(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
鋳造用砂中子などの鋳型を造型する場合、上型と下型とでなる1対の金型を支持プレートに取り付けた状態で鋳型造型装置に組み込み、上型と下型とを合わせてキャビティに鋳物砂を所定圧力で充填することにより鋳型を造型することが一般に行われている。
【0003】
前記鋳型造型装置では、被固定部材である金型を支持プレートに所定位置において取り付けるためにクランプ装置が用いられ、このクランプ装置は、金型メンテナンスや金型交換などを行うために金型を支持プレートに着脱可能に取り付けるように構成されている。
【0004】
鋳型造型装置に用いるクランプ装置として、例えば特許文献1には、ばね部材のばね力によるクランプ部材のクランプ方向の回動により、クランプ部材の係合部を模型定盤に設けられた当接部と係合させて模型定盤をキャリアプレートに締結させると共に、押動装置によってクランプ部材をばね部材のばね力に抗してアンクランプ方向に回動させることにより、クランプ部材の係合部を当接部から離脱させて模型定盤をキャリアプレートから取り外すように構成した固定装置が開示されている。
【0005】
また、金型に形成された傾斜面部と当接する傾斜面部を有するクランプ部材をロッドの先端部に取り付けて該ロッドを金型側へ移動させることにより、クランプ部材の傾斜面部を金型の傾斜面部と当接させて金型を支持プレートに取り付けるように構成したクランプ装置も知られている。
【0006】
図13は、従来のクランプ装置を説明するための説明図である。
図13に示すクランプ装置100は、支持プレート101に取り付けられたシリンダ102と、シリンダ102のロッド103に固定して取り付けられた傾斜面部105aを有するクランプ部材105とを有しており、金型111には、側面部111aの切欠部111bに傾斜面部111cが設けられている。
【0007】
そして、ロッド103を金型111に対して矢印X方向に金型111に近づく方向に移動させることにより、クランプ部材105の傾斜面部105aが金型111の傾斜面部111cと当接して金型111を支持プレート101にクランプする。また、ロッド103を金型111に対して矢印X方向に金型111から離れる方向に移動させることにより、クランプ部材105の傾斜面部105aが金型111の傾斜面部111cから離れて金型111を支持プレート101からアンクランプする。
【0008】
このようにして構成されるクランプ装置100では、クランプ部材105の傾斜面部105aを金型111の傾斜面部111cと当接させて金型111を支持プレート101にクランプしているが、キャビティに鋳物砂が充填される造型時にクランプ部材105が上方へ移動して金型111が移動するおそれがある。
【0009】
図14は、従来の別のクランプ装置を説明するための説明図である。
図14に示すクランプ装置120は、
図13に示すクランプ装置100の支持プレート101にクランプ部材105の上方への移動を規制する規制部材121が取り付けられたものである。このクランプ装置120によれば、規制部材121によって造型時にクランプ部材105が上方へ移動して金型111が移動することを抑制することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、
図14に示すクランプ装置120は、クランプ部材105の傾斜面部105aを金型111の傾斜面部111cと当接させて金型111を支持プレート101にクランプすると共に造型時に金型111が移動することを抑制することができるものの、例えば鋳物砂がクランプ部材105の上面105bと規制部材121の対向面121aとの間に侵入した場合など、クランプ部材105が動かなくなって、金型111を支持プレート101からアンクランプすることができないおそれがある。そのため、砂や粉塵等が飛散する雰囲気に設置される被固定部材としての金型は支持プレートに確実にクランプ及びアンクランプできるクランプ装置、クランプ機構が求められる。
【0012】
本発明は、前記技術的課題に鑑みてなされたものであり、被固定部材を支持プレートに確実にクランプすることができると共に被固定部材が移動することを抑制することができ、且つ被固定部材を支持プレートから確実にアンクランプすることができる被固定部材のクランプ装置及びクランプ機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するため、本発明は次のように構成したことを特徴とする。
【0014】
まず、本願の請求項1に係る発明は、被固定部材を支持プレートに取り付ける被固定部材のクランプ装置であって、前記被固定部材に対して水平方向に移動可能なロッドを有し、支持部材に取り付けられたシリンダと、前記被固定部材
の前記ロッド側に設けられた
前記ロッド側に向かうにつれて下方に傾斜する傾斜面部
と面接触する前記被固定部材側に向かうにつれて上方に傾斜する傾斜面部を有する上側突出部と、前記被固定部材の傾斜面部の下方に設けられた縦壁面部と
面接触する前記上側突出部の傾斜面部の下方に設けられた縦壁面部を有する下側突出部と備え、前記ロッドに連結される断面略コ字状のクランプ部材と、前記ロッドの先端部に固定されると共に前記クランプ部材を遊嵌状態で保持し、前記ロッドと前記クランプ部材を連結する連結部材と、前記支持プレートに取り付けられ
ると共に前記クランプ部材の上方に延びる部分を備え、前記クランプ部材の上方に延びる部分の下面部が前記クランプ部材の上面と係合することにより前記クランプ部材の上方への移動
を規制する規制部材と、を備え、前記ロッドは、前記被固定部材側に移動して前記ロッドの先端部によって前記クランプ部材を前記被固定部材側に押圧するとき、前記ロッドの先端部が前記クランプ部材の反被固定部材側において前記上側突出部側を押圧し、前記クランプ部材は、前記ロッドの先端部によって前記被固定部材側に押圧されることにより、前記規制部材によって前記クランプ部材の上方への移動
が規制された状態で前記クランプ部材の縦壁面部が前記被固定部材の縦壁面部と
面接触すると共に前記クランプ部材の傾斜面部が前記被固定部材の傾斜面部と
面接触して、前記被固定部材を前記支持プレートに取り付けることを特徴とする。
【0015】
また、本願の請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記被固定部材は、鋳型造型金型の下型であることを特徴とする。
【0016】
更に、本願の請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に係る発明において、前記クランプ部材は、
該クランプ部材が保持される前記連結部材の前記被固定部材側に配置される縦面部を備えて前記連結部材に前記クランプ部材が保持される部分を前記被固定部材側から覆う異物侵入防止部材を備えていることを特徴とする。
【0017】
また更に、本願の請求項4に係る発明は、被固定部材を支持プレートに取り付ける被固定部材のクランプ機構であって、前記被固定部材に対して水平方向に移動可能なロッドを有するシリンダを支持部材に取り付け、前記被固定部材
の前記ロッド側に設けられた
前記ロッド側に向かうにつれて下方に傾斜する傾斜面部
と面接触する前記被固定部材側に向かうにつれて上方に傾斜する傾斜面部を有する上側突出部と、前記被固定部材の傾斜面部の下方に設けられた縦壁面部と
面接触する前記上側突出部の傾斜面部の下方に設けられた縦壁面部を有する下側突出部と備えた断面略コ字状のクランプ部材を前記ロッドに連結させ、前記ロッドと前記クランプ部材を連結する連結部材を前記ロッドの先端部に固定させると共に前記連結部材に前記クランプ部材を遊嵌状態で保持させ、
前記クランプ部材の上方に延びる部分を備えて前記クランプ部材の上方に延びる部分の下面部が前記クランプ部材の上面と係合することにより前記クランプ部材の上方への移動
を規制する規制部材を前記支持プレートに取り付け、前記ロッドは、前記被固定部材側に移動して前記ロッドの先端部によって前記クランプ部材を前記被固定部材側に押圧するとき、前記ロッドの先端部が前記クランプ部材の反被固定部材側において前記上側突出部側を押圧し、前記クランプ部材は、前記ロッドの先端部によって前記被固定部材側に押圧されることにより、前記規制部材によって前記クランプ部材の上方への移動
が規制された状態で前記クランプ部材の縦壁面部を前記被固定部材の縦壁面部と
面接触させると共に前記クランプ部材の傾斜面部を前記被固定部材の傾斜面部と
面接触させて、前記被固定部材を前記支持プレートに取り付けるように構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
以上の構成により、本願各請求項の発明によれば、次の効果が得られる。
【0019】
まず、本願の請求項1に係る発明によれば、傾斜面部を有する上側突出部と縦壁面部を有する下側突出部と備えてロッドに連結される断面略コ字状のクランプ部材と、ロッドに固定されると共にクランプ部材を遊嵌状態で保持する連結部材と、クランプ部材の上方への移動
を規制する規制部材とを備え、クランプ部材は、ロッドによって被固定部材側に押圧されることにより、規制部材によってクランプ部材の上方への移動
が規制された状態で縦壁面部が被固定部材の縦壁面部と
面接触すると共に傾斜面部が被固定部材の傾斜面部と
面接触して、被固定部材を支持プレートに取り付ける。なお、被固定部材とはクランプ部材によって支持プレートに固定して取り付けられる部材をいう。
【0020】
これにより、クランプ部材によって被固定部材を支持プレートに確実にクランプすることができると共に規制部材によって被固定部材が移動することを抑制することができる。また、クランプ部材は遊嵌状態で連結部材に保持されるので、アンクランプするときに規制部材に対してクランプ部材が動かなくなることを抑制することができ、被固定部材を支持プレートから確実にアンクランプすることができる。なお、シリンダを支持する支持部材は、前記支持プレートであってもよく、或いは支持プレートに設けられた開口内に設置された別体の支持部材であってもよい。
【0021】
また、本願の請求項2に係る発明によれば、被固定部材は、鋳型造型金型の下型であることにより、金型メンテナンスや金型交換などの頻度が比較的多くなり得る鋳型造型において、前記効果を有効に得ることができる。特に、鋳型造型金型の下型は、鋳物砂が堆積し易く、クランプ部材と金型との間やクランプ部材と規制部材との間に鋳物砂が侵入するおそれがあることから、前記効果を有効に得ることができる。
【0022】
更に、本願の請求項3に係る発明によれば、クランプ部材は、
連結部材の被固定部材側に配置される縦面部を備えて連結部材にクランプ部材が保持される部分を被固定部材側から覆う異物侵入防止部材を備えていることにより
、前記効果をより有効に奏することができる。
【0023】
また更に、本願の請求項4に係る発明によれば、傾斜面部を有する上側突出部
と縦壁面部を有する下側突出部と備えた断面略コ字状のクランプ部材をロッドに連結させ、連結部材をロッドに固定させると共に連結部材にクランプ部材を遊嵌状態で保持させ、クランプ部材の上方への移動
を規制する規制部材を支持プレートに取り付け、クランプ部材は、ロッドによって被固定部材側に押圧されることにより、規制部材によって上方への移動
が規制された状態で縦壁面部を被固定部材の縦壁面部と
面接触させると共に傾斜面部を被固定部材の傾斜面部と
面接触させて、被固定部材を支持プレートに取り付けるように構成する。
【0024】
これにより、クランプ部材によって被固定部材を支持プレートに確実にクランプすることができると共に規制部材によって被固定部材が移動することを抑制することができる。また、クランプ部材は遊嵌状態で連結部材に保持されるので、アンクランプするときに規制部材に対してクランプ部材が動かなくなることを抑制することができ、被固定部材を支持プレートから確実にアンクランプすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るクランプ装置を含む金型(被固定部材)構造を概略的に示す側面図である。
図2は、
図1におけるA方向から見た金型構造を示す図である。
図3は、
図2におけるB部を拡大して示す金型構造の斜視図である。なお、
図1では、鋳型造型装置に組み込んだ状態の金型構造を、鋳物砂を収容するブローヘッドと共に示している。
【0027】
本発明の実施形態に係るクランプ装置は、鋳造用砂中子などの鋳型を造型するための鋳型造型装置に用いられる鋳型造型金型(被固定部材)を支持プレートに取り付けるためのものであり、本実施形態に係るクランプ装置が適用される鋳型造型金型1は、
図1から
図3に示すように、上型10と下型20とを備えている。
【0028】
鋳型造型金型1は、上型10と下型20とがそれぞれ支持プレート15、25に取り付けられた状態で鋳型造型装置(不図示)に組み込まれる。前記鋳型造型装置では、
図1の矢印Z方向に下方へ支持プレート15を移動して上型10と下型20とを合わせた後に、支持プレート15の上側に取り付けられたブローヘッド2から連通孔(不図示)を通じてキャビティに鋳物砂を所定圧力で充填することにより鋳物が造型される。
【0029】
図2に示すように、下型20は、水平方向に分割された4つの分割型、すなわち第1分割型21、第2分割型22、第3分割型23及び第4分割型24から構成されている。第1、第2、第3及び第4分割型21、22、23、24はそれぞれ、平面視で略四角形状に形成され、鋳型を造型するためのキャビティ21a、22a、23a、24aが上面から凹状に窪んで形成されている。
【0030】
第1分割型21には、上型10と下型20とを位置合わせするための2つの位置決め用突部21dが上面から突出して形成されており、2つの位置決め用突部21dは、
図2に示すように対角線方向に設けられている。第2、第3及び第4分割型22、23、24についても同様に、第2、第3及び第4分割型22、23、24にはそれぞれ、上面から突出する2つの位置決め用突部22d、23d、24dが対角線方向に形成されている。
【0031】
下型20では、第1分割型21と第2分割型22とが対向するように配置され、第3分割型23と第4分割型24とが第1分割型21と第2分割型22とを挟んで対向するように配置され、第1、第2、第3及び第4分割型21、22、23、24は環状に配置されている。
【0032】
第1分割型21と第2分割型22はそれぞれ、対向する側面部においてX方向の中央側からY方向に突出する突出部21c、22cを備えており、第1分割型21の突出部21cと第2分割型22の突出部22cとが対向するように設けられている。
【0033】
第1、第2、第3及び第4分割型21、22、23、24が支持プレート25において所定位置に位置付けられると、後述する第1クランプ装置30及び第2クランプ装置40を作動させて第1、第2、第3及び第4分割型21、22、23、24が支持プレート25に取り付けられる。
【0034】
上型10についても同様に、上型10は、水平方向に分割された4つの分割型、すなわち第1、第2、第3及び第4分割型から構成され、第1、第2、第3及び第4分割型はそれぞれ平面視で略四角形状に形成され、鋳型を造型するためのキャビティが上面から凹状に窪んで形成されている。
【0035】
上型10についても、第1分割型と第2分割型とが対向するように配置され、第3分割型と第4分割型とが第1分割型と第2分割型とを挟んで対向するように配置され、第1、第2、第3及び第4分割型は環状に配置されている。また、第1分割型と第2分割型はそれぞれ、対向する側面部においてX方向の中央側からY方向に突出する突出部を備えており、第1分割型の突出部と第2分割型の突出部とが対向するように設けられている。
【0036】
上型10の第1、第2、第3及び第4分割型にはそれぞれ、下型20の第1、第2、第3及び第4分割型21、22、23、24の位置決め用突部21d、22d、23d、24dに対応して、上型10と下型20とを位置合わせするための2つの位置決め用穴部が上面から窪んで形成され、2つの位置決め用穴部は対角線方向に設けられている。
【0037】
鋳型造型金型1では、前記鋳型造型装置に組み込まれて上型10と下型20とが合わせられるとき、上型10の位置決め用穴部が下型20の位置決め用突部21d、22d、23d、24dと嵌合し、上型10の第1、第2、第3及び第4分割型と下型20の第1、第2、第3及び第4分割型21、22、23、24とがそれぞれ合わせられる。
【0038】
上型10と下型20とが合わせられると、第1分割型21どうしによるキャビティ21aと、第2分割型22どうしによるキャビティ22aと、第3分割型23どうしによるキャビティ23aと、第4分割型24どうしによるキャビティ24aとによって4つのキャビティが形成される。なお、鋳型造型装置1において、上型10と下型20とを合わせたときに1つのキャビティや2つ以上のキャビティを形成するようにしてもよい。
【0039】
前述したように、下型20は、支持プレート25上の所定位置に位置付けられると第1クランプ装置30及び第2クランプ装置30を作動させて第1、第2、第3及び第4分割型21、22、23、24が支持プレート25に取り付けられるようになっているが、上型10については、上型10の位置決め用穴部を下型20の位置決め用突部21d、22d、23d、24dと嵌合させることにより、下型20に対して位置決めされ、その後に第1クランプ装置30及び第2クランプ装置40を作動させて支持プレート15に取り付けられる。
【0040】
図2に示すように、鋳型造型金型1では、第1、第2、第3及び第4分割型21、22、23、24が環状に配置され、第1クランプ装置30は、鋳型造型金型1の外周側に配設され、第2クランプ装置40は、鋳型造型金型1の内周側に配設されている。
【0041】
ここで、本発明の実施形態に係るクランプ装置である第2クランプ装置40について説明する。
【0042】
第2クランプ装置40は、第1、第2及び第3分割型21、22、23によって囲まれた空間内及び第1、第2及び第4分割型21、22、24によって囲まれた空間内に配設され、第1分割型21と第2分割型22とを支持プレート25に取り付けるように構成されている。
【0043】
なお、第1、第2及び第3分割型21、22、23によって囲まれた空間内に配設される第2クランプ装置40と、第1、第2及び第4分割型21、22、24によって囲まれた空間内に配設される第2クランプ装置40とは同様に構成されているので、第1、第2及び第3分割型21、22、23によって囲まれた空間内に配設された第2クランプ装置40について説明する。
【0044】
図3に示すように、第1分割型21の突出部21cは、第1分割型21の上面から突出する上側突出部21eと第1分割型21の下面から突出する下側突出部21fとを有し、上側突出部21eと下側突出部21fとは、平面視で略同一矩形状に形成されている。
【0045】
上側突出部21eと下側突出部21fとは上下方向に離間して形成され、下側突出部21fには被クランプ部材26が固定して取り付けられている。被クランプ部材26は、X方向に対称に形成され、下側突出部21fのX方向両端側の略垂直方向に延びる縦壁面部21gに連続して略垂直方向に延びる縦壁面部26aと、縦壁面部26aから上方へ所定角度θで傾斜する傾斜面部26bとを備えている。
【0046】
第2分割型22についても同様に、第2分割型22の突出部22cは、第2分割型22の上面から突出する上側突出部22eと第1分割型22の下面から突出する下側突出部22fを有し、上側突出部22eと下側突出部22fとは、平面視で略同一矩形状に形成されている。
【0047】
上側突出部22eと下側突出部22fとは上下方向に離間して形成され、下側突出部22fには被クランプ部材27が固定して取り付けられている。被クランプ部材27は、X方向に対称に形成され、下側突出部22fのX方向両端側の略垂直方向に延びる縦壁面部22gに連続して略垂直方向に延びる縦壁面部27aと、該縦壁面部27aから上方へ所定角度θで傾斜する傾斜面部27bとを備えている。
【0048】
このようにして、第1分割型21に傾斜面部26bと該傾斜面部26bの下方に設けられた縦壁面部21gとが形成され、第2分割型22に傾斜面部27bと該傾斜面部27bの下方に設けられた縦壁面部22gとが形成されている。第2クランプ装置40は、第1及び第2分割型21、22の傾斜面部26b、27bと縦壁面部21g、22gとに当接して第1及び第2分割型21、22を支持プレート25に取り付ける。
【0049】
本実施形態では、第2クランプ装置40は、第1及び第2分割型21、22の傾斜面部26b、27bと縦壁面部21g、22gとに当接して第1及び第2分割型21、22を支持プレート25に取り付けているが、第1分割型21の傾斜面部26bと縦壁面部21gとに当接して第1分割型21のみを支持プレート25に取り付けるようにしてもよく、また第2分割型22の傾斜面部27bと縦壁面部22gとに当接して第2分割型22のみを支持プレート25に取り付けるようにしてもよい。
【0050】
また、本実施形態では、第1及び第2分割型21、22について、下側突出部21f、22fに被クランプ部材26、27を固定して取り付けることにより傾斜面部26b、27bと縦壁面部21g、22gとを有するように形成されているが、被クランプ部材26、27と同様の形状を有するように第1及び第2分割型21、22を形成するようにしてもよい。
【0051】
図4は、本発明の実施形態に係るクランプ装置を示す斜視図であり、第2クランプ装置40を示している。
図5は、
図4に示すクランプ装置の上面図、
図6は、
図5におけるY6−Y6線に沿ったクランプ装置の断面図、
図7は、
図5におけるY7−Y7線に沿ったクランプ装置の断面図、
図8は、
図5におけるC方向から見たクランプ装置の正面図、
図9は、
図6におけるD部を拡大して示す要部拡大図である。なお、
図4から
図9では、被クランプ部材26、27及び支持プレート25についても示している。
【0052】
図4から
図9に示すように、第2クランプ装置40は、第1及び第2分割型21、22に対して水平方向にX方向に移動可能なロッド42を有するシリンダ41と、ロッド42に連結されるクランプ部材50と、ロッド42とクランプ部材50とを連結する連結部材45とを備えている。
【0053】
シリンダ41は、支持プレート25に固定して取り付けられ、ロッド42が水平方向にX方向に延びるように配設されている。ロッド42は、略円柱状に形成され、第1及び第2分割型21、22の側へ、具体的には第1及び第2分割型21、22の被クランプ部材26、27が配設される部分へ移動されるとき、座金46を介してロッド42の先端部によってクランプ部材50を押圧するように形成されている。即ち、ロッド42が被クランプ部材26、27に向かって移動するにつれて次第に座金46がロッド42とクランプ部材50とに当接、密着するようになっている。この形態であれば、クランプ部材50の回動が可能となり、逆にアンクランプさせる際にはロッド42を被クランプ部材26、27から離間する方向に後退させることでロッド42とクランプ部材50との間の座金46がフリーとなり、連結部材45が遊嵌状態に戻る。
【0054】
クランプ部材50は、
図9に示すように、第1及び第2分割型21、22の側へ突出する上側突出部51と下側突出部52とを備え、断面略コ字状に形成されている。クランプ部材50では、上側突出部51は下側突出部52よりも突出するように形成されている。
【0055】
上側突出部51の下面には、第1及び第2分割型21、22の側へ、具体的には第1及び第2分割型21、22の被クランプ部材26、27が配設される部分へ向かうにつれて上方へ所定角度θで傾斜する傾斜面部51aが設けられている。一方、下側突出部52の先端には、略垂直方向に延びる縦壁面部52aが設けられている。
【0056】
クランプ部材50は、ロッド42の先端部によって押圧されて第1及び第2分割型21、22を支持プレート25に取り付けるとき、上側突出部51の傾斜面部51aが第1及び第2分割型21、22の傾斜面部26b、27bと当接し、下側突出部52の縦壁面部52aが第1及び第2分割型21、22の縦壁面部21g、22gと当接する。
【0057】
クランプ部材50の上側突出部51の傾斜面部51aと下側突出部52の縦壁面部52aとは、第1及び第2分割型21、22の傾斜面部26b、27bと縦壁面部21g、22gに対応して形成され、クランプ部材50によって第1及び第2分割型21、22をクランプするときに、クランプ部材50の傾斜面部51aと縦壁面部52aとがそれぞれ第1及び第2分割型21、22の傾斜面部26b、27bと縦壁面部21g、22gとに面接触するように形成されている。
【0058】
以上の説明から分かるように、クランプ部材50の上側突出部51の傾斜面部51aは第1及び第2分割型21、22の傾斜面部26b、27bと当接し、クランプ部材50の下側突出部52の縦壁面部52aは第1及び第2分割型21、22の縦壁面部21g、22gと当接するとともにクランプ部材50は縦壁面部21g、22gと下側突出部52の当接部を支点として回動し、さらにクランプ部材50とロッド部材42とは座金46を介して当接する。即ち、これらの面部が同時に当接して押圧されることにより、確実に傾斜面部26b、27bに対して上方からのクランプ力を伝えることができる。
【0059】
連結部材45は、取付ボルトによって構成され、六角穴部を有する頭部45aとネジ部を有する軸部45bとを備えている。連結部材45の軸部45bは、ロッド42の先端部より細く形成され、軸部45bの先端部がロッド42の先端部に形成されたネジ穴部42bに固定して取り付けられる。
【0060】
連結部材45はまた、クランプ部材50を遊嵌状態で保持するように構成されている。具体的には、連結部材45とクランプ部材50とのクリアランスは0.5mm〜1.0mmが設定されて遊嵌状態とされている。クランプ部材50には、連結部材45を取り付けるための取付穴部50aが、クランプ部材50の上側突出部51側にX方向に貫通して形成されている。
【0061】
クランプ部材50の取付穴部50aは、連結部材45の頭部45aの外径より内径が大きく形成された第1穴部50bと、連結部材45の軸部45bの外径より内径が大きく形成される第2穴部50cとを有している。第2穴部50cはまた、連結部材45の頭部45aの外径より内径が小さく形成されると共にロッド42の外径より内径が小さく形成されている。
【0062】
連結部材45は、
図9に示すように、クランプ部材50の第1穴部50側から挿入して軸部45bをロッド42の先端部に取り付けることにより、クランプ部材45を遊嵌状態で保持することができるように形成されている。連結部材45とロッド42との間には座金46が配設されている。
【0063】
クランプ部材50にはまた、異物(例えば、鋳砂、粉塵、樹脂等)が侵入することを防止するための異物侵入防止部材55が備えられている。異物侵入防止部材55は、クランプ部材50の取付穴部50aに異物が侵入することを防止するためのものであり、水平方向に延びる上面部55aと上面部55aのX方向一端側から下方へ延びる縦面部55bとを備えて形成されている。
【0064】
クランプ部材50には、異物侵入防止部材55を挿入するための挿入穴部50dが上側突出部51を上下方向に貫通するように形成されている。異物侵入防止部材55は、上面部55aが縦面部55bからロッド42側に延びるようにしてクランプ部材50の挿入穴部50dに挿入され、連結部材45が取り付けられた取付穴部50aを覆うように形成されている。
【0065】
異物侵入防止部材55は、上面部55aに円弧状の切欠部55cが形成されており、切欠部55cをクランプ部材50の上面に取り付けられた位置決めボルト56の頭部56aと合わせることにより、クランプ部材50の所定位置に位置決めされる。
【0066】
異物侵入防止部材55はまた、クランプ部材50の所定位置に位置決めされた後に、締結ボルト57をクランプ部材50の上面に取り付けることにより、締結ボルト57の頭部57aによって異物侵入防止部材55の上面部55bが固定されてクランプ部材50に取り付けられる。
【0067】
第2クランプ装置40はまた、クランプ部材50の上方への移動を所定位置において規制する2つの規制部材60を備えている。規制部材60は、支持プレート25に固定して取り付けられ、クランプ部材50のY方向両側に配設されている。2つの規制部材60は、クランプ部材50を、例えば0.5mm程度のクリアランスをもって挟むように対称に形成されている。したがって、上述した連結部材45とクランプ部材50とのクリアランスと、2つの規制部材60とクランプ部材50とのクリアランスとによってクランプ部材50の回動が確保されるようになっている。さらに、これらのクリアランスを設けることで砂等の噛み込みが抑制されるメリットも得られる。
【0068】
規制部材60は、上側が下側に比してクランプ部材50側に突出して形成され、クランプ部材50側に突出した部分の下面部60aは、略水平方向に延びるように形成されている。規制部材60の下面部60aは、クランプ部材50によって第1及び第2分割型21、22をクランプするときに、クランプ部材50のY方向の両側面から外方に突出する突出部58と係合するように形成され、クランプ部材50の上方への移動を規制するように設けられている。クランプ部材50の突出部58は、
図7に示すように、上面が略半円形状に形成されている。
【0069】
第2クランプ装置40では、規制部材60によってクランプ部材50の上方への移動が所定位置において規制された状態でクランプ部材50の縦壁面部52aが第1及び第2分割型21、22の縦壁面部21g、22gと当接すると共にクランプ部材50の傾斜面部51aが第1及び第2分割型21、22の傾斜面部26b、27bと当接して、第1及び第2分割型21、22を支持プレート25に取り付ける。
【0070】
図10は、
図4に示すクランプ装置の動作を説明するための説明図であり、第2クランプ装置40の動作を説明するための説明図である。
第2クランプ装置40を用いて第1及び第2分割型21、22を支持プレート25に取り付ける際には、
図10(a)に示すように、支持プレート25に第1及び第2分割型21、22が所定位置に位置決めされた状態で、クランプ部材50が連結されたロッド42を第1及び第2分割型21、22の側へ移動させる。
【0071】
クランプ部材50は、ロッド42の先端部に固定された連結部材42に遊嵌状態で保持されているので、上下方向及びX方向に移動可能に保持されている。例えば
図10(a)に示すように、クランプ部材50は、上側が下側に比してロッド42側に傾いた状態で保持される。
【0072】
そして、
図10(a)に示す状態から、ロッド42をX方向に第1及び第2分割型21、22の側へ移動させると、座金46を介してロッド42の先端部によってクランプ部材50の反第1及び第2分割型21、22側が押圧され、
図10(b)に示すように、クランプ部材50の下側突出部52の縦壁面部52aの一部と第1及び第2分割型21、22の縦壁面部21gの一部とが当接する。
【0073】
図10(b)に示す状態からさらに、ロッド42をX方向に第1及び第2分割型21、22の側へ移動させると、座金46を介してロッド42の先端部によってクランプ部材50の反第1及び第2分割型21、22側がさらに押圧され、
図10(c)に示すように、
図10(b)においてクランプ部材50の下側突出部52の縦壁面部52aと第1及び第2分割型21、22の縦壁面部21g、22gとの当接部分を支点としてクランプ部材50が矢印R方向に回動され、クランプ部材50の縦壁面部52aが第1及び第2分割型21、22の縦壁面部21g、22gと当接すると共にクランプ部材50の傾斜面部51aが第1及び第2分割型21、22の傾斜面部26b、27bと当接する。
【0074】
図11は、
図10(c)におけるY11−Y11線に沿った断面図である。
図11に示すように、クランプ部材50の縦壁面部50aが第1及び第2分割型21、22の縦壁面部21g、22gと当接すると共にクランプ部材50の傾斜面部51aが第1及び第2分割型21、22の傾斜面部26b、27bと当接するときに、規制部材60の下面部60aは、クランプ部材50の突出部58と当接する。
【0075】
本実施形態では、規制部材60によってクランプ部材50の上方への移動が規制された状態で、クランプ部材50の縦壁面部52aが第1及び第2分割型21、22の縦壁面部21g、22gとが面接触すると共にクランプ部材50の傾斜面部51aが第1及び第2分割型21、22の傾斜面部26b、27bとが面接触する。
【0076】
このようにして、第2クランプ装置40は、規制部材60によってクランプ部材50の上方への移動が所定位置において規制された状態でクランプ部材50の縦壁面部52aが第1及び第2分割型21、22の縦壁面部21g、22gと当接すると共にクランプ部材50の傾斜面部51aが第1及び第2分割型21、22の傾斜面部26b、27bと当接して、第1及び第2分割型21、22を支持プレート25に取り付ける。
【0077】
このように、本実施形態に係るクランプ装置40は、傾斜面部51aを有する上側突出部51と縦壁面部52aを有する下側突出部52と備えてロッド42に連結される断面略コ字状のクランプ部材50と、ロッド42に固定されると共にクランプ部材50を遊嵌状態で保持する連結部材45と、クランプ部材50の上方への移動を所定位置で規制する規制部材60とを備え、クランプ部材50は、ロッド42によって金型21、22側に押圧されることにより、規制部材60によってクランプ部材50の上方への移動が所定位置で規制された状態で縦壁面部51aが金型21、22の縦壁面部21g、22gと当接すると共に傾斜面部51aが金型21、22の傾斜面部26b、27bと当接して、金型21、22を支持プレート25に取り付ける。
【0078】
これにより、クランプ部材50によって金型21、22を支持プレート25に確実にクランプすることができると共に規制部材60によって造型時に金型21、22が移動することを抑制することができる。また、クランプ部材50は遊嵌状態で連結部材45に保持されるので、アンクランプするときに規制部材60に対してクランプ部材50が動かなくなることを抑制することができ、金型21、22を支持プレート25から確実にアンクランプすることができる。
【0079】
また、金型21、22は、鋳型造型金型1の下型20であることにより、金型メンテナンスや金型交換などの頻度が比較的多くなり得る鋳型造型において、前記効果を有効に得ることができる。特に、鋳型造型金型1の下型20は、鋳物砂が堆積し易く、クランプ部材50と金型21、22との間やクランプ部材50と規制部材60との間に鋳物砂が侵入するおそれがあることから、前記効果を有効に得ることができる。
【0080】
更に、クランプ部材50は、異物が侵入することを防止するための異物侵入防止部材55を備えていることにより、クランプ部材50と金型21、22との間に鋳物砂が侵入することを抑制することができ、前記効果をより有効に奏することができる。
【0081】
一方、第1クランプ装置30は、水平方向においてY方向に移動可能なロッド32を有するシリンダ31と、ロッド32に連結されたY方向に延びるクランプ部材33とを有し、クランプ部材33は、ロッド32が水平方向にY方向に移動されることによりY方向に移動されるようになっている。
【0082】
図12は、
図2におけるY12−Y12線に沿った断面図である。
図12に示すように、クランプ部材33は、先端部の下面に第1分割型21に向かうにつれて上側へ傾斜する傾斜面部33aを備え、クランプ部材33に対向する第1分割型21の側面部には、クランプ部材33の傾斜面部33aに対応する傾斜面部21bが形成されている。
【0083】
そして、ロッド32が水平方向にY方向に第1分割型21側に移動されると、クランプ部材33が第1分割型21側にY方向に移動され、クランプ部材33の傾斜面部33aと第1分割型21の傾斜面部21bとが当接して第1分割型21が下側へ押圧され、第1分割型21が支持プレート25に取り付けられる。
【0084】
第1、第2、第3及び第4分割型21、22、23、24が支持プレート25の所定位置に位置付けられた後に、8つの第1クランプ装置30によって第1、第2、第3及び第4分割型21、22、23、24のY方向の側面部がそれぞれクランプされることにより、第1、第2、第3及び第4分割型21、22、23、24が支持プレート25に固定して取り付けられる。
【0085】
鋳型造型金型1では、前述したように、下型20は、第1クランプ装置30及び第2クランプ装置40を用いて第1、第2、第3及び第4分割型21、22、23、24が支持プレート25に取り付けられているが、上型10についても同様に、第1クランプ装置30及び第2クランプ装置40を用いて第1、第2、第3及び第4分割型が支持プレート15に取り付けられるようになっている。
【0086】
なお、
図1及び
図2に示す鋳型造型金型1では、第1、第2、第3及び第4分割型21、22、23、24が平面視で日の字状に配置され、鋳型造型金型1の内周側に第2クランプ装置40を配設し、鋳型造型装置1の外周側に第1クランプ装置30を配設しているが、鋳型造型装置1の外周側に配設される第1クランプ装置30に代えて第2クランプ装置40を用いることも可能である。
【0087】
以上のように、本実施形態に係るクランプ機構は、傾斜面部51aを有する上側突出部51と縦壁面部52aを有する下側突出部52と備えた断面略コ字状のクランプ部材50をロッド42に連結させ、連結部材45をロッド42に固定させると共に連結部材45にクランプ部材50を遊嵌状態で保持させ、クランプ部材50の上方への移動を所定位置で規制する規制部材60を支持プレート25に取り付け、クランプ部材50は、ロッド42によって金型21、22側に押圧されることにより、規制部材60によって上方への移動が所定位置で規制された状態で傾斜面部51aを金型21、22の傾斜面部26b、27bと当接させると共に縦壁面部52aを金型21、22の縦壁面部21g、22gと当接させて、金型21、22を支持プレート25に取り付けるように構成する。
【0088】
これにより、クランプ部材50によって金型21、22を支持プレート25に確実にクランプすることができると共に規制部材60によって造型時に金型21、22が移動することを抑制することができる。また、クランプ部材60は遊嵌状態で連結部材45に保持されるので、アンクランプするときに規制部材60に対してクランプ部材50が動かなくなることを抑制することができ、金型21、22を支持プレート25から確実にアンクランプすることができる。