(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記判断部は、前記検出部による検出が、新たな印刷ジョブに基づき印刷された新たな印刷物の排出または自動原稿搬送装置により新たに読み取りが行われた新たな原稿の排出によるものであるか判断し、新たな印刷物の排出または新たな原稿の排出である場合には異常と判断せず、新たな印刷物の排出または新たな原稿の排出ではない場合に異常と判断する請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
前記検出部は、前記排出部の上部に取り付けられ、下方に前記印刷物または前記原稿の端部が通過したことを検出する請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
前記検出部は、前記排出部において前記印刷物または前記原稿をユーザーが前記排出部から取り出す方向に沿って、二つ取り付けられる請求項1〜7のいずれか一項に記載の画像形成装置。
前記検出部は、前記排出部において、前記印刷物または前記原稿が排出されて積載される部分および積載されない部分に一か所ずつ取り付けられる請求項8に記載の画像形成装置。
印刷ジョブに基づき印刷された印刷物または自動原稿搬送装置により読み取りが行われた原稿を排出する排出部において、前記印刷物または前記原稿を検出する検出ステップと、
前記検出ステップによる検出に基づいて、前記印刷物または前記原稿が前記排出部から取り出されてから当該排出部に戻されるまでの時間を計測する計測ステップと、
前記計測ステップにより計測された時間を基準時間と比較して、異常を判断する判断ステップと、
をコンピューターに実行させる異常検知プログラム。
前記判断ステップが異常と判断した場合に、異常の発生をログとして記録するログ記録ステップをさらに有する請求項10または請求項11に記載の異常検知プログラム。
前記判断ステップは、前記検出ステップによる検出が、新たな印刷ジョブに基づき印刷された新たな印刷物の排出または自動原稿搬送装置により新たに読み取りが行われた新たな原稿の排出によるものであるか判断し、新たな印刷物の排出または新たな原稿の排出である場合には異常と判断せず、新たな印刷物の排出または新たな原稿の排出ではない場合に異常と判断する請求項10〜12のいずれか一項に記載の異常検知プログラム。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0024】
<第1実施形態>
第1実施形態にかかるMFP100の構成について説明する。
【0025】
図1は、本発明の一実施形態にかかるMFPの概略構成を示す斜視図であり、
図2は、
図1に示されるMFPの概略構成を示すブロック図である。
【0026】
図1および
図2に示すように、MFP100は、制御部110、操作パネル部120、給紙部130、印刷部140、画像読取部150、排出部160および検出部170を備えている。制御部110、操作パネル部120、給紙部130、印刷部140、画像読取部150および検出部170は、信号をやり取りするためのバス180を介して相互に接続されている。
【0027】
制御部110は、CPU(Central Processing Unit)111、ROM(Read Only Memory)112、RAM(Random Access Memory)113、ハードディスク114およびネットワークインターフェース115を有する。
【0028】
CPU111は、プログラムにしたがって上記各部の制御や各種の演算処理を行う。ROM112は、各種プログラムや各種データを格納する。RAM113は、作業領域として一時的にプログラムやデータを記憶する。ハードディスク114は、MFP100の基本動作を制御する各種プログラムや各種データを格納する。また、ROM112やハードディスク114には、本発明にかかる異常検知処理を実行するためのプログラムが格納されている。
【0029】
ネットワークインターフェース115は、ネットワークを介して他の機器と通信するためのインターフェースであり、IPv4、IPv6、イーサネット(登録商標)、トークンリング、FDDI(Fiber Distributed Data Interface)等の規格が用いられる。
【0030】
操作パネル部120は、タッチパネル、テンキー、スタートボタン、およびストップボタン等の要素を備えており、各種情報の表示および各種指示の入力に使用される。
【0031】
給紙部130は、画像が形成される用紙を収容する。給紙部130は、複数の給紙トレイを有しており、収容された用紙を1枚ずつ印刷部140に送り出す。複数の給紙トレイには、異なるサイズまたは異なる向きの用紙がそれぞれ収容されている。
【0032】
印刷部140は、印刷ジョブに基づく制御部110の指示に従い、電子写真式プロセス等の周知の作像プロセスを用いて、用紙上に画像を形成(印刷)する。印刷部140は、画像の形成(印刷)が完了した用紙を排出部160(胴内排紙部Da)に排出する。
【0033】
画像読取部150は、自動原稿搬送装置(ADF:Auto Document Feeder)と原稿読取装置とを備えており、ADFにより搬送された原稿は、原稿読取装置によりスキャンされる。スキャンが完了した原稿は排出部160(ADF原稿排出部Db)に排出される。
【0034】
排出部160は、印刷ジョブに基づき印刷された印刷物が排出される胴内排紙部Daと、画像読取部150によりスキャンされた原稿が排出されるADF原稿排出部Dbと、を含む。
【0035】
検出部170は、印刷物の存在を検出する。検出部170の詳細な態様について説明する。
【0036】
図3は、排出部の下部に検出部を一つ有するMFPの概略構成を示す正面図である。
【0037】
第1実施形態では、MFP100は、排出部160の下部に検出部170を有する。検出部170は、印刷物P1の存在を検出するセンサーである。本実施形態において検出部170は、たとえば反射型光センサーである。検出部170は、
図3にセンサーSa1として示されるように、印刷ジョブに基づき印刷された印刷物P1が排出される胴内排紙部Daに取り付けられる。センサーSa1は、排出された印刷物P1が積載される場所の下部に取り付けられ、上方に印刷物P1が存在する場合には、「ON」を示し、上方に印刷物P1が存在しない場合には、「OFF」を示す。センサーSa1は、制御部110から確認の指示を受けた場合、当該時点でセンサーSa1が示す「ON」または「OFF」のいずれかを制御部110に応答する。
【0038】
なお、MFP100は、上記構成要素以外の構成要素を含んでいてもよく、あるいは、上記構成要素のうちの一部が含まれていなくてもよい。
【0039】
以上のとおり構成される本実施形態のMFP100では、印刷物P1が排出部160から取り出されてから所定時間の経過後に排出部160へ戻されたことを、異常として検知する。
【0040】
図4は、
図3のMFPにより実行される異常検知処理の流れを示すフローチャートである。
図4のフローチャートに示されるアルゴリズムは、MFP100のROM112またはハードディスク114にプログラムとして記憶されており、CPU111により実行される。
【0041】
以下、
図4を参照して、MFP100の動作について説明する。
【0042】
異常検知処理の実行に先立って、MFP100においてユーザーの指示により印刷ジョブに基づく印刷が行われ、排出部160に印刷物P1が積載される。排出部160に印刷物P1が積載されているため、センサーSa1は「ON」を示している。
【0043】
まず、MFP100において、所定時間Tの初期値の設定が受け付けられる(ステップS101)。所定時間Tは、本異常検知処理において、取り間違えた印刷物P1が排出部160に戻されたのか、故意に取り出された印刷物P1が使用された後で戻されたかを判断するために使用されるパラメーターである。
【0044】
所定時間Tの初期値の設定は、たとえばMFPの管理者などがMFPの操作パネル部120に入力することにより実行される。ここで、所定時間Tは、ユーザーが誤って取り出した印刷物P1を確認し、自分のものではないと判断して排出部160に戻すまでの時間の想定値であり、たとえば10〜20秒程度である。一度設定された所定時間Tの初期値は、RAM113またはハードディスク114に記憶され、管理者などにより変更されない限り、次回以降の異常検知処理においても継続して使用される。
【0045】
続いて、CPU111は、センサーSa1の出力を確認し、「OFF」になったか判断する(ステップS102)。上述のとおり、初期状態ではセンサーSa1は「ON」である。センサーSa1が初期状態から変わらず「ON」のままである場合(ステップS102:NO)、CPU111は、センサーSa1が「OFF」に切り替わるまでセンサーSa1の出力を監視する。センサーSa1が「ON」から「OFF」に切り替わった場合(ステップS102:YES)、CPU111は、印刷物P1が排出部160から取り出されたと判断する。CPU111は、計測部として、印刷物P1が排出部160から取り出された時点からの経過時間のタイマー計測を開始する(ステップS103)。
【0046】
次に、CPU111は、再びセンサーSa1の出力を確認し、「OFF」になったか判断する(ステップS104)。上述のとおり、ステップS102において印刷物P1が取り出されているため、ステップS102の処理を終了した時点では、センサーSa1は「OFF」である。ステップS104の処理を開始した時点でも、センサーSa1が「OFF」のままである場合(ステップS104:NO)、CPU111は、センサーSa1が「ON」になるまでセンサーSa1の出力を監視する。
【0047】
センサーSa1が「OFF」から「ON」に切り替わった場合(ステップS104:YES)、すなわち、センサーSa1が印刷物P1の投入を検出した場合、CPU111は、ステップS105の処理に進む。CPU111は、計測部として、ステップS103において経過時間のタイマー計測を開始した時点から、センサーSa1が印刷物P1の投入を検出した時点までの経過時間を確認し、RAM113またはハードディスク114に記録する。CPU111は、上記で記録した経過時間と、初期値として設定された所定時間Tとを比較し、経過時間が所定時間T以内であるか否かを判断する(ステップS105)。
【0048】
経過時間が所定時間T以内である場合(ステップS105:YES)、CPU111は、ユーザーが印刷物P1を取り間違えて、所定時間T以内に戻したことによりセンサーSa1が投入を検出したものとして、異常ではないと判断する。この場合、CPU111は、経過時間を計測するタイマーをリセットし(ステップS108)、異常検知処理を終了してステップS102の処理に戻る。
【0049】
経過時間が所定時間T以内でない場合(ステップS105:NO)、CPU111は、ステップS106の処理に進む。
【0050】
CPU111は、新たな印刷ジョブに基づく新たな印刷物P1の出力があったか否かを判断する(ステップS106)。ここで、CPU111は、MFPの各種機能の実行状態やログなどを確認する。
【0051】
新たな印刷物P1の出力があった場合(ステップS106:YES)、CPU111は、センサーSa1による検出が新たな印刷物P1の出力に起因するものとして、異常ではないと判断する。CPU111は、経過時間を計測するタイマーをリセットし(ステップS108)、異常検知処理を終了してステップS102の処理に戻る。
【0052】
新たな印刷物P1の出力がなかった場合(ステップS106:NO)、CPU111は、センサーSa1による検出がユーザーの取り間違えによるものでも、新たな印刷物P1の出力によるものでもないため、異常として判断する。
【0053】
異常として判断した場合、CPU111は、異常を検知したことをユーザーに知らせるために、操作パネル部120にメッセージや画像を表示したり、操作パネル部120から音声メッセージやアラーム音を発したりすることなどにより警告を行う(ステップS107)。また、CPU111は、異常を検知したことをRAM113またはハードディスク114にログとして記録してもよい。さらに、CPU111は、異常を検知した場合、MFP100に備え付けられたカメラにより、周囲の画像を撮影してもよい。CPU111は、経過時間を計測するタイマーをリセットし(ステップS108)、ステップS102の処理に戻る。
【0054】
以上のように、第1実施形態のMFP100によれば、検出部170による検出に基づいて、印刷物P1が排出部160から取り出されてから当該排出部160に戻されるまでの時間を計測し、計測した時間を所定時間Tと比較して異常を判断する。MFP100は、印刷物P1が所定時間T以内で戻された場合、単に取り間違えた印刷物P1が戻されたと想定して、異常と判断しない。したがって、ユーザーに対する不要な異常警告等を回避できる。一方で、所定時間T経過後に印刷物P1が戻された場合、MFP100は、印刷物P1が故意に取り出されて使用された後に戻されたと想定し、異常と判断できる。異常の判断結果に基づいて異常警告、ログ記録、異常判断時の周辺の撮影画像等を出力することにより、印刷物P1がユーザーに盗み見されたり、不正に複写等されたりする不正使用の抑止につなげることができる。
【0055】
MFP100は、異常と判断した場合に、操作パネル部120にメッセージや画像を表示したり、操作パネル部120から警告音や音声メッセージを発したりすることなどによりユーザーに警告する。したがって、該当するユーザーだけでなく他のユーザーにも警告が分かり、印刷物P1の不正使用を抑止できる。
【0056】
また、MFP100は、異常と判断した場合に、異常の発生をログとしてRAM113またはハードディスク114に記録する。これにより、管理者などが異常の発生状況を把握し、必要に応じて監視の強化や警告の実施などの対策を講じることができる。したがって、印刷物P1の不正使用を抑止できる。
【0057】
検出部170は、用紙残留の検知にも使用される反射型光センサーを使用できる。したがって、既にそのようなセンサーを備えているMFP100は、新たなセンサーを取り付けることなく、プログラムを追加するだけで本異常検知処理を実行できる。
【0058】
また、MFP100は、検出部170によりセンサーの「ON」を検出した場合でも、当該検出が印刷ジョブに基づく新たな印刷物P1の排出かを判断する。したがって、検出部170が正常な印刷物P1の排出を検出した場合には、異常警告等を行うことがない。
【0059】
また、MFP100は、異常と判断した場合に、MFP100に備え付けられたカメラにより、周囲の画像を撮影する。これにより、異常が発生した際にMFP近くにいたユーザーを特定できる。異常判断時の撮影を周知することにより、印刷物P1の不正使用を抑止できる。
【0060】
検出部170が排出部160の下部に一つ設けられているので、簡単な構成により、印刷物P1の不正使用等の異常を検知できる。
【0061】
なお、上記において、検出部170は、胴内排紙部DaのセンサーSa1として説明したが、
図3に示されるADF原稿排出部Dbに取り付けられたセンサーSb1としてもよい。この場合、検出する対象が、印刷ジョブに基づき印刷された印刷物P1から、画像読取部150により読み取られた原稿C1に置き換えられる。また、排出部160が、胴内排紙部Daから、ADF原稿排出部Dbに置き換えられる。さらに、ステップS106において、CPU111は、新たな印刷ジョブに基づく新たな印刷物P1の出力の有無を確認するかわりに、新たに画像読取部150によって読み取られた新たな原稿C1の排出の有無を確認して、異常の有無を判断する。
【0062】
この場合、MFP100は、画像読取部150により読み取られてADF原稿排出部Dbに排出された原稿C1が、故意に取り出されて使用された後に戻されたと想定されるシーンを特定して異常を判断でき、原稿C1の不正使用を抑止できる。
【0063】
<第2実施形態>
図5は、排出部の下部に検出部を二つ有するMFPの概略構成を示す正面図である。
【0064】
以下においては、第1実施形態と重複する部分の説明は省略し、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0065】
図5に示されるMFP100aおよびMFP100bの構成は、
図1〜3に示されるMFP100の構成と、検出部170の構成のみが異なり、それ以外の構成は同様である。
【0066】
図5に示されるように、MFP100aおよびMFP100bは、検出部170として、排出部160(胴内排紙部Da)の下部にセンサーSa1とセンサーSa2とを有する。
【0067】
センサーSa1は、第1実施形態と同様に、排出された印刷物P1が積載される場所の下部に取り付けられる。
【0068】
センサーSa2は、MFP100aのように、印刷物P1が積載される場所の下部に取り付けられてもよく、また、MFP100bのように、印刷物P1が積載されない場所の下部に取り付けられてもよい。
【0069】
MFP100aとMFP100bのいずれにおいても、センサーSa1とセンサーSa2は、ユーザーが通常印刷物P1を取り出す方向に沿って取り付けられる。また、センサーSa1とセンサーSa2の動作は、第1実施形態におけるセンサーSa1と同様であり、それぞれ上方に印刷物P1が存在する場合には、「ON」を示し、上方に印刷物P1が存在しない場合には、「OFF」を示す。
【0070】
以上のとおり構成される本実施形態のMFP100aおよびMFP100bでは、印刷物P1が排出部160から取り出されてから所定時間の経過後に排出部160へ戻されたことを、異常として検知する。
【0071】
図6は、
図5のMFPにより実行される異常検知処理の流れを示すフローチャートである。
図6のフローチャートに示されるアルゴリズムは、MFP100aおよびMFP100bのROM112またはハードディスク114にプログラムとして記憶されており、CPU111により実行される。
【0072】
以下、
図6を参照して、第2実施形態にかかるMFP100aおよびMFP100bの動作について説明する。ここでは、MFP100aの動作を中心に説明し、MFP100bについては、MFP100aと動作が異なる部分のみ説明する。
【0073】
第1実施形態と同様に、異常検知処理の実行に先立って、MFP100aにおいてユーザーの指示により印刷ジョブに基づく印刷が行われ、排出部160に印刷物P1が積載される。排出部160に印刷物P1が積載されており、センサーSa1およびセンサーSa2は、両方とも上方に印刷物P1が存在するため、ともに「ON」を示す。一方、MFP100bにおいては、センサーSa1は、上方に印刷物P1が存在するため、「ON」を示し、センサーSa2は、上方に印刷物P1が存在しないため、「OFF」を示す。
【0074】
まず、第1実施形態と同様に、MFP100aにおいて、所定時間Tの初期値の設定が受け付けられる(ステップS201)。所定時間Tの設定方法や使用方法については、第1実施形態のステップS101と同様である。
【0075】
続いて、CPU111は、センサーSa1の出力を確認し、「OFF」になったか判断する(ステップS202)。上述のとおり、初期状態ではセンサーSa1は「ON」である。センサーSa1が初期状態から変わらず「ON」のままである場合(ステップS202:NO)、CPU111は、センサーSa1が「OFF」に切り替わるまでセンサーSa1の出力を監視する。センサーSa1が「ON」から「OFF」に切り替わった場合(ステップS202:YES)、CPU111は、印刷物P1が排出部160から途中まで取り出されたと判断し、ステップS203の処理に進む。
【0076】
次に、CPU111は、センサーSa2の出力を確認し、「OFF」になったか判断する(ステップS203)。
【0077】
MFP100aにおいては、初期状態ではセンサーSa2は「ON」である。センサーSa2が初期状態から変わらず「ON」のままである場合(ステップS203:NO)、CPU111は、ステップS204の処理に進む。次に、CPU111は、再びセンサーSa1の出力を確認し、「ON」になったか判断する(ステップS204)。上述のとおり、ステップS202の処理を終了した時点では、センサーSa1は「OFF」である。センサーSa1が「OFF」から「ON」に切り替わった場合(ステップS204:YES)、CPU111は、途中まで取り出された印刷物P1が排出部160へ戻されたと判断し、ステップS202の処理に戻る。センサーSa1が「OFF」のままである場合(ステップS204:NO)、CPU111は、ステップS203の処理に戻る。センサーSa2が「ON」から「OFF」に切り替わった場合(ステップS203:YES)、CPU111は、印刷物P1が排出部160から完全に取り出されたと判断する。
【0078】
一方、MFP100bにおいては、初期状態ではセンサーSa2は「OFF」である。ステップS203において、センサーSa2が初期状態の「OFF」から一度「ON」に切り替わり、再び「OFF」に切り替わった場合に、「ステップS203:YES」として判断され、それ以外の場合は「ステップS203:NO」として判断される。以降の処理において、MFP100bの処理は、MFP100aの処理と同様である。
【0079】
ステップS203において、印刷物P1が排出部160から完全に取り出されたと判断された場合、CPU111は、計測部として、印刷物P1が排出部160から取り出された時点からの経過時間のタイマー計測を開始する(ステップS205)。
【0080】
続いて、CPU111は、センサーSa1およびセンサーSa2の出力を確認し、いずれかが「ON」になったか判断する(ステップS206)。センサーSa1またはセンサーSa2のいずれも「OFF」のままである場合(ステップS206:NO)、CPU111は、センサーSa1またはセンサーSa2のいずれかが「ON」に切り替わるまでセンサーSa1およびセンサーSa2の出力を監視する。センサーSa1またはセンサーSa2のいずれかが「ON」に切り替わって、印刷物P1の投入を検出した場合(ステップS206:YES)、すなわち、センサーSa1が印刷物P1の投入を検出した場合、CPU111は、ステップS207の処理に進む。
【0081】
CPU111は、ステップS206において先に「ON」に切り替わったのが、センサーSa2であるか、センサーSa1であるかを判断する(ステップS207)。
【0082】
ステップS206において先に「ON」に切り替わったのが、センサーSa1である場合(ステップS207:NO)、すなわち、センサーSa1が印刷物P1の投入を検出した場合、CPU111は、センサーSa1による検出が新たな印刷物P1の出力に起因するものとして、異常ではないと判断する。この場合、CPU111は、経過時間を計測するタイマーをリセットし(ステップS210)、異常検知処理を終了してステップS202の処理に戻る。
【0083】
ステップS206において先に「ON」に切り替わったのが、センサーSa2である場合(ステップS207:YES)、すなわち、センサーSa2が印刷物P1の投入を検出した場合、CPU111は、ステップS208の処理に進む。
【0084】
CPU111は、計測部として、ステップS205において経過時間のタイマー計測を開始した時点から、ステップS207の処理が終了した時点までの経過時間を確認し、RAM113またはハードディスク114に記録する。CPU111は、上記で記録した経過時間と、初期値として設定された所定時間Tとを比較し、経過時間が所定時間T以内であるか否かを判断する(ステップS208)。
【0085】
経過時間が所定時間T以内である場合(ステップS208:YES)、CPU111は、ユーザーが印刷物P1を取り間違えて、所定時間T以内に戻したことによりセンサーSa2が投入を検出したものとして、異常ではないと判断する。この場合、CPU111は、経過時間を計測するタイマーをリセットし(ステップS210)、異常検知処理を終了してステップS202の処理に戻る。
【0086】
経過時間が所定時間T以内でない場合(ステップS208:NO)、CPU111は、センサーSa2による検出がユーザーの取り間違えによるものでも、新たな印刷物P1の出力によるものでもないため、異常として判断する。
【0087】
異常として判断した場合、CPU111は、第1実施形態のステップS107と同様の警告処理を行う(ステップS209)。CPU111は、経過時間を計測するタイマーをリセットし(ステップS210)、ステップS202の処理に戻る。
【0088】
第2実施形態のMFP100dによれば、第1実施形態と同様の効果に加えて、以下の効果を奏する。第2実施形態のMFP100aおよびMFP100bによれば、排出部の下部に設けられた二つの検出部170によって印刷物P1を検出する。したがって、検出部170が一つの場合よりも細かく印刷物P1の状態を検出でき、正確な異常検知ができる。
【0089】
MFP100aおよびMFP100bは、二つの検出部170が印刷物P1を検出する順番によって、新たな印刷物P1が印刷されたのか、取り出された印刷物P1が戻されたのかを判断できる。したがって、新たな印刷物P1が印刷されたかどうかを判断するために、MFP100aおよびMFP100bの各種機能の実行状態やログを確認する必要がない。
【0090】
なお、上記において、検出部170は、胴内排紙部DaのセンサーSa1およびセンサーSa2として説明したが、
図5に示されるADF原稿排出部Dbに取り付けられたセンサーSb1およびセンサーSb2としてもよい。この場合、検出する対象が、印刷ジョブに基づき印刷された印刷物P1から、ADFを用いて読み取られた原稿C1に置き換えられる。また、排出部160が、胴内排紙部Daから、ADF原稿排出部Dbに置き換えられる。
【0091】
この場合、MFP100aおよびMFP100bは、ADF原稿排出部Dbから取り出された原稿C1についても、より正確に異常を判断でき、原稿C1の不正使用を効果的に抑止できる。
【0092】
<第3実施形態>
図7は、排出部の上部に検出部を二つ有するMFPの概略構成を示す正面図である。
【0093】
以下においては、第1および第2実施形態と重複する部分の説明は省略し、第1および第2実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0094】
図7に示されるMFP100cの構成は、
図1〜3に示されるMFP100の構成と、検出部170の構成のみが異なり、それ以外の構成は同様である。
【0095】
図7に示されるように、MFP100cは、検出部170として、排出部160(胴内排紙部Da)の上部にセンサーSc1とセンサーSc2とを有する。
【0096】
センサーSc1およびセンサーSc2は、印刷物P1の端(エッジ)を検出するセンサーであり、本実施形態においては、たとえば反射型光センサーである。
【0097】
センサーSc1およびセンサーSc2は、排出された印刷物P1が積載される場所の上部に、ユーザーが通常印刷物P1を取り出す方向に沿って取り付けられる。センサーSc1およびセンサーSc2は、自身の下方において、印刷物P1の端を検出し、印刷物P1の端が通過した瞬間に、「ON」を示し、それ以外は、「OFF」を示す。すなわち、センサーSc1およびセンサーSc2は、印刷物P1の移動動作を検出する。
【0098】
また、センサーSc1およびセンサーSc2は、印刷物P1の端を検出するため、排出部160に複数枚の印刷物P1が積載された状態で、当該印刷物P1の一部が取り出されたり、取り出された印刷物P1が戻されたりした場合でも、印刷物P1を検出できる。
【0099】
センサーSc1およびセンサーSc2は、制御部110から確認の指示を受けた場合、当該時点でセンサーSc1およびセンサーSc2が示す「ON」または「OFF」の信号を、それぞれ制御部110に送信する。
【0100】
以上のとおり構成される本実施形態のMFP100cでは、印刷物P1が排出部160から取り出されてから所定時間の経過後に排出部160へ戻されたことを、異常として検知する。
【0101】
図8は、
図7のMFPにより実行される異常検知処理の流れを示すフローチャートである。
図8のフローチャートに示されるアルゴリズムは、MFP100cのROM112またはハードディスク114にプログラムとして記憶されており、CPU111により実行される。
【0102】
以下、
図8を参照して、第3実施形態にかかるMFP100cの動作について説明する。
【0103】
第1および第2実施形態と同様に、異常検知処理の実行に先立って、MFP100cにおいてユーザーの指示により印刷ジョブに基づく印刷が行われ、排出部160に印刷物P1が積載される。この初期状態では、排出部160に印刷物P1が積載されており、センサーSc1およびセンサーSc2の下方を印刷物P1の端が通過していないため、センサーSc1およびセンサーSc2は、ともに「OFF」を示す。
【0104】
まず、第1および第2実施形態と同様に、MFP100cにおいて、所定時間Tの初期値の設定が受け付けられる(ステップS301)。所定時間Tの設定方法や使用方法については、第1実施形態のステップS101と同様である。
【0105】
続いて、CPU111は、センサーSc1の出力を確認し、「ON」になったか判断する(ステップS302)。上述のとおり、初期状態ではセンサーSc1は「OFF」である。センサーSc1が初期状態から変わらず「OFF」のままである場合(ステップS302:NO)、CPU111は、センサーSc1が「OFF」から「ON」に切り替わるまでセンサーSc1の出力を監視する。センサーSc1が「OFF」から「ON」に切り替わって、印刷物P1の移動動作を検出した場合(ステップS302:YES)、CPU111は、ステップS303の処理に進む。センサーSc1は印刷物P1の端が通過した後、「OFF」に戻る。
【0106】
次に、CPU111は、新たな印刷ジョブに基づく新たな印刷物P1の出力があったか否かを判断する(ステップS303)。ここで、CPU111は、MFPの各種機能の実行状態やログなどを確認する。
【0107】
新たな印刷物P1の出力があった場合(ステップS303:YES)、CPU111は、センサーSc1による検出が新たな印刷物P1の出力に起因するものとして、異常ではないと判断する。この場合、CPU111は、ステップS302の処理に戻る。
【0108】
新たな印刷物P1の出力がなかった場合(ステップS303:NO)、CPU111は、センサーSc1による検出が新たな印刷物P1の出力に起因するものではなく、印刷物P1が排出部160から途中まで取り出されたことによるものと判断する。この場合、CPU111は、ステップS304の処理に進む。
【0109】
次に、CPU111は、センサーSc2の出力を確認し、「ON」になったか判断する(ステップS304)。
【0110】
MFP100cにおいて、初期状態ではセンサーSc2は「OFF」である。センサーSc2が初期状態から変わらず「OFF」のままである場合(ステップS304:NO)、CPU111は、ステップS305に進む。
【0111】
CPU111は、再びセンサーSc1の出力を確認し、「ON」になったか判断する(ステップS305)。ここで、センサーSc1は、ステップS302において印刷物P1の端の通過により一時的に「ON」を示し、印刷物P1の端が通過した後、「OFF」に戻っている。センサーSc1が再び「OFF」から「ON」に切り替わった場合(ステップS305:YES)、CPU111は、途中まで取り出された印刷物P1が元に戻されたと判断し、ステップS302の処理に戻る。センサーSc1が「OFF」のままである場合(ステップS305:NO)、CPU111は、ステップS304の処理に戻る。
【0112】
センサーSc2が「OFF」から「ON」に切り替わった場合(ステップS304:YES)、CPU111は、印刷物P1が排出部160から完全に取り出されたと判断し、ステップS306の処理に進む。
【0113】
CPU111は、計測部として、印刷物P1が排出部160から取り出された時点からの経過時間のタイマー計測を開始する(ステップS306)。
【0114】
続いて、CPU111は、センサーSc1およびセンサーSc2の出力を確認し、いずれかが「ON」になったか判断する(ステップS307)。センサーSc1およびセンサーSc2のいずれも「OFF」のままである場合(ステップS307:NO)、CPU111は、センサーSc1またはセンサーSc2のいずれかが「ON」に切り替わるまでセンサーSc1およびセンサーSc2の出力を監視する。センサーSc1またはセンサーSc2のいずれかが「ON」に切り替わって、印刷物P1の移動動作を検出した場合(ステップS307:YES)、CPU111は、ステップS308の処理に進む。
【0115】
CPU111は、ステップS307において先に「ON」に切り替わったのが、センサーSc2であるか、センサーSc1であるかを判断する(ステップS308)。
【0116】
ステップS307において先に「ON」に切り替わったのが、センサーSc1である場合(ステップS308:NO)、すなわち、センサーSc1が印刷物P1の移動動作を検出した場合、CPU111は、ステップS309の処理に進む。ここで、センサーSc1による検出は、新たな印刷物P1の出力または元々排出部160にあった別の印刷物P1の取り出しに起因するものと判断される。
【0117】
CPU111は、再びセンサーSc1およびセンサーSc2の出力を確認し、いずれかが「ON」になったか判断する(ステップS309)。センサーSc1およびセンサーSc2のいずれも「OFF」のままである場合(ステップS309:NO)、CPU111は、センサーSc1またはセンサーSc2のいずれかが「ON」に切り替わるまでセンサーSc1およびセンサーSc2の出力を監視する。センサーSc1またはセンサーSc2のいずれかが「ON」に切り替わって、印刷物P1の移動動作を検出した場合(ステップS309:YES)、CPU111は、ステップS310の処理に進む。
【0118】
CPU111は、ステップS309において先に「ON」に切り替わったのが、センサーSc2であるか、センサーSc1であるかを判断する(ステップS310)。
【0119】
先に「ON」に切り替わったのが、センサーSc1である場合(ステップS310:NO)、すなわち、センサーSc1が印刷物P1の移動動作を検出した場合、CPU111は、途中まで取り出された別の印刷物P1が元に戻されたと判断する。この場合、CPU111は、ステップS307の処理に戻る。
【0120】
先に「ON」に切り替わったのが、センサーSc2である場合(ステップS310:YES)、すなわち、センサーSc2が印刷物P1の移動動作を検出した場合、CPU111は、ステップS311の処理に進む。
【0121】
CPU111は、新たな印刷ジョブに基づく新たな印刷物P1の出力があったか否かを判断する(ステップS311)。ここで、CPU111は、MFPの各種機能の実行状態やログなどを確認する。
【0122】
新たな印刷物P1の出力があった場合(ステップS311:YES)、CPU111は、センサーSc2による検出が新たな印刷物P1の出力に起因するものと判断する。この場合、CPU111は、ステップS307の処理に戻り、異常検知処理を継続する。
【0123】
新たな印刷物P1の出力がなかった場合(ステップS311:NO)、CPU111は、センサーSc2による検出が途中まで取り出された別の印刷物P1が排出部160から完全に取り出されたことに起因するものと判断する。この場合、CPU111はステップS312に進み、経過時間を計測するタイマーをリセットした後、ステップS306の処理に戻る。CPU111は、別の印刷物P1が排出部160から取り出された時点からの経過時間のタイマー計測を開始し、ステップS307以降の新たな異常検知処理を開始する。
【0124】
ステップS307において先に「ON」に切り替わったのが、センサーSc2である場合(ステップS308:YES)、すなわち、センサーSc2が印刷物P1の移動動作を検出した場合、CPU111は、ステップS313の処理に進む。ここで、センサーSc2による検出は、ステップS304において取り出された印刷物P1が排出部160へ戻されたことによるものと判断される。
【0125】
CPU111は、計測部として、ステップS306において経過時間のタイマー計測を開始した時点から、ステップS308の処理が終了した時点までの経過時間を確認し、RAM113またはハードディスク114に記録する(ステップS313)。さらに、CPU111は、上記で記録した経過時間と、初期値として設定された所定時間Tとを比較し、経過時間が所定時間T以内であるか否かを判断する。
【0126】
経過時間が所定時間T以内である場合(ステップS313:YES)、CPU111は、ユーザーが印刷物P1を取り間違えて、所定時間T以内に戻したことによりセンサーSc2が移動動作を検出したものとして、異常ではないと判断する。この場合、CPU111は、経過時間を計測するタイマーをリセットし(ステップS315)、異常検知処理を終了してステップS302の処理に戻る。
【0127】
経過時間が所定時間T以内でない場合(ステップS313:NO)、CPU111は、センサーSc2による検出がユーザーの取り間違えによるものでも、新たな印刷物P1の出力や別の印刷物P1の取り出しによるものでもないため、異常として判断する。
【0128】
異常として判断した場合、CPU111は、第1実施形態のステップS107と同様の警告処理を行う(ステップS314)。CPU111は、経過時間を計測するタイマーをリセットし(ステップS315)、ステップS302の処理に戻る。
【0129】
第3実施形態のMFP100dによれば、第1実施形態と同様の効果に加えて、以下の効果を奏する。以上のように、第3実施形態のMFP100cによれば、排出部の上部に設けられた二つの検出部170によって印刷物P1の移動動作を検出する。したがって、排出部160に積載された印刷物P1の一部が取り出されて戻された場合でも、異常として検知でき、印刷物P1の一部の不正使用を抑止できる。
【0130】
なお、上記において、検出部170は、胴内排紙部DaのセンサーSc1およびセンサーSc2として説明したが、
図7に示されるADF原稿排出部Dbに取り付けられたセンサーSd1およびセンサーSd2としてもよい。この場合、検出する対象が、印刷ジョブに基づき印刷された印刷物P1から、ADFを用いて読み取られた原稿C1に置き換えられる。また、排出部160が、胴内排紙部Daから、ADF原稿排出部Dbに置き換えられる。さらに、ステップS303およびステップS311において、CPU111は、新たな印刷ジョブに基づく新たな印刷物P1の出力の有無を確認するかわりに、新たに画像読取部150によって読み取られた新たな原稿C1の排出の有無を確認して、異常の有無を判断する。
【0131】
この場合、MFP100cは、画像読取部150により読み取られてADF原稿排出部Dbに積載された原稿C1の一部が取り出されて戻された場合も、異常として検知でき、原稿C1の一部の不正使用を抑止できる。
【0132】
<第4実施形態>
図9は、排出部の上部に検出部を二つ有するMFPの概略構成を示す正面図である。
【0133】
以下においては、第1〜第3実施形態と重複する部分の説明は省略し、第1〜第3実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0134】
図9に示されるMFP100dの構成は、
図1〜3に示されるMFP100の構成と、検出部170の構成のみが異なり、それ以外の構成は同様である。
【0135】
図9に示されるように、MFP100dは、検出部170として、排出部160(胴内排紙部Da)の上部にセンサーSe1とセンサーSe2とを有する。
【0136】
センサーSe1およびセンサーSe2は、印刷物P1の端(エッジ)を検出するセンサーであり、本実施形態においては、たとえば反射型光センサーである。
【0137】
センサーSe1は、第3実施形態のセンサーSc1と同様に、排出された印刷物P1が積載される場所の上部に取り付けられ、センサーSe2は、排出された印刷物P1が積載されない場所の上部に取り付けられる。
【0138】
センサーSe1とセンサーSe2は、ユーザーが通常印刷物P1を取り出す方向に沿って取り付けられる。また、センサーSe1とセンサーSe2の動作は、第3実施形態におけるセンサーSc1およびセンサーSc2と同様である。
【0139】
以上のとおり構成される本実施形態のMFP100dでは、印刷物P1が排出部160から取り出されてから所定時間の経過後に排出部160へ戻されたことを、異常として検知する。
【0140】
図10は、
図9のMFPにより実行される異常検知処理の流れを示すフローチャートである。
図9のフローチャートに示されるアルゴリズムは、MFP100dのROM112またはハードディスク114にプログラムとして記憶されており、CPU111により実行される。
【0141】
以下、
図10を参照して、第3実施形態にかかるMFP100dの動作について説明する。
【0142】
まず、MFP100dにおいて、所定時間T1および所定時間T2の初期値の設定が受け付けられる(ステップS401)。所定時間T2は、第1〜第3実施形態における所定時間Tと同様である。所定時間T1は、本異常検知処理において、取り出される途中の印刷物P1の後端を検出したのか、故意に取り出された印刷物P1が使用された後で戻されたことを検出したのかを判断するために使用されるパラメーターである。ここで、所定時間T1は、ユーザーが排出部160から印刷物P1を取り出し始めてから、完全に取り出すまでにかかる時間の想定値であり、たとえば1〜3秒程度である。所定時間T1および所定時間T2の設定方法は、第1実施形態のステップS101における所定時間Tの設定方法と同様である。
【0143】
続いて、ステップS402〜ステップS406の処理は、第3実施形態のステップS301〜ステップS306の処理において、センサーSc1とセンサーSc2を、それぞれセンサーSe1とセンサーSe2に読み替えたものと同様であるため、説明を省略する。
【0144】
CPU111は、センサーSc1およびセンサーSc2の出力を確認し、いずれかが「ON」になったか判断する(ステップS407)。センサーSe1またはセンサーSe2のいずれかが「ON」に切り替わって、印刷物P1の移動動作を検出した場合(ステップS407:YES)、CPU111は、ステップS408の処理に進む。
【0145】
CPU111は、ステップS407において先に「ON」に切り替わったのが、センサーSe2であるか、センサーSe1であるかを判断する(ステップS408)。
【0146】
ステップS407において先に「ON」に切り替わったのが、センサーSe1である場合(ステップS408:NO)、すなわち、センサーSe1が印刷物P1の移動動作を検出した場合、CPU111は、ステップS409の処理に進む。ここで、センサーSe1による検出は、新たな印刷ジョブに基づく新たな印刷物P1の出力または元々排出部160にあった別の印刷物P1の取り出しによるものと判断される。
【0147】
CPU111は、再びセンサーSe2の出力を確認し、「ON」になったか判断する(ステップS409)。
【0148】
センサーSe2が一定時間内に「ON」にならない場合(ステップS409:NO)、CPU111は、ステップS407におけるセンサーSe1による検出が新たな印刷物P1の出力または途中まで取り出された別の印刷物P1が元に戻されたことに起因するものと判断する。この場合、CPU111は、ステップS407の処理に戻り、異常検知処理を継続する。
【0149】
センサーSe2が一定時間内に「ON」になった場合(ステップS409:YES)、CPU111は、ステップS407におけるセンサーSe1による検出が途中まで取り出された別の印刷物P1が排出部160から完全に取り出されたことに起因するものと判断する。この場合、CPU111はステップS410に進み、経過時間を計測するタイマーをリセットした後、ステップS406の処理に戻る。CPU111は、別の印刷物P1が排出部160から完全に取り出された時点からの経過時間のタイマー計測を開始し、ステップS407以降の新たな異常検知処理を開始する。
【0150】
次に、ステップS407において先に「ON」に切り替わったのが、センサーSe2である場合(ステップS408:YES)、すなわち、センサーSe2が印刷物P1の移動動作を検出した場合、CPU111は、ステップS411の処理に進む。ここで、センサーSe2による検出は、ステップS404において取り出された印刷物P1が排出部160へ戻されたか、または取り出される途中の印刷物P1の後端が検出されたかのいずれかに起因するものと判断される。
【0151】
CPU111は、計測部として、ステップS406において経過時間のタイマー計測を開始した時点から、ステップS408の処理が終了した時点までの経過時間を確認し、RAM113またはハードディスク114に記録する(ステップS411)。CPU111は、上記で記録した経過時間と、初期値として設定された所定時間T1とを比較し、経過時間が所定時間T1以内であるか否かを判断する。
【0152】
経過時間が所定時間T1以内である場合(ステップS411:YES)、CPU111は、取り出される途中の印刷物P1の後端が検出されたことにより、センサーSe2が移動動作を検出したものとして、異常ではないと判断する。この場合、CPU111は、ステップS407の処理に戻り、異常検知処理を継続する。
【0153】
経過時間が所定時間T1以内でない場合(ステップS411:NO)、CPU111は、センサーSe2による検出が取り出された印刷物P1が排出部160へ戻されたことに起因するものと判断する。この場合、CPU111は、ステップS412の処理に進む。
【0154】
CPU111は、ステップS411において記録した経過時間と、初期値として設定された所定時間T2とを比較し、経過時間が所定時間T2以内であるか否かを判断する(ステップS412)。
【0155】
経過時間が所定時間T2以内である場合(ステップS412:YES)、CPU111は、ユーザーが印刷物P1を取り間違えて、所定時間T2以内に戻したことによりセンサーSe2が移動動作を検出したものとして、異常ではないと判断する。この場合、CPU111は、経過時間を計測するタイマーをリセットし(ステップS414)、異常検知処理を終了してステップS402の処理に戻る。
【0156】
経過時間が所定時間T2以内でない場合(ステップS412:NO)、CPU111は、センサーSe2による検出がユーザーの取り間違えや取り出し途中の印刷物P1の後端、新たな印刷物P1の出力または別の印刷物P1の取り出しによるものではないため、異常として判断する。
【0157】
異常として判断した場合、CPU111は、第1実施形態のステップS107と同様の警告処理を行う(ステップS413)。CPU111は、経過時間を計測するタイマーをリセットし(ステップS414)、ステップS402の処理に戻る。
【0158】
第4実施形態のMFP100dによれば、第1実施形態と同様の効果に加えて、以下の効果を奏する。第4実施形態のMFP100dによれば、排出部160の上部であって印刷物P1が排出されて積載される部分および積載されない部分に一か所ずつ設けられた二つの検出部170によって印刷物P1を検出する。印刷物P1が排出部160から取り出された後、積載される部分の検出部170が印刷物P1を検出し、積載されない部分の検出部170が印刷物P1を検出しない場合、新たな印刷物P1が印刷されたか途中まで取り出された印刷物P1が戻されたと判断できる。したがって、MFP100dの各種機能の実行状態やログを確認することなく、新たな印刷物P1が印刷されたか、または途中まで印刷された印刷物P1が戻されたことを判断できる。
【0159】
また、MFP100dは、印刷物P1が排出部160から取り出されてから、印刷物P1が積載されない部分の検出部170が印刷物P1を検出するまでの時間を計測し、計測した時間を所定時間T1と比較する。これにより、取り出される途中の印刷物P1の後端が検出されたか、取り出された印刷物P1が戻されたことが検出されたかを判断できる。
【0160】
なお、上記において、検出部170は、胴内排紙部DaのセンサーSe1およびセンサーSe2として説明したが、
図7に示されるADF原稿排出部Dbに取り付けられたセンサーSf1およびセンサーSf2としてもよい。この場合、検出する対象が、印刷ジョブに基づき印刷された印刷物P1から、ADFを用いて読み取られた原稿C1に置き換えられる。また、排出部160が、胴内排紙部Daから、ADF原稿排出部Dbに置き換えられる。さらに、ステップS403において、CPU111は、新たな印刷ジョブに基づく新たな印刷物P1の出力の有無を確認するかわりに、新たに画像読取部150によって読み取られた新たな原稿C1の排出の有無を確認して、異常の有無を判断する。
【0161】
この場合、MFP100dは、画像読取部150により読み取られてADF原稿排出部Dbに積載された原稿C1が取り出される途中の後端が検出された場合に、異常と判断しないように制御される。したがって、誤って正常なケースを異常と判断することを抑止できる。
【0162】
なお、上述した実施形態では、ステップS409において、センサーSe2が一定時間内に「ON」になった場合(ステップS409:YES)、CPU111はタイマーをリセットして、ステップS406の処理に戻るとしたが、これに限定されない。タイマーをリセットせずにステップS407の処理に戻り、それまで行っていた異常検知処理を継続してもよい。この場合、初めに印刷物P1が取り出された後、別の印刷物P1が取り出された際に、タイマーがリセットされないため、より厳格な異常検知処理が可能となる。
【0163】
また、上述した実施形態では、第2〜第4実施形態における二つの検出部170は、ユーザーが通常印刷物P1を取り出す方向に沿って取り付けられる。上記において、その方向は印刷物P1が排出される方向と同じものとして説明したが、これに限定されない。印刷物P1が排出される方向と、ユーザーが通常印刷物P1を取り出す方向は異なってもよい。この場合も、二つの検出部170は、ユーザーが通常印刷物P1を取り出す方向に沿って取り付けられる。
【0164】
本発明による異常検知処理は、上記各手順を実行するための専用のハードウエア回路によっても、また、上記各手順を記述したプログラムをCPUが実行することによっても実現することができる。後者により本発明を実現する場合、異常検知処理を動作させる上記プログラムは、フロッピー(登録商標)ディスクやCD−ROM等のコンピューター読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ROMやハードディスク等に転送され記憶される。また、このプログラムは、たとえば、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、画像形成装置の一機能としてその装置のソフトウエアに組み込んでもよい。