(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施の形態)
以下、本発明に係る第1の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1、2に示す画像形成装置100は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式のカラー画像形成装置である。すなわち、画像形成装置100は、感光体上に形成されたC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の各色トナー像を中間転写体に転写(一次転写)し、中間転写体上で4色のトナー像を重ね合わせた後、用紙に転写(二次転写)することにより、画像を形成する。
【0016】
また、画像形成装置100には、CMYKの4色に対応する感光体を中間転写体の走行方向に直列配置し、中間転写体に一回の手順で各色トナー像を順次転写させるタンデム方式が採用されている。
【0017】
図1、2に示すように、画像形成装置100は、画像読取部110、操作表示部120、画像処理部130、画像形成部140、搬送部150、定着部160および制御部200を備える。
【0018】
制御部200は、CPU(Central Processing Unit)201、ROM(Read Only Memory)202、RAM(Random Access Memory)203等を備えている。CPU201は、ROM202から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM203に展開し、展開したプログラムと協働して画像形成装置100の各ブロックの動作を集中制御する。このとき、記憶部172に格納されている各種データが参照される。記憶部172は、例えば不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)やハードディスクドライブで構成される。
【0019】
制御部200は、通信部171を介して、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部の装置(例えばパーソナルコンピュータ)との間で各種データの送受信を行う。制御部200は、例えば、外部の装置から送信された画像データを受信し、この画像データ(入力画像データ)に基づいて用紙に画像を形成させる。通信部171は、例えばLANカード等の通信制御カードで構成される。
【0020】
画像読取部110は、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿給紙装置111および原稿画像走査装置(スキャナー)112等を備えて構成される。
【0021】
自動原稿給紙装置111は、原稿トレイに載置された原稿Dを搬送機構により搬送して原稿画像走査装置112へ送り出す。自動原稿給紙装置111は、原稿トレイに載置された多数枚の原稿Dの画像(両面を含む)を連続して一挙に読み取ることができる。
【0022】
原稿画像走査装置112は、自動原稿給紙装置111からコンタクトガラス上に搬送された原稿またはコンタクトガラス上に載置された原稿を光学的に走査し、原稿からの反射光をCCD(Charge Coupled Device)センサー112aの受光面上に結像させ、原稿画像を読み取る。画像読取部110は、原稿画像走査装置112による読取結果に基づいて入力画像データを生成する。この入力画像データには、画像処理部130において所定の画像処理が施される。
【0023】
操作表示部120は、例えばタッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成され、表示部121および操作部122として機能する。表示部121は、制御部200から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面、画像の状態表示、各機能の動作状況等の表示を行う。操作部122は、テンキー、スタートキー等の各種操作キーを備え、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部200に出力する。
【0024】
画像処理部130は、入力画像データに対して、初期設定またはユーザー設定に応じたデジタル画像処理を行う回路等を備えている。例えば、画像処理部130は、制御部200の制御下で、階調補正データ(階調補正テーブル)に基づいて階調補正を行う。また、画像処理部130は、入力画像データに対して、階調補正の他、色補正、シェーディング補正等の各種補正処理や、圧縮処理等を施す。これらの処理が施された画像データに基づいて、画像形成部140が制御される。
【0025】
画像形成部140は、入力画像データに基づいて、Y成分、M成分、C成分、K成分の各有色トナーによる画像を形成するための画像形成ユニット141Y、141M、141C、141Kおよび中間転写ユニット142等を備えている。
【0026】
Y成分、M成分、C成分、K成分用の画像形成ユニット141Y、141M、141C、141Kは、同様の構成を有する。図示および説明の便宜上、共通する構成要素は同一の符号で示し、それぞれを区別する場合には符号にY、M、CまたはKを添えて示すこととする。
図1では、Y成分用の画像形成ユニット141Yの構成要素についてのみ符号が付され、その他の画像形成ユニット141M、141C、141Kの構成要素については符号が省略されている。
【0027】
画像形成ユニット141の構成を画像形成ユニット141Yにより説明する。画像形成ユニット141Yは、露光装置1411、現像装置1412、感光体ドラム1413、帯電装置1414およびドラムクリーニング装置1415等を備えている。
【0028】
感光体ドラム1413は、例えばアルミニウム製の導電性円筒体(アルミ素管)の周面に、アンダーコート層(UCL:Under Coat Layer)、電荷発生層(CGL:Charge Generation Layer)、電荷輸送層(CTL:Charge Transport Layer)を順次積層した負帯電型の有機感光体(OPC:Organic Photo-conductor)である。
【0029】
帯電装置1414は、光導電性を有する感光体ドラム1413の表面を一様に負極性に帯電させる。露光装置1411は、例えば半導体レーザーで構成され、感光体ドラム1413に対して各色成分の画像に対応するレーザー光を照射する。感光体ドラム1413の電荷発生層で正電荷が発生し、電荷輸送層の表面まで輸送されることにより、感光体ドラム1413の表面電荷(負電荷)が中和される。感光体ドラム1413の表面には、周囲との電位差により各色成分の静電潜像が形成されることとなる。
【0030】
現像装置1412は、各色成分の現像剤(例えば、小粒径のトナーと磁性体とからなる二成分現像剤)を収容しており、感光体ドラム1413の表面に各色成分のトナーを付着させることにより静電潜像を可視化してトナー像を形成する。
【0031】
ドラムクリーニング装置1415は、感光体ドラム1413の表面に摺接されるドラムクリーニングブレードを有する。一次転写後に感光体ドラム1413の表面に残存する転写残トナーは、ドラムクリーニングブレードによって掻き取られ、除去される。
【0032】
中間転写ユニット142は、中間転写体となる中間転写ベルト1421、一次転写ローラー1422、二次転写ローラー1423、二次転写対向ローラー1424a、駆動ローラー1424b、従動ローラー1425a,1425bおよびベルトクリーニング装置1426等を備えている。なお、二次転写ローラー1423は、転写部材として機能する。
【0033】
中間転写ベルト1421は無端状の樹脂ベルトで構成され、駆動ローラー1424bおよび従動ローラー1425a,1425bに張架される。なお、中間転写ベルト1421は、無端状の弾性ベルトで形成されても良い。
【0034】
中間転写ベルト1421は、駆動ローラー1424bの回転により矢印A方向に一定速度で走行する。一次転写ローラー1422によって、中間転写ベルト1421が感光体ドラム1413に圧接されると、中間転写ベルト1421に各色トナー像が順次重ねて一次転写される。そして、中間転写ベルト1421が二次転写ローラー1423によって用紙Sに圧接されると、中間転写ベルト1421に一次転写されたトナー像が用紙Sに二次転写される。
【0035】
ベルトクリーニング装置1426は、中間転写ベルト1421の表面に摺接されるベルトクリーニングブレードを有する。二次転写後に中間転写ベルト1421の表面に残存する転写残トナーは、ベルトクリーニングブレードによって掻き取られ、除去される。
【0036】
定着部160は、搬送されてきた用紙Sを定着ニップ部で加熱、加圧することにより、用紙Sにトナー像を定着させる。定着部160は、定着ユニット161とエア分離ユニット162とを備えて構成されるエア分離式の定着装置である。定着ユニット161は、一対の定着部材を圧接することにより形成される定着ニップ部に用紙Sを通過させて、この用紙S上に転写されたトナー画像に熱源からの熱を与えることにより、用紙Sにトナー画像を定着させる。エア分離ユニット162は、定着ニップ部における用紙Sの排紙側から用紙Sに気体を吹き付けることにより定着部材から用紙Sを分離する。
【0037】
搬送部150は、給紙部151、搬送機構152および排紙部153等を備える。給紙部151を構成する3つの給紙トレイユニット151a〜151cには、用紙の坪量やサイズ等に基づいて識別された用紙(規格用紙、特殊用紙)Sが予め設定された種類ごとに収容される。
【0038】
給紙トレイユニット151a〜151cに収容されている用紙Sは、最上部から一枚ずつ送出され、レジストローラー152a等の複数の搬送ローラーを備えた搬送機構152により画像形成部140に搬送される。このとき、レジストローラー152aが配設されたレジスト部により、給紙された用紙Sの傾きが補正されるとともに搬送タイミングが調整される。そして、画像形成部140において、中間転写ベルト1421のトナー像が用紙Sの一方の面に一括して二次転写され、定着部160において定着工程が施される。画像形成された用紙Sは、排紙ローラー153aを備えた排紙部153により機外に排紙される。
【0039】
次に、二次転写ローラー1423、二次転写対向ローラー1424a付近の構成について
図3を参照しながら説明する。
図3に示すように、二次転写ローラー1423は、中間転写ベルト1421を間に挟んで、二次転写対向ローラー1424aと対向している。画像形成時には、用紙Sは、中間転写ベルト1421と二次転写ローラー1423との間において搬送される。また、転写ニップ部220の入口付近における中間転写ベルト1421の内周面側にはガイド部210が設けられている。
【0040】
ガイド部210は、台形状のガイド部材210a、揺動規制部として機能する長方形状の固定部材210bおよび保護部材210cを備える。
【0041】
ガイド部材210aは、例えばポリカーボネート等の電気絶縁体で構成され、中間転写ベルト1421を介して二次転写ローラー1423に接する。また、ガイド部材210aは、中間転写ベルト1421の回転方向(用紙搬送方向)における中央位置に揺動支点214を有し、この揺動支点214を中心に用紙搬送方向に沿って揺動可能に軸支されている。ガイド部材210aの用紙搬送方向下流側の底面部(先端部213a)は、所定の曲率を有する形状となっている。
【0042】
固定部材210bは、ガイド部材210aが所定量揺動した場合にガイド部材210aと接触することによって、ガイド部材210aのそれ以上の揺動を規制する。固定部材210bの上部には、弾性部材として機能するバネ212の一端部が取り付けられている。バネ212の他端部は、画像形成装置100内に固定されている。ガイド部210は、バネ212の弾性力により中間転写ベルト1421側に所定圧力で押圧されている。
【0043】
保護部材210cは、ガイド部材210aの中間転写ベルト1421の内周面に接する底面部に設けられ、中間転写ベルト1421と底面部とが摺接することによりガイド部材210aが損傷することを防止する。
【0044】
次に、用紙Sが中間転写ベルト1421と二次転写ローラー1423との間において搬送される場合におけるガイド部材210aの動作について
図4を参照しながら説明する。
【0045】
図4(a)に示すように、用紙Sの先端が中間転写ベルト1421を介してガイド部材210aの用紙搬送方向上流側の底面部(後端部213b)を押圧した場合、実線で示すガイド部材210aは、二点鎖線で示すガイド部材210aの位置まで揺動支点214を中心として揺動する。これにより、ガイド部材210aの先端部213aは、中間転写ベルト1421の内周面側を押圧する。この場合、用紙Sの先端がガイド部材210aの後端部213bを押圧すると、中間転写ベルト1421におけるガイド部材210aの先端部213aと接する部分が押し上げられる。しかし、ガイド部材210aの先端部213aの押圧により、中間転写ベルト1421は用紙S側に押さえ込まれ、中間転写ベルト1421と用紙Sとの間に空隙は生じない。
【0046】
また、用紙Sの先端が中間転写ベルト1421を介してガイド部材210aの先端部213aを押圧した場合、
図4(b)に示すように、実線で示すガイド部材210aは、二点鎖線で示すガイド部材210aの位置まで揺動支点214を中心として揺動する。これにより、ガイド部材210aの後端部213bは、中間転写ベルト1421の内周面側を押圧する。この場合、用紙Sの先端がガイド部材210aの先端部213aを押圧すると、中間転写ベルト1421におけるガイド部材210aの後端部213bと接する部分が押し上げられる。しかし、ガイド部材210aの後端部213bの押圧により、中間転写ベルト1421は用紙S側に押さえ込まれ、中間転写ベルト1421と用紙Sとの間に空隙は生じない。
【0047】
用紙Sの後端が中間転写ベルト1421を介してガイド部材210aの先端部213aまたは後端部213bを押圧した場合についても、ガイド部材210aの揺動動作は、
図4(a),(b)の例で説明した動作と同様となる。
【0048】
すなわち、用紙Sの後端が中間転写ベルト1421を介してガイド部材210aの後端部213bを押圧した場合、ガイド部材210aは、揺動支点214を中心として半時計周りに揺動する。これにより、ガイド部材210aの先端部213aは、中間転写ベルト1421の内周面側を押圧する。この場合、用紙Sの後端がガイド部材210aの後端部213bを押圧すると、中間転写ベルト1421におけるガイド部材210aの先端部213aと接する部分が押し上げられる。しかし、ガイド部材210aの先端部213aの押圧により、中間転写ベルト1421は用紙S側に押さえ込まれ、中間転写ベルト1421と用紙Sとの間に空隙は生じない。
【0049】
また、用紙Sの後端が中間転写ベルト1421を介してガイド部材210aの先端部213aを押圧した場合、ガイド部材210aは、揺動支点214を中心として時計回りに揺動する。これにより、ガイド部材210aの後端部213bは、中間転写ベルト1421の内周面側を押圧する。この場合、用紙Sの後端がガイド部材210aの先端部213aを押圧すると、中間転写ベルト1421におけるガイド部材210aの後端部213bと接する部分が押し上げられる。しかし、ガイド部材210aの後端部213bの押圧により、中間転写ベルト1421は用紙S側に押さえ込まれ、中間転写ベルト1421と用紙Sとの間に空隙は生じない。
【0050】
以上詳しく説明したように、第1の実施の形態では、中間転写ベルト1421と、転写ニップ部220への用紙Sの進入時または脱出時に、中間転写ベルト1421を用紙S側に押圧するガイド部材210aとを備える。ガイド部材210aは、転写ニップ部220の入口付近における中間転写ベルト1421の内周面側に設けられ、搬送される用紙Sの先端または後端が先端部213a(または後端部213b)を押圧したとき、反対側の後端部213b(または先端部213a)が中間転写ベルト1421の内周面側を押圧するように、揺動支点214を中心に用紙搬送方向に沿って揺動可能に軸支されている。
【0051】
このように構成した第1の実施の形態によれば、用紙Sが中間転写ベルト1421と二次転写ローラー1423との間において搬送される場合、用紙Sの先端または後端がガイド部材210aを押圧しても、中間転写ベルト1421の一部が用紙Sから離間する方向に押し上げられることを防止し、中間転写ベルト1421と用紙Sとの間に空隙が生じることを防止することができる。したがって、用紙Sと中間転写ベルト1421上のトナー像との間で放電は発生せず、その結果、用紙Sの先端および後端において転写抜けの発生を防止することができる。
【0052】
また、第1の実施の形態では、ガイド部材210aの揺動支点214は、用紙搬送方向における中央位置に設けられている。これにより、ガイド部材210aは、揺動支点214を中心として時計回りおよび反時計回りに揺動することができる。さらに、揺動支点214が用紙搬送方向における端部位置に設けられている場合と比べて、中間転写ベルト1421を押圧する力が大きくなり、中間転写ベルト1421の一部が押し上げられても中間転写ベルト1421を用紙S側に確実に押さえつけることができる。
【0053】
また、第1の実施の形態では、ガイド部材210aの揺動量を規制する固定部材210bを備える。これにより、用紙Sがガイド部材210aを押圧した場合、ガイド部材210aの必要以上の揺動が防止され、ガイド部材210aの先端部213aまたは後端部213bが中間転写ベルト1421を必要以上に押圧することを防止できる。
【0054】
また、第1の実施の形態では、ガイド部材210aの先端部213aは、所定の曲率を有する形状となっている。これにより、用紙Sがガイド部材210aの先端部213aを押圧した場合、ガイド部材210aが時計回りに揺動しやすくなり、中間転写ベルト1421を用紙S側に押さえやすくすることができる。
【0055】
なお、上記第1の実施の形態では、ガイド部材210aの先端部213aは、所定の曲率を有する形状となっている例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、
図5に示すように、ガイド部材210aの中間転写ベルト1421の内周面に接する部分全体が、所定の曲率を有する形状となっていても良い。
【0056】
また、上記第1の実施の形態において、ガイド部材210aの中間転写ベルト1421の内周面に接する部分に対し、滑りを良くするようにフッ素コーティング等の表面仕上げ処理を施すことによって、ガイド部材210aおよび中間転写ベルト1421の耐久性を向上させるようにしても良い。
【0057】
(第2の実施の形態)
以下、本発明に係る第2の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。画像形成装置100の基本構成については、第1の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
【0058】
図6に示すように、画像形成装置100は、
図2に示す構成に加えて、第1駆動部225、第2駆動部230および温湿度センサー240を備える。
【0059】
第1駆動部225は、制御部200からの制御命令を受けて、後述するスライドカム256を回転させる。第1駆動部225は、例えば、モーターおよびギア等の組み合わせにより構成される。
【0060】
第2駆動部230は、制御部200からの制御命令を受けて、後述するスライドカム262を回転させる。第2駆動部230は、例えば、モーターおよびギア等の組み合わせにより構成される。
【0061】
温湿度センサー240は、画像形成装置100内の温湿度を検出する。温湿度センサー240は、検出した温湿度を示す温湿度情報を制御部100に出力する。制御部100は、温湿度センサー240から出力された温湿度情報に基づいて、第1駆動部225および第2駆動部230を制御する。
【0062】
次に、二次転写ローラー1423、二次転写対向ローラー1424a付近の構成について
図7を参照しながら説明する。
図7に示すように、転写ニップ部220の入口付近における中間転写ベルト1421の内周面側には、中間転写ベルト1421に近接する長靴形状のガイド部材250が設けられている。
【0063】
ガイド部材250は、例えばポリカーボネート等の電気絶縁体で構成される。ガイド部材250は、用紙搬送方向における中央位置に揺動支点252を有し、この揺動支点252を中心として矢印方向に揺動可能となっている。ガイド部材250の中間転写ベルト1421に対向する側は、第1の実施の形態と異なり平面形状となっている。
【0064】
用紙Sが中間転写ベルト1421と二次転写ローラー1423との間において搬送される場合におけるガイド部材250の揺動動作は、第1の実施の形態におけるガイド部材210aの揺動動作と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0065】
本実施の形態では、ガイド部材250を中間転写ベルト1421と接触しないで一定間隔を空けて保持する、すなわち自重でガイド部材250が揺動しないようにするため、ガイド部材250と揺動支点252との間における摩擦係数が所定値になるよう、揺動支点252の材質を選択している。また、ガイド部材250が揺動後、自重で定位置に戻れるようにするため、揺動支点252の断面形状は楕円形状となっている。
【0066】
ガイド部材250の上部には、弾性部材として機能するバネ254の一端部が取り付けられている。バネ254の他端部には、画像形成装置100本体側に設けられたスライドカム256が設けられている。スライドカム256は、制御部200からの制御命令を受けた第1駆動部225によって、支点258を中心として回転することができる。スライドカム256の回転量を制御することによって、バネ254がガイド部材250を中間転写ベルト1421側に押圧する力(以下、ガイド押圧力という)を任意に変化させることができる。
【0067】
ガイド部材250の後部には、第2弾性部材として機能するバネ260の一端部が取り付けられている。バネ260の他端部には、画像形成装置100本体側に設けられたスライドカム262が設けられている。スライドカム262は、制御部200からの制御命令を受けた第2駆動部230によって、支点264を中心として回転することができる。スライドカム262の回転量を制御することによって、バネ260がガイド部材250をその揺動方向に押圧する力(以下、ガイド揺動方向押圧力という)を任意に変化させることができる。
【0068】
従動ローラー1425bの右下部には、バネ280の一端部が取り付けられている。バネ280の他端部は、画像形成装置100内に固定されている。従動ローラー1425bは、バネ280の弾性力により中間転写ベルト1421側に所定圧力(以下、中間転写ベルト張力という)で押圧されている。
【0069】
二次転写ローラー1423の下部には、バネ270の一端部が取り付けられている。バネ270の他端部は、画像形成装置100内に固定されている。二次転写ローラー1423は、バネ270の弾性力により中間転写ベルト1421側に所定圧力(以下、二次転写押圧力という)で押圧されている。
【0070】
本実施の形態では、ガイド押圧力、ガイド揺動方向押圧力をそれぞれ変化させた場合において用紙Sの転写結果を評価する評価実験を行い、その結果から知見に基づきガイド押圧力およびガイド揺動方向押圧力を適切な値に設定している。
【0071】
図8は、二次転写押圧力を80Nに設定し、ガイド押圧力を1〜30Nの間で変化させた場合における二次転写率および用紙S先端部の転写抜けを下記評価基準により評価した結果を示す。
【0072】
(二次転写率の評価基準)
○:二次転写率が、90%以上で良好である
△:二次転写率が、80%以上で実用上問題ないレベルである
×:二次転写率が、80%未満で実用上問題となるレベルである
ただし、二次転写率は以下の式(1)により求める。
二次転写率(%)=(用紙Sに転写されたトナーの質量/中間転写ベルト1421上に現像されたトナーの質量)×100・・・(1)
【0073】
(用紙S先端部の転写抜けの評価基準)
◎:用紙S先端部の転写抜け全くなし
○:軽微な用紙S先端部の転写抜けはあるが、実用上問題ないレベルである
【0074】
図8に示す結果から、ガイド押圧力を二次転写押圧力の1/4より大きな値に設定すると、二次転写ローラー1423による用紙Sに対する転写圧が小さくなり、転写不良が発生することがわかった。そこで、本実施の形態では、二次転写率および用紙S先端部の転写抜けについて良好な結果を得るため、ガイド押圧力を二次転写押圧力の1/4以下に設定する。
【0075】
図9は、中間転写ベルト張力を80Nに設定し、ガイド揺動方向押圧力を1〜30Nの間で変化させた場合、画像不良の原因となる放電ノイズの発生状況および用紙S先端部の転写抜けを下記評価基準により評価した結果を示す。
【0076】
(放電ノイズの発生状況の評価基準)
○:放電ノイズが確認できないレベルである
△:軽微の発生であり許容範囲内のレベルである
×:許容できないレベルである
【0077】
(用紙S先端部の転写抜けの評価基準)
◎:用紙S先端部の転写抜け全くなし
○:軽微な用紙S先端部の転写抜けはあるが、実用上問題ないレベルである
【0078】
図9に示す結果から、ガイド揺動押圧力を中間転写ベルト張力の1/4より大きな値に設定すると、放電ノイズが発生し、転写不良が発生することがわかった。これは、ガイド揺動押圧力が強いと、中間転写ベルト1421の一部が撓んで転写ニップ部が小さくなり、中間転写ベルト1421と用紙Sとの間に空隙が生じるからである。そこで、本実施の形態では、放電ノイズの発生状況および用紙S先端部の転写抜けについて良好な結果を得るため、ガイド揺動押圧力を中間転写ベルト張力の1/4以下に設定する。
【0079】
図10は、二次転写押圧力および中間転写ベルト張力を80Nに設定し、ガイド押圧力およびガイド揺動方向押圧力を1〜30Nの間で変化させた場合、画像不良の原因となる放電ノイズの発生状況、用紙S先端部の転写抜けおよび二次転写率を下記評価基準により評価した結果を示す。
【0080】
(放電ノイズの発生状況の評価基準)
○:放電ノイズが確認できないレベルである
×:許容できないレベルである
【0081】
(用紙S先端部の転写抜けの評価基準)
◎:用紙S先端部の転写抜け全くなし
○:軽微な用紙S先端部の転写抜けはあるが、実用上問題ないレベルである
×:許容できないレベルの転写抜けがある
【0082】
(二次転写率の評価基準)
○:二次転写率が、90%以上で良好である
△:二次転写率が、80%以上で実用上問題ないレベルである
×:二次転写率が、80%未満で実用上問題となるレベルである
【0083】
図10に示すように、ガイド押圧力およびガイド揺動方向押圧力をそれぞれ10N、20Nに設定した場合の結果から、用紙Sの先端部が転写ニップ部に進入するときに用紙Sに押し上げられる力によりガイド部材250が逃げる(すなわち中間転写ベルト1421を十分に押圧できない)ため、許容できないレベルの転写抜けが発生することがわかった。そこで、本実施の形態では、放電ノイズの発生状況、用紙S先端部の転写抜けおよび二次転写率について良好な結果を得るため、ガイド押圧力を、二次転写押圧力の1/4以下、かつ、ガイド揺動方向押圧力以上に設定する。
【0084】
なお、本実施の形態において、
図11(a)に示すように、用紙Sの坪量が高くなるほどガイド押圧力を大きく設定することが望ましい。用紙Sの坪量が高くなると、用紙Sの状態が厚紙に近い状態に変化し、用紙Sの先端および後端において転写抜けの発生確率が高くなるからである。
【0085】
また、本実施の形態において、
図11(b)に示すように、画像形成装置100内の温度が低くなるほどガイド押圧力を大きく設定することが望ましい。画像形成装置100内の温度が低くなると、用紙Sの状態が厚紙に近い状態に変化し、用紙Sの先端および後端において転写抜けの発生確率が高くなるからである。
【0086】
また、本実施の形態において、
図11(c)に示すように、画像形成装置100内の湿度が低くなるほどガイド押圧力を大きく設定することが望ましい。画像形成装置100内の湿度が低くなると、用紙Sの状態が厚紙に近い状態に変化するとともに放電ノイズが発生しやすくなり、用紙Sの先端および後端において転写抜けの発生確率が高くなるからである。
【0087】
また、本実施の形態において、
図12(a)に示すように、用紙Sの坪量が高くなるほどガイド揺動方向押圧力を大きく設定することが望ましい。用紙Sの坪量が高くなると、用紙Sの状態が厚紙に近い状態に変化し、用紙Sの先端および後端において転写抜けの発生確率が高くなるからである。
【0088】
また、本実施の形態において、
図12(b)に示すように、画像形成装置100内の温度が低くなるほどガイド揺動方向押圧力を大きく設定することが望ましい。画像形成装置100内の温度が低くなると、用紙Sの状態が厚紙に近い状態に変化し、用紙Sの先端および後端において転写抜けの発生確率が高くなるからである。
【0089】
また、本実施の形態において、
図12(c)に示すように、画像形成装置100内の湿度が低くなるほどガイド揺動方向押圧力を大きく設定することが望ましい。画像形成装置100内の湿度が低くなると、用紙Sの状態が厚紙に近い状態に変化するとともに放電ノイズが発生しやすくなり、用紙Sの先端および後端において転写抜けの発生確率が高くなるからである。
【0090】
以上詳しく説明したように、第2の実施の形態では、
図8〜10に示す評価実験結果から得られた知見に基づいて、ガイド押圧力およびガイド揺動方向押圧力を適切な値に設定している。これにより、第1の実施の形態で説明した用紙Sの先端および後端において転写抜けの発生を防止することができるだけでなく、用紙Sの転写プロセスにおける放電ノイズの発生状況および二次転写率について良好な結果を得ることができる。
【0091】
なお、上記第2の実施の形態では、ガイド押圧力(バネ254の押圧力)は、画像形成装置100内の温湿度または用紙Sの坪量に応じて自動で設定される例について説明したが本発明はこれに限定されない。例えば、ユーザーが、スライドカム256の回転量を手動で設定することによってガイド押圧力を設定するようにしても良い。
【0092】
また、上記第2の実施の形態では、ガイド揺動方向押圧力(バネ260の押圧力)は、画像形成装置100内の温湿度または用紙Sの坪量に応じて自動で設定される例について説明したが本発明はこれに限定されない。例えば、ユーザーが、スライドカム262の回転量を手動で設定することによってガイド揺動方向押圧力を設定するようにしても良い。
【0093】
また、上記第2の実施の形態において、
図13に示すように、実線で示すガイド部材250が二点鎖線で示すガイド部材250の位置まで揺動支点252を中心に時計回りに揺動した場合にガイド部材250の後端上部と接触することによって、ガイド部材250のそれ以上の揺動を規制するピン290を設けても良い。この場合、ピン290は揺動規制部として機能する。
【0094】
また、上記第2の実施の形態において、ガイド部材250が長靴形状となっている例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、
図14(a)に示すように、ガイド部材300は平面形状となっていても良い。ガイド部材300は、支点302を中心として揺動可能である。
【0095】
また、
図14(b)に示すように、ガイド部材308は、一直線に連結された複数のローラー310,312,314,316,318から構成され、揺動支点320を中心として揺動可能であっても良い。この場合、ガイド部材308を中間転写ベルト1421の内周面に接するように構成したとき、複数のローラー310,312,314,316,318は中間転写ベルト1421の回転に従動して回転する。そのため、複数のローラー310,312,314,316,318が中間転写ベルト1421との間で摺動することを防止でき、ひいては中間転写ベルト1421に余計な傷が付かないようにすることができる。
【0096】
また、
図14(c)に示すように、ガイド部材321は、ベルト326がローラー322,324に沿って無端状に巻き掛けられた構成であり、揺動支点328を中心として揺動可能であっても良い。この場合、ガイド部材321を中間転写ベルト1421の内周面に接するように構成したとき、ベルト326は中間転写ベルト1421の回転に従動して回転する。そのため、ベルト326が中間転写ベルト1421との間で摺動することを防止でき、ひいては中間転写ベルト1421に余計な傷が付かないようにすることができる。
【0097】
その他、上記第1および第2の実施の形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。