特許第5936034号(P5936034)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5936034
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月15日
(54)【発明の名称】パルス発生器及びシステム
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/36 20060101AFI20160602BHJP
【FI】
   A61N1/36
【請求項の数】4
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2011-530063(P2011-530063)
(86)(22)【出願日】2009年10月5日
(65)【公表番号】特表2012-504458(P2012-504458A)
(43)【公表日】2012年2月23日
(86)【国際出願番号】US2009005459
(87)【国際公開番号】WO2010039274
(87)【国際公開日】20100408
【審査請求日】2012年10月5日
(31)【優先権主張番号】61/102,575
(32)【優先日】2008年10月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507189666
【氏名又は名称】デューク ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(74)【代理人】
【識別番号】100156845
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 威一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100112896
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 宏記
(74)【代理人】
【識別番号】100179213
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 未知子
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100080137
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 昭男
(74)【代理人】
【識別番号】100096013
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100127177
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 貴子
(72)【発明者】
【氏名】グリル,ウォーレン・エム
(72)【発明者】
【氏名】ドーヴァル,アラン・ディー
【審査官】 井上 哲男
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第01145735(EP,A2)
【文献】 特表2008−506464(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/36
A61N 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極を有するリードに結合されたパルス発生器であって、
前記パルス発生器は、前記リードを介して前記電極に電気信号を伝送するように構成され、
前記電気信号は、連続して繰り返される不定期パルス列を含む、神経学的な標的組織に与える時間刺激パターンであって、
前記不定期パルス列がそれぞれ、
複数の単一パルスであって、当該単一パルスの間で、不定期で、非ランダムである第1パルス間間隔によって離隔された、複数の単一パルスと、
複数の埋め込まれたパルス群であって、当該各パルス群が、不定期で、非ランダムで、且つ前記第1パルス間間隔とは異なるパルス間間隔である第2パルス間間隔によって離隔された、複数のパルスを含む、複数の埋め込まれたパルス群と、
を備え、
前記不定期パルス列が連続して繰り返される、パルス発生器。
【請求項2】
前記各不定期パルス列がそれぞれ100Hz未満の平均周波数を含む、請求項1に記載のパルス発生器。
【請求項3】
神経学的な標的組織部位を刺激するシステムであって、
不定期パルス列を与えるように構成されたパルス発生器を備え、
不定期パルス列は、
複数の単一パルスであって、当該単一パルスの間で、不定期で、非ランダムである第1パルス間間隔によって離隔された、複数の単一パルスと、
複数の埋め込まれたパルス群であって、当該各パルス群が、不定期で、非ランダムで、且つ前記第1パルス間間隔とは異なるパルス間間隔である第2パルス間間隔によって離隔された、複数のパルスを含む、複数の埋め込まれたパルス群と、
を備え、
前記不定期パルス列は連続して繰り返される、システム。
【請求項4】
前記不定期パルス列の付与が、100Hz未満の平均周波数の脳深部刺激を達成する、請求項3に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照によって本明細書に組み込まれる2008年10月3日出願の「Stimulation Patterns For Treating Neurological Disorders Via Deep Brain Stimulation(脳深部刺激によって神経障害を治療するための刺激パターン)」という名称の米国特許仮出願第61/102,575号に基づく優先権を主張する。
【0002】
本発明は、ヒトを含む動物の神経を刺激するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
脳深部刺激(Deep Brain Stimulation)(DBS)は、運動障害を含むさまざまな脳調節性障害(brain−controlled disorder)の治療に有効であることが分かっている。このような治療は一般に、患者の頭蓋にあけた穿頭孔(burr hole)を通して脳の標的部位にDBS型リード(lead)を置き、そのリードを通して標的部位に適切な刺激を与えることを含む。
【0004】
現在のところ、DBSの有益な(症状を軽減する)効果は主に、時間が経過しても電気パルス間の間隔(パルス間間隔)が一定である刺激パターンまたは列として送達される100Hzよりも高い高周波刺激で観察されている。従来のDBS刺激列のトレースを図2に示す。運動性の症状に対するDBSの有益な効果は高周波でしか観察されておらず、低周波刺激は症状を悪化させることがある。文末に挙げた参考文献のBenabid他(1991年)、及びLimousin他(1995年)を参照されたい。本態性振戦の患者に対する50Hz以下の視床DBSは振戦を増進する。Kuncel他(2006年)を参照されたい。同様に、視床の後内側腹側核(VPM)の刺激を受けている痛みのある患者では、50HzのDBSは振戦を引き起こすが、周波数を上げると振戦はおさまる。Constantoyannis(2004年)を参照されたい。同様に、視床下核(STN)のDBSは、10Hzではパーキンソン病(PD)患者の運動不能症を悪化させるが、130Hzでは運動機能を有意に改善する。Timmermann他(2004年)、Fogelson他(2005年)を参照されたい。同様に、130Hzまたはそれよりも高い周波数での淡蒼球(GP)の刺激は筋失調症を有意に改善するが、5Hzまたは50Hzでの刺激は筋失調症を有意に悪化させる。Kupsch他(2003年)を参照されたい。
【0005】
さらに、モデル研究によれば、病的なバースト活性(burst activity)のマスキングは、十分に高い刺激周波数でしか起こらない。Grill他(2004年)の図1を参照されたい。DBSの振幅および周波数の変更に対する振戦の反応性と、与えた刺激がニューロナルバースティング(neuronal bursting)をマスキングする能力との間には強い相関がある。Kuncel他(2007年)の図2を参照されたい。
【0006】
従来の高周波刺激は、有効ではあるが、低周波刺激よりも強い副作用を生み出し、周波数が増大するにつれて、所望の臨床的効果(1つまたは複数)を生む電圧と望ましくない副作用を生む電圧との間の治療窓(therapeutic window)が小さくなる。したがって、リードを正確に配置することが重要になる。さらに、刺激周波数が高いと電力消費が大きくなる。より高い周波数が求められ、電力消費が増大すると、埋入可能な電池式パルス発生器の耐用寿命が短くなり、かつ/またはこのようなパルス発生器の物理サイズが大きくなる。より高い周波数が求められ、電力消費が増大すると、より大きなサイズの電池が必要となり、電池が充電式の場合には電池を頻繁に充電することが必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来の刺激列とは異なる時間刺激パターン(temporal pattern of stimulation)を有する刺激パターンまたは列を提供する。本発明はさらに、所望の症状軽減をもたらし、同時に、平均刺激周波数を引き下げる刺激パターンまたは列を識別し、特徴づける方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、パルスパターンまたは列の刺激パルス間の間隔(略して「パルス間間隔」と呼ぶ)が時間の経過に伴って一定ではなく、時間とともに変化する。したがって、これらのパターンまたは列を、略して「不定期(non−regular)」と呼ぶ。本発明のこの態様によれば、これらの不定期(すなわち一定でない)パルスパターンまたは列は、所与のパルスパターンまたは列に対して、定期的な(すなわち一定の)パルス間間隔を有する従来の連続する高周波パルス列に比べてより低い平均周波数を提供する。より低い平均周波数を有することで、これらの不定期刺激パターンまたは列は、副作用の強度を低減させることによって、所望の臨床的効果(1つまたは複数)の始まりと副作用の間のダイナミックレンジを拡大する(それによってリード電極の位置に対する感応性を低減させる)ことによって、および電力消費を低下させ、それにより電池の耐用寿命を延ばし、かつ/またはより小さな埋入可能パルス発生器を提供し、それにより電池サイズを小さくし、かつ/または充電式電池では再充電間の間隔をより長くすることを可能にすることによって、刺激の効能の増大を可能にする。
【0009】
パーキンソン病、運動障害、てんかんなどのさまざまな神経障害および強迫性障害、うつ病などの精神障害を治療するために、これらの不定期刺激パターンまたは列を脳深部刺激に容易に適用することができる。さらに、前述の付随する利点を提供し、限定はされないが、パーキンソン病、本態性振戦、運動障害、筋失調症、てんかん、痛み、ならびに強迫性障害、うつ病、ツレット症候群等の精神障害などの病気を治療するために、これらの不定期刺激パターンまたは列を、限定はされないが、皮質刺激、脊髄刺激および末梢神経刺激(感覚神経および運動神経を含む)を含む、神経系の他の種類の電気刺激に容易に適用することができる。
【0010】
本発明の他の態様によれば、システムおよび方法が、シミュレーションされたニューロンの活動および測定されたニューロンの活動、ならびに動物およびヒトの運動性の症状に対するDBS時間パターンの効果を判定することを可能にする。これらの方法は、刺激列の時間的特徴を定性的に決定することを可能にする。
【0011】
本明細書に記載のシステムおよび方法は、STNのDBS計算モデルに結合された遺伝的アルゴリズムを使用して、より低い刺激周波数Fで効能(低い誤差関数Eによって判定される)を生み出した不定期刺激パターンを生成する。誤差関数Eは、皮質からの入力によって生成された運動性の指令を視床がどれくらい忠実に伝達したかを評価する、モデルによる定量的な尺度である。PDの人のEと症状の間には非常に高い相関があり、したがって、Eは、症状を軽減する刺激列の効能を予測する有効な予測因子である(Dorval他(2007年)参照)。
【0012】
これまでの努力(Feng他(2007年)参照)は、総電流注入量を最小化する刺激列を設計することを追求した。本明細書に開示したシステムおよび方法は、臨床的に文書化された症状軽減の周波数調整を再現するSTNのモデルを使用して、(誤差関数を最小化することによって)治療上の利益を最大化し、(刺激周波数を低くすることによって)刺激効率を向上させる目的関数を含む。対照的に、Feng他のモデルは、定期的な低周波刺激による症状軽減を示しているが、これは誤りである。本発明の発明者らは不定期時間刺激パターンを識別し、Feng他は定期的な低周波(約10Hz)列を識別した。Feng他の定期的な低周波列は、以前の臨床的研究により、効果がないことが示されている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】中枢神経系の組織を刺激するシステムの解剖学的な図であり、このシステムは、脳組織に埋入され、パルス発生器に結合されたリードを含み、このパルス発生器は、電気パルス間の間隔(パルス間間隔)が時間の経過とともに変化する不定期(すなわち一定でない)パルスパターンまたは列を供給するようにプログラムされている。
図2】電気パルス間の間隔(パルス間間隔)が一定である従来の定期的な高周波刺激列を示す概略トレースである。
図3】時間の経過とともにパルス間間隔が直線的、周期的に傾斜する繰返し不定期パルスパターンまたは列の代表例を示す概略トレースである。
図4】単一のパルス列内に、単一パルス(シングレット)と埋め込まれた多重パルス群(nレット)との組合せを含み、シングレットとnレットの間のパルス間間隔が不定期であり、多重パルスnレット内のパルス間間隔も不定期である、繰返し不定期パルスパターンまたは列の他の代表例を示す概略トレースである。
図5】単一のパルス列内に、単一パルス(シングレット)と埋め込まれた多重パルス群(nレット)との組合せを含み、シングレットとnレットの間のパルス間間隔が不定期であり、多重パルスnレット内のパルス間間隔も不定期である、繰返し不定期パルスパターンまたは列の他の代表例を示す概略トレースである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、中枢神経系の組織を刺激するシステム10である。このシステムは、所望の位置に、中枢神経系組織と接触するように置かれたリード12を含む。図示の実施形態では、リード12が、脳深部刺激のため、視床、視床腹部または淡蒼球などの脳の部位に埋入されている。しかしながら、リード12は、治療目的を達するために選択的に刺激する目的で、脊髄の内部、表面もしくは近傍、または末梢神経(感覚神経または運動神経)の内部、表面もしくは近傍に埋入することができることを理解すべきである。
【0015】
標的組織部位に電気パルスを印加するため、リード12の遠位端は1つまたは複数の電極14を担持する。電気パルスは、リード12に結合されたパルス発生器16によって供給される。
【0016】
図示の実施形態では、パルス発生器16が、リード12から離れた適切な位置、例えば肩部に埋入されている。しかしながら、パルス発生器16は、身体の他の部位または体外に配置することができることを理解すべきである。
【0017】
埋入されているとき、パルス発生器のケースは、参照電極またはリターン電極(return electrode)の役目を果たすことができる。代替として、リード12が、(双極配置を構成する)参照電極またはリターン電極を含み、あるいは体のどこかに(単極配置を構成する)別の参照電極またはリターン電極を埋入し、または取り付けることもできる。
【0018】
パルス発生器16は、コード(code)が埋め込まれたプログラム可能なオンボードマイクロプロセッサ18を含む。このコードは、予めプログラムされた規則またはアルゴリズムを表し、この規則またはアルゴリズムの下で、所望の電気刺激波形パターンまたは列が生成され、リード12上の電極(1つまたは複数)14に分配される。これらのプログラムされた規則に従って、パルス発生器16は、所定の刺激波形パターンまたは列を、リード12を通して電極(1つまたは複数)14に導き、この所定の刺激波形パターンまたは列は、標的組織部位を選択的に刺激する役目を果たす。このコードは、所望の特定の生理学的反応を達成するように、臨床医によって予めプログラムされる。
【0019】
図示の実施形態では、オンボード電池20がマイクロプロセッサ18に電力を供給する。現在、電池20は、障害を治療するのに必要な刺激パラメータに応じて1年ないし9年ごとに交換しなければならない。電池寿命が尽きると、電池を交換するために、埋入されたパルス発生器にアクセスする侵襲性の別の外科的手技が必要となる。後述するように、システム10は、いくつかある利点の1つとして、電池寿命を延ばすことを可能にする。
【0020】
このパルス発生器によって生み出される刺激波形パターンまたは列は、その波形が、電気パルス間の間隔(パルス間間隔またはIPI)が時間の経過とともに変化する繰返し不定期(すなわち一定でない)パルスパターンまたは列を含む点で、従来のパルスパターンまたは列とは異なる。これらの繰返し不定期パルスパターンまたは列の例を図3から5に示す。定期的な(すなわち一定の)パルス間間隔を有する(図2に示すような)パルス列に比べ、不定期(すなわち一定でない)パルスパターンまたは列は、所与のパルスパターンまたは列に対してより低い平均周波数を提供する。所与のパルス列に対する平均周波数(ヘルツまたはHzで表される)は、秒で表したそのパルス列のパルス間間隔の和(ΣIPI)を、その所与のパルス列のパルス数(n)で割ったもの、すなわち(ΣIPI)/nと定義される。より低い平均周波数は、副作用の強度の低減、および所望の臨床的効果(1つまたは複数)の始まりと副作用の間のダイナミックレンジ(dynamic range)の拡大を可能にし、それによって臨床的効能を増大させ、電極(1つまたは複数)の位置に対する感応性を低減させる。不定期パルスパターンまたは列によってもたらされるより低い平均周波数はさらに、電力消費を低下させ、それによって電池寿命を延ばし、電池サイズを低減させる。
【0021】
繰返し不定期(すなわち一定でない)パルスパターンまたは列は、さまざまな異なる形態をとることができる。例えば、後に詳述するが、パルス間間隔を、不定期時間パターン内で、時間の経過とともに直線的、周期的に傾斜させる(時間の経過とともに大きくし、かつ/または小さくし、あるいはこれらを組み合わせる)ことができ、あるいは、パルス間間隔を、多重パルス(multiple pulse)の集団または群(nレット(n−let)と呼ぶ。nは2以上である)を含む不定期時間パターンに周期的に埋め込むことができる。例えば、n=2のときにはnレットをダブレット(doublet)、n=3のときにはnレットをトリプレット(triplet)、n=4のときにはnレットをカドレット(quadlet)と呼ぶことができる。以下同様である。繰返し不定期パルスパターンまたは列は、変化する不定期パルス間間隔によって離隔された単一パルス(シングレット(singlet)と呼ぶ)と、シングレットの間に散在するnレットとの組合せを含むことができ、nレットは、隣接するnレット間の変化する不定期パルス間間隔とnレットに埋め込まれたn個のパルス間の変化する不定期パルス間間隔の両方によって離隔される。所望ならば、パルスパターンまたは列の不定期性(non−regularity)に、それに付随するそれぞれのパルスパターンまたは列内あるいは連続するパルスパターンまたは列内の波形および/または振幅、ならびに/あるいは持続時間の付随する変化を付け加えることができる。
【0022】
所与の列のシングレットを構成するそれぞれのパルス、またはnレット内に埋め込まれたそれぞれのパルスは、単相、2相または多相とすることができる波形を含む。それぞれの波形は、所与の振幅(例えばアンペアで表される)を有し、この振幅は例えば、10μA(E−6)から10mA(E−3)までの範囲の値をとることができる。波形中の所与の位相の振幅は位相間で同じとし、または位相間で異なる振幅とすることができる。それぞれの波形はさらに、持続時間(例えば秒で表される)を有し、この持続時間は例えば、10μs(E−6)から2ms(E−3)までの範囲の値をとることができる。波形中の所与の位相の持続時間は同じとし、または異なる持続時間とすることができる。本明細書に記した数値は全て例として示しただけであることを強調しておく。それらの数値は、臨床的目的に応じて変更し、大きくし、または小さくすることができる。
【0023】
脳深部刺激に適用すると、不定期パルス間間隔を有する与えられた繰返し刺激パターンまたは列は、周波数が一定の従来の列で必要な刺激周波数よりも低い平均刺激周波数、すなわち約100Hzよりも低い平均周波数で、乱れたニューロンのファイヤリング(neuronal firing)の出力を調整し、それによってバースティング活動の発生および伝播を防ぐことができると考えられる。
【0024】
図3は、時間の経過とともにパルス間間隔が直線的、周期的に傾斜する繰返し不定期パルスパターンまたは列の代表例を示す。図3に示すように、このパルスパターンまたは列は、次第に増大するパルス間間隔によって離隔され、それによって時間の経過とともに周波数が低下するシングレットパルス(シングレット)、例えば140Hzの初期瞬時周波数を有し、パルス間間隔が倍増するにつれて瞬時周波数が低下し、最終的に瞬時周波数が40Hzになるシングレットパルス(シングレット)を含む。バースト反応および続いて起こる視床の忠実性の崩壊を考慮に入れるため、パルス間間隔は、臨床的目的に基づいて選択された指定の範囲、例えば25msを超えない、または100msを超えない、または200msを超えない指定の範囲内で変化させることができる。これらの不定期パルス列を、臨床的に適切な時間繰り返す。図3に示すように、最初のパルス列は、最も小さなパルス間間隔から最も大きなパルス間間隔まで次第に増大するパルス間間隔を含み、その直後に、最も小さなパルス間間隔から最も大きなパルス間間隔まで次第に増大するパルス間間隔を含む本質的に同一の別の第2のパルス列が続き、その直後に、本質的に同一の第3のパルス列が続く。以下同様である。したがって、連続するパルス列とパルス列の間では、(1つの列の終わりの)最も大きなパルス間間隔から、(連続する次の列の始めの)最も小さいパルス間間隔へ、パルス間間隔が瞬間的に変化する。図3に示した列は、85Hzの平均周波数を有し、その不定期性は非常に高く、変動係数(CV)は約0.5である。下記の実施例(バッチ(batch)3)で例証するが、100Hzの一定パルスパターンと比較すると、(より低い平均周波数に起因する)図3に示したパルス列のより高い効率はさらに、より大きな効能を提供する。
【0025】
図3に示した列は、視床ニューロンのバースト発生の動力学(dynamics)を利用する。この列の初期の高周波相は、視床下核(STN)ニューロンにおける固有活性をマスキングし、パルス間間隔の増大が平均周波数を低下させる。周波数が一定の列で必要な刺激周波数よりも低い平均刺激周波数によって視床バースティングを防ぐため、初期周波数、最終周波数およびその列内の変化率を変更することにより、一群の列を提供することができる。
【0026】
図4および5は、繰返し不定期パルスパターンまたは列の他の代表例を示す。図4および5のパルス列は、単一のパルス列内に、単一パルス(シングレット)と埋め込まれた多重パルス群(nレット)との組合せを含み、シングレットとnレットの間のパルス間間隔が不定期であり、nレット内のパルス間間隔も不定期である。これらの不定期パルス列を、臨床的に適切な時間繰り返す。
【0027】
この不定期パルス列は、最小シングレットパルス間間隔によって離隔された1つまたは複数のシングレットと、この最小シングレットパルス間間隔よりも小さいパルス間間隔(「nレットパルス間間隔」と呼ぶ)によって離隔された2つ以上のパルスをそれぞれが含む1つまたは複数のnレットとを含むものとして、特徴づけることができる。その列内でnレットパルス間間隔を変化させることができ、同様に、連続するnレット間の間隔または連続するnレットとシングレットの間の間隔も変化させることができる。シングレットおよびnレットを含むこれらの不定期パルス列を、臨床的に適切な時間繰り返す。
【0028】
図4では、それぞれのパルス列が、連続する4つのシングレット(それらの間のパルス間間隔は不定期である)、それに続く連続する4つのダブレット(それらの間のダブレットパルス間間隔は不定期であり、それぞれのnレット内のパルス間間隔も不定期である)、それに続くシングレット、3つのダブレットおよびシングレット(それらの間のパルス間間隔は不定期であり、それぞれのnレット内のパルス間間隔も不定期である)を含む。このパルス列の時間パターンを、臨床的に適切な時間、連続して繰り返す。図4に示した不定期時間パルスパターンは、下記の実施例のバッチ17で例証するように、67.82Hzの平均周波数を有し、効能を低下させない。
【0029】
図5では、それぞれのパルス列が、連続する4つのシングレット(それらの間のパルス間間隔は不定期である)、およびそれに続く連続する3つのダブレット(それらの間のダブレットパルス間間隔は不定期であり、それぞれのnレット内のパルス間間隔も不定期である)を含む。このパルス列の時間パターンを、臨床的に適切な時間、連続して繰り返す。図5に示した不定期時間パルスパターンは、下記の実施例のバッチ18で例証するように、87.62Hzの平均周波数を有し、効能を低下させない。
【0030】
以下の実施例は、パルス間間隔が一定である列の効能に匹敵するか、またはそれよりも良好な効能を、より低い平均周波数で(すなわちより高い効率で)達成する、図3から5に示すような候補不定期刺激列を生成し、識別する代表的方法を示す。
【実施例】
【0031】
視床DBS(McIntyre他(2004年)、Birdno(2009年))および視床下部DBS(Rubin及びTerman(2004年))の計算モデルを、遺伝的アルゴリズム(genetic algorithm)ベースの最適化(Davis(1991年))(GA)とともに使用して、定期的な高周波刺激よりも低い平均刺激周波数を有し、所望の症状軽減を生み出す不定期刺激パターンまたは列を設計することができる。McIntyre他(2004年)、Birdno(2009年)、Rubin及びTerman(2004年)およびDavis(1991年)は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0032】
このGA実施態様では、刺激列(パターン)が生物の染色体であり、染色体のそれぞれの遺伝子が、刺激列の連続する2つのパルス間のIPIである。この実施態様は例えば、約400msの列長を与える21個のパルス(20個の遺伝子)からなる列(平均周波数50Hz)から開始することができ、全く同じ15のパルス列を直列に連結することによって、刺激に必要な6sの列を構築する。この処理は、ある一様分布から取り出された無作為のIPIから構成された、例えば50個体の生物からなる初期個体群から開始することができる。GAのステップ(世代)ごとに、(上で識別した)TCまたは基底神経節ネットワークモデルを使用し、費用関数(cost function)Cを計算することによって、パルス列ごとの適応度(fitness)を評価する。それぞれの世代から、次世代へ引き継ぐ最良の(Cが最も小さい)10の刺激列を選択する。さらに、これらの刺激列を組み合わせ(交配し)、40の子孫に無作為変動(突然変異)を導入して、世代ごとに50の列を得る。この処理は、次世代に最良の刺激列(形質)が受け継がれ、同時に局所最小値が回避される(すなわち交配および突然変異が遺伝的多様性を保存する)ことを保証する。Grefenstette(1986年)を参照されたい。費用関数の中央値および最小値がプラトー(plateau)に達するまで、このGAを後続の世代について継続し、これによって候補列を得る。
【0033】
その目的は、低い周波数と低い誤差率(error rate)とによって定義される有利な結果を提供する、パルス間間隔が一定でない脳深部刺激列のパターンを見つけることである。望ましくは、それぞれの時間刺激パターンの出力に、視床細胞の電圧出力が入力刺激のタイミングにどれくらい一致するのかに基づいて特定の誤差フラクション(error fraction)(E)を割り当てる誤差関数(error function)を生成する。望ましくは、この誤差フラクションを使用して、周波数と誤差フラクションの両方を最小化する費用関数(C)を、表現式C=W・E+K・fに従って生成する。この式で、Cは費用、Eは誤差フラクション、fは、時間刺激パターンの平均周波数、Wは、誤差関数に対する適切な重み係数、Kは、周波数に対する適切な重み係数である。重み係数WおよびKは、周波数が一定の従来のパルス列に比べてより低い平均周波数で有利な結果を提供する、パルス間間隔が一定でない脳深部刺激列のパターンを生み出すために、効能(E)と効率(f)とを定量的に区別することを可能にする。
【0034】
この費用関数を用いて、いくつかの候補時間刺激パターンの電圧出力を評価し、費用を計算することができる。次いで、よりいっそう低い費用を達成する試みにおいて、低費用の時間刺激パターンを使用して、同様の特徴を有する新たな時間パターンを生み出すことができる。このように、新たな時間刺激パターンを、設定された数世代の間「繁殖」させ、それぞれのバッチの最良の時間刺激パターンを記録することができる。
【0035】
この遺伝的アルゴリズムのいくつかのバッチは、周波数が一定である対応するDBS波形よりも低い費用を達成するという点で、有用な結果を与える。特に低い周波数を有する時間刺激パターンを見つける試みにおいて、周波数により大きな重みを与えるため、または周波数により小さな重みを与えるために費用関数を変更することによって(すなわちWおよび/またはKを変更することによって)、いくつかのバッチを実行することができる。これらのバッチも、周波数が一定の波形よりも低費用の結果を与えることがある。
【0036】
一例として、さまざまな費用関数および変更された初期パラメータを有する合計14バッチの遺伝的アルゴリズムを実行し、評価した。
これらの試行を実行する前に、周波数が一定の刺激パターンを上記モデルに適用し、関連する誤差フラクションを分析することによって、ベースラインを確立した(実施例図1)。実施例図1から分かるように、健康な状態は、0.1の低い誤差フラクションを生成し、DBSを与えないパーキンソン病状態は、それよりも高い0.5の誤差フラクションを与えた。これらの結果から、周波数が一定の100〜200Hzの高周波刺激パターンは、完璧に近い結果を与えた。一定でない新規の時間刺激パターンが、100〜200Hzよりも低い平均周波数で0.1に非常に近い誤差フラクションを示す場合、それらの時間刺激パターンは有利であるとみなされることになる。
【0037】
【表1】
【0038】
最初の一組のバッチは、誤差フラクション(E)だけを最小化することによって実行した。したがって、関連する費用関数は単にC=Eとした。結果を、平均周波数および誤差フラクションに従ってまとめた(実施例表1)。関連するパルス間間隔(IPI)は実施例図2に示されている。バッチ3は0.054の誤差フラクションを出力した。興味深い他の特徴は、バッチ3のIPIが約40m秒まで徐々に増大し、次いでそれが繰り返されることである。このことは、傾斜(ramp)列が有利であることを支持している。図3に示したトレースは全体にバッチ3の時間的特徴を含む。
【0039】
残りのバッチは0.1よりも高い誤差フラクションを与え、周波数を150Hzに固定した場合よりも良好というわけではなかった。
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】
多くのバッチが0.1(健康な状態)よりも大きな誤差フラクションを与え、150HzでのDBSの場合よりも小さい小さな誤差フラクション窓だけが有用と考えられるため、時間刺激パターンの代わりの特徴、すなわち周波数を最小化する新たな費用関数を構築した。この新たな費用関数は、誤差フラクションおよび周波数に重み付けし、式C=1000・E+Fを与える。この式で、Cは費用、Eは誤差フラクション、Fは、Hzで表した波形の平均周波数であり、W=1000、K=1である。
【0043】
新たなベースライン費用を確立するため、周波数が一定の上記の刺激パターンを、この新たな費用関数に従って再び評価した(実施例図3)。このグラフから分かるように、健康な状態は90.65の費用を示し、DBSを与えないパーキンソン病の場合は、505.50の費用を示した。この新たな費用関数による最良の定周波刺激パターンは、100Hzの場合であり、そのときの費用は231.11であった。ある時間刺激パターンの費用が231.11よりも低く、おそらくは90.65よりも高い場合には、その時間刺激パターンは有用であると考えられるため、この新たな費用関数は、より幅広い範囲の解決策を可能にした。
【0044】
【表4】
【0045】
この新たな費用関数の結果を実施例表2に示し、IPIを実施例図4に視覚化した。最良の結果は、費用が最も低いバッチ15および18で見られた。バッチ18は、次第に増大する傾斜状のパルス間間隔パターンを示す点も興味深い。バッチ18は、IPIが一様に小さくなり、続いて突然に大きくなり、次いで急速に小さくなり、大きくなり、小さくなり、あたかもより小さな3つの傾斜からなるかのようである。図5に示したトレースは全体にバッチ18の時間的特徴を含む。バッチ15も非常に良い結果を示したが、その定性的な特徴を識別するのはより困難である。
【0046】
【表5】
【0047】
【表6】
【0048】
周波数により大きな重みを与えた新たな費用関数C=1000・E+2・Fによって、低周波数の利点を強調した。DBSの周波数は、健康な状態またはDESを与えていないPDに影響しないため、これらのベースライン費用はそれぞれ90.65および505.50のままである。最良の定周波時間刺激パターンもやはり100Hzであり、そのときの費用は331.11であった。以下の時間刺激パターンは、周波数が低く、費用が331.11よりも小さく、90.65よりも大きい場合に、有用とみなした。
【0049】
この修正した費用関数の結果を実施例表3に示し、IPIを実施例図5に視覚化した。得られたバッチの中で、バッチ17は、平均周波数が67.82Hzと非常に低いため、最も興味深い。このように低い周波数であっても、バッチ17は、100Hz条件よりも費用がおよそ10小さく、100Hz条件よりも良好であることをどうにか示した。バッチ17の波形は、最初の100m秒はIPIが小さくなり、その後は大きなIPIと小さなIPIの間の移動を継続する傾斜パターンからなる点で興味深い。大きなIPIと小さなIPIの間で急速に切り換わるこの定性的な特徴は、有利である可能性がある。図4に示したトレースは全体にバッチ17の時間的特徴を含む。
【0050】
【表7】
【0051】
【表8】
【0052】
この実施例の中で最も興味深い時間刺激パターンはバッチ15、17および18のパターンである。バッチ15は、平均周波数が98Hzで、誤差フラクションが0.098と低い時間刺激パターンを生み出した。したがって、バッチ15は、ほぼ同じ周波数でありながら誤差をよりいっそう小さくすることにより、周波数を100Hzに固定した場合よりも優れた性能を示した。それにもかかわらず、バッチ15の定性的に有用な特徴を識別するのは困難である。周波数が67.82と非常に低いため、バッチ17も魅力的である。この低い周波数は、0.253と高い誤差と引替えに得られたものだが、それでも、低周波DBSを維持することに重点が置かれる場合には有用となる可能性がある。バッチ17のこの定性的な特徴は、最初の傾斜、およびその後の低IPIと高IPIの間の継続的な切換えを示した。最後に、バッチ18は、87.62とかなり低い周波数と、健康な状態の0.1よりもわずかに高いだけの0.116の低い誤差フラクションとを有し、これらのバッチの中で中間に位置する。バッチ18の波形を支配する定性的特徴は、バッチ18がさらに、最初はIPIが一様に小さくなり、次いで急速に大きくなり、小さくなり、次いで大きくなる傾斜性を示すことである。バッチ17の高IPIと低IPIの間の急速な切換えは、一組の急傾斜として想像することができる。
【0053】
バッチ17(図4)とバッチ18(図5)の比較は、臨床上の目的を果たすために、どのようにすれば不定期時間刺激パターンにおける効能(E)と効率(f)のバランスを意図的に調整することができるのかを例示する。論じたシステムおよび方法は、効能(E)または周波数(f)により大きな重みを与えることによって(すなわちWおよび/またはKを変更することによって)費用関数を変更し、それでもなお、周波数が一定の波形よりも費用結果が低い時間刺激パターンを得ることを可能にする。バッチ18とバッチ17を比較すると、バッチ17の誤差フラクション(E)(すなわち時間パターンの効能)(0.253)は、バッチ18の誤差フラクション(E)(すなわち時間パターンの効能)(0.116)よりも大きいことが分かる。しかしながら、バッチ17の効率(すなわち平均周波数)(67.82 Hz)は、バッチ18の効率(すなわち平均周波数)(81.28 Hz)よりも低いことも分かる。効能および効率に関しては異なるが、バッチ17とバッチ18はともに、周波数が一定の時間パターンよりも良好な費用を有する。
【産業上の利用可能性】
【0054】
したがって、上で生成し、開示した不定期時間刺激パターンは、周波数が一定の従来の時間パターンに比べてより低い平均周波数で、少なくとも同じまたは同等の(予想ではより良好な)臨床的効能を達成することを可能にする。不定期時間刺激パターンのより低い平均周波数は、効率を増大させ、副作用を生じる前に所望の結果を達成するために適用することができる振幅の治療窓を拡張することを可能にする。
【0055】
DBSは、運動障害を治療する十分に確立された治療法だが、作用機構の理解が不十分であることが、この治療の十分な発展および最適化を制限してきた。これまでの研究は、DBSによって引き起こされる基底神経節および視床におけるニューロンのファイヤリングレート(neuronal firing rate)の増大または低下に重点を置いてきた。しかしながら、最近のデータは、ニューロンのファイヤリングパターンの変化が、少なくともファイヤリングレートの変化と同じくらい重要である可能性があることを示唆している。
【0056】
上記のシステムおよび方法は、シミュレーションされたニューロンの活動および測定されたニューロンの活動、ならびに動物およびヒトにおける運動性の症状に対するDBS時間パターンの効果を判定することを可能にする。これらの方法は、効能を維持する低周波刺激列の時間的特徴を定性的および定量的に決定することを可能にする。
【0057】
本明細書に記載したシステムおよび方法は、DBS時間パターンの効果に対するしっかりとした洞察を提供し、それによって作用機構を解明する。DBSの副作用を低減させることによりDBSの効能およびDBSの効率を増大させるため、およびそうなることを期待して、この作用機構の理解を利用して、新たな時間刺激パターンをモデルベースの最適化を使用して生み出し、試験することができる。
【0058】
本発明は、症状の悪化から症状の軽減までのある範囲の運動性の効果を生み出すことができる不定期刺激パターンまたは列を提供する。本明細書に記載した不定期刺激パターンまたは列および本明細書に記載した方法に基づくそれらの試験は、新たな障害に対する外科手術上の最適な標的および治療の選択を容易にする。本明細書に記載した不定期刺激パターンまたは列は、副作用を減らし、電池寿命を延ばすことにより、DBSの結果の改善を可能にする。
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【0073】
本発明のさまざまな特徴は添付の特許請求の範囲内に示されている。
図1
図2
図3
図4
図5