(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、車両の高性能化に伴って電装品の個数が増大し、電装品の通電又は断電を実行するスイッチング素子の個数も増大する傾向がある。この場合、電装品に接続されるワイヤーハーネスも大型化するため、スイッチング素子やワイヤーハーネスを収容するための広い空間を車両内に確保する必要がある。
【0005】
しかし、居住空間の大型化の要請に伴い、車両内においてスイッチング素子やワイヤーハーネスを搭載するためのスペースを確保することは困難になっており、スイッチング素子及びワイヤーハーネスを含むワイヤーハーネスシステムの小型化が求められていた。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、ワイヤーハーネスシステムを小型化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、複数の電線に結束部材を巻き付けて仮巻き状態の電線束を構成するとともに、前記仮巻き状態の電線束に結束部材を巻き付けて構成されるワイヤーハーネスと、
前記ワイヤーハーネスが分岐し、この分岐したワイヤーハーネスの電線に電気的に接続された第1電装品と、前記電線に電気的に接続されて、前記第1電装品に対して通電又は断電を実行するスイッチング素子を備えると共に前記ワイヤーハーネスに取り付けられるスイッチングユニットと、を備え、前記スイッチングユニットは、
前記第1電装品に電気的に接続された前記電線が前記ワイヤーハーネスから分岐する分岐部の近傍に取り付けられるとともに、前記仮巻
き状態の電線束における1又は複数の前記電線に係止する係止部を備えて
おり、前記ワイヤーハーネスには、前記第1電装品と異なる第2電装品の通電又は断電を実行するスイッチング素子を備えた電気接続箱が接続されており、前記第1電装品は同一車種においてのみ使用される個別電装品であり、前記第2電装品は他車種においても使用される共通電装品であるワイヤーハーネスシステム。
【0008】
本発明によれば、第1電装品の通電又は断電を実行するスイッチング素子を備えたスイッチングユニットがワイヤーハーネスに取り付けられているため、ワイヤーハーネスシステムを小型化できる。
【0009】
また、スイッチングユニットの係止部を仮巻状態の電線束における1又は複数の電線に係止させることで、この仮巻状態から結束部材を巻き付けてワイヤーハーネスを構成する際の作業性を向上させることが可能になる。
また、電気接続箱に備えられたスイッチング素子によって第2電装品の通電又は断電を実行することができるので、ワイヤーハーネスシステムを多機能化できる。
【0010】
本発明の実施態様としては以下の態様が好ましい。
・前記係止部は、前記1又は複数の電線を間に配して係止する一対の係止片からなる。
このようにすれば、簡素な構成でスイッチングユニットの係止部を構成することが可能になる。
【0011】
・前記一対の係止片は、先端部における一対の係止片間の間隔が狭くなるように形成されている。
このようにすれば、一対の係止片の内側に1又は複数の電線を保持することが容易になる。
【0012】
・前記スイッチング素子は、半導体スイッチング素子である。
このようにすれば、スイッチング素子は、通電又は断電を実行する際に雑音が発生しないので、搭乗者が搭乗する車室内等にスイッチング素子を配設することができる。これにより、車両内の収容スペースを有効に利用できるので、ワイヤーハーネスシステムを全体として小型化できる。
【0013】
・前記スイッチング素子は、メカニカルリレーである。
このようにすれば、ワイヤーハーネスの製造コストを低減させることが可能になる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ワイヤーハーネスシステムを小型化することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施形態1>
実施形態1について、
図1ないし
図13を参照しつつ説明する。
本実施形態のワイヤーハーネスシステム10は、
図1に示すように、自動車等の車両12に搭載されるものであり、電源17、電気接続箱18、第1電装品20及び第2電装品23の間をワイヤーハーネス11で接続して構成されている。
【0018】
(ワイヤーハーネスシステム10)
車両12には、搭乗者が搭乗する車室13が仕切られていおり、車室13の前方(車室外のエンジンルーム内)には、バッテリやオルタネータ等からなる電源17と、電源17に電線11Bを介して接続された電気接続箱18とが搭載されている。
車室13は床下を含んで構成されており、この床下にワイヤーハーネス11が配策されている。
【0019】
車室13の前部には、インスツルメントパネル14が配されている。このインスツルメントパネル14には、第1電装品20及び第2電装品23の少なくとも一つに対して通電又は断電を指示する手動スイッチ15が配設されている。例えば、手動スイッチ15は、第1電装品20であるシートヒータ21の通電又は断電を操作可能となっており、手動スイッチ15の操作に応じた信号がこの手動スイッチ15と電線11A(信号線)を介して接続された後述するスイッチングユニット27に与えられる。
【0020】
手動スイッチ15に接続された電線11Aはインスツルメントパネル14から床下へと配索されて、複数の電線11Aを束ねて構成された電線束と共に束ねられている。なお、手動スイッチ15に接続された電線11Aが前記電線束とは異なる経路で車両12に配索される構成としてもよい。
【0021】
電気接続箱18には、第2電装品23に対して通電又は断電を実行し、第1電装品20に対しては通電又は断電を実行しない複数のスイッチング素子19が図示しない回路基板に実装されている(
図13参照)。このスイッチング素子19は、半導体リレー及び機械式リレーの双方又は一方でもよい。
【0022】
第1電装品20は、同一車種においてのみ使用される個別電装品とされる。個別電装品には、車名が異なる車種にのみ使用される電装品、排気量が異なる車種にのみ使用される電装品、仕様が異なる車種にのみ使用される電装品、及び仕向け地が異なる車種にのみ使用される電装品等を含む。
【0023】
本実施形態では、第1電装品20は、シートヒータ21及び後部座席用ルームライト22とされているが、これに限らず、例えば、ディアイサ、DRLシステム、フォグランプ、ホーン、PTCヒータ等とすることも可能である。
【0024】
シートヒータ21は、搭乗者が搭乗する車室13に取り付けられたシート16に埋め込まれている。また、後部座席用ルームライト22は、車室13内の後部座席の天井部寄りの位置に配設されている。
【0025】
第2電装品23は、他車種においても使用される共通電装品とされ、本実施形態ではテールライト24とされているが、これに限らず、例えば、ワイパモータ、ヘッドライト、ルームライト、セルモータ、ウォッシャポンプ、リアウィンドウ用デフロスタ等とすることも可能である。第2電装品23は、電気接続箱18のスイッチング素子19により通電又は断電が実行される。
【0026】
「車種」とは、車名の差異、排気量の差異、仕様の差異、及び仕向け地の差異を含む。詳細に説明すると、他車種とは、例えば、車名が異なる場合、車名は同じであるが排気量が異なる場合、車名も排気量も同じであるが仕様が異なる場合、車名も排気量も仕様も同じであるが、仕向け地が異なる場合等を含む。すなわち、「他車種」とは、車名、排気量、仕様、及び仕向け地の少なくとも一つが異なる車両をいう。
【0027】
(ワイヤーハーネス11)
ワイヤーハーネス11は、
図2,
図12に模式的に示すように、複数の電線11Aが束ねられた電線束に対して一方の面に粘着剤が塗布されたテープ25(「結束部材」の一例)を捲回させる(巻き付ける)ことによって形成される。このワイヤーハーネス11は、複数の電線11Aが露出する程度にテープ25Aを巻き付けて仮巻き状態の電線束(
図12)を構成するとともに、仮巻き状態の電線束に更にテープ25Bを電線11Aが露出しないように本巻きした構成となっている(
図2)。なお、仮巻きする際のテープ25Aと本巻きする際のテープ25Bは、同一のテープ25が用いられているが、異なるテープを用いることも可能である。
【0028】
電線11Aは、芯線(図示せず)の外周を、合成樹脂製の絶縁層で被覆してなる。芯線は、金属、カーボンナノチューブ等の導電性の材料からなる。本実施形態においては、金属細線を撚り合わせてなる撚り線が用いられている。撚り線に用いられる金属としては、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、鉄合金等、必要に応じて任意の金属を適宜に選択できる。本実施形態では芯線は、銅又は銅合金が用いられる。
【0029】
ワイヤーハーネス11は、車両12の床下、ピラー内等、必要に応じて任意の位置に配索されるものである。本実施形態においては、ワイヤーハーネス11は、車両12の床下(車室内におけるシートよりも下側の図示しない樹脂ケースの内側)を通るように配索されている。
【0030】
このワイヤーハーネス11は複数箇所で分岐されており、この分岐された電線11A(ワイヤーハーネス)の端末には、第1電装品20及び第2電装品23がそれぞれ接続されている。
【0031】
電源17とスイッチング素子19,28とは、
図13に示すように、ヒューズ26を介して電気的に接続されている。このヒューズ26は、金属導体により形成されたヒューズでもよく、また、電気回路によって実現された過電流保護機能による過電流遮断装置であってもよく、また、スイッチング素子を制御するプログラムによって実現された過電流保護機能であってもよい。
【0032】
第1電装品20の通電又は断電を行うスイッチング素子28のオンオフの信号は、電気接続箱18を通らず、手動スイッチ15から直接行われる。
これにより、インスツルメントパネル14に配設された手動スイッチ15によって第1電装品20の通電又は断電が指示されると、手動スイッチ15からの信号は、(ワイヤーハーネス間の距離が長い)電気接続箱18を経由せずに(ワイヤーハーネス間の距離が短い)スイッチング素子28に直接的に与えられ、スイッチング素子28をオンオフする。
【0033】
(スイッチングユニット27)
ワイヤーハーネス11には、
図1,
図3に示すように、スイッチング素子28を備えるスイッチングユニット27が電線束を構成する電線11Aの端末部に接続されている。
スイッチングユニット27は、
図9に示すように、ユニット本体29と、ユニット本体29を収容するケース36とを備える。
【0034】
ユニット本体29は、スイッチング素子28が実装された回路基板30と、回路基板30に電気的に接続されたコネクタハウジング33とを備える。
回路基板30は、絶縁基板に、プリント配線技術により図示しない導電路が形成されてなる。回路基板30には、
図11に示すように、コネクタハウジング33が取り付けられた第1面31と、第1面31に対する裏面であってスイッチング素子28が実装された第2面32とを備える。
【0035】
回路基板30の第2面32には、スイッチング素子28が回路基板30に形成された導電路にはんだ付け等の公知の手法により電気的に接続されている。本実施形態においては、回路基板30の第2面32には、2つのスイッチング素子28が横並びに配設されている。なお、スイッチングユニット27に備えられるスイッチング素子28は、1つでもよく、また、3つ以上の複数であってもよい。
スイッチング素子28は、MOSFET等からなる半導体スイッチング素子であって、第1電装品20に対して通電又は断電を実行する。
【0036】
コネクタハウジング33は合成樹脂製であって、相手側の雄コネクタと嵌合する雌形の嵌合部34を備える。嵌合部34には肉薄の棒状をなす複数の金属製の端子29Aが貫通されている。端子29Aの一端側は嵌合部34の内部に保持され、端子29Aの他端側は嵌合部34を貫通してコネクタハウジング33の後方に突出するとともに、回路基板30に向けて略直角に曲げ加工されてスルーホールに挿通されている。端子29Aは、スルーホール内ではんだ付け等の公知の手法により、回路基板30の導電路と電気的に接続されている。
【0037】
嵌合部34には、電線11Aの端末部に取付られた雄コネクタが装着される。具体的には、例えば、一端側が電装品20,23に接続された電線11Aの他端側に接続されたコネクタや、一端側が手動スイッチ15に接続された電線11Aの他端側に接続されたコネクタ等が装着される。
なお、本実施形態では、嵌合部34を雌形とし、相手側の雄コネクタと嵌合することとしたが、他の実施形態として、嵌合部を雄形とし、相手側の雌コネクタと嵌合するようにしてもよい。また、電線の端末部に取付られた雄端子と雌端子のいずれか一方が嵌合部に収容されるようにしてもよい。
【0038】
ケース36は合成樹脂製であって、
図9に示すように、有底の筒状をなすケース本体36Aと、電線束を構成する一又は複数の電線11Aに係止する係止部37とを略角備えている。
係止部37は、ケース36の4つの側壁のうち、第1面31と対向する側壁の外面側に外方に突出しており、一対の係止片38,38を有する。
【0039】
一対の係止片38,38は、外方側に膨らむように円弧状に湾曲した板状の部材からなり、その内面が1又は複数の電線11Aを嵌め入れる凹状面39,39とされている。この一対の係止片38,38の形状(凹状面の曲率)、及び、一対の係止片38,38間の寸法は、この内側に保持させる電線11Aの径及び本数等に応じて定められる。
【0040】
具体的には、一対の係止片38,38を、例えば、1本の電線11Aを一対の係止片38,38間に係止可能な形状及び寸法としたり、複数の電線11Aを一対の係止片38,38間に係止可能な形状及び寸法とすることができる。なお、3本以上の電線11Aを一対の係止片38,38の内側に嵌め入れる場合には、3本以上の電線11Aを束ねた状態で嵌め入れることが可能な形状及び寸法とされる。
【0041】
一対の係止片38,38は、ユニット本体29のケース36への挿通(嵌合)方向に沿う方向に延びており、ケース36の側面のうち、前記挿通方向の端部を除いたほぼ全長に亘って設けられている。なお、本実施形態では、一対の係止片38,38は一組であるが、1つのスイッチングユニット27について複数組設けるようにしてもよい。例えば、一対の係止片の延出方向が同じ複数組の一対の係止片を設けるようにしてもよい。
【0042】
ケース36は、ユニット本体29の嵌合部34側の外周(外縁)を内側に圧入してユニット本体29のケース36への嵌合状態を保持したり、ロック機構を設けてユニット本体29のケース36への嵌合状態を保持するようにしてもよい。このロック機構は公知の形状を用いることができ、例えば、一方から突出する弾性爪片が他方の凹部に嵌め入れられて保持されるようにしてもよい。
【0043】
複数のスイッチングユニット27のうち、シートヒータ21に対して通電又は断電を実行するスイッチング素子28を備えたスイッチングユニット27Aは、
図1に示すように、車室13に配されたシート16の下方において、ワイヤーハーネス11からシートヒータ21へ電線11Aが分岐される分岐部35の近傍に配設されている。
【0044】
同様に、複数のスイッチングユニット27のうち、後部座席用ルームライト22に対して通電又は断電を実行するスイッチング素子28を備えたスイッチングユニット27Bは、ワイヤーハーネス11から後部座席用ルームライト22へ電線11Aが分岐される分岐部35の近傍に配設されている。
スイッチングユニット27は、電線束を結束するテープ25によって、電線束と共に結束されることで電線束に対して位置が固定されている。
【0045】
(スイッチングユニット27の電線束への取付方法)
複数本の電線11Aを束ねて構成された電線束に対して、その延出方向における所定間隔毎にテープ25Aを複数回巻き付けて仮巻状態の電線束を形成する(
図12)。なお、テープ25Aの仮巻の仕方については、これに限られない。例えば、電線11Aが露出する程度に螺旋状にテープ25を(分断することなく)巻き付けて、仮巻状態の電線束を形成するようにしてもよい。
【0046】
次に、電線11Aの端末部に取り付けられたスイッチングユニット27について、一対の係止片38,38が1又は複数の電線11Aを挟むように電線11Aに係止させる。
【0047】
次に、仮巻状態の電線束に対して、更にテープ25Bを巻き付けて本巻き状態の電線束を形成する(
図2)。このときは、内部の電線11Aが露出しないようにテープ25Bを巻き付けていく。この本巻きの際には、スイッチングユニット27が仮巻状態の電線束における1又は複数の電線11Aに係止されているため、スイッチングユニット27を位置決めしつつテープ巻きを容易に行うことができる。
【0048】
なお、本実施形態では、本巻きの際には、スイッチングユニット27がテープ25Bに隠れる程度に巻き付けられている(テープに埋設されている)が、これに限らず、本巻き状態においてスイッチングユニット27の一部又は全部が露出するようにテープ巻きしてもよい。
【0049】
本実施形態によれば、以下の作用、効果を奏する。
(1)本実施形態によれば、第1電装品20の通電又は断電を実行するスイッチング素子28を備えたスイッチングユニット27がワイヤーハーネス11に取り付けられているため、ワイヤーハーネスシステム10を小型化できる。
また、スイッチングユニット27の係止部37を仮巻状態の電線束における1又は複数の電線11Aに係止させることで、この仮巻状態からテープ25(結束部材)を巻き付けてワイヤーハーネス11を構成する際の作業性を向上させることが可能になる。
【0050】
(2)係止部37は、1又は複数の電線11Aを間に配して係止する一対の係止片38,38からなる。
このようにすれば、簡素な構成でスイッチングユニット27の係止部37を構成することが可能になる。
【0051】
(3)一対の係止片38,38は、先端部における一対の係止片38,38間の間隔が狭くなるように形成されている。
このようにすれば、一対の係止片38,38の内側に1又は複数の電線11Aを保持することが容易になる。
【0052】
(4)スイッチング素子28は、半導体スイッチング素子であり、車両12には搭乗者が搭乗する車室13が設けられており、スイッチングユニット27は車室13に配設されている。
このようにすれば、スイッチング素子28は、通電又は断電を実行する際に雑音が発生しないので、搭乗者が搭乗する車室13内に配設することができる。これにより、車両12内の収容スペースを有効に利用できるので、ワイヤーハーネスシステム10を全体として小型化できる。
【0053】
(5)ワイヤーハーネス11には、第1電装品20と異なる第2電装品23の通電又は断電を実行するスイッチング素子19を備えた電気接続箱18が接続されている。
このようにすれば、電気接続箱18に備えられたスイッチング素子19によって第2電装品23の通電又は断電を実行することができるので、ワイヤーハーネスシステム10を多機能化できる。
【0054】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2について、
図14ないし
図20を参照しつつ説明する。実施形態2のスイッチングユニット40は、実施形態1のスイッチング素子28に代えてメカニカルリレー41を搭載したものである。以下では、実施形態1と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0055】
スイッチングユニット40は、
図16に示すように、ユニット本体42と、ユニット本体42を収容するケース52とを備える。
【0056】
ユニット本体42は、メカニカルリレー41及び電子部品44が実装された回路部43と、回路部43を保持する合成樹脂製の基部46と、相手側コネクタと嵌合するフード状の嵌合部50とを備える。
メカニカルリレー41は、コイルに電流を流して接点部を開閉するものであり、周知構成のものを用いることができる。
電子部品44は、抵抗等の部品からなる。
回路部43は、バスバー端子51が一体に形成されるとともに、メカニカルリレー41及び電子部品44の端子が挿通される複数のスルーホール43Aが形成されている。
バスバー端子51は、嵌合部50の奥壁に設けられた端子挿通孔50Bに圧入されている。
【0057】
本実施形態においては、回路部43には、2つのメカニカルリレー41がユニット本体42のケース52への挿通方向に並んで配されている。なお、スイッチングユニット40に備えられるメカニカルリレー41は、1つでもよく、また、3つ以上の複数であってもよい。
メカニカルリレー41は、第1電装品20に対して通電又は断電を実行する。
【0058】
基部46は、
図18に示すように、箱形であって、例えば、モールド成形により、回路部43のメカニカルリレー41及び電子部品44側を仕切る仕切り壁47が形成されている。基部46におけるメカニカルリレー41及び電子部品44が実装される面とは反対側の面には、
図19に示すように、メカニカルリレー41及び電子部品44等の端子が挿通されるスルーホール43Aに連なる位置に半田溜まり49が凹設されている。
【0059】
嵌合部50側の仕切り壁47には、嵌合部50内に挿通されるバスバー端子51が貫通している。
ケース52は、合成樹脂製であって、
図16に示すように、有底の筒状をなすケース本体53と、電線束を構成する一又は複数の電線11Aに係止する係止部54とを備えている。
係止部54は、ケース52の4つの側壁のうちの1つの側壁の外面から外方側に突出しており、一対の係止片55,55を有する。
【0060】
一対の係止片55,55は、
図17に示すように、円弧状に湾曲した板状の部材からなり、その内面側は、1又は複数の電線11Aを嵌め入れる凹状面56,56とされている。この一対の係止片55,55間の形状(凹状面の曲率)、及び、一対の係止片55,55間の寸法は、この内側に保持させる電線11Aの径及び本数によって定められることは実施形態1と同様である。
【0061】
一対の係止片55,55は、ユニット本体42のケース52への挿通(嵌合)方向に沿う方向に延びており、ケース52の側面のうち、前記挿通方向の端部を除いたほぼ全長に亘って設けられている。なお、本実施形態では、一対の係止片55,55は一組であるが、1つのスイッチングユニット40について複数組設けるようにしてもよい。例えば、一対の係止片の延出方向が同じ複数組の一対の係止片を設けるようにしてもよい。
【0062】
嵌合部50は、回路部43のバスバー端子51側に装着されるものであり、嵌合部50の外面には、
図18に示すように係止凸部50Aが設けられており、ケース52の内面に形成された係止孔52Aの孔縁に係止してユニット本体42のケース52への抜け止めがなされている。
実施形態2によれば、スイッチング素子は、比較的安価なメカニカルリレー41であるため、ワイヤーハーネス11の製造コストを低減させることが可能になる。
【0063】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)
図21に模式的に示すように、ワイヤーハーネス11の外周を包囲するプロテクタ57を配し、このプロテクタ57内にスイッチングユニット27を、ボルト止め、接着剤等の公知の手法により固定するようにしてもよい。プロテクタ57は、合成樹脂、金属等、必要に応じて任意の材料を適宜に選択できる。
【0064】
(2)上記実施形態では、ワイヤーハーネスシステム10は、電気接続箱18を備えていたが、
参考例として、電気接続箱18を有しないワイヤーハーネスシステムとしてもよい。例えば、
図22に示すように、
参考例として、電気接続箱18を備えず、複数の着脱可能なヒューズ26が並列に配置されたヒューズブロック58を備えるようにし、ヒューズブロック58の各ヒューズ26を介して各種電装品20,23に電気的に接続されるとともに、各種電装品20,23に対応して設けられたスイッチングユニット27のスイッチング素子28を過電流遮断機能等によりオンオフするようにしてもよい。
【0065】
過電流保護機能は、スイッチング素子に形成された電気回路、又はスイッチングユニットに形成された電気回路によって実現されたものであってもよく、また、スイッチング素子の通電又は断電を制御するプログラムによって実現されたものであってもよい。
また、
図23に示すように、並列に接続された複数の電源17,17間に、一つのヒューズ26を着脱可能に接続し、その下流側の電線を分岐させて、各種電装品20,23及びスイッチングユニット27のスイッチング素子28を並列に接続するようにしてもよい。
【0066】
(3)結束部材は結束バンドでもよい。結束バンドは合成樹脂製でもよく、金属製であってもよい。結束バンドは、複数の電線を束ねるために用いられている公知形状ものを用いることができる。
【0067】
(4)手動スイッチ15は、インスツルメントパネル14に配設する構成としたが、これに限られず、ドアのアームレストに設けてもよく、必要に応じて任意の位置に配設することができる。また、手動スイッチ15に代えてボデーECUなどの電子制御ユニットからスイッチングユニット27を制御する構成としてもよい。
【0068】
(5)スイッチングユニットの内部にスイッチング素子28及びメカニカルリレー41の双方が収容される構成としてもよい。
【0069】
(6)ワイヤーハーネスは、ゴム製のチューブや合成樹脂製のコルゲートチューブ等の保護部材を備えるものであってもよい。例えば、仮巻状態の電線束をコルゲートチューブ等の保護部材に挿通してテープ等の結束部材を本巻き状態に巻き付けるようにしてもよい。
【0070】
(7)ワイヤーハーネスに樹脂製や金属製等の棒状部材(添え木)を沿わせ、この棒状部材にスイッチングユニットを取り付けるようにしてもよい。
【0071】
(8)スイッチングユニット27,40は、車両12の車室13に配されていたが、これに限られず、車両12の任意の場所に配置することができる。例えば、スイッチングユニット27,40をエンジンルーム内に配してもよい。
【0072】
(9)上記実施形態では、1つの第1電装品20に対して、1つのスイッチングユニット27,40を有する構成であったが、これに限らず、1つの第1電装品20に対して、当該第1電装品20を共にオンオフ可能な複数のスイッチングユニットを有する構成としてもよい。また、複数の第1電装品20をオンオフ可能な1つのスイッチングユニットを有する構成としてもよい。