特許第5935420号(P5935420)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5935420
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月15日
(54)【発明の名称】ディファレンシャルユニット
(51)【国際特許分類】
   F16H 57/021 20120101AFI20160602BHJP
   F16C 19/36 20060101ALI20160602BHJP
   F16C 25/08 20060101ALI20160602BHJP
   F16H 57/037 20120101ALI20160602BHJP
   F16H 48/42 20120101ALI20160602BHJP
【FI】
   F16H57/021
   F16C19/36
   F16C25/08 Z
   F16H57/037
   F16H48/42
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-59923(P2012-59923)
(22)【出願日】2012年3月16日
(65)【公開番号】特開2013-194765(P2013-194765A)
(43)【公開日】2013年9月30日
【審査請求日】2015年2月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】浅見 哲也
【審査官】 稲葉 大紀
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭63−188322(JP,U)
【文献】 実開昭58−182010(JP,U)
【文献】 特開2002−295647(JP,A)
【文献】 実開昭58−149623(JP,U)
【文献】 実開平01−133035(JP,U)
【文献】 特公昭45−034321(JP,B1)
【文献】 特開2009−108956(JP,A)
【文献】 実開昭50−054442(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 57/00−57/12
F16C 21/00−27/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前端部をプロペラシャフトの後端部に連結自在とし、後端部に減速大歯車と噛合う減速小歯車を固定したピニオン軸の中間部前後2箇所位置をケーシングに対して回転自在に支持する円錐ころ軸受と、
2個の前記円錐ころ軸受の間に配置されたスペーサと、
を備え、
前記円錐ころ軸受は、少なくとも内輪、外輪及び転動体である円錐ころを備えており、
前記内輪は大つば側端面と小つば側端面を有し、
前記スペーサは、2個の前記円錐ころ軸受の前記小つば側端面を押圧しており、且つ3箇所の円筒状部分である第一円筒部、第二円筒部及び第三円筒部と、前記第一円筒部と前記第二円筒部とを接続する第一接続部と、前記第二円筒部と前記第三円筒部とを接続する第二接続部と、を備えるコラプシブルスペーサであり、
前記第一円筒部は、一方の前記円錐ころ軸受に接し、
前記第二円筒部は、前記第一円筒部と前記第三円筒部との間に配置され、
前記第三円筒部は、他方の前記円錐ころ軸受に接し、
前記第二円筒部の外形寸法は、前記第一円筒部及び前記第三円筒部の外形寸法よりも大きく、
前記第二円筒部の軸方向長さは、前記第一円筒部及び前記第三円筒部の軸方向長さよりも短く、
軸方向に沿った断面において、前記第一接続部の外形は、軸方向で前記第一円筒部側の曲率が前記第二円筒部側の曲率よりも大きい曲線であり、
軸方向に沿った断面において、前記第二接続部の外形は、軸方向で前記第二円筒部側の曲率が前記第三円筒部側の曲率よりも小さい曲線である
ことを特徴とするディファレンシャルユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のディファレンシャルユニットに関し、特に、円すいころ軸受で回転可能に支持されるピニオン軸を有するディファレンシャルユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の動力伝達系の途中に設けて、プロペラシャフトの回転を減速すると同時に、回転方向を直角に変換するディファレンシャルギヤを含むディファレンシャルユニットは、一般的に図1に示すように構成される。
【0003】
ケーシング1の内側前寄り(図1の右寄り)部分にはピニオン軸2を配設している。このピニオン軸2の前端部(図1の右端部)で上記ケーシング1の前端開口部から突出した部分に固設した結合フランジ3には、図示しないプロペラシャフトの後端部を連結自在で
ある。又、上記ピニオン軸2の後端部(図1の左端部)には減速小歯車4を固定し、この減速小歯車4と減速大歯車5とを互いに噛合させている。
【0004】
この減速大歯車5は、上記ケーシング1の後部(図1の左部)内側に、回転のみ自在に支持されている。又、上記ピニオン軸2の中間部前後2個所位置は、前後1対の円錐ころ軸受6a、6bにより、上記ケーシング1に対して回転自在に支持している。
【0005】
これら各円錐ころ軸受6a、6bは、それぞれ1個ずつの外輪7a、7b及び内輪8a、8bと、それぞれ複数個ずつの円錐ころ9a、9bとから構成されている。外輪7a、7bの内周面には円錐凹面状の外輪軌道10a、10bが、内輪8a、8bの外周面には円錐凸面状の内輪軌道11a、11bが、それぞれ形成されている。
【0006】
上記外輪7a、7bは上記ケーシング1の一部に内嵌固定し、上記内輪8a、8bは上記ピニオン軸2の中間部前後2個所位置に外嵌固定している。この構成及び予圧付与のための構成について図2を用いて説明する。
【0007】
図2は、各円錐ころ軸受6a、6bの位置決めと、各円錐ころ軸受6a、6bへの予圧付与における従来からの構成を説明するための図である。ケーシング1に円錐ころ軸受収容部として設けられた段部1bに上記外輪7a、7bを内嵌固定し、ケーシング1の段部1a、1bと上記外輪7a、7bの端面を突き当てている。
【0008】
内輪8aと8bは上記の通りピニオン軸2に外嵌固定されている。更に、内輪8aと8bとの間には、スペーサ12が介在している。スペーサ12は図示の通り、円筒管形状の中央部に半径方向に膨出した部分を有している。
【0009】
円錐ころ軸受6a、6bへの予圧は、ピニオン軸2の軸端に設けられているねじ部に装着されたナット15を所定の位置まで回転させることにより付与される。ナット15を締め付けることにより、前記スペーサ12の膨出した部分が圧縮方向に変形する。このときの反力により、円錐ころ軸受6a、6bの内輪8a、8bが所定の位置に位置決めされる。すなわち、ケーシング1の段部1a、1bの位置との兼ね合いにより所定の予圧が付与された状態で円錐ころ軸受6a、6bが位置決めされる。
【0010】
ところで、近年、自動車の燃費向上の要求が更に強くなっており、これに対応するため、ディファレンシャルユニットにおいても、いわゆるトルク損失の低減が要求されてきている。
【0011】
トルク損失の低減に関する先行技術としては、特許文献1に開示されている技術がある。これは、円錐ころ軸受の回転トルクを低減するために、円錐ころ軸受のころの長さを比較的短くし、接触角を所定の範囲に規定するものである。
【0012】
ここで、特許文献1に開示されている技術では、円錐ころの長さが短くなった分、円錐ころ軸受の幅寸法も小さくなり、ディファレンシャルユニットが多少なりとも小型化して重量低減には貢献する。重量の減少は燃費の向上につながるものである。
【0013】
しかしながら、円錐ころ軸受の幅寸法、即ちピニオン軸2に円錐ころ軸受6a、6bの内輪8a、8bが嵌め合わされている部分の軸方向長さも小さくなるため、特に、円錐ころ軸受6bの内輪8bが嵌め込まれているピニオン軸2の減速小歯車4側の剛性が低下することになり、好ましくない現象の原因となる場合がある。
【0014】
例えば、円錐ころ軸受6bの内輪大つば部8cとピニオンギヤとの突き当て面4aとの当接面でのフレッチングの発生が考えられる。すなわち、図1、2に示す減速小歯車(ピニオンギヤ)4には、減速大歯車5との噛み合い回転の際に一定もしくは不定の方向の接線力、離反力、スラスト力がかかる。これらの力により、減速小歯車4を備えるピニオン軸2がベンディングする力を受けることになる。
【0015】
ピニオン軸2がベンディングする力を受けたとき、ピニオン軸2とピニオンギヤ4との接続部の剛性が弱いと、減速小歯車が短い周期で捩れることになる。そのため上記フレッチングの発生の原因となるが、円錐ころ軸受6bの内輪大つば部8cを含めて内輪8bが十分な軸方向長さを持っていれば、ピニオン軸2と減速小歯車4との接続部の剛性を高める効果があるため、前記フレッチングの発生は抑えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開平09−096352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、前記問題の発生の可能性に鑑み、ディファレンシャルユニットを構成する円錐ころ軸受において、例えば、円錐ころ軸受のころの長さを比較的短くし、接触角を所定の範囲に規定する所謂低トルク仕様を採用した場合であっても、かかるフレッチング等の問題の発生を効果的に抑制することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は上記課題を解決するために、前端部をプロペラシャフトの後端部に連結自在とし、後端部に減速大歯車と噛合う減速小歯車を固定したピニオン軸の中間部前後2箇所位置をケーシングに対して回転自在に支持する円錐ころ軸受を有するディファレンシャルユニットにおいて、前記円錐ころ軸受は、少なくとも内輪、外輪、転動体である円錐ころを備えており、前記内輪は大つば側端面と小つば側端面を有するものであり、2個の円錐ころ軸受の前記小つば側端面同士はスペーサにより押圧されているものであって、前記スペーサは、少なくとも3箇所の円筒状部分を備えるコラプシブルスペーサであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
上記構成においては、所定形状のスペーサにより円錐ころ軸受の小つば同士が常時押圧されているため、ピニオン軸の減速小歯車の端面と円錐ころ軸受の内輪の大つば側端面の接触状態が良好となり、フレッチング等の発生を好適に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】従来の構成を説明する図である。
図2】従来の構成を説明する図である。
図3】本発明の構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図3は、本発明の構成を説明する図である。基本的な構成は図2に示した構造と同様であるため、一般的な構造部分に関する詳細な説明は省略する。
【0022】
本発明のディファレンシャルユニットの円錐ころ軸受6a、6bの内輪8a、8bの小つば側端面8f、8gは、相互にコラプシブルスペーサ13により常時押圧されている。すなわち、相互に軸力を与えている。
【0023】
コラプシブルスペーサ13は、第一円筒部13a、第二円筒部13b、第三円筒部13cを有する。第一円筒部13aと第二円筒部13b、第二円筒部13bと第三円筒部13cは滑らかな曲線あるいは、滑らかな曲線と直線の組み合わせにより接続されている。
【0024】
コラプシブルスペーサ13における第一円筒部13aの外径寸法は、減速小歯車4側の円錐ころ軸受の内輪8bの小つば側端面部8eの外径寸法より小さく、第一円筒部13aの内径寸法は内輪8bの小つば側端面部8eの内径寸法と同等か大きいことが好ましい。
【0025】
また、コラプシブルスペーサ13における第三円筒部13cの外径寸法は、ピニオン軸2の軸端側円錐ころ軸受の内輪8aの小つば側端面部8hの外形寸法より小さく、第三円筒部13cの内径寸法は、ピニオン軸2の軸端側円錐ころ軸受の内輪8aの小つば側端面部8hの内径寸法と同等か大きいことが好ましい。
【0026】
また、コラプシブルスペーサ13における第二円筒部13bの外形寸法は、第一円筒部13a、第三円筒部13cよりも大きいことが好ましい。
【0027】
更に、コラプシブルスペーサ13における第二円筒部13bの軸方向長さは、第一円筒部13a、第三円筒部13cよりも短いことが好ましい。
【0028】
また、コラプシブルスペーサ13の第一円筒部13aと第二円筒部13bとの接続部13dにおける曲げ部分の曲率は、軸方向で第一円筒部13a側の曲率が第二円筒部13b側の曲率よりも大きいことが好ましい。
【0029】
また、コラプシブルスペーサ13の第二円筒部13bと第三円筒部13cとの接続部13eにおける曲げ部分の曲率は、軸方向で第二円筒部13b側の曲率が第三円筒部13c側の曲率よりも小さいことが好ましい。
【0030】
前記コラプシブルスペーサ13の好適な形状により、コラプシブルスペーサ13が軸方向に圧縮された場合、もしくは、軸方向に伸張された場合においても、安定した荷重で円錐ころ軸受6a、6bの内輪8a、8bの小つば側端面同士を常時押圧することができる。そのため、例えば、ケーシング1の段部1b、1a間の距離が多少ばらついたとしても、2つの円錐ころ軸受に適正な予圧を付与した上で、円錐ころ軸受6a、6bの内輪8a、8bの小つば側端面同士を安定して押圧することができる。
【0031】
前記コラプシブルスペーサ13としては、いわゆるばね鋼等の金属材料が好適に使用できる。また、前記した好ましい形態とするために、コラプシブルスペーサ13は、円錐ころ軸受6a、6bの内輪8a、8bの小つば側端面部の径方向厚さより薄い厚さを有する円筒状材料から成形することが好ましい。
【0032】
更に、前記コラプシブルスペーサ13の形状は、特に、小つば側端面同士に比較的高荷重をかける場合に好適である。すなわち、第一円筒部13aと第二円筒部13bとの接続部、及び、第二円筒部13bと第三円筒部13cとの接続部という、大まかに2つの変曲可能部を有しているため、高荷重にも好適である。また、前記構造は、荷重変化への追従性にも優れている。さらに、構造が簡単なため製造コストも低く抑えることが可能であり、耐久性にも優れる。
【0033】
好ましくは、2つの円錐ころ軸受6a、6bの小つば側端面同士を3.5〜7トン、より好ましくは、4〜7トンの荷重で抑える。これにより、減速小歯車4の当接面4aと、減速小歯車4側の円錐ころ軸受6bの内輪8bの端面8dを好適に接触させ、かつ、ピニオン軸2におけるピニオン軸2と減速小歯車4との接続部分の剛性を強化することが可能となる。そのため、減速小歯車4と減速大歯車5の噛合いによる一定もしくは不定の方向の接線力、離反力、スラスト力がかかった場合においても、減速小歯車4を備えるピニオン軸2がベンディングすることを効果的に抑制できる。
【0034】
更には、少なくとも円錐ころ軸受6a、6bの一方、好ましくは円錐ころ軸受6bの内輪8bとピニオン軸2との嵌めあいによる応力よりも大きい荷重で2つの円錐ころ軸受の小つば側端面同士を押圧することが好ましい。これにより、後に述べるいわゆる追従性が良好なものとなる。
【0035】
これらの効果により、前記したように、ディファレンシャルユニット稼動時におけるピニオン軸2のベンディングを効果的に抑制することができる。そのため、ピニオン軸2の当接面4aと端面8dとの間でのフレッチングの発生を抑制することができる。
【0036】
更に、使用条件等により、ピニオン軸2のベンディングが発生した場合においても、前記したコラプシブルスペーサ13の構造は荷重変化への追従性に優れるため、ベンディングの発生に素早く追従しての内輪8bの押圧が可能である。そのため、ピニオン軸2の当接面4aと端面8dとの接触状態を安定したものとすることができ、結果的にフレッチングの発生を効果的に抑制できる。
【0037】
更に、上記したコラプシブルスペーサ13を使用することにより、円錐ころ軸受6bの内輪の大つば部8cの軸方向長さ、さらには内輪8bの軸方向幅を、ピニオン軸2と減速小歯車4との接続部分に必要な剛性を確保した上で小さくすることも可能である。
【0038】
これにより、ユニットとしての軸方向寸法を大きくすることなく、あるいは、円錐ころ軸受の幅寸法を小さくしたうえで、円錐ころ軸受6bのころ9bを相対的に短くすることが可能となり、円錐ころ軸受のトルク(回転トルク)の低減ができる。言い換えれば、フレッチング等の発生を抑制しつつ、低トルク仕様の円錐ころ軸受の使用が可能となる。これらの構成は、当然であるが、円錐ころ軸受6aにも適用できる。
【0039】
ここで、上記好ましい実施形態について、いわゆる低トルク仕様の円錐ころ軸受を使用する場合も含めてまとめる。
【0040】
(I)前端部をプロペラシャフトの後端部に連結自在とし、後端部に減速大歯車と噛合う減速小歯車を固定したピニオン軸の中間部前後2箇所位置をケーシングに対して回転自在に支持する円錐ころ軸受を有するディファレンシャルユニットにおいて、前記円錐ころ軸受は、少なくとも内輪、外輪、転動体である円錐ころを備えており、前記内輪は大つば側端面と小つば側端面を有するものであり、2個の円錐ころ軸受の前記小つば側端面同士はスペーサにより常時押圧されて軸力が与えられているものである。これにより円錐ころ軸受の内輪8bの当接面8dと減速小歯車4の当接面4aとの間のフレッチングの発生を抑制できる。
【0041】
(II)前端部をプロペラシャフトの後端部に連結自在とし、後端部に減速大歯車と噛合う減速小歯車を固定したピニオン軸の中間部前後2箇所位置をケーシングに対して回転自在に支持する円錐ころ軸受を有するディファレンシャルユニットにおいて、前記円錐ころ軸受は、少なくとも内輪、外輪、転動体である円錐ころを備えており、前記内輪は大つば側端面と小つば側端面を有するものであり、2個の円錐ころ軸受の前記小つば側端面同士はスペーサにより押圧されているものであって、前記スペーサは、少なくとも3箇所の円筒状部分を備えるコラプシブルスペーサである。これにより、更に効果的に上記フレッチングを抑制できる。
【0042】
(III)前記(I)もしくは(II)の円錐ころ軸受の少なくとも一方、好ましくは減速小歯車(4)側の円錐ころ軸受は、その接触角が26度以上、より好ましくは26〜28度である。これにより、フレッチング防止効果に加えて、回転トルクの低減効果を得ることができる。
【0043】
(IV)前記(I)〜(II)の円錐ころ軸受の少なくとも一方、好ましくは減速小歯車(4)側の円錐ころ軸受は、内輪内径(DB)と内輪幅(WB)の比(DB)/(WB)が、5/9〜6/9である。これにより、フレッチング防止効果に加えて、回転トルクの低減効果、さらには、ユニットとしての小型化の効果が期待できる。(III)との組み合わせも好適に採用できる。
【0044】
(V)前記(I)〜(II)の円錐ころ軸受の少なくとも一方、好ましくは減速小歯車(4)側は、円錐ころの大径側端部の直径(DA)と円錐ころの長さ(L)の比(DA)/(L)が0.5〜1.0である。これにより、更なる低トルク化が期待できる。前記(III)、(IV)との組み合わせも好適に採用できる。
【0045】
(VI)前記(I)〜(II)の円錐ころ軸受の少なくとも一方、好ましくは減速小歯車(4)側は、当接面(8d)の当接面積を広くするために、いわゆる最小限の面取りが施されている。これにより安定した当接をさせることができ、更にフレッチングを抑制できる。前記(III)〜(V)との組み合わせも好適に採用できる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、ディファレンシャルユニットとして自動車のみならず、広く車両に使用することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 ケーシング
2 ピニオン軸
3 結合フランジ
4 減速小歯車
5 減速大歯車
図1
図2
図3