(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5936019
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月15日
(54)【発明の名称】減圧・加圧加工処理方法
(51)【国際特許分類】
B01J 3/00 20060101AFI20160602BHJP
B30B 12/00 20060101ALI20160602BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20160602BHJP
B29C 43/18 20060101ALI20160602BHJP
B22F 3/26 20060101ALN20160602BHJP
【FI】
B01J3/00 J
B01J3/00 P
B30B12/00 B
H01L21/68 N
B29C43/18
!B22F3/26 Z
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-38725(P2015-38725)
(22)【出願日】2015年2月27日
【審査請求日】2015年2月27日
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】391020665
【氏名又は名称】ミカドテクノス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078709
【弁理士】
【氏名又は名称】浅賀 一樹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 豊樹
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 隆志
【審査官】
宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−143372(JP,A)
【文献】
特開2013−052424(JP,A)
【文献】
特開平08−039295(JP,A)
【文献】
特開平05−023118(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 3/00
B30B 9/00
B30B 12/00
B29C 43/18
B22F 3/26
A23L 1/00−1/035
C09J 5/00−5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定耐圧板と、該固定耐圧板の外周とシール部材を介して密に上下移動自在に嵌合された耐圧胴と、該耐圧胴内面にシール部材を介して嵌合可能で上記固定耐圧板に対向して上方位置に配置された移動耐圧板と、上記耐圧胴の一端に接続し該耐圧胴を中心軸方向に移動可能とする耐圧胴駆動機構と、上記移動耐圧板を円筒形の耐圧胴内面に沿って移動可能とする移動耐圧板駆動機構と、該耐圧胴と上記固定耐圧板と上記移動耐圧板とにより形成された減圧・加圧槽のいずれかの個所に設けた吸排気孔に接続した配管を介して接続された切換弁とを備え、上記減圧・加圧槽内の上記固定耐圧板に載置された加工処理部材の上面に可撓性膜を載置し、上記耐圧胴を上昇させてから、上記切換弁を開状態のまま上記移動耐圧板を可撓性膜上面に近接するまで耐圧胴内を降下させ、次いで切換弁を閉状態にし、上記移動耐圧板を上昇させることにより、減圧・加圧槽内を減圧状態にして加工処理部品中の気体成分を放出させ、
次に切換弁を開状態として減圧・加圧槽内をいったん大気圧に戻した後、切換弁を再び閉状態にして、上記移動耐圧板を可撓性膜上面に近接するまで降下させることにより、減圧・加圧槽内を加圧状態として、該可撓性膜を加工処理部材の上面に密着固定するようにしたことを特徴とする減圧・加圧加工処理方法。
【請求項2】
固定耐圧板と、該固定耐圧板の外周とシール部材を介して密に上下移動自在に嵌合された耐圧胴と、該耐圧胴内面にシール部材を介して嵌合可能で上記固定耐圧板に対向して上方位置に配置された移動耐圧板と、上記耐圧胴の一端に接続し該耐圧胴を中心軸方向に移動可能とする耐圧胴駆動機構と、上記移動耐圧板を円筒形の耐圧胴内面に沿って移動可能とする移動耐圧板駆動機構と、該耐圧胴と上記固定耐圧板と上記移動耐圧板とにより形成された減圧・加圧槽のいずれかの個所に設けた吸排気孔に接続した配管を介して接続された切換弁とを備え、
上記耐圧胴と上記固定耐圧板と上記移動耐圧板とにより減圧・加圧槽が形成され、上記固定耐圧板に載置された含浸浴槽と、その上部に加工処理部品を収納した網条籠と、該網条籠を該含浸浴槽に移動させ加工処理部品を含浸液に浸漬させる籠上下駆動手段とを有し、上記耐圧胴を上昇させてから、前記切換弁を開状態のまま上記移動耐圧板を網状籠上面に当接するまで耐圧胴内を降下させ、次いで切換弁を閉状態にし、上記移動耐圧板を上昇させることにより、減圧・加圧槽内を減圧して加工処理部品中の気体成分を放出させ、次に上記網条籠を降下させて加工処理部品を含浸液に完全に浸漬させた後、切換弁を開状態として減圧・加圧槽内をいったん大気圧に戻した後、切換弁を閉状態にし、上記移動耐圧板を網条籠の上面まで降下させることにより、減圧・加圧槽内の圧力を上昇させて、加工処理部品中への含浸液の浸入を促進するようにしたことを特徴とする減圧・加圧加工処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板への電子部品接着、電子部品の封止、各種部品へのフィルム貼付、樹脂部材表面への微細な転写加工、焼結金属や食品などの含浸処理など、残留気泡に起因する欠陥を排除し、高品質な加工処理を行える減圧・加圧加工処理
方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば基板への電子部品接着処理では、加工対象物を減圧環境下で行うことにより、接着層や基板あるいは電子部品の接着界面に残留する微細な気泡を排除し、接着品質を向上させている。
【0003】
また焼結金属への潤滑油の含浸処理では、やはり加工部品を減圧環境下に置き、焼結金属内の粒堺に残留する気体を排除した上で潤滑油に浸漬し、潤滑油の含浸率を向上させている。
【0004】
さらに、これらの加工処理の品質を向上させるために、残留気泡を排除した後に加工処理部材を高圧の環境に暴露することが行われている。この工程を付加することにより、接着処理では接着層の密着性を向上し、含浸処理では含浸率を増大させるのに有効である。
【0005】
従来これらの加工処理を行うために、
後記先行技術文献に記載されるように、加工部品を圧力槽の中に載置し、この圧力槽に接続された真空ポンプ及び空気加圧ポンプを用いて、圧力槽内の圧力を変化させて実施していた。しかしながら、加工部品を投入するための圧力槽を開放する機構や、加工処理部材の固定ジグなどのために、圧力槽の容積は大きくならざるをえず、装置の小型化が困難であった。
【0006】
また、圧力槽容積の増大に伴い、高圧状態では装置の耐圧性を含めた安全性の確保に多大な配慮が必要となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2013−052424号公報
【特許文献2】特開2011−143372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
解決しようとする問題点は、一般に用いられている加圧及び減圧を行う圧力槽ではその容積を任意に変化できる構造となっておらず、かつ加工部品を容易に載置可能な構造となっていない点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、減圧・加圧槽を耐圧胴と2枚の耐圧板とで構成し、耐圧胴と耐圧板の内の1枚とを独立に移動可能な構造として減圧・加圧環境を容易に形成可能とするとともに、移動可能な耐圧板の位置を今一つの耐圧板に対して任意に変化させることにより減圧・加圧槽の容積を変化させることを可能とし、かつ減圧・加圧槽を大きく開放できる構造としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明
方法による減圧・加圧加工処理装置は、
真空ポンプや空気加圧ポンプを用いることなく、耐圧胴の上下移動と該耐圧胴内で移動可能な移動耐圧板の上下移動との組合わせにより、減圧・加圧槽の容積を変化させ、減圧・加圧槽内の圧力を減圧あるいは加圧調整することが可能である。その結果、一般にこのような装置で付帯的に使用される真空ポンプあるいは空気加圧ポンプを不要とすることができ、また、減圧・加圧槽内への加工部品の載置を容易に行えるため加工の自動化が図りやすいという利点がある。さらに、高圧時の減圧・加圧槽容積を加工物周囲の空間に最小化できるため、安全性の向上が図れるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る
方法に使用する減圧・加圧加工処理装置の基本構成図である。(実施例1)
【
図2】(a)〜(d)は、
上記実施例1の機構動作を示した説明図である。
【
図3】本発明に係る
方法に使用する装置により基板と電子部品との接着に用いた場合の構成図である。(実施例2)
【
図4】(a)〜(d)は、
上記実施例2の機構動作を示した説明図である。
【
図5】本発明に係る
方法に使用する装置を含浸処理に用いた場合の構成図である。(実施例3)
【
図6】(a)〜(d)は、
上記実施例3の機構動作を示した説明図である。
【
図7】本発明に係る
方法に使用する装置に真空ポンプ、空気加圧ポンプ、並びに加工物への加熱手段を付帯させた場合の
参考説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
加工処理部材を容易に加圧・減圧槽に載置可能とし、かつ加圧・減圧層の容積を可変にするという目的を、複雑な機構を用いることなく、また内部圧力に対する耐圧安全性を損なうことなく実現する。
【実施例1】
【0013】
図1は、加工処理部材に対して減圧・加圧処理を行う、本発明装置の基本構成図である。下構造板40の上面には4本の支柱42が固定され、支柱42の上端に形成されたネジとナットにより上構造板43が締結されている。基台40の上面には台座41が固定され、その上部に固定耐圧板10が固定されている。固定耐圧板の外周にはシール部材11が設けられている。下支持部材12と台座41の間には胴駆動支持板22が固定され、その左右端部の下面に胴駆動要素23が固定されている。固定耐圧板10の外周にシール部材11を介して嵌合された胴駆動要素23と耐圧胴20とは胴駆動ロッド24で結合されている。胴駆動要素23には配管を介して油空圧装置50が接続され、胴駆動ロッド24を介して耐圧胴20を上下に移動させることができる。
【0014】
上構造板43の中央には耐圧板駆動要素36が固定され、その下端から伸びた耐圧板駆動ロッド37が移動構造板34に締結されている。移動構造板34の4隅には直動軸受35が配置され、支柱42に嵌合されている。移動構造板34の下面には上支持部材33を介して移動耐圧板30が固定され、移動耐圧板30の外周にはシール部材31が装着されている。耐圧板駆動要素36には配管を介して油空圧装置51が接続され、耐圧板駆動ロッド37、移動構造板34、上支持部材33を介して移動耐圧板30を上下に移動させることができる。
【0015】
移動耐圧板の一部には吸排気孔(貫通孔)32が設けられ、配管を介して切換弁52と接続され、流路の開閉を行うことができる。
【0016】
本実施例では胴駆動要素23並びに耐圧板駆動要素36の動力源として油空圧装置50、51を示したが、駆動に必要な力を発生できるものであれば、電動の駆動要素並びに電気動力源を用いても構わない。
【0017】
また、本実施例では、固定耐圧板10の上方に移動耐圧板30を配置しているが、この配置を上下逆転し、固定耐圧板10を上方に配置しその下方に移動耐圧板30を配置する構成とすることも可能である。この場合、当然のことながら移動耐圧板30の移動手段である耐圧板駆動要素36は、移動耐圧板30の下方の空間に配置され、装置全体の高さを減少させることが可能となる。
【0018】
図2は、以上のように構成した本発明装置の基本的な動作をする図である。
図2(a)の状態で固定耐圧板10の上面に加工処理部材を載置する(加工処理部材の図示は省略)。その後、切換弁52を開状態にし、胴駆動要素23により耐圧胴20を上方に移動させる。同時に耐圧板駆動要素36により移動耐圧板30を下方に移動させ、耐圧胴20と嵌合させるとともに、固定耐圧板10に載置された加工処理部材の上部まで下降させる。この時、耐圧胴20と固定耐圧板10と移動耐圧板30とで形成された加圧・減圧槽は最小の体積となる(
図2(b))。ここで、切換弁52を閉状態にして、耐圧胴20との嵌合状態を保てる最上部の位置まで移動耐圧板30を耐圧板駆動要素36により移動する。この動作により加圧・減圧槽は最小体積から最大体積へと変化し、ボイルシャルルの法則によりその変化の体積比にしたがって、減圧されることになる(
図2(c))。この状態を維持し、加工処理部材に対して減圧処理を実施した後切換弁を開状態にし、外部より空気を導入する。そこで、再度切換弁を閉状態にし、移動耐圧板30を下方に移動させ加圧・減圧槽の体積を減少させる。加圧・減圧槽の体積が最小になった状態で維持し、加工処理部材に対して加圧処理を実施した後切換弁を開状態にし、加工処理を完了する(
図2(d))。その後、
図2(a)の状態に復帰させて加工処理部材を取り出す。
【0019】
なお、
図1に示した実施例では、固定耐圧板10を下部配置しその上部に移動耐圧板30を配置しているが、移動耐圧板を下部に配置しその上部に固定耐圧板を配置した構成も可能である。この場合、耐圧板駆動要素は移動耐圧板の下部に配置され、装置下側の空間を有効活用できるため装置の高さを減少させることが可能である。
【実施例2】
【0020】
図3は、基板に対し電子部品を接着する加工処理に本発明を適用した場合の装置構成図である。固定耐圧板10の上面には加工治具60が設置され、その上に基板70と電子部品71とが接着層(図示せず)を介して載置される。基板70及び電子部品71の上部には可撓性膜72が被せられ、可撓性膜72の周囲を囲うように可撓性膜72よりも小さい開口部を有した膜固定治具61が配置されている。膜固定治具61は、固定耐圧版の下部に設置された治具駆動要素62の治具駆動ロッド63に結合しており、治具駆動要素62を動作させることにより膜固定治具61を上下させ、可撓性膜72の周囲を加工治具60上面に密着あるいは解放させる機能を有している。図には記載していないが、当然のことながら軸駆動ロッド63と固定耐圧板10とはシール部材で気密に保たれている。また、治具駆動要素62は空圧要素でも電動要素でもよく、詳細の表示は省略している。
【0021】
図4は、実施例2の加工処理動作を説明する図である。
図4(a)は、加工処理部品である基板70と電子部品71とその上部に可撓性膜71とが載置された状態を示している。切換弁52を開状態として耐圧胴20と移動耐圧板30とを駆動し、
図4(b)の位置に移動させる。この状態では、固定耐圧板10と耐圧胴20と移動耐圧板30で形成される加圧・減圧槽の体積は最小となっている。ここで切換弁52を閉状態にし、外部の大気と遮断する。その後、移動耐圧板30を耐圧胴20の最上部まで移動し、加圧・減圧槽の体積を最大にすることにより、内部の圧力を減圧する。この状態をしばらく維持し、基板70と電子部品71との界面に塗布された接着層の気体成分を放出させる。その後、治具駆動要素62を動作させて膜固定治具61を下降させることにより、可撓性膜72の周囲を加工治具60と膜固定治具61との間に挟持し、基板70と電子部品71とを可撓性膜72の上部空間から密閉する(
図4(c))。次に切換弁52を開状態にし、外部の空気を加圧・減圧槽に吸入する。加圧・減圧槽は減圧状態から大気圧状態に変化するため、可撓性膜72は基板71と電子部品71に密着した状態になる。さらに切換弁を閉状態にし、移動耐圧板30を可撓性膜の上部まで下降させて加圧・減圧槽の内部圧力を上昇させることにより、可撓性膜72はより一層基板70及び電子部品71に密着するとともに、基板70及び電子部品71の界面の接着層にも圧力が加わりこの部分の密着性も増すことになり、良好な接着加工処理を行うことができる。
【実施例3】
【0022】
図5は、焼結金属部品や各種食料品などに、液体成分を含浸させる加工処理に本発明を適用した場合の実施例である。固定耐圧板10の上面には含浸浴槽80が設置されその内部には含浸液85が適当な液面まで満たされている。含浸浴槽80の上部には含浸処理部品84を収納した網状籠83が配置され、含浸浴槽80の左右外側面には籠駆動要素81が固定され、籠駆動要素81の籠駆動ロッド82の上端に籠駆動要素81が結合されている。
【0023】
図6は実施例3の加工処理動作を説明する図である。
図6(a)は、含浸処理部品84が網条籠83に収納され、含浸浴槽80内の含浸液85に浸からない位置に配置された状態を示している。切換弁52を開状態にして耐圧胴20と移動耐圧板30とを駆動し、
図6(b)の位置に移動させる。この状態では、固定耐圧板10と耐圧胴20と移動耐圧板30で形成される加圧・減圧槽の体積は最小となっている。ここで切換弁52を閉状態にし、外部の大気と遮断する。その後、移動耐圧板30を耐圧胴20の最上部まで移動し、加圧・減圧槽の体積を最大にすることにより、内部の圧力を減圧する。この状態をしばらく維持し、含浸処理部品84の内部に存在する気体成分を放出させるとともに、含浸液85中の気体成分も放出させる(
図6(c))。次に籠駆動要素81を稼働し、含浸処理部品84が含浸液に完全に浸漬するまで網条籠80を下降させる。その後、切換弁を開状態にし、加圧・圧力槽に大気を吸引する。その結果、含浸液85面には大気圧がかかるため、含浸処理部品84の内部に含浸液85が侵入する。さらに、切換弁52を閉状態にし、移動耐圧板30を網条籠80の上部まで下降させ、加圧・減圧槽内の圧力を上昇させる。その結果、含浸処理部品84への含浸液85の侵入がさらに促進され、良好な含浸加工処理が可能となる。
【0024】
参考例
図7は、実施例1から実施例3に示した装置構成に対して他の機能要素を付加した
参考例を示している。実施例1から実施例3では固定耐圧板10と耐圧胴20と移動耐圧板30で形成される加圧・減圧槽の体積変化を、移動耐圧板30の移動により実現しているが、加工処理部品やそれを載置するための各種治具が占める空間やその周辺の無駄な空間が生じるため、実現できる加圧・減圧槽の体積変化には限界がある。その結果、加工処理の条件によっては必要な加圧・減圧値を達成できないことも起こりうる。そこで、実施例1から実施例3に示した切換弁52の替りに新たな切換弁55を設置し、その先に補助的な空気加圧ポンプ53と真空ポンプ54を設置し、切換弁55により加圧、減圧、締切、大気解放の4つのモードに切り替え可能とし、実施例1から実施例3の加工処理プロセスの中で、適宜これらの処理モードを適用可能としたものである。この構成により、加圧減圧槽の圧力を空気加圧ポンプ53で増圧し、その後移動耐圧板30の移動により増圧することにより、空気加圧ポンプの能力以上の圧力を得る
ようにすることもできる。
【0025】
また、下支持部材12の上部に設けた加熱手段90は、固定耐圧板10を介してその上部に設置された加工処理部材に熱を伝導し、加工処理部材の温度を調整可能にしたものである。これにより、実施例2では可撓性膜72を軟化させることができ、基板70及び電子部品71への可撓性膜72の密着性を向上させることができる。さらに、基板70及び電子部品71に介在する接着剤を軟化させ密着性を向上させるとともに、接着剤の硬化反応を促進することも可能となる。加熱手段の熱源には電気的発熱体を用いるのが簡便であるが、移動耐圧板30の下部に光照射手段91を設置し、加工処理に有効な光を加工処理部材に直接照射することも可能である。光照射手段91には、加工処理の目的により赤外光、紫外光、レーザー光などを用いることができる。なお、図では光照射手段91を移動耐圧板30の下部に設けているが、移動耐圧板30の一部あるいは全体に光透過性のある材料を選定すれば、移動耐圧板30の上部に光照射手段91を設け、加圧減圧槽内に作用させる圧力から光照射手段91を保護することが可能である。
【0026】
以上述べた実施例では、移動耐圧板30は加圧・減圧槽の体積を変化させるために用いてきたが、加工処理によっては固定耐圧板10の上面に載置された加工処理部材を機械的に直接押圧することも可能であり、加圧環境下でのプレス加工処理を行うこともできる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明によれば、簡易な構成の装置で減圧・加圧環境を実現でき、基板への電子部品接着、電子部品の封止、各種部品へのフィルム貼付、樹脂部材表面への微細な転写加工、焼結金属や食品などの含浸処理など、残留気泡に起因する欠陥を排除し、高品質な加工処理を行うことが可能であり、これらの事例以外にも、圧力を減圧・加圧制御する必要のある加工処理に対して幅広い用途に適用可能である。
【符号の説明】
【0028】
10 固定耐圧板
11 シール部材
12 下支持部材
20 耐圧胴
21 停止板
22 胴駆動支持板
23 胴駆動要素
24 胴駆動ロッド
30 移動耐圧板
31 シール部材
32 吸排気孔(貫通孔)
33 上支持部材
34 移動構造板
35 直動軸受
36 耐圧板駆動要素
37 耐圧板駆動ロッド
40 下構造板
41 台座
42 支柱
43 上構造板
50、51 油空圧装置
52、53 切換弁
60 加工治具
61 膜固定治具
62 治具駆動要素
60 治具駆動ロッド
70 基板
71 電子部品
72 可撓性膜
70 基板
80 含浸浴槽
81 籠駆動要素
82 籠駆動ロッド
83 網条籠
84 含浸処理部品
85 含浸液
90 加熱手段
91 光照射手段
【要約】
【課題】耐圧胴20と固定耐圧板10と移動耐圧板30とで構成した加圧・減圧加工処理装置で、加圧・減圧槽の体積を可変とし、かつ容易に加圧・減圧槽を開放できる構造とし、加工処理部材の載置ならびに加圧・減圧加工処理を容易に実施可能とする。
【解決手段】耐圧胴20と移動耐圧板30を独立に移動可能な構造とし、耐圧胴20を下方に退避させることにより固定耐圧板10上への加工処理部材の載置を容易にし、また移動耐圧板30を耐圧胴に嵌合したまま移動させることにより加圧・減圧槽の体積を変化させて容易に内部の加圧・減圧環境を実現する。
【選択図】
図1