【実施例】
【0036】
(参考例1)カルシウム濃度の測定方法
カルシウムイオン濃度は、下記に示すHPLC条件で、標品との比較により定量した。
【0037】
カラム:Ion Pac CS12A(DIONEX社製)
移動相:20mM メタンスルホン酸(流速1.0mL/分)
反応液:なし
検出方法:電気伝導度(サプレッサ使用)
温度:30℃。
【0038】
(参考例2)爆砕処理籾殻糖化液の調製方法
セルロース含有バイオマスとして籾殻を使用した。籾殻2kgを爆砕装置(反応容器30L、日本電熱(株)製)を用いて水蒸気爆砕処理した。その際の圧力は2.5MPa、処理時間は2.5分であった。爆砕処理籾殻の含水率を測定後、前記の絶乾処理バイオマス換算で固形分濃度が15重量%となるようにRO水を添加し、アクセルレース・デュエット(ダニスコジャパン(株)製)を添加し、50℃で24時間反応させ、糖化した。
【0039】
糖化処理物についてフィルタプレス処理(薮田産業(株)製、MO−4)を行い、未分解セルロースあるいはリグニンを分離除去し、細孔径0.22μmの精密ろ過膜に供することにより、ミクロンオーダーの不溶性粒子を除去した糖化液を得た。糖化液中のカルシウムイオンの濃度を参考例1の方法で測定した。結果を表1に示した。
【0040】
【表1】
【0041】
(参考例3)洗浄した爆砕処理籾殻からの糖化液の調製方法
参考例2の方法で調製したセルロース含有バイオマスの水蒸気爆砕処理物を、バイオマスの重量に対して10倍量の水を用いて洗浄した。洗浄した水蒸気爆砕処理物を固形分濃度が15重量%となるようにRO水を添加し、アクセルレース・デュエット(ダニスコジャパン(株)製)を添加し、50℃で24時間反応させて糖化処理した後、参考例2と同様にフィルタプレス処理と精密ろ過膜処理に供して糖化液を得て、糖化液中のカルシウムイオン濃度を参考例1の方法で測定した。結果を表1に示した。
【0042】
(参考例4)パルプ糖化液の調製方法
広葉樹材の未晒しクラフトパルプであるシートウェットパルプ(兵庫パルプ工業(株)製)の含水率を測定し、絶乾換算で固形分濃度が5%となるようにRO水を添加し、酢酸ナトリウム緩衝液を加えてpH5付近とし、アクセルレース・デュエット(ダニスコジャパン(株)製)を添加し、50℃で24時間反応させ糖化した。
【0043】
糖化処理物についてフィルタプレス処理(薮田産業(株)製、MO−4)を行い、未分解セルロースあるいはリグニンを分離除去し、細孔径0.22μmの精密ろ過膜に供することにより、ミクロンオーダーの不溶性粒子を除去した糖化液を得た。糖化液中のカルシウムイオンの濃度を参考例1の方法で測定した。結果を表1に示した。
【0044】
(参考例5)アンモニア処理バガス糖化液の調製方法
バガスを小型反応器(耐圧硝子工業(株)製、TVS−N230mL)に投入し、液体窒素で冷却した。この反応器にアンモニアガスを流入し、資料を完全に液体アンモニアに浸漬させた。リアクターの蓋を閉め、室温で15分ほど放置した。次いで、150℃のオイルバスにて1時間処理した。処理後、反応器をオイルバスから取り出し、ドラフト中で直ちにアンモニアガスをリーク後、さらに真空ポンプで反応器内を10Paまで減圧し、乾燥させた。アンモニア処理バガスの含水率を測定後、絶乾換算で固形分濃度が10重量%となるようにRO水を添加し、アクセルレース・デュエット(ダニスコジャパン(株)製)を添加し、50℃で24時間反応させ、糖化した。
【0045】
糖化処理物についてフィルタプレス処理(薮田産業(株)製、MO−4)を行い、未分解セルロースあるいはリグニンを分離除去し、細孔径0.22μmの精密ろ過膜に供することにより、ミクロンオーダーの不溶性粒子を除去した糖化液を得た。糖化液のカルシウムイオンの濃度を参考例1の方法で測定した。結果を表1に示した。
【0046】
(参考例6)希硫酸処理コーンコブ糖化液の調製方法
コーンコブ((株)日本ウオルナット)を1%希硫酸に浸漬し、120℃で20分オートクレーブ処理した。オートクレーブ処理後は、溶液成分と固形分に固液分離し、固形分として希硫酸処理コーンコブを得た。希硫酸処理コーンコブの含水率を測定後、絶乾換算で固形分濃度が10重量%となるようにRO水を添加し、アクセルレース・デュエット(ダニスコジャパン(株)製)を添加し、50℃で24時間反応させ、糖化した。
【0047】
糖化処理物についてフィルタプレス処理(薮田産業(株)製、MO−4)を行い、未分解セルロースあるいはリグニンを分離除去し、細孔径0.22μmの精密ろ過膜に供することにより、ミクロンオーダーの不溶性粒子を除去した糖化液を得た。糖化液のカルシウムイオンの濃度を参考例1の方法で測定した。結果を表1に示した。
【0048】
(参考例7)セルロース含有バイオマスの糖化液の限外ろ過膜ろ液の調製方法
セルロース含有バイオマスの糖化液を、操作温度50℃、膜面線速度20cm/sec、透過流束0.5m/dayの条件で限外ろ過膜によりクロスフローろ過することで限外ろ過膜ろ液を調製した。
【0049】
(参考例8)限外ろ過膜の目詰まり膜の作製方法
糖化液約20Lを、参考例7と同様の条件で限外ろ過膜でろ過し、操作圧が0.3MPaまで達したところで、圧力を固定した。圧力を固定したままろ過を続け、非透過液側の濃縮液量が原液の1/15まで濃縮された時点で運転を停止し、限外ろ過膜の目詰まり膜を回収した。
【0050】
(参考例9)ナノろ過膜・逆浸透膜の目詰まり膜の作製方法
糖化液を参考例7の条件で限外ろ過膜に通じてろ過して得られたろ液をそれぞれナノろ過膜または逆浸透膜に通じてろ過した。ろ過条件は操作温度50℃、膜面線速度20cm/sec、透過流束0.5m/dayとし、操作圧力が6MPaまで達したところで、圧力を固定した。圧力を固定したままろ過を続け、透過流束が0.05m/dayまで低下したところで運転を停止し、目詰まり膜を回収した。
【0051】
(参考例10)平膜の目詰まり膜の作製方法
ナノろ過膜のスパイラルエレメントから平膜を切り出した。膜処理には、膜分離装置“SEPA CF II”(膜有効面積:140cm
2、GEオスモニクス社製を用いた。糖化液のろ過条件は、操作温度30℃、膜面線速度20cm/sec、透過流束0.5m/dayとし、操作圧が6MPaまで達したところで圧力を固定した。圧力を固定したままろ過を続け、透過流束が0.05m/dayまで低下したところで運転を停止し、目詰まり膜を回収した。
【0052】
(参考例11)純水透過流束の測定方法
限外ろ過膜、ナノろ過膜、逆浸透膜の純水透過流束は、操作温度25℃、膜面線速度20cm/secの条件で、操作圧力は、限外ろ過膜の場合0.1MPa、ナノろ過膜または逆浸透膜の場合1MPaの条件で、それぞれ純水をクロスフローろ過することで測定した。
【0053】
(参考例12)純水透過流束比%の算出
参考例11の方法で未使用膜、洗浄前目詰まり膜、洗浄後目詰まり膜の純水透過流束を測定した。未使用膜との純水透過流束比%を算出することで、目詰まりの度合いと目詰まりの回復度合いを評価した。式1に純水透過流束比%の算出方法を示す。
【0054】
純水透過流束比%=目詰まり膜の純水透過流束/未使用膜の純水透過流束×100 ・・・ (式1)。
【0055】
(実施例1)爆砕処理籾殻糖化液を処理したナノろ過膜および逆浸透膜の酸洗浄、アルカリ洗浄
爆砕処理籾殻糖化液を参考例7の方法で限外ろ過膜(シンダー社製“SPE30”分画分子量30,000)でろ過し、そのろ液を用いて参考例9の方法でナノろ過膜(ROPUR社製“FR60−2514”)および逆浸透膜(ROPUR社製“FRH−2514”)の目詰まり膜を作製した。この目詰まり膜に対して水洗浄後にpH2の酸性水溶液(洗浄液1)による酸洗浄を行い、その後pH12の水酸化ナトリウム水溶液(洗浄液2)によるアルカリ洗浄を行った。
【0056】
酸性水溶液の酸としては、硝酸、クエン酸、乳酸の3種類の酸をそれぞれ用いた。酸性水溶液、水酸化ナトリウム水溶液ともに操作温度50℃、膜面線速度20cm/secでポンプの吐出圧によるクロスフローろ過を行った。ろ液は、供給槽に戻し、酸洗浄は60分間、アルカリ洗浄は30分間行った(洗浄1)。洗浄1後に参考例9の方法で目詰まりさせ、同様の洗浄を再度実行し(洗浄2)、合計2回の洗浄を行った。未使用膜、洗浄1前後、洗浄2後の目詰まり膜に対して参考例11の方法で純水透過流束を測定後に参考例12の方法で純水透過流束比%を算出し、洗浄1、2それぞれの効果を評価した。結果を表2に示した。洗浄1でナノろ過膜、逆浸透膜ともに純水透過流束比%が95%を超え、未使用膜とほぼ同等の透過流束まで回復した。さらに、洗浄2でも同様の効果が保持されていた。また、酸性水溶液の中でも硝酸水溶液が最も洗浄効果が高かった。
【0057】
(参考例13)爆砕処理籾殻糖化液を処理した限外ろ過膜のアルカリ洗浄
爆砕処理籾殻糖化液を用いて、参考例8の方法で調製した限外ろ過膜(シンダー社“SPE30”、分画分子量30,000)の目詰まり膜に対して水洗浄後にpH12の水酸化ナトリウム水溶液(洗浄液1)による洗浄を行った。操作温度50℃、膜面線速度20cm/secでポンプの吐出圧によるクロスフローろ過を行った。ろ液は、供給槽に戻し、30分間全循環運転によって洗浄した。純水透過流束の評価を実施例1と同様に行った。結果を表2に示した。洗浄前の純水透過流束比%は73%であったが、水酸化ナトリウム洗浄によって未使用膜とほぼ同等の98%まで回復した。また、洗浄2後も98%であり、洗浄の効果が保持されていた。
【0058】
(比較例1)爆砕処理籾殻糖化液を処理したナノろ過膜および逆浸透膜のアルカリ洗浄
爆砕処理籾殻糖化液を参考例7の方法で限外ろ過膜(シンダー社製“SPE30”分画分子量30,000)でろ過し、そのろ液を用いて参考例9の方法でナノろ過膜(ROPUR社製“FR60−2514”)および逆浸透膜(ROPUR社製“FRH−2514”)の目詰まり膜を作製した。この目詰まり膜に対して水洗浄後にpH12の水酸化ナトリウム水溶液(洗浄液1)による洗浄を行った。洗浄およびその評価は実施例1と同様に行った。結果は表2に示すとおりで、洗浄1でナノろ過膜、逆浸透膜ともに純水透過流束比%が80%を下回り、洗浄の効果が低かった。また、洗浄2では洗浄の効果がほとんど得られなかった。
【0059】
(参考例14)爆砕処理籾殻糖化液を処理後にアルカリ洗浄後逆浸透膜の膜面観察
限外ろ過膜の洗浄(参考例13)で効果の高かったアルカリ洗浄がナノろ過膜および逆浸透膜のスパイラルエレメントの洗浄(比較例1)では効果が低かったため、比較例1の洗浄後の逆浸透膜のスパイラルエレメントを解体し、膜面の観察を行った。分析方法としてはSEM−EDX法を用いた(SEM:(株)日立製作所製“S−4800”、EDX検出:(株)堀場製作所製“EMAX ENERGY EX−220”)。分析時の印加電圧は20kVとし、物質のチャージ防止のため、5秒間試料に白金をスパッタリングした後、分析を行った。膜面には、
図1に示した析出物が目詰まりしており、
図2〜4に示したように構成成分がカルシウム、炭素、酸素であった。このことから、アルカリ洗浄後逆浸透膜の膜面には炭酸カルシウムが目詰まりしていると推察された。
【0060】
(比較例2)爆砕処理籾殻糖化液を処理したナノろ過膜および逆浸透膜の酸洗浄
爆砕処理籾殻糖化液を参考例7の方法で限外ろ過膜(シンダー社製“SPE30”分画分子量30,000)でろ過し、そのろ液を用いて参考例9の方法でナノろ過膜(ROPUR社製“FR60−2514”)および逆浸透膜(ROPUR社製“FRH−2514”)の目詰まり膜を作製した。この目詰まり膜に対して、水洗浄後にpH2の酸性水溶液(洗浄液1)による洗浄を行った。酸性水溶液の酸としては、硝酸、クエン酸、乳酸の3種類の酸をそれぞれ用いた。洗浄およびその評価は実施例1と同様に行った。結果を表2に示した。ナノろ過膜、逆浸透膜ともに比較例2よりも効果があったが、洗浄1で純水透過流束比%が80%を下回り、十分な洗浄効果は得られなかった。また、比較例2と同様に洗浄2では著しく洗浄効果が低下した。
【0061】
(比較例3)爆砕処理籾殻糖化液を処理したナノろ過膜および逆浸透膜のアルカリ洗浄、酸洗浄
爆砕処理籾殻糖化液を参考例7の方法で限外ろ過膜(シンダー社製“SPE30”分画分子量30,000)でろ過し、そのろ液を用いて参考例9の方法でナノろ過膜(ROPUR社製“FR60−2514”)および逆浸透膜(ROPUR社製“FRH−2514”)の目詰まり膜を作製した。この目詰まり膜に対して、水洗浄後にpH12の水酸化ナトリウム水溶液(洗浄液1)によるアルカリ洗浄を行い、その後pH2の酸性水溶液(洗浄液2)による酸洗浄を行った。酸洗浄液の酸としては、硝酸、クエン酸、乳酸の3種類の酸をそれぞれ用いた。洗浄とその評価は実施例1と同様に行った。結果は表2に示すとおりで、洗浄1ではナノろ過膜、逆浸透膜ともに比較例1よりも効果があったが、純水透過流束比%が80%を下回り、十分な洗浄効果は得られなかった。また、洗浄2の洗浄効果の低下も比較例1よりも小さかったが、洗浄の効果を保持することはできなかった。
【0062】
【表2】
【0063】
(実施例2)限外ろ過膜処理がナノろ過膜洗浄および逆浸透膜洗浄に与える影響
参考例9の方法でナノろ過膜(ROPUR社製“FR60−2514”)および逆浸透膜(ROPUR社製“FRH−2514”)の目詰まり膜を調製した。目詰まり膜の調製には、参考例2の爆砕処理籾殻糖化液(限外ろ過膜処理なし)、参考例2の爆砕処理籾殻糖化液を限外ろ過膜1(アルファラバル社製“UFpHtシリーズGR40PP”、分画分子量100,000)で処理したろ液、参考例2の爆砕処理籾殻糖化液を限外ろ過膜2限外ろ過膜2(アルファラバル社製“UFpHtシリーズGR51PP”、分画分子量50,000)で参考例7の条件で処理したろ液をそれぞれ用いた。3種類の目詰まり膜について、水洗浄後にpH2の硝酸水溶液(洗浄液1)による酸洗浄を行い、その後pH12の水酸化ナトリウム水溶液(洗浄液2)によるアルカリ洗浄を行った。洗浄及びその評価は実施例1と同様に行った。結果を表3に示した。本結果と実施例1の結果の比較から、糖化液を限外ろ過膜で処理することによって酸洗浄後にアルカリ洗浄するという2段階洗浄の効果がより高くなり、さらに分画分子量50,000以下の限外ろ過膜で処理することで2段階洗浄の効果がさらに高くなることが示された。
【0064】
【表3】
【0065】
(実施例3)糖化液にカルシウムが含まれない場合のナノろ過膜および逆浸透膜の目詰まりの洗浄効果
参考例3で調製した糖化液を参考例7の方法で限外ろ過膜(シンダー社製“SPE30”分画分子量30,000)でろ過し、そのろ液を用いて参考例9の方法でナノろ過膜(ROPUR社製“FR60−2514”)および逆浸透膜(ROPUR社製“FRH−2514”)の目詰まり膜を作製した。この目詰まり膜に対して、水洗浄後にpH2の硝酸水溶液(洗浄液1)による酸洗浄を行い、その後pH12の水酸化ナトリウム水溶液(洗浄液2)によるアルカリ洗浄を行った。洗浄および評価は実施例1と同様に行った。結果は表4に示すとおりで、実施例1よりもやや効果は劣るものの、純水透過流束比%が80%を上回り、十分な洗浄効果が得られた。
【0066】
【表4】
【0067】
(実施例4)糖化液ろ過後の水洗浄がナノろ過膜および逆浸透膜の洗浄に与える影響
爆砕処理籾殻糖化液を参考例6の方法で限外ろ過膜(シンダー社製“SPE30”分画分子量30,000)でろ過し、そのろ液を用いて参考例8の方法でナノろ過膜(ROPUR社製“FR60−2514”)および逆浸透膜(ROPUR社製“FRH−2514”)の目詰まり膜を作製した。この目詰まり膜に対して、水洗浄をすることなく、pH2の硝酸水溶液(洗浄液1)による酸洗浄を行い、その後pH12の水酸化ナトリウム水溶液(洗浄液2)によるアルカリ洗浄を行った。洗浄およびその評価は実施例1と同様に行った。結果は表5に示すとおりで、実施例1よりやや効果は劣るものの、ろ過後に水洗浄を行わなくとも、洗浄効果が得られた。
【0068】
【表5】
【0069】
(実施例5)パルプ糖化液を処理した逆浸透膜の酸洗浄、アルカリ洗浄
パルプ糖化液を参考例7の方法で限外ろ過膜(シンダー社製“SPE30”分画分子量30,000)でろ過し、そのろ液を用いて参考例9の方法で逆浸透膜(ROPUR社製“FRH−2514”)の目詰まり膜を作製した。この目詰まり膜に対して水洗浄後にpH2の酸性水溶液(洗浄液1)による酸洗浄を行い、その後pH12の水酸化ナトリウム水溶液(洗浄液2)によるアルカリ洗浄を行った。
【0070】
酸性水溶液の酸としては、硝酸を用いた。酸性水溶液、水酸化ナトリウム水溶液ともに操作温度50℃、膜面線速度20cm/secでポンプの吐出圧によるクロスフローろ過を行った。ろ液は、供給槽に戻し、酸洗浄は60分間、アルカリ洗浄は30分間行った(洗浄1)。洗浄1後に参考例8の方法で目詰まりさせ、同様の洗浄を再度実行し(洗浄2)、合計2回の洗浄を行った。未使用膜、洗浄1前後、洗浄2後の目詰まり膜に対して参考例11の方法で純水透過流束を測定後に参考例12の方法で純水透過流束比%を算出し、洗浄1、2それぞれの効果を評価した。結果を表6に示した。洗浄1で純水透過流束比%が95%を超え、未使用膜とほぼ同等の透過流束まで回復した。さらに、洗浄2でも同様の効果が保持されていた。
【0071】
【表6】
【0072】
(比較例4)パルプ糖化液を処理した逆浸透膜のアルカリ洗浄
パルプ糖化液を参考例7の方法で限外ろ過膜(シンダー社製“SPE30”分画分子量30,000)でろ過し、そのろ液を用いて参考例9の方法で逆浸透膜(ROPUR社製“FRH−2514”)の目詰まり膜を作製した。この目詰まり膜に対して水洗浄後にpH12の水酸化ナトリウム水溶液(洗浄液1)による洗浄を行った。洗浄およびその評価は実施例5と同様に行った。結果を表6に示した。洗浄1で純水透過流束比%が80%を下回り、洗浄の効果が低かった。また、洗浄2では洗浄の効果がほとんど得られなかった。
【0073】
(比較例5)パルプ糖化液を処理した逆浸透膜の酸洗浄
パルプ糖化液を参考例7の方法で限外ろ過膜(シンダー社製“SPE30”分画分子量30,000)でろ過し、そのろ液を用いて参考例9の方法で逆浸透膜(ROPUR社製“FRH−2514”)の目詰まり膜を作製した。この目詰まり膜に対して水洗浄後にpH2の酸性水溶液(洗浄液1)による洗浄を行った。酸性水溶液の酸としては、硝酸を用いた。洗浄およびその評価は実施例5と同様に行った。結果を表6に示した。洗浄1で純水透過流束比%が80%を下回り、十分な洗浄効果は得られなかった。また、洗浄2では著しく洗浄効果が低下した。
【0074】
(比較例6)パルプ糖化液を処理した逆浸透膜のアルカリ洗浄、酸洗浄
パルプ糖化液を参考例7の方法で限外ろ過膜(シンダー社製“SPE30”分画分子量30,000)でろ過し、そのろ液を用いて参考例9の方法で逆浸透膜(ROPUR社製“FRH−2514”)の目詰まり膜を作製した。この目詰まり膜に対して水洗浄後にpH12の水酸化ナトリウム水溶液(洗浄液1)によるアルカリ洗浄を行い、その後pH2の酸性水溶液(洗浄液2)による酸洗浄を行った。酸洗浄液の酸としては、硝酸を用いた。洗浄とその評価は実施例5と同様に行った。結果を表6に示した。洗浄1では純水透過流束比%が80%を下回り、十分な洗浄効果は得られなかった。また、洗浄の効果を保持することはできなかった。
【0075】
(実施例6)アンモニア処理バガス糖化液を処理したナノろ過膜の酸洗浄、アルカリ洗浄
アンモニア処理バガス糖化液を参考例7の方法で限外ろ過膜(シンダー社製“SPE30”分画分子量30,000)でろ過し、そのろ液を用いて参考例10の方法でナノろ過膜(ROPUR社製“FR60−2514”)から切り出した平膜の目詰まり膜を作製した。この目詰まり膜に対して水洗浄後にpH2の酸性水溶液(洗浄液1)による酸洗浄を行い、その後pH12の水酸化ナトリウム水溶液(洗浄液2)によるアルカリ洗浄を行った。洗浄においても膜分離装置“SEPA CF II”(膜有効面積:140cm
2、GEオスモニクス社製を用いた。
【0076】
酸性水溶液の酸としては、硝酸を用いた。酸性水溶液、水酸化ナトリウム水溶液ともに操作温度50℃、膜面線速度20cm/secでポンプの吐出圧によるクロスフローろ過を行った。ろ液は、供給槽に戻し、酸洗浄は60分間、アルカリ洗浄は30分間行った(洗浄1)。洗浄1後に参考例9の方法で目詰まりさせ、同様の洗浄を再度実行し(洗浄2)、合計2回の洗浄を行った。未使用膜、洗浄1前後、洗浄2後の目詰まり膜に対して参考例11の方法で純水透過流束を測定後に参考例12の方法で純水透過流束比%を算出し、洗浄1、2それぞれの効果を評価した。結果を表7に示した。洗浄1で純水透過流束比%が95%を超え、未使用膜とほぼ同等の透過流束まで回復した。さらに、洗浄2でも同様の効果が保持されていた。
【0077】
【表7】
【0078】
(比較例7)アンモニア処理バガス糖化液を処理したナノろ過膜のアルカリ洗浄
アンモニア処理バガス糖化液を参考例7の方法で限外ろ過膜(シンダー社製“SPE30”分画分子量30,000)でろ過し、そのろ液を用いて参考例10方法でナノろ過膜(ROPUR社製“FR60−2514”)から切り出した平膜の目詰まり膜を作製した。この目詰まり膜に対して水洗浄後にpH12の水酸化ナトリウム水溶液(洗浄液1)による洗浄を行った。洗浄およびその評価は実施例6と同様に行った。結果を表7に示した。洗浄1で純水透過流束比%が80%を下回り、洗浄の効果が低かった。また、洗浄2では洗浄の効果がほとんど得られなかった。
【0079】
(比較例8)アンモニア処理バガス糖化液を処理した逆浸透膜の酸洗浄
アンモニア処理バガス糖化液を参考例7の方法で限外ろ過膜(シンダー社製“SPE30”分画分子量30,000)でろ過し、そのろ液を用いて参考例10方法でナノろ過膜(ROPUR社製“FR60−2514”)から切り出した平膜の目詰まり膜を作製した。この目詰まり膜に対して水洗浄後にpH2の酸性水溶液(洗浄液1)による洗浄を行った。酸性水溶液の酸としては、硝酸を用いた。洗浄およびその評価は実施例6と同様に行った。結果を表7に示した。洗浄1で純水透過流束比%が80%を下回り、十分な洗浄効果は得られなかった。また、洗浄2では著しく洗浄効果が低下した。
【0080】
(比較例9)アンモニア処理バガス糖化液を処理したナノろ過膜のアルカリ洗浄、酸洗浄
アンモニア処理バガス糖化液を参考例7の方法で限外ろ過膜(シンダー社製“SPE30”分画分子量30,000)でろ過し、そのろ液を用いて参考例10方法でナノろ過膜(ROPUR社製“FR60−2514”)から切り出した平膜の目詰まり膜を作製した。この目詰まり膜に対して水洗浄後にpH12の水酸化ナトリウム水溶液(洗浄液1)によるアルカリ洗浄を行い、その後pH2の酸性水溶液(洗浄液2)による酸洗浄を行った。酸洗浄液の酸としては、硝酸を用いた。洗浄とその評価は実施例6と同様に行った。結果を表7に示した。洗浄1で純水透過流束比%が80%を下回り、十分な洗浄効果は得られなかった。また、洗浄2では著しく洗浄効果が低下した。
【0081】
(実施例7)希流酸処理コーンコブ糖化液を処理した逆浸透膜の酸洗浄、アルカリ洗浄
希流酸処理コーンコブ糖化液を参考例7の方法で限外ろ過膜(シンダー社製“SPE30”分画分子量30,000)でろ過し、そのろ液を用いて参考例9の方法で逆浸透膜(ROPUR社製“FRH−2514”)の目詰まり膜を作製した。この目詰まり膜に対して水洗浄後にpH2の酸性水溶液(洗浄液1)による酸洗浄を行い、その後pH12の水酸化ナトリウム水溶液(洗浄液2)によるアルカリ洗浄を行った。
【0082】
酸性水溶液の酸としては、硝酸を用いた。酸性水溶液、水酸化ナトリウム水溶液ともに操作温度50℃、膜面線速度20cm/secでポンプの吐出圧によるクロスフローろ過を行った。ろ液は、供給槽に戻し、酸洗浄は60分間、アルカリ洗浄は30分間行った(洗浄1)。洗浄1後に参考例8の方法で目詰まりさせ、同様の洗浄を再度実行し(洗浄2)、合計2回の洗浄を行った。未使用膜、洗浄1前後、洗浄2後の目詰まり膜に対して参考例11の方法で純水透過流束を測定後に参考例12の方法で純水透過流束比%を算出し、洗浄1、2それぞれの効果を評価した。結果は表8に示すとおりで、洗浄1で純水透過流束比%が95%を超え、未使用膜とほぼ同等の透過流束まで回復した。さらに、洗浄2でも同様の効果が保持されていた。
【0083】
【表8】
【0084】
(比較例10)希流酸処理コーンコブ糖化液を処理した逆浸透膜のアルカリ洗浄
希流酸処理コーンコブ糖化液を参考例7の方法で限外ろ過膜(シンダー社製“SPE30”分画分子量30,000)でろ過し、そのろ液を用いて参考例9の方法で逆浸透膜(ROPUR社製“FRH−2514”)の目詰まり膜を作製した。この目詰まり膜に対して水洗浄後にpH12の水酸化ナトリウム水溶液(洗浄液1)による洗浄を行った。洗浄およびその評価は実施例5と同様に行った。結果を表8に示した。洗浄1で純水透過流束比%が80%を下回り、洗浄の効果が低かった。また、洗浄2では洗浄の効果がほとんど得られなかった。
【0085】
(比較例5)希流酸処理コーンコブ糖化液を処理した逆浸透膜の酸洗浄
希流酸処理コーンコブ糖化液を参考例7の方法で限外ろ過膜(シンダー社製“SPE30”分画分子量30,000)でろ過し、そのろ液を用いて参考例9の方法で逆浸透膜(ROPUR社製“FRH−2514”)の目詰まり膜を作製した。この目詰まり膜に対して水洗浄後にpH2の酸性水溶液(洗浄液1)による洗浄を行った。酸性水溶液の酸としては、硝酸を用いた。洗浄およびその評価は実施例5と同様に行った。結果を表8に示した。洗浄1で純水透過流束比%が80%を下回り、十分な洗浄効果は得られなかった。また、洗浄2では著しく洗浄効果が低下した。
【0086】
(比較例6)希流酸処理コーンコブ糖化液を処理した逆浸透膜のアルカリ洗浄、酸洗浄
希流酸処理コーンコブ糖化液を参考例7の方法で限外ろ過膜(シンダー社製“SPE30”分画分子量30,000)でろ過し、そのろ液を用いて参考例9の方法で逆浸透膜(ROPUR社製“FRH−2514”)の目詰まり膜を作製した。この目詰まり膜に対して水洗浄後にpH12の水酸化ナトリウム水溶液(洗浄液1)によるアルカリ洗浄を行い、その後pH2の酸性水溶液(洗浄液2)による酸洗浄を行った。酸洗浄液の酸としては、硝酸を用いた。洗浄とその評価は実施例5と同様に行った。結果は表8に示すとおりで、洗浄1ではナノろ過膜、逆浸透膜ともに比較例1よりも効果があったが、純水透過流束比%が80%を下回り、十分な洗浄効果は得られなかった。また、洗浄の効果を保持することはできなかった。