(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5935480
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月15日
(54)【発明の名称】パンク修理液収容容器及びパンク修理方法
(51)【国際特許分類】
B29C 73/02 20060101AFI20160602BHJP
【FI】
B29C73/02
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-96726(P2012-96726)
(22)【出願日】2012年4月20日
(65)【公開番号】特開2013-223953(P2013-223953A)
(43)【公開日】2013年10月31日
【審査請求日】2015年4月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100066865
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 信一
(74)【代理人】
【識別番号】100066854
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 賢照
(74)【代理人】
【識別番号】100117938
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 謙二
(74)【代理人】
【識別番号】100138287
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 功
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(74)【代理人】
【識別番号】100068685
【弁理士】
【氏名又は名称】斎下 和彦
(72)【発明者】
【氏名】成瀬 雅公
【審査官】
今井 拓也
(56)【参考文献】
【文献】
特許第4466777(JP,B2)
【文献】
登録実用新案第3112175(JP,U)
【文献】
実開平06−033580(JP,U)
【文献】
実開平06−045527(JP,U)
【文献】
特開2006−224969(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 73/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パンク修理液を収容する液体収容部の外側面に少なくとも1本の固定バンドが取り付けられ、該固定バンドが環状に構成されると共に、弾性的に伸縮自在であり、前記固定バンドの前記液体収容部に対する取り付け部における前記固定バンドの長手方向が前記液体収容部の縦方向を向いていることを特徴とするパンク修理液収容容器。
【請求項2】
前記固定バンドがゴムからなることを特徴とする請求項1に記載のパンク修理液収容容器。
【請求項3】
前記固定バンドに前記固定バンドの任意の2箇所を結束可能な結束部材を取り付けたことを特徴とする請求項1又は2に記載のパンク修理液収容容器。
【請求項4】
前記固定バンドが予め環状に成形されたゴムバンドであることを特徴とする請求項1,2又は3に記載のパンク修理液収容容器。
【請求項5】
前記固定バンドが前記結束部材により環状に構成されたゴム紐であることを特徴とする請求項3に記載のパンク修理液収容容器。
【請求項6】
前記固定バンドの幅が1mm〜30mmであると共に、前記固定バンドの内周長が160mm〜360mmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のパンク修理液収容容器。
【請求項7】
前記取り付け部における前記固定バンドの長手方向の長さが5mm〜80mmであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のパンク修理液収容容器。
【請求項8】
前記固定バンドが少なくとも前記液体収容部上に設けられるシュリンクフィルム又はラベルにより固定されたことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のパンク修理液収容容器。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載のパンク修理液収容容器を用い、該パンク修理液収容容器を前記固定バンドによってコンプレッサーに固定する一方で、前記パンク修理液収容容器をコンプレッサーとタイヤとに接続し、該コンプレッサーから供給される圧縮空気によって前記パンク修理液を前記タイヤ内に注入することを特徴とするパンク修理方法。
【請求項10】
前記固定バンドの前記液体収容部に対する取り付け箇所の長手方向中央位置をコンプレッサー高さよりも低い位置にしたことを特徴とする請求項9に記載のパンク修理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パンク修理液収容容器及びパンク修理方法に関し、更に詳しくは、容器を安定に固定することを可能にしたパンク修理液収容容器及びパンク修理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両に装着されたタイヤがパンクした際に、タイヤバルブを介してタイヤ内にパンク修理液を注入することにより、パンクを応急的に修理すると同時にタイヤ内に空気を充填することが行われている。
【0003】
このようにしてパンク修理を行う装置として、例えば特許文献1は、パンク修理液を耐圧性を有する容器に収容し、タイヤ空気圧充填用のコンプレッサーから供給される圧縮空気を利用してパンク修理液をタイヤ内に注入することを提案している。
【0004】
上述のパンク修理装置を用いてパンク修理作業を行うとき、パンク修理液をタイヤ内に注入している間は、パンク修理液を収容する容器は、転倒したり、傾斜したりしないように安定な姿勢に固定されている必要がある。そのため、例えば、パンク修理液を収容する容器とコンプレッサーとに一対の面ファスナを設けて、パンク修理作業時にこれら容器とコンプレッサーとを面ファスナを介して固定すること(例えば、特許文献2を参照)や、パンク修理液を収容する容器に吸盤を設けて、パンク修理時に吸盤を用いて容器をコンプレッサーの外面に設けた平滑面に固定すること(例えば、特許文献3を参照)が提案されている。
【0005】
しかしながら、このような方法で容器を固定する場合、容器を固定する対象(特に、コンプレッサー)に対して容器を固定するための加工を施すこと(容器側と対になる面ファスナや、外面に設けられた平滑面を設けること)が必要であるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−069847号公報
【特許文献2】特許第4466777号公報
【特許文献3】特許第4466778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、容器を固定する対象を特定することなく容器を安定に固定することを可能にしたパンク修理液収容容器及びパンク修理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明のパンク修理液収容容器は、パンク修理液を収容する液体収容部の外側面に少なくとも1本の固定バンドが取り付けられ、該固定バンドが環状に構成されると共に、弾性的に伸縮自在であ
り、前記固定バンドの前記液体収容部に対する取り付け部における前記固定バンドの長手方向が前記液体収容部の縦方向を向いていることを特徴とする。
【0009】
また、上記目的を達成するための本発明のパンク修理方法は、上述のパンク修理液収容容器を用い、該パンク修理液収容容器を前記固定バンドによってコンプレッサーに固定する一方で、前記パンク修理液収容容器をコンプレッサーとタイヤとに接続し、該コンプレッサーから供給される圧縮空気によって前記パンク修理液を前記タイヤ内に注入することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、上述のように、パンク修理液を収容する液体収容部の外側面に少なくとも1本の固定バンドが取り付けられ、この固定バンドが環状に構成されると共に、弾性的に伸縮自在であるので、他物体に対して固定バンドを掛け回すことで、パンク修理液収容容器を他物体に対して固定することが出来、容器を安定に固定した状態でパンク修理作業を行うことが出来る。
【0011】
本発明のパンク修理液収容容器においては、固定バンドがゴムからなることが好ましい。これにより、固定バンドの弾性的に伸縮自在な特性を充分に確保して、容器をより安定して固定することが出来る。
【0012】
本発明のパンク修理液収容容器では、固定バンドに固定バンドの任意の2箇所を結束可能な結束部材を取り付けることが好ましい。このように結束部材を付加することで、パンク修理液収容容器を固定する他物体の寸法に応じて固定バンドの内周長を調節することが可能になり、容器をより安定して固定することが出来る。
【0013】
本発明のパンク修理液収容容器は、固定バンドとして予め環状に成形されたゴムバンドを用いることが出来る。或いは、固定バンドとして結束部材により環状に構成されたゴム紐を用いることが出来る。
【0014】
本発明のパンク修理液収容容器においては、固定バンドの幅が1mm〜30mmであると共に、固定バンドの内周長が160mm〜360mmであることが好ましい。このように固定バンドの寸法を規定することで、容器をより安定して固定することが出来る。
【0015】
本発明のパンク修理液収容容器においては、固定バンドの液体収容部に対する取り付け部における固定バンドの長手方向が液体収容部の縦方向を向
いている。このように固定バンドの向き
が規定
されることで、容器を固定する他物体に対して固定バンドを掛け回し易くして、容器をより安定して固定することが出来る。
【0016】
このとき、取り付け部における固定バンドの長手方向の長さが5mm〜80mmであることが好ましい。このように取り付け部の寸法を規定することで、容器をより安定して固定することが出来る。
【0017】
また、本発明のパンク修理液収容容器においては、固定バンドが少なくとも液体収容部上に設けられるシュリンクフィルム又はラベルにより固定されることが好ましい。これにより、新たな部材を追加することなく固定バンドを容器に取り付けることが出来る。
【0018】
一方、本発明のパンク修理方法においては、固定バンドの液体収容部に対する取り付け箇所の長手方向中央位置をコンプレッサー高さよりも低い位置にしたことを特徴とする上述のパンク修理液収容容器を用いることが好ましい。これにより、容器をより安定して固定しながらパンク修理作業を行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態からなるパンク修理液収容容器を用いたパンク修理液の注入装置の一例を示す説明図である。
【
図2】本発明の実施形態からなるパンク修理液収容容器の斜視図である。
【
図3】本発明の他の実施形態からなるパンク修理液収容容器の側面図である。
【
図4】本発明のパンク修理液収容容器の結束部材の一例を示す斜視図である。
【
図5】
図4の結束部材の構造を模式的に示す断面図である。
【
図6】本発明の更に他の実施形態からなるパンク修理液収容容器の側面図である。
【
図7】
図2のパンク修理液収容容器の側面図である。
【
図8】本発明の実施形態からなるパンク修理液収容容器を固定した状態を示す説明図である。
【
図9】本発明の更に他の実施形態からなるパンク修理液収容容器の側面図である。
【
図10】本発明の他の実施形態からなるパンク修理液収容容器を固定した状態を示す説明図である。
【
図11】本発明の更に他の実施形態からなるパンク修理液収容容器を固定した状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態からなるパンク修理液収容容器10を用いたパンク修理液の注入装置の一例を示す。
図1において、1は空気入りタイヤであり、2はホイールであり、3はホイールに取り付けられたタイヤバルブである。
【0021】
図1に示す本発明の実施形態からなるパンク修理液収容容器10を用いたパンク修理液の注入装置は、パンク修理液を収容する液体収容部11及び該液体収容部11の開口部に螺合するキャップ12からなり、該キャップ12にパンク修理液を吐出するための吐出管13及び圧縮空気を取り入れるための取入管14を設けたパンク修理液収容容器10と、タイヤ1に組み付けられたホイール2のタイヤバルブ3とパンク修理液収容容器10の吐出管13との間に接続される注入用ホース20と、圧縮空気を供給するためのコンプレッサー30とを備えている。コンプレッサー30は、装置本体31と、圧縮空気を供給するための加圧用ホース32と、外部電源に接続されるコード33及びプラグ34とを備えている。
【0022】
本発明の実施形態からなるパンク修理液収容容器10を用いたパンク修理液の注入装置は、後述するパンク修理液収容容器10を用いていれば、
図1の構成に限定されない。
【0023】
図2において、本発明のパンク修理液収容容器10には、1本の固定バンド40が外側面に取り付けられている。この固定バンド40は環状に構成されると共に、弾性的に伸縮自在に構成される。このように固定バンド40を設けることで、
図1に示すように、他物体(
図1の場合、コンプレッサー30)に対して固定バンド40を掛け回して、パンク修理液収容容器10を他物体(コンプレッサー30)に対して固定することが出来、パンク修理液収容容器10を安定に固定した状態でパンク修理作業を行うことが出来る。
【0024】
尚、
図2に示すパンク修理液収容容器10では、液体収容部11の開口部にキャップ12’が螺合されている。このキャップ12’は、パンク修理液収容容器10を保管する際に、液体収容部11の開口部を保護するためのものであり、液体収容部11の開口部に着脱可能に螺合されている。このキャップ12’は、パンク修理作業時に、例えば前述のように吐出管13及び取入管14を備えるキャップ12と交換される。
【0025】
固定バンド40は、弾性的に伸縮自在であれば、例えばゴムや伸縮性を付与した糸等、どのような材料から構成しても良い。特に、固定バンド40はゴムからなることが好ましい。固定バンド40を構成するゴムとしては、所謂ゴムバンド(輪ゴム)の他、ゴム糸を繊維糸で被覆した所謂丸ゴム、ゴム糸と繊維糸とを編んで形成した所謂平ゴム等、ゴムを含む様々な材料を例示することが出来る。
【0026】
本発明では、
図3に示すように、固定バンド40に、固定バンド40の任意の2箇所を結束可能な結束部材50を取り付けることが出来る。この結束部材50としては、例えば、
図4,5に示すような所謂コードストッパー60を用いることが出来る。コードストッパー60とは、一般的に、例えば衣服のフード等の周縁側に挿通されるコード(紐)の止め具として設けられるものであり、上方が解放した筒状の本体61内に圧縮バネ62を収納し、この圧縮バネにより本体61内に移動自在に嵌合したプッシュ部材63を常時一方向に偏倚させると共に、これら本体61及びプッシュ部材63には、プッシュ部材63の移動方向に対して直交する方向にコード固定バンド40が挿通可能な貫通孔64,64が形成されている。これら貫通孔64,64は、プッシュ部材63を圧縮バネ62の弾性力に抗する方向に押圧した際に、プッシュ部材63の移動方向に対して直交する方向に一直線になるように配置されている。そのため、両貫通孔64,64を挿通している固定バンド40は、通常の状態では圧縮バネ62の弾性力でプッシュ部材63が上方に押し上げられているため、固定バンド40は両貫通孔64,64に沿って湾曲し、本体61とプッシュ部材63とに挟まれて、固定バンド40の移動は阻止される。逆に、プッシュ部材63を圧縮バネ62の弾性力に抗する方向に押圧した際には、上述のように両貫通孔64,64が、プッシュ部材63の移動方向に対して直交する方向に一直線になるため、本体61を固定バンド40に沿って移動させることが可能となる。
【0027】
尚、結束部材50は、固定バンド40の任意の2箇所を結束可能であれば、上述のようなコードストッパー60に限定されない。
【0028】
このように結束部材50を取り付けることで、固定バンド40により形成される環状部分の内周長を調節することが可能になり、固定バンドの内周長を固定する他物体の寸法に応じた長さに調節して、容器をより安定して固定することが可能になる。
【0029】
上述の説明では、固定バンド40が予め環状に成形されたゴムバンドである例を示したが、例えば、
図6に示すように、固定バンド40が上述の結束部材50により環状に構成されたゴム紐41であっても良い。
【0030】
いずれの場合であっても、固定バンド40は、幅wが1mm〜30mmであると共に、内周長Lが160mm〜360mmであることが好ましい。尚、内周長Lとは、
図6,7に示すように、固定バンド40により形成された環状部分における固定バンド40の内周長Lである。
【0031】
特に、固定バンド40が予め環状に成形されたゴムバンドである場合、JIS Z1701に準拠して、固定バンド40の環状部分を、該環状部分の内面同士が全面に亘って接して一直線を形成するようにしたときの一直線状になった内面部分として測定される長さ(折り径)を80mm〜180mmにすることが好ましい。
【0032】
このように固定バンド40の幅wを特定の範囲に設定することで、固定バンド40の張力を高めて他物体に対する固定性を高めることが出来る。また、固定バンド40の内周長Lを上述の範囲に設定することで、固定バンド40の内周長Lがコンプレッサー30の外周長に対応する長さになるので、特にパンク修理液収容容器10を固定する対象としてコンプレッサー30を選択する場合に、容器をより安定して固定することが可能になる。勿論、固定バンド40の内周長を、パンク修理液収容容器10を固定する対象として選択する他物体の外周長に応じた長さに設定すれば、他物体に対して容器をより安定して固定することが可能になるが、コンプレッサー30はパンク修理作業時にパンク修理液収容容器10と共に用いるものであるので、固定バンド40の寸法をコンプレッサー30に固定するための寸法に設定することがより好ましい。
【0033】
このとき、固定バンド40の幅wが1mmより小さいと、固定バンド40の強度が不足する。逆に、固定バンド40の幅wが30mmより大きくなると、固定バンド40の張力が大きくなり過ぎて、固定バンド40を他物体に対して掛け回すことが困難になる。また、固定バンド40の内周長Lが160mmより小さいと、コンプレッサー30の外周長に対して固定バンド40が短過ぎて、コンプレッサー30に固定バンド40を掛け回すことが困難になる。逆に固定バンド40の内周長Lが360mmより大きいと、コンプレッサー30の外周長に対して固定バンド40が長過ぎて、コンプレッサー30に固定バンド40を掛け回しても、固定バンド40の張力によって締め付けられず、パンク修理液収容容器10を安定して固定することが出来ない。
【0034】
本発明において
は、固定バンド40の液体収容部11に対する取り付け部42における固定バンド40の長手方向が液体収容部11の縦方向を向
いている。このように固定バンド40の向きを規定することで、固定バンド40を他物体(特にコンプレッサー30)に掛け回したとき、
図1に示すように固定バンド40が他物体(コンプレッサー30)の底を通るようになるので、固定バンド40を外れ難くすると共に、パンク修理液収容容器10の転倒を効果的に防止することが出来る。逆に、固定バンド40の液体収容部11に対する取り付け部42における固定バンド40の長手方向が液体収容部11の横方向を向くと、固定バンド40が他物体(コンプレッサー30)の設置上面側にずれて外れたり、固定バンド40が捩れてパンク修理液収容容器10が転倒する虞があるため好ましくない。
【0035】
このように固定バンド40の液体収容部11に対する取り付け部42における固定バンド40の長手方向が液体収容部11の縦方向を向くようにしたとき、取り付け部42における固定バンド40の長手方向の長さdが5mm〜80mmであることが好ましい。このように取り付け部42における長さdを規定することで、固定バンド40が捩れてパンク修理液収容容器10が転倒することをより効果的に防止することが出来る。
【0036】
このとき、長さdが5mmより小さいと、パンク修理液収容容器10を他物体(コンプレッサー30)に取り付けた際に、パンク修理液収容容器10と他物体(コンプレッサー30)とが固定バンド40を介して一点で固定される状態に近くなるため、固定バンド40が捩れてパンク修理液収容容器10が転倒し易くなる。逆に、長さdが80mmより大きいと、固定バンド40を他物体(コンプレッサー30)に掛け回したときに他物体(コンプレッサー30)の設置上面に固定バンド40が接触せず余剰な空間が生じるため、パンク修理液収容容器10を安定して固定することが困難になる。
【0037】
特に、パンク修理液収容容器10を固定する他物体としてコンプレッサー30を用いる場合、
図8に示すように、固定バンド40の液体収容部11に対する取り付け部42の長手方向中央位置Aをコンプレッサー30の高さHよりも低い位置にすることが好ましい。このようにパンク修理液収容容器10を固定するコンプレッサー30の高さHに応じて固定バンド40を取り付けることで、固定バンド40が捩れてパンク修理液収容容器10が転倒することをより効果的に防止することが出来る。
【0038】
本発明において、固定バンド40は接着剤を用いて液体収容部11の外面に取り付けても良いが、
図9に示すように、液体収容部11上にラベル70により固定することが好ましい。或いは、固定バンド40を少なくとも液体収容部11上に設けられるシュリンクフィルムにより固定することが好ましい。このように固定バンド40を取り付けることで、新たな部材を追加することなく固定バンドを容器に取り付けることが出来る。
【0039】
上述の例では、1つのパンク修理液収容容器10に対して1本の固定バンド40を設ける場合を例示したが、
図10,11に示すように、2本以上(図示の例では2本)の固定バンド40を設けてもよい。
図10に示す実施形態では、液体収容部11の外側面に容器10の縦方向を向く2本の固定バンド40が隣接するように配置されている。そして、この2本の固定バンドをコンプレッサー30に掛け回すことでパンク修理液収容容器10を固定している。一方、
図11に示す実施形態では、2本の固定バンドが液体収容部11の外側面の対向する位置に取り付けられている。そして、この2本の固定バンドをコンプレッサー30に掛け回し、且つパンク修理液収容容器10がコンプレッサー30の設置上面の上に載置されるようにして、パンク修理液収容容器10を固定している。このように2本以上の固定バンド40を備えることで、容器の安定性を高めることが出来、更に2本のうちの一方の固定バンド40が破断しても他方の固定バンド40によって固定することが可能になる。
【0040】
以下、上述したパンク修理液収容容器10を用いてパンク修理液をタイヤ1内に注入する方法について説明する。
【0041】
作業者が、パンク修理液の注入作業を行う場合、先ず、パンク修理液収容容器10に取り付けられた固定バンド40を他物体に掛け回し、パンク修理液修理容器10を他物体に固定する。次いで、タイヤバルブ3と容器10の吐出管13との間に注入用ホース20を接続し、容器10の取入管14にコンプレッサー30の加圧用ホース32を接続する。そして、コンプレッサー30を作動させ、コンプレッサー30から供給される圧縮空気により容器10内を加圧してパンク修理液をタイヤ1内に注入する。
【0042】
このように、固定バンド40と係止手段50とにより、パンク修理液収容容器10を他物体に対して固定することが出来るので、パンク修理作業時に、パンク修理液をタイヤ1内に注入している間、パンク修理液収容容器10を、転倒したり、傾斜したりしないように安定な姿勢に固定することが出来る。
【0043】
特に、従来のように、容器を固定する他物体(特に、コンプレッサー)に対して容器を固定するための加工を施すこと(例えば、容器側と対になる面ファスナや、吸盤を貼りつけることが出来る平滑面を設けること)が不要になるので、パンク修理液収容容器10を固定する他物体は限定されない。例えば、タイヤ、リム、車体、コンプレッサー等、パンク修理作業時にタイヤの周囲に存在し、且つ固定バンド40を掛け回すことが出来るものであれば、容器を固定する他物体として何を選択しても構わない。
【0044】
上述した他物体のなかでは、特にコンプレッサー30を用いることが好ましい。パンク修理作業に使用するために車両に搭載されるコンプレッサー30は寸法が制限されるので、様々な寸法の他物体に対応するために固定バンド40の長さ(内周長)を大きくせずに、固定バンド40の長さ(内周長)を特定の範囲に収めることが出来、パンク修理液収容容器10の収納性を高めることが出来る。
【符号の説明】
【0045】
1 空気入りタイヤ
2 ホイール
3 タイヤバルブ
10 パンク修理液収容容器
11 液体収容部
12 キャップ
13 吐出管
14 取入管
20 注入用ホース
30 コンプレッサー
40 固定バンド
50 結束部材