(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
[A]重合体成分における上記構造単位(I)の含有割合が、[A]重合体成分を構成する全構造単位に対して、0.1モル%以上50モル%以下である請求項1又は請求項2に記載の液浸上層膜形成用組成物。
[A]重合体成分が、重合体(A1)と同一又は異なる重合体中に、フッ素化アルキル基及びフッ素化ヒドロキシアルキル基からなる群より選択される少なくとも1種の基を含み、かつ上記式(1)で表される基を含まない構造単位(II)をさらに有する請求項1又は請求項2に記載の液浸上層膜形成用組成物。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<液浸上層膜形成用組成物>
本発明の液浸上層膜形成用組成物は、[A]重合体成分及び[B]溶媒を含有する。当該液浸上層膜形成用組成物は、本発明の効果を損なわない限り、[A]重合体成分、[B]溶媒に加えて、任意成分を含有していてもよい。以下、各成分について詳述する。
【0022】
<[A]重合体成分>
[A]重合体成分は、重合体(A1)を含む。この重合体(A1)は、上記式(1)で表される基を含む構造単位(I)を有する重合体である。[A]重合体成分は、重合体(A1)のみからなっていてもよく、重合体(A1)以外にも、構造単位(I)を有さない重合体(A2)を含んでいてもよい。[A]重合体成分は、重合体を1種又は2種以上含んでいてもよい。
[A]重合体成分が、上記式(1)で表されるアルカリ解離性基を有する基を含むことで、当該液浸上層膜形成用組成物から形成される液浸上層膜は、撥水性に優れ、かつアルカリ現像液に対する溶解性が良好となる。その結果、レジストパターン形成におけるブリッジ欠陥、ブロッブ欠陥等の現像欠陥を抑制することができ、パターン形状に優れるレジストパターンを形成することが可能となる。
【0023】
また、[A]重合体成分は、重合体(A1)と同一又は異なる重合体中に、上記構造単位(I)に加えて、フッ素化アルキル基及びフッ素化ヒドロキシアルキル基からなる群より選択される少なくとも1種の基を含み、かつ上記式(1)で表される基を含まない構造単位(II)、及び/又はスルホ基、カルボキシ基及び上記式(11)で表される基からなる群より選択される少なくとも1種の構造単位(III)をさらに有することが好ましい。また、[A]重合体成分は、本発明の効果を損なわない限り、これらの構造単位以外にその他の構造単位を有してもよい。なお、[A]重合体成分は、各構造単位を1種単独で有していてもよいし、2種以上有していてもよい。
【0024】
重合体(A1)としては、上記構造単位(I)に加えて、フッ素化アルキル基及びフッ素化ヒドロキシアルキル基からなる群より選択される少なくとも1種の基を含み、かつ上記式(1)で表される基を含まない構造単位(II)をさらに有することが好ましい。また、重合体(A1)は、本発明の効果を損なわない限り、これらの構造単位以外にその他の構造単位を有してもよい。なお、重合体(A1)は、各構造単位を1種単独で有していてもよいし、2種以上有していてもよい。
【0025】
構造単位(I)を有さない重合体(A2)としては、スルホ基、カルボキシ基及び上記式(11)で表される基からなる群より選択される少なくとも1種の構造単位(III)を有することが好ましい。
【0026】
[A]重合体成分において、重合体(A1)とは互いに異なる重合体(A2)が極性の高いスルホ基、カルボキシ基又は上記式(11)で表される基を含むと、当該液浸上層膜形成用組成物において、撥水性の高い重合体(A1)成分を液浸上層膜表面に偏在化させることができる。それにより、当該液浸上層膜形成用組成物から形成される液浸上層膜は、撥水性等の基本特性を十分に満足することができる。また、重合体(A2)が、極性の高いスルホ基、カルボキシ基又は上記式(11)で表される基を含むと、アルカリ現像時のアルカリへの可溶性に優れ、現像時の欠陥抑制の効果が高い。重合体(A2)が構造単位(III)を有する場合、この構造単位(III)以外に、フッ素化アルキル基及びフッ素化ヒドロキシアルキル基からなる群より選択される少なくとも1種の基を含み、かつ上記式(1)で表される基を含まない構造単位(II)をさらに有することが好ましい。また、重合体(A2)は、本発明の効果を損なわない限り、その他の構造単位を有していてもよい。なお、重合体(A2)は、各構造単位を1種単独で有していてもよいし、2種以上を有していてもよい。
以下、各構造単位について、詳述する。
【0027】
[構造単位(I)]
構造単位(I)は、上記式(1)で表される基を含む構造単位である。構造単位(I)は、構造単位中に上記式(1)で表される基を1個又は複数個有していてもよく、複数種有していてもよい。
【0028】
上記式(1)中、R
1は、アルカリ解離性基である。R
2は、(n+1)価の連結基である。Aは、−CO−O−*、−SO
2−O−*、酸素原子又は−NR
3−である。R
3は、水素原子又はアルカリ解離性基である。*は、R
1に結合する部位を示す。但し、Aが酸素原子であるとき、R
2のAに直結する部位が、カルボニル基又はスルホニル基となる場合はない。nは、1〜3の整数である。但し、nが2以上の場合、複数のR
1及びAは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0029】
上記R
1で表されるアルカリ解離性基としては、レジストパターン形成方法の現像工程において用いられるアルカリ現像液によって解離する基であって、フッ素原子を含むものであっても、フッ素原子を含まないものであってもよく、特に限定されないが、炭素数1〜20の1価の炭化水素基、上記式(3)で表される基、又は上記式(4)で表される基であることが好ましい。上記R
1のアルカリ解離性基が上記特定の基であることで、当該液浸上層膜形成用組成物から形成される液浸上層膜の撥水性を向上させることができる。また、アルカリ解離性基がフッ素原子を含む場合、現像工程においては、アルカリ現像液によりフッ素原子を含む上記アルカリ解離性基が解離するため、フッ素原子含有率が低減し、ブリッジ欠陥、ブロッブ欠陥等の現像欠陥をさらに抑制することができる。
【0030】
上記R
1で表される炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、例えば炭素数1〜10のアルキル基、炭素数4〜20の脂環式炭化水素基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
【0031】
上記炭素数1〜10のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、n−へキシル基、i−へキシル基等が挙げあれる。
【0032】
上記炭素数4〜20の脂環式炭化水素基としては、例えばシクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。
【0033】
上記炭素数6〜20の芳香族炭化水素基としては、例えばフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0034】
上記1価の炭化水素基としては、これらの中で、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
【0035】
上記式(3)中、R
6〜R
9は、水素原子、フッ素原子又はパーフルオロアルキル基である。但し、R
6〜R
9の少なくとも1つは、フッ素原子又はパーフルオロアルキル基である。R
10は、水素原子、フッ素原子又は1価の有機基である。
【0036】
上記R
6〜R
9で表されるパーフルオロアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロn−プロピル基、パーフルオロi−プロピル基、パーフルオロn−ブチル基、パーフルオロi−ブチル基、パーフルオロt−ブチル基、パーフルオロシクロヘキシルメチル基等が挙げられる。
【0037】
上記R
10で表される1価の有機基としては、例えば炭素数1〜10のアルキル基、炭素数4〜20の脂環式炭化水素基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
【0038】
上記炭素数1〜10のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、n−へキシル基、i−へキシル基等が挙げあれる。
【0039】
上記炭素数4〜20の脂環式炭化水素基としては、例えばシクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。
【0040】
上記炭素数6〜20の芳香族炭化水素基としては、例えばフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0041】
上記式(3)で表される基としては、例えば、2,2−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロエチル基、2,2,3,3,4,4,4−ヘキサフルオロエチル基、1,1,1−トリフルオロ2−プロピル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル基等が挙げられる。これらの中で、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロエチル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル基が好ましい。
【0042】
上記式(4)中、aは、0又は1である。bは、0〜5の整数である。R
11は、フッ素原子又はフッ素原子を含んでいてもよい1価の有機基である。但し、bが2以上の場合、複数のR
11は同一でも異なっていてもよい。また、少なくとも1つのR
11は、フッ素原子又はフッ素原子を含む1価の有機基であることが好ましい。
【0043】
上記R
11で表されるフッ素原子を含んでいてもよい1価の有機基としては、例えば炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のアシル基、炭素数1〜10のアシロキシ基等が挙げられる。なお、これらの基が有する水素原子の一部又は全部は、フッ素原子で置換されていてもよい。
【0044】
上記炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば上記R
1で表される炭素数1〜10のアルキル基と同様の基等が挙げられる。
【0045】
上記炭素数1〜10のアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基等が挙げられる。
【0046】
上記炭素数1〜10のアシル基としては、例えばホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、トリオイル基、カプロイル基等が挙げられる。
【0047】
上記炭素数1〜10のアシロキシ基としては、例えばアセトキシ基、エチリルオキシ基、ブチリルオキシ基、t−ブチリルオキシ基、t−アミリルオキシ基、n−ヘキサンカルボニロキシ基、n−オクタンカルボニロキシ基等が挙げられる。
【0048】
aとしては、1が好ましい。bとしては、0〜3の整数が好ましく、0〜2の整数がより好ましく、1及び2がさらに好ましい。
【0049】
上記式(4)で表される基としては、フェニル基、トリル基、フルオロフェニル基、フルオロベンジル基、ジフルオロベンジル基、トリフルオロメチルベンジル基等が挙げられる。これらの中で、ジフルオロベンジル基、トリフルオロメチルベンジル基が好ましい。
【0050】
上記R
1としては、これらのうち、炭素数1〜4のアルキル基、上記式(3)においてR
7、R
9及びR
10がフッ素原子又はトリフルオロメチル基であり、R
6が水素原子であり、R
8が水素原子又はトリフルオロメチル基である基、フッ素化ベンジル基がさらに好ましい。
【0051】
上記R
2で表される(n+1)価の連結基としては、例えば炭素数1〜20の(n+1)価の炭化水素基、炭素数1〜20の(n+1)価のフッ素化炭化水素基、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−SO
2−、−CO−、これらを組み合わせてなる基等が挙げられる。
【0052】
炭素数1〜20の(n+1)価の炭化水素基としては、炭素数1〜10の(n+1)価の直鎖状又は分岐状の炭化水素基、炭素数4〜20の(n+1)価の脂環式炭化水素基、炭素数6〜20の(n+1)価の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
【0053】
上記炭素数1〜10の(n+1)価の直鎖状又は分岐状の炭化水素基としては、例えばメタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、オクタン等のアルカンから、(n+1)個の水素原子を除いた基等が挙げられる。これらのうち、メチレン基、メタントリイル基、エタントリイル基、i−プロパンテトライル基が好ましい。
【0054】
上記炭素数4〜20の(n+1)価の脂環式炭化水素基としては、例えば、
シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロデカン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の単環式飽和炭化水素から、(n+1)個の水素原子を除いた基;
シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロデセン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、シクロデカジエン等の単環式不飽和炭化水素から、(n+1)個の水素原子を除いた基;
ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン、テトラシクロ[6.2.1.1
3,6.0
2,7]ドデカン、アダマンタン等の多環式飽和炭化水素から、(n+1)個の水素原子を除いた基;
ビシクロ[2.2.1]ヘプテン、ビシクロ[2.2.2]オクテン、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デセン、テトラシクロ[6.2.1.1
3,6.0
2,7]ドデセン等の多環式不飽和炭化水素から、(n+1)個の水素原子を除いた基等が挙げられる。
【0055】
上記炭素数6〜20の(n+1)価の芳香族炭化水素基としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、アントラセン等の芳香族炭化水素から、(n+1)個の水素原子を除いた基等が挙げられる。
【0056】
また、炭素数1〜20の(n+1)価のフッ素化炭化水素基としては、上記の炭素数1〜20の(n+1)価の炭化水素基で例示された基の水素原子の少なくとも一部がフッ素原子で置換された基を挙げられる。
【0057】
また、これらの炭化水素基及びフッ素化炭化水素基と、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−SO
2−、−CO−、からなる群より選択される少なくとも1種の基とを組み合わせてなる基としては、脂環式炭化水素基及びフッ素化脂環式炭化水素基の環構造に−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−SO
2−及び−CO−からなる群より選択される少なくとも1種の基が含まれるもの等が挙げられる。
【0058】
上記−O−と炭素数1〜20の炭化水素基とから構成される環構造としては、炭素数3〜8の環状エーテル構造等を挙げることができる。
【0059】
上記−S−と炭素数1〜20の炭化水素基とから構成される環構造としては、炭素数3〜8の環状チオエーテル構造等をあげることができる。
【0060】
上記−COO−と炭素数1〜20の炭化水素基とから構成される環構造としては、炭素数3〜8のラクトン構造等を挙げることができる。
【0061】
上記−CO−と炭素数1〜20の炭化水素基とから構成される環構造としては、炭素数3〜8の環状ケトン構造等を挙げることができる。
【0062】
上記−SO
2−と炭素数1〜20の炭化水素基とから構成される環構造としては、炭素数3〜8の環状スルホニル構造等をあげることができる。
【0063】
上記Aで表される基が−NR
3−である場合のR
3のアルカリ解離性基としては、レジストパターン形成方法の現像工程において用いられるアルカリ現像液によって解離する基であれば特に限定されないが、例えば上記R
1で表されるアルカリ解離性基と同様の基等が挙げられる。
【0064】
上記Aとしては、−CO−O−であることが好ましい。
【0065】
構造単位(I)としては、上記式(2)で表される構造単位(以下、「構造単位(I−1)」ともいう)であることが好ましい。上記式(2)中、R
5は、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基又はトリフルオロメチル基である。R
4は、−CO−O−、−O−CO−O−、−O−、−SO
2−、−CO−NH−又は−SO
2NH−である。n、R
1及びR
2は、上記式(1)と同義である。
【0066】
構造単位(I)としては、例えば下記式(1−1)〜(1−15)で表される構造単位等が挙げられる。
【0068】
上記式(1−1)〜(1−15)中、R
5は、上記式(2)と同義である。
【0069】
これらのうち、上記式(1−1)〜(1−4)で表される構造単位、上記式(1−8)で表される構造単位及び上記式(1−11)〜(1−15)で表される構造単位が好ましい。
【0070】
構造単位(I)を与える単量体としては、例えば下記式で表される化合物等が挙げられる。
【0072】
[A]重合体成分における構造単位(I)の含有割合としては、[A]重合体成分を構成する全構造単位に対して、通常、0.1モル%以上50モル%以下であり、好ましくは0.3モル%以上20モル%以下であり、より好ましくは0.5モル%以上10モル%以下である。構造単位(I)の含有割合を0.1モル%以上とすることで、当該液浸上層膜形成用組成物から形成される液浸上層膜は、さらに優れた撥水性を有し、50モル%以下とすることで、[A]重合体成分のアルカリ現像液への溶解性に優れると共に、剥がれ耐性にも優れる。
重合体(A1)における構造単位(I)の含有割合としては、0.1モル%以上30モル%以下が好ましく、0.5モル%以上20モル%以下がより好ましく、1モル%以上10モル%以下がさらに好ましい。構造単位(I)の含有割合を上記範囲とすることで、当該液浸上層膜形成用組成物から得られる液浸上層膜は、撥水性を十分満足し、かつレジストパターン形成におけるブリッジ欠陥、ブロッブ欠陥等の現像欠陥をより抑制することができる。
【0073】
[構造単位(II)]
構造単位(II)は、フッ素化アルキル基及びフッ素化ヒドロキシアルキル基からなる群より選択される少なくとも1種の基を含み、かつ上記式(1)で表される基を含まない構造単位である。[A]重合体成分が、フッ素原子を含む構造単位(II)をさらに有することで、当該液浸上層膜形成用組成物から形成される液浸上層膜は、さらに優れた撥水性を有し、液浸上層膜としての基本特性を十分満足することができる。
【0074】
構造単位(II)としては、例えば下記式(5)〜(7)で表される構造単位(以下、「構造単位(II−1)〜(II−3)」ともいう)等が挙げられる。
【0076】
上記式(5)中、R
12は、水素原子、メチル基、フッ素原子又はトリフルオロメチル基である。R
13は、2価の連結基である。
上記式(6)中、R
14は、水素原子、メチル基、フッ素原子又はトリフルオロメチル基である。R
15は、炭素数1〜10のフッ素化アルキル基又は炭素数3〜10のフッ素化脂環式炭化水素基である。
上記式(7)中、R
16は、水素原子、メチル基、フッ素原子又はトリフルオロメチル基である。R
17は、2価の連結基である。R
18は、炭素数1〜20のフッ素化アルキル基である。
【0077】
上記式(5)中、R
13で表される2価の連結基としては、例えば、炭素数1〜12の直鎖状又は分岐状の2価の炭化水素基、炭素数4〜12の2価の脂環式炭化水素基、これらを組み合わせてなる基等が挙げられる。
【0078】
上記炭素数1〜12の直鎖状又は分岐状の2価の炭化水素基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、i−プロピレン基、n−ブチレン基、i−ブチレン基、n−ペンチレン基、i−ペンチレン基等が挙げられる。これらのうち、炭素数1〜3の2価の炭化水素基が好ましく、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、i−プロピレン基がより好ましい。
【0079】
上記炭素数4〜12の2価の脂環式炭化水素基としては、例えばシクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロオクチレン基等の単環の脂環式炭化水素基;ノルボルニレン基、アダマンチレン基等の2〜4員環を有する多環の脂環式炭化水素基等が挙げられる。これらのうち、ノルボルニレン基及びアダマンチレン基が好ましい。
【0080】
上記式(6)中、R
15で表される炭素数1〜10のフッ素化アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、n−ヘキシル基、i−ヘキシル基等のアルキル基が有する水素原子の少なくとも1つがフッ素原子で置換された基等が挙げられる。
【0081】
上記R
15で表される炭素数3〜10のフッ素化脂環式炭化水素基としては、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が有する水素原子の少なくとも1つがフッ素原子で置換された基等が挙げられる。
【0082】
上記式(7)中、R
17で表される2価の連結基としては、例えば上記R
13で表される2価の連結基として例示した基と同様の基等が挙げられる。
【0083】
上記R
18で表される炭素数1〜20のフッ素化アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、n−ヘキシル基、i−ヘキシル基、n−デシル基、i−デシル基、n−ドデシル基、i−ドデシル基等のアルキル基が有する水素原子の少なくとも1つがフッ素原子で置換された基等が挙げられる。
【0084】
構造単位(II−1)としては、例えば下記式(2−1)〜(2−8)で表される構造単位等が挙げられる。
【0086】
上記式(2−1)〜(2−8)中、R
12は、上記式(5)と同義である。
【0087】
これらの中で、上記式(2−4)及び(2−8)で表される構造単位が好ましい。
【0088】
構造単位(II−2)としては、例えば下記式(2−9)〜(2−14)で表される構造単位等が挙げられる。
【0090】
上記式(2−9)〜(2−14)中、R
14は、上記式(6)と同義である。
【0091】
これらの中で、上記式(2−9)及び(2−11)で表される構造単位が好ましい。
【0092】
構造単位(II−3)としては、例えば下記式(2−15)〜(2−17)で表される構造単位等が挙げられる。
【0094】
上記式(2−15)〜(2−17)中、R
16は、上記式(7)と同義である。
【0095】
これらの中で、上記式(2−15)で表される構造単位が好ましい。
【0096】
構造単位(II)を与える単量体としては、例えば下記式で表される化合物等が挙げられる。
【0098】
[A]重合体成分における構造単位(II)の含有割合としては、[A]重合体成分を構成する全構造単位に対して、30モル%以上100モル%未満が好ましく、40モル%以上99.5モル%以下がより好ましく、50モル%以上99モル%以下がさらに好ましい。[A]重合体成分における構造単位(II)の含有割合を上記範囲とすることで、当該液浸上層膜形成用組成物から形成される液浸上層膜の撥水性及び除去性により優れる。
【0099】
重合体(A1)が構造単位(II)を含む場合には、構造単位(II)の含有割合は、40モル%以上100モル%未満が好ましく、60モル%以上100モル%未満がより好ましく、80モル%以上10モル%未満がさらに好ましい。構造単位(II)の含有割合を上記範囲とすることで、当該液浸上層膜形成用組成物から得られる液浸上層膜は、撥水性を十分満足することができる。
【0100】
重合体(A2)が構造単位(II)を含む場合には、構造単位(II)の含有割合は、30モル%以上100モル%未満が好ましく、40モル%以上99.5モル%以下がより好ましく、50モル%以上99モル%以下がさらに好ましい。構造単位(II)の含有割合を上記範囲とすることで、当該液浸上層膜形成用組成物から得られる液浸上層膜の撥水性等の基本特性を十分に満足することができる。
【0101】
[構造単位(III)]
構造単位(III)は、カルボキシ基、スルホ基及び上記式(11)で表される基からなる群より選択される少なくとも1種の基を含む構造単位である。
構造単位(III)のうち、スルホ基を含む構造単位(以下、「構造単位(III−1)」ともいう)としては、例えば下記式(8)で表される構造単位(以下、「構造単位(III−1−1)」ともいう)等が挙げられる。
【0103】
上記式(8)中、R
19は、水素原子、メチル基、フッ素原子又はトリフルオロメチル基である。R
20は、単結合又は2価の連結基である。
【0104】
上記R
20で表される2価の連結基としては、例えば酸素原子、硫黄原子、炭素数1〜6の2価の直鎖状又は分岐状の炭化水素基、炭素数4〜12の2価の脂環式炭化水素基、炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基、カルボニル基、エステル基、−NH−、これらの基を組み合わせてなる基等が挙げられる。
【0105】
上記炭素数1〜6の2価の直鎖状又は分岐状の炭化水素基としては、例えばメチレン基、エタンジイル基、プロパンジイル基、ブタンジイル基等が挙げられる。
【0106】
上記炭素数4〜12の2価の脂環式炭化水素基としては、例えばシクロブタンジイル基、シクロペンタンジイル基、シクロヘキサンジイル基、ノルボルニレン基、アダマンチレン基等が挙げられる。
【0107】
上記炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基としては、例えばフェニレン基、ナフチレン基等が挙げられる。
【0108】
構造単位(III−1−1)としては、例えば下記式で表される構造単位等が挙げられる。
【0110】
上記式中、R
19は上記式(8)と同義である。
【0111】
これらの中で、ビニルスルホン酸に由来する構造単位、(メタ)アクリロイルアミノプロピルスルホン酸に由来する構造単位が好ましい。
【0112】
構造単位(III−1−1)を与える単量体としては、下記式で表される化合物等が挙げられる。
【0114】
構造単位(III)のうち、カルボキシ基を含む構造単位(以下、「構造単位(III−2)」ともいう)としては、例えば下記式(9)で表される構造単位(以下、「構造単位(III−2−1)」ともいう)、下記式(10)で表される構造単位(以下、「構造単位(III−2−2)」ともいう)等が挙げられる。
【0116】
上記式(9)及び(10)中、R
21は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。R
22は、2価の連結基である。
【0117】
上記R
22で表される2価の連結基としては、例えば炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状の2価の炭化水素基、炭素数4〜12の2価の脂環式炭化水素基、炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基、これらの基とエステル基を組み合わせてなる基等が挙げられる。
【0118】
上記炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状の2価の炭化水素基、炭素数4〜12の2価の脂環式炭化水素基、炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基については、上記R
20で表されるそれぞれの基についての説明を適用できる。
【0119】
構造単位(III−2−1)としては、例えば下記式で表される構造単位等が挙げられる。
【0121】
上記式中、R
21は、上記式(9)と同義である。
【0122】
これらの中で、カルボキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートに由来する構造単位が好ましい。
【0123】
構造単位(III−2−1)又は構造単位(III−2−2)を与える単量体としては、例えば下記式で表される化合物等が挙げられる。
【0125】
次に、構造単位(III)のうち、上記式(11)で表される基を含む構造単位(以下、「構造単位(III−3)」ともいう)について説明する。
【0126】
上記式(11)中、R
23は、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アルキル基、1価の脂環式炭化水素基、アルコキシ基、アシル基、アラルキル基又はアリール基である。上記アルキル基、脂環式炭化水素基、アルコキシ基、アシル基、アラルキル基及びアリール基が有する水素原子の一部又は全部は置換されていてもよい。R
24は、−C(=O)−R
25、−S(=O)
2−R
26、−R
27−CN又は−R
28−NO
2である。R
25及びR
26は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、フッ素化アルキル基、1価の脂環式炭化水素基、アルコキシ基、シアノ基、シアノメチル基、アラルキル基又はアリール基である。但し、R
25又はR
26とR
23とが互いに結合して環構造を形成していてもよい。R
27及びR
28は、それぞれ独立して、単結合、メチレン基又は炭素数2〜5のアルキレン基である。
【0127】
上記R
23で表されるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。この中で、フッ素原子及び塩素原子が好ましい。
【0128】
上記R
23で表されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等の直鎖状のアルキル基;i−プロピル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等の分岐状のアルキル基等が挙げられる。上記アルキル基としては、炭素数1〜20のアルキル基が好ましい。
【0129】
上記R
23で表される1価の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の単環の脂環式炭化水素基;アダマンチル基、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基等の多環の脂環式炭化水素基等が挙げられる。上記脂環式炭化水素基としては、炭素数3〜20の脂環式炭化水素基が好ましい。
【0130】
上記R
23で表されるアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基等が挙げられる。上記アルコキシ基としては、炭素数1〜20のアルコキシ基が好ましい。
【0131】
上記R
23で表されるアシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基等が挙げられる。上記アシル基としては、炭素数2〜20のアシル基が好ましい。
【0132】
上記R
23で表されるアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。上記アラルキル基としては、炭素数7〜12のアラルキル基が好ましい。
【0133】
上記R
23で表されるアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。上記アリール基としては、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。
【0134】
上記R
23で表されるアルキル基、1価の脂環式炭化水素基、アルコキシ基、アシル基、アラルキル基及びアリール基が有していてもよい置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基等が挙げられる。
【0135】
上記R
23としては、当該液浸上層膜形成用組成物から形成される上層膜の現像液溶解性と剥がれ耐性とをバランスさせる観点から、この中でも、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基及び炭素数2〜5のアシル基が好ましく、水素原子、メチル基、エチル基、アセチル基がさらに好ましい。
【0136】
R
24が−C(=O)−R
25及び−S(=O)
2−R
26の場合、R
25及びR
26で表されるアルキル基、1価の脂環式炭化水素基、アルコキシ基、アラルキル基及びアリール基としては、例えば、上記R
23のそれぞれの基として例示したものと同様の基等が挙げられる。また、R
25及びR
26で表されるフッ素化アルキル基としては、例えば、上記R
23のアルキル基として例示した基の水素原子の少なくとも1つがフッ素原子で置換された基等が挙げられる。これらの中でも、R
25及びR
26としては、水素原子、アルキル基が好ましく、水素原子、メチル基、エチル基がより好ましい。
【0137】
上記R
25又はR
26とR
23とが互いに結合して形成する環構造を含む基としては、R
25又はR
26とR
23とがそれぞれ結合する炭素原子を含み、かつオキソ基を有する炭素数5〜12の2価の脂環式炭化水素基が好ましい。
【0138】
R
24が、−R
27−CN及び−R
28−NO
2の場合、R
27及びR
28としては、単結合、メタンジイル基又はエタンジイル基が好ましい。
【0139】
上記式(11)で表される基としては、下記式(11−1)〜(11−8)で表される基が好ましい。
【0141】
上記式(11−1)〜(11−8)中、*は結合部位を示す。
【0142】
構造単位(III−3)としては、例えば、上記式(11)で表される基を有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体、(メタ)アクリルアミド誘導体、ビニルエーテル誘導体、オレフィン誘導体又はスチレン誘導体等に由来する構造単位等が挙げられる。この中で、(メタ)アクリル酸エステル誘導体由来の構造単位が好ましい。すなわち、構造単位(III−3)としては、下記式(12)で表される構造単位(以下、「構造単位(III−3−1)」ともいう)が好ましい。
【0144】
上記式(12)中、R
23及びR
24は、上記式(11)と同義である。mは、1〜3の整数である。R
23及びR
24がそれぞれ複数の場合、複数のR
23及びR
24はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。R
30は、(m+1)価の連結基である。R
29は、水素原子、メチル基、フッ素原子又はトリフルオロメチル基である。
【0145】
上記R
29としては、構造単位(III−3)を与える単量体の共重合性等の観点から、水素原子、メチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
【0146】
上記R
30で表される(m+1)価の連結基としては、例えば、2価の連結基(nが1の場合)としては、アルカンジイル基、2価の脂環式炭化水素基、アルケンジイル基、アレーンジイル基等が挙げられる。なお、これらの基が有する水素原子の一部又は全部は、フッ素原子や塩素原子等のハロゲン原子、シアノ基等で置換されていてもよい。
【0147】
上記アルカンジイル基としては、例えば、メタンジイル基、エタンジイル基、プロパンジイル基、ブタンジイル基、ヘキサンジイル基、オクタンジイル基等が挙げられる。上記アルカンジイル基としては、炭素数1〜8のアルカンジイル基が好ましい。
【0148】
上記2価の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロペンタンジイル基、シクロヘキサンジイル基等の単環の脂環式炭化水素基;ノルボルナンジイル基、アダマンタンジイル基等の多環の脂環式炭化水素等が挙げられる。上記2価の脂環式炭化水素基としては、炭素数5〜12の脂環式炭化水素基が好ましい。
【0149】
上記アルケンジイル基としては、例えば、エテンジイル基、プロペンジイル基、ブテンジイル基等が挙げられる。上記アルケンジイル基としては、炭素数2〜6のアルケンジイル基が好ましい。
【0150】
上記アレーンジイル基としては、例えば、フェニレン基、トリレン基、ナフチレン基等が挙げられる。上記アレーンジイル基としては、炭素数6〜15のアレーンジイル基が好ましい。
【0151】
これらのうち、R
30としては、アルカンジイル基、2価の脂環式炭化水素基が好ましく、炭素数1〜4のアルカンジイル基、炭素数6〜11の2価の脂環式炭化水素基がより好ましい。R
30が2価の脂環式炭化水素基である場合は、得られる上層膜の撥水性を高めることができる観点から好ましい。
【0152】
構造単位(III−3−1)としては、下記式(12−1)〜(12−10)で表される構造単位が好ましく、下記式(12−7)で表される構造単位がより好ましい。
【0154】
上記式(12−1)〜(12−10)中、R
29は、上記式(12)と同義である。
【0155】
[A]重合体成分における構造単位(III)の含有割合としては、[A]重合体成分を構成する全構造単位に対して、0モル%〜40モル%が好ましく、0.5モル%〜30モル%がより好ましく、1モル%〜25モル%がさらに好ましい。[A]重合体成分における構造単位(III)の含有割合を上記範囲とすることで、当該液浸上層膜形成用組成物から形成される液浸上層膜の除去性及び剥がれ耐性が向上する。
【0156】
重合体(A2)が構造単位(III)を含む場合において、構造単位(III)の含有割合としては、重合体(A2)が構造単位(II)を含む場合には、0.1モル%以上20モル%以下が好ましく、0.5モル%以上10モル%以下がより好ましく、1モル%以上5モル%以下がさらに好ましい。重合体(A2)が構造単位(II)を含まない場合には、構造単位(III)の含有割合としては、70モル%以上100モル%以下が好ましく、90モル%以上100モル%以下がより好ましい。構造単位(III)の含有割合を上記範囲とすることで、当該液浸上層膜形成用組成物から得られる液浸上層膜において、撥水性の高い重合体(A1)成分を液浸上層膜表面に偏在化させることができる。それにより、当該液浸上層膜形成用組成物から形成される液浸上層膜は、撥水性等の基本特性を十分に満足することができると共に、剥がれ耐性にも優れる。また、構造単位(III)の含有割合を上記範囲とすることで、アルカリ現像時のアルカリへの可溶性に優れるため、現像時の欠陥抑制の効果が高い。
【0157】
[その他の構造単位]
[A]重合体成分は、構造単位(I)〜(III)以外に、その他の構造単位として、例えば撥水性を向上させる目的で、(メタ)アクリル酸プロピルや(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ラウリル等の(メタ)アクリル酸アルキルに由来する構造単位を有していてもよい。また、重合体の分子量、ガラス転移点、溶媒への溶解性などを制御する目的で、酸の作用により脱離可能な酸解離性基を有する構造単位等を有していてもよい。
【0158】
<重合体(A1)及び(A2)の合成方法>
重合体(A1))及び(A2)は、例えば所定の各構造単位に対応する単量体を、ラジカル重合開始剤を使用し、適当な溶媒中で重合することにより製造できる。例えば、単量体及びラジカル開始剤を含有する溶液を、反応溶媒又は単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法、単量体を含有する溶液と、ラジカル開始剤を含有する溶液とを各別に、反応溶媒又は単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法、各々の単量体を含有する複数種の溶液と、ラジカル開始剤を含有する溶液とを各別に、反応溶媒又は単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法等の方法で合成することが好ましい。
【0159】
上記重合に使用される溶媒としては、例えば
n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等のアルカン類;
シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナン等のシクロアルカン類;
ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン等の芳香族炭化水素類;
クロロブタン類、ブロモヘキサン類、ジクロロエタン類、ヘキサメチレンジブロミド、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;
酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、プロピオン酸メチル等の飽和カルボン酸エステル類;
アセトン、2−ブタノン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ヘプタノン等のケトン類;
テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン類、ジエトキシエタン類等のエーテル類;
メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、4−メチル−2−ペンタノール等のアルコール類等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。
【0160】
上記重合における反応温度は、ラジカル開始剤の種類に応じて適宜決定すればよいが、通常40℃〜150℃であり、50℃〜120℃が好ましい。反応時間としては、通常1時間〜48時間であり、1時間〜24時間が好ましい。
【0161】
上記重合に使用されるラジカル開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)等が挙げられる。これらの開始剤は2種以上を混合して使用してもよい。
【0162】
重合反応により得られた重合体は、再沈殿法により回収することが好ましい。すなわち、重合反応終了後、重合液を再沈溶媒に投入することにより、目的の樹脂を粉体として回収する。再沈溶媒としては、アルコール類やアルカン類等を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。再沈殿法の他に、分液操作やカラム操作、限外ろ過操作等により、単量体、オリゴマー等の低分子成分を除去して、重合体を回収することもできる。
【0163】
重合体(A1)及び(A2)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による重量平均分子量(Mw)としては、1,000〜100,000が好ましく、2,000〜50,000がより好ましく、3,000〜30,000がさらに好ましい。重合体(A1)及び(A2)のMwを上記特定範囲とすることで、膜減りを抑制し、得られるパターンのLWRを優れた値とすることができる。
【0164】
重合体(A1))及び(A2)のMwと数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)としては、通常1〜5であり、1〜3が好ましく、1〜2がより好ましい。Mw/Mnをこのような特定範囲とすることで、膜減りを抑制し、得られるパターンのLWRを優れた値とすることができる。
【0165】
なお、本明細書においてMw及びMnは、GPCカラム(G2000HXL 2本、G3000HXL 1本、G4000HXL 1本、以上東ソー製)を用い、流量1.0mL/分、溶出溶媒テトラヒドロフラン、試料濃度1.0質量%、試料注入量100μL、カラム温度40℃の分析条件で、検出器として示差屈折計を使用し、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した値をいう。
【0166】
<[B]溶媒>
当該液浸上層膜形成用組成物は[B]溶媒を含有する。[B]溶媒としては[A]重合体成分及び任意成分を溶解できれば特に限定されない。[B]溶媒としては、例えばアルコール系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、エステル系溶媒、炭化水素系溶媒及びその混合溶媒等が挙げられる。
【0167】
アルコール系溶媒としては、例えば
メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、i−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、tert−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、3−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、2,6−ジメチル−4−ヘプタノール、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フルフリルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコール等のモノアルコール系溶媒;
エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2,4−ヘプタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等の多価アルコール系溶媒;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル等の多価アルコール部分エーテル系溶媒等が挙げられる。これらのうち、4−メチル−2−ペンタノールが好ましい。
【0168】
エーテル系溶媒としては、例えば
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等の多価アルコール部分アルキルエーテル系溶媒;
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の多価アルコール部分アルキルエーテルアセテート系溶媒;
ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ブチルメチルエーテル、ブチルエチルエーテル、ジイソアミルエーテル、ヘキシルメチルエーテル、オクチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジシクロペンチルエーテル等の脂肪族エーテル系溶媒;
アニソール、フェニルエチルエーテル等の脂肪族−芳香族エーテル系溶媒;
テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン等の環状エーテル系溶媒等が挙げられる。これらのうち、ジイソアミルエーテルが好ましい。
【0169】
ケトン系溶媒としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−i−ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、アセトフェノン等が挙げられる。
【0170】
アミド系溶媒としては、例えばN,N’−ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
【0171】
エステル系溶媒としては、例えばジエチルカーボネート、プロピレンカーボネート、酢酸メチル、酢酸エチル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸n−ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸i−アミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル等が挙げられる。
【0172】
炭化水素系溶媒としては、例えば
n−ペンタン、i−ペンタン、n−ヘキサン、i−ヘキサン、n−ヘプタン、i−ヘプタン、2,2,4−トリメチルペンタン、n−オクタン、i−オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;
ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、i−プロピルベンゼン、ジエチルベンゼン、i−ブチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジ−i−プロピルベンセン、n−アミルナフタレン等の芳香族炭化水素系溶媒等が挙げられる。
【0173】
これらのうち、レジスト膜成分の溶出が起こり難いという観点から、エーテル系溶媒及びアルコール系溶媒が好ましく、エーテル系溶媒がより好ましい。アルコール系溶媒としては、モノアルコール系溶媒が好ましく、炭素数4〜8のアルコール系溶媒がより好ましく、炭素数5又は6のアルコール系溶媒がさらに好ましく、4−メチル−2−ペンタノールが特に好ましい。エーテル系溶媒としては、脂肪族エーテル系溶媒が好ましく、炭素数6〜12の脂肪族エーテル系溶媒がより好ましく、炭素数9〜11の脂肪族エーテル系溶媒がさらに好ましく、ジイソアミルエーテルが特に好ましい。これらの溶媒は単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。
【0174】
<任意成分>
当該液浸上層膜形成用組成物は、[A]重合体成分、及び[B]溶媒以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、任意成分を含有することができる。任意成分としては、例えば当該液浸上層膜形成用組成物のレジスト膜上への塗布性を向上させることができる界面活性剤等が挙げられる。
【0175】
<当該液浸上層膜形成用組成物の調製方法>
当該液浸上層膜形成用組成物は、例えば[B]溶媒中で[A]重合体成分、必要に応じて任意成分を所定の割合で混合することにより調製できる。また、当該液浸上層膜形成用組成物は、適当な[B]溶媒に溶解又は分散させた状態に調製され使用され得る。
【0176】
<レジストパターン形成方法>
本発明のレジストパターン形成方法は、
(1)基板上にレジスト膜を形成する工程、
(2)当該液浸上層膜形成用組成物を用い、上記レジスト膜上に液浸上層膜を積層する工程、
(3)フォトマスクを介する放射線の照射により、上記液浸上層膜が積層されたレジスト膜を液浸露光する工程、及び
(4)上記液浸露光されたレジスト膜を現像する工程
を有する。以下各工程について詳述する。
【0177】
[(1)工程]
本工程では、基板上にレジスト膜を形成する。本工程は通常、フォトレジスト組成物を基板に塗布することにより行われる。基板としては、例えばシリコンウェハ、アルミニウムで被覆されたウェハ等の従来公知の基板を使用できる。また、例えば特公平6−12452号公報や特開昭59−93448号公報等に開示されている有機系又は無機系の下層反射防止膜を基板上に形成してもよい。
【0178】
塗布方法としては、例えば回転塗布(スピンコーティング)、流延塗布、ロール塗布等が挙げられる。なお、形成されるレジスト膜の膜厚としては、通常0.01μm〜1μmであり、0.01μm〜0.5μmが好ましい。
【0179】
フォトレジスト組成物を塗布した後、必要に応じてプレベーク(PB)によって塗膜中の溶媒を揮発させてもよい。PBの加熱条件としては、上記フォトレジスト組成物の配合組成によって適宜選択されるが、通常30℃〜200℃程度であり、50℃〜150℃が好ましい。
【0180】
また、環境雰囲気中に含まれる塩基性不純物等の影響を防止するために、例えば特開平5−188598号公報等に開示されている保護膜をレジスト層上に設けることもできる。さらに、レジスト層からの酸発生剤等の流出を防止するために、例えば特開2005−352384号公報等に開示されている液浸用保護膜をレジスト層上に設けることもできる。なお、これらの技術は併用できる。
【0181】
[工程(2)]
本工程では、当該液浸上層膜形成用組成物を用い、工程(1)で形成したレジスト膜上に液浸上層膜を積層する。本工程では、液浸上層膜形成用組成物を塗布した後、焼成することが好ましい。このようにレジスト膜上に液浸上層膜を積層することによって、液浸液とレジスト膜とが直接接触しなくなるため、液浸液がレジスト膜に浸透することに起因してレジスト膜のリソグラフィ性能が低下したり、レジスト膜から液浸液に溶出した成分によって投影露光装置のレンズが汚染されたりすることが効果的に防止される。液浸上層膜を積層する方法は、上記レジスト組成物に代えて当該液浸上層膜形成用組成物を用いること以外は、上記レジスト膜を形成する方法と同様の方法を採用することができる。
【0182】
液浸上層膜の厚さは、λ/4m(但し、λ:放射線の波長、m:保護膜の屈折率)の奇数倍にできる限り近づけることが好ましい。このようにすることで、レジスト膜の上側界面における反射抑制効果を大きくすることができる。
【0183】
[工程(3)]
本工程では、フォトマスクを介する放射線の照射により、上記液浸上層膜が積層されたレジスト膜を液浸露光する。この液浸露光は、液浸上層膜とレンズとの間に液浸媒体を配置し、この液浸媒体と所定のパターンを有するマスクとを介して、レジスト膜及び液浸上層膜に露光光を照射することにより行われる。
【0184】
液浸媒体としては、通常、空気より屈折率の高い液体を使用する。具体的には、水を用いることが好ましく、純水を用いることがさらに好ましい。なお、必要に応じて液浸液のpHを調整してもよい。この液浸媒体を介在させた状態で、すなわち、露光装置のレンズと液浸上層膜との間に液浸媒体を満たした状態で、露光装置から放射線を照射し、所定のパターンを有するマスクを介して液浸上層膜及びフォトレジスト膜を露光する。
【0185】
この露光(液浸露光)に用いる放射線は、レジスト膜や液浸上層膜の種類に応じて適宜選択することができ、例えば、可視光線;g線、i線等の紫外線;エキシマレーザ等の遠紫外線;シンクロトロン放射線等のX線;電子線等の荷電粒子線等の各種放射線を用いることができる。この中でも、ArFエキシマレーザ(波長193nm)及びKrFエキシマレーザ(波長248nm)が好ましい。また、露光光の照射条件、例えば放射線量は、フォトレジスト組成物及び/又は液浸上層膜形成用組成物の配合組成、添加剤の種類等に応じて適宜設定することができる。
【0186】
また、露光後にポストエクスポージャーベーク(PEB)を行なうことが好ましい。PEBを行なうことにより、上記フォトレジスト組成物中の酸解離性基の解離反応を円滑に進行できる。PEBの加熱条件としては、通常30℃〜200℃であり、50℃〜170℃が好ましい。
【0187】
[工程(4)]
本工程は、(3)工程において液浸露光されたレジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程である。当該レジストパターンの形成方法においては、当該液浸上層膜形成用組成物によって液浸上層膜を形成しているため、現像中には現像液によって、又は現像後に洗浄を行う場合には洗浄液によって、液浸上層膜を容易に除去することができる。すなわち、液浸上層膜を除去するために、別途の剥離工程を必要としない。
【0188】
上記現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、アンモニア、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等のテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド類、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノナン等のアルカリ性化合物を少なくとも1種溶解したアルカリ性水溶液が好ましい。この中でも、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド類の水溶液がより好ましい。
【0189】
現像液には、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール類等の水溶性有機溶媒や、界面活性剤を適量添加することもできる。なお、アルカリ性水溶液を用いて現像した場合には、現像後に水洗することが好ましく、水洗後、乾燥してもよい。
【実施例】
【0190】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。各物性値の測定方法を下記に示す。
【0191】
[重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び分散度(Mw/Mn)]
重合体のMw及びMnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により東ソー製のGPCカラム(G2000HXL 2本、G3000HXL 1本、G4000HXL 1本)を使用し、以下の条件により測定した。また、分散度(Mw/Mn)は、Mw及びMnの測定結果より算出した。
溶離液:テトラヒドロフラン
流量:1.0mL/分
試料濃度:1.0質量%
試料注入量:100μL
カラム温度:40℃
検出器:示差屈折計
標準物質:単分散ポリスチレン
【0192】
[
13C−NMR分析]
13C−NMR分析は、日本電子製JNM−EX270を使用し、測定溶媒として、アセトン−d
6を使用して行った。重合体における各構造単位の含有率は、
13C−NMRで得られたスペクトルにおける各構造単位に対応するピークの面積比から算出した。
【0193】
<[A]重合体成分の合成>
重合体(A1)及び重合体(A2)の合成に用いた単量体を下記に示す。
【0194】
【化21】
【0195】
[合成例1]
構造単位(I)を与える化合物(M−1)0.62g(5モル%)、構造単位(II)を与える化合物(M−5)6.90g(35モル%)及び化合物(M−8)5.49g(60モル%)、並びに重合開始剤2,2’−アゾビス−(2−メチルプロピオン酸メチル)1.00gをメチルエチルケトン40.00gに溶解させた単量体溶液を準備し、30分間窒素パージした。窒素パージの後、フラスコ内をマグネティックスターラーで攪拌しながら、80℃になるように加熱し、滴下漏斗を用い、予め準備しておいた単量体溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに3時間反応を続けた。30℃以下になるまで冷却することにより重合液を得た。
次いで、得られた共重合液を44gに濃縮した後、分液漏斗に移した。この分液漏斗にメタノール44g及びn−ヘキサン220gを投入し、分離精製を実施した。分離後、下層液を回収した。回収した下層液に及びn−ヘキサン220gを投入し、分離精製を実施した。分離後、下層液を回収した。回収した下層液を4−メチル−2−ペンタノールに置換し、重合体成分(A−1)を含む溶液を得た。その重合体溶液0.5gをアルミ皿にのせ、155℃に加熱したホットプレート上で30分間加熱した後の残渣の質量から上記重合体成分(A−1)を含む溶液の固形分濃度を算出し、その固形分濃度の値をその後の保護膜形成用組成物溶液の調製と収率計算に用いた。得られた重合体(A−1)のMwは10,500、Mw/Mnは1.53、収率は80%であった。また、
13C−NMR分析の結果、化合物(M−1)、化合物(M−5)及び化合物(M−8)に由来する各構造単位の含有割合は、5.0:34.7:60.3(モル%)であった。
【0196】
[合成例2〜11]
表1に記載の単量体を所定量使用した以外は、合成例1と同様に操作して重合体(A−2)〜(A−10)及び(a−1)を得た。また、得られた各重合体の各構造単位の含有割合、Mw、Mw/Mn比、収率(%)を表2に示す。なお、表1及び表2中の「−」は、該当する単量体を使用しなかったことを示す。
【0197】
【表1】
【0198】
【表2】
【0199】
<重合体(A2)の合成>
[合成例12]
構造単位(II)を与える化合物(M−5)60.57g(85モル%)、及び重合開始剤2,2’−アゾビス−(2−メチルプロピオン酸メチル)4.53gをイソプロパノール40.00gに溶解させた単量体溶液を準備した。
一方、温度計及び滴下漏斗を備えた200mLの三つ口フラスコにイソプロパノール50gを投入し、30分間窒素パージした。窒素パージの後、フラスコ内をマグネティックスターラーで攪拌しながら、80℃になるように加熱し、滴下漏斗を用い、予め準備しておいた単量体溶液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間反応を行い、構造単位(III)を与える化合物(M−11)3.19g(15モル%)のイソプロパノール溶液10gを30分かけて滴下した。その後、さらに1時間反応を行った後、30℃以下になるまで冷却することにより重合液を得た。
得られた上記重合液を150gに濃縮した後、分液漏斗に移した。この分液漏斗にメタノール50gとn−ヘキサン600gを投入し、分離精製を実施した。分離後、下層液を回収した。この下層液をイソプロパノールで希釈して100gとし、再度、分液漏斗に移した。その後、メタノール50gとn−ヘキサン600gを上記分液漏斗に投入して、分離精製を実施し、分離後、下層液を回収した。回収した下層液を4−メチル−2−ペンタノールに置換し、全量を250gに調整した。調整後、水250gを加えて分離精製を実施し、分離後、上層液を回収した。回収した上層液は、4−メチル−2−ペンタノールに置換し、重合体(A2−1)を含む溶液を得た。得られた重合体(A2−1)のMwは8,000、Mw/Mnは1.51であり、収率は80%であった。また、(M−5)及び(M−11)に由来する各構造単位の含有割合は、それぞれ98モル%及び2モル%であった。
【0200】
[合成例13〜17]
表3に記載の単量体を所定量使用した以外は、合成例12と同様に操作して重合体(A2−2)〜(A2−6)を得た。また、得られた各重合体の各構造単位の含有割合、Mw、Mw/Mn比、収率(%)を表4に示す。なお、表3及び表4中の「−」は、該当する単量体を使用しなかったことを示す。
【0201】
【表3】
【0202】
【表4】
【0203】
<液浸上層膜形成用組成物の調製>
液浸上層膜形成用組成物の調製に用いた[B]溶媒について以下に示す。
[[B]溶媒]
(B−1):4−メチル−2−ペンタノール
(B−2):ジイソアミルエーテル
【0204】
[実施例1]
[A]重合体成分としての重合体(A1−1)20質量部、重合体(A2−1)80質量部、並びに[B]溶媒としての(B−1)1,000質量部及び(B−2)4,000質量部を混合し、2時間撹拌した後、孔径0.2μmのフィルターでろ過することにより、実施例1の液浸上層膜形成用組成物を得た。
【0205】
[実施例2〜14及び比較例1]
下記表5に記載した種類及び量の各成分を混合した以外は、実施例1と同様にして、各液浸上層膜形成用組成物を得た。
【0206】
<フォトレジスト組成物の調製>
レジスト膜形成のためのフォトレジスト組成物を以下の方法により調製した。
【0207】
<フォトレジスト組成物用重合体の合成>
[合成例18]
下記化合物(RM−1)53.93g(50モル%)、化合物(RM−2)35.38g(40モル%)、化合物(RM−3)10.69g(10モル%)を2−ブタノン200gに溶解し、さらにジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)5.58gを投入した単量体溶液を準備し、100gの2−ブタノンを投入した500mLの三口フラスコを30分窒素パージした。窒素パージの後、反応釜を攪拌しながら80℃に加熱し、事前に準備した上記単量体溶液を滴下漏斗を用いて3時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合溶液は水冷することにより30℃以下に冷却し、2,000gのメタノールへ投入し、析出した白色粉末をろ別した。ろ別された白色粉末を2回400gずつのメタノールを用いてスラリー状にして洗浄した後、ろ別し、50℃にて17時間乾燥し、白色粉末の重合体(P−1)を得た(74g、収率74%)。この重合体(P−1)はMwが6,900、Mw/Mn=1.70であった。また、
13C−NMR分析の結果、化合物(RM−1)、化合物(RM−2)及び化合物(RM−3)に由来する各構造単位の含有割合は、53.0:37.2:9.8(モル%)であった。なお、この重合体中の各単量体由来の低分子量成分の含有量は、この重合体100質量%に対して、0.03質量%であった。
【0208】
【化22】
【0209】
<フォトレジスト組成物の調製>
[合成例19]
重合体(P−1)100質量部、酸発生剤としてトリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート1.5質量部及び1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート6質量部、酸拡散制御剤としてR−(+)−(tert−ブトキシカルボニル)−2−ピペリジンメタノール0.65質量部を混合し、この混合物に、溶媒として、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート2,900質量部、シクロヘキサノン1,250質量部及びγ−ブチロラクトン100質量部を加えて、全固形分濃度を5質量%に調整し、孔径30nmのフィルターでろ過することにより、フォトレジスト組成物(α)を調製した。
【0210】
<評価>
上記実施例及び比較例で得られた各液浸上層膜形成用組成物を用いて液浸上層膜を形成し、以下に示す各種評価を行った。評価結果は、表5に合わせて示す。なお、表5中の「−」は、その項目の評価を行わなかったことを示す。
【0211】
[溶解性]
各液浸上層膜形成用組成物を30分間撹拌した。その後、目視で白濁している場合を「B(不良)」とし、白濁せずに溶解している場合を「A(良好)」と評価した。なお、溶解性試験が×となったものについてはその他の評価を行わなかった。
【0212】
[現像液に対する溶解性]
CLEAN TRACK ACT8(東京エレクトロン製)にて8インチシリコンウェハ上に、各液浸上層膜形成用組成物をスピンコートし、90℃で60秒PBを行い、膜厚90nmの液浸上層膜を形成した。膜厚はラムダエースVM90(大日本スクリーン製)を用いて測定した。上記液浸上層膜に対して、2.38質量%TMAH水溶液を用いて60秒間パドル現像し、振り切りによりスピンドライした後、ウエハ表面を観察した。このとき、残渣がなく現像されていれば、現像液に対する溶解性能が「A(良好)」であり、残渣が観察されれば「B(不良)」とした。
【0213】
[後退接触角(°)]
8インチシリコンウェハ上に、各液浸上層膜形成用組成物をスピンコートし、ホットプレート上で90℃、60秒PBを行い、膜厚30nmの液浸上層膜を形成した。その後、DSA−10(KRUS製)を使用して、速やかに、23℃、湿度45%、常圧の環境下で、後退接触角を測定した。すなわち、DSA−10のウェハステージ位置を調整し、この調整したステージ上に上記ウェハをセットした。次に、針に水を注入し、上記セットしたウェハ上に水滴を形成可能な初期位置に針の位置を微調整した。その後、この針から水を排出させてウェハ上に25μLの水滴を形成し、一旦、この水滴から針を引き抜き、再び初期位置に針を引き下げて水滴内に配置した。続いて、10μL/minの速度で90秒間、針によって水滴を吸引すると同時に接触角を毎秒1回、合計90回測定した。このうち、接触角の測定値が安定した時点から20秒間の接触角についての平均値を算出して後退接触角(°)とした。後退接触角が90°に近い程、液浸上層膜の撥水性が高いことを示す。
【0214】
[フォトレジスト組成物の溶出量の評価]
上記CLEAN TRACK ACT8を用いて、100℃、60秒のHMDS(ヘキサメチルジシラザン)処理を行った8インチシリコンウェハ上の中心部に、中央部が直径11.3cmの円形状にくり抜かれたシリコンゴムシート(クレハエラストマー製、厚み;1.0mm、形状;1辺30cmの正方形)を載せた。次いで、シリコンゴム中央部のくり抜き部に10mLホールピペットを用いて超純水10mLを満たした。
一方、予め、下層反射防止膜用組成物(ARC29A、ブルワー・サイエンス製)を、上記CLEAN TRACK ACT8を用いて膜厚77nmの下層反射防止膜を形成するように塗布した。次いで、フォトレジスト組成物(α)を下層反射防止膜上にスピンコートし、115℃、60秒でPBすることにより膜厚205nmのレジスト膜を形成した。その後、レジスト膜上に、各液浸上層膜形成用組成物を塗布して液浸上層膜を形成した。液浸上層膜側が、上記準備したウエハのシリコンゴムシート内の超純水に接触するように重ね、その状態のまま10秒間保った。その後、超純水をガラス注射器にて回収し、これを分析用サンプルとした。なお、実験終了後の超純水の回収率は95%以上であった。
超純水中の光酸発生剤のアニオン部のピーク強度を、LC−MS(液体クロマトグラフ質量分析計、LC部:AGILENT製 SERIES1100、MS部:Perseptive Biosystems,Inc.製 Mariner)を用いて下記の測定条件で測定した。その際、上記光酸発生剤の1ppb、10ppb、100ppb水溶液のピーク強度を、下記の測定条件で測定して検量線を作成し、この検量線を用いて上記ピーク強度から溶出量を算出した。また、同様にして、酸拡散制御剤の1ppb、10ppb、100ppb水溶液の各ピーク強度を下記測定条件で測定して検量線を作成し、この検量線を用いて上記ピーク強度から酸拡散制御剤の溶出量を算出した。その溶出量が5.0×10
−12mol/cm
2以下であった場合に、フォトレジスト組成物の溶出の抑制性能が「A(良好)」、5.0×10
−12mol/cm
2よりも大きかった場合に「B(不良)」とした。
【0215】
(測定条件)
使用カラム;「CAPCELL PAK MG」、資生堂製、1本
流量;0.2mL/分
流出溶媒:水/メタノール(3/7)に0.1質量%のギ酸を添加したもの
測定温度;35℃
【0216】
[ブロッブ欠陥]
12インチシリコンウェハ表面に、下層反射防止膜(ARC66、日産化学製)をLithius Pro−i(東京エレクトロン製)を使用してスピンコートした後、PB(205℃、60秒)を行うことにより膜厚105nmの下層反射防止膜を形成した。次いで、CLEAN TRACK ACT12を使用してフォトレジスト組成物(α)をスピンコートし、100℃、60秒でPBを行い、23℃で30秒間冷却することにより膜厚100nmのレジスト膜を形成した。その後、レジスト膜上に、各液浸上層膜形成用組成物を塗布して液浸上層膜を形成した。
次に、ArF液浸露光装置(S610C、NIKON製)を使用し、NA:1.30、Crosspoleの光学条件にて、45nmライン/90nmピッチのパターンを投影するためのマスクを介して露光した(以下、マスクによって投影されるパターンの寸法をそのマスクの「パターン寸法」と呼ぶ。例えば、パターン寸法が40nmライン/84nmピッチのマスクとは40nmライン/84nmピッチのパターンを投影するためのマスクのことを指す)。上記Lithius Pro−iのホットプレート上で100℃、60秒の条件でPEBを行い、23℃で30秒間冷却した後、現像カップのGPノズルにて、2.38質量%TMAH水溶液を現像液としてパドル現像を10秒間行い、超純水でリンスした。2,000rpm、15秒間振り切りでスピンドライすることにより、レジストパターンが形成された評価用基板を得た。このとき、パターン寸法が45nmライン/90nmピッチのマスクにおいて、45nmライン/90nmピッチのレジストパターンが形成される露光量を最適露光量とした。45nm/90nmピッチのレジストパターンが形成される際、未露光部におけるブロッブ欠陥が200個以下の場合を「A(良好)」とし、200個を超えた場合を「B(不良)」と評価した。
【0217】
[ブリッジ欠陥]
12インチシリコンウェハ表面に、下層反射防止膜(ARC66、日産化学製)をLithius Pro−i(東京エレクトロン製)を使用してスピンコートした後、PB(205℃、60秒)を行うことにより膜厚105nmの下層反射防止膜を形成した。次いで、上記CLEAN TRACK ACT12を使用してフォトレジスト組成物(α)をスピンコートし、100℃、60秒でPBを行い、23℃で30秒間冷却することにより膜厚100nmのレジスト膜を形成した。その後、レジスト膜上に、各液浸上層膜形成用組成物を塗布して液浸上層膜を形成した。
次に、ArF液浸露光装置(S610C、NIKON製)を使用し、NA:1.30、Crosspoleの光学条件にて、45nmライン/90nmピッチのパターンを投影するためのマスクを介して露光した(以下、マスクによって投影されるパターンの寸法をそのマスクの「パターン寸法」と呼ぶ。例えば、パターン寸法が40nmライン/84nmピッチのマスクとは40nmライン/84nmピッチのパターンを投影するためのマスクのことを指す)。上記Lithius Pro−iのホットプレート上で100℃、60秒の条件でPEBを行い、23℃で30秒間冷却した後、現像カップのGPノズルにて、2.38質量%TMAH水溶液を現像液としてパドル現像を10秒間行い、超純水でリンスした。2,000rpm、15秒間振り切りでスピンドライすることにより、レジストパターンが形成された評価用基板を得た。このとき、パターン寸法が45nmライン/90nmピッチのマスクにおいて、45nmライン/90nmピッチのレジストパターンが形成される露光量を最適露光量とした。45nm/90nmピッチのレジストパターンが形成される際、ブリッジ欠陥が見られなかった場合を「A(良好)」、見られた場合を「B(不良)」とした。
【0218】
[剥がれ耐性]
基板として、HMDS処理をしていない8インチシリコンウェハを用いた。上記基板上に、各液浸上層膜樹脂組成物を上記CLEAN TRACK ACT8にて、スピンコートした後に90℃、60秒の条件でPBを行い、膜厚30nmの液浸上層膜を得た。その後、上記CLEAN TRACK ACT8にて純水によるリンスを60秒間行い、振り切りによる乾燥を行った。目視によりリンス後に中心部でハガレが観測された場合を「C(不良)」、エッジ部でのみハガレが観測された場合を「B(やや良好)」とし、ハガレが観測されない場合を「A(良好)」と評価した。
【0219】
[パターン形状]
高解像度のレジストパターンが形成されるか否かを評価するため本評価を行った。まず、12インチシリコンウェハ上に、上記Lithius Pro−iを使用して、下層反射防止膜用組成物(ARC66、日産化学製)をスピンコートし、PB(205℃、60秒)を行うことにより膜厚105nmの下層反射防止膜を形成した。形成した下層反射防止膜上に、フォトレジスト組成物(α)をスピンコートし、PB(100℃、60秒)を行うことにより膜厚100nmのレジスト膜を形成した。
形成したレジスト膜上に、各液浸上層膜形成用組成物をスピンコートし、PB(90℃、60秒)を行うことにより膜厚30nmの液浸上層膜を形成した。ArF液浸露光装置(S610C、NIKON製)を使用し、45nmライン/90nmピッチのパターンを投影するためのマスクを介して露光した。上記Lithius Pro−iのホットプレート上で100℃、60秒の条件でPEBを行い、23℃で30秒間冷却した後、現像カップのGPノズルにて、2.38質量%TMAH水溶液を現像液としてパドル現像を10秒間行い、超純水でリンスした。2,000rpm、15秒間振り切りでスピンドライすることにより、レジストパターンが形成された評価用基板を得た。
形成されたレジストパターンについて、線幅90nmのライン・アンド・スペースパターン(1L1S)を1対1の線幅に形成する露光量を最適露光量とした。なお、測定には走査型電子顕微鏡(CG−4000、日立計測器製)を使用した。また、線幅90nmライン・アンド・スペースパターンの断面形状を、走査型電子顕微鏡(S−4800、日立計測器製)にて観察した。基板上に形成されたパターンの高さ方向における中間での線幅Lbと、パターン上部での線幅Laを測定し、0.9≦La/Lb≦1.1であった場合を「A(良好)」、La/Lb<0.9、又はLa/Lb>1.1であった場合を「B(不良)」と評価した。
【0220】
【表5】
【0221】
表5に示す通り、実施例1〜14の液浸上層膜形成用組成物によれば、撥水性、現像液に対する溶解性、剥がれ耐性等の基本特性を十分満足する液浸上層膜を形成することができた。また、実施例1〜14の液浸上層膜形成用組成物によれば、レジストパターン形成において、ブリッジ欠陥及びブロッブ欠陥が抑制され、パターン形状にも優れていた。