特許第5935497号(P5935497)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5935497
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月15日
(54)【発明の名称】現金入出金機、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G07D 9/00 20060101AFI20160602BHJP
【FI】
   G07D9/00 426Z
   G07D9/00 421
   G07D9/00 456Z
   G07D9/00 408Z
【請求項の数】6
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2012-109017(P2012-109017)
(22)【出願日】2012年5月11日
(65)【公開番号】特開2013-235526(P2013-235526A)
(43)【公開日】2013年11月21日
【審査請求日】2015年2月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132001
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 政幸
(74)【代理人】
【識別番号】100064414
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 道造
(72)【発明者】
【氏名】冨沢 雄一
【審査官】 大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−008646(JP,A)
【文献】 特開2009−205246(JP,A)
【文献】 特開平10−074279(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
売上金を回収する売上回収取引を実行する現金入出金機において、
前記売上金を含む現金が出金可能な状態で収納される出金用現金収納部と、
前記売上金として装置から取り出される現金を内部に収納する回収庫と、
前記売上金として前記出金用現金収納部から前記回収庫に移動させる現金の金額を売上移動金額とし、前記売上回収取引時に、前記売上移動金額の金種毎の枚数を指定させる入力画像と、操作者の売上金回収操作を誘導する誘導画像とを、入力画面として、表示部に表示させるとともに、前記入力画面で指定された金種毎の枚数の現金を、前記出金用現金収納部から前記回収庫に移動させることにより、前記売上金を回収する取引実行部とを有し、
前記取引実行部は、リジェクトされた現金の発生により、指定された枚数分を回収できない金種の現金が発生した場合に、前記入力画面を前記表示部に再度表示させて、前記操作者に、リジェクトされた現金の金種以外の、不足金額分に相当する他金種の現金の枚数を指定させることによって、前記他金種の現金で不足金額分の前記売上金を回収する
ことを特徴とする現金入出金機。
【請求項2】
請求項1に記載の現金入出金機において、
前記入力画面は、前記出金用現金収納部に収納された現金の金種別の有高を表示するための金種別装置内有高の表示欄と、前記売上移動金額として指定することが可能な現金の金種別の枚数を入力するための売上移動金額の金種別枚数の入力欄とを含んでおり、
前記売上移動金額の金種別枚数の入力欄は、前記金種別装置内有高の表示欄に表示された各金種の値を上限値とし、それ以下の値を入力することができる設定になっている
ことを特徴とする現金入出金機。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の現金入出金機において、
前記取引実行部は、回収された前記売上金の抜き取り操作を操作者に要請する誘導画面を前記表示部に表示させる
ことを特徴とする現金入出金機。
【請求項4】
売上金を含む現金が出金可能な状態で収納される出金用現金収納部と、前記売上金として装置から取り出される現金を内部に収納する回収庫とを有し、かつ、前記売上金を回収する売上回収取引を実行する現金入出金機を制御するプログラムであって、
前記現金入出金機の制御部に、
前記売上金として前記出金用現金収納部から前記回収庫に移動させる現金の金額を売上移動金額とし、前記売上回収取引時に、前記売上移動金額の金種毎の枚数を指定させる入力画像と、操作者の売上金回収操作を誘導する誘導画像とを、入力画面として、表示部に表示させる売上金回収操作誘導工程と、
前記売上金回収操作誘導工程で前記入力画面が表示された後に、入力部を介して指定された金種毎の枚数の現金を、前記出金用現金収納部から前記回収庫に移動させることにより、前記売上金を回収する売上金回収実行工程とを実行させ
前記売上金回収実行工程は、リジェクトされた現金の発生により、指定された枚数分を回収できない金種の現金が発生した場合に、前記現金入出金機の制御部に、前記売上金回収操作誘導工程を再度実行させて、前記操作者に、リジェクトされた現金以外の、不足金額分に相当する他金種の現金の枚数を指定させ、その後に、前記他金種の現金で不足金額分の前記売上金を回収する工程を含む
ことを特徴とするプログラム。
【請求項5】
請求項4に記載のプログラムにおいて、
前記売上金回収操作誘導工程で、前記現金入出金機の制御部に、前記入力画面として、前記出金用現金収納部に収納された現金の金種別の有高を表示するための金種別装置内有高の表示欄と、前記売上移動金額として指定することが可能な現金の金種別の枚数を入力するための売上移動金額の金種別枚数の入力欄とを含む画面で、かつ、前記売上移動金額の金種別枚数の入力欄が、前記金種別装置内有高の表示欄に表示された各金種の値を上限値とし、それ以下の値を入力することができる設定になっている画面を、前記表示部に表示させる
ことを特徴とするプログラム。
【請求項6】
請求項に4又は請求項5記載のプログラムにおいて、
さらに、前記現金入出金機の制御部に、回収された前記売上金の抜き取り操作を操作者に要請する誘導画面を前記表示部に表示させる売上金抜取操作誘導工程を実行させる
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、百貨店や、スーパーマーケット、コンビニエンスストア等の小売業の店舗に設置され、釣銭出金や、売上入金、売上回収等の取引を行う現金入出金機に関し、特に、優先順位の低い金種の現金が装置の内部に大量に溜まるのを抑制する現金入出金機に関する。また、本発明は、当該現金入出金機を制御するプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、百貨店やスーパーマーケット、コンビニエンスストア等の小売業の多くの店舗には、釣銭準備金として使用される現金(紙幣及び硬貨)を出金したり、又は、店舗での売上金が入金されたりする現金入出金機(以下、「装置」と称する場合もある)が設置されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この現金入出金機は、「釣銭出金」や、「売上入金」、「売上回収」等の、様々な取引機能を有している。
「釣銭出金」取引は、釣銭準備金を出金する取引である。なお、「釣銭準備金」は、店舗に設置されたレジスタに釣銭として予め用意される現金である。
【0004】
「売上入金」取引は、レジスタから回収された売上金を装置に入金する取引である。「売上入金」取引は、操作者が売上金を投入口に投入し、装置がその売上金を金種別にリサイクルカセット又は出金ホッパに収納することによって、行われる。なお、「リサイクルカセット」は、釣銭準備金として使用する紙幣を収納する出金用現金収納部である。また、「出金ホッパ」は、釣銭準備金として使用する硬貨を収納する出金用現金収納部である。
【0005】
「売上回収」取引は、売上金を回収する取引である。「売上回収」取引は、売上額と既に売上回収カセットに収納された現金の金額との差分を売上移動金額とし、リサイクルカセット及び出金ホッパに収納されている現金の中からその売上移動金額分の現金を売上回収カセット及び硬貨回収箱に移動させることによって、行われる。なお、「売上回収カセット」は、売上金の回収金として装置から回収する(抜き取る)紙幣を収納する回収庫である。また、「硬貨回収箱」は、売上金の回収金として装置から回収する(抜き取る)硬貨を収納する回収庫である。
【0006】
従来の現金入出金機は、売上回収取引時に、後記する課題があった。そこで、ここでは、「売上回収」取引と、その「売上回収」取引の前提となる「売上入金」取引とについて詳細に説明する。
【0007】
操作者は、各取引に共通して、予め登録されたIDカードやレジカードを現金入出金機にリードさせて、さらに、場合によってはパスワードを入力させて、操作者の正当性を現金入出金機に認証させる。現金入出金機は、操作者の正当性を認証すると、メニュー画面を表示部に表示する。そのメニュー画面には、各種の取引の実行を指示するための複数の取引ボタンが選択可能に表示されている。現金入出金機は、操作者がメニュー画面に表示された取引ボタンの中から所望の取引ボタンを選択することによって、選択された取引を実行する。
【0008】
(「売上入金」取引)
現金入出金機は、操作者がメニュー画面に表示された取引ボタンの中から「売上入金」ボタンを選択した場合に、「売上入金」取引を実行する。
【0009】
この場合に、現金入出金機は、売上入金取引用の表示画面を表示部に表示する。その売上入金取引用の表示画面は、レジスタから回収された売上金(厳密には、(売上金+釣銭準備金)分の現金)の投入口への投入を操作者に要請する内容になっている。
【0010】
現金入出金機は、操作者がレジスタから回収された売上金(厳密には、(売上金+釣銭準備金)分の現金)を投入口に投入すると、計数を開始し、鑑別部によって正常と判別された現金を一時保留部に集積する。このとき、現金入出金機は、鑑別部によってリジェクトされた現金があれば、リジェクトされた現金を所定の場所から操作者に返却する。
【0011】
現金入出金機は、正常と判別された現金の合計金額を表示部に表示し、操作者が確認すると、一時保留部に集積された現金を一時保留部から該当する金種のリサイクルカセット又は出金ホッパに移動させて(搬送して)、金種別に所定のリサイクルカセット又は出金ホッパに収納する。「売上入金」取引は、一時保留部に集積されていた現金が所定のリサイクルカセット又は出金ホッパに収納された時点で、終了となる。
【0012】
なお、収納時点で、売上が発生している場合に、現金入出金機は、(入金合計額−出金合計額)を売上額とし、売上額の範囲内で、紙幣のみを、高額紙幣から順番に、リサイクルカセットから売上回収カセットに移動させて(搬送して)、売上回収カセットに収納する。
【0013】
(「売上回収」取引)
現金入出金機は、操作者がメニュー画面に表示された取引ボタンの中から「売上回収」ボタンを選択した場合に、「売上回収」取引を実行する。
【0014】
この場合に、現金入出金機は、売上回収取引用の表示画面を表示部に表示する。その売上回収取引用の表示画面は、売上額と既に売上回収カセットに収納された現金の金額との差分を売上移動金額とし、リサイクルカセット及び出金ホッパに収納された現金の中から、その売上移動金額分の現金を回収庫(売上回収カセット及び硬貨回収庫)に移動させることを操作者に通知する内容となっている。
【0015】
現金入出金機は、操作者がその表示画面の内容を確認すると、リサイクルカセット及び出金ホッパに収納されている現金の中から、高額紙幣を優先して、売上移動金額(すなわち、売上額と既に売上回収カセットに収納された現金の金額との差分を売上移動金額)分の現金を回収庫に移動させる。これにより、現金入出金機は、売上金の回収庫への移動を行う。
【0016】
現金入出金機は、売上金の移動が完了したら、装置の筐体の前面側に設けられたフロント扉のロックを開錠し、売上回収カセットの脱着及び硬貨回収庫からの硬貨の回収を操作者に要請する表示画面を表示部に表示する。「売上回収」取引は、操作者が、装置から売上回収カセットを脱着して売上金としての紙幣を回収し、空の売上回収カセットを装置に装着するとともに、さらに、硬貨回収庫を脱着して売上金としての硬貨を硬貨回収庫から袋に詰めかえて回収し、空になった硬貨回収庫を装置に装着した時点で、終了となる。
【0017】
この後、操作者は、脱着した売上回収カセットと硬貨が詰められた袋とを警備会社の警送員に引き渡す。警送員は、売上回収カセットと袋とを金融機関(ただし、警備会社の場合もある)に移送し、金融機関で売上回収カセットと袋とに収納された現金を売上金として入金処理する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2008−077194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
従来の現金入出金機は、以下に説明するように、優先順位の低い金種の現金が装置の内部に大量に溜まることにより、様々な不具合が発生する場合がある、という課題があった。
【0020】
従来の現金入出金機は、売上回収取引時に、自動的に、高額紙幣を優先して回収する。すなわち、従来の現金入出金機は、リサイクルカセット及び出金ホッパに収納されている現金の中から、高額紙幣を優先して、売上移動金額分の現金を売上回収カセットに移動させる。
【0021】
そのため、従来の現金入出金機は、売上回収取引時に、高額紙幣ばかりを回収し、回収されなかった優先順位の低い金種の現金が、装置の内部に大量に溜まる場合がある。すなわち、従来の現金入出金機は、売上回収取引時に、高額紙幣ばかりをリサイクルカセットから売上回収カセットに移動させ、移動されなかった優先順位の低い金種の現金が、装置の内部(具体的には、リサイクルカセットや出金ホッパの内部)に大量に溜まる場合がある。
【0022】
これにより、従来の現金入出金機は、例えば、以下のような不具合が発生することがある。
(1)従来の現金入出金機は、操作者の望む回収を行うことができない場合がある。
例えば、従来の現金入出金機は、売上回収取引時に、一万円券等の高額紙幣を優先して売上回収カセットに移動させる。しかしながら、レジスタから回収された売上金は、優先順位の低い金種の現金(例えば、千円券や、硬貨等)を大量に含む場合がある。
【0023】
この場合に、操作者としては、その優先順位の低い金種の現金を優先的に回収させる(すなわち、リサイクルカセット又は出金ホッパから回収庫に移動させる)ことを望む。しかしながら、従来の現金入出金機は、売上金として回収する現金の金種を自由に指定することができないため、そのような回収を行うことができない。
【0024】
(2)従来の現金入出金機は、紙幣のリジェクトの発生により、操作者に負担を強いるとともに、装置に対する操作者の信頼性を損ねる場合がある。
例えば、従来の現金入出金機は、紙幣の汚損等により、紙幣のリジェクトが定常的に発生する。これにより、従来の現金入出金機は、ハードウェアが故障してないのに、障害の発生状態となる場合がある。
【0025】
例えば、従来の現金入出金機は、売上回収取引で、リサイクルカセットに収納された一万円券等の高額紙幣の全枚数を回収する場合(すなわち、リサイクルカセットから売上回収カセットに移動させる場合)に、その処理の途中で、紙幣のリジェクトが発生すると、予定枚数分の紙幣を回収すること(売上回収カセットに移動させること)ができない。そのため、この場合に、従来の現金入出金機は、ハードウェアが故障してないのに、紙幣エンドの障害が発生した状態となる。
【0026】
また、例えば、従来の現金入出金機は、100枚の一万円券、100枚の五千円券、及び、100枚の千円券がリサイクルカセットに収納されており、108万6千円の売上金を回収する場合に、100枚の一万円券、17枚の五千円券、及び、1枚の千円券をリサイクルカセットから売上回収カセットに移動させる。この場合に、従来の現金入出金機は、その処理の途中で、仮に、1枚の一万円券のリジェクトが発生すると、108万6千円の売上金を回収すること(売上回収カセットに移動させること)ができない。そのため、この場合も、従来の現金入出金機は、ハードウェアが故障してないのに、紙幣エンドの障害が発生した状態となる。
【0027】
従来の現金入出金機は、紙幣エンドの障害が発生した場合に、復旧ボタンの押下を操作者に要請する。そして、従来の現金入出金機は、操作者が復旧ボタンを押下すると、復旧処理を行う。したがって、従来の現金入出金機は、売上金の不足分を移動させるための売上回収取引を、再度、行う必要がある。つまり、従来の現金入出金機は、この場合に、売上回収取引を2回実行する必要がある。
【0028】
したがって、従来の現金入出金機は、紙幣エンドの障害が発生した場合に、復旧処理を行うための煩わしい手間がかかるとともに、復旧処理及び2回目の売上回収取引を行うための時間がかかるため、操作者に負担を強いる。また、従来の現金入出金機は、ハードウェアが故障してないのに、紙幣エンドの障害が発生した状態となるため、あたかも装置が故障又は誤動作したかのような誤解を操作者に与えて、装置に対する操作者の信頼性を損ねる可能性ある。
【0029】
本発明は、前記した課題を解決するためになされたものであり、優先順位の低い金種の現金が装置の内部に大量に溜まるのを抑制する現金入出金機、及び、当該現金入出金機を制御するプログラムを提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0030】
前記目的を達成するため、第1発明は、売上金を回収する売上回収取引を実行する現金入出金機であって、前記売上金を含む現金が出金可能な状態で収納される出金用現金収納部と、前記売上金として装置から取り出される現金を内部に収納する回収庫と、前記売上金として前記出金用現金収納部から前記回収庫に移動させる現金の金額を売上移動金額とし、前記売上回収取引時に、前記売上移動金額の金種毎の枚数を指定させる入力画像と、操作者の売上金回収操作を誘導する誘導画像とを、入力画面として、表示部に表示させるとともに、前記入力画面で指定された金種毎の枚数の現金を、前記出金用現金収納部から前記回収庫に移動させることにより、前記売上金を回収する取引実行部とを有し、前記取引実行部は、リジェクトされた現金の発生により、指定された枚数分を回収できない金種の現金が発生した場合に、前記入力画面を前記表示部に再度表示させて、前記操作者に、リジェクトされた現金の金種以外の、不足金額分に相当する他金種の現金の枚数を指定させることによって、前記他金種の現金で不足金額分の前記売上金を回収する構成とする。
【0031】
この現金入出金機は、売上金として出金用現金収納部から回収庫に移動させる現金の金額を売上移動金額とし、売上回収取引時に、売上移動金額の枚数を金種毎に自由に指定することができる。そのため、この現金入出金機は、優先順位の低い金種の現金が、回収庫に移動されずに、装置の内部に大量に溜まるのを抑制することができる。
【0032】
また、第2発明は、売上金を含む現金が出金可能な状態で収納される出金用現金収納部と、前記売上金として装置から取り出される現金を内部に収納する回収庫とを有し、かつ、前記売上金を回収する売上回収取引を実行する現金入出金機を制御するプログラムであって、前記現金入出金機の制御部に、前記売上金として前記出金用現金収納部から前記回収庫に移動させる現金の金額を売上移動金額とし、前記売上回収取引時に、前記売上移動金額の金種毎の枚数を指定させる入力画像と、操作者の売上金回収操作を誘導する誘導画像とを、入力画面として、表示部に表示させる売上金回収操作誘導工程と、前記売上金回収操作誘導工程で前記入力画面が表示された後に、入力部を介して指定された金種毎の枚数の現金を、前記出金用現金収納部から前記回収庫に移動させることにより、前記売上金を回収する売上金回収実行工程とを実行させ、前記売上金回収実行工程は、リジェクトされた現金の発生により、指定された枚数分を回収できない金種の現金が発生した場合に、前記現金入出金機の制御部に、前記売上金回収操作誘導工程を再度実行させて、前記操作者に、リジェクトされた現金以外の、不足金額分に相当する他金種の現金の枚数を指定させ、その後に、前記他金種の現金で不足金額分の前記売上金を回収する工程を含む構成とする。
このプログラムは、第1発明に係る現金入出金機を制御することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、優先順位の低い金種の現金が装置の内部に大量に溜まるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】実施形態1に係る現金入出金機の構成図である。
図2】実施形態1に係る現金入出金機の機能ブロック図である。
図3】実施形態1に係る現金入出金機の動作を示すフローチャート(1)である。
図4A】実施形態1に係る現金入出金機の動作を示すフローチャート(2)である。
図4B】実施形態1に係る現金入出金機の動作を示すフローチャート(3)である。
図5】実施形態1に係る現金入出金機の動作を示すフローチャート(4)である。
図6】実施形態1で用いるメニュー画面の一例を示す図である。
図7A】実施形態1で用いる表示画面の一例を示す図(1)である。
図7B】実施形態1で用いる表示画面の一例を示す図(2)である。
図7C】実施形態1で用いる表示画面の一例を示す図(3)である。
図7D】実施形態1で用いる表示画面の一例を示す図(4)である。
図7E】実施形態1で用いる表示画面の一例を示す図(5)である。
図7F】実施形態1で用いる表示画面の一例を示す図(6)である。
図7G】実施形態1で用いる表示画面の一例を示す図(7)である。
図7H】実施形態1で用いる表示画面の一例を示す図(8)である。
図7I】実施形態1で用いる表示画面の一例を示す図(9)である。
図7J】実施形態1で用いる表示画面の一例を示す図(10)である。
図8A】実施形態1で用いる紙幣エンド障害画面の一例を示す図である。
図8B】実施形態1で用いる復旧中画面の一例を示す図である。
図9A】実施形態1で用いる表示画面の一例を示す図(1)である。
図9B】実施形態1で用いる表示画面の一例を示す図(2)である。
図9C】実施形態1で用いる表示画面の一例を示す図(3)である。
図9D】実施形態1で用いる表示画面の一例を示す図(4)である。
図9E】実施形態1で用いる表示画面の一例を示す図(5)である。
図9F】実施形態1で用いる表示画面の一例を示す図(6)である。
図10】実施形態2に係る現金入出金機の動作を示すフローチャート(1)である。
図11A】実施形態2に係る現金入出金機の動作を示すフローチャート(2)である。
図11B】実施形態2に係る現金入出金機の動作を示すフローチャート(3)である。
図12】実施形態2で用いる紙幣エンドワーニング画面の一例を示す図である。
図13A】実施形態2で用いる表示画面の一例を示す図(1)である。
図13B】実施形態2で用いる表示画面の一例を示す図(2)である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と称する)につき詳細に説明する。なお、各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0036】
[実施形態1]
<現金入出金機の構成>
本実施形態1に係る現金入出金機1は、後記する売上回収取引時に、操作者が後記する売上移動金額(すなわち、売上金として後記するリサイクルカセット14,15,16又は出金ホッパ24から後記する回収庫17,27に移動させる現金の金額)を金種毎に自由に指定することができる構成になっている。以下、図1及び図2を参照して、本実施形態1に係る現金入出金機1の構成につき説明する。なお、図1は、実施形態1に係る現金入出金機の構成図である。図2は、実施形態1に係る現金入出金機の機能ブロック図である。
【0037】
本実施形態1に係る現金入出金機1は、現金(紙幣及び硬貨)を管理するための装置である。以下、現金入出金機1を「装置」と称する場合もある。現金入出金機1は、百貨店やスーパーマーケット、コンビニエンスストア等の小売業の多くの店舗に設置されている。
【0038】
現金入出金機1は、「釣銭出金」や、「売上入金」、「計数」、「補充」、「抜き取り」、「精算集計」、「売上回収」等の、様々な取引機能を有している。
「釣銭出金」取引は、釣銭準備金を出金する取引である。
「売上入金」取引は、レジスタから回収された売上金を装置に入金する取引である。
【0039】
「計数」取引は、投入口に投入された現金を計数する取引である。
「補充」取引は、釣銭準備金用の現金を装置に補充する取引である。「補充」取引は、操作者が釣銭準備金用の現金を投入口に投入し、装置がその現金を金種別にリサイクルカセット又は出金ホッパに収納することによって、行われる。
【0040】
「抜き取り」取引は、装置の内部から現金を一時的に抜き取る取引である。「抜き取り」取引は、現金精査のために装置の内部の全ての現金を出金する場合や、入金過多により、現金がリサイクルカセット又は出金ホッパから溢れそうになっている場合に行われる。
【0041】
「精算集計」取引は、売上額を算出する取引である。「精算集計」取引は、装置が、「売上入金」取引における入金合計額及び「売上出金」取引における出金合計額を集計し、(入金合計額−出金合計額)を売上額として算出することによって、行われる。
【0042】
「売上回収」取引は、売上金を回収する取引である。「売上回収」取引は、売上額と既に売上回収カセットに収納された現金の金額との差分を売上移動金額とし、リサイクルカセット及び出金ホッパに収納されている現金の中からその売上移動金額分の現金を売上回収カセットに移動させることによって、行われる。
【0043】
図1に示すように、現金入出金機1は、制御部2、記憶部3、カードリーダ部4、操作表示部5、紙幣部8a、及び、硬貨部8bを有している。
制御部2は、現金入出金機1の各部の動作を制御する機能手段である。
記憶部3は、取引の実行に用いる各種の制御プログラムやデータを格納する記憶手段である。
【0044】
カードリーダ部4は、操作者によって所持されるカードから情報を読み取る構成要素である。カードリーダ部4は、取引開始時に、操作者によって所持されるIDカードやレジカード等から情報を読み取る。
操作表示部5は、操作者の操作を受け付けたり、操作に必要な様々な文字や画面を表示したりする構成要素である。ここでは、操作表示部5がタッチパネルとLCDとを組み合わせた構成になっている場合を想定して説明する。
【0045】
紙幣部8aは、紙幣を取り扱う構成要素である。紙幣部8aは、内部が紙幣部フロント扉9a(以下、単に「扉9a」と称する場合もある)によって封鎖されている。紙幣部8aは、紙幣投入口11、紙幣一時保留部12、紙幣鑑別部13、万円券カセット14、五千円券カセット15、千円券カセット16、売上回収カセット17、及び、リジェクト部18を備えている。
【0046】
紙幣投入口11は、紙幣の投入口である。ここでは、紙幣投入口11が、出金紙幣、入金リジェクト紙幣、及び、返却紙幣の出金口も兼ねているものとして説明する。なお、「出金紙幣」は、操作者に出金する紙幣を意味している。「入金リジェクト紙幣」は、入金取引で正券として鑑別されなかった紙幣を意味している。「返却紙幣」は、売上入金取引や計数取引で、取引が取り消された場合に返却される紙幣を意味している。
紙幣一時保留部12は、紙幣を一時的に保留する場所である。現金入出金機1は、例えば、計数取引時や売上回収取引時に、紙幣を一時的に紙幣一時保留部12に保留させる。
紙幣鑑別部13は、紙幣を鑑別する構成要素である。
【0047】
万円券カセット14、五千円券カセット15、及び、千円券カセット16は、それぞれ、釣銭準備金として使用する一万円券、五千円券、及び、千円券を収納するリサイクルカセットである。万円券カセット14、五千円券カセット15、及び、千円券カセット16は、それぞれ、特許請求の範囲に記載された「出金用現金収納部」に相当する。以下、万円券カセット14、五千円券カセット15、及び、千円券カセット16を総称する場合に、「リサイクルカセット14,15,16」と称する。
【0048】
現金入出金機1は、運用開始前に、一万円券、五千円券、及び、千円券をそれぞれに対応するリサイクルカセット14,15,16に収納する。また、現金入出金機1は、売上入金取引時に、紙幣鑑別部13によって正常(正券)と判別された一万円券、五千円券、及び、千円券を、それぞれに対応するリサイクルカセット14,15,16に収納する。そして、現金入出金機1は、釣銭出金取引時に、リサイクルカセット14,15,16に収納された紙幣を釣銭準備金として出金する。
【0049】
売上回収カセット17は、売上金の回収金として装置から回収する(抜き取る)紙幣を収納する回収庫である。以下、売上回収カセット17を「回収庫17」と称する場合もある。売上回収カセット17は、売上金を内部に収納した状態で持ち運ぶことが可能なカセットとして構成されている。現金入出金機1は、売上入金取引時や売上回収取引時に、売上金としての紙幣をリサイクルカセット14,15,16から売上回収カセット17に移動させて(搬送して)、売上回収カセット17に収納する。
【0050】
リジェクト部18は、リジェクト紙幣を収納する場所である。現金入出金機1は、釣銭出金取引で紙幣をリサイクルカセットから紙幣投入口11に移動させる際に発生したリジェクト紙幣、売上入金取引で紙幣を紙幣一時保留部12からリサイクルカセットに移動させる(搬送する)際に発生したリジェクト紙幣、及び、売上金回収取引で紙幣をリサイクルカセットから売上回収カセット17に移動させる際に発生したリジェクト紙幣をリジェクト部18に集積する。
【0051】
硬貨部8bは、硬貨を取り扱う構成要素である。硬貨部8bは、内部が硬貨部フロント扉9b(以下、単に「扉9b」と称する場合もある)によって封鎖されている。硬貨部8bは、硬貨投入口21、硬貨一時保留部22、硬貨鑑別部23、出金ホッパ24、硬貨出金箱25、硬貨回収庫27、及び、硬貨返却箱28を備えている。
【0052】
硬貨投入口21は、硬貨の投入口である。
硬貨一時保留部22は、計数取引時に硬貨を一時的に集積する場所である。
硬貨鑑別部23は、硬貨を鑑別する構成要素である。
【0053】
出金ホッパ24は、釣銭準備金として使用する硬貨を収納する場所である。現金入出金機1は、売上入金取引時に、硬貨鑑別部23によって正常(正常貨)と判別された硬貨を出金ホッパ24に収納する。そして、現金入出金機1は、釣銭出金取引時に、出金ホッパ24に収納された硬貨を釣銭準備金として出金する。
硬貨出金箱25は、釣銭出金取引時に、出金硬貨を放出する場所である。なお、「出金硬貨」は、操作者に出金する紙幣を意味している。
【0054】
硬貨回収庫27は、売上金の回収金として装置から回収する(抜き取る)硬貨を収納する回収庫である。以下、硬貨回収庫27を単に「回収庫27」と称する場合もある。現金入出金機1は、精算集計取引時や売上回収取引に、売上金としての硬貨を出金ホッパ24から硬貨回収庫27に移動させて、硬貨回収庫27に収納する。
硬貨返却箱28は、返却硬貨を放出する場所である。なお、「返却硬貨」は、売上入金取引や計数取引で、取引が取り消された場合に返却される硬貨を意味している。
【0055】
また、図2に示すように、現金入出金機1は、搬送部6、及び、通信部7を有している。搬送部6は、現金(紙幣及び硬貨)を各部に搬送する構成要素である。通信部7は、外部の機器(例えば、レジスタ)と通信する構成要素である。
【0056】
現金入出金機1の制御部2は、CPUによって構成されており、記憶部3に予め格納された制御プログラム51を実行することにより、主制御部2a、搬送・鑑別制御部2b、入力制御部2c、表示制御部2d、通信制御部2e、有高管理部2f、取引実行部2g、復旧実行部2h、扉監視部2i、及び、抜取監視部2jとして機能する。
【0057】
主制御部2aは、現金入出金機1の全体の動作を制御する機能手段である。
搬送・鑑別制御部2bは、搬送部6や、鑑別部(紙幣鑑別部13及び硬貨鑑別部23)等の動作を制御する機能手段である。
入力制御部2cは、操作表示部5での入力を検知し、入力情報を取得する機能手段である。
表示制御部2dは、操作表示部5の表示を制御する機能手段である。
通信制御部2eは、通信部7での通信を制御する機能手段である。
有高管理部2fは、紙幣部8a及び硬貨部8bに収納された現金の有高を管理する機能手段である。
【0058】
取引実行部2gは、「釣銭出金」や、「売上入金」、「計数」、「補充」、「抜き取り」、「精算集計」、「売上回収」等の取引を実行する機能手段である。
復旧実行部2hは、障害発生時に復旧処理を実行する機能手段である。
扉監視部2iは、フロント扉(紙幣部フロント扉9a及び硬貨部フロント扉9b(図1参照))の開閉状態を監視する機能手段である。
抜取監視部2jは、回収庫17,27の装置からの脱着及び装置への装着を監視して、操作者による売上金の抜き取りを監視する機能手段である。
【0059】
また、現金入出金機1の記憶部3は、RAMやROM、HDD等によって構成されており、制御プログラム51、画面データ52、有高データ53、及び、売上データ54を格納する。
【0060】
制御プログラム51は、制御部2を構成するCPUを、主制御部2a、搬送・鑑別制御部2b、入力制御部2c、表示制御部2d、通信制御部2e、有高管理部2f、取引実行部2g、復旧実行部2h、扉監視部2i、及び、抜取監視部2jとして機能させるプログラムである。
画面データ52は、取引の実行時に、各種の画面(例えば、図6図7A図7J図8A及び図8B、並びに、図9A図9F参照)を操作表示部5に表示させるためのデータである。
有高データ53は、紙幣部8a及び硬貨部8bに収納された現金の有高を表すデータである。
売上データ54は、売上額を表すデータである。売上データ54は、現金入出金機1が通信部7を介して、各店舗での売上額を管理する上位装置(例えば、図示せぬレジスタ)と通信することによって、上位装置から取得される。
【0061】
<現金入出金機の動作>
現金入出金機1は、前記した通り、「釣銭出金」や、「売上入金」、「計数」、「補充」、「抜き取り」、「精算集計」、「売上回収」等の取引機能を有している。
【0062】
各取引は、例えば、以下のようにして行われる。
操作者は、各取引に共通して、予め登録された図示せぬIDカードやレジカードを現金入出金機1のカードリーダ部4(図1参照)にリードさせて、さらに、場合によってはパスワードを入力させて、操作者の正当性を現金入出金機1に認証させる。現金入出金機1は、操作者の正当性を認証すると、メニュー画面を操作表示部5に表示する。そのメニュー画面には、各種の取引の実行を指示するための複数の取引ボタンが選択可能に表示されている。現金入出金機1は、操作者がメニュー画面に表示された取引ボタンの中から所望の取引ボタンを選択することによって、選択された取引を実行する。
【0063】
(「釣銭出金」取引)
現金入出金機1は、操作者がメニュー画面に表示された取引ボタンの中から「釣銭出金」ボタンを選択した場合に、「釣銭出金」取引を実行する。
【0064】
この場合に、現金入出金機1は、釣銭出金取引用の表示画面を操作表示部5に表示する。ここでは、その釣銭出金取引用の表示画面には、例えば、「金種と枚数パターンの出金」や、「任意の金種と枚数を指定する出金」等の複数のサブメニューが選択可能に表示されているものとして説明する。
【0065】
現金入出金機1は、操作者が表示画面に表示された複数のサブメニューの中から所望のサブメニューを選択すると、選択されたサブメニューに従って、リサイクルカセット14,15,16及び出金ホッパ24に収納されている現金の中から、釣銭準備金を出金する。「釣銭出金」取引は、釣銭準備金が出金された時点で、終了となる。
【0066】
(「売上入金」取引)
現金入出金機1は、操作者がメニュー画面に表示された取引ボタンの中から「売上入金」ボタンを選択した場合に、「売上入金」取引を実行する。
【0067】
この場合に、現金入出金機1は、売上入金取引用の表示画面を操作表示部5に表示する。ここでは、その売上入金取引用の表示画面は、レジスタから回収された売上金(厳密には、(売上金+釣銭準備金)分の現金)の投入口11,21(図1参照)への投入を操作者に要請する内容になっているものとして説明する。
【0068】
現金入出金機1は、操作者がレジスタから回収された売上金(厳密には、(売上金+釣銭準備金)分の現金)を投入口11,21に投入すると、計数を開始し、鑑別部13,23によって正常と判別された現金を一時保留部12,22(図1参照)に集積する。このとき、現金入出金機1は、鑑別部13,23によってリジェクトされた現金があれば、リジェクトされた現金を所定の場所から操作者に返却する。なお、リジェクトされた現金を返却する場合の「所定の場所」とは、リジェクトされた現金が紙幣であれば、紙幣投入口11となり、リジェクトされた現金が硬貨であれば、硬貨返却箱28となる。
【0069】
現金入出金機1は、正常と判別された現金を一時保留部12,22に集積すると、正常と判別された現金の合計金額通知用の表示画面を操作表示部5に表示する。ここでは、その合計金額通知用の表示画面は、正常と判別された現金の合計金額を操作者に通知する内容になっているものとして説明する。また、その合計金額通知用の表示画面は、例えば、合計金額と、操作者が画面の内容を確認した場合に押下される確認ボタンとを含む構成になっているものとして説明する。
【0070】
現金入出金機1は、操作者が確認する(確認ボタンを押下する)と、一時保留部12,22に集積された現金を一時保留部12,22から該当する金種のリサイクルカセット14,15,16又は出金ホッパ24に移動させて(搬送して)、金種別に所定のリサイクルカセット14,15,16又は出金ホッパ24に収納する。「売上入金」取引は、一時保留部12,22に集積されていた現金が所定のリサイクルカセット14,15,16又は出金ホッパ24に収納された時点で、終了となる。
【0071】
なお、ここでは、収納時点で、売上が発生している場合に、現金入出金機1は、(入金合計額−出金合計額)を売上額とし、売上額の範囲内で、紙幣のみを、高額紙幣から順番に、リサイクルカセット14,15,16から売上回収カセット17に移動させて(搬送して)、売上回収カセット17に収納するものとして説明する。
【0072】
(「計数」取引)
現金入出金機1は、操作者がメニュー画面に表示された取引ボタンの中から「計数」ボタンを選択した場合に、「計数」取引を実行する。
【0073】
この場合に、現金入出金機1は、計数取引用の表示画面を操作表示部5に表示する。ここでは、その計数取引用の表示画面には、計数すべき現金の投入口への投入を操作者に要請する内容になっているものとして説明する。
【0074】
現金入出金機1は、操作者が現金を投入口に投入すると、計数を開始し、鑑別部13,23によって正常と判別された現金を一時保留部12,22に集積する。このとき、現金入出金機1は、鑑別部13,23によってリジェクトされた現金があれば、リジェクトされた現金を所定の場所から操作者に返却する。
【0075】
現金入出金機1は、正常と判別された現金を一時保留部12,22に集積すると、正常と判別された現金の合計金額通知用の表示画面を操作表示部5に表示する。ここでは、その合計金額通知用の表示画面は、正常と判別された現金の合計金額を操作者に通知する内容になっているものとして説明する。また、その合計金額通知用の表示画面は、例えば、合計金額と、操作者が画面の内容を確認した場合に押下される確認ボタンとを含む構成になっているものとして説明する。
【0076】
現金入出金機1は、操作者が確認すると、一時保留部12,22に集積された現金を一時保留部12,22から所定の場所に移動させて(搬送して)、現金を所定の場所から操作者に返却する。「計数」取引は、投入口に投入された全ての現金が操作者に返却された時点で、終了となる。
【0077】
(「補充」取引)
現金入出金機1は、操作者がメニュー画面に表示された取引ボタンの中から「補充」ボタンを選択した場合に、「補充」取引を実行する。
【0078】
この場合に、現金入出金機1は、補充取引用の表示画面を操作表示部5に表示する。ここでは、その補充取引用の表示画面は、補充用の現金の投入口への投入を操作者に要請する内容になっているものとして説明する。
【0079】
現金入出金機1は、操作者が現金を投入口に投入すると、計数を開始し、鑑別部13,23によって正常と判別された現金を一時保留部12,22に集積する。このとき、現金入出金機1は、鑑別部13,23によってリジェクトされた現金があれば、リジェクトされた現金を所定の場所から操作者に返却する。
【0080】
現金入出金機1は、正常と判別された現金を一時保留部12,22に集積すると、正常と判別された現金の合計金額通知用の表示画面を操作表示部5に表示する。ここでは、その合計金額通知用の表示画面は、正常と判別された現金の合計金額を操作者に通知する内容になっているものとして説明する。また、その合計金額通知用の表示画面は、例えば、合計金額と、操作者が画面の内容を確認した場合に押下される確認ボタンとを含む構成になっているものとして説明する。
【0081】
現金入出金機1は、操作者が確認すると、一時保留部12,22に集積された現金を一時保留部12,22から該当する金種のリサイクルカセット14,15,16又は出金ホッパ24に移動させて(搬送して)、金種別に所定のリサイクルカセット14,15,16又は出金ホッパ24に収納する。これにより、現金入出金機1は、釣銭準備金として使用される現金が補充される。「補充」取引は、一時保留部12,22に集積されていた現金が所定のリサイクルカセット14,15,16又は出金ホッパ24に収納された時点で、終了となる。
【0082】
(「抜き取り」取引)
現金入出金機1は、操作者がメニュー画面に表示された取引ボタンの中から「抜き取り」ボタンを選択した場合に、「抜き取り」取引を実行する。
【0083】
この場合に、現金入出金機1は、精査取引時に、装置の内部の全ての現金を所定の場所(ここでは、紙幣投入口11及び硬貨出金箱25)から出金し、また、入金過多時に、リサイクルカセット14,15,16又は出金ホッパ24から溢れそうになっている現金を所定の場所から出金して、操作者に抜き取らせる。「抜き取り」取引は、操作者が所定の場所から現金を取り出した時点で、終了となる。なお、精査取引時の現金を出金する「所定の場所」とは、現金が紙幣であれば、紙幣投入口11となり、現金が硬貨であれば、硬貨出金箱25となる。
【0084】
(「精算集計」取引)
現金入出金機1は、操作者がメニュー画面に表示された取引ボタンの中から「精算集計」ボタンを選択した場合に、「精算集計」取引を実行する。
【0085】
この場合に、現金入出金機1は、その時点での「売上入金」取引における入金合計額及び「売上出金」取引における出金合計額を集計し、(入金合計額−出金合計額)を売上額として算出する。
【0086】
現金入出金機1は、売上額を算出すると、売上額通知用の表示画面を操作表示部5に表示する。ここでは、その売上額通知用の表示画面は、売上額を操作者に通知する内容になっているものとして説明する。また、その売上額通知用の表示画面は、例えば、売上額と確認ボタンとを含む構成になっているものとして説明する。「精算集計」取引は、操作者が売上額を確認した時点(確認ボタンを押下した時点)で、終了となる。
【0087】
(「売上回収」取引)
現金入出金機1は、操作者がメニュー画面に表示された取引ボタンの中から「売上回収」ボタンを選択した場合に、「売上回収」取引を実行する。
【0088】
この場合に、現金入出金機1は、売上回収取引用の表示画面を操作表示部5に表示する。ここでは、その売上回収取引用の表示画面は、売上額と既に売上回収カセット17に収納された現金の金額との差分を売上移動金額とし、リサイクルカセット14,15,16及び出金ホッパ24に収納された現金の中から、その売上移動金額分の現金を回収庫17,27に移動させることを操作者に通知する内容となっているものとして説明する。また、その売上回収取引用の表示画面は、例えば、売上移動金額と確認ボタンとを含む構成になっているものとして説明する。
【0089】
現金入出金機1は、操作者がその表示画面の内容を確認すると、リサイクルカセット14,15,16又は出金ホッパ24に収納された現金の中から、高額紙幣を優先して、売上移動金額(すなわち、売上額と既に売上回収カセット17に収納された現金の金額との差分を売上移動金額)分の現金を回収庫17,27に移動させる。これにより、現金入出金機1は、売上金の回収庫17,27への移動を行う。
【0090】
現金入出金機1は、売上金の移動が完了したら、装置の筐体の前面側に設けられたフロント扉9a,9b(図1参照)のロック(図示せず)を開錠し、回収庫17,27の装置からの脱着を操作者に要請する表示画面を操作表示部5に表示する。「売上回収」取引は、操作者が、装置から売上回収カセット17を脱着して売上金としての紙幣を回収し、空の売上回収カセット17を装置に装着するとともに、さらに、硬貨回収庫27を脱着して売上金としての硬貨を硬貨回収庫27から袋に詰めかえて回収し、空になった硬貨回収庫27を装置に装着した時点で、終了となる。
【0091】
この後、操作者は、脱着した売上回収カセット17と硬貨が詰められた袋とを警備会社の警送員に引き渡す。警送員は、売上回収カセット17と袋とを金融機関(ただし、警備会社の場合もある)に移送し、金融機関で売上回収カセット17と袋とに収納された現金を売上金として入金処理する。なお、ここでは、操作者が回収庫17,27を脱着する場合を想定して説明しているが、警備会社の警送員が回収庫17,27を脱着することもできる。
【0092】
このような現金入出金機1は、取引メニューが多いため、メニュー画面を複数の画面に分割するようにしてもよい。この場合に、現金入出金機1は、好ましくは、操作性を考慮して、操作者のIDカードに割り当てられた権限毎に、頻度の高い取引メニューキーが最初の画面の中に含まれにように、メニュー画面を構成するとよい。
【0093】
また、現金入出金機1は、操作者のIDカードに割り当てられた権限が特定の取引しか許可されていない場合に、操作性や視認性を考慮して、許可されていない取引メニューキーを削除し、許可されている取引メニューキーのみを拡大して表示するとよい。
【0094】
また、現金入出金機1は、セキュリティを考慮して、電源オフ中にフロント扉9a,9b(図1参照)が開放された場合に、不正な操作があったことを、ポップアップ画面の表示やブザーの放音によって警告するとよい。
【0095】
(売上回収取引時の動作)
本実施形態1に係る現金入出金機1は、前記した通り、売上回収取引時に、操作者が売上移動金額(すなわち、売上金としてリサイクルカセット14,15,16又は出金ホッパ24から回収庫17,27に移動させる現金の金額)を金種毎に自由に指定することができる構成になっている。以下、図3図4A及び図4B図5図6図7A図7J図8A及び図8B、並びに、図9A図9Fを参照して、現金入出金機1の売上回収取引時の動作につき詳細に説明する。
【0096】
図3図4A及び図4B、並びに、図5は、それぞれ、実施形態1に係る現金入出金機の動作を示すフローチャートである。図3は、現金入出金機1の売上回収取引時の全体の動作を示している。図4A及び図4Bは、図3に示すS120の処理の詳細を示している。図5は、図3に示すS140の処理の詳細を示している。図6は、実施形態1で用いるメニュー画面の一例を示す図である。図7A図7Jは、それぞれ、実施形態1で用いる表示画面の一例を示す図である。図8Aは、実施形態1で用いる紙幣エンド障害画面の一例を示す図である。図8Bは、実施形態1で用いる復旧中画面の一例を示す図である。図9A図9Fは、それぞれ、実施形態1で用いる表示画面の一例を示す図である。
【0097】
なお、現金入出金機1は、図示せぬタイマによって計測された時間に基づいて動作する。また、各データは、記憶部3に読み出し自在に一旦格納されてから、その後の処理を行う所要の構成要素に出力される。以下、これらの点については、情報処理では常套手段であるので、その詳細な説明を省略する。
【0098】
図3に示すように、現金入出金機1は、操作者が予め登録された図示せぬIDカードやレジカードを現金入出金機1のカードリーダ部4(図1参照)にリードさせて、さらに、場合によってはパスワードを入力させることにより、動作を開始する。このとき、現金入出金機1は、操作者の正当性を認証する(S105)。
【0099】
現金入出金機1は、操作者の正当性を認証すると、メニュー画面SC1(図6参照)を操作表示部5(図1参照)に表示する(S110)。ここでは、操作者が、メニュー画面SC1に表示された多数の取引メニューキーの中から「売上回収」ボタン(図6に示す例では、「08:売上回収」ボタン)を押下したものとして説明する。
【0100】
なお、メニュー画面SC1は、その基となる画像データが画面データ52として記憶部3(図2参照)に格納されている。現金入出金機1は、取引実行部2g(図2参照)が、記憶部3から画像データを読み出して、画像データに基づいてメニュー画面SC1を作成する。そして、取引実行部2gは、メニュー画面SC1の表示データを表示制御部2d(図2参照)に出力する。これにより、取引実行部2gは、表示制御部2dを介して、メニュー画面SC1を操作表示部5に表示する。
【0101】
現金入出金機1は、操作者が「売上回収」ボタンを押下すると、その押下を検知し(S115)、売上金を回収するための操作の誘導(以下、「売上金回収操作誘導」と称する)処理を実行する(S120)。S120の「売上金回収操作誘導」処理は、現金入出金機1が、例えば、図7A図7Jに示す画面SC2〜SC11を、操作者の売上金回収操作を誘導する画面として操作表示部5に表示することによって、行われる。
【0102】
なお、図7A図7Iに示す画面SC2〜SC10は、記憶部3(図2参照)に格納された画面データ52、有高データ53、及び、売上データ54に基づいて作成される。現金入出金機1は、取引実行部2g(図2参照)が、記憶部3から画面データ52、有高データ53、及び、売上データ54を読み出して、これらのデータ52,53,54に基づいて、図7A図7Iに示す画面SC2〜SC10を作成する。
【0103】
画面SC2〜SC10は、それぞれ、操作者の操作を誘導する誘導画像SCAと、操作者の入力を受け付ける入力画像SCBとを含む構成となっている。誘導画像SCA及び入力画像SCBの内容は、画面データ52、有高データ53、売上データ54、並びに、操作者によって入力された金額や枚数等の入力データに応じて、各画面SC2〜SC10で、変化する。
【0104】
取引実行部2gは、画面SC2〜SC10を作成すると、画面SC2〜SC10の表示データを表示制御部2d(図2参照)に出力する。これにより、取引実行部2gは、表示制御部2dを介して、画面SC2〜SC10の操作表示部5への表示を実行する(以下、同様)。
【0105】
なお、図7Jに示す画面SC11は、メニュー画面SC1と同様に、その基となる画像データが画面データ52として記憶部3(図2参照)に格納されている。現金入出金機1は、取引実行部2g(図2参照)が、記憶部3から画像データを読み出して、画像データに基づいて画面SC11を作成する。
【0106】
図4A及び図4Bは、S120の「売上金回収操作誘導」処理の詳細を示している。
図4Aに示すように、S120の「売上金回収操作誘導」処理では、現金入出金機1は、まず、回収金額確認画面SC2(図7A参照)を操作表示部5(図1参照)に表示する(S205)。
【0107】
回収金額確認画面SC2(図7A参照)は、売上金として回収する現金の金額の確認を操作者に要請する画面である。図7Aに示す例では、回収金額確認画面SC2は、「現在売上高」、「手持汚損金」、「追加金額」、及び、「指定回収金額」の入力欄、並びに、「追加金額」ボタン及び「確認」ボタンを含む構成になっている。「追加金額」ボタンは、追加金額を設定するための画面(図示せず)を呼び出すためのボタンである。
【0108】
ここで、「現在売上高」とは、(入金合計−出金合計)を売上額とし、装置にて算出された現在の売上額を意味している。
「手持汚損金」とは、売上入金取引時にリジェクトされた、操作者の手持ちの現金(以下、「手持汚損金」と称する)の金額を意味している。
「追加金額」とは、金融機関や、売上金の輸送を委託された警備会社等の警送会社に返納する釣銭返納額等を意味している。
「指定回収金額」とは、現在売上高と追加金額とを加算した回収金額を意味している。
【0109】
操作者は、売上金として回収する現金の金額を変更する場合に、回収金額確認画面SC2に表示された追加金額ボタンを押下して、追加金額を設定するための画面(図示せず)を呼び出す。そして、操作者は、その画面で追加金額を入力する。このとき、現金入出金機1は、現在売上高と入力された追加金額とを加算して、その合計金額を「指定回収金額」の入力欄に表示する。このようにして、操作者は、売上額に関わらず、所望の売上回収金額を設定することができる。
【0110】
S205の後、現金入出金機1は、操作者が回収金額確認画面SC2の内容を確認して確認ボタンを押下すると、その操作を検知し(S210)、装置外回収金額入力画面SC3(図7B参照)を操作表示部5に表示する(S215)。
【0111】
装置外回収金額入力画面SC3(図7B参照)は、装置外(現金入出金機1の外部)で回収する現金(以下、「装置外回収現金」と称する)の金額を入力するための画面である。図7Bに示す例では、装置外回収金額入力画面SC3は、装置外回収現金の金種別枚数の入力欄、装置外回収現金の合計金額の表示欄、及び、「確認」ボタンを含む構成になっている。なお、金額の入力は、所望の金種別枚数の入力欄を押下し、上昇ボタン又は下降ボタンを押下することによって、行われる(以下、同様)。
【0112】
操作者は、装置外回収金額入力画面SC3が操作表示部5に表示されると、装置外回収金額入力画面SC3の内容を確認する。このとき、装置外回収現金があれば、操作者は、その金額を入力して確認ボタンを押下する。一方、装置外回収現金がなければ、操作者は、そのまま確認ボタンを押下する。
【0113】
S215の後、現金入出金機1は、操作者が装置外回収現金の金額を入力して確認ボタンを押下するか、又は、操作者が確認ボタンのみを押下すると、その操作を検知し(S220)、装置外回収金額確認画面SC4(図7C参照)を操作表示部5に表示する(S225)。
【0114】
装置外回収金額確認画面SC4(図7C参照)は、装置外回収金額入力画面SC3(図7B参照)で入力された装置外回収現金の金額の確認を操作者に要請する画面である。図7Cに示す例では、装置外回収金額確認画面SC4は、装置外回収現金の金種別枚数の表示欄、装置外回収現金の合計金額の表示欄、及び、「確認」ボタンを含む構成になっている。ここでは、装置外回収現金があり、操作者がその金額を入力した結果、図7Cに示す合計金額が表示されているものとして説明する。
【0115】
S225の後、現金入出金機1は、操作者が確認ボタンを押下すると、その操作を検知し(S230)、手持汚損金枚数入力画面SC5(図7D参照)を操作表示部5に表示する(S235)。
【0116】
手持汚損金枚数入力画面SC5(図7D参照)は、手持汚損金(すなわち、売上入金取引時にリジェクトされた、操作者の手持ちの現金)の枚数を金種毎に入力するための画面である。図7Dに示す例では、手持汚損金枚数入力画面SC5は、手持汚損金の金種別枚数の入力欄、汚損金の金額を表す汚損額の表示欄、手持汚損金の合計金額の表示欄、及び、「確認」ボタンを含む構成になっている。
【0117】
操作者は、手持汚損金枚数入力画面SC5が操作表示部5に表示されると、手持汚損金枚数入力画面SC5の内容を確認する。このとき、手持汚損金があれば、操作者は、その枚数(以下、「手持汚損金枚数」と称する)を入力して確認ボタンを押下する。一方、手持汚損金がなければ、操作者は、そのまま確認ボタンを押下する。
【0118】
S235の後、現金入出金機1は、操作者が手持汚損金枚数を入力して確認ボタンを押下するか、又は、操作者が確認ボタンのみを押下すると、その操作を検知し(S240)、手持汚損金金額確認画面SC6(図7E参照)を操作表示部5に表示する(S245)。
【0119】
手持汚損金金額確認画面SC6(図7E参照)は、手持汚損金金額確認画面SC6(図7E参照)で入力された枚数に基づく手持汚損金の合計金額の確認を操作者に要請する画面である。図7Eに示す例では、手持汚損金金額確認画面SC6は、手持汚損金の金種別枚数の表示欄、手持汚損金の合計金額の表示欄、及び、「確認」ボタンを含む構成になっている。
【0120】
S245の後、現金入出金機1は、操作者が確認ボタンを押下すると、その操作を検知し(S250)、回収金額確認画面SC7(図7F参照)を操作表示部5に表示して(S255)、投入口11,21(図1参照)の図示せぬシャッタを開放する(S260)。この後、処理は、「A1」を介して、図4Bに示すS265に進む。
【0121】
回収金額確認画面SC7(図7F参照)は、回収金額の確認を操作者に要請する画面である。図7Fに示す例では、回収金額確認画面SC7は、「回収予定額」、「手持汚損金」、「装置外回収現金」、「交換済現金」、「収納済現金」、及び、「入金可能額」の各表示欄、並びに、「現金なし」ボタンを含む構成になっている。
【0122】
ここで、「回収予定額」とは、売上金として回収庫17,27に収納させる現金(以下、「回収現金」と称する)の予定の金額を意味している。
「交換済現金」とは、「収納済現金」により売上回収カセットがフルになり、空のカセットと交換した場合に抜き取ったカセットに入っていた売上金、すなわち回収済みの現金を意味している。
「収納済現金」とは、過去に行われた売上入金取引時に、売上金として既に売上回収カセット17に収納された現金を意味している。
【0123】
「入金可能額」とは、売上金として回収庫17,27に収納させることが可能な現金の金額を意味している。現金入出金機1は、入金可能額の範囲内で、現金をリサイクルカセット14,15,16又は出金ホッパ24から回収庫17,27に移動させることができる。なお、操作者は、レジスタでの余剰金を投入口11,21(図1参照)から投入することによって、投入された現金を売上金として回収庫17,27に収納させることもできる。
「現金なし」ボタンとは、手元に売上金として投入したい現金がないことを現金入出金機1に知らせるためのボタンである。
【0124】
手元に売上金として投入したい現金があれば、操作者は、その現金を投入口11,21(図1参照)に投入する。この場合に、現金入出金機1は、現金の投入を検知して、投入された現金を鑑別及び計数して、投入金額を算出し、その投入金額を、S270で操作表示部5に表示させる売上移動金額確認画面SC8(図7G参照)に反映させる。
【0125】
一方、手元に売上金として投入したい現金がなければ、操作者は、回収金額確認画面SC7に表示された「現金なし」ボタンを押下する。この場合に、現金入出金機1は、回収金額確認画面SC7(図7F参照)に基づいて、S270で操作表示部5に表示させる売上移動金額確認画面SC8(図7G参照)を作成する。
【0126】
S260の後、現金入出金機1は、現金の投入口11,21(図1参照)への投入を監視し、現金が投入口11,21に投入されたか否かを判定する(S265)。
【0127】
S265の判定で、現金が投入されたと判定された場合(“Yes”の場合)に、現金入出金機1は、シャッタを閉鎖し、さらに、投入された現金を鑑別及び計数して(S266)、投入金額を算出する。次に、現金入出金機1は、回収金額確認画面SC7(図7F参照)に表示された「入金可能金額」から「投入金額」を減算した値を売上移動金額とし、その売上移動金額を算出する(S267)。なお、ここでは、「売上移動金額」とは、売上金としてリサイクルカセット14,15,16又は出金ホッパ24から回収庫17,27に移動させる現金の金額を意味している。
【0128】
一方、S265の判定で、現金が投入されていないと判定された場合(“No”の場合)に、現金入出金機1は、「現金なし」ボタンの押下が検知されたか否かを判定する(S268)。
【0129】
S268の判定で、「現金なし」ボタンの押下が検知されていないと判定された場合(“No”の場合)に、処理は、S265に戻る。その結果、現金入出金機1は、処理時間が一定時間以上経過するまで、S265〜S268の処理を繰り返し、処理時間が一定時間以上経過すると、画面表示をメニュー画面SC1(図6参照)に戻す。
【0130】
一方、S268の判定で、「現金なし」ボタンの押下が検知されたと判定された場合(“Yes”の場合)に、現金入出金機1は、シャッタを閉鎖し、さらに、回収金額確認画面SC7(図7F参照)に表示された「入金可能金額」を売上移動金額とし、その売上移動金額を算出する(S269)。
【0131】
現金入出金機1は、S267又はS269で移動金額を算出すると、S267又はS269で算出された移動金額を含む、売上移動金額確認画面SC8(図7G参照)を操作表示部5に表示する(S270)。
【0132】
売上移動金額確認画面SC8(図7G参照)は、売上移動金額(すなわち、売上金としてリサイクルカセット14,15,16又は出金ホッパ24から回収庫17,27に移動させる現金の金額)の確認を操作者に要請する画面である。図7Gに示す例では、売上移動金額確認画面SC8は、投入金額の表示欄、売上移動金額の表示欄、「確認」ボタン、及び、「追加投入」ボタンを含む構成になっている。
【0133】
なお、図7Gに示す例では、操作者が「14,000円」の現金を投入した結果、図7Fに示す「入金可能金額(1,814,0005円)」から「投入金額(14,000円)」が減算された値(1,800,0005円)が、移動金額として、表示されている。
【0134】
S270の後、現金入出金機1は、操作者が確認ボタンを押下すると、その操作を検知し(S275)、売上移動枚数入力画面SC9(図7H参照)を操作表示部5に表示する(S280)。
【0135】
売上移動枚数入力画面SC9(図7H参照)は、売上移動金額の金種別枚数を入力させるための画面である。売上移動枚数入力画面SC9は、特許請求の範囲に記載された「入力画面」に相当する。図7Hに示す例では、売上移動枚数入力画面SC9は、金種別装置内有高の表示欄、売上移動金額の金種別枚数の入力欄、S267又はS269で現金入出金機1によって算出された売上移動金額の表示欄、操作者によって入力された売上移動金額の合計金額の表示欄、及び、「確認」ボタンを含む構成になっている。
【0136】
ここで、「金種別装置内有高の表示欄」とは、リサイクルカセット14,15,16及び出金ホッパ24に収納された、釣銭準備金として出金可能な現金の金種別の有高を表示する欄を意味している。また、「売上移動金額の金種別枚数の入力欄」とは、売上移動金額として指定することが可能な現金の金種別の枚数を入力する欄を意味している。
【0137】
「売上移動金額の金種別枚数の入力欄」は、金種別装置内有高の表示欄に表示された各金種の値を上限値とし、それ以下の値を入力することができる設定になっている。このような現金入出金機1は、後記するように、売上移動金額の金種別枚数に対して、任意のマージンを持たせて設定することができる。これにより、現金入出金機1は、仮に、売上回収取引で、数枚のリジェクトされた現金が発生した場合であっても、紙幣エンドの障害が発生した状態になって、売上移動金額として指定された金額に相当する枚数(以下、「回収予定枚数」と称する)が回収できなくなるのを抑制することができる。
【0138】
操作者は、売上移動枚数入力画面SC9に表示された金種別装置内有高の範囲内で、売上金の回収金として装置から回収する(抜き取る)現金の金種別枚数を、売上移動金額の金種別枚数の入力欄に入力する。以下、売上移動金額の金種別枚数の入力欄に入力された金種別枚数を「回収金種別枚数」と称する。
【0139】
S280の後、現金入出金機1は、操作者が回収金種別枚数を入力して確認ボタンを押下すると、その操作を検知し(S285)、回収金種枚数確認画面SC10(図7I参照)を操作表示部5に表示する(S290)。
【0140】
回収金種枚数確認画面SC10(図7I参照)は、売上移動枚数入力画面SC9で指定された回収金種別枚数の確認を操作者に要請する画面である。図7Iに示す例では、回収金種枚数確認画面SC10は、回収金種別枚数の表示欄、売上移動金額の表示欄、及び、「確認」ボタンを含む構成になっている。
【0141】
S290の後、現金入出金機1は、操作者が確認ボタンを押下すると、その操作を検知し(S295)、移動中画面SC11(図7J参照)を操作表示部5に表示する(S30)。
【0142】
移動中画面SC11(図7J参照)は、売上金の回収金としての現金をリサイクルカセット14,15,16又は出金ホッパ24から回収庫17,27に移動していることを操作者に通知するための画面である。
【0143】
S300の後、処理は、図3に示すS125に進む。その結果、現金入出金機1は、図3に示すように、売上金の回収金としての現金の回収(すなわち、リサイクルカセット14,15,16又は出金ホッパ24から回収庫17,27への移動)を実行する(S125)。
【0144】
現金入出金機1は、売上金の回収金としての現金の回収を開始すると、現金の回収動作を監視し、紙幣エンドの障害が発生したか否かを判定する(S130)。
S130の判定で、紙幣エンドの障害が発生したと判定された場合(“Yes”の場合)に、現金入出金機1は、紙幣エンド障害画面SC12(図8A参照)を表示する(S131)。
【0145】
紙幣エンド障害画面SC12(図8A参照)は、装置内部の有高が不足していることを操作者に通知するための画面である。紙幣エンド障害画面SC12は、メニュー画面SC1と同様に、その基となる画像データが画面データ52として記憶部3(図2参照)に格納されている。現金入出金機1は、取引実行部2g(図2参照)が、記憶部3から画像データを読み出して、画像データに基づいて紙幣エンド障害画面SC12を作成する。図8Aに示す例では、紙幣エンド障害画面SC12は、装置内部の有高が不足していることを操作者に通知するメッセージ、及び、「復旧」ボタンを含む構成になっている。「復旧」ボタンは、現金入出金機1に復旧処理の実行を指示するためのボタンである。
【0146】
S131の後、現金入出金機1は、操作者が紙幣エンド障害画面SC12の内容を確認して復旧ボタンを押下すると、その操作を検知し(S132)、復旧中画面SC13(図8B参照)を操作表示部5に表示して(S133)、復旧処理を実行する(S134)。
【0147】
復旧中画面SC13(図8B参照)は、復旧処理中であることを操作者に通知するための画面である。復旧中画面SC13は、メニュー画面SC1と同様に、その基となる画像データが画面データ52として記憶部3(図2参照)に格納されている。現金入出金機1は、取引実行部2g(図2参照)が、記憶部3から画像データを読み出して、画像データに基づいて復旧中画面SC13を作成する。
【0148】
現金入出金機1は、復旧処理を実行している間、復旧中画面SC13を操作表示部5に表示する。復旧処理が完了すると、処理は、S110に戻る。その結果、現金入出金機1は、メニュー画面SC1(図6参照)を操作表示部5に表示する。そして、現金入出金機1は、S110以降の処理を再度実行する。
【0149】
一方、S130の判定で、紙幣エンドの障害が発生していないと判定された場合(“No”の場合)に、現金入出金機1は、売上金を装置から抜き取るための操作の誘導(以下、「売上金抜取操作誘導」と称する)処理を実行する(S140)。S140の「売上金抜取操作誘導」処理は、現金入出金機1が、例えば、図9A図9Fに示す画面SC14〜SC19を、操作者の売上金抜取操作誘導を誘導する画面として操作表示部5に表示することによって、行われる。
【0150】
なお、図9A図9Fに示す画面SC14〜SC19は、それぞれ、メニュー画面SC1と同様に、その基となる画像データが画面データ52として記憶部3(図2参照)に格納されている。現金入出金機1は、取引実行部2g(図2参照)が、記憶部3から画像データを読み出して、画像データに基づいて各画面SC14〜SC19を作成する。
【0151】
図5は、S140の「売上金抜取操作誘導」処理の詳細を示している。
図5に示すように、S140の「売上金抜取操作誘導」処理では、現金入出金機1は、まず、硬貨部フロント扉開放誘導画面SC14(図9A参照)を操作表示部5(図1参照)に表示する(S305)。
【0152】
硬貨部フロント扉開放誘導画面SC14(図9A参照)は、硬貨部フロント扉9bの開放を操作者に要請する画面である。操作者は、硬貨部フロント扉開放誘導画面SC14に従って、扉9bを開放する。
【0153】
現金入出金機1は、常に、扉9bの開放及び閉鎖を監視している。現金入出金機1は、操作者が扉9bを開放すると、扉9bの開放を検知し(S310)、硬貨回収庫抜取誘導画面SC15(図9B参照)を操作表示部5に表示する(S315)。
【0154】
硬貨回収庫抜取誘導画面SC15(図9B参照)は、硬貨回収庫27を装置から脱着することを操作者に要請する画面である。操作者は、硬貨回収庫抜取誘導画面SC15に従って、硬貨回収庫27を装置から脱着する。そして、操作者は、例えば、売上金としての硬貨を硬貨回収庫27から袋に詰めかえることにより、売上金としての硬貨を回収し、さらに、空になった硬貨回収庫27を装置に装着する。
【0155】
現金入出金機1は、常に、硬貨回収庫27の装置からの脱着及び装置への装着を監視している。現金入出金機1は、操作者が硬貨回収庫27を装置に装着すると、硬貨回収庫27の装着を検知し、これにより、売上金としての硬貨の装置からの抜き取りが完了したことを検知する(S320)。この後、現金入出金機1は、硬貨部フロント扉閉鎖誘導画面SC16(図9C参照)を操作表示部5に表示する(S325)。
【0156】
硬貨部フロント扉閉鎖誘導画面SC16(図9C参照)は、硬貨部フロント扉9bの閉鎖を操作者に要請する画面である。操作者は、硬貨部フロント扉閉鎖誘導画面SC16に従って、扉9bを閉鎖する。
【0157】
現金入出金機1は、操作者が扉9bを閉鎖すると、扉9bの閉鎖を検知する(S330)。この後、紙幣部フロント扉開放誘導画面SC17(図9D参照)を操作表示部5に表示する(S335)。
【0158】
紙幣部フロント扉開放誘導画面SC17(図9D参照)は、紙幣部フロント扉9aの開放を操作者に要請する画面である。操作者は、紙幣部フロント扉開放誘導画面SC17に従って、扉9aを開放する。
【0159】
現金入出金機1は、常に、扉9aの開放及び閉鎖を監視している。現金入出金機1は、操作者が扉9aを開放すると、扉9aの開放を検知し(S340)、売上回収カセット抜取誘導画面SC18(図9E参照)を操作表示部5に表示する(S345)。
【0160】
売上回収カセット抜取誘導画面SC18(図9E参照)は、売上回収カセット17を装置から脱着することを操作者に要請する画面である。操作者は、売上回収カセット抜取誘導画面SC18に従って、売上回収カセット17を装置から脱着することにより、売上金としての紙幣を回収し、代わりに、空の売上回収カセット17を装置に装着する。
【0161】
現金入出金機1は、常に、売上回収カセット17の装置からの脱着及び装置への装着を監視している。現金入出金機1は、操作者が売上回収カセット17を装置に装着すると、売上回収カセット17の装着を検知し、これにより、売上金としての紙幣の装置からの抜き取りが完了したことを検知する(S350)。この後、現金入出金機1は、紙幣部フロント扉閉鎖誘導画面SC19(図9F参照)を操作表示部5に表示する(S325)。
【0162】
紙幣部フロント扉閉鎖誘導画面SC19(図9F参照)は、紙幣部フロント扉9aの閉鎖を操作者に要請する画面である。操作者は、紙幣部フロント扉閉鎖誘導画面SC19に従って、扉9aを閉鎖する。
【0163】
現金入出金機1は、操作者が扉9aを閉鎖すると、扉9aの閉鎖を検知する(S360)。この後、現金入出金機1は、復旧中画面SC13(図8B参照)を操作表示部5に表示して(S365)、復旧処理を実行する(S370)。
【0164】
S370の後、処理は、図3に示すS145に進む。その結果、現金入出金機1は、図3に示すように、メニュー画面SC1(図6参照)を操作表示部5に表示する(S145)。これにより、図3に示す一連のルーチンの動作が終了する。
【0165】
このような現金入出金機1は、売上金回収取引時に、操作者が売上移動金額(すなわち、売上金としてリサイクルカセット14,15,16又は出金ホッパ24から回収庫17,27に移動させる現金の金額)を金種毎に自由に指定することができる。そのため、現金入出金機1は、優先順位の低い金種の現金が、回収庫17,27に移動されずに、装置の内部に大量に溜まるのを抑制することができる。
【0166】
これにより、現金入出金機1は、復旧処理を行う頻度を低減させることができる。そのため、現金入出金機1は、煩わしい手間がかかる頻度を低減させることができるとともに、復旧処理及び2回目の売上回収取引を行うための時間を低減させることができる。その結果、現金入出金機1は、操作者の負担を軽減することができ、また、時間のロスが発生しないため、作業効率を向上させることができる。
【0167】
なお、現金入出金機1は、売上移動枚数入力画面SC9(図7H参照)で売上移動枚数を入力する場合に、金種毎に装置内有高の全額が移動しないように、売上移動金額の金種別枚数に対して、任意のマージンを持たせて設定することができる。例えば、図7Hは、一万円券の装置内有高が190枚のところ、売上移動金額に対するマージンを10枚とし、売上移動枚数を180枚に設定する例を示している。
【0168】
現金入出金機1は、このように、売上移動枚数入力画面SC9(図7H参照)で売上移動枚数を入力する場合に、売上移動金額の金種別枚数に対して、任意のマージンを持たせて設定することにより、仮に、売上回収取引で、数枚のリジェクトされた現金が発生した場合であっても、紙幣エンドの障害が発生した状態になって、回収予定枚数が回収できなくなるのを抑制することができる。
【0169】
なお、売上移動枚数に対するマージンは、任意の値に適宜設定することができる。例えば、一万円券の装置内有高が190万円となっている図7Hに示す例で、190万円分の現金を移動させたい場合に、操作者は、一万円券の売上移動枚数に対するマージンを10枚とし、移動金額が190万円になるように、一万円券の売上移動枚数を180枚に設定し、その代わりに、五千円券の売上移動枚数を20枚に設定することができる。
【0170】
以上の通り、本実施形態1に係る現金入出金機1によれば、売上金回収取引時に、操作者が売上移動金額(すなわち、売上金としてリサイクルカセット14,15,16又は出金ホッパ24から回収庫17,27に移動させる現金の金額)を金種毎に自由に指定することができる。そのため、現金入出金機1によれば、優先順位の低い金種の現金が、回収庫17,27に移動されずに、装置の内部に大量に溜まるのを抑制することができる。その結果、現金入出金機1Bによれば、操作者の負担を軽減することができ、また、時間のロスが発生しないため、作業効率を向上させることができる。さらに、現金入出金機1Bによれば、装置が異常となったという誤解を防ぐことができる。
【0171】
[実施形態2]
実施形態1に係る現金入出金機1は、売上移動枚数入力画面SC9(図7H参照)で、売上移動枚数として、リサイクルカセット14,15,16のいずれかに収納された現金の全枚数を入力した場合に、1枚でもリジェクトされた現金が発生すると、紙幣エンドの障害が発生した状態になって、回収予定枚数が回収できなくなる。特に、一万円券等は、釣銭として使用しないため、全てを売上金として回収したい場合がある。そのため、実施形態1に係る現金入出金機1は、装置が障害の発生した状態になる可能性がある。
【0172】
そこで、実施形態1に係る現金入出金機1は、売上移動枚数入力画面SC9(図7H参照)で売上移動枚数を入力する場合に、金種毎に装置内有高の全額が移動しないように、売上移動金額の金種別枚数に対して、任意のマージンを持たせて設定することができる構成になっている。そして、実施形態1に係る現金入出金機1は、売上移動金額の金種別枚数に対して任意のマージンを持たせて設定することにより、仮に、売上回収取引で、数枚のリジェクトされた現金が発生した場合であっても、紙幣エンドの障害が発生した状態になって、回収予定枚数が回収できなくなるのを抑制している。
【0173】
しかしながら、実施形態1に係る現金入出金機1は、仮に、売上回収取引で、リジェクトされた現金が売上移動金額の金種別枚数に対して設定されたマージンを超えて発生した場合に、紙幣エンドの障害が発生する。
【0174】
これに対して、本実施形態2は、仮に、売上回収取引で、リジェクトされた現金が売上移動金額の金種別枚数に対して設定されたマージンを超えて発生した場合であっても、その状態を紙幣エンドの障害が発生した状態として処理せずに、不足金額分を継続して回収することができる現金入出金機1B(図示せず)を提供するものである。
【0175】
例えば、現金入出金機1Bは、仮に、売上回収取引で、リジェクトされた現金が売上移動金額の金種別枚数に対して設定されたマージンを超えて発生した場合に、売上回収が完了しない旨のメッセージ画面(例えば、図12に示す紙幣エンドワーニング画面SC20)を操作表示部5に表示し、その後に、画面の表示を、売上移動金額の金種別枚数を入力させるための画面(例えば、図13Aに示す売上移動枚数入力画面SC9)に遷移させて、再度、売上移動金額の金種別枚数を入力させる。これにより、現金入出金機1Bは、同一の売上回収取引内で、売上移動金額の不足金額分を回収して、売上金の回収を完了させる。
【0176】
以下、図10、並びに、図11A及び図11Bを参照して、本実施形態2に係る現金入出金機1B(図示せず)の動作について、実施形態1に係る現金入出金機1と相違する動作を重点的に説明し、実施形態1に係る現金入出金機1と同様の動作(図3、並びに、図4A及び図4B参照)については、前記した実施形態1に係る現金入出金機1の動作を本実施形態2に係る現金入出金機1Bの動作に読み替えるものとして、詳細な説明を省略する。
【0177】
図10、並びに、図11A及び図11Bに示すように、本実施形態2に係る現金入出金機1B(図示せず)の動作は、実施形態1に係る現金入出金機1の動作(図3、並びに、図4A及び図4B参照)と比較すると、実施形態1に係る現金入出金機1が、図3に示すS131〜S134の処理を行い、その後に、S110以降の処理を行っているのに対し、図10に示すS131b及びS132bの処理を行い、その後に、図11Bに示すS280以降の処理を行う点で、相違している。
【0178】
なお、図11A及び図11Bに示す本実施形態2に係る処理は、図4A及び図4Bに示す実施形態1に係る処理と同じものであり、図3又は図10に示すS120の処理(「売上金回収操作誘導」処理)のサブルーチンを表している。
【0179】
具体的には、本実施形態2に係る現金入出金機1B(図示せず)は、図10に示すように、S130の判定で、紙幣エンドの障害が発生したと判定された場合(“Yes”の場合)に、紙幣エンドワーニング画面SC20(図12参照)を表示する(S131a)。
【0180】
紙幣エンドワーニング画面SC20(図12参照)は、回収予定枚数(すなわち、売上移動金額として指定された金額に相当する枚数)に対して、リサイクルカセット14,15,16及び出金ホッパ24に収納された現金の枚数が不足していることを操作者に通知するための画面である。図12に示す例では、紙幣エンドワーニング画面SC20は、現金の枚数が不足していることを操作者に通知するメッセージ、及び、「確認」ボタンを含む構成になっている。
【0181】
S131aの後、現金入出金機1Bは、操作者が紙幣エンドワーニング画面SC20の内容を確認して確認ボタンを押下すると、その操作を検知する(S132b)。この後、処理は、「B1」を介して、図11Bに示すS280に戻る。その結果、現金入出金機1Bは、S280以降の処理を再度実行する。
【0182】
その際に、現金入出金機1Bは、S280の処理(「売上移動枚数入力画面表示」処理)の実行で、例えば、図13Aに示す売上移動枚数入力画面SC9bを操作表示部5に表示する。また、現金入出金機1Bは、S290の処理(「回収金種別枚数確認画面表示」処理)の実行で、例えば、図13Bに示す回収金種別枚数確認画面SC10bを操作表示部5に表示する。
【0183】
売上移動枚数入力画面SC9b(図13A参照)は、図7Hに示す売上移動枚数入力画面SC9に対し、売上移動枚数の不足金額分を表す情報を反映させた画面である。ここで、「売上移動枚数の不足金額」とは、図10に示すS125の処理(「売上金回収(移動)実行」処理)でリジェクトされた現金の金額を意味している。図13Aは、不足金額として「20,000円」が「移動額」の表示欄に表示されており、その不足金額に対して、売上移動枚数として五千円券で4枚を指定した例を示している。
回収金種別枚数確認画面SC10b(図13B参照)は、売上移動枚数入力画面SC9bで指定された回収金種別枚数の確認を操作者に要請する画面である。
【0184】
例えば、現金入出金機1Bは、売上回収取引時に、図6及び図7A図7Jに示す画面SC1〜SC11まで、実施形態1に係る現金入出金機1と同様に、画面の表示を遷移させる。しかしながら、現金入出金機1Bは、仮に、リジェクトされた現金が売上移動金額の金種別枚数に対して設定されたマージンを超えて発生した場合に、図8Aに示す紙幣エンド障害画面SC12を表示せずに、図12に示す紙幣エンドワーニング画面SC20を表示する。
【0185】
そして、現金入出金機1Bは、操作者が紙幣エンドワーニング画面SC20の内容を確認して確認ボタンを押下すると、S280の処理(「売上移動枚数入力画面表示」処理)を実行する。その際に、現金入出金機1Bは、売上移動枚数入力画面SC9b(図13A参照)を操作表示部5に表示する。操作者は、売上移動枚数入力画面SC9bの内容を確認して、売上移動枚数入力画面SC9bで、不足金額分に相当する売上移動枚数として、リジェクトされた現金以外の他金種の現金の枚数(以下、単に「不足金額分に相当する枚数」と称する)を入力する。
【0186】
この後、現金入出金機1Bは、操作者が売上移動枚数入力画面SC9bで不足金額分に相当する枚数を入力すると、S290の処理(「回収金種別枚数確認画面表示」処理)を実行する。その際に、現金入出金機1Bは、回収金種別枚数確認画面SC10b(図13B参照)を操作表示部5に表示する。
【0187】
このような現金入出金機1Bは、仮に、売上回収取引で、数枚のリジェクトされた現金が発生した場合であっても、その状態を紙幣エンドの障害が発生した状態として処理せずに、不足金額分を継続して回収することができる。そのため、現金入出金機1Bは、同一の売上回収取引内で、売上移動金額の不足金額分を回収して、売上金の回収を完了させることができる。
【0188】
これにより、現金入出金機1Bは、復旧処理を行う頻度を低減させることができる。そのため、現金入出金機1Bは、煩わしい手間がかかる頻度を低減させることができるとともに、復旧処理及び2回目の売上回収取引を行うための時間を低減させることができる。その結果、現金入出金機1Bは、操作者の負担を軽減することができ、また、時間のロスが発生しないため、作業効率を向上させることができる。
【0189】
また、現金入出金機1Bは、紙幣エンドの障害が発生する頻度を抑制することができるため、ハードウェアが故障してないのに、あたかも装置が故障又は誤動作したかのような誤解を操作者に与えるのを回避することができる。
【0190】
以上の通り、本実施形態2に係る現金入出金機1B(図示せず)によれば、実施形態1に係る現金入出金機1と同様に、優先順位の低い金種の現金が、回収庫17,27に移動されずに、装置の内部に大量に溜まるのを抑制することができる。その結果、現金入出金機1Bによれば、操作者の負担を軽減することができ、また、時間のロスが発生しないため、作業効率を向上させることができる。さらに、現金入出金機1Bによれば、装置が異常となったという誤解を防ぐことができる。
【0191】
しかも、本実施形態2に係る現金入出金機1Bによれば、実施形態1に係る現金入出金機1に比べて、仮に、売上回収取引で、数枚のリジェクトされた現金が発生した場合であっても、その状態を紙幣エンドの障害が発生した状態として処理せずに、不足金額分を継続して回収することができる。そのため、現金入出金機1Bによれば、同一の売上回収取引内で、売上移動金額の不足金額分を回収して、売上金の回収を完了させることができる。
【0192】
本発明は、前記した実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更や変形を行うことができる。
例えば、現金入出金機1は、他の装置と組み合わせることによって、商用施設等で使用されている、釣銭や売上金を管理する現金管理システムに適用可能である。
また、例えば、売上回収カセット17は、紙幣だけでなく、売上金としての硬貨を収納する構成にしてもよい。
また、例えば、図13Aに示す売上移動枚数入力画面SC9では、リジェクトされた紙幣の枚数や、既に売上回収カセット17に移動された紙幣の枚数等が表示されていない。しかしながら、現金入出金機1は、運用に応じて、これらの枚数を表示するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0193】
1 現金入出金機
2 制御部
2a 主制御部
2b 搬送・鑑別制御部
2c 入力制御部
2d 表示制御部
2e 通信制御部
2f 有高管理部
2g 取引実行部
2h 復旧実行部
2i 扉監視部
2j 抜取監視部
3 記憶部
4 カードリーダ部
5 操作表示部
6 搬送部
7 通信部
8a 紙幣部
8b 硬貨部
9a 紙幣部フロント扉
9b 硬貨部フロント扉
11 紙幣投入口
12 紙幣一時保留部
13 紙幣鑑別部
14 万円券カセット
15 五千円券カセット
16 千円券カセット
17 売上回収カセット
18 リジェクト部
21 硬貨投入口
22 硬貨一時保留部
23 硬貨鑑別部
24 出金ホッパ
25 硬貨出金箱
27 硬貨回収庫
28 硬貨返却箱
51 制御プログラム
52 画面データ
53 有高データ
54 売上データ

図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図7G
図7H
図7I
図7J
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図10
図11A
図11B
図12
図13A
図13B