特許第5935609号(P5935609)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5935609
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月15日
(54)【発明の名称】紙幣処理装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 9/00 20060101AFI20160602BHJP
【FI】
   G07D9/00 456A
   G07D9/00 408E
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-196557(P2012-196557)
(22)【出願日】2012年9月6日
(65)【公開番号】特開2014-52826(P2014-52826A)
(43)【公開日】2014年3月20日
【審査請求日】2015年2月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100069615
【弁理士】
【氏名又は名称】金倉 喬二
(72)【発明者】
【氏名】青池 祐香
【審査官】 永安 真
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−108160(JP,A)
【文献】 特開2001−006017(JP,A)
【文献】 特開平04−327463(JP,A)
【文献】 特開2010−267152(JP,A)
【文献】 特開2010−277228(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙幣を搬送して計数する紙幣処理装置において、
紙幣を収納する紙幣カセットと、
紙幣を貯留する紙幣一時保留部と、
移動可能なステージを有し、前記ステージ上に紙幣を集積する集積手段と、前記ステージ上に集積された紙幣の上部に当接して前記紙幣を繰出す分離手段とを備えた自動精査用カセットと、
前記紙幣カセットと前記紙幣一時保留部とを結び、前記紙幣一時保留部と前記自動精査用カセットとを結び、紙幣を搬送する搬送部と、
前記搬送部により、前記紙幣カセットと前記紙幣一時保留部との間で所定枚数の紙幣を搬送し、前記紙幣一時保留部と前記自動精査用カセットとの間で前記所定枚数の紙幣を搬送する動作を繰り返して行なう制御部とを備え、
前記制御部は、前記紙幣カセットから前記自動精査用カセットに搬送した紙幣の集積量が閾値を超えたことを検知したとき、前記自動精査用カセットのステージを移動させて前記ステージ上に集積された紙幣の上部を前記分離手段に押圧し、
前記制御部は、前記ステージを下降させる速度を、前記ステージを上昇させる速度より遅くしたことを特徴とする紙幣処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の紙幣処理装置において、
前記制御部は、前記紙幣を搬送する動作を一旦停止し、前記自動精査用カセットのステージを移動させて前記ステージ上に集積された紙幣の上部を前記分離手段に押圧することを特徴とする紙幣処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の紙幣処理装置において、
前記制御部は、前記ステージ上に集積された紙幣の上部を前記分離手段に押圧させた後、前記ステージを移動させて前記ステージ上に集積された紙幣の上方に空間を形成し、前記紙幣カセットから前記自動精査用カセットに紙幣を搬送する動作を再開して前記空間に紙幣を集積することを特徴とする紙幣処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の紙幣処理装置において、
前記制御部は、前記紙幣カセットに収納されたすべての紙幣を前記自動精査用カセットに搬送して収納した後、前記自動精査用カセットに収納されたすべての紙幣を前記紙幣カセットへ搬送して収納する自動精査処理を行うことを特徴とする紙幣処理装置。
【請求項5】
請求項3に記載の紙幣処理装置において、
前記制御部は、前記紙幣カセットに収納されたすべての紙幣を前記自動精査用カセットに搬送して収納する売上金回収処理を行うことを特徴とする紙幣処理装置。
【請求項6】
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の紙幣処理装置において、
前記閾値は、前記自動精査用カセットに収納可能な紙幣の枚数に基づいて算出された値であることを特徴とする紙幣処理装置。
【請求項7】
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の紙幣処理装置において、
前記制御部は、前記紙幣カセットから前記自動精査用カセットに搬送した紙幣の枚数が所定枚数に達したことを検知して、前記紙幣カセットから前記自動精査用カセットに搬送した紙幣の枚数が閾値を超えたことを検知することを特徴とする紙幣処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動精査用カセットを備えた紙幣処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の紙幣処理装置は、金種別に紙幣を収納する紙幣カセットの有り高を確定する自動精査機能を備えているものがある。自動精査機能を備えた紙幣処理装置は、例えば装置内に現金を収納するための4つの紙幣カセットを備え、そのうちの3つの紙幣カセットには、万円券、五千円券、千円券をそれぞれの紙幣カセットに1金種ごとに収納し、4つ目の紙幣カセットは、自動精査用カセットとして空の状態にして運用を行う。その運用中に、装置内の紙幣の有り高が不確定となった場合、その有り高を確定させるため自動精査を行う必要があり、自動精査の取引が選択されると、紙幣カセット毎に、収納された紙幣を空の自動精査用カセットへ移動させ、さらに自動精査用カセットへ移動させた紙幣を元の紙幣カセットへ戻すことを繰り返して紙幣の計数を行い、それぞれの紙幣カセット内に収納されている紙幣の枚数を確定するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
また、上述した自動精査と同様に、売上金としての紙幣を収納する紙幣カセットから売上金回収用カセットへ紙幣を移動させて売上金の計数を行うとともに、売上金を売上金回収用カセットに回収するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−108160号公報(段落「0020」〜段落「0032」、図3図5
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術においては、収納されている紙幣が満杯に近い紙幣カセットが存在する場合に自動精査処理や売上金回収処理を行うと、その紙幣カセットから自動精査用カセットへ紙幣を移動させるとき、自動精査用カセット内に収納された紙幣と紙幣との間に隙間が形成され、紙幣カセット内のすべての紙幣を自動精査用カセットへ移動する前に、自動精査用カセットが満杯の状態となって自動精査処理や売上金回収処理を継続して行うことができなくなり、処理を終了してしまうという問題がある。
本発明は、このような問題を解決することを課題とし、収納された紙幣と紙幣との間に形成された隙間により自動精査用カセットが満杯になることを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そのため、本発明は、紙幣を搬送して計数する紙幣処理装置において、紙幣を収納する紙幣カセットと、紙幣を貯留する紙幣一時保留部と、移動可能なステージを有し、前記ステージ上に紙幣を集積する集積手段と、前記ステージ上に集積された紙幣の上部に当接して前記紙幣を繰出す分離手段とを備えた自動精査用カセットと、前記紙幣カセットと前記紙幣一時保留部とを結び、前記紙幣一時保留部と前記自動精査用カセットとを結び、紙幣を搬送する搬送部と、前記搬送部により、前記紙幣カセットと前記紙幣一時保留部との間で所定枚数の紙幣を搬送し、前記紙幣一時保留部と前記自動精査用カセットとの間で前記所定枚数の紙幣を搬送する動作を繰り返して行なう制御部とを備え、前記制御部は、前記紙幣カセットから前記自動精査用カセットに搬送した紙幣の集積量が閾値を超えたことを検知したとき、前記自動精査用カセットのステージを移動させて前記ステージ上に集積された紙幣の上部を前記分離手段に押圧し、前記制御部は、前記ステージを下降させる速度を、前記ステージを上昇させる速度より遅くしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
このようにした本発明は、収納された紙幣と紙幣との間に形成された隙間により自動精査用カセットが満杯になることを抑制することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施例における紙幣処理装置の構成を示すブロック図
図2】第1の実施例における紙幣処理装置の制御構成を示すブロック図
図3】第1の実施例における紙幣処理装置の自動精査処理の動作を示す説明図
図4】第1の実施例における紙幣処理装置の自動精査処理の動作を示す説明図
図5】第1の実施例における紙幣処理装置の自動精査処理の動作を示す説明図
図6】第1の実施例における紙幣処理装置の自動精査処理の動作を示す説明図
図7】第2の実施例における紙幣処理装置の売上金回収処理の動作を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明による紙幣処理装置の実施例を説明する。
【実施例1】
【0009】
図1は第1の実施例における紙幣処理装置の構成を示すブロック図、図2は第1の実施例における紙幣処理装置の制御構成を示すブロック図である。
図1において、現金管理機等の紙幣入出金システム100は、紙幣を搬送して計数する紙幣処理装置20を備えたものである。
紙幣入出金システム100は、一般に、図示しないCPU(Central Processing Unit)等の演算および制御手段で構成された主制御部、メモリ素子や磁気ディスク等で構成される記憶部を有し、各種カードを読み取るカードリーダ部15、操作者の操作を誘導する画面等を表示する表示手段および操作者の操作を受付ける操作手段からなる操作表示部16、紙幣を搬送して計数する紙幣処理装置20等を含めて装置全体の動作をその記憶部に格納された制御プログラム(ソフトウェア)に基づいて制御される。
【0010】
図1および図2において、紙幣処理装置20は、紙幣の入金処理、出金処理、自動精査処理、売上金回収処理等を行うものであり、紙幣投入口1と、紙幣一時保留部2と、紙幣鑑別部3と、万券カセット4と、五千券カセット5と、千券カセット6と、自動精査カセット7と、リジェクト部8とから構成されている。
ここで、入金処理とは、紙幣処理装置20の紙幣受け渡し口である紙幣入金部としての紙幣投入口1から投入された紙幣を繰出して計数等し、万券カセット4、五千券カセット5、または千券カセット6へ収納する処理であり、出金処理とは、万券カセット4、五千券カセット5、または千券カセット6に収納されている紙幣を繰出して計数等し、紙幣投入口1へ集積させ、操作者に払い出す処理である。
【0011】
また、自動精査処理とは、紙幣が収納された万券カセット4、五千券カセット5、または千券カセット6から空の自動精査カセット7へ紙幣を移動させ、さらに自動精査カセット7へ移動させた紙幣を元の万券カセット4、五千券カセット5、または千券カセット6へ戻すことを繰り返して紙幣の計数を行い、万券カセット4、五千券カセット5、または千券カセット6内に収納されている紙幣の有り高を確定する処理である。
さらに、売上金回収処理とは、売上金としての紙幣が収納された万券カセット4、五千券カセット5、または千券カセット6から空の自動精査カセット7へ紙幣を移動させて収納するとともに、紙幣の計数を行い、万券カセット4、五千券カセット5、または千券カセット6に収納された紙幣を回収する処理である。
【0012】
制御部21は、少なくとも紙幣処理装置20全体の動作を制御する演算手段および制御手段であるが、上述した紙幣入出金システム100全体を制御する主制御部と共通化したものでもよい。
紙幣投入口1は、操作者の操作により投入された入金紙幣を受け入れて集積する投入口であり、また、操作者へ出金する紙幣または入金紙幣のうち異常紙幣と鑑別された紙幣等の返却紙幣を集積する出金口であり、操作者との間で紙幣の受け渡しを行う部位である。投入された紙幣は、分離ローラ等の分離機構(分離手段)で1枚ずつ分離して紙幣搬送路へ繰り出すことができ、また、紙幣搬送路で搬送された出金される紙幣や返却紙幣を集積ローラ等の集積機構(集積手段)で集積することができる。
【0013】
紙幣一時保留部2は、入金された紙幣や自動精査時、売上金回収時に移動させる紙幣を図示しない集積機構により一時的に貯留(集積)しておくものである。この紙幣一時保留部2は、入金処理では、操作者の操作により入金取引が成立する(入金金額が確認される)まで入金紙幣を一時保留し、自動精査処理および売上金回収処理では、万券カセット4、五千券カセット5、千券カセット6、または自動精査カセット7から搬送された紙幣を一時保留する。
また、紙幣一時保留部2は、一時保留した紙幣を1枚ずつ紙幣搬送路へ繰り出すことができ、紙幣投入口1、万券カセット4、五千券カセット5、千券カセット6、または自動精査カセット7へ搬送することができるようになっている。
【0014】
紙幣鑑別部3は、紙幣投入口1と、万券カセット4、五千券カセット5、千券カセット6、および自動精査カセット7との間の紙幣搬送路上に配置されている。この紙幣鑑別部3は、光学式CCD(Charge Coupled Device)センサを備え、そのCCDセンサにより、搬送される紙幣の表裏両面の画像データ等を収得し、その画像データ等と紙幣鑑別データベースに予め登録されている画像データ等を照合して紙幣の真偽、正損、金種等の鑑別および計数を行う。また、紙幣鑑別部3は通過する紙幣の間隔や斜行等の搬送異常を検知することができるようになっている。
【0015】
万券カセット4、五千券カセット5、千券カセット6、および自動精査カセット7は、紙幣を集積するもので、内部に配置されたステージ4a〜7aが昇降機構により上下動し、集積ローラ等の集積機構(集積手段)により収納される紙幣はこのステージ4a〜7a上に集積される。
また、収納された紙幣は、上昇するステージ4a〜7aにより万券カセット4、五千券カセット5、千券カセット6、および自動精査カセット7の上方に設けられた図示しない分離機構としての分離ローラへ押圧され、その分離ローラを回転することにより当接した紙幣を1枚ずつ分離して繰り出すことができる。
さらに、ステージ4a〜7aを上昇させることにより、ステージ4a〜7a上に集積されている紙幣を分離ローラ等の分離機構(分離手段)へ押圧することにより、集積されている紙幣と紙幣との間の隙間を少なくすることができるようになっている。
【0016】
万券カセット4、五千券カセット5、および千券カセット6は、それぞれ万券、五千券、および千券の紙幣を収納する紙幣カセットとしてのリサイクルカセットであり、釣銭準備金として収納する。万券カセット4、五千券カセット5、および千券カセット6は、入金処理において紙幣鑑別部3で正券と鑑別された紙幣を収納し、出金処理では収納された紙幣を出金する。
自動精査カセット7は、移動可能なステージ7aを有し、ステージ7a上に紙幣を集積する集積手段と、ステージ7a上に集積された紙幣の上部に当接して紙幣を繰出す分離手段とを備えた自動精査用カセットである。
【0017】
この自動精査カセット7は、自動精査処理や売上金回収処理時以外の入金処理時または出金処理時は空の状態であり、自動精査処理時や売上金回収処理時は万券カセット4、五千券カセット5、または千券カセット6から搬送された紙幣を収納する。
万券カセット4、五千券カセット5、千券カセット6および自動精査カセット7は、上部に収納した紙幣が満杯であることを検知するセンサ等の満杯検知手段を備えており、満杯検知手段で満杯が検知されたカセットには紙幣を収納しないように制御される。
なお、万券カセット4、五千券カセット5、千券カセット6、および自動精査カセット7は、本実施例では、それぞれ同一構造となっている。
【0018】
紙幣搬送部23は、ベルト対またはローラ対で紙幣の表裏両面を挟持し、搬送する紙幣の搬送速度を任意に設定可能なモータ等の駆動手段により図2に示す紙幣搬送路23aを制御し、紙幣を搬送する動作を行う。
紙幣搬送路23aは、紙幣投入口1と、紙幣一時保留部2と、紙幣鑑別部3と、万券カセット4、五千券カセット5、千券カセット6、自動精査カセット7、およびリジェクト部8とを結んでいる。
【0019】
これら紙幣搬送路23aの各分岐点には切替ブレードが設けてあり、その切替ブレードを制御することによって紙幣の搬送先を切り替えることができ、紙幣鑑別部3での鑑別結果に応じて紙幣の搬送方向を切り替える。
紙幣搬送部23は、紙幣カセット(4、5、6)と紙幣一時保留部2とを結び、また紙幣一時保留部2と自動精査用カセット7とを結ぶ紙幣搬送路23aで紙幣を搬送する。
【0020】
リジェクト部8は、入金処理、出金処理、自動精査処理、または売上金回収において、紙幣と鑑別できなかったリジェクト紙幣や循環使用しない金種の紙幣(例えば、二千券)等を収納する収納庫であって、搬送された紙幣を集積する機能を有している。
記憶部22は、メモリ素子や磁気ディスク等で構成される記憶部であり、紙幣鑑別部3が鑑別や計数した結果等を記憶する。なお、この記憶部22は、紙幣入出金システム100全体を制御するための各種制御プログラム(ソフトウェア)の格納部位と共用化してもよい。
【0021】
このように構成された紙幣処理装置20の制御部21は、紙幣搬送部23により、紙幣カセット(4、5、6)と紙幣一時保留部2との間で所定枚数の紙幣を搬送し、紙幣一時保留部2と自動精査用カセット7との間で所定枚数の紙幣を搬送する動作を繰り返して行う。
このとき、制御部21は、紙幣カセット(4、5、6)から自動精査用カセット7に搬送した紙幣の枚数が閾値を超えたことを検知したとき、自動精査用カセット7のステージ7aを移動させてステージ7a上に集積された紙幣の上部を分離手段に押圧する。なお、閾値は、自動精査用カセット7に収納可能な紙幣の枚数に基づいて算出された値であり、自動精査用カセット7が収納された紙幣で満杯に近いことを検知するための値である。
【0022】
制御部21は、ステージ7a上に集積された紙幣の上部を分離手段に押圧させた後、ステージ7aを移動させてステージ7a上に集積された紙幣の上方に空間を形成し、紙幣カセット(4、5、6)から自動精査用カセット7に紙幣を搬送する動作を再開して形成した空間に紙幣を集積する。
また、図1において、硬貨処理装置は、入金硬貨の投入口である硬貨投入口9と、硬貨を鑑別する硬貨鑑別部10と、入金処理時に一時的に硬貨を集積する硬貨一時保留部11と、入金処理が取り消されたとき硬貨を返却する硬貨返却箱12と、釣銭準備金を収納する出金ホッパ13と、出金処理時の硬貨出金口である硬貨出金箱14とを備えている。なお、硬貨処理装置は存在しないものであっても良い。
【0023】
上述した構成の作用について説明する。
なお、以下の実施例に説明する各部の動作は、図2に示すメモリや磁気ディスク等の記憶部22に格納されたプログラム(ソフトウェア)に基づいて中央処理装置等の制御部21により制御される。
まず、紙幣処理装置が行なう自動精査処理を図3の第1の実施例における紙幣処理装置の自動精査処理の動作を示す説明図に基づいて図1および図2を参照しながら説明する。なお、万券カセット4に収納されている紙幣の有り高を確定する動作を説明する。
【0024】
ステップ1:紙幣処理装置20の制御部21は、図3(a)に示すように、万券カセット4に収納されている所定枚数の紙幣を万券カセット4の分離機構により1枚ずつ分離して繰出し、紙幣搬送部23により紙幣鑑別部3を経由して紙幣搬送路23aを搬送して紙幣一時保留部2へ集積する。なお、所定枚数とは、紙幣一時保留部2に集積することができる紙幣の最大枚数以下の枚数(例えば、150枚)である。なお、本動作を開始するとき、自動精査カセット7に紙幣は収納されていないものとする。
【0025】
ステップ2:所定枚数の紙幣を紙幣一時保留部2へ集積した制御部21は、図3(b)に示すように、紙幣一時保留部2に集積したすべての紙幣を1枚ずつ紙幣搬送路23aへ送り出し、紙幣搬送部23により紙幣鑑別部3を経由して紙幣搬送路23aを搬送して自動精査カセット7へ集積する。
制御部21は、上述したステップ1およびステップ2の動作を繰り返し、万券カセット4に収納されている紙幣をすべて自動精査カセット7へ搬送し、紙幣鑑別部3において紙幣の枚数を計数して自動精査カセット7に収納する。
【0026】
ステップ3:万券カセット4に収納されている紙幣をすべて自動精査カセット7へ搬送、集積した制御部21は、図4(a)に示すように、自動精査カセット7に収納されている所定枚数の紙幣を自動精査カセット7の分離機構により1枚ずつ分離して繰出し、紙幣搬送部23により紙幣鑑別部3を経由して紙幣搬送路23aを搬送して紙幣一時保留部2へ集積する。なお、所定枚数は、ステップ1と同様である。
【0027】
ステップ4:所定枚数の紙幣を紙幣一時保留部2へ集積した制御部21は、図4(b)に示すように、紙幣一時保留部2に集積したすべての紙幣を1枚ずつ紙幣搬送路23aへ送り出し、紙幣搬送部23により紙幣鑑別部3を経由して紙幣搬送路23aを搬送して万券カセット4へ集積する。
制御部21は、上述したステップ3およびステップ4の動作を繰り返し、自動精査カセット7に収納されている紙幣をすべて万券カセット4へ搬送し、紙幣鑑別部3において紙幣の枚数を計数して万券カセット4に収納する。
このようにして、制御部21は、万券カセット4に収納されている紙幣を計数する。
【0028】
紙幣処理装置20の制御部21は、さらに五千券カセット5および千券カセット6についても同様の処理を行い、五千券カセット5および千券カセット6に収納されている紙幣を計数し、自動精査処理を行う。
このように制御部21は、紙幣カセット(4、5、6)に収納されたすべての紙幣を一旦自動精査用カセット7に搬送して収納した後、自動精査用カセット7に収納されたすべての紙幣を紙幣カセット(4、5、6)へ搬送して収納する自動精査処理を行う。
この自動精査処理を行うことにより、万券カセット4、五千券カセット5および千券カセット6に収納されている紙幣の有り高が確定する。
【0029】
次に、万券カセットが満杯に近い状態において紙幣処理装置が行なう自動精査処理を図5の第1の実施例における紙幣処理装置の自動精査処理の動作を示す説明図に基づいて図1および図2を参照しながら説明する。
紙幣処理装置20の制御部21は、上述したステップ1およびステップ2の動作を繰り返して行なうとき、万券カセット4から紙幣一時保留部2を経由させて自動精査カセット7に収納した紙幣の枚数が自動精査カセット7において満杯に近くなった場合、図5に示すように、紙幣4bを万券カセット4から紙幣一時保留部2を経由させて自動精査カセット7へ移動させる動作を一旦停止する。
【0030】
ここで、自動精査カセット7に収納した紙幣の枚数が自動精査カセット7において満杯に近くなった場合とは、自動精査カセット7に収納した紙幣7bの枚数が自動精査カセット7の紙幣の収納可能枚数の所定の割合、すなわち閾値を超えた場合であり、例えば自動精査カセット7の紙幣の収納可能枚数が2500枚であるとき、その80%以上である2000枚以上の紙幣を収納した場合に、自動精査カセット7において満杯に近くなったとする。なお、本実施例では、自動精査カセット7に収納した紙幣7bの枚数で自動精査カセット7が満杯に近くなったことを判定するようにしたが、センサ等の検知手段を設けて検知するようにしても良い。
【0031】
自動精査カセット7に収納した紙幣の枚数が自動精査カセット7において満杯に近くなったことを検知した制御部21は、図6に示すように、自動精査カセット7のステージ7aを所定の速度で上昇させてステージ7a上に集積させた紙幣7bの上部を分離機構である分離ローラ7cに当接させ、さらに押圧してステージ7a上に集積させた紙幣7b間の隙間を減少させる。
ステージ7a上に集積させた紙幣7b間の隙間を減少させた制御部21は、ステージ7aを所定の速度で下降させ、ステージ7a上に集積させた紙幣7bと自動精査カセット7の上端部との間に紙幣を収納する空間を形成する。
【0032】
なお、ステージ7aを下降させる速度を、ステージ7aを上昇させる速度よりも遅くするようにしても良い。ステージ7aを下降させる速度を遅くすることにより、ステージ7a上に集積させた紙幣7bのふくらみを防止することができる。
このように、自動精査カセット7に収納した紙幣のふくらみを低減させて紙幣を収納する空間を形成することにより、万券カセット4内のすべての紙幣を自動精査カセット7へ移動する前に、自動精査カセット7が満杯の状態となって自動精査処理を継続して行うことができなくなることを防止することができる。
【0033】
ステージ7aを下降させた制御部21は、上述したステップ1およびステップ2の動作を再開し、万券カセット4内のすべての紙幣を自動精査カセット7へ移動する。その後、上述したステップ3およびステップ4の動作を繰り返して行い、自動精査処理を完了する。
紙幣処理装置20の制御部21は、五千券カセット5および千券カセット6から自動精査カセット7へ紙幣を移動するときも同様の動作を行い、ステージ7a上に集積させた紙幣7bと自動精査カセット7の上端部との間に紙幣を収納する空間を形成する。
【0034】
以上説明したように、第1の実施例では、自動精査処理において、自動精査カセットのステージを上昇させてステージ上に集積させた紙幣の上部を分離機構である分離ローラに当接させて押圧するようにしたことにより、収納された紙幣と紙幣との間に形成された隙間により自動精査カセットが満杯になることを抑制することができるという効果が得られる。
また、収納された紙幣と紙幣との間に形成された隙間により自動精査カセットが満杯になることで必要になる係員の操作負担を軽減させることができるという効果が得られる。
【実施例2】
【0035】
第2の実施例の構成は、図1および図2に示す第1の実施例の構成と同様なので同一の符号を付してその説明を省略する。なお、本実施例では、図1および図2に示す自動精査カセット7を売上金回収カセットとして使用するものとする。
上述した構成の作用について説明する。
紙幣処理装置が行なう売上金回収処理を図7の第2の実施例における紙幣処理装置の売上金回収処理の動作を示す説明図に基づいて図1および図2を参照しながら説明する。なお、万券カセット4に収納されている紙幣を回収する動作を説明する。
【0036】
ステップ1:紙幣処理装置20の制御部21は、万券カセット4に収納されている所定枚数の紙幣を万券カセット4の分離機構により1枚ずつ分離して繰出し、紙幣搬送部23により紙幣鑑別部3を経由して紙幣搬送路23aを搬送して紙幣一時保留部2へ集積する。なお、所定枚数とは、紙幣一時保留部2に集積することができる紙幣の最大枚数以下の枚数(例えば、150枚)である。なお、本動作を開始するとき、自動精査カセット7に紙幣は収納されていないものとする。
ステップ2:所定枚数の紙幣を紙幣一時保留部2へ集積した制御部21は、図7に示すように、紙幣一時保留部2に集積したすべての紙幣を1枚ずつ紙幣搬送路23aへ送り出し、紙幣搬送部23により紙幣鑑別部3を経由して紙幣搬送路23aを搬送して自動精査カセット7へ集積する。
【0037】
制御部21は、上述したステップ1およびステップ2の動作を繰り返し、万券カセット4に収納されている紙幣をすべて自動精査カセット7へ搬送し、紙幣鑑別部3において紙幣の枚数を計数して自動精査カセット7に収納する。
このようにして、制御部21は、万券カセット4に収納されているすべての紙幣を自動精査カセット7へ搬送して収納するとともに計数して売上金回収処理を行う。
なお、紙幣処理装置20の制御部21は、五千券カセット5および千券カセット6についても同様の処理を行うようにしても良い。
【0038】
次に、万券カセットが満杯に近い状態において紙幣処理装置が行なう売上金回収処理を図5に基づいて図1および図2を参照しながら説明する。
紙幣処理装置20の制御部21は、上述したステップ1およびステップ2の動作を繰り返して行なうとき、万券カセット4から紙幣一時保留部2を経由させて自動精査カセット7に収納した紙幣の枚数が自動精査カセット7において満杯に近くなった場合、図5に示すように、紙幣4bを万券カセット4から紙幣一時保留部2を経由させて自動精査カセット7へ移動させる動作を一旦停止する。
【0039】
ここで、自動精査カセット7に収納した紙幣の枚数が自動精査カセット7において満杯に近くなった場合とは、自動精査カセット7に収納した紙幣7bの枚数が自動精査カセット7の紙幣の収納可能枚数の所定の割合、すなわち閾値を超えた場合であり、例えば自動精査カセット7の紙幣の収納可能枚数が2500枚であるとき、その80%以上である2000枚以上の紙幣を収納した場合に、自動精査カセット7において満杯に近くなったとする。なお、本実施例では、自動精査カセット7に収納した紙幣7bの枚数で自動精査カセット7が満杯に近くなったことを判定するようにしたが、センサ等の検知手段を設けて検知するようにしても良い。
【0040】
自動精査カセット7に収納した紙幣の枚数が自動精査カセット7において満杯に近くなったことを検知した制御部21は、図6に示すように、自動精査カセット7のステージ7aを所定の速度で上昇させてステージ7a上に集積させた紙幣7bの上部を分離機構である分離ローラ7cに当接させ、さらに押圧してステージ7a上に集積させた紙幣7b間の隙間を減少させる。
ステージ7a上に集積させた紙幣7b間の隙間を減少させた制御部21は、ステージ7aを所定の速度で下降させ、ステージ7a上に集積させた紙幣7bと自動精査カセット7の上端部との間に紙幣を収納する空間を形成する。
【0041】
なお、ステージ7aを下降させる速度を、ステージ7aを上昇させる速度よりも遅くするようにしても良い。ステージ7aを下降させる速度を遅くすることにより、ステージ7a上に集積させた紙幣7bのふくらみを防止することができる。
このように、自動精査カセット7に収納した紙幣のふくらみを低減させて紙幣を収納する空間を形成することにより、万券カセット4内のすべての紙幣を自動精査カセット7へ移動する前に、自動精査カセット7が満杯の状態となって売上金回収処理を継続して行うことができなくなることを防止することができる。
【0042】
ステージ7aを下降させた制御部21は、上述したステップ1およびステップ2の動作を再開して万券カセット4内のすべての紙幣を自動精査カセット7へ移動し、売上金回収処理を完了する。
紙幣処理装置20の制御部21は、五千券カセット5および千券カセット6から自動精査カセット7へ紙幣を移動するときも同様の動作を行い、ステージ7a上に集積させた紙幣7bと自動精査カセット7の上端部との間に紙幣を収納する空間を形成する。
【0043】
以上説明したように、第2の実施例では、売上金回収処理において、自動精査カセットのステージを上昇させてステージ上に集積させた紙幣の上部を分離機構である分離ローラに当接させて押圧するようにしたことにより、収納された紙幣と紙幣との間に形成された隙間により自動精査カセットが満杯になることを抑制することができるという効果が得られる。
また、収納された紙幣と紙幣との間に形成された隙間により自動精査カセットが満杯になることで必要になる係員の操作負担を軽減させることができるという効果が得られる。
なお、第1の実施例および第2の実施例では、現金管理機に備えられた紙幣処理装置として説明したが、それに限られることなく、商業施設などに設置され、紙幣の入出金を管理する紙幣処理装置としても良い。
【符号の説明】
【0044】
1 紙幣投入口
2 紙幣一時保留部
3 紙幣鑑別部
4 万券カセット
5 五千券カセット
6 千券カセット
7 自動精査カセット
8 リジェクト部
20 紙幣処理装置
21 制御部
22 記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7