(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記アクリル樹脂(B)が、酸価50〜250KOHmg/gおよび重量平均分子量5000〜20000であることを特徴とする請求項1または2記載の紙用グラビア輪転用印刷インキ組成物。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は耐酸紙など疎水性の強い原紙への染み込みを防ぐことで紙基材に印刷した場合も優れたラミネート強度を持つ紙用グラビア輪転用印刷インキ組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、上記目標を達成するため鋭意検討した結果、塩化ビニル―酢酸ビニル共重合物(A)およびアクリル樹脂(B)からなるバインダー樹脂を使用することで、ラミネート加工物に優れたラミネート強度を付与し、添加剤としてグリセリンをインキ総固形分に対して、1〜40重量%添加することで疎水性の強い原紙への染み込みを防止し、疎水性の強い原紙へ印刷した場合もラミネート加工物に優れたラミネート強度を持つ紙用グラビア輪転用印刷インキ組成物を見出し本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合物(A)およびアクリル樹脂(B)を含むバインダー樹脂
(ただし、ポリエステル系ウレタン樹脂(C)を除く)、グリセリン、着色剤ならびに溶剤からなるグラビア輪転用印刷インキ組成物であって、インキ総固形分重量に対して、グリセリンを1〜40重量%含み
、さらにポリエステル系ウレタン樹脂(C)を含み、バインダー樹脂の総固形分重量をW、ポリエステル系ウレタン樹脂(C)の固形分重量をW3とした時、W/W3=95/5〜50/50であることを特徴とする紙用グラビア輪転用印刷インキ組成物に関するものである。ただし、前記溶剤は、グリセリンを除く。
また、本発明は、ポリエステル系ウレタン樹脂(C)が、ポリオールのうち50重量%以上がポリエステルポリオールである上記の紙用グラビア輪転用印刷インキ組成物
に関するものである。
【0009】
さらに、本発明は、前記アクリル樹脂(B)が、酸価50〜250KOHmg/gおよび重量平均分子量5000〜20000であることを特徴とする上記の紙用グラビア輪転用印刷インキ組成物に関するものである。
【0010】
また、本発明は、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合物(A)の固形分重量をW1、アクリル樹脂(B)の固形分重量をW2とした時、
固形分重量比W1/W2=99/5〜20/80であることを特徴とする上記の紙用グラビア輪転用印刷インキ組成物に関するものである。
【0012】
また、本発明は、上記の紙用グラビア輪転用インキ組成物を紙基材に印刷してなる印刷物に関するものである。
【0013】
さらに、本発明は、上記の印刷物を酸化処理し、接着剤を介すことなくポリエチレン樹脂を直接ラミネート
することを特徴とする、ラミネート加工物
の製造方法に関するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、塩化ビニル―酢酸ビニル共重合物(A)およびアクリル樹脂(B)からなるバインダー樹脂を使用し添加剤としてグリセリンを添加することで疎水性の強い原紙へ印刷した場合も優れたラミネート強度を持つ紙用グラビア輪転用印刷インキ組成物を得ることができた。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の紙用グラビア輪転用印刷インキ組成物に使用する塩化ビニル―酢酸ビニル共重合物(A)は、塩化ビニルモノマー、酢酸ビニルモノマー、およびビニルアルコールと2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレートなどの水酸基を有するモノマーや、マレイン酸等のカルボキシル基を有するモノマーを適当な割合で共重合して得られる。特に、溶解にトルエンなどの芳香族溶剤を必要としない水酸基を有する塩化ビニル−酢酸ビニル共重合物(A)が、作業環境の点から好ましい。具体的な塩化ビニル―酢酸ビニル共重合物(A)としてはソルバインA(日信化学株式会社 製)、VAGH(ダウケミカル社 製)などが挙げられる。
【0016】
本発明の紙用グラビア輪転用印刷インキ組成物に使用するアクリル樹脂(B)は、従来からの既知の方法で製造でき、製造方法は特に制限されるものではない。アクリル樹脂(B)は、一分子中に炭素-炭素不飽和二重結合を有する単量体を重合開始剤を用いて溶媒中で重合させることで得られる。ここで、一分子中に炭素−炭素不飽和二重結合を有する単量体は、( i ) アクリル酸およびその誘導体、( i i ) 芳香族ビニル単量体、( i i i ) オレフィン系炭化水素単量体、( i v ) ビニルエステル単量体、( v ) ビニルハライド単量体、( v i ) ビニルエーテル単量体等があげられる。
【0017】
( i ) アクリル酸誘導体の例としては(メタ)アクリル酸の他、(メタ) アクリロニトリル、(メタ) アクリル酸塩、メチル(メタ) アクリレート、ブチル(メタ) アクリレート、エチルヘキシル(メタ) アクリレート、ステアリル(メタ) アクリレート等のアルキル(メタ) アクリレート等が挙げられる。
( i i ) 芳香族ビニル単量体の例として、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、クロロスチレン、モノフルオロメチルスチレン等の一部の水素がフッ素置換されたスチレン類等が挙げられる。
( i i i ) オレフィン系炭化水素単量体の例として、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソブチレン、イソプレン等が挙げられる。( i v ) ビニルエステル単量体の例として、酢酸ビニル等が挙げられる。
( v ) ビニルハライド単量体の例として、塩化ビニル、塩化ビニリデン等が挙げられる。
( v i ) ビニルエーテル単量体の例として、ビニルメチルエーテル等が挙げられる。
【0018】
また、一分子中に炭素−炭素不飽和二重結合を有する単量体は、架橋性の官能基を有する単量体を用いることができる。官能基を有する単量体としては、(vii)ヒドロキシル基を有する単量体、( viii) イソシアノ基を有する単量体、( ix) エポキシ基を有する単量体等が挙げられる。
【0019】
( vii) ヒドロキシル基を有する単量体の例としては、2‐ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1‐ヒドロキシプロピル(メタ) アクリレート、2‐ヒドロキシプロピル(メタ) アクリレート、4‐ヒドロキシブチル(メタ) アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ) アクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ) アクリレート等が挙げられる。
【0020】
( viii) イソシアノ基を有する単量体の例としては、(メタ) アクリロイルオキシエチルイソシアネート、(メタ) アクリロイルオキシプロピルイソシアネート等の他、2−ヒドロキシエチル(メタ) アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ) アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ) アクリレートを、イソホロンジイソシアネート等のポリイソシアネートと反応させて得られるものが挙げられる。
【0021】
( ix) エポキシ基を有する単量体の例としては、グリシジルメタクリレート、グリシジルシンナメート、グリシジルアリルエーテル、グリシジルビニルエーテル、ビニルシクロヘキサンモノエポキサイドなどが挙げられる。
【0022】
要求性能に応じて、これらの内から一分子中に炭素−炭素不飽和二重結合を有する単量体を1種、または2種以上を混合して用いることができ、好ましい単量体としてはスチレン、メチル(メタ) アクリレート、ブチル(メタ) アクリレート、アクリル酸、(メタ)アクリル酸などが挙げられる。
【0023】
アクリル樹脂(B)は、前記単量体を溶剤の存在下あるいは無溶剤下で重合開始剤を用いて得られる。重合開始剤としては、通常の過酸化物またはアゾ化合物、例えば、過酸化ベンゾイル、アゾイソブチルバレノニトリル、アゾビスイソブチロニトリル、ジ−t−ブチルペルオキシド、t− ブチルペルベンゾエート、t−ブチルペルオクトエート、などが用いられる。溶剤としては、酢酸エチル、イソプロパノール、エタノール、メチルエチルケトンなどが用いられる。
【0024】
アクリル樹脂(B)の酸価は50〜250KOHmg/gが好ましい。酸価が50KOHmg/g未満であるとラミネート強度不良が発生する場合があり、250KOHmg/gを超えると塩化ビニル―酢酸ビニル共重合物(A)との相溶性が低下し、分離の発生やインキ粘度の増加など、インキ安定性の低下が起こる場合がある。また重量平均分子量5000〜20000が好ましい。5000未満では、皮膜がもろく印刷物の耐ブロッキング性が低下する場合があり、また20000を超えると塩化ビニル―酢酸ビニル共重合物(A)との相溶性が低下し、インキ安定性の低下が起こる場合がある。
【0025】
本発明に用いる着色剤には、有機顔料、無機顔料があるが、顔料の他に染料も用いることができる。有機顔料の具体例としては、カーミン6B、レーキレッドC、パーマネントレッド2B、ジスアゾイエロー、ピラゾロンオレンジ、カーミンFB、クロモフタルイエロー、クロモフタルレッド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ジオキサジンバイオレット、キナクリドンマゼンダ、キナクリドンレッド、インダストロンブルー、ピリミジンイエロー、チオインジオボルドー、チオインジゴマゼンタ、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等が挙げられる。無機顔料の具体例としては、カーボンブラック、アルミニウム粉、ブロンズ粉、クロムバーミリオン、黄鉛、群青、紺藍、ベンガラ、黄色酸化鉄、鉄黒、酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられる。また染料の具体例としては、タートラジンレーキ、ローダリン6Gレーキ、ビクトリアピュアブルーレーキ、アルカリブルーGトーナー、ブリリアントグリーンレーキ等が挙げられ、この他コールタールも用いることができる。着色剤は単独で、または色相および濃度の調整等を目的として2種以上を混合して用いることもできる。着色剤はインキ組成物の濃度、着色力を確保する量、好ましくはインキ組成物の総重量に対して4〜50重量%用いられる。着色剤を含まなくとも、同等のラミネート強度とインキ安定性が得られる。
【0026】
また、本発明には、さらに、レベリング剤、消泡剤、ワックス、可塑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、難燃剤および体質顔料を併用する際の顔料分散剤等の添加剤類も必要に応じて使用することができる。
【0027】
本発明のアクリル樹脂ワニスの調製に使用される溶剤としては、炭化水素系、ケトン系、アルコ−ル系の非芳香族系が望ましい。具体的には、メチルシクロへキサン等の炭化水素系、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系、酢酸エチル、酢酸nプロピル、酢酸ブチル等のエステル系、メタノ−ル、エタノ−ル、プロパノ−ル、イソプロパノ−ル、ブタノ−ル等のアルコ−ル系有機溶剤を適宜単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
【0028】
本発明に使用するグリセリンは市販されている局方品を使用する。具体的には局方グリセリン(新日本理化株式会社 製)が挙げられる。
【0029】
本発明に使用するグリセリンは、インキ総固形分に対して、1〜40重量%含む必要がある。1重量%未満であると耐酸紙など疎水性の強い紙基材への染み込みを抑えることができずラミネート強度不良が起こる。40重量%以上であると皮膜の乾燥が遅くなることで、耐ブロッキング性の低下が起こる。
【0030】
本発明に使用する塩化ビニル―酢酸ビニル共重合物(A)の固形分重量をW1、アクリル樹脂(B)の固形分重量をW2とした時、固形分重量比W1/W2=95/5〜20/80であることが望ましい。W1/W2=95/5を超えて塩化ビニル-酢酸ビニル共重合物(A)が増加するとラミネート強度が弱くなる場合があり、20/80を超えてアクリル樹脂(B)が増加すると顔料分散性が低下し沈殿が発生するため、インキ安定性が低下する場合がある。
【0031】
さらに本発明では前記バインダー樹脂に加え、さらにポリエステル系ウレタン樹脂(C)を、その固形分重量をW3とした時、バインダー樹脂の総固形分重量Wに対し、W/W3が95/5〜50/50含むことでさらにラミネート強度を向上させることができる。W3がW/W3=95/5より小さくなると十分なラミネート強度向上の効果が見られない。W3がW/W3=50/50を超えると印刷物の耐ブロッキング性が低下する場合がある。
【0032】
本発明に使用するポリエステル系ウレタン樹脂(C)は、一般に用いられる各種公知のポリオールを1種、または2種類以上用い、ポリオールをポリイソシアネート、鎖延長剤と反応させたウレタン変性ポリオールを、ポリオールとポリイソシアネートを必要に応じイソシアネート基に不活性な溶媒を用い、また、さらに必要であればウレタン化触媒を用いて10〜150℃の温度で反応させ、末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを製造し、次いで、このプレポリマーに鎖延長剤、末端停止剤を反応させてポリウレタンポリオール樹脂を得るプレポリマー法、あるいは、有機ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物と鎖延長剤を一段で反応させてポリウレタンポリオール樹脂を得るワンショット法など公知の方法により製造することが出来る。
【0033】
前記ポリオールの例としては酸化メチレン、酸化エチレン、テトラヒドロフランなどの重合体または共重合体のポリエーテルポリオール類や1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3プロパンジオール、2−エチル−2ブチル−1,3プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、3−メチル−1,5ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、1,4−ブチンジオール、1,4−ブチレンジオール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、ソルビトール、ペンタエスリトールなどの飽和または不飽和のポリオール類が挙げられる。
【0034】
その他、これらのポリオール類1種類あるいは複数種類と、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、こはく酸、しゅう酸、マロン酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、などの多価カルボン酸あるいはこれらの無水物とを脱水縮合または重合させて得られるポリエステルポリオール類、環状エステル化合物、例えばポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、等のラクトン類を開環重合して得られるポリエステルポリオール類、例えばジメチルカーボネート、エチレンカーボネート等との反応によって得られるポリカーボネートポリオール類などが挙げられる
【0035】
この中で、ラミネート強度向上効果とアクリル樹脂(B)との相溶性を確保するために、ポリエステルポリオールを用いることが好ましく、ポリオールのうち50重量%以上を占めることが好ましい。
【0036】
前記ウレタン変性ポリオールに使用されるイソシアネートとしては、ポリウレタン樹脂の製造に一般的に用いられる各種公知のイソシアネートを用いることができる。例えば4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)などの芳香族ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)のような脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)のような脂環族ジイソシアネートなどが挙げられる。これらのジイソシアネート化合物は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
【0037】
また、前記ウレタン変性ポリオールに使用される鎖延長剤としては、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、イソホロンジアミンなどの他、2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2−ヒドロキシエチルプロピルジアミンなど分子内に水酸基を有するアミン類も用いることが出来る。これらの鎖延長剤は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
【0038】
また、反応停止を目的とした末端停止剤として、一価の活性水素化合物を用いることもできる。かかる化合物としては例えば、1級、2級のアミノ基を有する化合物、ジ−n−ブチルアミン等のジアルキルアミン類や水酸基を有するアミノアルコール類、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類があげられる。これらの末端停止剤は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。ここで、鎖延長剤にアミノ基を用いる場合、イソシアネート基と反応してウレア結合を形成するため、得られる樹脂はポリウレタン/ウレア樹脂になるが、本発明においては、これらの樹脂もポリウレタン樹脂とする。
【0039】
さらに、本発明に使用するポリエステル系ウレタン樹脂ワニス(C)の調製には触媒を用いることもできる。使用できる触媒としては、例えば、トリエチルアミンなどの3級アミン系の触媒、スズなどの金属系の触媒などが挙げられる。これらの触媒は通常ポリオール化合物に対して0.001〜1モル%の範囲で使用される。
【0040】
また、本発明に使用するポリエステル系ウレタン樹脂ワニス(C)の調製には溶剤を用いることが反応制御の面で好ましい。使用できる溶剤としては、ポリウレタン接着剤組成物を溶解するものが好ましく、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、酢酸エチル、酢酸nプロピル、酢酸ブチルなどのエステル類などが挙げられる。これらは単独で、または2種以上混合し混合溶媒として用いることもできる。
【0041】
本発明の紙用グラビア輪転用印刷インキ組成物は、耐酸紙など疎水性の強い紙基材にグラビア印刷方式で印刷することで用いることができるほか、ノンコート紙、コート紙、ポリエチレンラミネート紙などの紙基材にも同様にグラビア印刷方式にて印刷することができる。本発明の紙用グラビア輪転用印刷インキ組成物は、印刷時にはグラビア印刷に適した粘度および濃度にまで希釈溶剤で希釈され、単独でまたは混合されて各印刷ユニットに供給される。
【0042】
本発明の紙用グラビア輪転用印刷インキ組成物により印刷された印刷物はコロナ処理などの酸価処理が施されたのち印刷面上にポリエチレン樹脂を接着剤無しで押し出しラミネート加工を施し、ラミネート加工物を得ることができる。接着剤を使用することも可能であり、印刷面にイミン系、イソシアネート系、ポリブタジエン系、チタン系等の各種アンカーコート剤を介して、ポリエチレン樹脂を積層する通常の押し出しラミネート法により同様のラミネート加工物を得ることもできる。またラミネート法は上記押し出しラミネート法に限定されるものではなく、印刷面にウレタン系等の接着剤を塗工し、プラスチックフィルムを積層するドライラミネート法など、公知のラミネート工程により、本発明のラミネート加工物を得ることもできる。
【実施例】
【0043】
以下に、実施例および比較例により、一層具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。本発明において、「部」、「%」とあるものは特に断りのない限り、各々「重量部」、「重量%」を意味するものとする。
【0044】
<塩化ビニル―酢酸ビニル共重合物ワニスa1の調製>
撹拌機、温度計、還流冷却器および窒素ガス導入管を備えた四ツ口フラスコにて塩化ビニル―酢酸ビニル共重合物A1(ソルバインA 日信化学株式会社製)25部、酢酸エチル75部を窒素気流下で攪拌しながら60℃、2時間溶解させて、固形分25%の塩化ビニル―酢酸ビニル共重合物ワニスa1を得た。
【0045】
<塩化ビニル―酢酸ビニル共重合物ワニスa2の調製>
塩化ビニル―酢酸ビニル共重合ワニスA2(VAGH ダウケミカル社製)を使用し塩化ビニル―酢酸ビニル共重合物ワニスa1と同様の手法で、塩化ビニル―酢酸ビニル共重合物ワニスa2を調製した。固形分25%。
【0046】
< アクリル樹脂ワニスb1の合成>
<合成例1>
撹拌機、温度計、還流冷却器および窒素ガス導入管を備えた四ツ口フラスコに、メタクリル酸10部、メチル(メタ)アクリレート30部、ブチル(メタ)アクリレート20部、スチレン40部およびメチルエチルケトン200部を仕込み、窒素気流下で、攪拌しながら90 ℃ まで昇温して、アゾビスイソブチロニトリル2部を加えて2時間重合反応を行い、分離・精製したもの50部を、酢酸エチル34部とイソプロピルアルコール16 部を添加し、固形分50%、酸価50KOHmg/g、重量平均分子量5000 のアクリル樹脂ワニスb1を得た。
【0047】
< アクリル樹脂ワニスb2〜b6の合成>
<合成例2〜6>
表1のモノマー配合比で、アクリル樹脂ワニスb1と同様に調製し、アクリル樹脂ワニスb2〜b6を調製した。尚、使用した有機溶剤の種類、量は実施例1と同様である。
【0048】
<ポリエステル系ウレタン樹脂ワニスc1の調製>
攪拌機、温度計、還流冷却器および窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、アジピン酸と3−メチル−1,5−ペンタンジオールから得られる数平均分子量2000のポリエステルジオール(以下PMPA2000と表記する)32.394部、数平均分子量2000のポリプロピレングリコール(以下PPG2000と表記する)16.173部、イソホロンジイソシアネート8.635部、2−エチルヘキシル酸第1スズ0.010部および酢酸nプロピル10.0部を仕込み、窒素気流下に85℃で3時間反応させ、酢酸nプロピル10.0部を加え冷却し、末端イソシアネートプレポリマーの溶液72.212部を得た。次いでイソホロンジアミン2.233部、ジ−n−ブチルアミン0.565部、酢酸nプロピル78.000部およびイソプロピルアルコール42.000部を混合したものに、得られた末端イソシアネートプレポリマーの溶剤溶液72.212部を室温で徐々に添加し、次に50℃で1時間反応させ、固形分30%、溶剤組成酢酸nプロピル/イソプロピルアルコール=50/50(重量比)、重量平均分子量55000のポリエステル系ポリウレタン樹脂ワニスc1を得た。
【0049】
[
参考例1]
<紙用グラビア輪転用印刷インキ組成物1の調製>
塩化ビニル―酢酸ビニル共重合物ワニスa1:38部、アクリル樹脂ワニスb1:1部、藍顔料(DIC(株)社製「ファストゲンブルーFGF−SD」):10部、混合溶剤(酢酸nプロピル/酢酸エチル/イソプロピルアルコール= 25/25/50 ( 重量比)):50.8部、グリセリン:0.2部をアイガーミルで混練し、藍色の紙用グラビア輪転用印刷インキ組成物1を調製した。
次いで、この印刷インキ組成物1を、粘度調整溶剤として酢酸nプロピル/イソプロピルアルコール=50/50を用い、離合社製のザーンカップNo.3で15秒になるように粘度を調整して希釈し印刷に使用した。
【0050】
<印刷物およびラミネート加工物の作成方法>
得られた印刷インキ組成物1の希釈インキをイワセ印刷機械株式会社のベビー印刷機を用い、コンベンショナル30μベタ版にて耐酸紙(斤量320g/m
2、王子製紙株式会社製)に印刷し、印刷物1Pを得た。その後、印刷物にコロナ処理を施した直後、低密度ポリエチレン(ペドロセン204、東ソー株式会社製)を温度310〜320℃で溶融し20μmの厚みに押し出しラミネートすることで目的とするラミネート加工物1Lを得た。
【0051】
[実施例
6、11、12、参考例2−5、7−10、13−15、比較例1〜7]
実施例
6、11、12、参考例2−5、7−10、13−15、比較例1〜7はそれぞれ表2、表3に示す配合比にて、
参考例1と同様の方法で紙用グラビア輪転用印刷インキ組成物2〜21を製造した。実施例6、11、12、
参考例13、14、比較例1、3、6についてはインキ組成物の構成にポリエステル系ポリウレタン樹脂ワニスc1を加えた。比較例4、5についてはグリセリンの代わりにそれぞれ水、エチレングリコールを使用した。さらに
参考例1と同様の印刷物作成方法で印刷物2P〜22P、ラミネート加工物2L〜22Lを作成した。ただし、比較例2についてはインキ安定性が悪く印刷物を作成できなかった。
【0052】
実施例
6、11、12、参考例1−5、7−10、13−15、比較例1〜7で得た印刷インキ組成物、およびラミネート加工物について、それぞれインキ安定性、ラミネート強度の評価を行った。以下に評価方法と評価基準を示す。
【0053】
<インキ安定性>
印刷インキ組成物を30℃−1週間の条件にて保管した後、相分離、沈殿の程度を目視にて観察、また粘度をザーンカップ#3で測定した。評価は以下の基準で行った。実用レベルは△以上である。
○:相分離、沈殿発生せず、粘度の増加が一秒未満である。
△:相分離、沈殿はないが、1秒〜5秒粘度が増加する。
×:相分離、沈殿があり、5秒以上粘度が増加する。
【0054】
<耐ブロッキング性>
印刷物を印刷面/非印刷面で重ね、10N/cm
2の荷重をかけた状態で保管環境40℃−80%RHの条件にて1週間保管した後、重ねた印刷物を引き剥がした。評価は以下の基準で行った。実用レベルは△以上である。
○:タックが発生せず、インキ取られも発生しない。
△:タックは発生するが、インキ取られは発生しない。
×:インキ取られが発生する。
【0055】
<ラミネート強度>
ラミネート加工物を1.5cm幅に切り取り、インテスコ引っ張り試験機にて90°剥離しラミネート強度を測定した。実用レベルは1.5N以上である。
◎:2.5N以上であり原紙が剥ける。
○:2.0N以上〜2.5N未満
△:1.5N以上〜2.0N未満
×:1.5N未満
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】
【表3】
【0059】
実施例
6、11、12にて調製した印刷インキ組成物はインキ安定性、耐ブロッキング性とも良好であり、良好なラミネート強度を持つラミネート加工物を得ることができた。一方比較例1、3、4、5、6ではラミネート加工物のラミネート強度不良が発生した。また、比較例7では耐ブロッキング性不良が発生し、比較例2では印刷インキ組成物のインキ安定性が悪い結果となった。