【実施例】
【0033】
以下、実施例及び比較例により本発明の効果を具体的に表す。なお、%は特に断りのない限り質量%を表し、内添薬品の添加量は絶乾パルプ100質量部に対する固形分または有効成分で表し、塗料に使用する薬品は、顔料100質量部に対する固形分または有効成分で表す。
【0034】
(実施例1)
NBKP30質量%(510mlCSF、白色度81%)、LBKP10質量%(220mlCSF、白色度83%)、TMP30質量%(65mlCSF、白色度68%)、上質古紙脱墨パルプ30質量%(160mlCSF、白色度78%)からなるパルプ分散液に、歩留向上剤(商品名 DR8500 ハイモ株式会社製)を0.06質量部、硫酸バンド0.9質量部(有姿)、軽質炭酸カルシウム(商品名 TP−121−6S 奥多摩工業株式会社製)、カチオン化澱粉(商品名 ジェルトロン24 ジー・エス・エル・ジャパン株式会社製)0.4質量部を添加して抄紙した。なお、軽質炭酸カルシウムは、原紙(塗工前)の灰分が10%となるように添加した。塗工装置では、ショートドゥエルタイプのブレードコーターを用いて、以下のような、顔料と接着剤を含む塗料を原紙の両面に塗工した。
重質炭酸カルシウム(商品名 ハイドロカーブ90HS 備北粉化工業株式会社製)100質量部、SBラテックス(商品名 スマーテックスPA8008 日本エイアンドエル株式会社製)4.6質量部、尿素燐酸エステル化澱粉(商品名 スターコート16 日本食品化工株式会社製)7.7質量部、分散剤(商品名 アロンT50 東亞合成株式会社製)15質量部(対顔料)、塗工量片面当たり8.0g/m
2で両面に塗工後、乾燥し、ソフトカレンダー1ニップ処理(線圧50kN/m、ロール温度130℃)を行い、坪量52.3g/m
2、水分5.5%の塗工印刷用紙を得た。
【0035】
(実施例2)
使用するパルプをNBKP30質量%、LBKP20質量%、TMP20質量%、上質古紙脱墨パルプ30質量%とした以外は実施例1と同様にして塗工印刷用紙を得た。
【0036】
(実施例3)
使用するパルプをNBKP25質量%、LBKP10質量%、TMP45質量%、上質古紙脱墨パルプ20質量%とし、塗料の塗工量片面当たり6.0g/m
2で両面に塗工した以外は実施例1と同様にして塗工印刷用紙を得た。
【0037】
(実施例4)
塗料の塗工量片面当たり8.0g/m
2で両面に塗工し、軽質炭酸カルシウムは、原紙(塗工前)の灰分が5%となるように添加した以外は、実施例3と同様にして塗工印刷用紙を得た。
【0038】
(実施例5)
使用するパルプをNBKP40質量%、LBKP30質量%、TMP10質量%、上質古紙脱墨パルプ20質量%とし、軽質炭酸カルシウムは、原紙(塗工前)の灰分が8.0%となるように添加した以外は実施例1と同様にして塗工印刷用紙を得た。
【0039】
(実施例6)
塗料の塗工量片面当たり5.0g/m
2で両面に塗工し、軽質炭酸カルシウムは、原紙(塗工前)の灰分が15.0%となるように添加した以外は実施例5と同様にして塗工印刷用紙を得た。
【0040】
軽質炭酸カルシウムは、原紙(塗工前)の灰分が5.0%となるように添加し、塗料に含まれる顔料を、重質炭酸カルシウム(商品名 ハイドロカーブ90HS 備北粉化工業株式会社製)70質量部、2級カオリン(製品名 KCS、株式会社イメリスミネラルズ・ジャパン製)30質量部とし、坪量を49.0g/m
2とした意外は実施例3と同様にして塗工印刷用紙を得た。
【0041】
(比較例1)
塗料の塗工量片面当たり4.5g/m
2で両面に塗工した以外は実施例1と同様にして塗工印刷用紙を得た。
【0042】
(比較例2)
使用するパルプをNBKP40質量%、LBKP30質量%、TMP5質量%、上質古紙脱墨パルプ25質量%とし、塗工量片面当たり6.0g/m
2で両面に塗工した以外は実施例1と同様にして塗工印刷用紙を得た。
【0043】
(比較例3)
使用するTMPの白色度60%とし、塗料の塗工量片面当たり6.0g/m
2で両面に塗工した以外は実施例1と同様にして塗工印刷用紙を得た。
【0044】
(比較例4)
塗料の塗工量片面当たり7.0g/m
2で両面に塗工したことと、軽質炭酸カルシウムは、原紙(塗工前)の灰分が4%となるように添加した以外は、実施例1と同様にして塗工印刷用紙を得た。
【0045】
(比較例5)
塗料の塗工量片面当たり10.0g/m
2で両面に塗工し、軽質炭酸カルシウムは、原紙(塗工前)の灰分が5%となるように添加した以外は実施例1と同様にして塗工印刷用紙を得た。
【0046】
以上の実施例、比較例で得られた塗工印刷用紙と、市販の塗工印刷用紙(坪量52.3g/m
2)の評価結果を表1と表2に示す。
【0047】
なお、試験方法と評価方法は次のとおりである。
(坪量)JISP8124:1998紙及び板紙−坪量測定方法
(灰分)JISP8251:2003紙、板紙及びパルプ−灰分試験方法−525℃燃焼法
(白色度)JISP8148:2001紙、板紙及びパルプ−ISO白色度(拡散青色光反射率)の測定方法
(蛍光強度)日本電色工業株式会社製の分光式白色差計PF−10を用い、パルスキセノンランプを光源として使用し、JIS P8148(2001年)に従って測定する白色度において、光路に420nmカットオフフィルターを挿入しない場合から同フィルターを挿入した場合の白色度を引いた値を蛍光強度とした。
(不透明度)JISP8149:2000紙及び板紙−不透明度試験方法(紙の裏当て)−拡散照射法
(こわさ評価)JISP8143:2009紙−こわさ試験方法―クラークこわさ試験機法によりクラークこわさ縦を測定し、次の基準で評価した。
◎:25cm
3/100以上、○:23cm
3/100以上25cm
3/100未満、×:22cm
3/100未満
(印面評価)
オフセット輪転印刷機を用い、印刷速度700rpm、紙面温度120℃で4色印刷(オフ輪用プロセスインキ 墨・紅・藍・黄)を行い、各塗工印刷用紙の印面を次の基準で相対評価した。
◎:優れる、○:良い、×:印面にムラがみられた。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
表1に示したように、本発明の実施例1〜7では、いずれも、白色度、不透明度が高く、こわさ評価、印面評価が良好で、蛍光強度が小さいものとなっている。
【0051】
比較例1は、塗工液の片面当たりの塗工量が4.5g/m
2と少なく、灰分が21.5%と低いので、印面評価が悪く、蛍光強度がやや高くなっている。
比較例2は、機械パルプ配合率が5質量%と少ないため、不透明度が低く、こわさ評価が悪くなっている。
比較例3は、機械パルプの白色度が60%と低いので、白色度が低くなっている。
比較例4は、原紙灰分が4.0%と低く、灰分が24.8%と低いので、白色度が低く、印面評価が悪くなっている。
比較例5は、塗工液の片面当たりの塗工量が10.0g/m
2と多く、灰分が35.2%と高いので、こわさの評価が悪くなっている。
市販品は、坪量、白色度、不透明度が実施例の塗工印刷用紙と同程度のものであるが、蛍光強度が3.0%と高くなっている。