(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5936035
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月15日
(54)【発明の名称】結束バンド取付構造、及び、結束バンドの取付方法
(51)【国際特許分類】
B60R 16/02 20060101AFI20160602BHJP
B65D 63/12 20060101ALI20160602BHJP
F16B 2/08 20060101ALI20160602BHJP
F16B 5/12 20060101ALI20160602BHJP
F16L 3/137 20060101ALI20160602BHJP
H02G 3/16 20060101ALI20160602BHJP
【FI】
B60R16/02 623A
B65D63/12 B
F16B2/08 B
F16B5/12 G
F16L3/137
H02G3/16
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-1911(P2012-1911)
(22)【出願日】2012年1月10日
(65)【公開番号】特開2013-141847(P2013-141847A)
(43)【公開日】2013年7月22日
【審査請求日】2014年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100060690
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 秀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100070002
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100110733
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥野 正司
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【弁理士】
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】河村 英樹
(72)【発明者】
【氏名】田代 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】小宮 優紀
(72)【発明者】
【氏名】野垣 崇央
【審査官】
菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−171649(JP,A)
【文献】
特開平09−051624(JP,A)
【文献】
特開2010−265947(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
B65D 63/12
F16B 2/08
F16B 5/12
F16L 3/137
H02G 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂製の結束バンドをバンド取付部に取り付ける結束バンド取付構造において、
前記バンド取付部に、垂直方向に延びた垂直面と、前記垂直面に連なったフックと、前記垂直面に連なり、互いの間に前記フックを位置付けた第1支点部及び第2支点部と、が設けられ、
前記フックが、前記垂直面から水平方向に延びた第1板部と、該第1板部における前記垂直面から離れた端部から下方に延びた第2板部と、を有する断面L字状に形成され、
前記第1支点部と前記フックとの間、及び、前記第2支点部と前記フックとの間は間隔があけられており、
前記第1支点部の上端面及び前記第2支点部の上端面のいずれか一方が、前記第1板部の上端面と同じ高さに位置付けられており、他方が、前記第1板部の上端面よりも下方の位置に位置付けられており、
前記結束バンドが、前記第1支点部と前記フックとの間、前記第1板部の下方、前記第2支点部と前記フックとの間、を通されて前記バンド取付部に取り付けられる
ことを特徴とする結束バンド取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載の結束バンド取付構造を用いた結束バンドの取付方法であって、
前記結束バンドをU字状に撓ませて、該結束バンドを、前記第1支点部と前記フックとの間、前記第1板部の下方、前記第2支点部と前記フックとの間、を通る位置に位置付け、該位置で前記結束バンドを放すことにより、前記結束バンドを当該結束バンドの弾性復元力により前記第1支点部の上端面及び前記第2支点部の上端面に弾性接触させて前記バンド取付部に取り付ける
ことを特徴とする結束バンドの取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤハーネス等を結束する合成樹脂製の結束バンドをバンド取付部に取り付ける結束バンド取付構造、及び、結束バンドの取付方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図8は従来の結束バンド取付構造を示す斜視図である。
図9は
図8中のG−G線に沿った断面図である。
図8,9に示す結束バンド取付構造201は、ワイヤハーネス212を固定するための結束バンド214をホルダ210に取り付ける構造である。
【0003】
上記結束バンド214は、合成樹脂で構成されており、弾性変形可能に形成された帯部236と、帯部236の一端部に設けられた挿通係止部238と、が一体形成されたものである。帯部236の片面には複数の係止突起が当該帯部236の長手方向に連続して設けられている。挿通係止部238には、帯部236を挿通可能な挿通孔と、帯部236の係止突起に係止可能な係止片と、が設けられている。
【0004】
上記ホルダ210は、合成樹脂で構成されており、表面にワイヤハーネス212を位置付けることが可能な形状に形成されている。また、ホルダ210には、結束バンド214を取り付けるための一対のバンド挿通孔222が設けられている。
【0005】
この結束バンド取付構造201においては、帯部236が一対のバンド挿通孔222に通されることにより、結束バンド214がホルダ210に取り付けられる。また、結束バンド214を用いてワイヤハーネス212をホルダ210に固定する際は、先に結束バンド214をホルダ210に取り付けておき、次にホルダ210の表面にワイヤハーネス212を位置付ける。そして、ワイヤハーネス212の外周に帯部236を巻き付け、帯部236の他端部を挿通係止部238の挿通孔に通すとともに係止突起を係止片に係止させることにより、ワイヤハーネス212をホルダ210に固定する(特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−265947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した結束バンド取付構造201においては、結束バンド214をホルダ210に取り付ける際、帯部236を微細なバンド挿通孔222に二回も通さなくてはならず、作業が煩雑であるという問題があった。
【0008】
したがって、本発明は、結束バンドを容易にバンド取付部に取り付けることができる結束バンド取付構造、及び、該結束バンド取付構造を用いた結束バンドの取付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために請求項1に記載された発明は、合成樹脂製の結束バンドをバンド取付部に取り付ける結束バンド取付構造において、前記バンド取付部に、垂直方向に延びた垂直面と、前記垂直面に連なったフックと、前記垂直面に連なり、互いの間に前記フックを位置付けた第1支点部及び第2支点部と、が設けられ、前記フックが、前記垂直面から水平方向に延びた第1板部と、該第1板部における前記垂直面から離れた端部から下方に延びた第2板部と、を有する断面L字状に形成され、前記第1支点部と前記フックとの間、及び、前記第2支点部と前記フックとの間は間隔があけられており、前記第1支点部の上端面及び前記第2支点部の上端面
のいずれか一方が、前記第1板部の上端面と同じ高さ
に位置付けられており、他方が、前記第1板部の上端面よりも下方の位置に位置付けられており、前記結束バンドが、前記第1支点部と前記フックとの間、前記第1板部の下方、前記第2支点部と前記フックとの間、を通されて前記バンド取付部に取り付けられることを特徴とする結束バンド取付構造である。
【0010】
上記目的を達成するために請求項2に記載された発明は、請求項1に記載の結束バンド取付構造を用いた結束バンドの取付方法であって、前記結束バンドをU字状に撓ませて、該結束バンドを、前記第1支点部と前記フックとの間、前記第1板部の下方、前記第2支点部と前記フックとの間、を通る位置に位置付け、該位置で前記結束バンドを放すことにより、前記結束バンドを当該結束バンドの弾性復元力により前記第1支点部の上端面及び前記第2支点部の上端面に弾性接触させて前記バンド取付部に取り付けることを特徴とする結束バンドの取付方法である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載された発明によれば、前記結束バンドを、前記第1支点部と前記フックとの間、前記第1板部の下方、前記第2支点部と前記フックとの間、を通すことで前記バンド取付部に取り付けることができ、従来品のように結束バンドを微細な孔に通すことなく容易にバンド取付部に取り付けることができる。
【0012】
請求項2に記載された発明によれば、前記結束バンドをU字状に撓ませて、該結束バンドを、前記第1支点部と前記フックとの間、前記第1板部の下方、前記第2支点部と前記フックとの間、を通る位置に位置付け、該位置で前記結束バンドを放すことにより、前記結束バンドを当該結束バンドの弾性復元力により前記第1支点部の上端面及び前記第2支点部の上端面に弾性接触させて前記バンド取付部に取り付けることができるので、従来品のように結束バンドを微細な孔に通すことなく容易にバンド取付部に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態にかかる結束バンド取付構造を示す斜視図である。
【
図3】
図1に示された結束バンド取付構造を用いた結束バンドの取付方法を説明する説明図である。
【
図5】
図3に示された結束バンドがバンド取付部に取り付けられた状態を示す斜視図である。
【
図8】従来の結束バンド取付構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態にかかる「結束バンド取付構造」及び該結束バンド取付構造を用いた「結束バンドの取付方法」を
図1〜7を参照して説明する。
【0015】
本発明の「結束バンド取付構造1」は、結束バンド2を、
図5,6に示すようにバンド取付部3に取り付ける構造である。すなわち、本発明の「結束バンド取付構造1」は、結束バンド2とバンド取付部3とで構成されている。
【0016】
上記結束バンド2は、
図1,2に示すように、ワイヤハーネス8を電気接続箱のケース9における所定位置に固定するためのものである。前記電気接続箱は、自動車に搭載されて、前記自動車に搭載された電子機器に対して電力供給及び信号伝達を行うものである。また、ワイヤハーネス8は、前記電気接続箱と前記電子機器とを接続する配線部材であり、複数の電線が束ねられて構成されている。
【0017】
この結束バンド2は、合成樹脂で構成されており、周知のように、弾性変形可能に形成された帯部20と、帯部20の一端部20aに設けられた挿通係止部21と、が一体形成されたものである。帯部20の片面には複数の係止突起(図示は省略する。)が当該帯部20の長手方向に連続して設けられている。挿通係止部21には、帯部20を挿通可能な挿通孔と、帯部20の係止突起に係止可能な係止片と、が設けられている。
【0018】
上記バンド取付部3は、上記電気接続箱のケース9に一体に設けられている。このバンド取付部3には、
図3などに示すように、垂直方向、すなわち矢印Y方向、に延びた垂直面4と、垂直面4に連なったフック5と、垂直面4に連なり、互いの間にフック5を位置付けた第1支点部6及び第2支点部7と、が設けられている。
【0019】
上記フック5は、
図7等に示すように、垂直面4から水平方向、すなわち矢印Zと平行な方向、に延びた第1板部51と、該第1板部51における垂直面4から離れた端部から下方に延びた第2板部52と、を有する断面L字状に形成されている。
図2に示すように、第1板部51は、結束バンド2によってワイヤハーネス8が固定される部分であり、その上端面51aにワイヤハーネス8が位置付けられ、その下端面51bに結束バンド2の帯部20が位置付けられる。第2板部52は、垂直面4と矢印Z方向に間隔をあけて対向している。この第2板部52は、第1板部51の下端面51bに位置付けられた帯部20を垂直面4との間に位置付けて帯部20の位置ずれを防止するための部分である。
【0020】
上記第1支点部6は、垂直方向、すなわち矢印Y方向、に延びるとともに垂直面4と直交する壁である。この第1支点部6は、フック5と矢印X方向に間隔をあけている。矢印Xは、矢印Y,Zと直交する方向である。
図2等に示すように、第1支点部6の上端面60は、第1板部51の上端面51aよりも下方の位置に位置付けられている。また、
図2中の符号61は、第1支点部6の上端面60におけるフック5寄りの端部を示している。また、第1支点部6には、上端面60から矢印Y方向に突出した突出部62が設けられている。この突出部62は、垂直面4と矢印Z方向に間隔をあけている。
【0021】
上記第2支点部7は、垂直方向、すなわち矢印Y方向、に延びた四角柱状に形成されており、その側面が垂直面4に連なっている。この第2支点部7は、フック5と矢印X方向に間隔をあけている。
図2等に示すように、第2支点部7の上端面70は、第1板部51の上端面51aと同じ高さに位置付けられている。また、
図2中の符号71は、第2支点部7の上端面70におけるフック5寄りの端部を示している。
【0022】
続いて、上記バンド取付部3に結束バンド2を取り付ける方法を説明する。まず、
図3,4に示すように、結束バンド2をU字状に撓ませて、帯部20を、第1支点部6とフック5との間、第1板部51の下方、第2支点部7とフック5との間、を通る位置に位置付ける。そして、該位置で結束バンド2を放す。すると、結束バンド2は、
図5,6に示すように、帯部20の弾性復元力によりU字状からC字状に変位し、帯部20がその弾性復元力により、第1支点部6の上端面60の端部61、第1板部51の下端面51b、第2支点部7の上端面70の端部71に弾性接触してバンド取付部3に取り付けられる。
【0023】
また、上記結束バンド2は、
図5,6に示す状態において、帯部20が、垂直面4と突出部62の間、及び、垂直面4と第2板部52の間に位置付けられていることから、矢印Z方向に位置ずれすることがない。さらに、上記結束バンド2は、
図5,6に示す状態において、帯部20における係止突起が設けられた面が、第1支点部6の上端面60の端部61、第2支点部7の上端面70の端部71に弾性接触していることから、矢印X方向に位置ずれすることがない。
【0024】
このように本発明の「結束バンド取付構造1」及び「結束バンドの取付方法」によれば、従来品のように結束バンド2を微細な孔に通すことなく容易にバンド取付部3に取り付けることができる。
【0025】
また、上記結束バンド2を用いてワイヤハーネス8を
図1,2に示すように第1板部51に固定する際は、上述した方法で先に結束バンド2をバンド取付部3に取り付けておき、次に第1板部51の上端面51aにワイヤハーネス8を位置付ける。そして、ワイヤハーネス8の外周に帯部20を巻き付け、帯部20の他端部20bを
図5中の矢印Eで示すように挿通係止部21の挿通孔に通すとともに係止突起を係止片に係止させることにより、ワイヤハーネス8を第1板部51に固定する。
【0026】
また、上述した実施形態では、「結束バンド取付構造1」が電気接続箱に適用された例を説明したが、本発明の「結束バンド取付構造」は、流体を通す管や光ケーブルの固定構造などにも適用することができる。
【0027】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0028】
1 結束バンド取付構造
2 結束バンド
3 バンド取付部
4 垂直面
5 フック
6 第1支点部
7 第2支点部
51 第1板部
52 第2板部