(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記部品箱は、前記壁部の前記貯留室側の内壁が前記底部に設けられている前記スリットに向かって傾斜しており、前記底部に向かって先細りのすり鉢状の前記貯留室が形成されていることを特徴とする請求項1記載の部品供給装置。
前記エンドエフェクタの2本の前記掬いバーは、前記アーム部の前記回転軸心に対して重力方向に偏心した位置に設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の部品供給装置。
前記エンドエフェクタは、前記アーム部に固定される固定部と、前記固定部に対して相対的に移動可能であり前記掬いバーがそれぞれ取り付けられる2つの移動部とを有し、
前記制御部は、前記貯留室から掬い取る前記部品の種類に応じて、前記移動部を前記固定部に対して相対的に移動させ2本の前記掬いバー間の間隔を変更する制御をさらに実行することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の部品供給装置。
部品の大きさに応じて予め設定された間隔を存して互いに平行に配置された2本の掬いバーを部品箱内で移動させ、当該部品箱に貯留されている部品を前記掬いバー間に挟んで掬い取る掬い取り工程と、
前記掬い取り工程において2本の前記掬いバー間に挟まれることなく前記掬いバーに掬い取られた前記部品を、前記掬いバーを回転することで振り落とす振り落とし工程と、
前記振り落とし工程にて振り落とされることなく前記掬いバーにて掬い取られた前記部品を載置部に載置する載置工程と、
を実行することを特徴とする部品供給方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、部品供給装置および部品供給方法の一実施形態について、
図1から
図20を参照しながら説明する。
図1に示すように、部品供給装置10は、エンドエフェクタ11を保持するロボット12、複数の部品箱13、複数の載置部14、制御部としてのロボットコントローラ15を備えている。
【0018】
ロボット12は、本実施形態ではいわゆる6軸の垂直多回転関節型のものを採用しており、周知のようにロボットコントローラ15によって制御されている。このロボット12は、
図2に示すように、ベース部16、ショルダ部17、第一アーム18、第二アーム19、第三アーム20および第四アーム21を備えている。なお、第三アーム20は、一般的にリスト回転軸(手首回転軸)とも称され、第四アーム部21は、一般的には手首曲げ軸とも称される。これらベース部16、ショルダ部17および第一〜第四の各アームは、それぞれの接続部位に図示しない回転関節を有しており、互いに順次連結されていわゆるロボットアームを構成している。ロボット12の場合、ベース部16は、例えば工場の床などの設置面に固定されている。ショルダ部17はベース部16を中心に水平方向に旋回可能に連結され、第一アーム18はショルダ部17の先端側において
図2の上下方向(鉛直方向)に旋回可能に連結され、第二アーム19は第一アーム18の先端側において上下方向に旋回可能に連結され、第三アーム20は第二アーム19の先端側において第二アーム19の軸方向に対して回転可能に連結され、第四アーム21は第三アーム20の先端側において第三アーム20を中心に上下方向に旋回可能に連結されている。
【0019】
第四アーム21は、その先端側にフランジ22が設けられている。フランジ22は、概ね円柱状に形成されており、第四アーム21内に設けられている図示しない回転駆動部に接続されている。回転駆動部は、図示しないモータや減速機、ならびにフランジ22を回転可能に支持する軸受部材などで構成されており、軸受部材に支持されたフランジ22を回転駆動する。このとき、エンドエフェクタ11も、フランジ22とともに回転駆動される。第四アーム21は、特許請求の範囲に記載したアーム部に相当する。
【0020】
このフランジ22には、エンドエフェクタ11が取り付けられている。エンドエフェクタ11は、
図3および
図4に示すように、フランジ22に固定されている固定部23、固定部23に対して水平方向に相対的に移動可能な2つの移動部24、各移動部24にそれぞれ設けられている掬いバー25および把持バー26を備えている。2つの移動部24は、
図4(A)に示すように互いが接近した状態、および、
図4(B)に示すように互いが離間した状態のように、その間隔を変更可能に構成されている。そのため、各移動部24にそれぞれ設けられている掬いバー25および把持バー26も、互いの間隔を変更可能になっている。
【0021】
掬いバー25は、対象となる部品の種類特に部品の大きさや形状に応じて、予め設定された間隔を存して互いに平行に設けられている。掬いバー25は、上記したように移動部24を移動させることによりその間隔を変更可能となっているものの、対象となる部品の種類に応じて、後述する掬い取り工程(
図13参照)の前に所定の間隔を存した状態に配置される。掬いバー25は、
図3に示すように、第四アーム21の回転軸心Lcよりも図示下方側、すなわち、回転軸心Lcよりも重力方向の下側に位置している。つまり、掬いバー25は、
図4に示すように、第四アーム21の中心である中心点Oに対して、径方向外側に偏心した位置に設けられている。また、各掬いバー25は、その間隔を変更した場合であっても、第四アーム21の回転軸心Lcよりも重力方向に沿って下側に位置するように構成されている。
【0022】
この掬いバー25は、例えば金属などの導電性材料で形成されており、
図5に示すように、導通検知部27に接続している。掬いバー25は、その一方がヒューズ28を介してDC+24Vの電源に接続しており、他方が入力抵抗29を介してフォトカプラ30に接続している。このため、掬いバー25間が例えば金属製の物体(部品、あるいは後述する検査バー60)により短絡された場合、導通検知部27からロボットコントローラ15に対して、掬いバー25間が導通したことを示す信号が出力される。このため、ロボットコントローラ15は、導通検知部27から出力される信号に基づいて、掬いバー25間が導通しているか否かを判定することが可能となる。なお、
図5に示した導通検知部27の構成は一例であり、掬いバー25間の導通を検知できれば他の構成を採用してもよい。
【0023】
部品箱13は、
図6(A)〜(C)に示すように、底部31ならびに底部31を囲う前壁部32、側壁部33および後壁部34を有している。これら前壁部32、側壁部33および後壁部34は、特許請求の範囲に記載した壁部に相当する。なお、
図6(A)は部品箱13の平面図、
図6(B)は正面図、
図6(C)は側面図である。部品箱13には、底部31から前壁部32の上部(本実施形態の場合、前壁部32に設けられている切り込み部35)まで連続する2本のスリット36が設けられている。本実施形態の場合、前壁部32が特許請求の範囲に記載した「エンドエフェクタと対向する側の壁部」に相当する。側壁部33は、
図6(B)に示すように、底部31および各壁部により形成される貯留室37側の内壁33aが底部31に設けられているスリット36に向かって傾斜している。また、後壁部34も、
図6(C)に示すように、貯留室37側の内壁34aが底部31に設けられているスリット36に向かって傾斜している。このため、貯留室37は、底部31に設けられているスリット36に向かうにつれて先細りのすり鉢状に形成されている。
【0024】
スリット36は、
図7に示すように、その幅W1が、掬いバー25の直径φdよりも大きく、且つ、部品としてねじ38を想定した場合にはねじ38の軸部の直径φDよりも小さく形成されている。このため、ねじ38の軸部の直径φD、スリット36の幅W1および掬いバー25の直径φdの関係は、φD>W1>φdとなっている。このとき、スリット36の間隔W2は、掬いバー25の間隔W3に併せて、掬いバー25を挿入可能な大きさ、つまりは、部品の種類に併せて設定されている。なお、掬いバー25の間隔W2は、ねじ38の頭部の幅W4よりも小さく、且つ、軸部の直径φDよりも大きく設定されている。また、底部31の幅W5は、2本のねじ38が横並びになることがないように、頭部の幅W4の2倍未満に設定されている。
【0025】
この部品箱13は、
図1に示すように、インデックステーブル40上に8つ設けられている。これら8つの部品箱13は、互いに異なる種類の部品を貯留していてもよいし、同じ部品を貯留していてもよい。インデックステーブル40は、
図8に示すように、その下方にモータ41および減速器42が設けられており、部品箱13ごと回転駆動される。このため、部品箱13は、
図1に示すように、8つのうちいずれか1つがロボット12つまりはエンドエフェクタ11と対向する位置に配置される。換言すると、本実施形態では、ロボット12と部品箱13とは、常に一定の位置関係になるように構成されている。
【0026】
載置部14は、
図9(A)に示すような平行に配置された2本の整列レール43が、
図9(B)に示すように傾斜した状態で設置されたいわゆる重力シュートである。この載置部14では、
図9(A)、(B)に示すように掬いバー25から部品例えばねじ38が投入されると、部品が自重で下方(図示左方)に移動するとともに、整列レール43によって整列される。そして、載置部14の左端側から1つずつ部品が取り出される。載置部14の傾きは、
図9(B)に示す高さ調整部44と、
図9(C)に示す高さ調整部44の上端が挿入される長穴45とにより、部品の種類に応じて調整可能となっている。例えば部品が比較的軽い場合には載置部14の傾きは大きく設定され、部品が比較的重い場合には傾きが小さく設定される。
【0027】
また、載置部14は、
図10に示すように、載置検知部46および満載検知部47を備えている。載置検知部46は、上記した導通検知部27と同様の構成となっており、
図9(A)に示す整列レール43の左端側の電極46aと電極46bとの間が短絡されると、その旨を示す信号をロボットコントローラ15に出力する。一方、満載検知部47は、
図9(A)に示す整列レール43の右端側の電極47aと電極47bとの間が短絡されると、その旨を示す信号をロボットコントローラ15に出力する。そして、ロボットコントローラ15は、載置検知部46および満載検知部47から出力される信号に基づいて、後述するように部品の取得および取得した部品の載置部14への載置を制御する。また、載置部14は、整列レール43を移動する部品を押さえるための押さえ板48も設けられている。
【0028】
さて、本実施形態のロボット12は、部品を供給する部品供給装置10としての機能に加えて、供給された部品をワークに取り付ける機能も有している。具体的には、ロボット12は、部品をワークに取り付ける機能として、
図11に示すように、部品をマガジン50の孔部51に挿入する機能を有している。なお、この機能は、部品をワークに取り付ける一例であり、例えばワークにねじ止めを行うような機能などであってもよい。マガジン50は、導電性材料で形成された接触子52が設けられており、マガジンラック53に挿入された状態では接触子52とマガジンラック53の端子部54とが接触する。端子部54は、
図11(B)に示すように、接触子52に対応する位置に2つの電極54aおよび電極54bを有しており、接触子52が接触すると、電極54aおよび電極54b間が短絡される。この端子部54はマガジンラック53側に4つ設けられており、それぞれの端子部54に対応して、
図12に示すように4つのマガジン検知部55が設けられている。各マガジン検知部55は、上記した導通検知部27と同様の構成を備えており、電極間が短絡されると、その旨を示す信号を出力する。つまり、ロボットコントローラ15には、4ビットの信号が出力される。
【0029】
この接触子52は、マガジン50の種類に応じて、マガジンラック53の端子部54に対応した異なる位置に設けられている。そのため、ロボットコントローラ15は、出力された信号に基づいて、4ビット分すなわち16種類まで識別することができる。なお、接触子52によりマガジン50が設置されていることを検出するためには少なくとも1つの接触子52が必要となるので、識別可能なマガジン50の種類は例えば最大で15種類になる。
【0030】
次に、上記した部品供給装置10、および部品供給方法の作用について説明する。
部品供給装置10のロボットコントローラ15は、
図13に示す部品供給処理を実行している。ロボットコントローラ15は、まずバー検査工程を実行する(ステップS1)。このバー検査工程では、掬いバー25の平行度、すなわち、掬いバー25が互いに平行に配置されているか否かが検査される。ロボットコントローラ15は、
図14に示すように掬いバー25を導電性材料で形成された検査バー60に近づけた後、
図15に示すように、掬いバー25間の間隔を狭めていく。このとき、ロボットコントローラ15は、検査バー60を中心として左右対称となるように、掬いバー25に接触するはずの位置まで掬いバー25の間隔を狭めていく。このため、掬いバー25が平行でない場合には、一方の掬いバー25が検査バー60に接触しても他方の掬いバー25が検査バー60に接触しないので、掬いバー25間が短絡されることがない。つまり、掬いバー25が平行でない場合すなわち掬いバー25間の間隔は正しく設定されていない場合には、導通検知部27によって掬いバー25間の導通が検知されない。そのため、ロボットコントローラ15は、掬いバー25に接触するはずの位置まで掬いバー25の間隔を狭めていっても導通を検知しなかった場合には、掬いバー25が平行でないと判断する。一方、ロボットコントローラ15は、導通を検知した場合には、掬いバー25が平行であると判断する。
【0031】
また、ロボットコントローラ15は、このバー検査工程において、掬いバー25の先端の不揃いの検査も行う。
図15に示す検査において導通が確認できたとしても、先端が不揃いの状態では、正しく部品を掬い取ることができないおそれがある。そこで、ロボットコントローラ15は、
図16に示すように、エンドエフェクタ11を通常の位置(
図3、
図4参照)から90度回転させ、検査バー60の側方から(右方あるは左方から)掬いバー25を検査バー60に接触させることで、先端の不揃い度を検査する。
【0032】
掬いバー25の先端がそろっている場合、掬いバー25が検査バー60に接触するはずの位置までエンドエフェクタ11を移動させたとき、
図16(A)に示すように、2本の掬いバー25が同時に検査バー60に接触する。このとき、掬いバー25間が短絡されることから、導通検知部27により導通が検知される。そのため、導通が検知された場合には、掬いバー25の先端が揃っていると判断することができる。これに対して、掬いバー25の先端が不揃いの場合には、
図16(B)または(C)に示すように、掬いバー25が検査バー60に接触するはずの位置までエンドエフェクタ11を移動させたとしても、いずれかの掬いバー25が検査バー60に接触しないことにある。この場合、掬いバー25間が短絡されないことから、導通検知部27では導通が検知されない。そのため、導通が検知されなかった場合には、掬いバー25の先端が不揃いであると判断することができる。
【0033】
このように、ロボットコントローラ15は、まず掬いバー25の平行度および不揃い度を検査し、掬いバー25が平行で無い場合、あるいは、先端が不揃いである場合には、その旨を例えば作業者に報知することにより、エンドエフェクタ11の確認を促す。なお、バー検査工程は、例えば当日の最初の作業の開始時に実行したり、部品の種類が変更された際に実行したり、後述する掬い取り工程を行うごとに実行したりするなど、必要に応じて適宜実行すればよい。
【0034】
以下、部品としてねじ38を想定した場合について説明する。なお、この時点では、載置部14にねじ38が載置されていないものとする。
ロボットコントローラ15は、上記した載置検知部46による検知結果に基づいてねじ38が載置されていないと判定すると、掬い取り工程を実行する(ステップS2)。この掬い取り工程では、
図17(A)に示すように、掬いバー25を部品箱13の底部31に対して概ね水平な状態を保ったまま、エンドエフェクタ11を上方に移動させる。このとき、掬いバー25は、
図17(B)に示すようにスリット36に案内された状態で貯留室37内を移動し、貯留室37に貯留されているねじ38を掬い取る。これにより、貯留室37内に貯留されているねじ38を、過度の振動にさらすことなく、また、ねじ38同士が接触するおそれを低減した状態で掬い取ることができる。
【0035】
さて、掬いバー25でねじ38を掬い取った際には、ねじ38の軸部が掬いバー25間に挟まれた状態で掬い取られると想定される。しかし、部品箱13には多数のねじ38が貯留されていることから、
図18(A)に示すように、掬いバー25に挟まれることなく、掬いバー25上に載った状態でねじ38が掬い取られる可能性がある。
【0036】
そこで、ロボットコントローラ15は、掬い取り工程の後に、振り落とし工程を実行する(ステップS3)。この振り落とし工程では、ロボットコントローラ15は、エンドエフェクタ11を時計回り、および反時計回りに90度回転させる。なお、いずれか一方にのみ回転させるのであってもよい。これにより、
図18(B)あるいは(C)に示すように掬いバー25上に載っているねじ38は、重力によって下方すなわち貯留室37に落下する。一方、掬いバー25間に挟まれているねじ38は、遠心力が働くことで掬いバー25に押しつけられる。その結果、
図18(D)に示すように、掬いバー25間に挟まれたねじ38だけが残ることになる。これにより、正しく掬い取られなかった(掬いバー25間に挟まれていない)ねじ38は掬いバー25から振り落とされるとともに、正しく掬い取られている(掬いバー25間に挟まれている)ものの、例えば頭部が少し浮いた状態で掬い取られたねじ38は、掬いバー25に押しつけられ、正しい位置まで移動する。これにより、
図19に示すようにねじ38が掬いバー25間に正しく挟まれた状態(ねじ38の場合、軸部が掬いバー25間に位置し、頭部が掬いバー25に接触している状態)になり、例えば箱から載置部14まで移動する間にねじ38が床に落下することなどを防止することができる。
【0037】
その後、ロボットコントローラ15は、導通検知部27により掬いバー25間の導通を確認し、ねじ38を掬い取ったか否かを判定している。このとき、ねじ38を掬い取っていないと判定した場合には、再度掬い取り工程を実行する。ここで、導通検知部27による導通の確認を振り落とし工程の後に行っているのは、掬い取られたねじ38が振り落とし工程にて振り落とされる可能性を考慮してのことである。
【0038】
部品を掬い取ったことを確認すると、ロボットコントローラ15は、載置工程を実行する(ステップS4)。この載置工程では、
図9(A)、(B)に示すように掬いバー25を載置部14に向けて傾動することにより、ねじ38を載置部14に投入する。投入されたねじ38は、載置部14の整列レール43に沿って自重で図示左方まで移動する。これにより、後述するように、エンドエフェクタ11の把持バー26により、ねじ38を1つずつ把持することが可能になる。そして、ロボットコントローラ15は、ねじ38が満載になったか否かを判定し(ステップS5)、満載でなければ(S5:NO)、満載になるまでステップS2〜S4の処理を繰り返す。そして、満載された場合には(S5:YES)、部品検査工程を実行する(ステップS6)。
【0039】
この部品検査工程では、ロボットコントローラ15は、まず載置部14からねじ38を1つ取得する。具体的には、ロボットコントローラ15は、
図20(A)に示すように、エンドエフェクタ11に設けられている把持バー26によりねじ38の頭部を把持する。続いて、ロボットコントローラ15は、
図20(B)に示すようにねじ38を把持した状態で、
図20(C)に示すようにねじ38の軸部が押し当て台61に当接するまでエンドエフェクタ11を移動させる。そして、エンドエフェクタ11が停止した座標が所定位置であるか否か、より具体的には、基準となる軸部の長さに応じて予め設定されている許容差を含んだ範囲内であるか否かに基づいて、ねじ38の軸部の長さ(いわゆる首下長さ)を検査する。例えば軸部が基準よりも長ければ所定位置まで到達する前にエンドエフェクタ11は停止し、軸部が基準よりも短ければ所定位置を超えてエンドエフェクタ11が移動することから、軸部の長さが適正であるか否かを判定することができる。なお、部品検査工程にて不良と判定された部品は、例えば異物置場62(
図1参照)などに置かれる。
【0040】
部品検査工程を終了すると、ロボットコントローラ15は、組立工程を実行する(ステップS7)。この組立工程では、上記したように、マガジンラック53に設置されているマガジン50の孔部51にねじ38が挿入される。そして、全ての孔部51にねじ38を挿入すると部品供給処理を終了する。
【0041】
このように、部品供給装置10は、部品箱13から掬い取った部品を載置部14に載置することにより、部品に打刻などのキズを付けるおそれを低減しつつ、後工程(本実施形態の場合、部品検査工程および組立工程)において部品を1つずつ取得できる態様にて部品の供給を行っている。
【0042】
以上説明した部品供給装置10および部品供給方法によれば、次のような効果を奏する。
部品供給装置10は、2本の掬いバー25を有するエンドエフェクタ11を上下動可能、傾動可能、且つ回転可能にロボット12に取り付け、2本の掬いバー25を水平な状態を保ったまま貯留室37の下方から上方まで移動させることにより、貯留室37内に貯留されている部品を掬い取っている。このため、部品箱13に貯留されている部品は、貯留されているとき、および掬い取られるときのいずれにおいても振動が加えられることがない。これにより、部品同士の接触が低減されるとともに、部品に打刻などが生じるおそれを低減することができる。
【0043】
この場合、部品を掬い取っていることから、部品箱13を振動させる必要がない。そのため、加振器などを設ける必要が無く、装置の複雑化や大型化を招くことがない。また、騒音や振動が発生しないことから、作業環境の悪化などを招くこともない。
部品供給装置10の部品箱13は、その底部31から壁部にわたって、掬いバー25を移動可能に案内するスリット36が設けられており、2本の掬いバー25は、部品箱13に設けられている貯留室37内を通って部品箱13の下方から上方まで移動する。これにより、部品としてのねじ38は、軸部が2本の掬いバー25に挟まれ、頭部が掬いバー25上に載った状態で掬い取ることができる。
【0044】
スリット36は、その幅W1や間隔W2を部品の種類に応じて設定する必要があるもの、例えば部品がねじ38の場合、軸部の長さが異なっていたとしても軸部の直径が同じであれば共用することができる。したがって、複数種類の部品に対して部品箱13を共通化でき、汎用性の向上させることができる。また、スリット36そのものは単なる溝であることから容易に加工することができ、加工コストの低減をも図ることができる。
【0045】
部品としてのねじ38は、軸部が掬いバー25上に載った状態すなわち軸部が掬いバー25に挟まれていない状態で掬い取られる可能性があるものの、掬いバー25を貯留室37の上方まで移動させた後にエンドエフェクタ11をアーム部の回転軸を中心に回転させることにより、掬いバー25間に挟まれることなく掬い取られた部品、より簡易的に言えば、正しい位置で掬い取ることができなかった部品を振り落としている。これにより、掬いバー25間に挟まれた部品、換言すると、一定の向きにそろった状態で掬い取られた部品だけを載置部14に載置することができる。
【0046】
貯留室37は、底部31に設けられているスリット36に向かって先細りのすり鉢状に形成されている。そのため、貯留室37内に貯留されている部品は、スリット36の近傍すなわち掬いバー25の移動範囲の近傍に集められることになる。これにより、掬いバー25を移動させた際の部品の掬い取り確実性を向上させることができる。また、部品をスリット36の近傍に集めることにより、最後の一つまで部品を掬い取ることができるようになる。
【0047】
この場合、掬いバー25はスリット36により案内されるので、掬いバー25とスリット36近傍に集められた部品との相対的な位置関係は常に一定となる。これにより、貯留室37に貯留されている部品の量に応じた制御などが不要となり、装置や制御の複雑化を招くことがない。
【0048】
後工程にて使用する部品の種類に応じて複数の部品箱13を設けているので、複数種類の部品を使用する際に部品箱13を交換する必要が無く、作業効率を向上させることができる。この場合、上記したように部品箱13を振動させる必要がないことから、複数の部品箱13を設けたとしても、部品の掬い取り時および載置部14への載置時に、他の部品箱13からの影響が生じることがない。したがって、複数種類の部品を供給する場合であっても、装置の複雑化を招くことなく、複数種類の部品を供給することができる。
【0049】
また、部品箱13をインデックステーブル40上に設けることにより、部品箱13は常に1つがロボット12に対向する位置に配置される。ロボット12はいわゆるティーチングによりその動作が設定されるものの、部品箱13との位置関係が常に一定であることから、掬い取り工程に対するティーチングは1回だけ行えばよいことになる。したがって、準備作業の負荷を低減することができる。
【0050】
2本の掬いバー25は、アーム部の回転軸心Lcに対して重力方向に偏心した位置に設けられている。そのため、掬いバー25上に載っている部品を振り落とすためにエンドエフェクタ11を回転させた際、部品に遠心力が働くことで掬いバー25間に挟まれている部品は振り落とされることがない一方、掬いバー25上に載っている部品を回転により振り落とすことができる。また、例えばねじ38を掬い取った際に軸部の途中までが掬いバー25に挟まれているような状態であったとしても、遠心力により頭部が掬いバー25に接触する状態まで移動させることができ、掬い取られた部品を常に一定の状態で掬いバー25で挟むことができる。
【0051】
部品供給装置10は、部品の種類に応じて掬いバー25間の間隔を変更するので、複数の部品箱13から異なる種類の部品を掬い取る場合であっても、エンドエフェクタ11を取り替えるなど作業が不要となり、作業効率を向上させることができる。
掬いバー25を導電性材料で形成しているので、例えば金属などの導電性材料で形成された部品を掬い取った際、掬いバー25間が導通するので、部品を掬い取れたか否かを確認することで判定することができる。この場合、掬い取り工程後に判定を行うことで、掬い取りに失敗した場合には再度掬い取り工程を実行することで、部品を掬い取っていないにも関わらず載置工程を無意味に実行することなどを抑制でき、作業効率を向上させることができる。
【0052】
掬い取り工程の前に掬いバー25の平行度および不揃い度を判定しているので、掬いバー25が平行でないことにより掬い取りが失敗する可能性を低減することができる。
載置部14として重力シュートを採用しているので、部品は、掬いバー25を載置部14に向かって傾斜させることで自重により移動して載置される。これにより、掬いバー25を載置部14に向かって傾斜させることで掬いバー25上のどの位置に部品があったとしても部品を整列した状態で載置部14に載置することができるようになる。
掬い取り工程と振り落とし工程とを実行する部品供給方法を採用することにより部品に振動を加えることなく部品の取得が可能になるので、部品同士の接触が低減され、部品に打刻などが生じるおそれを低減することができる。
【0053】
(その他の実施形態)
本発明は、一実施形態にて例示したものに限定されることなく、例えば以下のように変形あるいは拡張することができる。
【0054】
一実施形態では部品としてねじ38を対象としたが、他の部品であってもよい。例えば、
図21(A)に示すようなセムスねじ70の場合、部品同士が接触を繰り返すと座金が噛み合ってしまうことなどから特許文献1のような加振型のパーツフィーダでは供給が困難な場合がある。しかし、本発明の部品供給装置10および部品供給方法を採用すれば、セムスねじ70のような構造であっても部品同士が噛み合ったりすることなく部品を載置部14に載置して供給することができる。また、
図21(B)に示すような球状の部品71や
図21(C)に示すような楕円形状の部品72などであっても、本発明の部品供給装置10および部品供給方法を採用すれば、部品同士の衝突による打痕などを生じさせることなく供給することができる。
【0055】
部品箱13や載置部14の数は、一実施例に示したものに限定されない。
導電性でない部品を対象とする場合には、近接センサなどを設けて部品を掬い取ったか否かを判定する構成としてもよい。
一実施例の部品箱13には、貯留室37の上方が全面的に開口した形状を採用したが、ゴミや振り落とし工程において隣接する部品箱13から万が一の部品の混入などを防止するために上部に蓋を設けてもよい。この場合、エンドエフェクタ11を部品箱13の切り込み部35(
図6(B)参照)まで移動させ、振り落とし工程を実施した後にエンドエフェクタ11を手前側(ロボット12側)に引き抜くようにすればよい。つまり、部品箱13は、その上部つまり貯留室の上方が全て開口した形状である必要はなく、一部を閉鎖したり、掬いバー25を出し入れ可能な大きさの開口部を有する形状としてもよい。
【0056】
インデックステーブル40に設置された部品箱13をマガジン50と同様にその種類を識別可能な構成とし、識別結果に基づいて必要な部品を貯留している部品箱13をロボット12に対向する位置に配置する構成としてもよい。
一実施形態では掬いバー25間の間隔を変更可能な構成としたが、複数のエンドエフェクタ11を取り替える構成としてもよいことは勿論である。