(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本願発明の課題は、厨房等の排出元から排出されてグリストラップ内に貯留された排液、又はグリストラップに入る前の排液を、効率良く鹸化処理できる排液処理方法、並びにそれら処理方法に使用される排液処理装置、及び排液処理装置を備えた流し台を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願発明の排液処理方法の一つは、排液を液状、粉状、粒状等の鹸化剤、鹸化剤と同様の効能を有する他の剤(以下、これらをまとめて「処理剤」という。)と混合攪拌して排液を鹸化処理し、その処理済みの排液をグリストラップ内に又は外部に排出する排液処理方法において、グリストラップ内の排液に処理剤を入れ、その排液を処理剤と共にグリストラップ内で混合攪拌して当該排液(特に、排液中の油脂分)を石鹸化液にし、前記混合攪拌前又は混合攪拌中又は混合攪拌後のいずれか一又は二以上の工程において前記排液又は石鹸化液に気体(例えば、酸素等。以下同じ。)を供給してエアレーション(好気性微生物に必要な酸素を供給して、排液中の微生物が溶解性及び浮遊性有機物と十分接触できるようにすること。以下同じ。)し、その石鹸化処理されエアレーション処理された排液(以下「処理排液」という。)をグリストラップ内に又はグリストラップを通さずに外部に排出する方法である。
【0013】
本願発明の排液処理方法の他の一つは、グリストラップ内の排液に処理剤を入れ、前記排液と処理剤をグリストラップ内で混合攪拌せずにグリストラップの外に設けた汲み上げポンプで汲み上げ、前記排液と処理剤を汲み上げポンプ内で又は他の攪拌機で混合攪拌して石鹸化液にし、前記混合攪拌前又は混合攪拌中又は混合攪拌後のいずれか一又は二以上の工程において前記排液又は石鹸化液に気体を供給してエアレーションし、前記石鹸化液をグリストラップ内に又はグリストラップを通さずに外部に排出する方法である。
【0014】
本願発明の排液処理方法の他の一つは、グリストラップ内の排液をグリストラップの外に設けた汲み上げポンプにより汲み上げ、前記排液に処理剤を入れ、前記排液と処理剤を前記汲み上げポンプで混合攪拌して石鹸化液にし、前記混合攪拌前又は混合攪拌中又は混合攪拌後のいずれか一又は二以上の工程において前記排液又は石鹸化液に気体を供給してエアレーションし、前記石鹸化液をグリストラップ内に又はグリストラップを通さずに外部に排出する方法である。
【0015】
本願発明の排液処理方法の一つは、排出元から排出された排液がグリストラップ内に又は外部に排出される前に、その排液に処理剤を供給し、前記排液と処理剤を混合攪拌して排液を石鹸化液にし、前記混合攪拌前又は混合攪拌中又は混合攪拌後のいずれか一又は二以上の工程において前記排液又は石鹸化液に気体を供給してエアレーションし、その処理排液前記石鹸化液をグリストラップ内に又はグリストラップを通さずに外部に排出する方法である。
【0016】
本願発明の排液処理方法の他の一つは、排出元から排出された排液がグリストラップ内に又は外部に排出される前に、その排液と処理剤をポンプで吸引し、前記ポンプにより排液と処理剤を混合攪拌して排液を石鹸化液にし、前記混合攪拌前又は混合攪拌中又は混合攪拌後のいずれか一又は二以上の工程において前記排液又は石鹸化液に気体を供給してエアレーションし、その処理排液をグリストラップ内に又はグリストラップを通さずに外部に排出する方法である。
【0017】
本願発明の排液処理方法の他の一つは、排出元から排出された排液がグリストラップ内に又は外部に排出される前に、その排液と処理剤を貯留槽に貯留し、前記排液と処理剤を貯留槽内において攪拌して排液を石鹸化液にし、前記混合攪拌前又は混合攪拌中又は混合攪拌後のいずれか一又は二以上の工程において前記排液又は石鹸化液に気体を供給してエアレーションし、その処理排液を貯留槽からグリストラップに又はグリストラップを通さずに外部に排出する方法である。
【0018】
本願発明の排液処理方法の他の一つは、排出元から排出された排液がグリストラップ内に又は外部に排出される前に、その排液を貯留槽に貯留し、前記貯留槽内の排液と処理剤容器内の処理剤をポンプにより吸引し、前記ポンプにより又は他のポンプによりその排液と処理剤を混合攪拌して排液を石鹸化液にし、前記混合攪拌前又は混合攪拌中又は混合攪拌後のいずれか一又は二以上の工程において前記排液又は石鹸化液に気体を供給してエアレーションし、その処理排液をポンプからグリストラップ内に又はグリストラップを通さずに外部に排出する方法である。
【0019】
本願発明の排液処理方法の他の一つは、排出元から排出された排液がグリストラップ内に又は外部に排出される前に、その排液と処理剤を混合攪拌して排液を石鹸化液にし、前記排液をポンプから前記貯留槽に戻し又は他の貯留槽に入れ、前記排液に処理剤を入れて再度の混合攪拌を一回以上行ない、前記混合攪拌前又は混合攪拌中又は混合攪拌後のいずれか一又は二以上の工程において前記排液又は石鹸化液に気体を供給してエアレーションし、その処理排液をグリストラップ内に又はグリストラップを通さずに外部に排出する方法である。
【0020】
本願発明の排液処理装置の一つは、排液に処理剤を入れて混合攪拌して排液を石鹸化液にする排液処理装置であり、排出元から排出された排液又はグリストラップ内の排液を吸引でき、その排液に供給された処理剤を混合攪拌して当該排液を石鹸化液にする汲み上げポンプと、前記混合攪拌前又は混合攪拌中又は混合攪拌後のいずれか一又は二以上の工程において前記排液又は石鹸化液をエアレーションする気体供給機を備え、エアレーションされ且つ石鹸化液にされた処理排液をグリストラップ内に又はその外部に排出可能とした装置である。
【0021】
本願発明の排液処理装置の他の一つは、前記処理剤を収容する処理剤容器と、排出元から排出された排液又はグリストラップ内の排液と前記処理剤容器内の処理剤を吸引でき、その排液と処理剤を混合攪拌して当該排液を石鹸化液にする汲み上げポンプと、前記混合攪拌前又は混合攪拌中又は混合攪拌後のいずれか一又は二以上の工程において前記排液又は石鹸化液をエアレーションする気体供給機を備え、エアレーションされ且つ石鹸化液にされた処理排液をグリストラップ内に又はその外部に排出可能とした装置である。
【0022】
本願発明の排液処理装置の他の一つは、排出元から排出される排液がグリストラップ内に又は外部に排出される前にその排液を貯留する貯留槽と、貯留槽に貯留された排液とその排液内に入れた処理剤とを貯留槽内で混合攪拌処理して当該排液を石鹸化液にする攪拌機と、前記混合攪拌前又は混合攪拌中又は混合攪拌後のいずれか一又は二以上の工程において前記排液又は石鹸化液をエアレーションする気体供給機を備え、エアレーションされ且つ石鹸化液にされた処理排液をグリストラップ内に又はその外部に排出可能とした装置である。
【0023】
本願発明の排液処理装置の他の一つは、前記処理剤を収容する処理剤容器と、排出元から排出された排液がグリストラップ内に又は外部に排出される前にその排液を貯留する貯留槽と、前記貯留槽内の排液と処理剤容器内の処理剤を吸引してそれらを混合攪拌して当該排液を石鹸化液にするポンプと、前記混合攪拌前又は混合攪拌中又は混合攪拌後のいずれか一又は二以上の工程において前記排液又は石鹸化液をエアレーションする気体供給機を備え、エアレーションされ且つ石鹸化液にされた処理排液をグリストラップ内に又はその外部に排出可能とした装置である。
【0024】
本願発明の排液処理装置の他の一つは、前記排液処理装置において、石鹸化液にされた処理排液をグリストラップ内に又はその外部に排出する前に貯留槽に戻すか又は他の貯留槽に入れる循環機構を備え、循環された処理排液を一回以上エアレーションし、処理剤と混合攪拌できるようにした装置である。
【0025】
本願発明の排液処理装置の他の一つは、排出元から排出された排液がグリストラップ内に又は外部に排出される前にその排液を貯留する貯留槽と、前記貯留槽内に処理剤を供給する処理剤装置と、前記貯留槽内に貯留される排液の量を測定する排液量計測手段と、前記貯留槽内の排液及び処理剤を混合攪拌して石鹸化液にする攪拌装置と、前記混合攪拌前又は混合攪拌中又は混合攪拌後のいずれか一又は二以上の工程において前記排液又は石鹸化液をエアレーションする気体供給機を備え、前記排液量測定手段によって計測された排液量が所定の閾値を超えると、前記処理剤装置から処理剤が前記貯留槽内に供給され、エアレーションされ且つ石鹸化液にされた処理排液をグリストラップ内に又はその外部に排出できるようにした装置である。
【0026】
本願発明の排液処理装置の他の一つは、前記排液処理装置において、貯留槽が二以上設けられ、排出元側の貯留槽は排出元から排出される排液を貯留でき、それ以降の貯留槽は排出元側の貯留槽からオーバーフローする排液を受けて貯留でき、処理剤が前記いずれかの貯留槽内に供給され処理剤が供給された以降の貯留槽内の排液及び処理剤が攪拌機又はポンプにより混合攪拌されるようにした装置である。
【0027】
本願発明の排液処理装置の他の一つは、前記排液処理装置において、貯留槽内の排液を加温する加温装置を備えた装置である。
【0028】
本願発明の排液処理装置付き流し台は、水槽に排液口を備えた流し台において、流し台の排出口側に前記いずれかの排液処理装置を備え、前記流し台から排出された排液又は/及び処理剤を前記排液処理装置によって混合攪拌でき且つエアレーションできる流し台である。
【0029】
本願発明の排液処理装置付き流し台の他の一つは、前記排液処理装置付き流し台において、水槽内の排液を加温する加温装置を備えたものである。
【発明の効果】
【0030】
本願発明の排液処理方法には、次のような効果がある。
(1)排液と処理剤との混合攪拌前又は混合攪拌中又は混合攪拌後のいずれか一又は二以上の工程において排液をエアレーションするので、排液中の好気性微生物に空気(酸素)が供給され、微生物による排液中の有機物の分解(生分解)が促進され、グリストラップや貯留槽等の洗浄性が向上する。
(2)排出元から排出される排液を、グリストラップに入る前に石鹸化液にし、しかもエアレーション処理するので、処理排液を、グリストラップを通さずに外部に排出することができ、グリストラップを設けなくてもよい。グリストラップを設けるにしても、処理排液を清掃業者が清掃するまで、グリストラップとは別に用意した貯留槽に貯留しておくことができ、グリストラップ内に貯留しておく必要がないため、グリストラップを容量の少ないもの(小型のもの)にすることができ、小型店舗でもグリストラップの設置が容易になる。
(3)排出元から排出される排液を、グリストラップに入る前に石鹸化液にするので、その処理排液をグリストラップ内に溜めてもグリストラップから悪臭などが発生しにくく、作業環境を悪化させる原因を排除することができる。
(4)排液と処理剤を混合攪拌できるポンプや攪拌機を使用すれば、貯留槽(攪拌槽)を設けずに、排出元から排出される排液を連続攪拌することが可能となるので、バッチ式の攪拌よりも攪拌作業効率が向上する。
(5)排液の混合攪拌処理、エアレーション処理を二回以上行えば排液を排出基準に適合させ易くなる。
【0031】
本願発明の排液処理装置には、次のような効果がある。
(1)気体供給機を備えているので、それから排液内に気体を供給して、排液を手軽にエアレーションすることができる。
(2)排出元から排出される排液をグリストラップに入れる前に、貯留槽に入れて鹸化処理することができるので、グリストラップの容量を軽減させることができる。場合によっては、排液処理装置がグリストラップの代用となるため、グリストラップを設ける必要が無くなる。また、処理排液をグリストラップ内に溜めてもグリストラップから悪臭などが発生しにくく、作業環境を悪化させる原因を排除することができる。
(3)排液と処理剤を攪拌できるポンプや攪拌機を使用した場合は、排液貯留槽(攪拌槽)が不要になるので、排液処理装置が小型になる。
(4)排液量計測手段により貯留槽内の排液量を計測して、排液量が所定の閾値を超えたときに鹸化処理を行うものとすれば、処理剤の無駄も省ける。
(5)貯留槽を二以上設けたので、二以上の貯留槽で石鹸化処理することができ、1槽の場合よりも石鹸化処理効果が向上する。
(6)加温手段を設けると、排液と処理剤との反応が促進され、加温しない場合よりも短時間で石鹸化処理ができ、寒冷地においても効果的に石鹸化処理が可能となる。
(7)排液処理装置をグリストラップの代用とすることができるので、グリストラップを設けることなく排液を処理して排出することもできる。
(8)石鹸化処理した排液を貯留槽に戻すか又は他の貯留槽に入れるかする循環機構を設けた場合は、排液の循環中に排液を繰返し石鹸化処理とエアレーションの双方又はいずれか一方を行うことができるので、排液が石鹸化液になり易い。
【0032】
本願発明の排液処理装置付き流し台には、上記効果に加え次のような効果がある。
(1)流し台が排液処理装置を備えているので、厨房に排液処理装置付き流し台を設置するだけで排液を石鹸化処理することができ、グリストラップを不要とすることもできる。
(2)排液処理装置を通常の流し台の下方のスペースに設置すれば、排液処理装置を設けても流し台が横或いは前後に大きくなるとか背が高くなりすぎることが無く、流し台の設置に従来の流し台の設置よりも広いスペースを必要としない。
【発明を実施するための形態】
【0034】
[本願発明の概要]
本願発明の排液処理方法は、給食センター、レストラン、ホテル、食物加工所、スーパー、デパート、病院といった各種施設の厨房、あるいはその他の調理場などの排出元から排出される排液Bを処理剤で鹸化処理し、併せて、その処理前、処理中、処理後に排液Bをエアレーションして、排液Bを排出許容限度(排出基準値)に適合させるべく処理する方法である。より具体的には、排液Bを処理剤と混合攪拌して排液Bを石鹸化液にし、この混合攪拌前又は混合攪拌中又は混合攪拌後のいずれか一又は二以上の工程において、排液Bをエアレーションし、その処理済みの排液Bをグリストラップ内に又はその外部に排出する方法である。以下、本願発明の排液処理方法及び排液処理装置について、詳細に説明する。なお、共通する構成、装置、材料、基材等については1回のみ説明し、それ以降説明を省略することがある。
【0035】
[実施形態1]
本願発明の第1の実施形態について、
図1を参照して説明する。この実施形態の排液処理方法は、グリストラップA内の排液Bに処理剤を入れ、その排液Bを処理剤と共にグリストラップA内で自動回転式の攪拌機や手動操作式の攪拌具(以下「攪拌機」という。)70により混合攪拌して当該排液Bを鹸化処理し、その排液Bに気体供給機71からホース72を通して気体を供給して排液Bをエアレーションする方法である。前記攪拌機70の駆動部はグリストラップAの外に配置されている。
【0036】
(グリストラップ)
図1のグリストラップAは既存の一般的なグリストラップであり、二つの仕切りDで区画されている。本願発明におけるグリストラップAはこれ以外の形状、構造であってもよい。
【0037】
(処理剤)
前記処理剤として使用される代表的なものは鹸化剤(鹸化液)である。鹸化剤は、排液Bのうち特に油脂分を石鹸液状にする(石鹸化液にする)ものであり、液状、ゲル状、粉状、粒状、錠剤(固形)、その他の形態の鹸化剤を使用することができる。鹸化剤の一例として出願人の商品(商品名「クリンエコフロー」)を用いることが可能である。「クリンエコフロー」に含有される主成分は、脂肪酸ナトリウム、脂肪酸カリウム、ヤシ脂肪酸ジェタノールアミド、無機質類数種、精製水等である。処理剤としては、排液Bを環境に優しいものに改質可能であれば鹸化剤に限らず、界面活性剤、消臭剤、中和剤、又はこれら二以上の混合剤、排液Bを鹸化処理可能なその他の剤を使用することもできる。本願発明で使用できる処理剤は鹸化剤と同様の効能を有するものであれば他のものであってもよい。処理剤は液状、粉状、粒状、固形、カプセル状といったいずれの形態であってもよいが、液状以外の場合は、液体に溶解し易いものが望ましい。排液Bへの処理剤の投入方法はどのような方法でも良く、例えば、手作業で投入することも機械で自動的に投入することもでき、常時(連続的に)入れることも間欠的に入れることもできる。処理剤を入れる箇所はグリストラップA内の他の一又は二以上の箇所であってもよい。排液Bに供給する処理剤(鹸化剤)の比率は、石鹸化効率やコスト等の面から考えると排液B:鹸化剤=5:1程度が好ましいが、排液Bの汚れ具合によってこの比率を変えることも可能で、例えば、汚れが著しい場合は鹸化剤の比率を大きくし、汚れが少ない場合は鹸化剤の比率を小さくすることもできる。
【0038】
(エアレーション)
気体供給機71には汎用のエアレーション装置、例えば、微細気泡散気装置、超微細気泡散気装置(メンブレン方式)をはじめとして、本願発明のエアレーションに適する各種方式の機器を使用することができる。また、エアレーション用のホース72の差込み箇所(気体供給箇所)もグリストラップA内の他の箇所であってもよい。前記気体の供給は、前記混合攪拌前又は混合攪拌中又は混合攪拌後のいずれか一又は二以上の工程において行うことができる。この供給工程は以下の実施形態のいずれにおいても同じである。
【0039】
[実施形態2]
本願発明の第2の実施形態について、
図2を参照して説明する。この実施形態の排液処理方法は、グリストラップA内の排液Bに処理剤を入れ、その排液Bに、グリストラップAの外に配置された気体供給機71からホース72を通して気体を供給して排液Bをエアレーションし、その排液BをグリストラップA内で混合攪拌せずに、グリストラップAの外に設けた汲み上げ攪拌処理装置21で汲み上げ、この排液Bと処理剤を、前記汲み上げ攪拌処理装置21内で混合攪拌して石鹸化液(処理排液)にし、その処理排液BをグリストラップA内に戻すか、又はグリストラップAを通さずに下水管などの外部に排出するようにした方法である。
【0040】
[実施形態3]
本願発明の第3の実施形態について、
図3を参照して説明する。この実施形態の排液処理方法は、グリストラップA内の排液Bに、グリストラップAの外に設けた気体供給機71からホース72を通して気体を供給して排液Bをエアレーションし、その排液BをグリストラップAの外に設けた汲み上げ攪拌処理装置21により汲み上げる。このとき、汲み上げ攪拌処理装置21により処理剤容器3内の処理剤を吸入し、その汲み上げ攪拌処理装置21で吸引した排液Bと処理剤を混合攪拌して排液Bを石鹸化液にする方法である。この場合は処理剤に液状のものを使用して汲み上げ攪拌処理装置21で吸引し易くするのが望ましい。
【0041】
[実施形態4]
本願発明の第4の実施形態について、
図4を参照して説明する。この実施形態の排液処理方法は、グリストラップA内の排液B内にグリストラップAの外の気体供給機71から気体を供給して当該排液Bをエアレーションし、その排液Bをグリストラップ排液処理装置100によって処理する方法である。このグリストラップ排液処理装置100は汲み上げポンプ102、排出ポンプ103、塵芥除去器104、モータMが一つのケース105内に収容されている。ケース105は、底面に車輪106を取り付けて移動可能とすることもできる。ケース105にハンドル107を取り付けて移動操作できるようにすることができる。
【0042】
(混合攪拌工程)
図4に示す汲み上げポンプ102には連結パイプ102aが連結され、この連結パイプ102aの先には汲み上げパイプ又はホース(以下これらを「汲み上げホース108」という。)が連結され、この汲み上げホース108の先端はグリストラップA内の排液Bに差し込まれている。モータMの駆動により汲み上げポンプ102を作動させ、汲み上げホース108を通して排液Bを吸引するとともに、処理剤容器116から処理剤供給路116aを通して処理剤を吸引し、これらを汲み上げポンプ102内に貯蔵する。汲み上げポンプ102はグリストラップA内の排液B及び処理剤容器116内の処理剤を吸引する能力を必要とし、液体を吸引・吐出可能なバキューム、水中ポンプ、陸上ポンプ、その他の任意の電動式ポンプ等を用いることができる。汲み上げホース108は可撓性を有するものが適する。
【0043】
汲み上げポンプ102内に汲みあげられた(吸引された)排液B及び処理剤は、汲み上げポンプ102内の混合攪拌器(図示しない)によって混合攪拌されて石鹸化液(処理排液)となる。この混合攪拌処理が終わると、石鹸化液状態の排液Bは移送パイプ又はホース(以下、これらを「移送ホース109」という)を通じて塵芥除去器104内に排出される。この移送ホース109は、汲み上げホース108と同様に可撓性を有するものが適する。排出された石鹸化液状態の排液Bは、塵芥除去器104の通孔110を通過してトレイ111の中に流入し、さらにトレイ111の下部に接続されているホース112に流下する。この際、通孔110を通過し得なかった塵芥は、塵芥除去器104内に残って後に除去回収される。塵芥除去器104はグリストラップAからの汲み上げ直後に配置して、汲みあげられた塵芥を除去し、その後に前記混合攪拌を行うこともできる。
【0044】
ホース112を流下した石鹸化液状態の排液Bは排出ポンプ103に貯蔵される。その後、排出ポンプ103の連結パイプ103aに連結された排出パイプ又はホース(以下、これらを「排出ホース113」という。)を経てグリストラップA内に排出される。この排出ホース113は、汲み上げホース108と同様に可撓性を有するものが適する。排出ポンプ103内に貯蔵される間に、さらに石鹸化液状態の排液Bを混合攪拌すると、より確実に石鹸化液とすることができる。
【0045】
ホース112にフィルタHを設け、このフィルタHを通過させることで石鹸化液状態の排液Bを濾過、脱色、脱臭といった処理を行うこともできる。このフィルタHは、水中の汚れを除く効能を有するナノバブルあるいはマイクロ・ナノバブルを生成する装置を用いることができる。特に、オゾンによって生成されたナノバブル、マイクロ・ナノバブルは非常に強力な殺菌効果や消毒効果があり、その殺菌能力は塩素系殺菌剤に比べると約10倍で、そのうえトリハロメタンなど有害性物質を発生しないという効果もある。なお、フィルタHの配置箇所はホース112に限らず濾過、脱色、脱臭の効率が良くなるよう適宜選択可能で、配置数も同様に適宜選択することができる。
【0046】
図4に示す処理剤容器116は、処理剤(例えば、鹸化剤)を収容可能な容器である。この処理剤容器116の底面には処理剤供給路116aが連結され、この処理剤供給路116aの下端は連結パイプ102aに接続され、処理剤容器116内の処理剤が汲み上げホース108で汲み上げられた排液Bと混合されるようにしてある。処理剤供給路116aは管状であり、その途中に開閉弁116bが設けられ、前記開閉弁116bの開閉操作によって処理剤の流量調整、供給停止、供給開始の操作が可能となっている。
図4では、処理剤容器116を連結パイプ102aの上方に配置し、処理剤を自由落下させて連結パイプ102a内の排液Bに供給させるが、処理剤容器116を低い位置に配置し、汲み上げポンプ102の駆動により処理剤容器116内の処理剤を吸引する構造としてもよい。もちろん、
図4のように処理剤容器116を連結パイプ102aの上方に配置した場合であっても、汲み上げポンプ102の駆動により処理剤容器116内の処理剤を吸引するものとしてもよい。
【0047】
(水質測定表示工程)
混合攪拌工程を経た石鹸化液状態の排液Bは、
図4に示す水質測定器114によって水質測定される。水質を測る場合の測定項目や、「水質汚濁防止法(排水基準を定める省令)」で定める有害物質以外による汚染状態を測るための測定項目とその基準値は、前述のとおりである。
【0048】
水質測定器114では、全ての測定項目を測ることのできる計器類を備えたものとすることもできるが、排水の水質基準は監督する自治体によっても異なり、排出先によっては任意に水質基準を定められる場合もあるので、1又は2以上の測定項目を測ることのできる計器類を備えたものとすることもできる。なお、水質測定器114は排出ホース113の途中、グリストラップAの中、排出ポンプ103の中などに設置できるうえ、一箇所又は二箇所以上に設置することができる。また
図4に示すように、水質測定器114に短い管とフランジを取り付けボルトにより取り付け可能な構造とするなど、容易に排出ホース113に着脱できる構造とすることができる。このように水質測定器114をグリストラップ排液処理装置100の本体とは別体として着脱容易なものとすることもできるし、水質測定器114をあらかじめグリストラップ排液処理装置100の本体に組み込んだ構造とすることもできる。水質測定器114をフィルタHと一体型にし、装置全体の小型化を図ることもできる。
【0049】
水質測定器114で測定された測定値あるいはリトマス試験紙などによる測定結果(以下、これらをまとめて「測定水質」という。)は、情報伝達手段(図示しない)によりモニター115に伝達されて表示される。また、事前に目標とする測定項目ごとの基準値あるいはリトマス試験紙などによる判定基準(以下、これらをまとめて「基準水質」という。)を電子計算機(以下、「パソコン」という)などの情報を格納手段に格納しておき、この基準水質情報もあわせて表示することもできる。すなわち、水質測定器114で測定された測定水質がパソコンに伝達され、既に格納された測定項目とその基準水質とを合わせて情報整理し、その結果をモニター115に伝達して、測定項目−測定水質−基準水質といった具合に表示させる。このように、測定項目ごとに測定水質と基準水質を対応させて表示すると、排液Bの処理状態(汚染状態)が容易に確認できる。なお、モニター115が情報格納手段を備えている場合には、必ずしもパソコンを必要とはしない。
【0050】
モニター115では、測定項目、測定水質、基準水質の組み合わせに代えて、あるいはこれに加えて項目ごとに合否判定を表示することもできる。この合否判定は、事前に格納された基準水質と水質測定器114から伝達された測定水質を基にパソコンで計算し、その計算結果をモニター115に伝達して表示させる。表示内容としては、例えば、水素イオン濃度の測定水質が基準水質の範囲内に収まっていれば、水素イオン濃度については基準適合を意味する青色表示(その他、OKなど)とし、浮遊物質量が基準水質を5%ほど超えている場合は黄色表示(その他、注意など)、基準水質を極度に超えている場合は赤色表示(その他、NGなど)とすることもできる。また、各測定項目から総合的に判断して合否判定表示をすることもできる。
【0051】
パソコンあるいは情報格納手段を備えたモニター115にプリンタを接続すると、モニター115に表示する内容を印刷(印字)させることもできる。日付や時間、又は気温や湿度などとともに印刷しファイリングすれば、周辺環境に応じた処理剤の最適量の解析など、種々の解析、予測に役立つものとなる。
【0052】
モニター115は、ケース105などに組み込んで本体と一体型とすることもできるし、あるいは本体とは別体としてケース105などに着脱容易とすることもできる。
【0053】
(排出工程)
水質測定器114を通過した石鹸化液状態の排液Bは、モータMの駆動により排出ポンプ103を作動させて、排出ホース113を経て再度グリストラップA内に戻すか、又はグリストラップAの外部の下水道や浄化槽に排出する。水質測定器114を排出ホース113の途中や排出ポンプ103の中などに設置した場合、排出ホース113の排出先を2系統以上設け、測定水質に応じて排液Bの排出先を切り替えることもできる。すなわち、基準水質に適合すると判断された場合には、排出ポンプ103の排出先を下水道や浄化槽に切り替え、基準水質に適合しないと判断された場合には、排出先をグリストラップA内に切り替える。この切り替えは、手動とすることもできるし、制御装置を設けて自動制御方式を採ることもできる。
【0054】
グリストラップAに水質測定器114aを設置すれば、グリストラップA内の排液Bの処理状態(汚染状態)が把握できる。水質測定器114aで測定された測定水質はパソコン(若しくは情報格納手段を備えたモニター115)に伝達され、この測定水質と既にパソコンに格納されている測定項目及びその基準水質とを合わせてモニター115に伝達し、表示させる。グリストラップA内の排液Bが目標の水質となっていなければ、再度、処理剤供給工程、混合攪拌工程、水質測定表示工程、排出工程といった一連の排液処理を実施し、モニター115に表示された水質測定器114aの測定水質が目標の値に到達していれば排液処理を終了する。この一連の排液処理を繰り返し実施するか否かは、人によって判断して操作することもできるが、事前に格納された基準水質と水質測定器114aから伝達された測定水質を基にパソコンで計算し、その計算結果に基づいて制御装置により自動運転させることもできる。
【0055】
[実施形態5]
本願発明の第5の実施形態について、
図5を参照して説明する。
図5に示す実施形態は、グリストラップ排液処理装置100に処理タンク117が設けられた場合の例であり、その基本的構造や排液処理方法等は、
図4に示す排液処理方法及び排液処理装置と共通する。
【0056】
図5の処理タンク117は排液Bと処理剤を混合して貯めることのできるタンクであって、移送ホース109が差込まれて汲み上げポンプ102で吸引された排液Bが処理タンク117内に送り込まれるようにしてある。更に、処理剤容器116に連結された処理剤供給路116aも処理タンク117内に差込まれて処理剤が供給されるようにしてある。この場合も、グリストラップAの排液B内に気体供給機71から気体を供給して排液Bをエアレーションする。処理タンク117内には塵芥除去器104が設けられ、排液Bに含まれる塵芥は塵芥除去器104内に残って後に除去回収される。
【0057】
処理タンク117内には、回転軸118aと羽根118bを備える攪拌装置118が配置されており、回転軸118aの回転による羽根118bの攪拌作用に伴い、処理タンク117内で排液Bと処理剤が混合攪拌されることで、排液Bは石鹸液化される。処理タンク117内で石鹸化液状態となった排液Bは、ホース112を通して排出ポンプ103内に吸引され、その後、排出ホース113を通してグリストラップA内又はその外部に排出される。
【0058】
[実施形態6]
本願発明の第6の実施形態について、
図6を参照して説明する。
図6に示す実施形態は、グリストラップAの排液B内に汲み上げポンプ119を沈めたグリストラップ排液処理装置100を用いる場合の例であり、その基本的構造や排液処理方法等は
図5に示す排液処理装置の実施形態と共通する。
【0059】
図6のグリストラップ排液処理装置100では、汲み上げポンプ119が、グリストラップAの排液B内に沈められる収納ケース120内に収められ、汲み上げポンプ119に連結された汲み上げホース108の吸引口121からグリストラップA内の排液Bを吸引し、汲み上げポンプ119を通過させて石鹸液化した後に、排出ホース113の排出口122から排出できるようにしてある。この場合も、グリストラップAの排液B内に気体供給機71から気体を供給して、排液Bをエアレーションする。
【0060】
汲み上げホース108の途中には処理剤容器116に連結された処理剤供給路116aが接続されており、モータMにより汲み上げポンプ119を作動させて汲み上げホース108の吸引口121からグリストラップA内の排液Bを吸引すると同時に、処理剤容器116から処理剤を吸引できるようにしてある。モータMは、汲み上げポンプ119に内蔵しておくこともできる。処理剤供給路116aは管状であり、その途中には開閉弁116bを設けることもできる。
【0061】
汲み上げポンプ119内に吸引された排液Bは処理剤と混合攪拌されて石鹸化液となる。
図6の汲み上げポンプ119は、吸引した液体を攪拌して送り出すものであることにおいては前記実施形態の汲み上げポンプ102と同じであるが、汚泥吸引用水中ポンプなどのように塵芥や汚泥を含む排液Bを吸引しても故障しにくい構造のものを使用することが望ましい。
【0062】
図6に示す収納ケース120は、汲み上げポンプ119を被覆しグリストラップA内の排液Bから保護する筐体である。汲み上げポンプ119及び収納ケース120をグリストラップA内の排液B中に入れる場合は、例えば、収納ケース120を支持台123で支持したり、収納ケース120をグリストラップAの周縁に係止して排液B中に吊下げたりすることができる。支持台123は、汲み上げポンプ119及び収納ケース120の高さを調節することができる。
【0063】
排出ホース113の途中には水質測定器114が取り付けられ、排出ホース113の排出口122は塵芥除去器104内にセットされている。排出ホース113から排出される石鹸化液状態の排液Bを塵芥除去器104に排出することにより塵芥及び汚泥が分離除去されるようにしてある。塵芥除去器104を通過した排液Bは、塵芥除去器104の下に配置されたフィルタHで濾過、脱色、脱臭等された後にグリストラップA内に流下する。グリストラップAの排液B内にはグリストラップA用の水質測定器114aを設置することもできる。
【0064】
[実施形態7]
本願発明の第7の実施形態について、
図7を参照して説明する。
図7に示す実施形態は、汲み上げポンプ内蔵型の開口ケースが備えられたグリストラップ排液処理装置100を用いる場合の例であり、その基本的構造や排液処理方法等は前記排液処理装置(
図6)の実施形態と共通する。
【0065】
図7のグリストラップ排液処理装置100は、汲み上げポンプ内蔵型の開口ケース124が設けられ、開口ケース124の一部はグリストラップAの排液B内に沈められている。開口ケース124にある開口部125からグリストラップA内の排液Bを吸引し、開口ケース124を通過させて石鹸液化した後に、排出ホース113から排出できるようにしてある。
【0066】
開口ケース124は汲み上げポンプを収容可能なサイズとしてあり、開口ケース124の側面にグリストラップA内の排液Bを取り込むための開口部125が設けられている。
図7に示す開口部125は一例であり、開口部125の大きさ、数、形成位置は任意に選択することができる。開口ケース124内には前記開口部125から取り込んだ排液Bを一時的に貯蓄しておくための貯蓄スペース126を設けてある。
【0067】
開口ケース124は、グリストラップAの周縁に渡した棒状またはパイプ状の長尺な支持材127に吊り下げられた吊り具128で支持され、昇降機(例えば、ウインチ)129の操作で昇降できるようにしてある。吊り具128は金属製のチェーンであるが、それ以外のもの、例えば、ロープ、帯等であっても良いし、吊り具128は一本でも二本以上でも良い。
【0068】
吊り具128はグリストラップAの周縁以外にも、例えば、グリストラップAの上方に設置した支持材127に吊り下げて係止することができる。より具体的には、グリストラップAの天板を外し、その開口部分に単管パイプ、角鋼管、H形鋼といった細長棒材などの支持材127を架設し、その支持材127に吊り具128を吊り下げる。開口ケース124を昇降機129で吊り下げることで、グリストラップA内の排液Bの量が減少しても汲み上げポンプで確実に排液Bが汲み上げられ、昇降機129を操作することにより手軽に昇降させることができる。開口ケース124の開口部125は、グリストラップA内の排液Bの油脂層(排液Bの油脂分の層)内に浸しておくことが望ましい。
【0069】
開口ケース124には、処理剤容器116に連結された処理剤供給路116aが接続されており、開口ケース124に内蔵された汲み上げポンプによって開口部125からグリストラップA内の排液Bを吸引すると同時に、処理剤容器116から処理剤を吸引する。この場合も、グリストラップAの排液B内に気体供給機71から気体を供給して、排液Bをエアレーションする。
図7では処理剤容器116がグリストラップAの外に配置されているが、処理剤容器116はグリストラップA内に設置することもできる。処理剤供給路116aは管状であり、その途中には開閉弁(図示しない)を設けることもできる。
【0070】
開口ケース124内に吸引された排液Bは処理剤と混合攪拌されて石鹸化液となる。開口ケース124に内蔵される汲み上げポンプは、吸引した液体を攪拌して送り出すものであることにおいては前記実施形態の汲み上げポンプ102と同じであるが、汚泥吸引用水中ポンプなどのように塵芥や汚泥を含む排液Bを吸引しても故障しにくい構造のものを使用することが望ましい。
【0071】
排出ホース113の途中には水質測定器114が取り付けられ、排出ホース113の先には塵芥除去器130が配置されている。この塵芥除去器130は、開口ケース124と同じく支持材127に吊り下げられている。排出ホース113から排出される石鹸化液状態の排液Bを塵芥除去器130に排出することにより、塵芥及び汚泥が分離除去されるようにしてある。また塵芥除去器130の下にはフィルタHが配置されていて、塵芥除去器130を通過した排液Bは、フィルタHで濾過、脱色、脱臭等された後にグリストラップA内に流下する。グリストラップAの排液B内にはグリストラップA用の水質測定器114aを設置することもできる。
【0072】
[実施形態8]
本願発明の第8の実施形態について、
図8を参照して説明する。
図8に示す排液処理装置1は排出元の流し台Rに接続された排水管Tに連結され、排出元から排出される排液BがグリストラップA内又は外部に排出される前に、流入パイプSを通じて排液処理装置1の攪拌処理装置(ポンプ)2に流入させ、この排液Bの流入過程において気体供給機71から気体を供給して当該排液Bをエアレーションし、攪拌処理装置2により処理剤容器3内の処理剤を吸引して前記排液Bに処理剤を入れ、この排液Bと処理剤を攪拌処理装置2内で混合攪拌して排液Bを石鹸化液にする場合の例である。鹸化処理された処理排液は攪拌処理装置2から外部排出管4を通してグリストラップA内に又はグリストラップAを通さずに外部に排出できるようにしてある。
【0073】
前記気体の供給箇所は他の箇所であってもよく、例えば、攪拌処理装置2内で気体を供給して、当該攪拌処理装置2内での排液Bと処理剤との混合攪拌中にエアレーションするようにしてもよく、攪拌処理装置2で混合攪拌されて排出される排液BがグリストラップA内又は外部に排出される前に気体を供給して、前記混合攪拌後にエアレーションすることもできる。
【0074】
図8に示す排液処理装置1は一例であり、排液処理装置1としては他の種々の形態のものを採用することができる。要は、排出元からの排液Bを、グリストラップA内或いは下水管など外部に排出する前に、排液Bに処理剤を加え、排液Bと処理剤とを攪拌し、攪拌処理された排液Bを排出することができれば、本願発明の排液処理方法として種々の手段を採用することができる。
【0075】
(処理剤容器及び処理剤)
図8の処理剤容器3は容器本体3aと管、チューブ等を使用した送入路3bを備えており、容器本体3aは処理剤を貯留するものであり、送入路3bは容器本体3a内の処理剤が攪拌処理装置2まで移動するための通路である。ここで使用される処理剤は、前記処理剤と同じ物或いは異なるものを使用することができる。
【0076】
処理剤容器3の容器本体3aには処理剤を投入可能な投入口(図示しない)が設けられており、この投入口から投入された処理剤が容器本体3aに収容され、この容器本体3a内の処理剤が送入路3bを通じて攪拌処理装置2に供給される。
【0077】
(攪拌処理装置)
図8の攪拌処理装置2には吸入手段が備えられており、この吸入手段によって排出元(流し台R)からの排液Bを、攪拌処理装置2内に吸入する。この吸入手段は、内蔵された真空ポンプ等の圧力装置(図示しない)と、流入口2aとによって構成される。
図8に示すように、流し台Rの排水管Tに接続された流入パイプSは、途中で送入路3bと合流している。このため、吸入手段によって排液Bを攪拌処理装置2内に吸入すると、同時に容器本体3a内の処理剤も攪拌処理装置2内に吸入されることとなる。なお、
図8では流入パイプSと送入路3bとの合流手段としてジョイントU(T字管)を用いているが、この合流手段には従来から用いられている各種手段(例えば、流入パイプSに送入路3bを直接貫入させる手段)を採用することもできる。
【0078】
吸入手段によって攪拌処理装置2内に吸入された排液Bと処理剤は、攪拌処理装置2内で混合されるとともに圧力装置の吸引力によって攪拌されることとなる。鹸化剤などの処理剤が添加された排液Bは石鹸液化されるが、このように混合攪拌することで排液Bの石鹸液化は著しく促進される。
【0079】
処理剤が加えられて混合攪拌された排液Bは、攪拌処理装置2に備えられる排出手段によって排出される。この排出手段は、内蔵された真空ポンプ等の圧力装置(図示しない)と、排出口2bで構成され、この圧力装置によって攪拌処理された排液Bが排出口2bから圧送される。排出手段の圧力装置は省略することも可能である。この場合、例えば排出口2bから攪拌処理された排液Bを自由落下させることができる。また、排出手段の圧力装置は、吸入手段の圧力装置と兼用することもできる。
【0080】
排液Bは、排出口2bに接続される外部排出管4を通してグリストラップAに排出することもできる。また、本願発明の排液処理装置1を、グリストラップと同等以上の性能、すなわちSHASE−Sのうち阻集器に関連した規格に適合した性能、あるいはこの規格と同等以上の性能を備えたものにすれば、グリストラップAを設けることなく下水管などの外部に排出することもできる。この点については、前述した或いは後述する実施形態に関しても同様である。
【0081】
ここで使用できる攪拌処理装置2は、前記した吸入手段と排出手段を備えていればよく、本願発明の排液処理装置1の専用品として新たに作成してもよいし、市販されているベーンポンプ(例えば荏原製作所のラバーベーンポンプ)等を使用することもできる。
【0082】
攪拌処理装置2、処理剤容器3、気体供給機71及びこれらに付属する資材は、それらのすべてを或いはそれらの一部をケース(図示しない)に収容して1つの排液処理装置1とすることもできる。
【0083】
[実施形態9]
本願発明の第9の実施形態について、
図9を参照して説明する。
図9に示す実施形態は、排出元(流し台R)から排出された排液BがグリストラップA又は外部に排出される前に鹸化処理及びエアレーション処理し、処理排液をグリストラップA内に又はグリストラップAを通さずに外部に排出する場合の例である。
【0084】
図9では、排出元の流し台Rに排水管Tを接続し、排出元からの排液Bをこの排水管Tをとおして貯留槽5に貯留し、この排液Bを流入パイプSを通じて攪拌処理装置2に流入させ、攪拌処理装置2によって処理剤容器3から処理剤を吸引し、その排液Bと処理剤を攪拌処理装置2によって混合攪拌して鹸化処理する。この実施形態では、流入パイプSに気体供給機71を接続し、その流入パイプSを通る排液Bに気体供給機71から気体を供給してエアレーションできるようにしてある。気体の供給箇所はこれ以外でもよく、例えば、気体供給機71のホース72を貯留槽5内に差し込み、貯留槽5内で気体を供給できるようにすることができる。この処理排液は、攪拌処理装置2から外部排出管4を通してグリストラップA内に又はグリストラップAを通さずに外部に排出できるようにしてある。
【0085】
(貯留槽)
図9に示す貯留槽5は、排液Bを貯留する槽本体5aと、槽本体5aを支持する支持脚5bと、槽本体5a内の排液Bを排出する排出口5cを備えている。排出口5cには開閉弁6を介して流入パイプSが接続されている。貯留槽5は流し台Rの直下に配置され、流し台Rから流下する排液Bを貯留できるようにしてある。
図5の槽本体5aの形状は直方体であるが、その形状は、排液Bを貯留することができればこれに限らず平面視で長円形や多角形のものなど、任意の形状とすることができる。
【0086】
貯留槽5内に貯留された排液Bの量を計測するために、フロート7などの排液量計測手段13を備えることもできる。この計量結果(排液量)に基づいて、貯留槽5内の排液Bが所定量になる度に開閉弁6の開閉操作を手動で行うことができる。また、制御回路(図示しない)を設けて、計測結果に基づいて開閉弁(例えば電磁弁)6の開閉操作を自動化することもできる。いずれの場合も、開閉弁6の開閉操作により貯留槽5内の排液Bが所定量になる度に排液Bが排出される。この開閉弁6が開いた時にのみ攪拌処理装置(ポンプ)2で処理剤容器3内の処理剤(液)が吸引されるようにすると、高価な処理剤の無駄が削減される。
【0087】
攪拌処理装置2、処理剤容器3、貯留槽5、気体供給機71及びこれらに付属する資材は、それらのすべてを或いはそれらの一部をケース(図示しない)に収容して1つの排液処理装置1とすることもできる。
【0088】
[実施形態10]
本願発明の第10の実施形態について、
図10を参照して説明する。
図10に示す実施形態は、排出元(流し台R)から排出された排液BがグリストラップA又は外部に排出される前に鹸化処理及びエアレーション処理し、処理排液をグリストラップA内に又はグリストラップAを通さずに外部に排出する場合の例である。この排液処理方法は基本的には
図8、
図9に示す排液処理方法と同じであり、異なるのは、第1貯留槽51に貯留した排液Bがオーバーフローして第2貯留槽52に貯留され、第2貯留槽52内の排液Bが所定量になると、第2貯留槽52内の排液Bが攪拌処理装置2に流入するようにしたことである。この場合、第2貯留槽52内の排液Bに気体供給機71から気体を供給して当該排液Bをエアレーションし、この排液Bを、流入パイプSを通じて攪拌処理装置(ポンプ)2で吸引し、その吸引過程において、攪拌処理装置2により処理剤容器3内の処理剤を吸引し、当該攪拌処理装置2内で排液Bと処理剤とを混合攪拌して当該排液Bを石鹸化液にすることができるようにしてある。攪拌処理装置2で攪拌処理され、エアレーション処理された処理排液は外部排出管4を通してグリストラップA内に又はグリストラップAを通さずに外部に排出できるようにしてある。
【0089】
第2貯留槽52にもフロート7などの排液量計測手段13を設けて、第2貯留槽52内の排液Bが所定量以上なると攪拌処理装置2が自動的に動作するようにしてある。第2貯留槽52内の排液Bは排出口5cに流入パイプSを連結し、その流入パイプSを通して攪拌処理装置2に流入させることもできる。第1貯留槽51、第2貯留槽52にはそれらの内部の排液Bを排出させる(例えばメンテナンスの際)ための排出口(ドレイン)と開閉弁6を設けることもできる。
【0090】
貯留槽5は、
図9に示すような支持脚5bで支持することもできるが、底部にキャスターJを設置した移動式とすることもできる。この場合、貯留槽5の移動が容易となって好適である。もちろん、キャスターJを回転自在式とすることも、ストッパー付きとすることもできる。
【0091】
攪拌処理装置2、処理剤容器3、貯留槽5、気体供給機71及びこれらに付属する資材は、それらのすべてを或いはそれらの一部をケース(図示しない)に収容して1つの排液処理装置1とすることもできる。
【0092】
[実施形態11]
本願発明の第11の実施形態について、
図11を参照して説明する。
図11に示す排液処理装置1は、貯留槽5を流し台Rの横に配置し、流し台Rの排水管Tに接続された排出管WにポンプPを設け、このポンプPによって流し台Rからの排液Bを第1貯留槽51の上方までポンプアップして第1貯留槽51内に流下し、第1貯留槽51内の排液Bが所定量以上になるとオーバーフローして第2貯留槽52内に貯留されるようにしてある。第2貯留槽52内に気体供給機71から気体を供給して第2貯留槽52内の排液Bをエアレーションできるようにしてある。第2貯留槽52内の排液Bが所定量以上なると、その状態を第2貯留槽52内のフロート7が検知して攪拌処理装置2が作動し、第2貯留槽52内の排液Bが攪拌処理装置2で吸引されるようにしてある。このとき、処理剤容器3内の処理剤(液)も攪拌処理装置2で吸引される。攪拌処理装置2は吸引した排液Bと処理剤をその内部で混合攪拌して、排液B(排液中の油脂分)を石鹸液状にする。
【0093】
一般に油脂分を石鹸液化させる作用は排液Bの温度に影響される。寒冷地など排液Bの温度が極端に低いと、油脂分の石鹸液状化が困難なことが知られている。そこで、貯留槽5内に貯留された排液Bの温度を適温まで上昇させる加温手段8を設置して油脂分の石鹸液化が促進されるようにしてある。
図11では、この加温手段8として貯留槽5の側面にヒーターを設けてあるが、他の加温技術を用いることもできるし、取付け位置も適宜設計することができる。また、温度センサを設置して、排液Bの温度が所定温度外のときだけ加温手段8を動作させることもできる。
図11では貯留槽5を2槽に分けてあるが、貯留槽5は1槽であっても3槽以上であってもよい。また、フロート7の設置(自動運転含む)や、貯留槽5の支持方式(支持脚5b又はキャスターJ)の選択に関しても、
図9、
図10の場合と同様である。なお、加温手段8は必要に応じて設けることができ、
図9、
図10の実施形態における貯留槽5に設けることもできる。
【0094】
攪拌処理装置2、処理剤容器3、貯留槽5、気体供給機71及びこれらに付属する資材は、それらのすべてを或いはそれらの一部をケース(図示しない)に収容して1つの排液処理装置1とすることもできる。
【0095】
[実施形態12]
本願発明の第12の実施形態について、
図12を参照して説明する。
図12に示す排液処理装置1は、処理剤装置9と貯留槽10と攪拌装置11と排出手段(排出口12を含む)を備えている。排出元(ここでは流し台R)から排出される排液Bは、流し台Rの排水管Tに接続された排出管Wを通じて貯留槽10内に流入する。この際、必要に応じて排出管WにポンプPを配置し、そのポンプPで貯留槽10の上部に設けられた開口部まで排液Bをポンプアップすることもできる。
【0096】
(貯留槽)
図12では貯留槽10が内部の隔壁10cによって第1貯留槽10aと第2貯留槽10bの2槽に区画され、第1貯留槽10aからオーバーフローした排液Bが第2貯留槽10b内に貯留されるようにしてある。第2貯留槽10bに貯留された排液Bには気体供給機71から気体を供給して、排液Bをエアレーションする。第2貯留槽10bには処理剤装置9から処理剤が供給され、さらに排液Bと処理剤とが第2貯留槽10b内の攪拌装置11によって混合攪拌されて鹸化処理される。鹸化処理された排液Bは第2貯留槽10bの排出口12から排出される。気体供給は第1貯留槽10aに行うこともできる。処理剤は第1貯留槽10a内の排液Bのみに供給することも、第1貯留槽10a及び第2貯留槽10bの両方に供給することもできる。
【0097】
前記貯留槽10において、排液Bの水分と油脂分のうち、比重差から油脂分の方が液面に浮かび上がることから、第1貯留槽10aから第2貯留槽10bにオーバーフローするのは主に排液B中の油脂分であるため、排液Bに含まれる油脂分の多くは第2貯留槽10b内に貯留される。このため、第2貯留槽10b内の排液Bを鹸化処理すると効率的である。従って、第2貯留槽10b内の排液Bに処理剤を供給し、第2貯留槽10b内の排液Bと処理剤を混合攪拌すれば効率の良い石鹸化処理ができる。もちろん、貯留槽10内を仕切ることなく1槽として貯留槽10内の排液B全てを攪拌処理することも可能であり、また3槽以上に分けて最下流(オーバーフローする最後方)にあたる貯留槽の排液Bを中心に攪拌処理する構造とすることもできる。
【0098】
図12では第2貯留槽10bに気体供給機71から気体を供給して、第2貯留槽10b内の排液Bをエアレーションできるようにしてある。気体を供給は他の箇所からであってもよい。
【0099】
(処理剤装置)
処理剤装置9は、処理剤を収容可能な処理剤容器9aと、処理剤を貯留槽10内に供給する処理剤供給手段(排出管9bを含む)を備えたものであり、この処理剤供給手段は、処理剤容器9aと貯留槽10とを連絡する排出管9bと、処理剤容器9aから排出管9bへ処理剤を送り込む圧送手段からなる。この処理剤として採用される代表的なものは鹸化剤であり、この鹸化剤は、排液Bのうち特に油脂分を石鹸液状にする(石鹸化液にする)ものである。
【0100】
処理剤容器9aには処理剤を投入可能な投入口(図示しない)が設けられており、この投入口から投入された処理剤が処理剤容器9aに収容されている。処理剤容器9a内の処理剤は、処理剤供給手段によって貯留槽10内に供給される。この処理剤供給手段のうち圧送手段としては、従来から用いられている種々の技術を採用することができる。例えば、
図12に示すモータMを駆動源として処理剤容器9a内の処理剤を圧送する圧送手段とすることもできるし、排出管9bにポンプを設置して処理剤を吸引する圧送手段とすることもできる。また、処理剤容器9aを貯留槽10よりも高い位置に設置するとともに排出管9bに開閉弁を設け、この開閉弁の操作によって処理剤を貯留槽10に落下させる構造とすることにより、圧送手段を省略することもできる。
【0101】
(攪拌処理装置の攪拌装置)
鹸化剤などの処理剤が添加された排液Bは石鹸液化されるが、さらに攪拌することで排液Bの石鹸液化は著しく促進される。そこで、本実施形態の排液処理装置1の貯留槽10には、処理剤が供給された排液Bを攪拌する攪拌装置11が設けられている。この攪拌装置11は、処理剤と排液Bを効果的に攪拌することができればスクリュー方式やベーン方式など任意の構造とすることができ、水中ポンプであってもよい。攪拌装置11の一例として
図12に示すものは、回転軸と羽根を備えたスクリュー方式の攪拌装置である。この回転軸を回転させることによって羽根が処理剤と排液Bを攪拌し、排液Bの石鹸液化は促進される。回転軸はモータMを駆動源として回転するものであり、その回転速度や回転時間(すなわち攪拌時間)は排液Bの汚染程度により任意に設計することができる。前記モータMは、処理剤装置9の処理剤容器9a内にある処理剤を圧送する際に利用するモータMと兼用とすることもできる。
図12に示すように貯留槽10を2槽とした場合、オーバーフローした排液Bを受ける第2貯留槽10b内に攪拌装置11を設置して第2貯留槽10b内の排液Bのみを攪拌することができるし、あるいは、第1貯留槽10a及び第2貯留槽10bの両方に攪拌装置11を設置して全ての排液Bを攪拌することもできる。
【0102】
(攪拌処理装置の排出手段)
貯留槽10内で処理剤が供給されて攪拌された排液B(排液処理された排液B)は、排出手段によって貯留槽10の外へ排出される。この排出手段は、貯留槽10の底面部に設けられた排出口12と、排液Bを外部へ圧送する圧送手段からなる。この排出手段を構成する圧送手段としては、従来から利用される水中ポンプを採用することもできるが、貯留槽10内の排液Bを排出口12から自由落下させる構造としてこの圧送手段を省略することもできる。
【0103】
図12に示すように貯留槽10を2槽とした場合、オーバーフローした排液Bを受ける第2貯留槽10bの底面部に排出口12を設けて第2貯留槽10b内の排液Bのみを排出することができる。あるいは、第1貯留槽10a及び第2貯留槽10bの両方の底面部に排出口12を設けて全ての排液Bを排出することもできる。また排液Bは、排出口12に接続される外部排出管4を通してグリストラップAに排出することもできるし、あるいは下水管など外部に排出することもできる。前記実施形態と同様、排液処理装置1が、グリストラップと同等以上の性能、すなわちSHASE−Sのうち阻集器に関連した規格に適合した性能、あるいはこの規格と同等以上の性能を備えていれば、グリストラップAを設けることなく下水管など外部に排出することができる。
【0104】
(排液量計測手段)
排液Bに処理剤を供給して攪拌する排液処理は、任意のタイミングで開始することができるが、貯留槽10内にある程度排液Bが溜まった時点で実施する方が効率的である。例えば、人が貯留槽10内を監視して、排液Bが所定量に達したことを確認した時点で、排液処理を開始することができる。この場合、貯留槽10内に排液Bが貯留する量(貯留量)を目視によって確認することもできるが、水位計やフロートなどの排液量計測手段13を設置するとより的確に排液Bの貯留量を確認することができる。
【0105】
排液量計測手段13を設置する効果として、人の判断によって排液処理の操作を行う場合に限らず、自動的に排液処理の操作を実施することが可能となる。一例を挙げると、排液量計測手段13として水位センサを設置し、この水位センサで取得する水位データをパソコンに伝達させ、さらにパソコンであらかじめ定めた水位の閾値と比較して排液処理の操作を行うか否かの判断を行う。パソコンが、排液処理の操作を行うと判断すると、制御装置(図示しない)にその旨の信号を送り、この制御装置によって処理剤装置9と攪拌装置11を自動運転させる。その後、排液処理が所定時間経過すると、排液Bは排出口12から貯留槽10の外へ排出され、排液Bの水位も閾値を下回り、この水位データが水位センサからパソコンへ伝達され、パソコンが制御装置に指示して処理剤装置9と攪拌装置11の運転を停止させる。もちろん、排液処理が所定時間経過した時点で、自動的に処理剤装置9と攪拌装置11の運転を停止させることもできる。
【0106】
あるいは、水質測定器(図示しない)を備えて排液Bの水質を測定し、その水質が所定の基準値を満足すれば自動的に処理剤装置9と攪拌装置11の運転を停止させるようにすることもできる。この場合、水質測定や、その測定結果の表示手段、基準値を満足するか否かの判断等は、前記実施形態と同様とすることができる。
【0107】
排液量計測手段13として、接触式のセンサを使用することもできる。接触式センサの検知部分が所定の高さとなるように設置し、排液Bの液面が上昇して接触式センサの検知部分に接触するとその信号を制御装置に伝送して自動運転を開始(あるいは停止)させる。あるいは、排液量計測手段13としてフロートを設置することもできる。この場合、排液Bの液面の上下に伴うフロートの上下によって、機械的にスイッチのon/offを行うことで処理剤装置9と攪拌装置11の運転を制御することもできる。その他、排液量計測手段13として、従来から用いられている技術を利用することもできる。
【0108】
(加温手段)
排液Bに処理剤を供給して攪拌すると排液B中の油脂分が石鹸液状になること、及び油脂分を石鹸液状化させる作用は排液Bの温度に影響され、寒冷地など排液Bの温度が極端に低いと油脂分の石鹸液状化が困難なことは前述のとおりである。そこで、貯留槽10内に貯留された排液Bの温度を適温まで上昇させる加温手段8を設置すると、油脂分の石鹸液状化が促進されて好適である。
図12では、加温手段8として貯留槽10の側面にヒーターを設置しているが、その他、従来から用いられている加温技術を用いることもできるし、設置位置も適宜設計できる。また、温度センサを設置して、排液Bの温度が所定温度範囲外にあるときにだけ加温手段8を動作させることもできる。
【0109】
(キャスター)
攪拌処理装置2は固定式とすることもできるが、
図5に示すように、底部にキャスターJを設置した移動式とすることもできる。この場合、排液処理装置1の移動が容易となって好適である。もちろん、キャスターJを回転自在式とすることも、ストッパー付きとすることもできる。
【0110】
(排液処理装置の配置)
本実施形態の排液処理装置1は、任意の場所に配置することができるが、
図12に示すように、排液処理装置1をグリストラップAに隣接して配置すると、排出口12に繋がれた外部排出管4を短くすることができて好適である。あるいは、流し台Rの直下に排液処理装置1を配置すると、流し台Rの排水管Tに繋がれる排出管Wやこれに設置されるポンプPが不要となるほか、厨房等の作業場所が狭くならないので好適である。その他、排液処理装置1の配置は種々の選択が可能である。
【0111】
処理剤装置9、貯留槽10(攪拌装置11を含む)、気体供給機71及びこれらに付属する資材は、それらのすべてを或いはそれらの一部をケース(図示しない)に収容して1つの排液処理装置1とすることもできる。
【0112】
[実施形態13]
本願発明の第13の実施形態について、
図13を参照して説明する。
図13に示す排液処理装置は、貯留槽5内に2枚の隔壁53が設けられ、貯留槽の5の内部が第1貯留槽51、第2貯留槽52、第3貯留槽54に区画されている。隔壁53の底側と貯留槽5の底面には間隔が設けられ、排出元から第1貯留槽51に送り込まれた排液Bが第2貯留槽52を通って第3貯留槽54側に流れるようにしてある。このとき、排液B中の水分は隔壁53と貯留槽5の間の空間を流れて第3貯留槽54側に移動するが、水分よりも軽い排液B中の油脂分は、排液Bの上部に浮遊する。第3貯留槽54内には、気体供給機71に連結されたホース72の先端が差し込まれ、第3貯留槽54内の排液Bに気体を供給してエアレーションできるようにしてある。気体供給は他の箇所から行うことも、二以上の箇所から行うこともできる。貯留槽5は2槽に区画することも4槽以上に区画することもできる。
【0113】
貯留槽5内の排液Bには処理剤装置9から処理剤が供給されるようにしてある。処理剤が供給され、且つエアレーションされた排液Bは、貯留槽5の底側に設けられた排出口5cから排出されるようにしてある。排出口5側には流入パイプSが連結され、排出口5cから排出される排液Bを撹拌処理装置2に流入させられる(吸引できる)ようにしてある。吸引された排液Bと処理剤は撹拌処理装置2内で混合撹拌され、外部排出管4を通してグリストラップA内に又はその外部に排出できるようにしてある。
【0114】
撹拌処理装置2、貯留槽5、処理剤装置9、気体供給機71及びこれらに付属する資材は、それらのすべてを或いはそれらの一部をケース(図示しない)に収容して1つの排液処理装置1とすることもできる。
【0115】
[その他の実施形態]
本願発明の排液処理方法は、処理剤と攪拌処理装置で混合攪拌されて鹸化された処理排液を、攪拌処理装置2から前記貯留槽に戻し又は他の貯留槽に入れ、その処理排液に処理剤を入れての再度の混合攪拌、又は気体を供給しての再度のエアレーション、又は再度の混合攪拌及びエアレーションを一回以上繰返し行なうこともできる。
【0116】
[排液処理装置付き流し台の実施形態]
本願発明の排液処理装置付き流し台の実施形態の一例を
図14に基づいて説明する。
図14の排液処理装置付き流し台14は、流し台Rに本願発明の排液処理装置1を取り付けたものである。この流し台Rは、既存のものでも、新たに作成されるものでもよい。水槽15の底部には排水口16が設けられ、その排水口16に排水管17が連結されている。
図14では水槽15が2槽に分かれており、これに伴って排水口16と排水管17も2つずつ具備されている。水槽15は1槽とすることも3槽以上に分けることも可能で、これに応じて排水口16と排水管17も1又は3以上設けることもできる。
【0117】
排液処理装置付き流し台14に備えられる排液処理装置1は流し台の下に取付けられており、攪拌処理装置2(排出口2a含む)、処理剤容器3(容器本体3a、送入路3b)、貯留槽5(第1貯留槽51、第2貯留槽52、隔壁53)、フロート7を備えている。この他、
図12のような加温手段8を備えることもできるし、処理剤容器3に代えて
図12に示すような処理剤装置9を備えることもできる。
図14の貯留槽5は隔壁53によって第1貯留槽51と第2貯留槽52の2槽に分けてあるが、これに限らず1槽とすることも3槽以上とすることもできる。
【0118】
図14では気体供給機71を設けて、それから第2貯留槽52に気体を供給できるようにしてあり、その気体で第2貯留槽52内の排液Bをエアレーションすることができるようにしてある。気体供給機71からの気体供給は第1貯留槽51に行うことも、両貯留槽51、52に行うこともできる。
【0119】
第2貯留槽52内の排液Bは、流入パイプSを通して攪拌処理装置2によりその内部に吸引される。その吸引過程において、処理剤容器3内の処理剤も攪拌処理装置2によりその内部に吸引される。吸引された排液Bと処理剤は攪拌処理装置2内で混合攪拌されて鹸化処理される。鹸化処理された排液Bは、攪拌処理装置2の排出口2bに接続される外部排出管4を通してグリストラップAに排出することもできるし、あるいは外部に排出することもできる。
【0120】
[排液処理装置付き流し台の使用例]
図14に基づいて、排液処理装置付き流し台14の使用例を説明する。水槽15内には、食器などを洗った水や塵芥、油脂分などが混合された排液Bが溜まり、排水口16を通じて排水管17から排出される。
図14に示す2つの排水口16は、貯留槽5のうち第1貯留槽51(図では左側)の上方に向けられており、水槽15からの排液Bは全て第1貯留槽51に流下して貯留される。第1貯留槽51の貯留容量を超えると、排液Bは隔壁53の上を溢れて(オーバーフローして)第2貯留槽52に流れ込み、次第に第2貯留槽52に貯留される。第2貯留槽52内に設置された排液量計測手段(フロート)13が、あらかじめ定められた閾値水位を超えたことを検知すると、この検知信号が制御手段(図示しない)に伝送されて、攪拌処理装置2の吸入手段による吸入操作が開始され、第2貯留槽52内の排液Bが徐々に攪拌処理装置2内に吸入される。同時に、処理剤容器3の容器本体3a内の処理剤が送入路3bを通じて攪拌処理装置2内に吸入される。吸入された排液Bは攪拌処理装置2内で処理剤と混合攪拌される。
【0121】
温度センサで計測した排液Bの温度に基づいて、加温手段(
図14では図示しない)によりあらかじめ排液Bを適温まで加温しておくこともできる。排液処理を開始して所定時間が経過すると、攪拌処理装置2の吸入手段による吸入操作を停止し、さらに所定時間経過すると、排出手段の排出口2bに接続される外部排出管4を通して排液BがグリストラップA内に、或いは、グリストラップAを通さず外部に排出することができる。
【0122】
[グリストラップ排液処理装置との併用]
本願発明の排液処理装置付き流し台で処理された排液Bは、グリストラップに投入せずに外部に排出することができるが、一旦、グリストラップに投入し、それを汲みあげて再度鹸化処理してから外部に排出することもできる。
【0123】
[本願発明のその他の実施形態]
排液B中には調理時に使用した食材や材料などの異物が混入していることがあり、これらは貯留槽5の底に沈殿することがある。このため、本願発明の排液処理装置及び排液処理装置付き流し台の貯留槽5には、これらの異物を排出するためのドレイン(図示しない)を設けておくこともできる。ドレインは既存のものを用いることができる。