(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
プレゼンテーション用の画像を描画した画面を表示装置を介して表示させるための信号を出力する機能を有する情報処理装置と、前記情報処理装置と通信可能であり操作者が把持して操作する操作装置とを組み合わせてなるプレゼンテーション用システムであって、
前記操作装置が、
当該操作装置の運動方向を検出する動作検出部と、
操作者の手指による、前記画面を見る観者に対して当該画面上のある位置を指し示すためのオブジェクトを画面内に出現させるべき旨を示す入力を受け付ける入力受付部と、
前記動作検出部で検出した当該操作装置の運動方向の情報を前記情報処理装置に向けて送信するとともに、前記入力受付部で前記オブジェクトを画面内に出現させるべき旨の入力を受け付けたときにはその情報を情報処理装置に向けて送信する送信部とを具備し、
前記情報処理装置が、
前記操作装置からもたらされる情報を受信する受信部と、
前記画面内において、以前に前記オブジェクトを描画していた位置から、前記受信部で受信した前記操作装置の運動方向の情報に対応する移動方向に変位した位置を、以後にオブジェクトを描画するべき位置として決定する位置決定部と、
前記受信部で受信した前記オブジェクトを前記画面内に出現させるべき旨の情報に基づき、前記位置決定部で決定した描画位置にカーソルオブジェクトをプレゼンテーション用の画像に重ねて描画し、かつ当該カーソルオブジェクトと画面の外周縁部とを結ぶ指示線オブジェクトをプレゼンテーション用の画像に重ねて描画した結果の画面を、表示装置に表示させるための信号を出力する表示制御部とを具備しており、
前記操作装置の入力受付部が、操作者の手指による、前記指示線オブジェクトの基端の位置を変更する旨を示す入力を受け付け、
前記操作装置の送信部が、前記入力受付部で前記指示線オブジェクトの基端の位置を変更する旨の入力を受け付けたときにその情報を前記情報処理装置に向けて送信し、
前記情報処理装置の表示制御部が、前記受信部で受信した前記指示線オブジェクトの基端の位置を変更する旨の情報に基づき、それ以前に描画していた指示線オブジェクトに替えて、当該指示線オブジェクトから基端の位置を変更した後の指示線オブジェクトをプレゼンテーション用の画像に重ねて描画した結果の画面を、表示装置に表示させるための信号を出力する、プレゼンテーション用システム。
前記操作装置の入力受付部が、操作者の手指による、前記画面を見る観者に対して当該画面上のある位置を指し示すためのオブジェクトの態様を変更する旨を示す入力を受け付け、
前記操作装置の送信部が、前記入力受付部で前記オブジェクトの態様を変更する旨の入力を受け付けたときにその情報を前記情報処理装置に向けて送信し、
前記情報処理装置の表示制御部が、前記受信部で受信した前記オブジェクトの態様を変更する旨の情報に基づき、オブジェクトの態様のうちの何が変更されるのかを示すサインを、プレゼンテーション用の画像を覆い隠すメニューを表示させることなしにプレゼンテーション用の画像に重ねて描画し、さらに、それ以前に描画していたオブジェクトに替えて、当該オブジェクトから態様を変更した後のオブジェクトをプレゼンテーション用の画像に重ねて描画した結果の画面を、表示装置に表示させるための信号を出力する請求項1、2または3記載のプレゼンテーション用システム。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0018】
<1.ハードウェア資源>
本実施形態のプレゼンテーション用システムは、会議や講演会、講義等の場で使用されることを想定したものであり、
図1に示すように、プレゼンテーション用の画像7を描画した画面6を表示装置を介して表示させるための信号を出力する機能を有する情報処理装置1と、操作者が把持して操作する情報送信可能な操作装置2と、情報処理装置1に接続され操作装置2から送信される情報を受信して情報処理装置1に提供する受信器3とを備えて構成される。
【0019】
表示装置は、図示例では、スクリーン5(または、壁面)に画面6を投影するプロジェクタ4である。但し、表示装置はプロジェクタ4には限定されず、液晶ディスプレイやその他のものであっても構わない。
【0020】
図2に示すように、情報処理装置1は、汎用的なパーソナルコンピュータやワークステーション、携帯情報端末、携帯電話端末、ビデオゲーム機等の如く、CPU(Central Processing Unit)1a、メインメモリ1b、補助記憶デバイス1c、操作入力デバイス1d、オーディオコーデック1e、ビデオコーデック1f、通信インタフェース1g等のハードウェア資源を備え、これらがコントローラ(システムコントローラ、I/Oコントローラ等)1hにより制御されて連携動作するものである。
【0021】
補助記憶デバイス1cは、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ、光学ディスクドライブ、その他である。操作入力デバイス1dは、手指で操作可能な押下ボタンやキーボード、マウス、タッチパネル、トラックパッド等である。オーディオコーデック1eは、符号化されている音声データを復号化してスピーカから音声出力したり、マイクを介して収音した音声を符号化したりする。
【0022】
ビデオコーデック1fは、CPU1aより受けた描画指示をもとに表示させるべき画面6を生成しその画面信号をディスプレイまたはプロジェクタ4に向けて送出するGPU(Graphics Processing Unit)、画面6や画像7のデータを一時的に格納しておくビデオメモリ等を要素とする。オーディオコーデック1e、ビデオコーデック1fはそれぞれ、ハードウェアでなくソフトウェアとして実装することも可能である。
【0023】
通信インタフェース1gは、電気通信回線を経由した情報通信を行うためのデバイスであり、NIC(Network Interface Card)や無線LAN(Local Area Network)デバイス、bluetooth(登録商標)デバイス、携帯電話網に接続するための無線デバイス等に代表される。これら以外に、USB(Universal Serial Bus)、IEEE1394等のインタフェースを採用することもできる。
【0024】
CPU1aによって実行されるべきプログラムは補助記憶デバイス1cに格納されており、プログラムの実行の際には補助記憶デバイス1cからメインメモリ1bに読み込まれ、CPU1aによって解読される。本実施形態では、既知のOS(Operating System)プログラムやこれに付帯する各種デバイスドライバプログラムが予めインストールされ、他のプログラムによる上記ハードウェア資源の利用を仲介する。
【0025】
さらに、アプリケーションプログラムとして、プレゼンテーションに用いるプログラム、即ちスライドやページ等を表示したり、画像7及び/または音声を再生したり、録画/録音したりするためのプログラムが予めインストールされている。アプリケーションプログラムは、必要に応じてバージョンアップしてもよいし、追加でインストールしたりアンインストールしたりしてもよい。
【0026】
操作装置2は、電池駆動のリモートコントローラ型のポインティングデバイスである。
図4及び
図6に示すように、本実施形態の操作装置2は、操作者が把持して操作することのできる本体に、操作入力デバイス2a、モーションセンサ2b、通信インタフェース2c及びこれらを制御する制御回路2d等を収めたものである。
【0027】
操作装置2の操作入力デバイス2aは、手指で操作可能な複数の押下ボタン2a1、2a2、2a3、2a4、2a5、2a6、2a7、2a8である。
図6に、操作装置2の押下ボタン2a1、2a2、2a3、2a4、2a5、2a6、2a7、2a8の配置例を示す。
【0028】
表示ボタン2a1は、レーザポインタにおけるレーザ光照射ボタンを模したものであり、操作者がこの表示ボタン2a1を押下操作している間、ディスプレイに表示またはプロジェクタ4がスクリーン5に投影している画面6内に、画面6上のある位置を指し示すためのオブジェクト8が表示される。オブジェクト8の描画は、情報処理装置1が司る。このオブジェクト8は、レーザポインタを使用してプレゼンテーションを行う際における、ディスプレイまたはスクリーン5の表面に照射されたレーザ光の輝点に相当する。
【0029】
ページ送りボタン2a2及びページ戻しボタン2a3は、主として、情報処理装置1上で実行されるアプリケーションプログラムの機能を制御する目的で押下操作される。ページ戻しボタン2a3に対する操作は、ページ送りボタン2a2に対する操作とは逆の意味を持つ。例えば、プログラムが複数のスライドまたはページを順次表示するプレゼンテーションソフトである場合、ページ送りボタン2a2に対する操作はスライドまたはページを次のものに切り替える旨を意味し、ページ戻しボタン2a3に対する操作はスライドまたはページを前のものに戻す旨を意味する。プログラムが画像7や音声を再生する再生ソフトである場合、ページ送りボタン2a2に対する操作は画像7や音声を再生する旨を意味し、ページ戻しボタン2a3に対する操作は画像7や音声の再生を停止、または巻き戻す旨を意味する。プログラムが画像7や音声を記録する録画/録音ソフトである場合、ページ送りボタン2a2に対する操作は録画または録音する旨を意味し、ページ戻しボタン2a3に対する操作は録画または録音を停止する旨を意味する。プレゼンテーションの場では、表示ボタン2a1及びページ送りボタン2a2の操作頻度が比較的高く、ページ戻しボタン2a3の操作頻度はそれよりも低いと考えられる。
【0030】
暗転ボタン2a4もまた、情報処理装置1上で実行されるアプリケーションプログラムの機能を制御する目的で押下操作される。例えば、プログラムが複数のスライドまたはページを順次表示するプレゼンテーションソフトである場合、暗転ボタン2a4に対する操作は画面6を一旦暗転させてスライドまたはページを見せなくする、あるいは逆に暗転させていた画面6を元通りに戻してスライドまたはページを再び見せる旨を意味する。暗転ボタン2a4の機能は、操作装置2を操作する演者自身が観者の注意を引きたいようなときに便利である。
【0031】
因みに、情報処理装置1が汎用的なOSをインストールしたパーソナルコンピュータ等であるとすると、ページ送りボタン2a2の押下は、(ワイヤレス)マウスの主ボタンのクリック、または(ワイヤレス)キーボードの右方向カーソルキー等の押下と同義となる。ページ戻しボタン2a3の押下は、マウスの副ボタンのクリック、またはキーボードの左方向カーソルキー等の押下と同義となる。さらに、ページ送りボタン2a2の長押しは、キーボードのF5キー等の押下(または、キーボードのShiftキーとF5キーとの同時押下等。既知のプレゼンテーション用アプリケーションプログラムにおいては、複数のスライドまたはページを順次表示するプレゼンテーションの開始の命令)と同義となり、ページ戻しボタン2a3の長押しは、キーボードのEscキー等の押下(既知のプレゼンテーション用アプリケーションプログラムにおいては、プレゼンテーションの終了の命令)と同義となる。暗転ボタン2a4の押下は、キーボードのBキー等の押下と同義となる。
【0032】
図1に示しているように、操作装置2の設定ボタン2a5、2a6、2a7、2a8は、通常は蓋によって覆い隠されている。
図6に示しているように、その蓋をスライドさせ、または取り外せば、設定ボタン2a5、2a6、2a7、2a8を手指で操作可能に露出させることができる。設定ボタン2a5、2a6、2a7、2a8は、画面6内に出現させるオブジェクト8の形状、寸法、色彩、指示線の有無といったオブジェクト8の態様を変更する目的で押下操作される。本実施形態における操作装置2は、設定ボタン2a5、2a6、2a7、2a8を複数有している。即ち、オブジェクト8の形状を変える形ボタン2a5、オブジェクト8の寸法を変える大小(または、サイズ)ボタン2a6、オブジェクト8の色相や色の濃度を変える色ボタン2a7、オブジェクト8の指示線の有無を切り替える指示線ボタン2a8である。
【0033】
なお、
図6に示したボタン2a1、2a2、2a3、2a4、2a5、2a6、2a7、2a8の配置はあくまでも一例に過ぎず、ボタン配置は任意に変更してよい。また、蓋を設けず、設定ボタン2a5、2a6、2a7、2a8を常に表出させておいても構わない。
【0034】
モーションセンサ2bは、操作者が把持する操作装置2の運動の方向及び距離を検知するためのものである。本実施形態では、モーションセンサ2bとしてジャイロセンサを実装しており、少なくとも、操作装置2本体の垂直軸回りの運動である左右方向に首を振るパン動作の角速度、及び水平軸回りの運動である上下方向に首を振るチルト動作の角速度を、それぞれ検出することが可能である。尤も、モーションセンサ2bとして、加速度センサや、ジャイロセンサと加速度センサとを兼ねたセンサ等を採用しても構わない。
【0035】
通信インタフェース2cは、本実施形態では、受信器3を介して情報処理装置1と情報通信を行うためのデバイスであって、無線信号を送出する無線トランシーバを主体とする。但し、受信器3を介さず、操作装置2から直接に情報処理装置1に情報を送信する態様をとることを妨げない。具体的には、情報処理装置1に実装しているUSB等のインタフェースに有線で操作装置2を接続したり、情報処理装置1に実装している無線LANデバイス、bluetoothデバイス等を利用して無線で操作装置2を接続したりすることが考えられる。この場合、操作装置2には、情報処理装置1と通信するためのインタフェース2cとして、USBインタフェース、無線LANデバイス、bluetoothデバイス等を実装しておく。
【0036】
操作入力デバイス2a、モーションセンサ2b、通信インタフェース2cは、制御回路2dに電気的に接続している。制御回路2dは、操作入力デバイス2aたる各ボタン2a1、2a2、2a3、2a4、2a5、2a6、2a7、2a8が押下操作されたとき、何れのボタンが押下操作されているのかを示す情報を、通信インタフェース2cを介して送信する。並びに、モーションセンサ2bによって検出した操作装置2の運動の方向及び量(加速度、速度または距離)の情報を、通信インタフェース2cを介して送信する。
【0037】
受信器3は、操作装置2から情報処理装置1に向けた情報の伝送を仲立ちする中継手段であり、操作装置2が発信した無線信号を受信する無線トランシーバを主体とする。受信器3は、情報処理装置1の通信インタフェース1g、特にUSB等のインタフェースに接続し、操作装置2から無線信号の形でもたらされた情報を復調して情報処理装置1に提供する、いわゆるUSBドングルである。この受信器3は、本実施形態のプレゼンテーション用システムを構成するべく情報処理装置1にインストールされるプログラムを記憶している記録媒体、いわゆるUSBメモリでもある。但し、操作装置2と情報処理装置1とが直接に情報を授受する態様をとる場合には、中継手段としての受信器3は不要となる。
【0038】
<2.機能ブロック>
操作者が把持して操作する操作装置2は、その制御回路2dにより、
図5に示す動作検出部201、入力受付部202及び送信部203としての機能を発揮する。
【0039】
動作検出部201は、モーションセンサ2bを利用して、操作装置2の運動の方向及び量を検出する。本実施形態では、垂直軸回りのパン動作の角速度、及び水平軸回りのチルト動作の角速度を検出する。
【0040】
入力受付部202は、操作者の手指により操作入力デバイスに加えられる操作を受け付ける。本実施形態では、表示ボタン2a1、ページ送りボタン2a2、ページ戻しボタン2a3、暗転ボタン2a4、形ボタン2a5、大小ボタン2a6、色ボタン2a7及び指示線ボタン2a8の各々に加えられる押下操作をそれぞれ受け付ける。
【0041】
送信部203は、通信インタフェース2cを利用して、動作検出部201で検出した操作装置2の運動の方向及び量の情報を、情報処理装置1に向けて送信する。並びに、入力受付部202に加えられた操作の内容、即ち表示ボタン2a1、ページ送りボタン2a2、ページ戻しボタン2a3、暗転ボタン2a4、形ボタン2a5、大小ボタン2a6、色ボタン2a7または指示線ボタン2a8が押下操作されたときに、何れのボタンが押下されているのかを示す情報を、情報処理装置1に向けて送信する。
【0042】
なお、表示ボタン2a1が押下されていない期間における操作装置2の運動の方向及び量の情報は、情報処理装置1に送信しないこととしてもよい。この場合、表示ボタン2a1が押下されている期間における操作装置2の運動の方向及び量の情報のみが、情報処理装置1に送信される。
【0043】
他方、情報処理装置1には、受信器3に格納されている、本実施形態のプレゼンテーション用システムを構成するためのプログラムが(例えば、OSのオートラン機能により自動的に)インストールされる。但し、受信器3を介さず、操作装置2から直接に情報処理装置1に情報を送信する態様をとる場合にはこの限りでなく、別の記録媒体からインストール、あるいは電気通信回線経由でダウンロードインストールされる。しかして、情報処理装置1は、インストールされたプログラムに従い、
図3に示す受信部101、位置決定部102及び表示制御部103としての機能を発揮する。
【0044】
受信部101は、操作装置2からもたらされる上述の情報を、受信器3を介して受信する。但し、既に述べている通り、操作装置2からもたらされる情報を、受信器3を解することなく直接に受信する態様をとることも可能であり、その場合には、USB、無線LANデバイス、bluetoothデバイスといった通信インタフェース1gを利用して上記の情報を受信することになる。
【0045】
位置決定部102は、情報処理装置1がディスプレイに表示またはプロジェクタ4に投影させる画面6内において、当該画面6上のある位置を指し示すためのオブジェクト8を描画するべき位置を決定する。基本的に、画面6内でのオブジェクト8の描画位置の座標は、受信部101で受信した、操作装置2の運動の方向及び量の情報に応じて演算する。即ち、以前にオブジェクト8を描画していた位置の座標から、操作装置2の運動の方向に対応した移動方向(上下及び/または左右)に、操作装置2の運動の量に対応した距離(ピクセル数)だけ変位させた座標を、以後にオブジェクト8を描画するべき位置として算定する。
【0046】
表示制御部103は、受信部101で受信した、操作装置2が受け付けた入力操作の内容に応じた描画処理を行う。即ち、ビデオコーデック1fの機能により、画面6内にオブジェクト8を描画した結果の画面6をディスプレイに表示またはプロジェクタ4に投影させるための信号を、ディスプレイまたはプロジェクタ4に向けて出力する。典型的には、操作者が操作装置2の表示ボタン2a1を押下している間、位置決定部102で決定した位置座標に、画面6上のある位置を指し示すためのオブジェクト8を描画する。
【0047】
<3.プレゼンテーション中の基本機能>
以降、本実施形態のプレゼンテーション用システムの動作を述べる。プレゼンテーションにおいて、演者たる操作者は、情報処理装置1上で、観者に見せるプレゼンテーション用の画像7を画面6に表示させるためのアプリケーションプログラムを起動する。アプリケーションプログラムは、プレゼンテーションソフト、動画や音声の再生ソフト、録画/録音ソフト等である。
【0048】
操作者は、このようなアプリケーションプログラムの機能を制御する目的で、操作装置2のページ送りボタン2a2、ページ戻しボタン2a3、暗転ボタン2a4等を操作する。ページ送りボタン2a2、ページ戻しボタン2a3または暗転ボタン2a4が押下操作されているとき、操作装置2の送信部203は当該ボタンが押下されている旨の情報を送信し、情報処理装置1の受信部101はその情報を受信する。
【0049】
そして、情報処理装置1は、ページ送りボタン2a2、ページ戻しボタン2a3または暗転ボタン2a4が押下されたことに対応した処理、例えば、次のスライドの表示や動画の再生、前のスライドの表示や動画再生の一時停止、画面6の暗転または暗転からの復帰等を実行する。情報処理装置1の表示制御部103は、画面6内にプレゼンテーション用のスライドや映像等を描画した結果の画面信号をディスプレイまたはプロジェクタ4に向けて送出する。ディスプレイまたはプロジェクタ4は、情報処理装置1からもたらされる画面信号を受け取り、画面6の表示出力を行う。
【0050】
操作者は、観者の目を画面6内の所望の位置に向けたいような場合に、表示ボタン2a1を操作する。表示ボタン2a1が押下操作されているとき、操作装置2の送信部203は表示ボタン2a1が押下されている旨の情報を送信し、情報処理装置1の受信部101はその情報を受信する。このとき、情報処理装置1は、
図1等に示すように、観者に対して画面6上のある位置を指し示すためのオブジェクト8であって、OSの機能として表示される一般的なマウスカーソル(または、マウスポインタ)0とは異なる態様のオブジェクト8を描画する。
【0051】
原則として、オブジェクト8は、位置決定部102で決定した描画位置、換言すれば操作者が指し示そうとしている位置に表示されるカーソルオブジェクト81と、当該カーソルオブジェクト81の位置と画面6の外周縁部とを結ぶ指示線オブジェクト82とで形成されている。カーソルオブジェクト81及び指示線オブジェクト82の先端の位置は、操作者が把持している操作装置2本体の運動に追従するように変位させる。表示制御部103は、カーソルオブジェクト81及び/または指示線オブジェクト82を、アプリケーションプログラムによって表示されるプレゼンテーション用のスライドや映像等に重ねて描画し、その結果の画面信号を、ディスプレイまたはプロジェクタ4に向けて送出する。
【0052】
後述するように、オブジェクト8の態様、即ちオブジェクト8の形状、寸法、模様、色彩(オブジェクト8の背後にある画像7を透過する透過色や、オブジェクト8以外の部分を暗転させることでオブジェクト8をスポットライト様に明示するものを含む)、オブジェクト8のアニメーション、指示線の有無、指示線が画面6の外周縁部の何処を基端とするか等は、操作者の任意に変更することが可能である。
【0053】
図7に、情報処理装置1がオブジェクト8の表示に際して実施する手順の例を示す。情報処理装置1は、操作者の手指によって操作装置2の表示ボタン2a1が押下されていることを条件として(ステップS1)、画面6内にオブジェクト8を描画して出現させる(ステップS2)。カーソルオブジェクト81の画面6内での描画位置座標は、CPU1aのレジスタまたはメインメモリ1bに記憶保持しており、ステップS2にてその位置座標にカーソルオブジェクト81を描画し、かつ当該位置座標と画面6の外周縁部とを結ぶ指示線オブジェクト82を描画する。指示線の基端の座標は、
図13(O)に示すように画面6の縁辺(下端辺、左端辺、右端辺または上端辺)上に定めてもよいし、
図13(P)に示すように画面6の縁辺よりもさらに外方(下方、左方、右方または上方)にあたる位置、つまりは画面6として描画されない位置の座標に定めてもよい。あるいは、指示線の基端の座標を、画面6の四隅の何れかとすることも考えられる。
【0054】
本実施形態では、指示線オブジェクト82の描画色はカーソルオブジェクト81の描画色に揃えることを想定しているが、指示線オブジェクト82をカーソルオブジェクト81とは異なる色に描画することを妨げるものではない。
【0055】
あるいは、カーソルオブジェクト81及び/または指示線オブジェクト82を描画するにあたり、プレゼンテーション用画像7におけるカーソルオブジェクト81及び/または指示線オブジェクト82が重なる部位の色(画素値)、いわば背景色をメインメモリ1b、補助記憶デバイス1cまたはビデオメモリから読み出して知得し、カーソルオブジェクト81及び/または指示線オブジェクト82その背景色に埋没しないような色(操作者や観者にとって見えやすい色、明度、彩度または色相の面で背景色とは相対する色等)に描画するようにしてもよい。
【0056】
逆に、操作装置2の表示ボタン2a1が押下されていないとき、または押下されていた表示ボタン2a1から手指が離れて押下されなくなったとき(ステップS4)には、オブジェクト8を描画せず画面6内に出現させない、つまりはオブジェクト8を消去する(このとき、OSのマウスカーソル0が替わりに表示されることがある)。表示ボタン2a1を押下している間だけオブジェクト8が出現するという点は、正にレーザポインタの挙動に近い。
【0057】
描画位置座標は、操作装置2の運動の方向及び運動の量の情報に応じて随時更新する(ステップS3)。本実施形態では、情報処理装置1が、操作装置2のパン動作の方向及び量を表す角速度と、チルト動作の方向及び量を表す角速度とをそれぞれ受信している。従って、ステップS3では、過去の位置座標(x,y)に、操作装置2のパン動作の角速度に比例した変位量Δx及びチルト動作の角速度に比例した変位量Δyを加味して新たな位置座標(x+Δx,y+Δy)を求め、これを更新後の位置座標としてCPU1aのレジスタまたはメインメモリ1bに記憶保持する。
【0058】
図7のフローチャートでは、描画位置座標の更新(ステップS3)を、操作装置2の表示ボタン2a1が押下されている期間内にのみ行うこととしている。だが、表示ボタン2a1が押下されていない期間においても操作装置2が運動の方向及び量の情報を送信してくる場合には、表示ボタン2a1が押下されていない期間内であっても継続して描画位置座標の更新を行うこととしてもよい。
【0059】
以上のステップS1ないしS4の反復を通じて、カーソルオブジェクト81及び指示線オブジェクト82の画面6内での出現位置が操作装置2の運動に応じて変位する基本機能が具現される。操作者が表示ボタン2a1を押しっぱなしにすれば、オブジェクト8が操作装置2の運動に追従して画面6内を移動するという、あたかもレーザポインタを使用してレーザ光をディスプレイまたはスクリーン5の表面に照射しているかのような操作感を得ることができる。
【0060】
ところで、画面6内の特定の位置に観者の注目を集め続けておきたい等、画面6内の特定の位置にオブジェクト8を不動に表示させたいようなことがある。そのように希望する操作者は、観者に対して画面6上のある位置を指し示すためのオブジェクト8を画面6内で位置を保ったまま出現させ続けるべき旨を示す入力を行う。例えば、操作装置2の表示ボタン2a1を短い時間内に複数回断続的に押下操作(ダブルクリック、トリプルクリック等)する。このような操作が行われた旨の情報は、操作装置2の送信部203から情報処理装置1の受信部101へと送受信される。
【0061】
操作者の手指によって上記の如き操作が行われたときには(ステップS5)、そのときにCPU1aのレジスタまたはメインメモリ1bに記憶保持している描画位置座標にオブジェクト8を描画して出現させ、かつ当該位置座標にオブジェクト8を描画し続ける(ステップS6)。ステップS6により、操作者が把持している操作装置2の本体をいくら動かしても、画面6内でカーソルオブジェクト81や指示線オブジェクト82が変位することはなくなる。
【0062】
また、ステップS6にて表示させる位置が固定のオブジェクト8の態様は、ステップS2にて表示させる通常時のオブジェクト8の態様とは相異させることが望ましい。具体的には、通常時(ステップS2)のオブジェクト8は明滅等のアニメーションをしないが、固定時(ステップS6)のオブジェクト8は明滅等のアニメーションをする、というようにである。
【0063】
オブジェクト8の固定中にオブジェクト8の固定を解除する旨の操作、例えば操作装置2の表示ボタン2a1の再押下等がなされ、その旨の情報を受信した暁には(ステップS7)、オブジェクト8の固定を解除し、オブジェクト8の描画を停止して画面6内からオブジェクト8を消去する。
【0064】
<4.オブジェクトの描画位置と操作装置の向きとのキャリブレーション>
本実施形態における操作装置2には、モーションセンサ2bとして、比較的安価なジャイロセンサを実装している。ジャイロセンサは、操作装置2の姿勢の変化即ち軸回りの旋回を伴う運動は検知できるが、操作装置2の平行移動を検知することは難しい。ディスプレイまたはスクリーン5の表面に対する、操作装置2の相対位置及び姿勢を常に感知しているわけではないため、操作者がディスプレイまたはスクリーン5に操作装置2を向けて指し示そうとしている場所と、実際にオブジェクト8が表示される場所とが次第にずれていってしまうことはどうしても避けられない。
【0065】
そこで、情報処理装置1の位置決定部102は、所定のキャリブレーション機会が発生する都度、オブジェクト8を描画するべき位置を、画面6内における所定の初期位置にリセットする。キャリブレーション機会の例としては、表示ボタン2a1または各ボタン2a1、2a2、2a3、2a4、2a5、2a6、2a7、2a8が押下操作されない期間の長さが規定のウェイト時間を超えたときや、プレゼンテーションソフトウェアの実行中におけるスライドまたはページの切り替え指令がなされたとき、即ちページ送りボタン2a2やページ戻しボタン2a3、または暗転ボタン2a4が押下操作されたとき、あるいは、オブジェクト8を描画するべき位置を初期位置にリセットする旨を明示する入力(表示ボタン2a1のトリプルクリック等)がなされたとき等を挙げることができる。
【0066】
あるいは、プレゼンテーションに用いるプログラムが情報処理装置1上でバックグラウンド(画面6に表立っていない状態)に切り換えられた、プレゼンテーションに用いるプログラムが終了したことを必須条件とし、当該状況の下で表示ボタン2a1または各ボタン2a1、2a2、2a3、2a4、2a5、2a6、2a7、2a8が押下操作されない期間の長さが規定のウェイト時間を超えたときや、ページ送りボタン2a2やページ戻しボタン2a3、または暗転ボタン2a4が押下操作されたとき等に、キャリブレーション機会が訪れたものとすることができる。
【0067】
情報処理装置1は、キャリブレーション機会が発生した場合(ステップS8)、即ち操作装置2の表示ボタン2a1が押下された旨の情報を受信することなくウェイト時間が経過した場合や、ページ送りボタン2a2、ページ戻しボタン2a3または暗転ボタン2a4が押下された旨の情報を受信した場合等に、CPU1aのレジスタまたはメインメモリ1bに記憶保持しているオブジェクト8を描画すべき位置の座標を、予め定められた初期位置に対応した座標に書き換える(ステップS9)。初期位置は、画面6の上下左右の中央、または四隅の何れかに設定することが好適である。以降のオブジェクト8の描画位置座標の更新(ステップS3)は、初期位置の座標を起点として行われることとなる。
【0068】
キャリブレーション機会の発生後、操作者は、把持している操作装置2を、ディスプレイが表示しまたはプロジェクタ4がスクリーン5に投影している画面6内の初期位置、つまりは画面6の中央等に差し向けた状態で、表示ボタン2a1を押下すればよい。さすれば、操作者が操作装置2によって狙いを付けている、操作者の意図する指示場所に、オブジェクト8が表示されるようになる。このようにして、操作装置2の向きとオブジェクト8の出現位置とのキャリブレーションが簡便に実現される。
【0069】
<5.オブジェクトの変更設定>
図9ないし
図12に、情報処理装置1の表示制御部103が画面6に描画して表示させることができるオブジェクト8の態様を例示している。カーソルオブジェクト81の形状としては、レーザ光の輝点の如き円形(A)や四角形(B)、中空の円環形状(C)、中空の四角枠状(図示せず)、星形(D)、横棒(E)、縦棒(F)、矢印(G、左上向きまたは右上向き)、指の形(図示せず、左上向きまたは右上向き)等を挙げることができる。特に、円環形状(C)は、ちょうど水面に水滴が落ちたときに生じて拡がる波紋のようなアニメーションをするものとすることができる。
【0070】
カーソルオブジェクト81の寸法は、拡大/縮小する(M、N)ことが可能である。特に、中空の形状のカーソルオブジェクト81の寸法の拡縮では、
図14(Q、R)に示すように、そのオブジェクト81の外郭線の太さがオブジェクト81全体の寸法に応じて均等に拡大するように構成することができる。この場合において、オブジェクト81全体の寸法が一定以上大きくなったならば、オブジェクト81を拡大しても外郭線の太さはそれ以上太くならないようにすることも好ましい。
【0071】
また、指示線オブジェクト82の有無を切り替える(L)こともできる。操作者は、カーソルオブジェクト81の形状や寸法等を任意に選択できるので、例えば、プレゼンテーション用の画像7内に記述されている語句や文等を円環形状または四角枠状のカーソルオブジェクト81で囲うようにして指し示し、観者に対して強調するといったことが可能になる。
【0072】
カーソルオブジェクト81や指示線オブジェクト82の色は、赤色、青色、緑色、黄色、水色、紫色、桃色、黒色等、様々である。オブジェクト8の色は、当該オブジェクト8を重ねて描画した際の背景となるプレゼンテーション用の画像7を透過させない不透明であってもよく、プレゼンテーション用の画像7を透過させる半透明(アルファチャンネル)であってもよい。さらには、オブジェクト8以外の部分を暗転させオブジェクト8をスポットライト様に明示する態様(H)をとることもできる。
【0073】
カーソルオブジェクト81の外縁、指示線オブジェクト82の外縁にはそれぞれ、それらオブジェクト8自体の色とは異なる色(例えば、白色または黒色)の縁取りを付することが好ましい。
【0074】
図11に示すように、指示線の基端は、画面6の下端部(I)、左端部(K)または右端部(J)の何れかに設定することができる。無論、画面6の上端部に設定しても構わない。
【0075】
オブジェクト8の態様の一種として、指示線オブジェクト82の態様、即ち指示線の色や太さ、形態等を任意に変更できるようにすることも考えられる。
【0076】
図8に、情報処理装置1がオブジェクト8の変更設定に際して実施する手順の例を示す。画面6に表示されるオブジェクト8の態様を変更しようとする操作者は、その旨を示す操作入力を操作装置2に対して行う。具体的には、オブジェクト8の形状を変更したい場合には形ボタン2a5を、オブジェクト8の形状を変更したい場合には大小ボタン2a6を、オブジェクト8の色を変更したい場合には色ボタン2a7を、指示線の有無または指示線の基端の位置を変更したい場合には指示線ボタン2a8を押下する。これらの押下操作を受け付けた操作装置2の送信部203は、何れのボタンが押下されたかを示す情報を、情報処理装置1に向けて送信する。
【0077】
情報処理装置1の受信部101で上記の情報を受信したときには(ステップS10)、オブジェクト8の変更モードへと移行する。変更モードでは、操作者が押下操作したボタンの種類に応じて、
図12に示すように、オブジェクト8の形状、寸法、色または指示線の何れが変更されるのかを示すサイン9を、プレゼンテーション用の画像7を消去することなく、プレゼンテーション用の画像7に重ねて描画する(ステップS11)。
図12は、ステップS10にて操作者が大小ボタン2a6を押下したことによりオブジェクト8の寸法が変更される状況を示しており、サイン9として「大小」(または、「サイズ」)という文字列を画面6内に表示させ、操作者が視認できるようにしている。ステップS10にて操作者が形ボタン2a5、色ボタン2a7または指示線ボタン2a8を押下した場合には、オブジェクト8の形状、色彩または指示線が変更されることから、それに対応したサイン9として「形」、「色」または「指示線」という文字列を画面6内に表示させる。なお、サインとして、文字列9とともに、または文字列9に替えて、アイコン画像等を描画しても構わない。
【0078】
変更モード中は、操作装置2のページ送りボタン2a2、ページ戻しボタン2a3または設定ボタン2a5、2a6、2a7、2a8の何れかを押下操作することで、オブジェクト8の態様を変更することができる。例えば、オブジェクト8の寸法が変更される状況では、ページ送りボタン2a2を押下すると、その押下回数または押下している時間の長さに比例してカーソルオブジェクト81が徐々に大きくなる。カーソルオブジェクト81の寸法が設定可能な最大寸法となった以後は、ページ送りボタン2a2を押下してもそれ以上カーソルオブジェクト81の寸法は変化しない。ページ戻しボタン2a3を押下すると、その押下回数または押下している時間の長さに比例してカーソルオブジェクト81が徐々に小さくなる。カーソルオブジェクト81の寸法が設定可能な最小寸法となった以後は、ページ戻しボタン2a3を押下してもそれ以上カーソルオブジェクト81の寸法は変化しない。大小ボタン2a6を押下すると、その押下回数または押下している時間の長さに比例してカーソルオブジェクト81が徐々に大きくなり、最大となった後さらに大小ボタン2a6が押下された場合には(ページ送りボタン2a2、ページ戻しボタン2a3とは異なり)カーソルオブジェクト81の寸法が最小に戻る。
【0079】
オブジェクト8の他の態様に関しても同様であり、ページ送りボタン2a2、ページ戻しボタン2a3または設定ボタン2a5、2a6、2a7、2a8の押下回数または押下している時間の長さに比例して、形状、色、または指示線の有無若しくは指示線の基端の位置が順次切り替わる。
【0080】
オブジェクト8の形状が変更される状況では、例えば、波紋、稠密な円、稠密な四角、稠密な星、横棒、中空の円、中空の四角、中空の星、縦棒、右向き矢印、左向き矢印、右を指す指、左を指す指、の順でカーソルオブジェクト81の態様が切り替わる。
【0081】
オブジェクト8の色が変更される状況では、例えば、不透明な(画像7を透過しない)赤色、半透明な(画像7を透過する)赤色、不透明な黄色、半透明な黄色、不透明な緑色、半透明な緑色、不透明な青色、半透明な青色、不透明な紫色、半透明な紫色、不透明な桃色、半透明な桃色、不透明な橙色、半透明な橙色、不透明な水色、半透明な水色、不透明な茶色、半透明な茶色、不透明な灰色、半透明な灰色、スポットライト、の順でカーソルオブジェクト81の態様が切り替わる。
【0082】
オブジェクト8の指示線が変更される状況では、指示線なし、画面6の右端部に基端がある指示線、画面6の下端部に基端がある指示線、画面6の左端部に基端がある指示線、の順で指示線オブジェクト82の態様が切り替わる。
【0083】
さらに、指示線の太さや色、形態等をも変更可能とするのであれば、指示線なし、画面6の右端部に基端がある細めの指示線、画面6の下端部に基端がある細目の指示線、画面6の左端部に基端がある細目の指示線、画面6の右端部に基端がある太目の指示線、画面6の下端部に基端がある太目の指示線……というように、指示線オブジェクト82の態様が切り替わる構成とすることができる。
【0084】
ページ送りボタン2a2の押下、ページ戻しボタン2a3の押下はそれぞれ、オブジェクト8の態様の順送り、逆送りを意味しており、順番が最後の態様(上記例によれば、左を指す指、スポットライトまたは画面6の左端部に基端がある指示線)に到達した後にページ送りボタン2a2を押下してもそれ以上オブジェクト8の態様は切り替わらず、順番が最初の態様(上記例によれば、波紋、不透明な赤色または指示線なし)に到達した後にページ戻しボタン2a3を押下してもそれ以上オブジェクト8の態様は切り替わらない。
【0085】
そして、設定ボタン2a5、2a6、2a7、2a8の押下は、当該設定ボタン2a5、2a6、2a7、2a8に対応するカーソルオブジェクト81または指示線オブジェクト82の態様の順送り(または、逆送り)を意味しており、順番が最後の態様に到達した後に当該設定ボタン2a5、2a6、2a7、2a8を押下するとそのオブジェクト8の態様が最初のものに戻る(または、順番が最初の態様に到達した後に当該設定ボタン2a5、2a6、2a7、2a8を押下するとそのオブジェクト8の態様が最後のものに戻る)。
【0086】
尤も、オブジェクト8が最後の態様となっている段階でページ送りボタン2a2が押下された場合に、オブジェクト8を最初の態様に戻してもよいし、オブジェクト8が最初の態様となっている段階でページ戻しボタン2a3が押下された場合に、オブジェクト8を最後の態様に戻してもよい。また、オブジェクト8が最後(または、最初)の態様となっている段階で設定ボタン2a5、2a6、2a7、2a8が押下された場合に、オブジェクト8の態様をそれ以上切り替えないようにしても構わない。
【0087】
情報処理装置1の受信部101は、変更モード中に操作装置2のページ送りボタン2a2、ページ戻しボタン2a3、設定ボタン2a5、2a6、2a7、2a8等が押下操作された旨の情報を受信し、その操作内容に応じてオブジェクト8の態様を順次切り替えて、プレゼンテーション用の画像7に重ねて描画する(ステップS12)。
【0088】
現在画面6に表示されているオブジェクト8の態様でよいと考えた操作者は、その旨を示す操作入力を操作装置2に対して行う。具体的には、表示ボタン2a1、暗転ボタン2a4(即ち、オブジェクト8の態様の変更のために操作されるボタン2a2、2a3、2a5、2a6、2a7、2a8以外のボタン)、または情報処理装置1の操作入力デバイス(特に、マウスボタン等)1dを押下する。変更モード中に操作装置2の表示ボタン2a1が押下操作された旨の情報を受信した暁には(ステップS13)、そのときのオブジェクト8の態様、即ち形状、寸法、色、指示線の有無及び基端の位置を示す情報をメインメモリ1bまたは補助記憶デバイス1cに設定情報として記憶する(ステップS14)とともに、サイン9の描画を停止してサイン9を画面6内から消去する。これにより、変更モードが終了する。以後、オブジェクト8を画面6内に表示させる際(ステップS2、ステップS6)には、ステップS14にて記憶した設定情報に則った態様のオブジェクト8を描画する。
【0089】
<6.補遺>
既知のパーソナルコンピュータ等の情報処理装置1は、いわゆるマルチモニタ機能を有している。マルチモニタとは、複数の表示装置4を一台の情報処理装置1に接続し、各表示装置に別個の画面6を表示させ、それら画面6をつなぎ合わせた全体として広大な表示領域を具現するものである。
【0090】
各画面6をつなぎ合わせた全体で一つの(x,y)座標系を仮想することができるので、本実施形態のシステムにより、ある画面6内に所在していたカーソルオブジェクト81が隣接する別の画面6内まで移動する過程を、連続的に描画し表示させることが可能である。例えば、操作者が操作装置2を左方向に大きく旋回させれば、
図15に示すように、右側の画面6内に表示されていた(図中鎖線で示す)カーソルオブジェクト81が左方に移動して右側の画面6の左端に達し、その後右側の画面6から消失すると同時に左側の画面6の右端に現れ、さらに左側の画面6内で左方に移動する(図中実線で示す)様相を呈することとなる。
【0091】
しかしながら、指示線オブジェクト82の描画表示については、カーソルオブジェクト81のように単純にはいかない。指示線オブジェクト82の基端を何れの画面6の外周部に設定するべきかという問題がある上、ある画面6と別の画面6とで寸法や解像度が相異していることが間々あり、指示線オブジェクト82を複数の画面6に跨って表示させることは容易ではないからである。
【0092】
そこで、本実施形態では、複数の画面6に跨るように指示線オブジェクト82を描画することはせず、何れの画面6内に指示線オブジェクト82を表示させるべきかを操作者に選択させるようにしている。
【0093】
マルチモニタを利用してプレゼンテーション等を行う操作者は、情報処理装置1の操作入力デバイス1dまたは操作装置2の操作入力デバイス2aを介して、マルチモニタの何れの画面6に指示線オブジェクト82を表示させるかを選択する指令を入力する。情報処理装置1がGUI(Graphical User Interface)型のOSをインストールしたパーソナルコンピュータ等である場合、例えば
図16に示すように、OSの機能として画面6内または情報処理装置1自身のディスプレイに表示されるタスクバー内の設定変更用アイコンIをマウスカーソル0でクリックする等して、指示線オブジェクト82を表示させる「モニタ」即ち画面6の選択操作をする。
【0094】
この画面6の選択を受け付け、またはその情報を受信した情報処理装置1の表示制御部103は、選択された画面6の外周部を指示線オブジェクト82の基端として当該画面6内に指示線オブジェクト82を描画する一方、当該画面6外にカーソルオブジェクト81が所在している間は指示線オブジェクト82を描画しないように処理する。
図15は、右側の画面6が指示線オブジェクト82(図中鎖線で示す)を表示させる画面6として操作者に選択されている状況を例示しており、カーソルオブジェクト81(図中実線で示す)が左側の画面6内にある間は、何れの画面6にも指示線オブジェクト82は現れない。
【0095】
キャリブレーション機会に係わるウェイト時間の長さは、操作者が指定することができる。操作者は、情報処理装置1の操作入力デバイス1dまたは操作装置2の操作入力デバイス2aを介して、ウェイト時間の長さを所定範囲内(例えば、5秒から60秒の間)で指定する。情報処理装置1がGUI型のOSをインストールしたパーソナルコンピュータ等である場合、例えば
図16に示すように、OSの機能として画面6内または情報処理装置1自身のディスプレイに表示されるタスクバー内の設定変更用アイコンIをマウスカーソル0でクリックする等して設定用ダイアログDを表示させ、ウェイト時間の長さの選択操作をする。
【0096】
このウェイト時間の指定を受け付け、またはその情報を受信した情報処理装置1の位置決定部102は、以後、指定されたウェイト時間の経過によってキャリブレーション機会が発生したと判断する。
【0097】
一個の操作装置2を複数個の受信器3の各々と関連付け、一個の操作装置2から複数個の受信器3に向けて当該操作装置2の運動方向その他の情報を送信できるようにし、各受信器3がそれぞれ接続している複数台の情報処理装置1に同じ内容の指示を与えられるようにすることも好ましい。さすれば、
図17に示しているように、操作者が一個の操作装置2を操作するのみで、各情報処理装置1がそれぞれ表示装置4を介して投影または表示させている複数の画面6に同種のオブジェクト8を描画するとともに、各オブジェクト8を同時にかつ同方向に移動させる、複数の画面6に表示されているプレゼンテーション用のスライドまたはページ7を同時に繰り替えるといった操作を行うことが可能となる。近時では、一方の画面6に日本語のプレゼンテーションを、他方の画面6に外国語のプレゼンテーションを表示させることがあり、このようなシステムの機能は非常に有用である。
【0098】
操作装置2と受信器3との関連付けは、個々の操作装置2を識別する識別子を操作装置2から受信器3に送信して受信器3内のメモリに記憶させ、及び/または、個々の受信器3を識別する識別子を受信器3から操作装置2に送信して操作装置2内のメモリに記憶させることで行う。例えば、操作装置2と受信器3とを近接させた状態で、操作装置2や受信器3に予め実装されているリンク用ボタン(図示せず)が操作者によって押下操作されたときに、操作装置2から受信器3へ、及び/または、受信器3から操作装置2へ識別子を送信し、これを受信した側で記憶保持する。
【0099】
そして、操作装置2から受信器3に向けて情報を送信するに際して、当該情報とともに操作装置2の識別子及び/または操作装置2が記憶している受信器3の識別子をも送信するようにする。これらを受信した受信器3の側では、自己が記憶している操作装置2の識別子及び/または自己に係る識別子とともにもたらされた情報のみを正規のものとして受理して情報処理装置1に与え、それ以外の情報は破棄する。このようにして、操作装置2と受信器3との関連付けが確立される。
【0100】
翻って、複数個の操作装置2をそれぞれ一個の受信器3と関連付け、各操作装置2から受信器3に向けて当該操作装置2の運動方向その他の情報を送信できるようにし、受信器3が接続している一台の情報処理装置1に複数個の操作装置2の何れからでも指示を与えられるようにすることも好ましい。さすれば、複数人が集う会議の場で各人に操作装置2を配布し、各人が操作者として、情報処理装置1が表示装置4を介して表示している画面6内のオブジェクト8を操作することが可能となる。この場合、要するに、単一のオブジェクト8を複数人で共用するということになる。
【0101】
あるいは、
図18に示すように、操作装置2を操作する各人毎にオブジェクト8を一つの画面6内に表示させ、各人が自己に割り当てられたオブジェクト8を個別に操作できるようにしてもよい。操作装置2から受信器3に情報を送信する際に、操作装置2を識別する識別子をも送信するようにすれば、受信器3を介して情報及び識別子を受信した情報処理装置1の側で、何れの操作装置2から情報がもたらされたのかを知得できる。従って、その識別子で識別される操作装置2に対応したオブジェクト8について、その描画位置を画面6で移動させたり、オブジェクト8の態様を変更したりする処理を実行することが可能である。
【0102】
操作者が設定したオブジェクト8の態様やキャリブレーション機会に係わるウェイト時間等は、情報処理装置1のメインメモリ1bまたは補助記憶デバイス1cの所要の記憶領域に一時記憶されるが、このような設定情報を受信器3のメモリに記憶保持するようにしてもよい。さすれば、使用者が別の機会にシステムを利用するにあたり、使用者が過去に設定したオブジェクト8の態様やウェイト時間等を受信器3から情報処理装置1に読み出して再設定することができる。即ち、過去の設定環境を自動的に再現することができ、使用者の好みに応じたオブジェクト8の色や形状等をシステムを利用する都度手動で再設定する手間が省略されて、システムの利便性が一層向上する。また、ある情報処置装置1から脱離した受信器3を別の情報処理装置1に再接続することで、使用者が設定した環境を持ち運ぶこともできる。
【0103】
図19に示すものは、本実施形態の操作装置2の変形例である。
図19に示している操作装置2は、操作入力デバイス2aとして、押下ボタン2a1、2a2、2a3、2a4、2a5、2a6、2a7、2a8に加え、他の押下ボタン2a9、2a10、2a11、2a12、2a13、2a14をも備えている。
【0104】
左ボタン2a9は、パーソナルコンピュータ等を操作するために使用される既知のマウスまたはこれに類するポインティングデバイスに実装されている主ボタンを模したものである。この左ボタン2a9は、いわゆる「左クリック」を実行するために押下されるボタンとなる。並びに、右ボタン2a10は、既知のマウス等に実装されている副ボタンを模したものである。この右ボタン2a10は、いわゆる「右クリック」を実行するために押下されるボタンとなる。
【0105】
ウィンドウ切替ボタン2a11は、汎用的なGUI型OSがインストールされた情報処理装置1が、OSの機能として自身のディスプレイに表示しまたはプロジェクタ4を介してスクリーン5に投影する、複数のウィンドウのうちの何れを最前面に表示させるのかを切り替える目的で操作される。ウィンドウ切替ボタン2a11の押下は、キーボードのAltキーとTabキーとを同時に押下する等の操作と同義となる(WINDOWS(登録商標) OSの場合)。
【0106】
特定アプリケーション起動ボタン2a12は、情報処理装置1にインストールされているアプリケーションプログラムのうちの特定のもの、例えば映像や音声等を再生するための再生ソフトを起動する目的で操作される。
【0107】
一覧表示ボタン2a13は、
図20に例示するように、情報処理装置1上で実行されるプレゼンテーションソフトによる、複数のスライドまたはページ71を情報処理装置1自身のディスプレイまたはスクリーン5に一覧表示させる機能を呼び出す目的で操作される。一覧表示ボタン2a13の押下は、キーボードのAltキーとvキーとを同時に押下し、その後にdキーを押下する操作(または、Escキーを押下した後、Altキーとvキーとを同時に押下し、さらにdキーを押下する操作)等と同義となる(POWERPOINT(登録商標)の場合)。
【0108】
モード切替ボタン2a14は、後述するカーソル固定モードとカーソル可動モードとの間で、モードの切り替えを行う際に操作される。
【0109】
また、
図19には明示していないが、ページ送りボタン2a2の長押しとは別に、プレゼンテーション開始を命令する目的で操作される押下ボタンを、操作入力デバイス2aとして操作装置2に設けてもよい。この押下ボタンの操作は、キーボードのShiftキーとF5キーとを同時に押下する操作等と同義となる。
【0110】
既に述べている通り、本実施形態における情報処理装置1は、汎用的なGUI型OS及びこのOS上で動作する各種アプリケーションプログラムがインストールされたパーソナルコンピュータ等と同等に機能するものである。対して、本実施形態の操作装置2は、あたかも当該情報処理装置1を操作するためのワイヤレスマウスとして用いることが可能である。
【0111】
図19に示している操作装置2の入力受付部202は、左ボタン2a9及び右ボタン2a10の各々を介して、既知のマウス等の主ボタン及び副ボタンの押下操作を模擬する操作入力を受け付けることができる。また、同操作装置2をマウスと見立てれば、動作検出部201は正にこのマウス2の運動の方向及び量を検出することができる。
【0112】
そして、送信部203は、マウスに見立てられた操作装置2の運動方向及び量の情報を情報処理装置1に向けて送信するとともに、主ボタンを模擬した左ボタン2a9または副ボタンを模擬した右ボタン2a10の押下操作があったときには、その旨の情報を情報処理装置1に向けて送信する。
【0113】
ウィンドウ切替ボタン2a11、特定アプリケーション起動ボタン2a12、一覧表示ボタン2a13、モード切替ボタン2a14等の押下操作があったときも、同様である。即ち、入力受付部202が何れかのボタン2a11、2a12、2a13、2a14に対する操作入力を受け付け、送信部203が何れのボタン2a11、2a12、2a13、2a14が操作されたのかを判別可能な情報を情報処理装置1に向けて送信する。
【0114】
情報処理装置1の受信部101は、前記操作装置2からもたらされる、当該操作装置2の運動方向及び量の情報を受信する。この情報は、マウスの運動方向及び量の情報として、情報処理装置1で動作するOS及び/またはアプリケーションプログラムに伝えられる。
【0115】
また、情報処理装置1の受信部101は、前記操作装置2からもたらされる、各ボタン2a1、2a2、2a3、2a4、2a5、2a6、2a7、2a8、2a9、2a10、2a11、2a12、2a13、2a14が押下された旨の情報を受信する。この情報は、マウスの主ボタンや副ボタン、またはキーボードにおいて該当する一または複数のキーが押下された旨の情報として、情報処理装置1で動作するOS及び/またはアプリケーションプログラムに伝えられる。
【0116】
本実施形態の操作装置2を操作する操作者は、例えば、以下のようなことを行うことができる;
(i)ページ送りボタン2a2を長押しする等して、所望のプレゼンテーションを実行開始する。プレゼンテーション中、ページ送りボタン2a2またはページ戻しボタン2a3を押下することにより、次のスライドまたはぺージをスクリーン5に投影させたり、前のスライドまたはページに戻したりする。
【0117】
(ii)プレゼンテーション中、表示ボタン2a1を押下することにより、
図1等に示したように、スクリーン5に投影しているスライドまたはページ内の任意の位置にオブジェクト8を表示させ、その位置を指し示して観者の注目を集める。
【0118】
(iii)また、任意のタイミングで、特定アプリケーション起動ボタン2a12を押下することにより、再生ソフトを起動して所望の映像を再生、スクリーン5に投影させることができる。この再生ソフトとプレゼンテーションソフトとの間の表示の切り替えは、ウィンドウ切替ボタン2a11を押下することによって行う。
【0119】
(iv)プレゼンテーションを一通り終えた後の質疑応答時間等にあって、観者からの質問を受け付ける。このとき、一覧表示ボタン2a13を押下することにより、
図20に示したように、複数のスライドまたはページ71を情報処理装置1自体のディスプレイまたはスクリーン5に一覧表示させる。そして、ワイヤレスマウスとして機能する操作装置2を操作して、マウスカーソル0を、観者から受けた質問に関連するスライドまたはページ71のある位置まで移動させる。しかる後、左ボタン2a9を押下すると、プレゼンテーションソフトにおいて、該当のスライドまたはページ71が選択された状態となる。この状態で、操作装置2に設けられている、キーボードのShiftキー及びF5キーの同時押下等に相当するボタンの操作(図示しない押下ボタンの押下、またはページ送りボタン2a2の長押し)を行うことで、選択されたスライドまたはページ71からプレゼンテーションを再開することが可能である。即ち、選択されたスライドまたはページ71のみが、スクリーン5に大写しで投影される。
【0120】
図21に、本実施形態の操作装置2の各操作入力デバイス2aと、マウスのボタンまたはキーボードのキーとの対応関係の例を示している。この対応関係を規定する情報は、操作装置2の制御回路2dに記憶保持されるか、情報処理装置1に接続する受信器3に記憶保持されるか、または、情報処理装置1にインストールされる本実施形態のプレゼンテーション用システムを構成するためのプログラムの一部として情報処理装置1のメインメモリ1b若しくは補助記憶デバイス1cに記憶保持される。
【0121】
上記の対応関係の情報が操作装置2の制御回路2dに記憶保持されている場合には、操作装置2において、各操作入力デバイス2aに加えられた操作を、マウスのボタンまたはキーボードのキーに対する操作に変換(または、翻訳)した上で、情報処理装置1に伝達する必要がある。この場合の操作装置2の送信部203は、上記の対応関係の情報に基づき、操作者の手指により操作された操作入力デバイス2aに対応するマウスのボタンまたはキーボードのキーが操作された旨の情報を、情報処理装置1に向けて送信する。例えば、左ボタン2a9が押下されたのであれば「マウスの主ボタンが押下された」旨を示す情報を送信し、ウィンドウ切替ボタン2a11が押下されたのであれば「キーボードのAltキー及びTabキーが同時に押下された」旨を示す情報を送信する。
【0122】
上記の対応関係の情報が受信器3に記憶保持されている場合には、受信器3において、各操作入力デバイス2aに加えられた操作を、マウスのボタンまたはキーボードのキーに対する操作に変換した上で、情報処理装置1に送信する。この場合の操作装置2の送信部203は、操作者の手指により操作された操作入力デバイス2aを指し示す情報を送信する。そして、その情報を受信した受信器3が、上記の対応関係の情報に基づき、操作者の手指により操作された操作入力デバイス2aに対応するマウスのボタンまたはキーボードのキーが操作された旨の情報を情報処理装置1に引き渡す。
【0123】
上記の対応関係の情報が情報処理装置1に記憶保持されている場合には、情報処理装置1において、各操作入力デバイス2aに加えられた操作を、マウスのボタンまたはキーボードのキーに対する操作に変換する。この場合の操作装置2の送信部203は、操作者の手指により操作された操作入力デバイス2aを指し示す情報を送信する。その情報を受信した受信器3は、これをそのまま情報処理装置1に引き渡す。そして、情報処理装置1上で起動している、本実施形態のプレゼンテーション用システムを構成するためのプログラムが、上記の対応関係の情報に基づき、操作者の手指により操作された操作入力デバイス2aに対応するマウスのボタンまたはキーボードのキーが操作された旨を知得するとともに、必要に応じてこれをOSまたは他のアプリケーションプログラムに伝える。
【0124】
図21に示している対応関係は、情報処理装置1にWINDOWS(登録商標) OSやPOWERPOINT(登録商標)がインストールされている場合の例である。情報処理装置1にインストールされたOSの種類またはアプリケーションプログラムの種類によっては、操作入力デバイス2aとマウスのボタンまたはキーボードのキーとの対応関係が、
図21に例示したものとは異なっている可能性がある。現実に、特定の機能を呼び出すためのいわゆるキーボードショートカットは、OSまたはアプリケーションプログラムに応じて異なる。
【0125】
操作入力デバイス2aとマウスのボタンまたはキーボードのキーとの対応関係は、情報処理装置1にインストールされたOS及び/またはアプリケーションに応じて変更することが好ましい。そのためには、操作装置2の制御回路2d、受信器3または情報処理装置1に記憶保持される上記の対応関係の情報を、適宜改変または更新可能としておくことが好適である。
【0126】
引き続き、カーソル固定モード、及びカーソル可動モードについて補足する。カーソル固定モードでは、
図7にも示しているように、操作者により操作装置2における表示ボタン2a1が押下されている間に限り、情報処理装置1(の位置決定部102)において、カーソルオブジェクト81またはマウスカーソル0の描画位置を示す位置座標(x,y)を更新する。
【0127】
カーソル固定モードでは、操作者が表示ボタン2a1を押下操作している間に限り、この操作者が把持する操作装置2の運動の方向及び量に追従して、画面6内でカーソルオブジェクト81(及び、指示線オブジェクト82)が移動する。操作者が表示ボタン2a1を押下していないとき、カーソルオブジェクト81またはマウスカーソル0の描画位置座標(x,y)は更新されず、操作者が表示ボタン2a1から手指を離す直前の座標に維持される。
【0128】
操作装置2が情報処理装置1を操作するためのマウスとして用いられる際には、操作者が表示ボタン2a1を押下していない間、情報処理装置1(の表示制御部103)が、表示ボタン2a1から操作者の手指が離れる直前にカーソルオブジェクト81が表示されていた位置座標(x,y)にマウスカーソル0を表示する。その後、操作者が操作装置2を揺動させたとしても、そのマウスカーソル0は画面6内で不動のままとなる。マウスカーソル0を移動させたいならば、操作者が表示ボタン2a1を押下しながら操作装置2を揺動させる操作を行う必要がある。
【0129】
カーソル固定モードは、画面6内に存在する比較的小さなアイコン、ボタン、リンク等をクリックする操作を行うために便利である。操作者は、表示ボタン2a1を押下しながら操作装置2を揺動させることでカーソルオブジェクト81を移動させ(これは、マウスカーソル0を移動させることにもなる)、これをクリック操作したいアイコン等に重なるように位置づけて、表示ボタン2a1から指を離す。さすれば、対象のアイコン等に重なる位置にマウスカーソル0が保定される。この状態で左ボタン2a9や右ボタン2a10を押下操作すれば、対象のアイコン等を確実にクリックできる。
【0130】
これに対し、カーソル可動モードでは、
図7と異なり、操作者により操作装置2における表示ボタン2a1が押下されていなくとも、情報処理装置1(の位置決定部102)において、カーソルオブジェクト81またはマウスカーソル0の描画位置を示す位置座標(x,y)を更新し続ける。
【0131】
従って、カーソル可動モードでは、操作者が表示ボタン2a1を押下操作している間、この操作者が把持する操作装置2の運動の方向及び量に追従して、画面6内でカーソルオブジェクト81(及び、指示線オブジェクト82)が移動する。
【0132】
操作者が表示ボタン2a1を押下していない間は、情報処理装置1(の表示制御部103)が、この操作者が把持する操作装置2の運動の方向及び量に追従して、画面6内でマウスカーソル0を移動させる。操作者が表示ボタン2a1を押下したならば、画面6内に描画表示しているマウスカーソル0を、カーソルオブジェクト81(及び、指示線オブジェクト82)に変化させることとなる。
【0133】
カーソル可動モードからカーソル固定モードへと切り替えることを希望する操作者は、入力受付部201に対し、その旨を示す操作入力を行う。具体的には、モード切替ボタン2a14を押下する。この操作を受け付けた操作装置2の送信部203は、それまで実行していた、情報処理装置1に向けた操作装置2の運動の方向及び量の情報の送信を停止する。
【0134】
あるいは、操作装置2から情報処理装置1に向けて、モードの切り替え命令が与えられた旨を示す情報を送信するようにしてもよい。この情報を受信した受信器3または情報処理装置1では、以後、操作装置2からもたらされる、当該操作装置2の運動の方向及び量の情報を無視する。これにより、情報処理装置1が、カーソルオブジェクト81またはマウスカーソル0の描画位置座標(x,y)の更新を停止するようになる。
【0135】
翻って、カーソル固定モードからカーソル移動モードへと切り替えることを希望する操作者は、入力受付部201に対し、その旨を示す操作入力を行う。具体的には、モード切替ボタン2a14を押下する。この操作を受け付けた操作装置2の送信部203は、それまで実行していなかった、情報処理装置1に向けた操作装置2の運動の方向及び量の情報の送信を再開する。
【0136】
あるいは、操作装置2から情報処理装置1に向けて、モードの切り替え命令が与えられた旨を示す情報を送信するようにしてもよい。この情報を受信した受信器3または情報処理装置1では、以後、操作装置2からもたらされる、当該操作装置2の運動の方向及び量の情報を無視せずに受け取ることとする。これにより、情報処理装置1が、カーソルオブジェクト81またはマウスカーソル0の描画位置座標(x,y)の更新を再開するようになる。
【0137】
本実施形態によれば、プレゼンテーション用の画像7を描画した画面6をディスプレイに表示またはプロジェクタ4に投影させるための信号を出力する機能を有する情報処理装置1と、前記情報処理装置1と通信可能であり操作者が把持して操作する操作装置2とを組み合わせてなるプレゼンテーション用システムであって、前記操作装置2が、当該操作装置2の運動方向を検出する動作検出部201と、操作者の手指による、前記画面6を見る観者に対して当該画面6上のある位置を指し示すためのオブジェクト8を画面6内に出現させるべき旨を示す入力(表示ボタン2a1の押下)を受け付ける入力受付部202と、前記動作検出部201で検出した当該操作装置2の運動方向の情報を前記情報処理装置1に向けて送信するとともに、前記入力受付部202で前記オブジェクト8を画面6内に出現させるべき旨の入力を受け付けたときにはその情報を情報処理装置1に向けて送信する送信部203とを具備し、前記情報処理装置1が、前記操作装置2からもたらされる情報を受信する受信部101と、前記画面6内において、以前に前記オブジェクト8を描画していた位置から、前記受信部101で受信した前記操作装置2の運動方向の情報に対応する移動方向に変位した位置を、以後にオブジェクト8を描画するべき位置として決定する位置決定部102と、前記受信部101で受信した前記オブジェクト8を前記画面6内に出現させるべき旨の情報に基づき、前記位置決定部102で決定した描画位置にカーソルオブジェクト81をプレゼンテーション用の画像7に重ねて描画し、かつ当該カーソルオブジェクト81と画面6の外周縁部とを結ぶ指示線オブジェクト82をプレゼンテーション用の画像7に重ねて描画した結果の画面6を、ディスプレイに表示またはプロジェクタ4に投影させるための信号を出力する表示制御部103とを具備するものを構成したため、レーザを使用せずに観者が見やすい、演者たる操作者がカーソルオブジェクト81によって指し示す指示箇所を常時発見しやすい好適なシステムとなる。操作者は、レーザポインタと同じようにして操作装置2を操作し、本システムを使用することが可能である。
【0138】
前記情報処理装置1の位置決定部102が、所定のキャリブレーション機会が発生する都度、オブジェクト8を描画するべき位置を前記画面6内における所定の初期位置にリセットし、前記情報処理装置1の表示制御部103が、前記位置決定部102によるリセット後最初に前記受信部101で受信した前記オブジェクト8を前記画面6内に出現させるべき旨の情報に基づき、前記初期位置にカーソルオブジェクト81をプレゼンテーション用の画像7に重ねて描画した結果の画面6を、ディスプレイに表示またはプロジェクタ4に投影させるための信号を出力するものとしているため、操作者が改めてオブジェクト8を画面6に表示させようとするに際し、ディスプレイまたはスクリーン5の画面6内における初期位置に狙いを定めて操作装置2を向けることで、操作者が意図する指示場所と実際にオブジェクト8が表示される場所とが合致するようになり、高性能かつ高価なセンシング手段を採用せずとも簡便にキャリブレーションがなされる。
【0139】
前記操作装置2の入力受付部202が、操作者の手指による、前記画面6を見る観者に対して当該画面6上のある位置を指し示すためのオブジェクト8の態様を変更する旨を示す入力(形ボタン2a5、大小ボタン2a6、色ボタン2a7または指示線ボタン2a8の押下による変更モードへの移行、変更モード中のページ送りボタン2a2、ページ戻しボタン2a3、形ボタン2a5、大小ボタン2a6、色ボタン2a7または指示線ボタン2a8の押下)を受け付け、前記操作装置2の送信部203が、前記入力受付部202で前記オブジェクト8の態様を変更する旨の入力を受け付けたときにその情報を前記情報処理装置1に向けて送信し、前記情報処理装置1の表示制御部103が、前記受信部101で受信した前記オブジェクト8の態様を変更する旨の情報に基づき、オブジェクト8の態様のうちの何が変更されるのかを示すサイン9を、プレゼンテーション用の画像7を覆い隠すメニューを表示させることなしにプレゼンテーション用の画像7に重ねて描画し、さらに、それ以前に描画していたオブジェクト8に替えて、当該オブジェクト8から態様を変更した後のオブジェクト8をプレゼンテーション用の画像7に重ねて描画した結果の画面6を、ディスプレイに表示またはプロジェクタ4に投影させるための信号を出力するものとしたため、プレゼンテーション中であっても操作者が操作装置2を操作してオブジェクト8の態様を変更設定することができる。変更モードに移行してもプレゼンテーション用の画面6が必ずしも覆い隠されないので、観者のプレゼンテーションへの関心、集中の妨げとならない。
【0140】
前記操作装置2の入力受付部202が、操作者の手指による、前記画面6を見る観者に対して当該画面6上のある位置を指し示すためのオブジェクト8を前記画面6内でその位置を保ったまま出現させ続けるべき旨を示す入力(表示ボタン2a1のダブルクリックまたはトリプルクリック等)を受け付け、前記操作装置2の送信部203が、前記入力受付部202で前記オブジェクト8を前記画面6内で位置を保ったまま出現させ続けるべき旨の入力を受け付けたときにその情報を前記情報処理装置1に向けて送信し、前記情報処理装置1の表示制御部103が、前記受信部101で受信した前記オブジェクト8を前記画面6内で位置を保ったまま出現させ続けるべき旨の情報に基づき、それ以前に描画していたオブジェクト8に替えて、当該オブジェクト8とは異なる態様のオブジェクト8をプレゼンテーション用の画像7に重ねて描画した結果の画面6を、ディスプレイに表示またはプロジェクタ4に投影させるための信号を出力するものとしたため、操作装置2を空中で不動に固定するように支えておかなくとも、操作者の必要に応じて、画面6内でオブジェクト8を特定の位置に表示させ続けておくことが可能となる。その上、観者の注目を集めるような態様のオブジェクト8を表示させ続けておくことで、プレゼンテーションの効果を一層高めることにも寄与し得る。
【0141】
前記情報処理装置1がパーソナルコンピュータ等であり、前記操作装置2の入力受付部202が、操作者の手指による、パーソナルコンピュータ等を操作するために用いられるマウスのボタンの押下操作を模擬する入力を受け付け、前記操作装置2の送信部203が、前記入力受付部202で前記マウスのボタンの押下操作を模擬する入力を受け付けたときにその情報を前記情報処理装置1に向けて送信し、前記情報処理装置1の受信部101が、前記操作装置2からもたらされる、当該操作装置2の運動方向の情報を前記マウスの運動方向を模擬するものとして受信するとともに、前記マウスのボタンの押下操作を模擬する入力があった旨の情報をも受信することから、操作装置2をパーソナルコンピュータ等1を操作するためのマウスまたはこれに類するポインティングデバイスとして利用することも可能となっている。
【0142】
なお、本発明は以上に詳述した実施形態に限られるものではない。例えば、操作装置2にレーザ光出力モジュールを実装し、操作装置2をレーザポインタとしても使用できるようにしてもよい。操作装置2をレーザポインタとして使用する場合、表示ボタン2a1が、レーザ光を出射させるための出射ボタンの役割を担うものとしてもよい。
【0143】
操作装置2は、ワイヤレスマウスとしての利用に供することができる。
【0144】
上記実施形態では、指示線オブジェクト82の基端の位置を操作者が選択するものとしていたが、操作装置2のモーションセンサ2bがディスプレイまたはスクリーン5の表面に対する操作装置2の相対位置(操作装置2がディスプレイまたはスクリーン5の画面6中央部位から見て左側にあるのか、右側にあるのか、下側にあるのか、上側にあるのか等)を恒常的に感知でき、その情報を情報処理装置1が受信できる場合には、操作装置2の相対位置に応じて、情報処理装置1の位置決定部102が自動的に指示線オブジェクト82の基端の位置(画面6の左端部、右端部、下端部または上端部)を決定するようにしてもよい。
【0145】
操作装置2から情報処理装置1に向けて無線で情報を送信する場合、両者の距離が離れすぎてしまうと、必要な情報の授受がうまくいかなくなるおそれがある。そこで、操作装置2に実装しているモーションセンサ(特に、加速度センサまたは六軸モーションセンサ)2bにより検出される操作装置2の運動から、操作装置2と情報処理装置1との距離を(情報処理装置1または操作装置2において)推算し、両者の距離が所定閾値以上となったときにその旨を操作者に報知することも好ましい。報知は、情報処理装置1と接続している表示装置たるディスプレイやプロジェクタ4等に表示出力させることで、あるいは、操作装置2に実装している発光デバイス、表示デバイス、音声出力デバイスまたは振動デバイス等を介して出力させることで行う。
【0146】
上記実施形態における操作装置2では、オブジェクト8の態様の種別(形状、大小(サイズ)、色、指示線)毎に個別の設定ボタン2a5、2a6、2a7、2a8を実装していたが、このようなものではない操作入力デバイス2aを操作装置2に実装することを妨げない。例えば、操作入力デバイス2aとして、オブジェクト8の態様の種別を選択するダイヤルやカーソルキー等の一つの操作手段または操作ボタンを実装しておき、当該操作手段または操作ボタンでオブジェクト8の態様の種別を選択した上で、ページ送りボタン2a2、ページ戻しボタン2a3等を押下操作することにより、オブジェクト8に係る選択された態様を変更できるように構成することが考えられる。
【0147】
その他、各部の具体的構成や処理の手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。