特許第5936005号(P5936005)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5936005
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月15日
(54)【発明の名称】浮沈型回転式養殖生簀
(51)【国際特許分類】
   A01K 63/00 20060101AFI20160602BHJP
   A01K 63/06 20060101ALI20160602BHJP
【FI】
   A01K63/00 D
   A01K63/06 Z
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-96624(P2013-96624)
(22)【出願日】2013年4月12日
(65)【公開番号】特開2014-204709(P2014-204709A)
(43)【公開日】2014年10月30日
【審査請求日】2014年11月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】503050515
【氏名又は名称】中山 仁助
(72)【発明者】
【氏名】中山 仁助
【審査官】 竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭57−074275(JP,U)
【文献】 実開平01−098565(JP,U)
【文献】 国際公開第97/046086(WO,A1)
【文献】 特開昭61−209538(JP,A)
【文献】 実開昭51−127498(JP,U)
【文献】 国際公開第96/031117(WO,A1)
【文献】 特表昭58−500271(JP,A)
【文献】 特表2006−517107(JP,A)
【文献】 特開2009−072156(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 61/00 − 63/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウナギ目アナゴ科類、他種稚魚類並びに貝類を海面で飼育するための浮沈型回転式養殖生簀であって、
円柱形状の生簀のフレームとなる骨組を有する円柱生簀骨組枠と該円柱生簀骨組枠の内周に取り付けられる網とからなり生簀内部に前記ウナギ目アナゴ科の寝床として遮光性の黒色シートを設けた円柱生簀と、
前記円柱生簀が回転可能に収容される方形状のフレームを有する枠体と、
前記枠体内において前記円柱生簀に回転力を与える回転力付与機構と、
前記円柱生簀が収容された前記枠体を海面に浮かべたときに浮力を付与する浮力付与部材と、
を有することを特徴とする浮沈型回転式養殖生簀。
【請求項2】
前記回転力付与機構は、前記円柱生簀骨組枠の長さ方向両端部に設けられた第1および第2の軸と、前記枠体に回転可能に軸支される丸型棒と、該丸型棒の長さ方向略中心位置に該丸型棒を回転させるために設けられた回転ハンドルギアと、該丸型棒と該第1および第2の軸の端部に設けられたそれぞれのギアと、該それぞれのギアに回転力を伝達するチェーンとから構成されることを特徴とする請求項1に記載の浮沈型回転式養殖生簀。
【請求項3】
前記回転力付与機構は、前記円柱生簀骨組枠の長さ方向両端部に設けられた中心軸と、前記円柱生簀骨組枠に設けられ該円柱生簀骨組枠を回転させる回転ハンドルと、前記枠体に設けられ該中心軸を軸支するベアリングを有する受部とから構成されることを特徴とする請求項1に記載の浮沈型回転式養殖生簀。
【請求項4】
前記円柱生簀は、形状が横円柱形であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の浮沈型回転式養殖生簀。
【請求項5】
前記網は、黒色であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の浮沈型回転式養殖生簀。
【請求項6】
前記網は、開口部を有し、該開口部に捕獲用すくい網が設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の浮沈型回転式養殖生簀。
【請求項7】
前記枠体に、浮遊体フロートまたは給気パイプによる浮力調整フロートを設けた沈下式生簀であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の浮沈型回転式養殖生簀。
【請求項8】
前記円柱生簀は、牽引時に回転することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の浮沈型回転式養殖生簀。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウナギ目アナゴ科類、他種稚魚類並びに貝類を飼育するための浮沈型回転式養殖生簀に関し、特に、採算性を向上させ、飼育期間終了までの生簀網の維持管理を簡素化し、かつ、酸欠死の危険性から養殖魚貝類を守ることを図ったウナギ目アナゴ科類、他種稚魚類並びに貝類を飼育するための浮沈型回転式養殖生簀に関する。
【背景技術】
【0002】
(陸上養殖)
従来、アナゴ類は陸上養殖において小規模で養殖(畜養)しているのが現状である。市場の取引単価は2,000円/kg程度であるため大規模陸上養殖におけるランニングコストを考慮すると採算性に劣り事業性に難がある。陸上養殖における養殖魚の取引単価は5,000円/kgが望ましいが、このように取引されるのは、一部の高級魚(ハタ等)に限られている。
【0003】
この陸上養殖においては、地下海水又は深層水を養殖漕に取り入れられるが、例えば、地下海水又は深層水の場合は、年間水温平均が18°C〜20°Cと安定し、飼育水温条件としては最適である。しかし、溶存酸素が少なく、大規模に陸上養殖する場合は、液体酸素ガス等で大量の酸素を補充する必要性がある。この最適な溶存酸素の値は、排出時の溶存酸素値8ppmが望ましい。しかし、液体酸素ガスの消耗費と設備費及び電気料金が負担増となる。
【0004】
また、陸上養殖でアナゴ類の寝床としてよく使用されているパイプは直径6cm〜10cm程度が多く使用されているが、この方法では、飼育密度を高めるには不向きであり、生産効率が悪く、パイプ内の溶存酸素が不足し酸欠死の要因となる。
【0005】
このように、採算性・事業性の点からは、アナゴ類の陸上養殖には少し難がある。この点については、海面生簀でアナゴ類を養殖するようにすると、ある程度は解消されると考えられる。
【0006】
(海面養殖)
しかし、海面におけるアナゴ養殖の成功例はなく、海面生簀で養殖する場合は、生簀網の網目は、3〜5mmの目合いを使用するため、付着物が短期間(2〜3日)で付着し目詰りし、生簀内が酸欠状態になる。この問題に対しては、従来から生簀網の維持管理方法が考えられているが、それには多くの課題がある。
【0007】
例えば、大きい大型生簀網は、一般的には潜水士が、硬いフジツボやカラスガイを簡単に吹き飛ばすポンプの水圧で洗浄作業をすることになるが、過酷で大変な労力を必要とする。また、最先端では遠隔操作で、網の鉛直面に沿って移動しながら洗浄する大型網生簀に対応した水中洗浄ロボット等があるが、これを導入するに当たっては多大なコストがかかる。また、海面で洗浄作業をしない場合は、1年に数回そして多い時には1ヶ月に1回程度、網を交換し、付着が付いた網は陸上に揚げて洗浄することになるが、これにも多大なコストと労力を要する。また、海面養殖で稚魚を飼育する生簀網の目合(3mm〜5mm)の場合は、特に目詰りが速く週に2回は陸上に揚げて洗浄する時間と労力の掛かる重労働作業である。
【0008】
また、悪天候時や赤潮発生時の被害を回避する従来の方法にも多くの課題がある。
例えば、従来の生簀では、悪天候時での生簀の破損を防ぎ、赤潮発生時での酸欠死の危険から養殖魚を守ることが困難である。赤潮の被害は増加しており。養殖業者は致命的な損失を受けている。
【0009】
このような課題を解決するための1つの提案として、例えば、実開平1−98565に示されるような回転式養殖生簀がある。この回転式養殖生簀は、このフロートによって海上に浮揚される保持枠と、この保持枠に回転自在に取付けられた生簀枠と、この生簀枠3にドラム状に張着されかつ上部を空中に露出する網と、生簀枠の上部を巡りかつ一端に接地シンカーを他端に可動シンカーをそれぞれ有する索と、この索を生簀枠の所要位置に適時固定する固定部材とを具備したものであり、自然の潮位差を利用して、円柱形状の生簀を回転させ、海面上に出ている網目部分の付着物を太陽光で死滅させることを目的としている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、この自然の潮位差を利用した回転式養殖生簀によれば、以下のような問題がある。
(1)生簀を1回転させることはできない。何故ならば、潮位差は地域によってかなりの違いがあるからである。自然の潮位差では円柱形生簀を1回転させることは難しく、且つ回転速度が6時間周期と非常に遅い。
(2)また、一定の部分を干満で繰り返すのみで、太陽光で付着物を死滅させるのは難しい。
(3)また、陸上養殖の問題点でもある飼育密度に関係するアナゴ寝床やランニングコスト等の解決策も示されていない。
(4)また、生簀網の目合(3mm〜5mm)に泥、ケイ藻、カサネカンザシやフジツボなどの付着生物が着生し、海水の交流を妨げ,飼育魚類の摂餌・成長を阻害し,生残率を低下させることになるおそれがあるが、この問題についての方策も開示されていない。
(5)また、上述のように、生簀網が目詰りをおこすと、生簀網の交換を行い,これらを防除すればよいが、そのためかかる時間と労力を要する点についての解決策も示されていない。
(6)当然のことながら、悪天候時の被害や赤潮発生時の酸欠死の危険性から養殖魚を守る方策についても開示されていない。特に、アナゴは同じ底魚であるヒラメとは違い、体を寄せ合って群れをなす習性がある。底面の海水交流を工夫する必要がある。また、水温調整ができない海面では、夏場の水温が高くなるに連れて溶存酸素が低下し、底面の海水交流が悪くなると酸欠による斃死や病気の発症が多くなり大量死の要因となる。
【0011】
従って、本発明の目的は、採算性を向上させ、飼育期間終了までの生簀網の維持管理を簡素化し、悪天候時の影響や赤潮発生時による酸欠死の危険性から養殖魚等を守ることができる浮沈型回転式養殖生簀である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記の目的を達成するため、ウナギ目アナゴ科類、他種稚魚類並びに貝類を海面で飼育するための浮沈型回転式養殖生簀であって、円柱形状の生簀のフレームとなる骨組を有する円柱生簀骨組枠と該円柱生簀骨組枠の内周に取り付けられる網とからなり生簀内部に前記ウナギ目アナゴ科の寝床として遮光性の黒色シートを設けた円柱生簀と、前記円柱生簀が回転可能に収容される方形状のフレームを有する枠体と、前記枠体内において前記円柱生簀に回転力を与える回転力付与機構と、前記円柱生簀が収容された前記枠体を海面に浮かべたときに浮力を付与する浮力付与部材と、を有することを特徴とする浮沈型回転式養殖生簀を提供するものである。
【0013】
以上の構成において、前記回転力付与機構は、前記円柱生簀骨組枠の長さ方向両端部に設けられた第1および第2の軸と、前記枠体に回転可能に軸支される丸型棒と、該丸型棒の長さ方向略中心位置に該丸型棒を回転させるために設けられた回転ハンドルギアと、該丸型棒と該第1および第2の軸の端部に設けられたそれぞれのギアと、該それぞれのギアに回転力を伝達するチェーンとから構成されることが望ましい。
【0014】
また、前記回転力付与機構は、前記円柱生簀骨組枠の長さ方向両端部に設けられた中心軸と、前記円柱生簀骨組枠に設けられ該円柱生簀骨組枠を回転させる回転ハンドルと、前記枠体に設けられ該中心軸を軸支するベアリングを有する受部とから構成されることが望ましい。
【0015】
また、前記円柱生簀は、形状が横円柱形であることが望ましい。また、前記網は、黒色であることが望ましい。
【0017】
また、前記網は、開口部を有し、該開口部に捕獲用すくい網が設けられていることが望ましい。
【0018】
また、前記枠体に、浮遊体フロートまたは給気パイプによる浮力調整フロートを設けた沈下式生簀であることが望ましい。
【0019】
また、前記円柱生簀は、牽引時に回転することが望ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、以上のように構成されるので、泥、ケイ藻、カサネカンザシやフジツボなどの付着生物が着生しづらくなり、海水の交流が図られ、飼育魚類等の摂餌、成長を促進し、生残率を向上させる。即ち、目合の小さい生簀網の交換作業の無駄を省き,付着生物の洗浄、飼育時等の効率性を高めることができる。また、密封型生簀であるため悪天候時や赤潮発生時の危険水域から速やかに安全な水域に沈下できる。また、牽引する場合は、密封型生簀が回転して推進力となり安全な場所に速やかに移動できる。この開発により、従来にはない網管理に関する作業を簡素化し、災害時等の影響を速やかに回避できる。よって、海面養殖におけるアナゴ類の養殖、他種稚魚類並びに貝類の養殖が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】 本実施の形態に係る浮沈型回転式養殖生簀全体の一部斜視正面図である。
図2】 (a)はこの浮沈型回転式養殖生簀の側面図であり、(b)はその概略平面図である。
図3】 円柱生簀の概略構成を示す図である。
図4】 骨組枠体と浮力フロート、浮力調整フロートを省略した状態で円柱生簀が海面に浮いている状態を示す図である。
図5】 残餌・死骸・サンプル取りの捕獲の詳細を説明する図である。
図6】 円柱生簀2が受ける海水の流れを説明する図である。
図7】 浮沈式生簀の平面図である。
図8】 浮沈式生簀の側面図である。
図9】 悪天候時や赤潮発生時に浮力調整フロートを減圧し海中に沈める状態を示す図である。
図10】 第2の実施の形態に係る浮沈型回転式養殖生簀の一部斜視正面図である。
図11】 (a)は第2の実施の形態に係る浮沈型回転式養殖生簀の平面図であり、(b)はその正面図であり、(c)はA部位の中心軸詳細図である。
図12図11に示した浮沈型回転式養殖生簀の側面図である。
図13】 第2の実施の形態に係る浮沈型回転式養殖生簀の浮沈式生簀の平面図である。
図14】 第2の実施の形態に係る浮沈型回転式養殖生簀の浮沈式生簀の側面図である。
図15】 第2の実施の形態に係る浮沈型回転式養殖生簀の悪天候時や赤潮発生時に浮力調整フロートを減圧し海中に沈める状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態に係る浮沈型回転式養殖生簀を詳細に説明する。
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る浮沈型回転式養殖生簀の一部斜視正面図であり、図2(a)は、この浮沈型回転式養殖生簀の側面図であり、図2(b)はこの浮沈型回転式養殖生簀の概略平面図である。
図1に示すように、この浮沈型回転式養殖生簀は、横円柱形である円柱状をした円柱生簀2と、この円柱生簀2が取り付けられる骨組外枠7と、からなる。
【0023】
円柱生簀2は、円柱生簀骨組枠8と、この円柱生簀骨組枠8に取り付けられる黒色網9とからなる。アナゴは夜行性の魚類であり、紫外線又は明るい場所を嫌う習性があり、影や暗い場所を好むことが明確である。よってこれを黒色にすることでストレスを無くすことができる。また、黒色網9を円柱生簀骨組枠8に取り付けることにより、円柱生簀2全体が密封(囲う)される。後述するように、密封型生簀であるため悪天候時や赤潮発生時の危険水域から速やかに安全な水域に移動して沈下できる。
【0024】
この円柱生簀2には、その両端部にベアリングを使用したギア4を有する回転軸3がそれぞれ設けられており、この回転軸3に設けられたギア4と、後述する骨組外枠7に設けられたギア4とチェーン5で連結されている。
【0025】
円柱生簀2と骨組枠体7の間には、円柱生簀2が波の影響で上下左右にブレるのを防止するためのブレ止め10が複数、特に、骨組枠体7に当接しやすい上部と下部に重点的に設けられている。
【0026】
また、円柱生簀2が取り付けられる骨組外枠7の上部には、丸型の棒6が長さ方向に配置されており、その棒6の中心位置にはベアリングを使用した手動ハンドル1と、その両端部にはベアリングを使用したギア4が連結されている。
【0027】
そして、前述した回転軸3に設けられたギア4と棒6の両端部のギア4をチェーン5で連結することにより、手動ハンドル1で円柱生簀2を回転させる。
【0028】
例えば、円柱生簀骨組枠8と黒色網9との最大重量を1トンした場合、海面内の推進抵抗力は海面上の19倍であり、19トンの推進抵抗力となる。使用されるベアリングの摩擦係数を0.001〜0.005とすれば、16kg〜95kgの推進力で回転でき、手動ハンドル1の径を大きくすることで回転抵抗力をより軽減できる。さらに円柱生簀の約1/3は海面上にあるので手動ハンドル1で十分に回転できる。
【0029】
円柱生簀骨組枠8内の黒色網9の付着物を海面上まで回転させて、円柱生簀黒色網9の付着物を天日干し又は洗浄することにより、付着生物が着生し海水の交流を妨げ,飼育魚類の摂餌,成長を阻害し,生残率を低下させると言う問題を解決できる。網目が小さいほど省力化を進める上で重要な要素であり,網管理の作業性と付着生物防除策を解決する。
【0030】
なお、本実施の形態では、手動のハンドル1を用いているが、これに限ることなく、動力源を付加して自動で定時に回転させるようにしても良い。
【0031】
また、図2(a)および(b)に示すように、骨組枠体7の高さ方向中央位置にはこの密封・浮沈型回転式養殖生簀に浮力を付与する浮力フロート11が側面に一対設けられており、また、前後の高さ方向中央位置には、浮力を調整するための浮力調整フロート12がそれぞれ一対設けられている。
【0032】
図3は、円柱生簀2の概略構成を示す図である。
図に示すように、円柱生簀骨組枠8に内側から黒色網9を取付けて円柱生簀2にする。黒色網9の取り付けに際しては、金属ワイヤ等の固定紐14を用いて円柱生簀骨組枠8に複数個所で結合させる。なお、円柱生簀骨組枠8の上部には、開口部13が設けられており、この開口部13から、残餌や死骸あるいはサンプル魚等の取り出しを行う。後述するように、この開口部13にはすくい網15が取り付けられている。なお、生簀の形状が横長円柱形であり、従来の四角の生簀形状や縦長円柱生簀形状に比べて波への抵抗が少ない。
【0033】
図4は、骨組枠体7と浮力フロート11、浮力調整フロート12を省略した状態で円柱生簀2が海面に浮いている状態を示す図である。
前述したように、開口部13にはすくい網15が取り付けられている。この円柱生簀2は海中で回転するため、給餌以外は開口部が密閉されているので、残餌・死骸を取り除いたり、サンプルを捕獲したりしなければならない。そこで開口部13に取付ける網の形状は魚をすくうことができる形状にし、回転時にすくい網15で捕獲するようにする。
【0034】
なお、従来、アナゴの飼育は筒等を寝床に使用しているが、狭い筒の中で体を寄せ合って群れるので酸欠状態になる恐れがあり、筒方式の寝床では飼育密度を高めるには効率的ではない。このため、図に示すように黒色網9内にアナゴの寝床シ−ト16を固定紐17で取り付ける。寝床シ−ト16は紫外線をカットできる黒色シートであり、海水よりも軽い比重のシートを使用する。
【0035】
図5は、残餌・死骸・サンプル取りの捕獲の詳細を説明する図である。
図5(a)〜(c)のように回転させ、(d)のようにして、残餌・死骸・飼育サンプルを捕獲する
【0036】
図6は、円柱生簀2が受ける海水の流れを説明する図である。
図に示すように、弧を描いた黒色網9の底面と弧を描いたアナゴの黒色寝床シ−ト16との組合せで海水交流がよくなり溶存酸素が安定し飼育密度を高めることができる。また、アナゴは底下に潜る習性があり、潜る場所があればストレスを防ぐ。アナゴの黒色寝床シ−ト16を設けることで飼育できるアナゴ稚魚とできない稚魚を速く見極めることができる。飼育初期段階で寝床シート16から出たアナゴは、飼育できないことは経験則で明らかである。
【0037】
図7は、浮沈式生簀の浮遊時における平面図であり、図8は、その側面図である。
これらの図に示すように、骨組外枠7を緩衝フロート18付のアンカーロープ20で、海底に沈められる方塊21に固定する。浮遊時は、骨組外枠7に取付けた浮力フロート11と浮力調整フロート12を浮力とする。また、骨組外枠7の上部には沈下時に必要な水深調整フロート19が取付けられている。
【0038】
図9は、沈下時における側面図である。
図で示すように、悪天候時や赤潮発生時には浮力調整フロート11を減圧し海中に沈める。沈下位置は、緩衝フロート18と水深調整フロート19で確認する。浮上する際は、給気口保持フロート23付の浮上用給気パイプ22で浮力調整フロート11を加圧し浮上する。このようにすることにより、悪天候時や赤潮発生時であっても、危険水域から速やかに安全な水域に沈下できる。
【0039】
<第2の実施の形態>
図10図15は、本発明の第2の実施の形態に係る浮沈型回転式養殖生簀を説明するための図である。第2の実施の形態では、生簀に回転力を付与するための機構として、円柱生簀骨組枠の長さ方向両端部に中心軸を設け、骨組枠体の長さ方向中心胴体部に設けた手動ハンドルを操作して、中心軸に回転力を伝達させるようにした点において第1の実施の形態とは異なる。なお、第1の実施の形態と用語が同一のものは、同一の作用・機能を有するものであるので重複する説明は基本的に省略する。以下、図に沿って説明する。
【0040】
図10は、本発明の第2の実施の形態に係る浮沈型回転式養殖生簀の一部斜視正面図であり、図11(a)は、この浮沈型回転式養殖生簀の平面図であり、図11(b)はこの浮沈型回転式養殖生簀の正面図であり、図11(c)は中心軸の詳細図である。
図に示すように、この浮沈型回転式養殖生簀は、横円柱形である円柱状をした円柱生簀34と、この円柱生簀34に取り付けられる骨組外枠32と、からなる。
【0041】
円柱生簀34は、円柱生簀骨組枠33と、この円柱生簀骨組枠33に取り付けられる黒色網35とからなる。この円柱生簀34には、生簀骨組枠の長さ方向両端部に中心軸31がそれぞれ設けられており、この受部37に設けられたベアリング39と、円柱生簀骨組枠33に設けられた手動回転ハンドル36とが連結されている。
【0042】
円柱生簀34に固定された中心軸31は、骨組外枠32と固定ピン30で連結されている。また、円柱生簀34の中心軸31は、骨組外枠32の受部37内部のベアリング39が設けられている。そして、手動ハンドル36が回転すると同時に中心軸31も回転し、円柱生簀33は回転する。
【0043】
例えば、円柱生簀骨組枠33と黒色網35との最大重量を1トンした場合、海面内の推進抵抗力は海面上の19倍であり、19トンの推進抵抗力となる。使用されるベアリングの摩擦係数を0.001〜0.005とすれば、16kg〜95kgの推進力で回転でき、手動ハンドル36の径を大きくすることで回転抵抗力をより軽減できる。さらに円柱生簀の約1/3は海面上にあるので手動ハンドル36で十分に回転できる。
【0044】
なお、第2の実施の形態では、手動のハンドル36を用いているが、これに限ることなく、動力源を付加して自動で定時に回転させるようにしても良い。
【0045】
図12は、図11に示した浮沈型回転式養殖生簀の側面図である。
図に示すように、黒色網35は生簀骨組枠33に生簀網固定紐41で固定する。従来、アナゴの飼育は筒等を寝床に使用しているが、狭い筒の中で体を寄せ合って群れるので酸欠状態になる恐れがあり、筒方式の寝床では飼育密度を高めるには効率的ではない。このため、図に示すように黒色網35内にアナゴの寝床シ−ト42を固定紐43で取り付ける。寝床シ−ト42は紫外線をカットできる黒色シートであり、海水よりも軽い比重シートを使用する。
【0046】
図13は、浮沈式生簀の浮遊時における平面図であり、図14は、その側面図である。
これらの図に示すように、骨組外枠32を緩衝フロート48付のアンカーロープ49で、海底に沈められる方塊50に固定する。浮遊時は、骨組外枠32に取付けた浮力フロート45と浮力調整フロート46を浮力とする。また、骨組外枠7の上部には沈下時に必要な水深調整フロート47が取付けられている。
【0047】
図15は、沈下時における側面図である。
図で示すように、悪天候時や赤潮発生時には浮力調整フロート46を減圧し海中に沈める。沈下位置は、緩衝フロート48と水深調整フロート47で確認する。浮上する際は、給気口保持フロート52付の浮上用給気パイプ51で浮力調整フロート46を加圧し浮上する。
【0048】
なお、上記の各実施の形態においては、アナゴ類を飼育するための浮沈型回転式養殖生簀を例にして説明をしてきたが、これに限られるものではなく、海上で養殖可能なものであれば、例えば、鯛や鰯等の他種稚魚類や貝類などの飼育をするために本発明に係る浮沈型回転式養殖生簀を用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
生簀網を海水中に入れておくと,泥、ケイ藻、カサネカンザシやフジツボなどの付着生物が着生し海水の交流を妨げ,飼育魚類の摂餌,成長を阻害し,生残率を低下させる。したがって,網管理に関する作業は省力化を進める上で重要な要素であり,本発明の円柱回転生簀により、目合の小さい生簀網の交換作業の無駄を省き,付着生物の洗浄、飼育時等の効率性を高めることができる。かつ、密封型生簀であるため悪天候時や赤潮発生時の危険水域から速やかに安全な水域に沈下できる。
【0050】
また、牽引する場合は、生簀が回転して推進力となり安全な場所に速やかに移動できる。この開発により、従来にはない網管理に関する作業を簡素化し、災害時等の影響を速やかに回避できる。よって、海面養殖におけるアナゴ類、他種稚魚類並びに貝類の養殖が実現できる。
【符号の説明】
【0051】
1 手動ハンドル
2 円柱生簀
3 回転軸
4 ギア
5 チェーン
6 丸型の棒
7 骨組外枠
8 円柱生簀骨組枠
9 黒色網
10 円柱生簀のブレ止め
11 浮力フロート
12 浮力調整フロート
13 開口部
14 固定紐
15 すくい網
16 寝床シート
17 固定紐
18 緩衝フロート
19 水深調整フロート
20 アンカーロープ
21 方塊
22 浮上用給気パイプ
23 給気口保持フロート
30 固定ピン
31 中心軸
32 骨組外枠
33 生簀枠
34 円柱生簀
35 黒色網
36 手動ハンドル
37 受部
38 開口部
39 ベアリング
41 生簀網固定紐
42 寝床シート
43 固定紐
44 すくい網
45 浮力フロート
46 浮力調整フロート
47 水深調整フロート
48 緩衝フロート
49 アンカーロープ
50 方塊
51 浮上用給気パイプ
52 給気口保持フロート
図1
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