鉛蓄電池に比べて充放電制御が難しく、過放電及び過充電により洩れ液が生じやすい。無停電電源装置20では、制御部28を用いて二次電池26の充放電を制御し、洩れ液の発生を抑制している。しかし、無停電電源装置20では、二次電池26の劣化等により洩れ液が発生することがあり、制御部28を用いても洩れ液の発生を完全に防止することができない。リチウムイオン二次電池からしみ出した液体は、消防法指定の危険物であることから、火災予防条例により所定量の液量を含むリチウムイオン二次電池を設置する場合には、洩れ液の拡散を防止するために、洩れ液を溜めておく液溜りを確保しておく必要がある。バッテリユニット10では、液溜り部34を備えた架台30を用いることで、二次電池26からしみ出した漏れ液が床面等に拡散することを抑制している。
【0027】
(架台の構造)
図2に示すように、架台30は略直方体形状をしており、その上面によって、無停電電源装置20が載置される載置部32が設けられ、その側面及び底面によって、二次電池26からの漏れ液を溜める液溜り部34が設けられている。つまり、液溜り部34は、載置部32の下部に設けられ、載置部32の全域を含む範囲に広がっている。
【0028】
図2に示すように、載置部32の周囲には、一方の長辺とそれに隣接する両短辺に亘って側壁(側壁部の一例)36が形成されており、側壁36が形成されていない(つまり、側壁36が一部除かれた)他方の長辺によって、無停電電源装置20を載置部32に搬送するための搬送口38が形成されている。
【0029】
載置部32には、載置部32の長辺と平行な方向に並んだ2つの孔40が設けられている。孔40は、長方形状をしており、その長辺が載置部32の短辺と平行となるように配置されている。孔40は、二次電池26からしみ出して載置部32に到達した漏れ液を、液溜り部34へと移動させる通路の役割を果たす。載置部32と液溜り部34との間には、孔40の全周に亘って支え壁42が設けられている。架台30では、支え壁42が設けられていることで、支え壁42が設けられない場合に比べて、載置部32を強固に支えることができる。
【0030】
支え壁42には、所定間隔毎に孔44が設けられている。架台30では、支え壁42に孔44が設けられることで、液溜り部34のうち、孔40の下部に位置する第1部分P1と、その他の載置部32の下部に位置する第2部分P2とを連通させることができ、第1部分P1と第2部分P2とで一体として漏れ液を溜めることができる。
【0031】
孔40には、両長辺に沿って側壁46が形成されている。また、載置部32の短辺と平行な方向において、載置部32の孔40と隣接する範囲には、載置部32に搬送された無停電電源装置20を固定するための固定孔(固定部の一例)48が形成されている。
【0032】
架台30の搬送口38が形成された側の側面には、溝部50が形成されている。溝部50は、架台30の当該側面に亘って設けられており、二次電池26からしみ出して載置部32に到達した漏れ液が側壁36のない搬送口38から載置部32の外部に漏れ出した場合に、その漏れ液を溜める役割を果たす。
【0033】
溝部50は、当該側面に垂直な方向における幅が約8mmと幅狭に形成されている。そのため、架台30では、載置部32の搬送口38側に溝部50が設けられていても、搬送口38を介して無停電電源装置20を搬送する際に、溝部50によって無停電電源装置20の搬送が阻害されることがない。
【0034】
図3に示すように、溝部50は、その上面が開放されており、その側面及び下面が金属板等で囲われている。溝部50の液溜り部34側の側面には、孔54が設けられている。架台30では、液溜り部34側の側面に孔54が設けられることで、液溜り部34の第1部分P1と第2部分P2、及び溝部50の第3部分P3とをお互いに連通させることができ、液溜り部34と溝部50とで一体として二次電池26からの漏れ液を溜めることができる。
【0035】
さらに、溝部50の外側に、無停電電源装置20の搬送等に用いる接続部52が設けられている。また、側壁36が形成された側の架台30の側面の少なくとも1つには、架台30をボルト等で設置場所に固定するための固定部56が設けられている。
【0036】
2.無停電電源装置の搬送
図4に示すように、バッテリユニット10では、架台30の載置部32に無停電電源装置20を搬送して設置を行う際に、あるいはメンテナンス等で一端設置した無停電電源装置20を載置部32から搬送する際に、架台30の近傍に引き出し台60、70を配置し、搬送作業を行う。
【0037】
引き出し台60は、架台30の接続部52側の側面に当接して配置される。引き出し台60は、略直方体形状をしており、その高さが架台30の高さと同一の高さに設定されている。引き出し台60を上面視した場合に、架台30と隣接する側の一辺と対向する他辺に、側壁62が設けられている。
【0038】
引き出し台70は、引き出し台60の架台30と隣接せず、また側壁62が形成されていない側の側面に当接して配置される。引き出し台70は、引き出し台60上に無停電電源装置20を引き上げるためのスロープであり、その斜面の両脇には、スロープに沿って側壁72が設けられている。
【0039】
バッテリユニット10では、架台30の載置部32に無停電電源装置20を搬送する際に、無停電電源装置20に設けられたキャスター21と引き出し台70とを用いて引き出し台60上に無停電電源装置20を引き上げ、引き出し台60上において搬送方向を90度転換し、搬送口38を介して無停電電源装置20を架台30の載置部32へと搬送する。無停電電源装置20を引き出し台70を用いて引き出し台60上に一旦乗せてから、架台30の載置部32へと搬送することで、無停電電源装置20を搬送する際の作業性を向上させることができる。
【0040】
無停電電源装置20は、電池搭載装置22と制御装置24を含んでおり、無停電電源装置20を架台30の載置部32へと搬送する際、それぞれの装置22、24が載置部32に設けられた2つの孔40の上部に各々位置するように、無停電電源装置20を搬送する。この際、孔40に形成されている側壁46に沿って無停電電源装置20を移動させることで、精度良く無停電電源装置20を位置決めすることができる。
【0041】
3.本実施形態の効果
(1)本実施形態のバッテリユニット10では、架台30に二次電池26からの洩れ液を溜める液溜り部34が設けられるとともに、無停電電源装置20の搬送口38を設け、さらに、搬送口38から当該洩れ液が洩れ出さないように、載置部32の搬送口38側に溝部50が設けられている。この架台30によれば、搬送口38を設けることで、無停電電源装置20の搬送の利便性を確保しつつ、溝部50を設けることで、当該搬送口38から洩れ液が架台30の外側に洩れ出ることを抑制することができる。本実施形態のバッテリユニットによれば、無停電電源装置20の搬送の利便性を確保しつつ、二次電池26からの洩れ液が床面に洩れ出ることを抑制することができる。
【0042】
(2)本実施形態のバッテリユニット10では、載置部32の面積が電池搭載装置22及び制御装置24の両方を載置できるように形成されている。そのため、電池搭載装置22用の架台30と制御装置24用の架台30が別々に形成されたバッテリユニットに比べて、載置部32の面積を拡大して形成することができ、これに伴って液溜り部34の面積も拡大して形成することができる。従って、二次電池26が含む一定の液量を溜める液溜り部34の高さを低くすることができ、架台30における載置部32の高さを低く設けることができる。このバッテリユニット10によれば、無停電電源装置20を架台30に載置する際に、また、メンテナンス等で無停電電源装置20を架台30から移動させる際に、無停電電源装置20を移動させやすく、搬送の利便性を向上させることができる。
【0043】
(3)本実施形態のバッテリユニット10では、架台30は略直方体形状をしており、その上面によって載置部32が設けられるとともに、その側面及び底面によって液溜り部34が設けられる。つまり、架台30では、上面視した場合に、載置部32の全域を含む範囲に液溜り部34が広がっている。本実施形態のバッテリユニット10によれば、載置部32よりも狭い範囲に液溜り部34が形成される場合に比べて、架台30の液溜り部34の体積を比較的大きく確保することができ、二次電池26からの洩れ液が架台30の外側に洩れ出ることを効果的に抑制することができる。
【0044】
<実施形態2>
本発明の実施形態2を、図5を用いて説明する。本実施形態では、バッテリユニット10を構成する架台30の構造が実施形態1のバッテリユニット10と異なる。以下では、本実施形態の架台30の構造について説明を行い、実施形態1と同一の内容については重複した記載を省略する。
【0045】
1.架台の構造
図5に示すように、本実施形態の架台30では、載置部32の周囲に図2に示す側壁36が形成されていない一方、その全周囲に亘って溝部50が形成されている。そのため、二次電池26からしみ出して載置部32に到達した漏れ液が側壁36のない載置部32の周囲から載置部32の外部に漏れ出した場合に、溝部50を用いてその漏れ液を溜めることができる。
【0046】
溝部50は、載置部32の全周囲に亘って幅狭に形成される。そのため、本実施形態では、無停電電源装置20を載置部32に搬送する際に、載置部32のいずれの方向からでも無停電電源装置20を載置部32に搬送することができる。また、溝部50は、実施形態1と同様に、液溜り部34と連通しており、液溜り部34と溝部50とで一体として二次電池26からの漏れ液を溜めることができる。
【0047】
溝部50の外側に、架台30の全周囲に亘って接続部52が設けられている。また、接続部52の側面の少なくとも1つには、架台30をボルト等で設置場所に固定するための固定部56が設けられている。
【0048】
2.本実施形態の効果
本実施形態のバッテリユニット10では、架台30に二次電池26からの洩れ液を溜める液溜り部34が設けられるとともに、載置部32の周囲から当該洩れ液が洩れ出さないように、載置部32の全周囲に亘って溝部50が設けられている。この架台30によれば、幅狭に形成される溝部50の上部を超えて無停電電源装置20が搬送されることで、無停電電源装置20の搬送の利便性が確保され、溝部50を設けることで、洩れ液が載置部32の周囲に洩れ出ることを抑制することができる。本実施形態のバッテリユニットによれば、無停電電源装置20の搬送の利便性を確保しつつ、二次電池26からの洩れ液が床面に洩れ出ることを抑制することができる。
【0049】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、電源装置として無停電電源装置を用いて説明を行ったが、電源装置は商用電源からの電力供給時に使用されるものであっても構わない。
【0050】
(2)上記実施形態では、電源装置に含まれる二次電池としてリチウムイオン二次電池を用いて説明を行ったが、他の蓄電池であっても構わない。
【0051】
(3)上記実施形態では、電源装置が電池搭載装置と制御装置という2つの装置によって構成されている例を用いて説明を行ったが、例えば1つの装置で構成されていても良い。
【符号の説明】
【0052】
10:バッテリユニット、20:無停電電源装置、22:電池搭載装置、24:制御装置、26:二次電池、30:架台、32:載置部、34:液溜り部、36:側壁、38:搬送口、50:溝部、
図1
図2
図3
図4
図5