(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
但し、何れのタイプにあっても、植物の本体部分は、風を直接受けたり、西日や夏季の強い日射しに晒されたりする。そして、風からは、葉や茎等が揺れて擦れることや乾燥に起因したストレスを受け、また、日射からは、高温や乾燥に起因したストレスを受け、かかるストレスが過大な場合には生育不良の原因になる。
【0005】
ここで、これらストレスの軽減策として、植物よりも側方の外方位置に外壁面と略同面積の保護板を設け、当該保護板に風や日射を受けさせることが考えられる。
【0006】
しかしながら、保護板の形態によっては、視界を完全に遮ってしまう。例えば、保護板として貫通孔の無い無孔板を用いた場合には、保護板越しに植物を全く見られなくなる。すると、壁面緑化の目的の一つであるところの景観向上を図れなくなる。また、日射を完全に遮ってしまうと、植物の生育不良を招くおそれもある。
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みなされたものであって、その目的は、保護板が無孔板であるか有孔板(貫通孔を有する板)であるかといった保護板の形態の相違によらず、確実に構造物の外壁面の植物を構造物の外方から見える状態に維持するとともに、植物に作用し得る風起因のストレスや日射起因のストレスを軽減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するために請求項1に示す発明は、
構造物の外壁面を緑化する壁面緑化装置であって、
前記外壁面に対向して設けられた植物と、
前記植物よりも外方の位置に該植物に対向して配置され、前記植物を風及び日射から保護する複数の保護板と、を備え、
前記複数の保護板のうちの少なくとも幾つかの保護板については、所定方向に隣り合う保護板との間に隙間が設けられていることを特徴とする。
【0008】
上記請求項1に示す発明によれば、複数の保護板を有しているので、保護板の板面にて風及び日射を確実に受けることができる。すなわち、板面の面積でもって風及び日射を受けることができる。よって、植物に作用する風や日射を確実に軽減することができる。
他方、幾つかの保護板にあっては、所定方向に隣り合う保護板との間に隙間が設けられている。よって、当該隙間から日射を植物へ当てることができて、植物の生育不良を回避可能となる。また、当該隙間を通して植物を見ることができるので、保護板の存在下にあっても、植物を構造物の外方から見える状態に維持可能となり、結果、構造物の景観向上を図れる。
【0009】
請求項2に示す発明は、請求項1に記載の壁面緑化装置であって、
前記複数の保護板には、有孔折板が含まれ、
前記有孔折板は、板厚方向に貫通する孔を有するとともに、断面山型形状に屈曲された山型形状部分を有していることを特徴とする。
【0010】
上記請求項2に示す発明によれば、保護板は有孔折板を含み、有孔折板は断面山型形状に屈曲された山型形状部分を有しているので、その断面二次モーメントは高くなっており、つまり曲げ剛性が高く変形し難くなっている。よって、風の作用下においても概ね変形せずに風圧に耐えることができて、結果、風を確実に受け止めて植物の風起因のストレスを軽減可能となる。
また、有孔折板は、板厚方向に貫通する孔を有するので、植物への日射を部分的に遮ることができて、その結果、日射起因のストレスを軽減しつつ植物の生育不良をより有効に回避可能となる。また、当該孔を通して有孔折板越しに植物を見ることができるので、より確実に、構造物の外方から植物を見える状態にすることができて、結果、構造物の景観のより一層の向上を図れる。
【0011】
請求項3に示す発明は、請求項1又は2に記載の壁面緑化装置であって、
前記複数の保護板には、無孔折板が含まれ、
前記無孔折板は、板厚方向に貫通する孔を有さないとともに、断面山型形状に屈曲された山型形状部分を有していることを特徴とする。
【0012】
上記請求項3に示す発明によれば、保護板は無孔折板を含んでいるので、風起因のストレス及び日射起因のストレスの軽減効果を高めることができる。
また、無孔折板は断面山型形状に屈曲された山型形状部分を有しているので、その断面二次モーメントは高くなっており、つまり曲げ剛性が高く変形し難くなっている。よって、風の作用下においても概ね変形せずに風圧に耐えることができて、結果、風を確実に受け止めて植物の風起因のストレスを確実に軽減可能となる。
【0013】
請求項4に示す発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の壁面緑化装置であって、
前記複数の保護板には、断面山型形状に屈曲された山型形状部分を有する折板が含まれ、
前記折板は、前記山型形状部分における頂部を外方に向けて配置され、
前記山型形状部分の断面山型形状に伴って前記頂部と逆側に形成された凹状の空間内には、保水材が設けられていることを特徴とする。
【0014】
上記請求項4に示す発明によれば、保水材により保護板は冷却される。よって、保護板の輻射熱により植物に作用し得るストレスを軽減することができる。また、かかる保水材は、山形形状部分に形成された凹状の空間内に収容されているので、保水材の付設に伴う壁面緑化装置の大型化を回避可能となる。
また、折板は断面山型形状に屈曲された山型形状部分を有しているので、その断面二次モーメントは高くなっており、つまり曲げ剛性が高く変形し難くなっている。よって、風の作用下においても概ね変形せずに風圧に耐えることができて、結果、風を確実に受け止めて植物の風起因のストレスを確実に軽減可能となる。
【0015】
請求項5に示す発明は、請求項1乃至4の何れかに記載の壁面緑化装置であって、
前記複数の保護板には、断面山型形状に屈曲された山型形状部分を有する折板が含まれ、
前記折板は、前記山型形状部分における頂部を外方に向けて配置され、
前記山型形状部分の断面山型形状に伴って前記頂部と逆側に形成された凹状の空間内には、ミストを供給するミストノズルが設けられていることを特徴とする。
【0016】
上記請求項5に示す発明によれば、ミストノズルから噴霧等により供給されるミストにより、植物の高温化や乾燥は防止される。よって、植物の生育環境を良好にすることができて、生育不良を防ぐことができる。さらに、ミストの蒸発による気化冷却効果によって、外壁面と保護板の間の空間の冷却のみならず、その周囲の空間の気温を下げる効果がある。また、かかるミストノズルは、山形形状部分に形成された凹状の空間内に収容されているので、ミストノズルの付設に伴う壁面緑化装置の大型化を回避可能となる。
また、折板は断面山型形状に屈曲された山型形状部分を有しているので、その断面二次モーメントは高くなっており、つまり曲げ剛性が高く変形し難くなっている。よって、風の作用下においても概ね変形せずに風圧に耐えることができて、結果、風を確実に受け止めて植物の風起因のストレスを確実に軽減可能となる。
【0017】
請求項6に示す発明は、請求項1乃至5の何れかに記載の壁面緑化装置であって、
前記複数の保護板には、断面山型形状に屈曲された山型形状部分を有する折板が含まれ、
前記折板は、前記山型形状部分における頂部を外方に向けて配置され、
前記山型形状部分の断面山型形状に伴って前記頂部と逆側に形成された凹状の空間内には、前記植物を照らす照明が設けられていることを特徴とする。
【0018】
上記請求項6に示す発明によれば、照明により植物は照らされるので、景観向上、特に夜間の景観向上を図れる。また、かかる照明は、山形形状部分に形成された凹状の空間内に収容されているので、照明の付設に伴う壁面緑化装置の大型化を回避可能となる。
また、折板は断面山型形状に屈曲された山型形状部分を有しているので、その断面二次モーメントは高くなっており、つまり曲げ剛性が高く変形し難くなっている。よって、風の作用下においても概ね変形せずに風圧に耐えることができて、結果、風を確実に受け止めて植物の風起因のストレスを確実に軽減可能となる。
【0019】
請求項7に示す発明は、請求項1乃至6の何れかに記載の壁面緑化装置であって、
前記複数の保護板には、断面山型形状に屈曲された山型形状部分を有する折板が含まれ、
前記折板は、前記断面山型形状に屈曲する折り線を水平方向に沿わせた状態に配置されていることを特徴とする。
【0020】
上記請求項7に示す発明によれば、保護板には、折板が含まれ、当該折板は断面山型形状に屈曲された山型形状部分を有しているので、その断面二次モーメントは高くなっており、つまり曲げ剛性が高く変形し難くなっている。よって、風の作用下においても概ね変形せずに風圧に耐えることができて、結果、風を確実に受け止めて植物の風起因のストレスを確実に軽減可能となる。
【0021】
請求項8に示す発明は、請求項1乃至7の何れかに記載の壁面緑化装置であって、
前記複数の保護板は、該保護板の長手方向を水平方向に向け、該保護板の幅方向を鉛直方向に向けた状態で、鉛直方向に並んで配置されており、
前記所定方向は鉛直方向であることを特徴とする。
【0022】
上記請求項8に示す発明によれば、複数の保護板が鉛直方向に並んで配置されている。よって、保護板の設置数の調整によって、構造物の外壁面に対応した大きさに容易に設定可能となる。
【0023】
請求項9に示す発明は、請求項1乃至8の何れかに記載の壁面緑化装置であって、
前記複数の保護板には、板厚方向に貫通する孔を有した有孔平板が含まれていることを特徴とする。
【0024】
上記請求項9に示す発明によれば、保護板には有孔平板が含まれており、かかる有孔平板には、パンチングメタル材等の汎用材を用いることができる。これにより、壁面緑化装置を安価にすることができる。
【0025】
請求項10に示す発明は、請求項1乃至9の何れかに記載の壁面緑化装置であって、
前記複数の保護板には、板厚方向に貫通する孔を有さない無孔平板が含まれていることを特徴とする。
【0026】
上記請求項10に示す発明によれば、保護板には無孔平板が含まれており、かかる無孔平板には、鋼板やアルミ板等の適宜な汎用材を用いることができる。これにより、壁面緑化装置を安価にすることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、保護板が無孔板であるか有孔板であるかといった保護板の形態の相違によらず、確実に構造物の外壁面の植物を構造物の外方から見える状態に維持できるとともに、植物に作用し得る風起因のストレスや日射起因のストレスを軽減可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
===本実施形態===
図1は、本実施形態の壁面緑化装置10が設けられるべき構造物としての建物1の外観斜視図である。この例では、建物1は地上3階建ての多目的ホールである。また、同
図1中には、この壁面緑化装置10の設置対象部分A10(以下、緑化対象部分A10とも言う)を三点鎖線で示しているが、この右側の外壁面1Wの例では、外壁面1Wの略全面を緑化対象部分A10としている。すなわち、同外壁面1Wの壁高方向の略全高及び同壁幅方向の略全幅に亘って壁面緑化装置10が設けられている。但し、場合によっては、同
図1中の左側の外壁面1Wの例のように、同外壁面1Wにおける壁高方向あるいは壁幅方向の所定部分のみを緑化対象部分A10として選択し、当該部分にのみ壁面緑化装置10を設けても良い。例えば、建物1の外壁面1Wのうちで窓3や扉5の無い部分のみを緑化対象部分A10として選択して、当該部分のみに対向させて壁面緑化装置10を設けても良いし、或いは、外壁面1Wのうちで出入口5が設けられる一階部分を除き二階部分や三階部分のみに壁面緑化装置10を設けても良い。また、場合によっては、窓3の部分も緑化対象部分A10として選択し、同部分に壁面緑化装置10を設けても良い。
【0030】
図2乃至
図4は、本実施形態の壁面緑化装置10の説明図である。
図2は、壁面緑化装置10を側方の外方から見た正面図であり、同装置10の一部を拡大して示している。また、
図3Aは、同壁面緑化装置10を更に拡大して示す正面図であり、
図3Bは、
図3A中のB−B断面図である。また、
図4は、壁面緑化装置10を側方の外方から見た斜視図であり、同装置10の一部を拡大して示している。なお、
図2、
図3A、及び
図4では、壁面緑化に供する植物20を不図示としている。
【0031】
図3A及び
図3Bに示すように、この壁面緑化装置10は、建物1の外壁面1Wに対向して設けられ同壁面1Wを緑化する植物20と、当該植物20よりも側方の外方位置に該植物20に対向して配置され、該植物20を風及び日射から保護する複数の保護板30,30…と、を有している。
【0032】
図3Bに示すように植物20は、壁面緑化の既知の手法を用いて外壁面1Wの近傍に設けられる。この例では、つる植物による登攀法が使用されている。すなわち、外壁面1Wにおける緑化対象部分A10の最下部近傍に植栽用のプランター21を配置するとともに、上下方向に延在する登攀用の複数のワイヤ22,22…(或いはネット)を壁幅方向に間欠的に配置し、これらワイヤ22,22…につる植物20を登攀させることによりつる植物20の葉や茎などで外壁面1Wの緑化対象部分A10を覆い、これにより、壁面緑化が実現されている。なお、つる植物20の具体例としては、ヘデラやオオイタビ等が挙げられ、同つる植物20の植栽基盤20bはプランター21内に収容されている。また、緑化対象部分A10が地上1階を含む場合には、プランター21は例えば地面GND或いは基礎B等に載置され、他方、緑化対象部分A10が地上1階を含まず、地上二階以上や地上三階以上を含む場合には、当該緑化対象部分A10の最下部近傍に設けられたグレーチング等の不図示の床部材上に、プランター21は載置される。また、
図3Bの例では、つる植物20と外壁面1Wとの間に間隔D20が設けられているが、この間隔D20は無くても良く、つまりつる植物20を外壁面1Wに当接させても良い。なお、これ以外の壁面緑化の手法(例えば「垂下法」や「パネル法」)については後述する。
【0033】
一方、保護板30,30…は、前述のように植物20を風や日射から保護すべく、植物20よりも外方位置、つまり、側方に関して植物20よりも外壁面1Wから遠い位置に配置されている。更に換言すると、保護板30,30…は、外壁面1Wの側方に間隔D30を隔てつつ外壁面1Wに一方(裏側)の板面を対向して配置され、これら外壁面1Wと保護板30,30…との間に植物20が介装されている。そして、かかる配置によれば、植物20が風や日射を受ける前に、保護板30,30…がこれら風や日射を受けて、弱められた風や日射が植物20に当たるため、植物20への風起因や日射起因のストレスが有効に軽減される。
【0034】
この例では、かかる保護板30,30…として、板長方向(長手方向)と板幅方向(幅方向)と板厚方向(厚さ方向)とを有した平面視略矩形形状の複数の有孔折板32,32…が設けられている。そして、
図3A及び
図2に示すように、各有孔折板32は、その板長方向を水平方向(外壁面1Wの壁幅方向)に向け、板幅方向を鉛直方向(外壁面1Wの壁高方向)に向けつつ、鉛直方向に略一列に並んで配置されている。これにより、有孔折板32のもう一方(表側)の板面が側方の外方を向いた状態にされている。そして、この鉛直方向に並ぶ複数の有孔折板32,32…の一群を一つのユニットU32とし、かかるユニットU32が、外壁面1Wの壁幅方向に沿って複数並んで配置され、これらユニットU32,U32…によって外壁面1Wの緑化対象部分A10は側方から覆われている。ちなみに、当該ユニットU32,U32…については、
図1中にも二点鎖線で模式的に示している。
【0035】
図4の斜視図に示すように、各有孔折板32は、適宜な支持部材40に支持されている。支持部材40としては、例えば、建物1の外壁面1Wから側方に突出するステイ部材42,42…と、ステイ部材42,42…に支持されて上下方向に延在する柱状部材44,44…と、を有した構成を例示できる。そして、かかるステイ部材42,42…及び柱状部材44,44…は、それぞれ壁幅方向に間欠的に並んで設けられており、更に、互いに隣り合う柱状部材44と柱状部材44とに、各有孔折板32,32が水平方向に架け渡されてボルト止め等で固定されることにより、各有孔折板32,32…は柱状部材44に支持されている。
【0036】
有孔折板32は、その名が示すように、板厚方向に貫通する複数の孔32h,32h…と、断面山型形状に屈曲された山型形状部分32mと、を有している。断面山型形状への屈曲は、同板32上に設定された折り線L32,L32…に沿って折り曲げることでなされている。そして、かかる折り線L32,L32…は、板長方向に沿っており、これにより、板幅方向に平行な断面で有孔折板32を切断した際の断面形状が断面山型形状にされている。なお、当該山型形状部分32mを有することで、有孔折板32の断面二次モーメントは大幅に向上しており、これにより、板面の法線方向から作用する風圧に対向するための曲げ剛性が高められている。よって、有孔折板32は略変形することなく、風をしっかりと受け止めることができる。
【0037】
なお、この例では、各有孔折板32は、それぞれ山型形状部分32mを一つだけ有し、且つ有孔折板32の外形寸法は、規格寸法などに基づいて全ての有孔折板32,32…に亘って同一サイズに揃っているが、何等これに限るものではない。例えば、一つの有孔折板32に対して板幅方向に山型形状部分32m,32m…を複数形成しても良いし、或いは、上記の有孔折板32を板幅方向に二枚や三枚などの複数枚並べた外形寸法の有孔折板を使用しても良い。
【0038】
ここで、本実施形態では、
図4に示すように上下方向(所定方向に相当)に隣り合う有孔折板32,32同士の間に隙間Gが形成されるように有孔折板32,32…を配置している。つまり、有孔折板32の下端縁32edと、その下方に隣り合う有孔折板32の上端縁32euとの間には横長スリット状の隙間Gが設けられており、当該隙間Gを通して風や日光が植物20に当たるようになっている。よって、大部分の風や日射は有孔折板32が受け止め、隙間G,G…を介して減量された小量の風や日射が植物20に当たるようになっており、これにより、植物20への風起因のストレスや日射起因のストレスを軽減しつつ、植物20の生育に必要な量の日射を確保している。また、
図3Bに示すように、各隙間G,G…を通して有孔折板32越しに植物20を見ることができるので、植物20を建物1の外方から観賞可能な状態に維持できて、結果、壁面緑化の主目的たる建物1の景観向上を図れる。かかる隙間Gの上下方向の大きさDG(
図4)は、例えば30mm〜有効折板32の板幅(板幅方向の寸法)程度の範囲から選択され、この範囲に設定すれば、上述の作用効果を確実に奏することができる。但し、隙間Gの大きさは、有孔折板32の幅にも左右されるので、後述するように、全体の開孔率(緑化対象部分A10に占める隙間Gと孔32hとの両者の開口面積の割合)で規定するのが望ましい。
【0039】
なお、
図2乃至
図4の例では、全ての有孔折板32,32…に亘って、上下方向に隣り合う有孔折板32,32同士の間に隙間Gを形成していたが、何等これに限るものではない。例えば、
図5の斜視図に示すように、上下方向に隣り合う有孔折板32との間に隙間Gが形成されない有孔折板32が、部分的に存在しても良い。すなわち、幾つかの有孔折板32,32…については隙間Gを設ける一方、他の幾つかの有孔折板32,32…については、有孔折板32の下端縁32edと、その下方に隣り合う有孔折板32の上端縁32euとを突き合わせて配置して隙間Gを設けないようにしても良い。
【0040】
また、
図2乃至
図4の例では、既述のように、各有孔折板32は、それぞれ板厚方向に貫通する複数の孔32h,32h…を有している。そして、これら孔32h,32h…を通すことにより、減量された風や日射が植物20に当たるとともに、当該植物20を外方から見ることができる。よって、上述の隙間Gだけでなく、これら孔32h,32h…も、風や日射起因のストレスを軽減しながらの生育に必要な日射量の確保、及び植物20を建物1の外方から観賞し易くすることに有効に寄与する。
【0041】
かかる孔32h,32h…は、
図4及び
図6の概略断面図に示すように、有孔折板32の山型形状部分32mの頂部32mpの両脇に位置する各斜面部分32mk,32mkにそれぞれ形成されている。すなわち、頂部32mpよりも上側に位置する上側斜面部32mk、および頂部32mpよりも下側に位置する下側斜面部32mkの両者にそれぞれ複数の孔32h,32h…が貫通形成されている。これにより、
図6に示すように、主に上側斜面部32mkの孔32h,32h…から日光を取り込んで植物20に当てることができ、また、主に下側斜面部32mkの孔32h,32h…を通して、人は外方から植物20を見ることができる。よって、保護板30,30…が、人の身長よりも高い高所に配置された場合であっても、植物20への適度な日射を確保しつつ景観の向上を確実に図ることができて、当該壁面緑化装置10は、設置位置の自由度に長ける。
【0042】
また、同
図4及び
図6の例では、斜面部32mk,32mkだけでなく、頂部32mpにも孔32h,32h…が貫通形成され、更に斜面部32mk,32mkから上下方向に所定幅で延在する各底面部32b,32bにも孔32h,32h…が形成されており、これにより、有孔折板32越しの植物20の観賞をより容易にしている。
【0043】
かかる孔32hの形状の一例として、ここでは、
図3A及び
図4に示す頂部32mpや斜面部32mkの孔32hの如き正円形状や、底面部32bの孔32hの如き長円形状を例示しているが、何等これに限るものではない。すなわち、正円形状や楕円形状以外の円形形状(例えば、曲率の異なる複数の円弧を組み合わせた形状など)や、三角形や四角形などの多角形でも良いし、これら円形形状及び多角形形状を部分的に組み合わせてなる複合形状でも良いし、星形等の適宜な図柄に基づく形状でも良い。
【0044】
また、孔32hの配置パターンも、
図3A及び
図4に示す斜面部32mkの孔32hの如き千鳥パターンや、頂部32mpや底面部32bの孔32hの如き板長方向に所定ピッチで一列に整列した一列パターンに限るものではなく、格子パターンでも良いし、適宜な図柄に基づくパターンでも良い。
【0045】
また、望ましくは、各孔32hの開孔面積は、観賞性等を勘案して適宜な大きさに設定して良い。各有孔折板32の開孔率(つまり、有孔折板32の板面(ここでいう板面には孔32hも含む)に占める全開孔面積の割合)は、10〜50%の範囲から選択されると良い。そして、このような範囲から選択されれば、植物20への風起因や日射起因のストレスを有効に軽減し、且つ、有孔折板32越しに植物20をより確実に見ることができるようになる。また、有孔折板32毎に、各孔32hの開孔面積或いは開孔率を異ならせても良い。
図7の例では、開孔率が50%、30%、及び10%の有孔折板32,32…が、この順番で順次上から下に並んで配置されているが、ここで、これら有孔折板32,32…の上下方向の並び順を変えたり、或いは各有孔折板32の開孔率を上記数値から変更したりすれば、これら有孔折板32,32…を見た際の全体的な印象は変化する。よって、有孔折板32毎に各孔32hの開孔率や開孔面積を適宜変更することにより、壁面緑化装置10上に様々なデザインを表現可能となる。
【0046】
なお、植物20に必要な日照量は植物種によって変化するが、かかる日照量確保の観点からは、壁面緑化装置10の開孔率として、有孔折板32の孔32hと隙間Gとの両者を含めた全体の開孔率を調整すればよい。低照度条件でも生育できるヘデラ類の場合には、通風の阻害等を考慮すると、壁面緑化装置10の開孔率として、概ね20%以上の開孔率が確保されていることが望ましい。
【0047】
かかる保護板30の素材としては、例えば、鋼やアルミニウム等の金属や木、樹脂などが挙げられ、この例では、耐候性を高めるべく溶融亜鉛メッキ鋼板が使用されている。但し、何等上述に限らず、つまり、保護板30として風や日射を直受けしても変形しない程度の剛性や化学的安定性を有した材料であれば、上記以外の材料を用いても良い。
【0048】
ところで、上述の実施形態では、
図2乃至
図5に示すように、保護板30,30…として有孔折板32,32…のみを用いていたが、何等これに限るものではない。すなわち、所定方向の一例たる上下方向に隣り合う保護板30,30同士の間に隙間Gが形成されていれば、保護板30,30…として有孔折板32以外の板材を用いることも可能である。例えば、無孔折板36や有孔平板33、無孔平板37を用いても良い。なお、ここで言う「無孔折板36」とは、板厚方向に貫通する孔32hを有さない板材であって、断面山型形状に屈曲された山型形状部分32mを有した板材のことであり(
図8)、また、「有孔平板33」とは、板厚方向に貫通する孔32hを有する平らな板材のことであり(
図9)、更に、「無孔平板37」とは、板厚方向に貫通する孔32hを有さない平らな板材のことである(
図11)。ちなみに、有孔平板33には、例えば汎用品のパンチングメタル材等を適用可能である。
【0049】
図8に、無孔折板36,36…のみを用いた場合の斜視図を示し、
図9に、有孔平板33のみを用いた場合の斜視図を示す。
図8の例では、保護板30,30…として複数の無孔折板36,36…が、上下方向に隣り合う無孔折板36との間に隙間Gを設けながら、緑化対象部分A10の全面に亘って配置されている。また、
図9の例では、保護板30,30…として複数の有孔平板33,33…が、上下方向に隣り合う有孔平板33との間に隙間Gを設けながら、緑化対象部分A10の全面に亘って配置されている。なお、無孔平板37のみを用いた例については、
図9の有孔平板33において単に孔32hを無くせば、その例に該当するので、その説明については省略する。
【0050】
また、
図10乃至
図13の各斜視図には、保護板30,30…として、有孔折板32,32…と無孔折板36,36…と有孔平板33,33…と無孔平板37,37…との中から複数種類を選択して組み合わせた場合のバリエーションを例示している。
【0051】
すなわち、先ず、
図10の例では、保護板30,30…として、複数の有孔折板32,32…と、複数の無孔折板36,36…とが、上下方向に隣り合う保護板30,30同士の間に隙間Gを設けながら、所定の混合割合(枚数比)(ここでは2:1)で混合配置されている。ここで当該
図10の別のバリエーションとしては、同
図10中における全ての無孔折板36を、有孔平板33或いは無孔平板37に置換したものや、逆に、同
図10中における全ての有孔折板32を、有孔平板33或いは無孔平板37に置換したものが挙げられる。また、
図11の例では、保護板30,30…として複数の有孔平板33,33…と無孔平板37,37…とが、上下方向に隣り合う保護板30,30同士の間に隙間Gを設けながら、所定の混合割合(ここでは2:1)で混合配置されている。
【0052】
また、
図12の例では、保護板30,30…として、複数の有孔折板32,32…と、複数の無孔折板36,36…と、複数の有孔平板33,33…とが、上下方向に隣り合う保護板30,30同士の間に隙間Gを設けながら、所定の混合割合(ここでは2:1:1)で混合配置されている。更に、
図13の例では、保護板30,30…として、複数の有孔折板32,32…と、複数の無孔折板36,36…と、複数の有孔平板33,33…と、複数の無孔平板37,37…とが、上下方向に隣り合う保護板30,30同士の間に隙間Gを設けながら、所定の混合割合(ここでは1:1:1:1)で混合配置されている。
【0053】
ちなみに、これら
図8乃至
図13の例にあっても、
図5を参照して既述したように、隣り合う保護板30との間の隙間Gが無い保護板30を、部分的に存在させても良く、そのようにすれば、デザイン性が向上する。
【0054】
ところで、
図4や
図8等の例のように保護板30として有孔折板32又は無孔折板36という折板32(36)を用いた場合であって、
図3Bの例のように、各折板32の山型形状部分32mの頂部32mpを、側方の外方、つまり、建物1の外壁面1Wとは逆側に向けて配置した場合には、山型形状部分32mの断面山型形状に伴って頂部32mpと逆側に形成された凹状の空間SP32mは、植物20や建物1の外壁面1Wと対向状態になる。そして、この場合に、この凹状の空間SP32mに、各種の機能部材を収容しても良い。
【0055】
機能部材の一例としては、保水材52やミストノズル55、照明57等が挙げられる。そして、これらのうちの一種類或いは複数種類を組み合わせて、上記の凹状の空間SP32mに収容しても良い。
【0056】
図14Aに示す保水材52は、保水性を有する部材であり、具体例としては、不織布や織布等の繊維状部材、スポンジ状部材、保水性石材、保水性セラミック部材等が挙げられる。そして、かかる保水材52と共に上記凹状の空間SP32mに収容される給水管53からの給水によって、保水材52はほぼ常時水分を保持し、その蒸発時の気化熱により、折板32(36)を冷却して同折板32(36)の日射吸収起因の高温化を防ぐ。これにより、折板32(36)が輻射熱源となることを防ぎ、その結果、植物20の周囲空間が暑熱環境になることを有効に回避可能となる。給水管53は、例えば、その管軸方向を折板32(36)の板長方向に沿わせて配置され、同給水管53には管軸方向に間欠的に複数の給水口部(不図示)が設けられている。給水口部は、例えばノズルや点滴装置(またはドリッパー)である。そして、適宜な給水ポンプ(不図示)等により給水管53に送られる冷却水が、各給水口部から保水材52へと供給されるようになっている。なお、かかる給水管53は必須構成ではない。すなわち、保水材52への給水を、雨水によって賄っても良い。但し、給水管53を設けた方が、天候に左右されずに保水材52を保水状態に維持できるので、その方が好ましい。また、
図14Aの例では、鉛直方向に並ぶ折板32(36),32(36)…の一つおきに保水材52を設けているが、何等これに限るものではなく、複数おきに設けても良いし、全ての折板32(36),32(36)…に対して設けても良い。
【0057】
ミストノズル55は、
図14Bに示すように、植物20にミストを供給して植物20の高温化や乾燥を防ぐものであり、ミストの噴射口を植物20の方に向けて配置されている。ミストノズル55,55…は、例えば、折板32(36)の板長方向に間欠的に複数配置され、また、ミストノズル55への水の供給は、例えば、ミストノズル55と共に上記凹状の空間SP32mに収容される給水管(不図示)によって行われる。なお、
図14Bの例では、鉛直方向に並ぶ折板32(36),32(36)…の一つおきにミストノズル55を設けているが、何等これに限るものではなく、複数おきに設けても良いし、全ての折板32(36),32(36)…に対して設けても良い。さらに、ミストの粒径を20μm程度以下とすることによって、ミストの蒸発による気化冷却効果が促進され、外壁と保護板の間の空間の冷却のみならず、その周囲の空間の気温を下げる効果がある。
【0058】
照明57は、例えばLED照明であり、
図14Cに示すように、その投光方向を植物20の方に向けて配置されている。そして、夜間に植物20を照らし、これにより夜間の景観が向上される。また、夜間でも植物20は光合成を行えるようになるので、植物20の生育を促すことができる。また、
図14Cの例では、かかる照明57を、折板32(36)の下側斜面部32mk上に固定しているので、植物20は斜め下方からライトアップされて夜間の景観が更に向上される。但し、照明57の配置位置は何等これに限らず、例えば上側斜面部32mk上に固定して植物20を斜め上方から照らすようにしても良い。また、
図14Cの例では、鉛直方向に並ぶ折板32(36),32(36)…の一つおきに照明57を設けているが、何等これに限るものではなく、複数おきに設けても良いし、全ての折板32(36),32(36)…に対して設けても良い。
【0059】
図15Aは、折板32(36)の変形例の概略側面図である。上述の実施形態では、折板32(36)は、板厚方向に一枚だけ配置された一枚構成であったが、この変形例では、折板32(36),32(36)が板厚方向に二枚並んで配された二枚構成である点で相違する。すなわち、この変形例では、二枚の折板32(36),32(36)を、互いの間に板厚方向に一定間隔D32をあけながら対向配置し、これら折板32(36),32(36)同士を連結ロッド等の適宜な連結部材(不図示)で連結することにより、これら折板32(36),32(36)を一部材32a(36a)として用いている。そして、このようにすれば、保護板30の曲げ剛性を更に高めることができる。ちなみに、必要に応じて、これら折板32(36),32(36)同士の間に区画される空間SP32内に前述の保水材52や給水管53を設けても良い。
【0060】
また、二枚構成に係る二枚の折板32(36),32(36)のうちで建物1側に配置される方の折板32(36)については、当該折板32(36)に代えて、有孔平板33或いは無孔平板37を用いても良い。つまり、折板32(36)の山型形状部分32mに係る前述の凹状の空間SP32mを、建物1側から囲むようにして平板33(37)を配置し、かかる平板33(37)を、折板32(36)の底面部32b,32bに当接させてボルト等で固定することにより、当該凹状の空間SP32mを閉じている。そして、この場合も保護板30の曲げ剛性の向上を図れる。また、必要に応じて、この閉じた凹状の空間SP32mに前述の保水材52等を設けても良い。
【0061】
===その他の実施の形態===
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれるのはいうまでもない。例えば、以下に示すような変形が可能である。
【0062】
上述の実施形態では、壁面緑化装置10の設置対象の構造物として建物1を例示したが、構造物は何等建物1に限らない。すなわち、ここで言う「構造物」とは、土地GND(地面GND)に定着する物を意味し、よって、上記の建物1、つまり柱、壁、及び屋根を有する建築物以外であっても良い。例えば、「構造物」の概念には、土地GNDに定着して立設された単なる塀や機械設備なども含まれる。
【0063】
上述の実施形態では、保護板30,30…として有孔折板32,32…などを所謂横置き配置していた。すなわち、
図4に示すように保護板30の板長方向を水平方向に向け、同板幅方向を鉛直方向に向けながら、複数の保護板30,30…を同鉛直方向に並べて配置していた。しかし、何等これに限るものではなく、縦置き配置しても良い。すなわち、
図16の斜視図に示すように、保護板30の板長方向を鉛直方向(外壁面1Wの壁高方向)に向け、同板幅方向を水平方向(外壁面1Wの壁幅方向)に向けながら、複数の保護板30,30…を同水平方向に並べて配置しても良い。そして、このように縦置き配置された場合には、各保護板30,30…は、水平方向(所定方向に相当)に隣り合う保護板30との間に縦長スリット状の隙間Gが形成されるように配置され、これにより、当該隙間Gを通して植物20への日射が確保され、また同隙間Gを通して外方から植物20を観賞可能となる。
なお、かかる保護板30,30…を支持する支持部材46としては、例えば、建物1の外壁面1Wから側方に突出するステイ部材42,42…と、ステイ部材42,42…に支持されて壁幅方向(水平方向)に延在する梁状部材48,48…と、を有した構成を例示できる。そして、かかるステイ部材42,42…及び梁状部材48,48…は、それぞれ壁高方向に間欠的に並んで設けられており、更に、互いに隣り合う梁状部材48と梁状部材48とに、各保護板30,30…が鉛直方向に架け渡されてボルト止め等で固定されることにより、各保護板30,30…は梁状部材48に支持されている。また、この縦置き配置の場合にも、上記横置き配置を例に説明した種々の具体例や変形例等が成立するのは言うまでもない。
【0064】
なお、更に言えば、上述の縦置き配置と前述の横置き配置とを組み合わせても良い。すなわち、請求項に係る「所定方向」のことを、鉛直方向(壁高方向)及び水平方向(壁幅方向)の二方向と捉えても良い。具体的には、
図17の斜視図に示すように、鉛直方向に隣り合う保護板30,30同士の間に隙間Gが形成されるように各保護板30,30…を配置し、且つ、水平方向に隣り合う保護板30,30同士の間にも隙間Gが形成されるように各保護板30,30…を配置しても良い。この
図17の例では、略正方形形状の保護板30,30…が格子状に配置されている。すなわち、各保護板30の板面を側方の外方に向けながら、複数の保護板30,30…が、壁高方向に第1ピッチで且つ壁幅方向に第2ピッチで配置されている。そして、各保護板30には、壁高方向に隣り合う保護板30との間に隙間Gが形成されているとともに、壁幅方向に隣り合う保護板30との間にも隙間Gが形成されている。
但し、保護板30,30…の配置パターンは何等格子状に限らず、これ以外の配置パターンでも良い。また、この例では保護板30,30…として有孔平板33’,33’…のみを用いているが、何等これに限るものではなく、例えば、有孔平板33’に代えて
図18のように無孔平板37’,37’…を用いても良いし、
図19のように有孔平板33’,33’…と無孔平板37’,37’…とを千鳥状に混合して用いても良い。更には、これら有孔平板33’や無孔平板37’に代えて、或いは更に組み合わせて、有孔折板や無孔折板を用いても良い。また、保護板30の平面形状についても、何等上述の略正方形形状に限るものではなく、例えば、長方形や三角形、五角形以上の多角形形状でも良いし、円形形状でも良い。
図17に示すように、かかる保護板30,30…を支持する支持部材41としては、例えば、建物1の外壁面1Wから側方に突出するステイ部材42,42…と、ステイ部材42,42…に支持されて壁高方向(鉛直方向)に延在する柱状部材44,44…と、壁幅方向に隣り合う柱状部材44,44同士に架け渡された複数の梁状部材49,49…と、を有した構成を例示できる。そして、かかるステイ部材42,42…及び柱状部材44,44…は、それぞれ壁幅方向に間欠的に並んで設けられており、また、梁状部材49,49…は、壁高方向に上記第1ピッチで配置されており、これにより、各保護板30,30…は、対応する梁状部材49,49…にボルト止め等で固定されて支持されている。
【0065】
上述の実施形態では、壁面緑化の一手法としてつる植物20を用いた登攀法を例示したが、何等これに限るものではなく、既知の手法を適用可能である。既知の手法としては、例えば「垂下法」や「パネル法」等が挙げられる。
図20A及び
図20Bは、それぞれ垂下法及びパネル法を示す概略断面図である。
図20Aの垂下法は、屋上等の建物1の上部にプランター21を配置し、プランター21内に収容された植裁基盤20bから植物20を垂下することにより建物1の外壁面1Wを覆って緑化する方法である。また、後者のパネル法は、
図20Bに示すように、建物1の外壁面1Wにおける緑化対象部分A10にネット等の係止基盤27を敷設し、この係止基盤27に、複数の矩形パネル状の植裁基盤28,28…を差し込む等して順次縦横に並べながら係止固定することにより緑化対象部分A10を緑化する方法である。