(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明するが、本発明は本実施形態に限定されるものではない。なお、以下で説明する図面で、同機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略することもある。
【0014】
(実施形態)
フェムト秒レーザをあるエネルギー以上で材料の表面に照射すると、材料の表面の加熱を抑えて蒸発(アブレーションという)できることが知られている。該エネルギーの値を加工しきい値という。さらに、金属や半導体などの基板の表面に、該基板の加工しきい値近傍のエネルギーを有するフェムト秒レーザを照射すると、該フェムト秒レーザの波長に近い周期の縞状にアブレーションが発生する現象が知られている。
本発明者は、この現象を利用し、フェムト秒レーザを加工しきい値近傍のエネルギーで基板に照射し、基板上にナノレベルの周期的な凹凸(ナノ周期構造という)を形成し、その上に金属膜を成膜することによって、ショットキー抵抗を低減できることを見出した。
【0015】
図6は、基板上に形成されたナノ周期構造の表面をSEMで撮影した例示的な像である。B方向に沿ってフェムト秒レーザが走査されており、C方向に延在する凹凸が周期的に形成されていることがわかる。なお、周期的な凹凸の向きであるC方向はフェムト秒レーザの偏光方向に依存しているため、該偏光方向を変更することでC方向を任意に変化させることができる。ここでは波長1.05μmのフェムト秒レーザを用いており、凹凸に含まれる溝はそれぞれ幅700nm、深さ200nm程度である。
【0016】
図1(a)〜(c)は、本実施形態に係る半導体装置を製造する際に用いる、半導体性基板への金属膜成膜方法を示す図である。
図1(a)に示す第1の工程では、成膜する対象となる半導体性の基板1を用意する。基板1としては、SiC基板を用いる。SiC基板では、一面はC原子が表面に配列されているC面となり、該一面と対向する他面はSi原子が表面に配列されているSi面となることが知られているが、本実施形態ではC面に対して金属膜を形成するものとする。
従来、SiC基板の特にC面に対しては金属膜成膜時にショットキー抵抗を低減することが難しいとされていた。これは、従来のような金属膜成膜後に高温でアニールしてショットキー抵抗を低減する手法では、高温に加熱されることによりC面でC原子が析出し、金属膜の密着性が低下してしまうためである。それに対して、本発明に係る金属膜成膜方法は、金属膜成膜後に従来のような高温でアニールしなくともオーミック接触が得られるため、SiC基板のC面上にも好適に適用できる。
本実施形態に係る金属膜成膜方法は、SiC基板のC面に限定されず、SiC基板のSi面にも適用できる。また、高融点、高硬度であるGaN基板やダイヤモンド半導体基板にも適用できる。
【0017】
図1(b)に示す第2の工程では、基板1の一面(SiC基板のC面)に対して基板1の加工しきい値の近傍のエネルギーを有するフェムト秒レーザを照射することによって、微細な凹凸であるナノ周期構造2を形成する。ナノ周期構造2は、少なくとも金属膜を形成する予定の範囲を含む領域に対して、フェムト秒レーザを走査することによって形成することができる。
【0018】
図1(c)に示す第3の工程では、基板1のナノ周期構造2の上に金属膜3を形成する。本実施形態では、Crを蒸着することによって金属膜を成膜している。この方法以外にも、CVD法、スパッタ法、電気めっき法等、ナノ周期構造2上に金属膜3を成膜できればいずれの方法を用いてもよい。また、金属膜3には基板1に接することでショットキー抵抗を示す任意の金属を用いることができる。
図1(a)〜(c)に示す金属膜成膜方法を用いて基板1上に金属膜3が成膜されている半導体装置を製造することによって、基板の加熱および不純物の混入を抑制し、かつ高温アニールを行わなくとも、基板1と金属膜3との界面のショットキー抵抗を低減させてオーミック接触させることができる。特にSiC基板のC面に対して金属膜3を形成する際には、高温アニールにより半導体/金属界面にC原子が析出して金属膜3の剥離が発生することを抑制することができる。
【0019】
図1(c)に示す金属膜3の形成工程の後に、加熱炉またはレーザを使用して、基板1と金属膜3との界面にC原子が析出しない程度の低温でアニーリングを行ってもよい。それにより、さらにショットキー抵抗を低減する効果が得られる。
【0020】
図2は、基板上にナノ周期構造を形成するためのナノ周期構造形成装置100の概略図である。
図2においては、装置間の接続は実線で示され、レーザ光の光路は破線で示されている。ナノ周期構造形成装置100は、フェムト秒レーザであるレーザ光Aを出射するレーザ光源101と、レーザ光Aの偏光方向を制御する1/2波長板と、レーザ光Aの出力を調整する出力減衰器と、レーザ光Aの光路を変えるミラー104と、レーザ光Aを集光させる集光レンズ105と、基板1を載置するステージ106と、ステージ106の位置を移動させるステージ駆動部107と、を備える。さらに、レーザ光源101とステージ駆動部107とを制御する制御部108が設けられる。
【0021】
レーザ光源101は、フェムト秒レーザであるレーザ光Aを出射する。本実施形態では、レーザ光源101として、周波数100kHz、中心波長1.05μm、出力1W、パルス幅500fsのレーザ発振器を用いている。レーザ光源101のレーザ出射条件は任意に調整してよい。本実施形態においては、ナノ周期構造が形成できれば、レーザ光Aはフェムト秒レーザでなく、ピコ秒レーザでもよい。
【0022】
レーザ光源101からレーザ光Aが出射される方向に、直線偏光であるレーザ光Aの偏光方向を調整する1/2波長板102が設けられる。1/2波長板102は回転可能に構成され、1/2波長板102を回転することによってレーザ光Aの偏光方向を任意に変更することができる。さらに、1/2波長板102からレーザ光Aが出射される方向に、レーザ光Aの出力を調整する出力減衰器103が設けられる。
出力減衰器103としては、例えば偏光ビームスプリッタが使用できる。偏光ビームスプリッタは入射した光を偏光方向にしたがって2方向に分岐させる機能を有するが、1/2波長板102を回転することによってレーザ光Aの偏光方向を変更すると、偏光ビームスプリッタにおいてレーザ光Aが分岐される割合が変わる。そのため、1/2波長板102と偏光ビームスプリッタである出力減衰器103とを調整することで、基板に照射されるレーザ光Aの出力を減衰することができる。なお、レーザ光Aの出力が減衰できれば、1/2波長板と偏光ビームスプリッタとの組み合わせに限らず、任意の手段が適用できる。
本実施形態では、出力減衰器103によりレーザ光Aの出力を0.1Wに減衰させているが、適宜調整してよい。
【0023】
さらに、出力減衰器103からレーザ光Aが出射される方向の一つには、レーザ光Aの方向を基板の方へ変更するためのミラー104、およびスポットを絞るための集光レンズ105が設けられる。ミラー104は省略されてもよく、また光路上に複数設けられてもよい。集光レンズ105は任意のレンズでよいが、本実施形態ではNAが0.2のレンズを用いている。集光レンズ105により集光されたレーザ光Aは、基板1に向けて照射される。
なお、本実施形態では、ミラーと集光レンズを用いてレーザ光を基板に照射したが、ガルバノスキャナを用いてレーザ光を基板表面全域に走査してもよい。
また、シリンドリカルレンズを用いてレーザ光を線状に形成して基板表面の大面積にレーザ光を照射してもよい。
また、DOE(diffractive optical element)を用いてレーザ光を複数本に分岐して複数のレーザ光を基板表面に同時に照射してもよい。
【0024】
基板1は、ステージ駆動部107により任意の方向に移動可能なステージ106の上に載置される。ステージ駆動部107がステージ106を基板1の表面と平行に移動させることによって、レーザ光Aに基板1の表面上を走査させることができる。本実施形態では、走査速度を100mm/sとしているが、適宜調整してよい。また、ステージ駆動部107がステージ106を基板1の表面の法線方向に移動させることによって、基板1の表面におけるレーザ光Aのスポット径を変化させることができる。
【0025】
さらに、レーザ光源101およびステージ駆動部107を制御するための制御部108が設けられる。制御部108は、レーザ光A照射の開始および終了、ならびにステージ駆動部107によるステージ106の移動を協調的に制御することができる。制御部108は、情報を表示するための表示部や、ユーザからの開始指示や終了指示などの入力を受け付けるための入力部を備えていると望ましい。さらに、レーザ出射条件やレーザ照射範囲を記憶するための記憶部を制御部108に設けてもよい。
なお、制御部108を設けずに、ユーザがレーザ光源101およびステージ駆動部107を操作してもよい。
【0026】
ナノ周期構造形成装置100を使用する際には、レーザ光源101のレーザ出射条件、1/2波長板102および出力減衰器103によるレーザ光Aの減衰割合、ならびにレーザ光Aのスポット径を変更することによって、レーザ光Aのエネルギーを基板1の加工しきい値の近傍に調整する。それによって、基板1の表面においてレーザ光Aが照射される範囲にナノ周期構造が形成される。
なお、本実施形態では、ガウシアンビームを照射しているが、DOEなどを用いてビームスポット全域で光強度が均一のビームを形成して照射しても良い。
【0027】
以下に本実施形態に係るナノ周期構造形成動作の一例を説明する。
まず、ユーザは、レーザ光源101のレーザ出射条件、1/2波長板102および出力減衰器103によるレーザ光Aの減衰割合、ならびにレーザ光Aのスポット径を調整することによって、レーザ光Aが基板1に照射される際のエネルギーを基板1の加工しきい値近傍に調整する。
【0028】
ユーザは、基板1をステージ106上に配置した後、制御部108に対して開始指示を入力部から行う。開始指示を受けると、制御部108は、レーザ光源101からのレーザ照射を開始すると同時に、ステージ駆動部107を制御してステージ106の移動を開始する。ステージ106の移動に伴って、基板1表面におけるレーザ光Aのスポット内にナノ周期構造が連続的に形成されていく。
【0029】
ステージ106を直線状に移動させ、それを平行に複数回行うことによって、レーザ照射予定範囲全域にレーザ光Aを走査させてもよい。または、ステージ106を円状に移動させてもよい。レーザ光Aが照射されたスポットの軌跡が重複しないように、レーザ光Aを走査させることが望ましい。
レーザ照射予定範囲は、予め制御部108にプログラムされていてもよく、または処理開始時にユーザにより制御部108に設定されてもよい。
【0030】
レーザ照射予定範囲の全域にナノ周期構造を形成し終えると、制御部108は自動的にレーザ光源101からのレーザ照射およびステージ駆動部107によるステージ106の移動を終了させる。または、ユーザが制御部108に対して入力部から終了指示を行うことによって処理を終了させてもよい。
【0031】
以上のナノ周期構造形成動作では制御部108がステージ106の移動を制御する例を示しているが、ユーザがレーザ照射の開始および終了、ならびにステージ106の移動を行ってもよい。
【0032】
(実施例1)
図1に示す金属膜成膜方法を用いて形成した金属電極に対して、抵抗を測定する実験を行った。
図3(a)に、本実施例の構成を示す。本実施例では、基板1上の離れた位置に2箇所のナノ周期構造2が形成され、それぞれのナノ周期構造2上に金属膜3が形成されている。2つの金属膜3に抵抗測定器109が導線を介して接続されている。基板1はSiC基板であり、金属膜3はCrである。ナノ周期構造2は、
図2に示すナノ周期構造形成装置100を用いてSiC基板のC面上に形成されている。また、
図3(b)に、比較例の構成を示す。比較例は、ナノ周期構造2が形成されておらず、基板1上の離れた位置に2つの金属膜3が直接形成されている点を除けば、本実施例の構成と同様である。
【0033】
本実施例について、抵抗測定器109の接続地点を変えて4回抵抗値を測定したところ、0.15MkΩ、0.25MΩ、0.30MΩ、0.35MΩとなった。また、比較例について、抵抗測定器109の接続地点を変えて4回抵抗値を測定したところ、0.85MΩ、0.85MΩ、0.86MΩ、0.86MΩとなった。
これにより、半導体/金属界面にナノ周期構造が形成されている構成を有する本実施例では、そうでない比較例と比較して、抵抗値が最大で1/5程度に低減されることがわかった。測定された抵抗値は、接触抵抗(基板1と金属膜3との間の抵抗)とシート抵抗(基板1上の2つの金属膜3間の抵抗)との和になっているため、接触抵抗、つまり半導体/金属界面のショットキー抵抗を単独で見るとさらに大きく低減されていると考えられる。
【0034】
今回の実施例において、ナノ周期構造2のアスペクト比は3:1(幅700nm、深さ200nm)程度であるため、半導体/金属界面の接触面積の増加率は高々20〜30%である。したがって、接触抵抗が1/5より小さく低減されていることを鑑みると、接触面積の増加以外の要因も複合的に関わっているものと考えられる。例えば、フェムト秒レーザ照射によりナノ周期構造が形成された際に、SiC基板のC面のC原子が除去されることにより、Si原子が露出され、ダングリングボンドが増大したことが考えられる。また、フェムト秒レーザ照射により基板表面の結晶構造が変化したことが考えられる。
【0035】
(実施例2)
ナノ周期構造が形成された基板の表面の性質が変わっていることを検証するために、半導体/金属界面ではなく電極間にナノ周期構造を形成し、抵抗を測定する実験を行った。
図4(a)に、本実施例の構成を示す。本実施例では、基板1上にナノ周期構造2が形成され、ナノ周期構造2を基板1表面に平行な2方向から挟むように基板1上に2つの金属膜3が形成されている。2つの金属膜3に抵抗測定器109が導線を介して接続されている。基板1はSiC基板であり、金属膜3はCrである。ナノ周期構造2は、
図2に示すナノ周期構造形成装置100を用いてSiC基板のC面上に形成されている。また、
図4(b)に、比較例の構成を示す。比較例は、2つの金属膜3の間にナノ周期構造2が形成されていない点を除けば、本実施例の構成と同様である。
【0036】
本実施例について抵抗値を測定したところ、0.08MΩとなった。また、比較例について抵抗値を測定したところ、1.9MΩとなった。
これにより、2つの金属膜3の間の基板表面にナノ周期構造が形成されている構成を有する本実施例では、そうでない比較例と比較して、抵抗値が大きく低減されることがわかった。
【0037】
本実施例によって、基板表面においてナノ周期構造が形成されている領域では、単に表面積が増大しているだけではなく、基板表面の結晶構造が変化し、低抵抗な半金属状態の性質を示していることが確認された。
【0038】
各実施例の結果を鑑みると、基板の表面にフェムト秒レーザが照射されると、ナノ周期の凹凸構造と、抵抗が低減された領域とからなる表面改質領域が該基板の表面に形成されると推測できる。その結果、該表面改質領域の上に金属膜を成膜する際に、より顕著なショットキー抵抗低減効果を実現できるものと考えられる。
【0039】
(応用例)
図5(a)〜(c)に、本発明を適用して構成されるデバイスの例を示す。
図5(a)は、例示的な縦型ショットキーバリアダイオード(SBD)200aの模式断面図である。縦型SBD200aでは、n
+型SiC層203の一面(Si面)上にn
−型SiC層204が積層されている。n
−型SiC層204の表面(Si面)にはショットキー電極206が形成され、ショットキー電極206上に配線電極207が形成されている。さらに、n
−型SiC層204、ショットキー電極206、および配線電極207を覆うように絶縁膜208で被覆されている。絶縁膜208が有する開口部を介して配線電極207の一部が露出されている。n
−型SiC層204内でショットキー電極206の両端に接する部分には、p型SiC層205が形成されている。
n
+型SiC層203のn
−型SiC層204から反対側の面(C面)には、ナノ周期構造202が形成されている。ナノ周期構造202は、
図2に示すナノ周期構造形成装置100を用いて形成することができる。さらに、ナノ周期構造202上にオーミック電極201が形成される。
【0040】
ナノ周期構造202の形成には発熱の少ないフェムト秒レーザを用いているため、形成済の構造に高温による影響が出ることを抑制することができる。また、C面上のオーミック電極201成膜後に、従来のような高温でなく、低温でアニールするだけでも良好なオーミック接触が得られる。その結果、高温によりC面上にC原子が析出すること、また形成済の構造に高温による影響が出ることをさらに抑制することができる。
【0041】
図5(b)は、例示的な横型SBD200bの模式断面図である。横型SBD200bでは、p型SiC層210上にp
−型SiC層211が積層されている。p
−型SiC層211の上には、第1のp型SiCバリア層212、n型SiCチャネル層213、第2のp型SiCバリア層214がこの順に積層されている。なお、この構成とは逆に、チャネル層をp型、2つのバリア層をn型で構成してもよい。
n型SiCチャネル層213および第2のp型SiCバリア層214には2つのリセス218a、218bが形成されている。リセス218aにおいて、n型SiCチャネル層213の露出面にはナノ周期構造216が形成されており、ナノ周期構造216と、第1のp型SiCバリア層212と、第2のp型SiCバリア層214とに接するオーミック電極215が形成されている。リセス218b上には第1のp型SiCバリア層212と、n型SiCチャネル層213と、第2のp型SiCバリア層214とに接するショットキー電極217が形成されている。
【0042】
エッチングによりn型SiCチャネル層213および第2のp型SiCバリア層214を除去してリセス218aを形成し、その後リセス218aの側壁(つまり、n型SiCチャネル層213の露出面)に対して
図2に示すナノ周期構造形成装置100を用いてフェムト秒レーザを照射することによって、ナノ周期構造216を形成することができる。別の方法としては、フェムト秒レーザをn型SiCチャネル層213および第2のp型SiCバリア層214に対して垂直に照射することでアブレーションを行うことによってリセス218aを形成し、その結果リセス218aの側壁にナノ周期構造216を形成することもできる。
【0043】
ナノ周期構造216の形成には発熱の少ないフェムト秒レーザを用いているため、形成済の構造に高温による影響が出ることを抑制することができる。また、オーミック電極215成膜後に、従来のような高温でなく、低温でアニールすれば良好なオーミック接触が得られる。その結果、形成済の構造に高温による影響が出ることをさらに抑制することができる。
【0044】
図5(c)は、例示的な横型電界効果トランジスタ(FET)200cの模式断面図である。横型FET200cでは、p型SiC層220上にp
−型SiC層221が積層されている。p
−型SiC層221の上には、第1のp型SiCバリア層222、n型SiCチャネル層223、第2のp型SiCバリア層224がこの順に積層されている。なお、この構成とは逆に、チャネル層をp型、2つのバリア層をn型で構成してもよい。
n型SiCチャネル層223および第2のp型SiCバリア層224には2つのリセス228a、228bが形成されている。リセス228aにおいて、n型SiCチャネル層223の露出面にはナノ周期構造226aが形成されており、ナノ周期構造226aと、第1のp型SiCバリア層222と、第2のp型SiCバリア層224とに接するドレイン電極225が形成されている。リセス228bにおいて、n型SiCチャネル層223の露出面にはナノ周期構造226bが形成されており、ナノ周期構造226bと、第1のp型SiCバリア層222と、第2のp型SiCバリア層224とに接するソース電極227が形成されている。
また、ドレイン電極225とソース電極227との間において、第2のp型SiCバリア層224を貫通してn型SiCチャネル層223に接するショットキーゲート電極229が形成されている。
【0045】
エッチングによりn型SiCチャネル層223および第2のp型SiCバリア層224を除去してリセス228a、228bを形成し、その後リセス228a、228bの側壁(つまり、n型SiCチャネル層223の露出面)に対して
図2に示すナノ周期構造形成装置100を用いてフェムト秒レーザを照射することによって、ナノ周期構造226a、226bを形成することができる。別の方法としては、n型SiCチャネル層223および第2のp型SiCバリア層224に対して垂直にフェムト秒レーザを照射することでアブレーションすることによってリセス228a、228bを形成し、その結果リセス228a、228bの側壁にナノ周期構造226a、226bを形成することもできる。
【0046】
ナノ周期構造226a、226bの形成には発熱の少ないフェムト秒レーザを用いているため、形成済の構造に高温による影響が出ることを抑制することができる。また、ドレイン電極225およびソース電極227の成膜後に、従来のような高温でなく、低温でアニールすれば良好なオーミック接触が得られる。その結果、形成済の構造に高温による影響が出ることをさらに抑制することができる。
【0047】
図5(a)〜(c)に記載のデバイス例の構成は、適宜変更することができる。これらのデバイス例ではSiCを使用しているが、GaNやダイヤモンド半導体を用いてもよい。本発明は、本明細書に記載の構成への適用に限定されず、半導体上に金属膜を成膜してオーミック接触を形成することが必要な任意の構成に適用することができる。